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学位論文の内容の要旨

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Academic year: 2021

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オクロコニス症に対するカサゴの年齢に依存した 感染感受性に関する免疫学的研究

(Immunological study on age-dependent susceptibility to Ochroconis infection

in marbled rockfish, Sebastiscus marmoratus )

学位論文の内容の要旨

日本獣医生命科学大学大学院獣医生命科学研究科 獣医学専攻博士課程平成28年入学

Lee Yih Nin

(指導教授:倉田 修)

(2)

オクロコニス症はOchroconis humicolaを原因とする真菌症である。本症はカサゴを含む 海産魚種で報告されているが、いずれも稚魚が重症化する。本研究では、オクロコニス症 に対する感受性および病理発生と宿主の年齢との関係について、また、年齢による免疫応 答の違いについて調べ、稚魚が重症化する要因について検討した。

異なる年齢群のカサゴ(小型群:29±2 mm、中型群:55±3 mm、大型群:74±6 mm)に対し 感染試験を行った。その結果、各群の累積死亡率は100%(小型群)、20%(中型群)および 0%(大型群)であり、O. humicolaに対する感染感受性は年齢に依存していることを示唆し た。

年齢の違いによるO. humicola誘導性炎症病変を調べるために、若年群(52±1 mm)およ び高年群(76±4 mm)の腹腔内に試験菌を接種し、各臓器における炎症病変を経時的に 観察した。両群とも脂肪組織で顕著な病変が観察され、若年群では早期に単核性白血球 が浸潤し、時間と共に増大し、後期には多くの浸潤細胞が変性壊死した。病変の進行と共 に試験菌は繁殖した。高年群では顕著な炎症病変を示さず、後期で肉芽腫性病変が一部 の試験魚に認められた。試験菌の繁殖は制限され、肉芽腫内にのみ観察された。以上より、

若年カサゴの炎症反応は‟急速で激しい”ことが明らかとなった。

カサゴの免疫能を評価するために、真菌感染防御に働く細胞性免疫に関連する遺伝子 のクローニングを行った。各遺伝子の一次構造および分子系統解析から、4種のT細胞マー カー遺伝子および2種のサイトカイン遺伝子を同定した。O. humicola腹腔内接種後の脾臓 における各種遺伝子の発現を異なる年齢群(若年群:52±1 mm、高年群:77±2 mm)で比較 したところ、CD4およびIFN-γの遺伝子発現上昇が確認され、若年群は‟速く高発現の応答”

であったのに対し、高年群は‟遅く中程度の応答”であった。

若年カサゴではヘルパーT細胞(CD4、IFNγ)の免疫応答が過敏であり、これが‟急速で 激しい”炎症反応を誘導しているのであろう。若年カサゴは原因菌に対して免疫応答を示す が、結果として菌の侵襲を防ぐことができず死に至る。つまり、若年カサゴの免疫機構は感 染防御としての働きは乏しく、組織損傷を伴う炎症を誘発する未熟な機構であり、これが重 症化する要因ではないかと考えた。

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