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除染廃棄物仮置場供用中の上部シートの経年物性変化の確認

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Academic year: 2022

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除染廃棄物仮置場供用中の上部シートの経年物性変化の確認

太陽工業(株) 正会員 ○堀田 敦 ユニチカ(株) 豊岡 真一 ジオシンセティックス技術研究会 石田 正利 (地独)大阪府立産業技術総合研究所 西村 正樹 (地独)大阪府立産業技術総合研究所 赤井 智幸

1. はじめに

東北地方太平洋地震に起因する福島第一原子力発電所の事故により発 生した除染廃棄物の仮置場は,当初,3年程度の使用期間が予定されてい たが,実際には,供用開始から既に3年以上が経過している場合も少なく ない.そこで,除染廃棄物仮置場(以下、仮置場と称す)の上部シートに 対し、その継続使用の判断基準とするためのデータ取得を目的とし,実際 に上部シートとして使用されているガス透過性防水シート(通気性防水シ ート)の湛水部および気中部から試料を採取し(写真-1),主要物性の経 年変化を評価した.

なお,経年変化の評価にあたっては,供用後の維持管理や,上部シート の継続使用の可否判断のために提案・策定した維持管理基準(案)と比較し

た(後述;表-1).ここでは,室内での促進暴露試験ならびに(地独)大阪府立産業技術総合研究所(産技研)内での 屋外暴露実験の結果と併せ,報告する.

2. 上部シートの維持管理基準の提案

上部シートに限らず,ほとんどの人工材料は,外力(応力,紫外線,温度変化,気象等)により長期的に劣化す る.しかし,仮置場の上部シートに関しては,除染等工事共通仕様書 1)に初期性能としての要求物性が記載されて いるものの,耐久性が考慮された基準は示されていない.これに対し,我々はこれまで,ガス透過性防水シートに 関する種々の実験 2), 3)を通じ,知見を蓄積しており,その成果を基に,上部シートとして使用される場合の維持管 理基準(案)を取り纏めた(表-1).この維持管理基準(案)は,例えば,仮置場上部シートとして使用中のガス透過性 防水シートの継続使用の可否を判断する上で,極めて有用であると考えられる.

3. 主要物性の経年変化

ガス透過性防水シートの力学物性〔引張強さ(母材部・接合部),貫入抵抗〕は,24ヶ月経過時においても,表-1 写真-1 試料採取状況(湛水部)

表-1 ガス透過性防水シートの上部シート供用時における維持管理基準(案)

NO. 項目 単位 維持管理基準値 設定根拠

1 (母材部)引張強さ N/5cm 450 FEMによる張力検討結果のまとめ2)より、安全率を2として設定

2 (接合部)引張強さ N/5cm 450 接合部においても、母材部同等の引張強さを確保

3 貫入抵抗 N 500 除染等工事共通仕様書における上部シート要求性能1)

4 透湿度 g/㎡・24h 360 推定ガス発生量3)より設定

5 耐水度 mmH2O 1,000 除染等工事共通仕様書における上部シート要求性能1)

6 (接合部)透水試験 mmH2O 500 自主基準;接合部においても防水性を確保

※貫入抵抗および耐水度については、必要物性(初期値)と同値とした。

キーワード 仮置場,上部シート,ガス透過性防水シート(通気性防水シート),維持管理,耐久性,経年変化 連絡先 〒982-0022 宮城県仙台市青葉区五橋2-11-1 太陽工業(株) 東北支店 TEL 022-227-1364

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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の基準値を満足する結果が得られた.母材部のヨコ方向における引張強さの経年変化を図-1に例示する.また,ガ スの透過性能については,透湿度試験により評価した.透湿度の経年変化を図-2に示す.図-2より,時間の経過と ともに透湿度は低下するが,表-1に示した基準値以上の値であることが確認された.なお,図-1および図-2にお いては,室内での促進暴露試験時のデータも示しており,促進暴露時間300 hを1年(12ヶ月)相当として換算し たが,促進暴露試験の結果および産技研での屋外暴露実験結果も,実使用された

ガス透過性防水シートと同様の経年変化(引張強さおよび透湿度の経年低下)を 示し,かつ,特に力学物性については,時間軸の換算も含め,促進暴露試験での 試験結果と概ね一致することがわかった.さらに,遮水性の評価においては,母 材部では耐水度試験を,接合部では図-3に示す透水試験機を用いて試験を行い,

24ヶ月経過時でも,表-1の基準値を満足する結果が得られた.

4. 電子顕微鏡観察

仮置場供用後 24 ヶ月の試料(気中部および湛水部)および未使用の試料(オリジナル)について,電子顕微鏡 を用い,形態観察を行った.なお,図-4に示す通り,補強布(長繊維不織布)を構成する繊維および微多孔フィル ムを観察対象とし,補強布表面(暴露面)および微多孔フィルム直上の繊維と,微多孔フィルムの表面を観察した.

電子顕微鏡写真を表-2 に示す.表-2 より,オリジナルと比較す ると,補強布表面の繊維は,表面の剥がれなど,繊維自体の劣化 が進行している様子が確認された.なお,気中部と湛水部とでは,

若干,気中部のほうが劣化の度合いが大きく,太陽光(紫外線)

から受ける影響の違いがあるものと推測される.一方,微多孔フ ィルム直上の繊維は,繊維表面の損傷等の劣化はほとんど認めら れなかった.また,本シートの主要機能(防水性,通気性)を担 保する微多孔フィルム表面についても,ひび割れ等の損傷は見ら れず,ガス透

過性と防水性 は維持できて いると推測さ れる.

5. まとめ

除染廃棄物仮置場において上部シートとして24ヶ月間使用されたガス透過性防水シートは,表-1の維持管理基 準(案)を満足していることが分かった.また,特に力学物性の経年変化は,促進暴露時間300 hを1年(12ヶ月)

相当として換算することで,促進暴露試験の結果と概ね一致した.したがって,促進暴露試験のデータは,経年劣 化を推測する目安になると考えられる.今後,ここで示した維持管理基準(案)は,上部シートの継続使用に係る可 否判断に大いに役立つと期待される.

参考文献

1) 環境省:除染等工事共通仕様書(第8版),p65,2015.

2) ジオシンセティックス技術研究会:ガス透過性防水シートの除染廃棄物仮置場上部シートへの適用に向けた取り組み, pp.61~65, 2014.

3) 公益社団法人日本材料学会:地盤改良に関わる技術評価証明報告書-ガス透過性防水シートを用いたキャッピング工法-, p11, 2012.

φ30 cm

50 cm

接合部試料 受水皿

有孔底板

透明チューブ

(水頭確認)

透水円筒

水圧付与面 熱融着部分

パッキン

27 cm

図-3 透水試験機

0 500 1000 1500 2000 2500

0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40

引張強さ(N/5cm)

暴露時間(月) 現場 気中部 現場 湛水部 促進暴露 産技研 屋外暴露実験 維持管理基準値

図-1 引張強さ(母材部-ヨコ)の経年変化

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000

0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 透湿度(g/m224h)

暴露時間(月) 現場 気中部 現場 湛水部 促進暴露 産技研 屋外実験場 維持管理基準値

図-2 透湿度の経年変化

補強布

補強布 微多孔フィルム

1.補強布表面(暴露面)

2.微多孔フィルム直上の補強布 3.微多孔フィルム表面

図-4 観察箇所

表-2 電子顕微鏡写真

気中部 湛水部

1

2

3 観察 箇所

未使用の試料

(オリジナル)

使用後24ヶ月

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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参照

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