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第5章 3次元数値計算モデルによる解析

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Academic year: 2022

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(1)第 5章. 3 次元数値計算モデルによる解析. 第 5章 3 次元数値計算モデルによる解析. 内 燃 機 関 の開 発 に 当た っ て は ,一層 の 高 効 率 化 と低 公 害 化が 強 く 求め ら れ て い る が, こ れ ら に 影 響 す る 多 く の 燃 焼 関 連 因 子 の 相 互 関 係 を 実 験 的 に 解 明 するには 膨 大 な 労 力 と 時 間 , コ ス ト を 必 要 と す る . そ こ で , 内 燃 機 関 の 燃 焼 過 程 を モ デ ル 化し , 燃 費 ・ 排 気 に 影 響 を 与 え る 諸 因 子 の 関 係 を 数 値 的 に予 測 す る こ と は , 実 験 の 労 力を 低 減 す る だ け で な く , 望 ま し い 燃 焼 制 御 の 方 向 性 を 明確 に し , ひ い て は 今 後 の 新 しい 燃 焼 方 式 の 開 発 目 標 に示 唆 を 与え る も の と 考 え ら れ る ( 5 3 ). そ こ で こ こ で は, LPG の 燃 焼 を支 配 す る 拡 散 燃 焼 で の 乱 流 混 合 過 程 や 着 火 時 の燃 料 噴 霧 の 不 均 一 性 を 考 慮し た モ デ ル に よ り, 希 薄 燃 焼 の領 域 にまで 拡 大 して 想 定 し ,機 関 性 能 を 維持 し つ つ有 害 排 出 成 分 である NOx の 低 減 を 実現 し う る燃 焼 形 態を パ ラ メ ー タ ・ス タ デ ィに よ り 追究 す る . LPG 噴 霧 の 数 値 予 測 に 関 し て は , 3 章 で 述 べ た よ う に 液 相 部 を 中 心 と す る ペ ネ ト レ ー シ ョ ン の 長 さ と LIF 法 に よ る 気 相 部 の 可 視 化 結 果 か ら 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン コ ー ド KIVA-3 を利用し, 円筒形および定容燃焼器 と同じ 形状のメッシュで 計算を 行い,実 験との 比較・ 検討した.また,燃焼については,流れ場に乱流火炎伝播モデルや噴霧燃焼モデルを追加 して予測計算を行うことになるが,現象が未 解 明であるため,それらの実験デ ー タ をもと にこれらのサブモデルを改造し,実験結果との 整合性を検証した.. 76.

(2) 第 5章. 3 次元数値計算モデルによる解析. 5.1 解 析 方 法 噴 霧 の 数 値シ ミ ュ レ ー シ ョ ンに は ,内 燃 機 関の 研 究・ 開 発 に多 用 さ れ て い る KIVA-3 の 流 体 コード を 用 いた . 噴 霧の 解 析 は DDM(Discrete Droplet Method) と 呼 ば れ る 方 法 に よ り 液 滴 と周 囲 気 体の 2 相 流 の 解 析を 行 い ,運 動 量 ,分 裂 ,蒸 発 の サ ブ モ デ ルを 考 慮 し て い る .噴霧 に 関 する モ デ ルは ,Wave 分 裂 モ デ ルを 組 み込 んでおり ,乱 流 モ デ ル は k-ε モ デ ル を 用い て い る .使 用 し た各 燃 料 の物 性 値 の計 算 と初 期 条 件な ど を 決定 し ,こ れ ら を も と に 構 築 し た プ ロ グ ラ ム を 用 い て計 算 し , 定 量 的 な 評 価 を 行 った . 計 算 結 果 を 実 験 結 果 と 比 較 し て , モ デ ル の 妥 当 性 を検 証 し た う え で , 各 種 実 験 条 件 で の 予 測 計 算 を 行 っ た.計 算に は ,ワ ー ク ス テ ー シ ョ ン Dec Alpha Station 500MHz を 用 い ,計 算 結 果 の 解 析 には ,米 国 AVS(Application Visualization System) 社 が 開 発 し たソ フ ト ウ ェ ア を 利 用 し た . 図 5.1 に 実 験 か ら 得ら れ た 結果 をもとに 数値計算 の 手順 を 示 す.. CFD 解 析 手 順. デ ー タ 処 理 &計 算 結 果 出 力. プ リ /ポ ス ト 処 理 計算メッシュデータ作成. 噴霧,混合気,燃焼,. 計算条件(初期値,境界条件)設定. 排出ガス濃度等. 噴霧モデル,燃焼モデル,排出 ガス. アニメーション. モデル等のサブルーチン組み込み 計 算 結 果 取 り 込 み &出 力. 図 5.1. 噴 霧 ・ 燃 焼 の数値計算 の 手 順 ( 2 ). 77.

(3) 第 5章. 3 次元数値計算モデルによる解析. KIVA -3コ ー ドは 極座標変換法を 採用 しているため,曲面 を含 むような 複雑な 燃焼室壁 面形状 に対 し, 効率 よく メッシュ 系を 構成 す る こ と が可 能である .非 定 常 現 象の 解析 で は ,時 間を 微小 タ イ ム ス テ ッ プで 区切 り, 各セ ルに 計算 を行 い, 各特性値を 変化 さ せ て い る.格子の 位置 も時 間の 関数 と し て表 され,そ れ に ALE(Arbitrary Lagrangian-Eulerian) 法 と呼 ば れ る格 子 形 状を 形成 する ( 5 4 ). 液 滴 の 分 裂 機 構 に つ い て は Reitz ら の Wave Breakup モ デ ル を 組 み 込 ん で い る .蒸 発 を 伴 う 噴 霧 の 計 算 は 等 し い 特 性 値 を 持 っ た粒 子 の 集 合 体 で あ る 液 滴 群 を仮 定 し , そ れ ら を 離 散 的に 扱 う Discrete -Particle -Technique が 用 い ら れ る .噴 霧 粒 子の 半 径 や そ の 他 の 特 性 値 の 決 定 に は , 乱 数 を 用 い て 未 知 数 の 決 定 を 独 立 に 行 う こ と の出 来 る Monte Carlo 法 を 用 い る . 噴 霧 粒 子 が周 囲 流 体と 相 互 に与 え る 影響 は, 質 量・ 運動量 ・エ ネ ル ギ ー 保 存 則に よ っ て計 算 さ れ,粒 子 の持 つ 乱 れエ ネ ル ギ ー もその 中 に 含ま れ る .ま た , 粒 子 同 士 の衝 突 や 合体 も 考 慮す る こ と が で き る .KIVA-3 コ ー ド を 用 いて 噴 霧 蒸 発 過 程 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン計 算 を 行う た め の流 れ を 図 5.2 に 示 す .. 液 体 n-ブタン の物性値推算 と入 力 最 適の メッシュ と初期値決定 実 験データ (噴霧角度等 )の 入 力. 液 滴の 振動 ,分 裂モデル ( Wave モデル) 衝 突, 合体 ,蒸 発過 程の 計算 噴霧の形成 気 相 濃 度 お よ び 温 度 分 布 の 計算. 実 験 結 果と の対 応. プログラム の改 造による 解析 様 々な 条件 での 予測 図 5.2. 噴 霧 蒸 発 過 程の 数値計算 の流 れ. 78.

(4) 第 5章. 3 次元数値計算モデルによる解析. 5.1.1 燃 料 物 性 値の 推 算 KIVA-3 コ ー ド 内 で は液 体 状 態 の LPG の 物 性 値 が 与 え ら れ て い な い た め,推 算 式を 導 入 し て 各 種 物 性 値 を求 め た .KIVA-3 コ ー ド の 燃 料 入 力 デ ー タ に組 み 込 ん だ LPG の 組 成 は n-ブ タ ン 100% と し て 定 め ,表 5.1 に 各 物 性 値 を 示 す .ま た ,蒸 気 圧 ,粘 度 ,蒸 発 潜 熱 は 温 度 に よ る 依存性 が 高 い た め 各温度 に 対す る 値 を計 算 し て組 み 込 んだ .. 表 5.1 分子量 臨界温度 (K) 生成熱 (kcal) 液体密度 (g/cm3 ) 表面張力 (dyn/cm,350K ) 拡散係数 拡散指数 エンタルピ (kJ/g). 各燃料 の物性値 ( 3 ) n-ブタン (液体 ) 58.124 425.16 -23.55 0.501. プロパン (液体 ) 44.097 369.82 -19.69 0.668. 14.75 0.0875 1.8. 15.15 0.0987 1.8. (1)参照. ←. (2)参照 (3)参照 (4)参照. ← ← ←. 蒸発潜熱 (kJ/g) 2. 蒸気圧 (dynes/cm ) 粘度 (g /cm・ sec). ( 1) エ ン タ ル ピ 低 沸 点 液 体 燃 料 の エ ン タ ル ピ は気 体 の そ の も の と 同 じ で あ る こ と か ら 既 存 JANAFか ら 求め ら れ た気 体 状 態の 数値 を用 いる. ( 2) 蒸 発 潜 熱 ( 5 5 ) 蒸 発 潜 熱については ,リ デ ー ルの式 5.1を 利 用し て標 準 沸 点で の値 を求 めたうえ,ワッ ソ ンの 式 5.2により 各 温 度に 対す る値 を計 算した .そ の結 果を 図 5.3に 示す ..  ln Pc − 1 Lb = 1. 093RTc  Tbr 0.930 − Tbr .   .  1 − Tr 2   L2 = L1   1 − Tr1 . ( 5.1). n. R Tc. :気体定数. Tr. :臨界温度. :臨界温度. : 一 般 に 0.38. Pc Tbr. :臨界圧力. n Tr1 Tr 2. :沸点の対臨界温度. 79. ( 5.2). :沸点の対臨界温度 : あ る 温 度の 対 臨 界 温 度.

(5) 第 5章. 3 次元数値計算モデルによる解析. Latent Heat kJ/g-mol.. 40. 30 Butane 20 Propane 10. 0 0. 100. 200. 300. 400. 500. Temperature K. 図 5.3. 蒸 発 潜 熱 の 温度依存性. ( 3) 蒸 気 圧 ( 5 5 ) 蒸気圧 はアントワン の式 ③を 利用 して求 めた .ここで 各 係 数 A,B,C を 次の表 に示 す. ln Pv = A − B /(T + C). ( 5.3). A. B. C. Propane. 15. 726. 1872.46. -25.16. n -Butane. 15. 67. 2154.9. -34.42. 4.0. Propane. Vapor Pressure MPa. 3.5. LPG(70:30). 3.0. n-Butane. 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 250. 300. 図 5.4. 350 Temprarure K. 蒸気圧線図. 80. 400. 450.

(6) 第 5章. 3 次元数値計算モデルによる解析. Viscosity kg/(m ・sec). 1 E+07 1 E+05 1 E+03 1 E+01 1 E-01 1 E-03 0. 100. 200. 300. Temperature K. 81. 400. 500.

(7)

参照

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