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抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位

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(1)

民執一八四条新設

A A f l

f

1 ↓ 日

手続保障

1 1失権効説

2

外観信頼保護説

3

授権擬制説 三旭川地判昭和六ニ・一︱︱・ニニの事案 四 私 見

抵 当 権 の 実 行 と し て の 競 売 に お け る 所 有 者 と 買 受 人 の 地 位

二七

8 ‑2 ‑205 (香法'88)

(2)

存在はもちろん

民執︳八四条新設

民事執行法一八四条は︑従来の競売法にはなかった規定であり︑立法担当者によれば︑不動産に対する担保権実行 のところでは︑民事執行法による改正の最大の狙いであった規定である︒ところが︑この条文の結論を認めるための 理論構成については︑学説の対立がある︒それに対して︑判例は︑公表されたものがなく︑明確ではなかった︒しか

し︑最近になって︑﹁競売手続上当事者として処遇されなかった者が︑真実の所有者であるとして︑抵当権の実体上の

無効を主張して︑買受人の所有権の取得を争った場合において︑民事執行法一八四条の効力が肯定された事例﹂が報

告されている︒

私は︑以前に︑本稿に関連した論文を発表したことがある︒そして︑そこでは︑競売法の下での判例ではあるが︑

﹁競売開始決定を所有者に対して送達されていなかったとしても︑いったん競落許可決定が確定すれば︑競売の

基本たる債権の不存在または抵当権の無効である場合を除き︑右競売を無効とすべきではなく︑競落人は有効に

競落不動産の所有権を取得するものと解すべきであり︑

許可決定の無効の主張が許されない旨の原審の判断は︑

その後においては︑競売手続の瑕疵を理由として︑競落

正当として是認することができる﹂

と判示して︑抵当権は有効に存在していたが︑所有者に対する開始決定の送達がないまま競売手続が完結した場合に

︵判

時六

三一

号五

四頁

︶ も︑競落人は有効に競落不動産の所有権を取得する︑と解した最一判昭和四六・ニ・ニ五

(4 ) 

判旨が独り歩きしないように警告していた︒しかしながら︑前述の旭川地裁の判決は︑所有者への開始決定送達の不

︵根︶抵当権も不存在の主張がされていた場合にまで︑民執一八四条によって買受人の所有権取得を

ニ八

(3)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(三谷)

民執一八四条を巡っては︑

有効としたものである︒旭川地裁の判決は民執一八四条自体の趣旨を正確に理解していないのではないかと思われる

節がある︒また︑前稿発表の後に︑私の見解に疑問を提起しているものも散見されるので︑

二九

らかにすることにして︑民執一八四条の適用が認められる場合あるいは認められない場合を明らかにしたい︒

浦野雄幸﹁民事執行法案

( l

)

法務省民事局参事官室﹁民事執行法案の概説L金融法務事情八五九号︵丁几七八年六月一五日︶二0

頁 ︑

の概

説﹂

NBL一六八号(‑九七八年九月一日︶四八頁︒

( 2 )

三谷忠之﹁不動産競売における買受人保護の限界﹂筑波法政六号︵.九八:生'芝月︶二貝以下参照︒その後の文献としては︑生熊

長幸﹁担保権実行のための競売﹂新堂寺司

1

竹下守夫編・基本判例から見た民事執行法︵/九八三年11

月三

0日︑有斐閣︶三一七

頁以下︑山木戸克己・民事執行法講義(‑九八四年一二月三0日︑有斐閣︶二五0頁以下︑三宅弘人﹁買受人の地位﹂鈴木忠一

iOヶ月章監修•新・実務民事訴訟講座12(一九八四年九月―日、日本評論社)二六七頁以下、鈴木忠一11三ヶ月章編集・注解民事 1 1

執行法⑤(‑九八五年八月一0日︑第一法規出版︶二四七頁以下︹高橋宏志︺︑浦野雄幸編・基本法コンメンタール民事執行法︵一

九八六年四月三0日︑日本評論社︶四六九頁以下︹斎藤和夫︺︑中野貞一郎・民事執行法下巻(‑九八七年︱二月一五日︑青林書

院︶三三二頁以下があり︑前稿と重複をできるだけ避けるため︑本稿では︑主としてこれらの文献を中心として検討する︒

( 3 )

旭川地判昭和六ニ・︱ニ・ニニ金融法務事情一一七八号四0

頁以

下︒

( 4 )

三谷・筑波法政六号二四頁︒

まず第一に︑担保権の不存在又は消滅にもかかわらず︑競売による所有権取得が確定さ

この機会に再度卑見を明

8 ‑ 2 ‑207 (香法'88)

(4)

れ る

という効果が認められる理論的説明についての議論がある︒

このような事例においては︑開

︵民

執一

八八

条・

四五

条二

項︶

したがって︑偽 ︵民執一八三条︶ことを指している︒こ

そし

て︑

また︑同条の適用が排除される事例が考 民執一八四条新設に多大の影響を与えた山木戸教授の見解をまず挙げなければならない︒所有者が不動産競売にお

いて手続的保障を与えられているにかかわらず救済手段を講じなかったことによって︑競売手続を信頼した買受人の

利益を保護するべきである︑というものである︒手続的保障とは︑

まず不動産競売の申立てには法定の文書を要求し

たうえで︵民執1

八一条一項︶︑開始決定に対して︑訴えの形式ではなく︑実体上の事由を理由とする執行異議を認め

(民執―八二条)、法定の文書の提出による競売停止•取消しを容易に認めた

のように︑容易に手続を停止したり取り消したりできる手段をとらなかったために︑競売手続が完結すれば︑もはや

その結果を覆す手続上の手段がなく︑結局は手続の効果を覆すことができなくなり︑買受人の所有権取得が確定する︑

ここにあるのである︒ということになるのである︒﹁手続上の失権効﹂といわれる理由も︑

ところで︑手続上保障されている救済手段を利用しなかった︑

ということは︑

法律は︑開始決定を所有者に職権で送達することにしているのである

そのような手段をとることのできる

機会が与えられていた︑ということが前提になるであろう︒そして︑手続の進行を知る機会を所有者に与えるために︑

造文書により所有権移転登記がされた後に設定された抵当権の実行としてなされた競売のように︑競売手続の進行を

知らず、執行異議もできず手続の停止•取消文書も提出できなかった場合には、民執一八四条の効果は認められず、

真の所有者は︑買受人に対して所有権の主張をすることができることになる︒ただ︑

始決定は差押えの登記をしたとき現在の登記簿上の所有者に送達され︑以後の通知もそうであり︑真の所有者には送 1

手続保障

11

失権効説

えられるのかが次の議論の対象になっている︒

三〇

(5)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(:̲谷)

達されないのであるが︑

進行を阻止するための手段をとらずに競売手続が完結した場合には︑どうなるのであろうか︒この点については︑こ こでの説は︑必ずしも明確でないように思われる︒担保権の不存在又は消滅を知りつつ︑抵当権設定登記を抹消せず

てい

る︶

それ

では

︑ たまたま競売が進行していることを真の所有者が知ったにもかかわらず︑手続の

その結果買受人が登場した︑ ︵登記簿上の所有者であるから︑当然手続上も開始決定等の送達・通知を受け

という事例を前提にしているように感じられるのであるが︑どうであろうか︒

詳しくは︑後述するところであるが︑旭川地判昭和六︱

. .  

︱︱↓・ニニの事件では︑真の所有者に開始決定の送達がな

く︑しかも︑根抵当権の設定も偽造文書による︑

との主張があるにもかかわらず︑所有者は︑登記簿を閲覧するか裁

判所に問い合わせれば極めて簡単に競売手続開始の有無を知ることができる︑ということから︑手続の停止等の手段

をとらなかった故に︑民執一八四条の適用を認めている︒大いに疑問のあるところである︒

また︑担保権の不存在又は消滅を知っていた者が買受人になった場合にも︑民執一八四条の適用による所有権取得

(9 ) 

を認めないことを明言する見解もある︒しかし︑これに対しては︑知ったとする程度が不明であり︑買受人側の事情

( 1 0 )  

を樹酌することは実定法の根拠を欠くとの批判がある︒

なお︑浦野判事の説を採った場合でも︑民執一八四条の適用があれば︑買受人による所有権取得が防げられない︑

というだけで︑担保権の不存在又は消滅を知っていた差押債権者や買受人に対して真の所有者が所有権侵害による損

害賠償を求めることまで排斥されることになるのかは︑必ずしも明らかではない︒

この手続保障

1

1失権効説に対しては︑中野教授が︑﹁同条は︑手続上の僻怠がない場合でも︵担保執行債務者の不服

申立て等はあったが効を奏せずに︶︑担保権なき競売等が完結したときは適用されるのである︒手続上の悌怠のため手

( 1 2 )  

と批判されている︒続外で一般の第三者に対する関係でも所有権の得喪を生ずる理由の説明﹂もない︑ に放置していて︑競売手続が進められ

8‑2‑209 (香法'88)

(6)

ものを保護するのであるから︑ と

にな

り︑

( 5 )

0

頁以下︒この見解は︑手続保障

1 1失権効説と称され︑民事執行法の体制は︑この説からも総合的に正当化され

うる︑と主張するのは︑三宅・新実務民訴講座

1 2 ニ八二頁である︒なお︑注解民執⑤二四八頁︹高橋︺も︑失権効によって説明で

きる︑とする︒

( 6 )

浦野雄幸・条解民事執行法(‑九八五年︱一月二二日︑商事法務研究会︶八三八頁︒

( 7

)

0頁︑浦野・条解八三八頁︒

( 8

)

山木戸教授は︑開始決定の所有者への送達によってのみ差押えの効力が生じるようにするべき旨を主張されていたのであるから︑

所有者への送達がなく︑所有者がたまたま競売の開始を知ったにもかかわらず放置していた場合にまで︑民執一八四条の効果を認

められるとは思われない︒生熊・基本判例三二四頁は︑開始決定等の所有者への送達が︑競売手続に対する所有者の不服申立てを

容易にする方策の一っであることを述べており︑遠藤浩

1 1川井健

1 1原島重義

1 1広中俊雄

1 1水本浩

山本進一編集・民法③︹第31 1

九八七年三月二0日︑有斐閣︶一五0頁︹福永有利︺も︑﹁債務者ないし所有者として競売開始決定の送達を受けていながら﹂と

いうことを前提にしている︒ところが︑学生向けの解説書としては︑かなりの頁をさいて解説されている浦野編・基本法コンメン

タール四六九頁以下︹斎藤︺では︑所有者への送達については︑一言も触れられていない︒

( 9 )

山木戸・講義二五0

頁 ︒ ( 1 0 )

三宅・新実務民訴講座

1 2

0

頁 ︒ ( 1 1 )

注解民執⑤二四八頁︹高橋︺は︑﹁所有権を失うとされるのは買受人に対する関係においてであり︑

法行為請求は別論である﹂と述べる︒

( 1 2 )

中野・下三三二頁︒

外観信頼保護説

債権者に対する不当利得・不

外観信頼保護説は︑所有者が競売を阻止しなかったことによって︑買受希望者に所有権取得の外観を作り出したこ

( 1 3 )  

その外観に対する信頼の保護から︑民執一八四の効果が認められる︑というものである︒外観を信頼した

この外観信頼保護説によれば︑外観信頼の保護を与える必要のないもの︑

すな

わち

(7)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(:.谷)

買受人が抵当権の不存在又は消滅を知っていた場合には︑民執一八四条の効果は認められない結果になるであろう︒

︱つは好意的な評価であり︑﹁手続法の論理に実体法の論理を加味し︑

債務者側に現実に手続の進展を阻止するチャンスがあったか否か︑買受人が善意か悪意か︑等によって本条の適用を 調整する論理を巧みに組み人れている点に特色がある︒解釈論に密着した細密な理論構成といえよう﹂と評価されて

いる︒もっとも︑この説を提唱された竹

F

教授は︑後には別の説明の仕方をされているが︒他方において︑外観信頼

保護説に対しては︑

そもそも外観を作出した責を負うべきは︑抵当権がないにもかかわらず競売を申し立てた債権者

者に押しつける理由とはならない︑ にあるのであって︑所有者が競売阻止の手続をとらなかったからといって︑

( 1 5 )  

との批判がある︒

竹下教授は︑別の説明の仕方をされるに至ったわけであるが︑外観の信頼保護ではなく︑﹁無権限者の処分行為の追

( 1 6 )  

完に準じて競売は有効になる﹂と説明され︑更には︑外観信頓保護や処分行為の追完といった表現は全く使用されず︑

所有者に十分にその正当な利益を守る機会を保障し︑買受人の代金納付による所有権取得という正当な利益にこたえ るために︑すなわち︑所有者と買受人の利益の調和を図って設けられた規定である︑と説明されている︒このような

変遷を見るにつけ︑民執一八四条がいかに厄介な規定であるかが理解できるであろう︒

て︑竹下教授は︑民執一八四条適用の例外に関し︑﹁本条は︑

機会を保障されたことを︑

また他方において︑買受人が所有権取得の正当な期待を有することを前提としている︒そ

こで︑具体的場合に︑この前提が欠けたときは︑

ば︑買受人は所有権を取得できない﹂とされ︑ この説に対しては二つの評価がある︒

ま た

︑ そのことだけでは;方的に不利益を所有

ところで︑最後の説明に際し

その文言にもかかわらず︑担保権が存在せずもしくは消滅していれ

その具体例として二つ挙げられ︑﹁い一八一条一号ないし三号書面の成

立過程に所有者が関与しておらず無効であり︵無権代理人の嘱託あるいは申請に基づき公正証書が作成され︑担保権

一方において︑所有者・債務者がその正当な利益を守る

8‑2 ‑211 (香法'88)

(8)

四宮

・民

法総

則︹

三版

ていくほかない﹂

およ 設定登記がなされた場合など︶︑かつ競売開始決定の有効な送達がなく︑その他所有者が競売開始の事実を知る機会が

かつ競売開始決定の送達が有効になされても︑債権者自身が買受

これらの書面か開始決定の送達かのいずれかが無効であ

るにとどまるときは︑買受人の善意・悪意と所有者が競売開始の事実を知りうる可能性とを衡量しながら個別に決し

( 1 8 )  

と主張されている︒

( 1 3 )

ジュリスト増刊・民事執行セミナー

( 1

九八1

0日︑有斐閣︶六八頁︹竹下守夫︺︒

( 1 4 )

注解民執⑤こ四八頁︹高橋︺︒

( 1 5 )

( 1 6 )

竹下守夫﹁競売法二七条二項の期日の通知と憲法二九条︳項﹂民商法雑誌八四巻六号

( 1

九八一年九月二且日︶九四0

同所では︑開始決定の送達の無効は競売を無効にし︑民執/八四条の適用はない︑との指摘がある︒

( 1 7 )

竹ド守夫

1 1上原敏夫

0野村秀敏・ハンティ・コンメンタール民事執行法︵/九八五年三月二0日︑判例タイムズ社︶四七1 1

頁 ︒

( 1 8 )

ハンディ四七0

定めたもの﹂

授権擬制説 授権擬制説は︑中野教授が提唱されている説で︑民執一八四条は﹁実体的効果帰属要件としての処分授権の擬制を

( 1 9 )  

という内容のものである︒すなわち︑

﹁不動産の担保執行に即していえば︑競売の実体面は私法上の売買であり︑売却の効果帰属要件︵この概念につき︑

一六四貞以下参照︶として︑目的不動産が執行売却の当時に競売債務者に属すること︑ 人である場合は︑代金を納付しても所有権を取得しえない︒ なかった場合とか︑回逆にこれらの書面が有効で︑

三四

(9)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位( :→谷)

( 1 9 )

中野・下三三三頁以下︒ れるかは︑右の説明からは必ずしも明確ではない︒ と主張されている︒

三五

び︑それを処分する権能が執行機関にあることを要する︵⁝⁝︶︒競売債権者が換価権を内含する担保権を有する

とき

は︑

その申立てに基づいて執行機関への処分授権が認められるが︑民事執行法︱八四条は︑

うな担保権を欠いた執行売却の場合についても︑買受人保護の法政策的考慮に基づき︑処分の効果帰属を定める 特則を設けた︒それは︑競売債務者が自己所有の不動産に対する担保権なき競売手続の進行を黙過して︑あるい は手続排除に努めたが奏効しないで︑代金納付による競売完結に至ったときは︑国家の営為する競売手続に信頼 しその競売申出の誘引に応じて買い受けたうえ既に代金支払を﹇した買受人の地位を事後に覆滅することをもは

や許すべきでなく︑さもないと買受人に不測の損害と負担を与え︑競売の制度的機能を大きく害する︒そこで︑

競売完結とともに執行機関に競売債務者の暗黙の処分授権があったものと擬制し︑買受人の所有権取得の効果を

生ずるものとしたのである﹂

担保権がなかった場合の説明としては︑納得できる面があるが︑﹁競売債権者が換価権を内含する担保権を有すると

き は

さら

に︑

そのよ

その申立てに基づいて執行機関への処分授権が認められる﹂とされる部分については納得できない場合がある︒

もし︑開始決定の所有者への送達が欠けていたときも同じである︑という趣旨であれば︑納得できないところである︒

詳しくは後に述べるとして︑差押えの効力として︑所有不動産の処分権限を剥奪されるのであり︑剥奪された処分権 があるからこそ︑執行機関は有効に不動産を売却することができるのである︒この点︑中野教授がどのように解釈さ

8 ‑ 2 ‑213 (香法'88)

(10)

••••

v ‑

J

禾 ナ 廿

廿

九月一七日

以上のような事実経過のドに︑

X i . x

.ふが原告となって︑Y

相手に︑本件不動産についての土地建物所有権移転

Yに本件不動産の所有権移転登記がなされる︒

昭 和 六 一 年 九 月 二 日

Yが本件不動産の買受代金を納付︒ 訟を旭川地裁に提起する︒ 昭和六

0

年六月

1 1 0

XI.XZ•

ふが原告となって、

B

信金相手に︑

請求訴訟を旭川地裁に提起する︒ 昭和六

0

年二月1

パ八

︱ ニ

・ ニ ニ の 事 案

本稿の冒頭に掲げた旭川地裁の事件の事実関係は︑次のようなものである︒

Xi.XZ•

ふ(各自、姓は、奥野)所有の土地・建物(本件不動産という)

債務者

A︵インテリア奥野︶︑根抵当権者

B

信金とする各根抵当権設定登記がなされる︒

本件不動産について︑

X i . X

Z

が原告となって︑

本件不動産について︑右各根抵酋権による競売開始決定がなされ︑差押えの登記もさ れ ︑

A

を債

務者

ふが原告となって︑

昭和五九年︱二月ニ一日

手続請求訴訟を旭川地裁に提起する︒

昭 和 五 九 年 八 月 一

0

昭 和 五 九 年 七 月 一 九 日

,1

昭和五八年八月\ロ一月

旭川地判昭和六ニ・

根抵当権設定登記抹消登記手続等請求訴

Cクレジットに所有権移転登記がなされる︒

C

クレジット相手に︑本件不動産の所有権移転登記抹消登記

Cクレジットを所有者とする本件競売手続が開始︒

C

クレジット相手に︑本件不動産の所有権移転登記抹消登記手続

三六

につ

いて

(11)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(三谷)

登記抹消登記手続請求訴訟を旭川地裁に提起した︒これが本件である︒原告らは︑﹁本件競売手続は︑設定の合意を欠

くまま偽造文書により登記された実体上存在しない根抵当権に基づいて実施されたものであるから︑右競売手続にお

ける競落に基づく被告の所有権取得は無効であ﹂り︑

し︑旭川地裁は︑原告らの請求をいずれも棄却した︒棄却の理由としては︑本件競売手続の当事者となっていないと

しても︑第三者異議の訴え等を提起して︑競売停止の裁判を得て︑競売手続を停止できたのに︑停止手続をとらなか

った

こと

Y

には民執一八四条の適用はない︑

三七

と主張した︒この主張に対

しかも︑競売手続開始の有無は︑登記簿の閲覧や裁判所に問い合わせることによって容易に分かるのに︑

競売手続の進行をそのまま放置したから︑民執一八四条の効果を争えない︑と述べている︒すなわち︑

﹁買受人の所有権取得についての同条の規定するところは︑債務者又は所有者︵以下﹁債務者等﹂という︒︶に

おいて︑買受人の代金納付時までに民執法一八三条各号に掲げる文書を執行裁判所に提出して︑競売手続の停止

を求め︑同法一八二条により競売開始決定に対して執行異議を申立てることを怠ったことに伴う手続上の失権効

に基づくものと解されるから︑債務者等においてその責めに帰すべからざる事由により競売手続の開始及び進行

を知ることができず︑

さ れ

その後も競売手続の停止•取消を求めるなどの不服申立の手続をとる機会が全く存在しな

いまま競売手続が進行して完結したというように例外的な場合については︑同条の効果は及ばないと解する余地

﹁ところで︑右事実関係よりすれば︑原告らが

B

信金に対する右根抵当権設定登記の抹消登記手続請求訴訟を提

起した昭和六

0

年六月二

0

日の時点においては︑既に本件不動産につき

C

クレジット名義に所有権移転登記がな

C

クレジットを所有者としていたのであるから︑原告らは︑本件競売手続につき︑本来︑第三者異議の訴

え︵民執法一九四条︑三八条︶を提起することにより不服申立てをすることが可能であったことになる︒ もあり得るというべきである︒﹂

8 ‑ 2 ‑215 (香法'88)

(12)

不動産競売手続において︑当事者となっていない第一二者が︑不動産の真の所有者であるとして抵当権の実体上 の効力を争って第三者異議の訴えを提起した場合においては︑右訴えの提起により競売手続の進行が当然に停止 するものではなく︑競売停止を求めるには訴えの提起に伴う競売停止決定︵民執法一九四条︑三八条四項︑三六

条︶を申し立てて︑右決定の謄本を停止文書︵民執法一八三条一項五号︶として執行裁判所に提出することを要

するのであって︑右訴えを提起した者が右停止手続をとることなく放置したため︑競売手続が進行して買受人に よる代金納付がなされた場合には︑仮に抵当権の不存在又は消滅の事由があるとしても民執法一八四条により買 受人の所有権取得の効果は妨げられないというべく︑右の者はもはや右競売手続において自己が当事者として処

遇されなかったことを理由として同条による効果を争うことはできないと解すべきである︒

また︑不動産競売手続において︑登記簿上不動産の所有者とされていない者が︑真の所有者であるとして︑抵 当権の実体上の効力を争って不服申立てをする方法としては︑右の第三者異議の訴えのほか︑抵当権者を被告と

して抵当権不存在確認請求訴訟あるいは抵当権設定登記抹消登記手続訴訟を提起することも可能であり︑

合においては︑抵当権者を相手として抵当権実行禁止の仮処分あるいは競売手続続行禁止の仮処分を申請し︑右

仮処分決定の謄本を停止文書︵民執法一八三条一項五号︶

進行の停止を求めることもでき︑ として執行裁判所に提出することにより︑競売手続の

そして︑抵当権不存在確認訴訟及び抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟は︑

いずれも︑具体的な競売事件の存在を前提とするものではなく︑当該抵当権に基づく競売手続の開始前であって も提起することができるものではあるが︑抵当権の本質的内容が換価機能にある点からすれば︑右訴訟を提起す る者としては当該抵当権に基づく競売手続の開始の有無について無関心であり得る筈はなく︑他方︑競売手続開 始の有無は︑登記簿を閲覧しあるいは管轄執行裁判所に問い合わせる等の方法により極めて容易に知り得べきも

三八

この場

(13)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(三谷)

求訴訟を提起しているものであるが︑ 第三者異議の訴えに代えて︑ の

であ

るの

で︑

三九 からすれば︑競 ︵もっとも︑本件においては︑原告らのC

クレ

これらの点に照らせば︑右訴訟を提起した者が︑当該抵当権に基づく競売手続の開始の有無ない

しその進行に無関心であったか︑あるいは前述のような競売手続停止の措置をとることなく放置したか︑したた

めに︑競売手続が進行して買受人による代金納付がなされた場合には︑第三者異議の訴えについて先に述べたと

ころ

と同

様に

もは

や︑

その者は競売手続において自己が当事者として処遇されなかったことを理由として︑民

執法一八四条の効果を争うことは︑許されないものと解するのが相当である︒

これを︑本件についてみるに︑原告らは前記のとおり︑本件競売手続の開始後である昭和六

0

年六月二

0

日 に

明らかというべきであり︑ いずれも︑根抵当権者である

B

信金を被告として根抵当権設定登記抹消登記手続請

これに先立つ昭和五九年八月一

0

日ないし同六

0

年二月二八日にC

クレジ

ットを被告として所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟を提起しており︑原告らは︑右根抵当権設定登記抹消登

記手続請求訴訟を提起する時点において︑既に︑本件不動産につきCクレジット名義に所有権移転登記がなされ

ていることを了知していたものであって︑本件不動産につき右各根抵当権に基づく競売手続が開始される場合に

はCクレジットを被告として手続が進行し︑原告らは競売手続上当事者として処遇されることがないことを承知

していたものというべきであるから︑仮に︑原告ら主張のように本件競売手続の開始を知らなかったとしても︑

民執法一八四条の効果を争うことは許されないというべきである

ジットに対する前記訴訟のうち︑原告ふの訴訟は︑本件競売手続開始後の昭和六

0

年二月二八日に提起されてお

り︑右訴訟提起に伴う予告登記もなされている点︵この事実は︑︿証拠﹀によりこれを認める︒︶

売開始決定に基づく差押登記の存在により同原告が本件競売手続が開始されていることを了知していたことは︑

また︑原告

X l

及び

X z

つい

ても

B

信金に対する根抵当権設定登記抹消登記手続請求

8‑2‑217 (香法'88)

(14)

いろいろと問題があり︑賛成できない︒ 訴訟提起時において︑右差押登記を看過すことは考えられず︑

この点からすれば︑右原告らもまた本件競売手続 よって︑本件競売手続において利害関係人として処遇されなかったことを理由として民執法一八四条の効果を

そして︑民執一八四条の効果は手続上の失権効に基づくから買受人の善意・悪意によって影響を受けない︑

﹁原告らは︑被告は

B

信金と実質的に同一体と評価すべきものであり︑本件競売手続の基礎とされた前記根抵当 権が不存在であることを知悉していたのであるから︑民執法/八四条の適用はない旨主張する︒

しかしながら︑同条の規定は︑前述のとおり︑債務者等の側における手続上の失権効に基づくものであり︑担 保権の不存在又は消滅についての買受人の善意・悪意により︑所有権取得の効果が左右されるものではないと解

するのが相当であるから︑原告らの右主張は︑主張自体失当であり︑採用できない︒﹂

と判示している︒

②この判決には︑

まず︑不動産競売手続の当事者となっていない第三者が︑第三者異議の訴えを起こしながら競売手続停止の手続を

とらずにいた場合に︑買受人が代金を納付すれば︑右第三者はもはや民執一八四条の効果を争えない︑

るが︑果たしてそうであろうか︒第三者の不動産であるかぎり︑

者は買受人の所有権取得を争えるのではなかろうか︒執行停止の手続をとらなければ︑競売手続が進行して完結し︑ 解を表明している︒すなわち︑旭川地裁は︑ と判示したのである︒ 争う原告らの主張は︑理由がないというべきである︒﹂ の開始を了知していたものと認められるのである︒︶︒

と判示してい

そもそも第三者異議の訴えを提起しなくても︑第一︱︱

四〇

との見

(15)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(三谷)

第三者異議の訴えの利益が消滅するだけであり︑買受人が第一二者の所有不動産を取得する理由はどこにもないはずで

ある︒この点は︑強制競売でも担保権の実行としての競売でも同じではないのか︒不動産競売において︑第三者異議

の訴えだけでなく︑その他の訴訟を提起することができるとしても︑結論は変わらないのではなかろうか︒

また︑登記簿を閲覧し又は管轄執行裁判所に問い合わせれば︑簡単に競売手続の開始の有無が﹁極めて容易に知り 得べきものである﹂というが︑果たしてそうであろうか︒確かに︑差押えの登記がなされた後に閲覧すれば︑容易に

分かるであろう︒しかし︑

では容易に分かるはずはないのであり︑判旨は︑毎日閲覧をしろ︑

を第三者に要求することが果たして一般にいえるのであろうか︒同じく︑管轄執行裁判所に問い合わせて︑すぐに競 売が開始されているか判明するのか疑問である︒登記簿に差押えの登記の原因となった決定の事件番号が記載されて

いる

なら

格別

それは差押えの登記がなされた後の閲覧の場合にいえるだけで︑差押えの登記の前の閲覧 そうでないのが登記実務であろうから︑競売開始決定の日が分かり︑問合せに容易に応じる親切な裁

判所の職員がいたとしても︑事件番号まで容易に分からなければ︑裁判所も答えようがないのではなかろうか︒受付

簿や記録を確認したうえで︑電話による問合せにも容易に返答してもらえるのであろうか︒いずれにせよ︑﹁極めて容

易に﹂知ることなどできない︑といわざるをえないであろう︒

権限が執行機関に移転する根拠は一体どこにあるのであろうか︒ というのであろうか︒そのような非現実的なこと

そして何よりも︑真の所有者に開始決定の送達がなされていないのに︑差押えの効力が生じて︑当該不動産の処分

8‑2‑219 (香法'88)

(16)

①不動産競売による売却にしろ︑不動産の強制競売による売却にしろ︑買受人が代金を納付することによって︑

( 2 0 )  

買受人と不動産所有者との間で売買が成立することになる︒所有権が有効に譲渡されるためには︑譲渡人が当該不動 産について処分権限を有していなければならない︒所有者に代わって国家の執行機関である裁判所が所有者の不動産 を売却することができるのは︑差押えの効力が生じているからである︒すなわち︑民執一八八条によって準用される

民執四六条一項が﹁差押えの効力は︑強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる︒

がその開始決定の送達前にされたときは︑登記がされた時に生ずる﹂と定めているように︑債務者︵所有者︶に開始 決定が送達された時に差押えの効力が生じるのが原則である︒担保権実行の場合には︑物上保証のときがあり︑この ときには︑債務者への送達ではなく︑所有者への送達によって差押えの効力が生じる︒差押えの効力は︑所有者の処

分権限を剥奪し︑

つまり︑処分禁止の効力が生じ︑当該不動産の処分権限は︑執行機関に移転する︒執行機関が有す

る処分権限に基づいて︑売却が有効になされるのである︒

て発生するものである︒

右の条文によれば︑差押えの登記のときに差押えの効力が生じる場合があるが︑

になされたことを前提にしての話である︒したがって︑

四 私

ただし︑差押えの登記 そして︑この処分権の剃奪は︑差押えの効力が生じて始め

それも︑後になって送達が所有者 たとえ差押えの登記がなされたとしても︑後に送達が実施さ れないかぎり︑差押えの効力は生じないことになる︒登記に公信力はないのである︒差押えの効力が生じていないか ぎり︑処分権限が執行機関にないのであるから︑売却が有効になされることはないのである︒中野教授が指摘されて

(17)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(三谷)

いるように︑処分権限を問題にしないかぎり︑民執一八四条の問題の解決はできないのである︒

そして︑中野教授のように︑処分権限の授権の擬制という観点は評価することができるが︑前述したように︑

所有者への送達がなく又は無効であり︑差押えの効力が生じていないにもかかわらず︑処分権限の授権を認められる

ので

あれ

ば︑

ると

いう

が︑

その範囲では賛成することができない︒偶然に競売手続の開始を知った場合にまで︑民執一八四条の効 果は認めることはできない︒競売手続の開始を知れば︑簡易な執行異議の不服申立てや︑停止手続をとることができ

それほど簡単にそのような手続をとることが可能であろうか︒開始決定が送達されていれば︵民執︱八

一条四項によると︑同時に提出文書目録も送付される︶︑簡単に分かるが︑送達されていなければ開始決定がなされて

いることを偶然知ったとしても︑

等の公告や物件明細書の写し等を全部見なければならない手間がかかるし︑すでに停止文書がある場合には︑簡単に

停止を求めることもできるであろうが︑

仮の処分を獲得したりし︑

どういう抵当権に基づくのかも分からないし︑裁判所へ出かけて︑配当要求の終期

しか

も︑

そうでないかぎりは︑改めて抵当権不存在確認訴訟や︑抵当権設定登記抹消 登記手続請求訴訟などを提起して︑競売手続停止の仮処分を獲得したり︑第三者異議の訴えの提起による停止決定の

その裁判の謄本を執行機関に提出しなければならないのである︒どこが簡単なの

であろうか︒正式の開始決定の送達を受ければ︑

正に争いに正式に巻き込まれてしまったので︑多少の煩わしさを覚 悟しなければならないかもしれないが︑何も正式の知らせがないのに︑自ら積極的に行動しなければならない義務が

何故生じるのであろうか︒そのような根拠はどこにあるというのであろうか︒

もし偶然に競売手続の開始を知ったにもかかわらず︑例えば第三者異議の訴えを提起したりして仮の処分を得て執

いかなる第三者︵真の所有者︶もその所有権を失う︑

って当該担保権の対象財産と判断して競売がなされる場合﹂ 行を停止しないかぎり︑

もし

というのであれば︑﹁第三者の財産を誤

であっても︑偶然に開始決定を知り︑第三者異議の訴え

8‑2 ‑221 (香法'88)

(18)

( 2 1 )  

を提起しなければ︑当然にその所有権を失うことになるのであろうか︒

かくて︑中野教授の見解に基本的に賛成するとしても︑開始決定の送達が真の所有者になされていたことを前提に

しての話である︒

`~.,

9 ,

'  

開始決定の送達はもちろん︑ ところで︑私のように解するならば︑たとえ抵当権が存在していたとしても︑真の所有者である物上保証人に︑

その後の通知もなされていなかった場合には︑本条の前提を欠き︑所有者は買受人の所

有権取得を争うことができることになる︒これに対しては︑﹁不服申立ての機会を与えられなかったとしても担保権が

( 2 2 )  

有効に存在した場合にまで︑買受人の所有権取得を否定しなければならないかは問題である﹂との批判がある︒しか し︑担保権さえ有効に存在すれば︑所有者から処分権限を奪う前提になる開始決定の送達がなくても処分権限が有効

に執行機関に移転していたことになる︑

く無視するものであり︑今もって従来の考えを変える必要はないと考えている︒これ以

t

ない瑕疵を単に手続上の瑕 疵として片付けることができるのであろうか︒買受人になろうとする者も︑瑕疵のない不動産を取得するためには︑

記録を閲覧すれば︑記録に現われている所有者たる物上保証人への送達がなされたかどうか位はすぐに分かるであろ

う︒送達報告書があるはずである︒

と解することは何としても納得ができない︒開始決定送達の本来の意味を全

むしろ買受人側の負担である︑

動産を購入するのであるから︑買受人としては︑

と考えてもおかしくない︒高い金額を支払って不

その程度の注意を払うことを求められても取引上も通常であろう︒

そして︑前述の旭川地判の事例では︑根抵当権の存在自体も争っているのであり︑私の見解に反対する説であっても︑

右判例には賛成されないであろう︒結局︑手続上の失権効説は︑最初に唱えられた山木戸教授が︑差押えの効力は常

( 2 2 )  

に所有者への開始決定送達により生じる︑

と主張されていたことも全て忘れ去っているようである︒手続権保障の大 前提が無視されたまま︑手続上の失権効という概念のみが︑これまた独り歩きを始めてしまっているのが︑現状であ

四四

(19)

抵当権の実行としての競売における所有者と買受人の地位(廿・今谷)

( 2 0 )   ( 2 1 )   ( 2 2 )

  ( 2 3 )

 

区別して考えるのが正酋であろう︒明文で規定されていないから︑

つの根拠であることは︑文理解釈

t

は甘然であろう︒

四五

しかし︑文理に現われていない場合もあるのであり︑単 純には解決できないのである︒登記の対抗について︑民法上は区別されていないのに︑背信的悪意の者は保護されな

明文規定がないからというだけでは︑説得力ある根拠ではない︒

小室直人編著・民事執行法講義︵.九八八年五月.五日︑法律文化社︶.0

1

谷忠之︺参照︒.

注解民執固︳︳四九頁口︹高橋︺︒そこでは︑﹁手続中に第;.者異議の訴えを提起できなかったとしても﹂とあって︑

たとしても﹂とは述べられていないが︑提起できたのに提起しなかった場合は除外する趣旨であろうか︒

沖解民執固二五0

頁四︹高橋︺︒一ご宅・新実務民訴講座

1 2 ‑

バ八八頁も︑﹁抵当権が有効である限り︑どちらの利益を優先させるべき

かのディメンジョンでは買受人の保護に傾くべきであろう﹂と主張されているが︑その根拠は明確ではない︒

山木戸克己﹁任意競売における競落人の地位ー競売手続と所有者の手続的保障ー﹂小野木常

斎藤秀夫先生還暦記念・抵当権の実1 1

い判例があることにも︑思いを致すならば︑

のも うないのであって︑本来の趣旨からすれば︑ヽ~

とし

,1, 

 

的安全の保護をする必要がない場合には︑つまり買受人の悪意の場合には︑

民執/八四条の効果を認める必要は全く

買受人の善意・悪意の問題てあるが︑

る ︑

と評価することができるであろう︒

これも︑山木戸教授は︑

動的安全の保護を主張されていたのであり︑動

8 ‑ 2 ‑223 (香法'88)

参照

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