Title
CCD生体顕微鏡を用いた絞扼による虚血再潅流時の腫瘍組
織の微小循環の観察と抗腫瘍効果の検討( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
澤田, 傑
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1362号
Issue Date
2003-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14911
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 澤 田
傑(静岡県)
博 士(医学) 乙第 1362 号 平成15 年 3 月13 日学位規則第4条第2項該当
CCD生体顕微鏡を用いた絞振による虚血再海流時の腫瘍組織の微小循環の
観察と抗腫瘍効果の検討
(主査)教授 鹿 瀬 (副査)教授 森 秀 樹 教授 佐 治 重 豊 論文内容の要旨 背景と目的 Denekampらは腫瘍血管を閉塞させると・腫瘍の縮小や成長の遅延などで長期間腫瘍をコントロールできると 報告した。そして最近,腫癌血管に着目した腫瘍の治療法が開発されてきている0この中には,degradable starchmicrosphereやcombretastatin等の一過性の塞栓物質を用い虚血再潅流を利用した治療法がある0 そこで絞振という手技により抗腫瘍効果を認めるか否かを検討することを目的として以下の実験を行った。腸 間膜に移植した腫瘍および正常組織の微小循環の変化を,Charge-COupleddevice(CCD)生体顕微鏡を用い, 絞振による虚血再潜流時の腫瘍および正常組織の微′J備環の変化を観察し,病理学的変化を含め腫瘍と正常組織 との差を検討した。 対象と方法 実験動物として6適齢雄性ドンリューラットを用いた0まず,ラット腹水肝臓癌細胞AE130を回盲部腸間膜 に移植した。 移植後10日目に開腹し腫瘍径を測定,腫瘍容積(cm3)=長径Ⅹ(短径)2Ⅹ0・5を求めた0そして径2mmのラ バーチューブを用いて腫瘍と周囲の腸管(回盲部腸管約5cm)を絞推した。絞振時間によって15分群(n=8), 30分群(n=8),60分群(n=10),90分群(n=8)とし,非絞振群をコントロール(C)群(n=8)とした0絞 振前,絞振中,再港流直後(0分),再濯流後15分,再湾流後30分,再潜流後45分,再潜流後60分後までCCD 生体顕微鏡を用いて正常組織は盲腸菜膜面を,腫瘍組織は腫瘍表面を,それぞれ任意の5ヶ所で血流を観察した0 血管血流の解析方法はVanBavelらの方法に準じ,給血管数と血流を認める血管数(血流陽性血管数)をカウ ントした。そして総血管数と血流陽性血管数の5ヶ所の総和をそれぞれ求め,血流陽性血管数を総血管数で除し・ これを血流陽性血管比とした(血流陽性血管比=5ヶ所の血流陽性血管数の総和/5ヶ所の総血管数の総和)0ま た再潜流後0∼60分の血流陽性血管比を絞振前の血流陽性血管比と比較した。すなわち血流変化率=(再潜流後 各時間の血流陽性血管比/絞振前血流陽性血管比)Ⅹ100とし,それぞれ正常組織の血流変化率(NR)・腫瘍の 血流変化率(TR)とした。そして各絞振群でNRとTRの経時的変化を比較した。そして再潜流後60分で開腹し た。 再港流施行後5日目に再開腹し,腫瘍容積の変化を容積増加率(TVR:絞振再港流施行後5日目の容積/絞 振再湾流施行前の容積)として算出した。C群と各絞振群の絞振前の容積と,TVRを比較検討したo TVRの 検討は,癌腫移植後15日以上生存した症例のみで検討した(C群;n=7,15分群:n=6,30分群;n=7,60分群; n=10,90分群;n=5)。 その後,再び閉腹し自然死するまで観察し,30日目に犠死させた。死亡時に腫瘍および盲腸を摘出し,へマトキシリン=エオジン染色し病理組織の変化を観察した。腫瘍組織の変化は腫瘍壊死面積比で評価し,絞振を施 行した盲腸粘膜の障害程度はChiuらの方法に準じ評価した。 ) 結果 CCD生体顕微鏡にて各組織の血流を観察すると,正常組織の血管形態は規則正しい格子状で血管径も均一で あり・全ての血管で血流を認めた。一方,腫瘍血管は長さ太さともに不規則で枝分かれが多く網状であり,絞振 前よりすでに血流の少ない血管を認めた0そして正常組織および腫瘍組織の血管は,ともに再潜流後,時間の経 過とともに血流を認める血管数が増加した。再連流後の正常組織の血管の形態学的変化は,血管の破壊像は認め ず・血流の鬱滞で血管内に赤血球の貯留を認める血管や,虚血による血管の虚脱で血管径が細くなっている血管 を多く認めた0その血管数は遮断時間が長いはど多い傾向にあった0一方,腫瘍血管では血管の破壊による出血 などで血流を認めなくなった。 各群のTRとNRの経時的変化を検討した結果,全絞振群でNRがTRを上回り,有意差を認めた。再海流60 分後のNRとTRを比較すると・15分群と30分群では有意差を認めなかったが,60分群と90分群では有意差を認 めた。絞振した4つのグループで再海流後60分のNRを比較すると15分対60分,15分対90分,30分対60分,30分 対90分で有意差を認めた0一方・TRを比較すると15分対60分,15分対90分,30分対60分,30分対90分,60分対9 0分で有意差を認めた。 絞振前の腫瘍容積(cm3)は各群間に有意差を認めなかったo TVRは各群をC群と比較すると,30分群では 有意(p<0・01)に増加率が高かった0一方,60分群および90分群では有意(p<0.05)に増加率が低かった。 生存率はC群に比し,60分群と90分群で有意に長期間生存した(それぞれp<0.05)。 腫瘍組織障害を反映する腫瘍壊死面積比は,絞振群はすべて有意に(p<0.01)C群より壊死面積比が大きかっ た0正常組織(盲腸粘膜)の障害度は,少なくとも全5群間で有意差は認めなかった。 考案 60分と90分の絞振で腫瘍容積が減少し,腫瘍壊死面積が増加した。生存したラットには正常組織には有意な 障害を認めず生存率が延長した0すなわち60∼90分間虚血にするために腸間膜を絞振することが正常組織よりも 腫瘍組織に・より大きな障害を与えることが推察される0虚血再海流そのものによる腫瘍細胞死に加え,少なく とも腫瘍に血流を供給する血管の内皮細胞の障害に基づく血流の途絶による腫瘍細胞死の存在が示唆された。腫 瘍細胞と腫瘍血管内皮細胞の絞振による虚血再海流の耐用能は,正常細胞や正常血管内皮細胞に比し低いことが 推察された。 結論 ラット腹水肝臓癌細胞腸間膜移植腫瘍に対する60分と90分の絞拒による虚血再海流操作は形態学的に,また生 存率からみて抗腫瘍効果を認めた。 論文辛査の結果の要旨 申請者 澤田傑は,CCD生体顕微鏡を用い絞振による虚血再海流時の腫瘍組織の微小循環の変化を測定し腫瘍 と正常組織の変化の違いを明らかにし・絞振による虚血再海流操作が抗腫瘍効果を認めることを明らかにした。 本研究は腫瘍外科分野に寄与するところが大であると認められた。 [主論文公表誌] CCD生体顕微鏡を用いた絞振による虚血再海流時の腫瘍組織の微小循環の観察と抗腫瘍効果の検討 岐阜大医紀 2003;51:120∼126