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静 岡海岸 にお けるSand bodyの 発達 と移動 お よび沖合 での細砂移動 の予測

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Academic year: 2022

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(1)海 岸 工 学 論 文 集,第55巻(2008) 土 木 学 会,676‑680. 静 岡海岸 にお けるSand bodyの Development. 発達 と移動 お よび沖合 での細砂移動 の予測. and Movement. and Prediction. of Sand Body on Shizuoka. of Fine Sand Movement. in Offshore. Coast Zone. 福 濱 方 哉1・ 山 田 浩 次2・ 宇 多 高 明3・ 芹 沢 真 澄4・ 三 波 俊 郎5・ 石 川 仁 憲6. Masaya FUKUHAMA, Koji YAMADA, Takaaki UDA, Masumi SERIZAWA, Toshiro SAN-NAMI and Toshinori ISHIKAWA. OntheShizuoka coast,manydetached breakwaters havebeenconstructed since1970as a measureagainstbeacherosion. Aftertheirconstruction, sandmovement asa sandbodywhichis mainlycomposed of gravelandhasa movement velocity of 260m/yrwasobserved in the zoneshoreward of thesedetachedbreakwaters. Dueto the analysisof bathymetric surveydata,finesandmovement wasalsofoundinthezoneoffshoreof thedetachedbreakwaters apartfromthegravel movement nearthe shoreline. In this study,a modelfor predicting boththe movement of a sandbodyandfine sand movement inthe zoneoff the detached breakwaters is proposed.. 1.. まえ が き. 静 岡 ・清 水 海 岸 は,図‑1に. 示 す よ う に駿 河 湾 西 岸 に位. 置 し,安 倍 川 河 口か ら三 保 松 原 砂 嘴 ま で 延 長17.8kmを 有 す る海 岸 で あ り,主 に安 倍 川 か らの 流 出土 砂 に よ り形 成 さ れ て き た.こ の う ち,静 岡 海 岸 は安 倍 川 河 口か ら滝 ヶ原 川 河 口 ま で の7.8kmを. 指 し,そ. の 北 側,三. 保 松原. 砂 嘴 の外 縁 に沿 って 延 び る海 岸 が 清 水 海 岸 と呼 ば れ る. 静 岡海 岸 で は,安 倍 川 河 道 に お い て1967年 ま で 行 わ れ た 大 規 模 な 砂 利 採 取 に よ り河 川 流 出土 砂 量 が 激 減 し,こ れ に伴 って 安 倍 川 河 口 か ら三 保 松 原 砂 嘴 先 端 へ と向 か う北 向 き の沿 岸 漂 砂 と の バ ラ ンス が失 わ れ,侵 食 域 が 河 口部 か ら北 向 き に 広 が って い っ た(宇 多,1997).し. か し砂. 利 採 取 の 禁 止 と と も に1982/1983年 頃 か ら河 口 流 出 土 砂 量 が 再 び増 加 し,過 去 に 激 し く侵 食 さ れ て 護 岸 が波 に 曝 され た地 先 に お いて も再 び 土 砂 の堆 積 が み られ るよ う に 図‑1. な っ た.一 方,静 岡 ・清 水 海 岸 で は1970年 代 か ら始 ま っ. 静 岡清水 海岸 の位 置. た 激 しい侵 食 へ の対 策 と して 多 数 の離 岸 堤 が 設 置 さ れ た. が 空 間 的 に移 動 す る と い う特 徴 を 示 す こ と か ら,sand. が,離 岸 堤 群 の 設 置 区域 に あ って は土 砂 が 塊 と な って 北. bodyの 移 動 現 象 と して 捉 え る こ と が 可 能 で あ る.こ. 向 き に移 動 し,そ の移 動 速 度 が 約260m/yrで. よ うなSand bodyの. 明 らか に さ れ た(宇. 多,1997).土. あ ることが. 砂 堆 積 は 「砂 の 塊 」. 芹 沢 ら(2002)の. 等 深線変化 モデルを用 いてその発生 と. 移 動 機 構 を 明 らか に した.一 方,宇 1正 会 員 2正 会 員 3正 会 員. 工修. 国土交通省 国土 技術政策総合研究所 海 岸研究室長 国土交通省 国土技 術政策総合研究所 海 岸研究室主任研究官 工博(財)土 木研究セ ンター理事な ぎさ総合 研究室長兼 日本大 学客員教授理工学 部 海洋建築工学科. 4正 会 員. 海岸研 究室(有). 5海 6正 会 員. 岸研 究室(有) 工修(財)土. 木研究 セ ンターなぎさ総合研究 室主任研究員. の. 移 動 に つ い て,宇 多 ら(2007)は,. 多 らの示 した 海 浜 縦. 断 形 と底 質 粒 径 の 水 深 方 向 分 布 に よ れ ば,Sand bodyの 移 動 が起 きて い る離 岸 堤 群 の岸 側 は 粗 粒 の底 質 か ら な る が,こ. れ と は 別 に,沖. 合 に は 細 砂 の 流 れ が あ り,sand. bodyの 移 動 よ り も速 い 速 度 で移 動 ・拡 散 して い る可 能 性 が 示 さ れ た.本 bodyと 呼 ぶ.し. 研 究 で は 両 者 を 区 別 し,前 者 をsand か し な が ら宇 多 ら(2007)の. モ デル は. 単 一 粒 径 を 対 象 と して い るた め,こ の よ う な離 岸 堤 沖 で の 細 砂 の移 動 機 構 の解 明 は 課 題 と して残 され て い た .本.

(2) 677. 静 岡海 岸 にお け るSand bodyvの発 達 と移動 お よび沖合 で の細砂 移動 の予 測. 図‑2 (a)X=4.9km. 静 岡清 水海 岸 の水深 変化 量(1985年 基 準) (c)X=‑0.27km. (b) X=3.0km Median diameter: d50(mm). 図‑3. 海浜 縦 断形 の変化. 研 究 は,離 岸 堤 群 の岸 側 で のSand bodyyの 発 達 と移 動 と. 岸 堤 を 連 ね る線 と平 行 に伸 び て い た が,図‑2(b)で. はこ. と も に,離 岸 堤 群 沖 で の細 砂 の 流 れ を予 測 す る モ デ ル の. の 区 域 の6mの. 方向. 構 築 を行 う もの で あ る.. へ前 進 して い る.. 2.. Sand bodyyの. 1998年 まで(図‑2(c))で 一 層 激 し くな る一 方 ,大. 発 達 と移 動 の 実 態. (1) 海 底 地 形 の 平 面 変 化. bodyがX=4.5kmか. 宇 多 ら(2007)は,静. ま たX=0‑4km区. 岡 ・清 水 海 岸 にお け る1985年 基. 準 で の海 底 地 形 変 化 量 を算 出 した.こ. 等 深 線 が1985年 と比 較 して 約30m沖. こで は こ の結 果 を. は,安 倍 川 河 口 で の 侵 食 が 谷 川 河 口 を 先 端 と す るsand. らX=7.2kmま 間 の 水 深6mの. で 連 続 的 に繋 が っ た. 等 深 線 が 前 進 し,離 岸. 堤 群 沖 で の 砂 の 堆 積 が 明 瞭 に 見 ら れ る よ う に な った.. 抜 粋 し,Sand bodyyの 発 達 と移 動 の実 態 を 明 らか に す る.. 2004年 ま で(図‑2(d))で. 図‑2に は各 時 期 の地 形 変 化 量 と,比 較 年 の う ち後 者 の 時. 堤 沖 の 水 深6mの. 期 の 等深 線 形 状 も示 す.な お座 標 系 と して は海岸 線 に沿 っ. X=0.5km付. て 定 め た 展 開 座 標(宇. 域 も ま た 時 間 経 過 と と もに北 側 へ と移 動 した こ と が分 か. で(図‑2(a))で. 多 ら,1998)を. は,X=‑2kmと. で 集 中 的 な 侵 食 が 始 ま った.ま 間 の 水 深6mの て い た.1990年. 用 い る.1986年. ま. 右 端 の安 倍 川 河 口 付 近 た この 当 時X=0‑4km区. 等 深 線 は 離 岸 堤 を 連 ね る線 と 平 行 に 伸 び ま で(図‑2(b))で. は,X=‑2kmと. 安倍. 川 河 口 付 近 で の 集 中 的 な 侵 食 が 顕 著 と な り,X=‑2km 以 北(図. で は左 側)の. の. 浅 で 顕 著 で あ る.安 倍 川 河 口. で も侵 食 が 起 き て い る が,こ. 間の離 岸 の. 近 か ら さ ら に北 側 へ と移 り,沖 合 で の 堆 積. ま で(図‑2(e))で. は,Sand bodyy本. 体が安 倍. 川 河 口 か らX=3km付 近 ま で 進 ん で き た.ま たX=‑1.4 〜0 .5km区 間 で は 離 岸 堤 群 沖 の水 深6mの 等 深 線 の 前 進 が 続 き,1985年. 当 時 と比 較 して 最 大80mも. の等 深線 の. 前 進 が見 られ,離 岸 堤 群 の 沖 合 が浅 くな っ た こ とが 分 か. 全 域 で 著 しい 侵 食 が 起 きた.そ. 際 の 地 形 変 化 は 水 深4m以. る.2006年. は,X=‑1.4〜2km区. 等 深 線 の 膨 ら み 位 置 が2002年. こで の 侵 食 は 水 深3m以. 浅. る. (2) 海 浜 縦 断 形 の変 化 とd50の 水 深 方 向分 布 代 表 測 線 に 沿 う縦 断 形 変 化 とd50の 水 深 方 向 分 布 と し. の集 中 的 な侵 食 と,沖 合 を含 む 広 い区 域 で の 侵 食 と に 区. て,X=4.9kmの. 分 され る.一 方,X=4.7〜6.4kmの. で は,離 岸 堤 の岸 側 沖 側 を 連 ね る よ うに して ほ ぼ水 深7. 離 岸 堤 群 の岸 側 で は. 縦 断 形 変 化 を 図‑3(a)に 示 す.こ. の測線. m以 浅 に お い て 堆 積 が 生 じ て い る.こ. れ よ り波 に よ る. の 堆 積 域 は変 動 を 示 しつつ も北 側 へ と広 が って 行 く.ま. 地 形 変 化 の 限 界 水 深(hc)が. あ る ことが分か. た 図‑2(a)で はX=0〜4km区. る.砂 の 堆 積 域 の北 進 と と もに2006年 に は離 岸 堤 群 背 後. 連 続 し た砂 の 堆 積 域(Sand bodyy)が. 見 られ る.以. 間 の 水 深6mの. 後 こ. 等 深線 は離. ほ ぼ7mに.

(3) 678. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). (a) ‑6m等 深 線の 変化 量. (b) 汀線 変化 量. 図‑5 図‑4. 水 深6mの 等深 線 の変化 量(4年 お きの差分). 水深6mの 等深 線 と汀線 の変化 量(1983年 基 準) 域 が 北 側 へ と広 が って い る.図‑5は1983年. が 砂 で 埋 め 尽 くさ れ たX=3.0kmの. 縦 断 形 変 化 をd50の. 水 深 方 向 分 布 と と も に 図‑3(b)に 示 す.こ. こ で も水 深7m. に水 深6mの. か ら4年 お き. 等 深 線 位 置 の 変 化 量 を 算 出 し,そ れ らの 沿. 以 浅 で顕 著 な 堆 積 が 生 じた が,汀 線 付 近 は礫 を主 成 分 と. 岸 方 向 分 布 を ま と め た もの で あ るが,1983〜1986,1986 〜1990 ,1990〜1994の3時 期 に は図 中 に破 線 で示 す よ う. し,hc=7m以. に 堆 積 域 の北 側 へ の広 が りが 起 きて い る.こ の こ とか ら. 深 のd50=0.15mmと. は大 きな 違 い を示 す.. す な わ ち離 岸 堤 の岸 側 に 堆 積 した土 砂 は礫 を主 とす る粗. 各4年 間 の堆 積 域 の 移 動 を も と に移 動 速 度 を 算 出 す る と,. 粒 な底 質 で あ り,そ の 沖 の 細 砂 の堆 積 域 と は 明確 に 区 分. 1983〜1986年. され る こ とが 分 か る.. 速 度 は425m/yr,1986〜1990年. 図‑3(c)はX=‑0.27kmの. 縦 断 形 変 化 で あ る.こ. こで は. は325m/yrと. と1986〜1990年. な り,平. の 比 較 か ら堆 積 域 の広 が り と1990〜1994年. 均 移 動 速 度 は375m/yrと. 顕 著 な堆 積 が 始 ま っ て い な い た め鉛 直 上 方 に凹 な縦 断 形. この 値 はSand bodyyの 移 動 速 度260m/yrと. が 保 た れ て い る.各 時期 の 縦 断 形 を注 意 深 く調 べ る と,. 倍 で あ る.. 2006年 に は水 深5m付 のX=0.5kmに. 近 に バ ー が形 成 さ れ て い る.隣 接. お け るd50の 水 深 分 布 に よ れ ば,水. 付 近 はd50=0.2mm程. 度 の 細 砂 で あ った.こ. 深5m. れ よ り主 に. 4.. の比 較 で な った.. 比 較 す る と1.44. 粒 径 を 考 慮 した 等 深 線 変 化 モ デ ル の 適 用. 宇 多 ら(2007)で. は 離 岸 堤 よ り 岸 側 で 起 こ るsand. 礫 か ら構 成 さ れ る顕 著 な堆 積 域 の北 進 が 始 ま る前 に細 砂. bodyの 発 達 と移 動 に 関 す る予 測 モ デ ル の 構 築 に力 点 が. が 移 動 して離 岸 堤 沖 に堆 積 し た結 果,バ. 置 か れ て い る.一 方,実. ーが形成 された. と推 定 で き る. 3.. 離 岸 堤 沖 の 水 深4m付. 態 デ ー タか ら明 らか な よ う に,. 近 よ り大 き い沖 合 で はd50=0.2mm. 程 度 の 細 砂 が 堆 積 して い る.こ れ を 考 慮 す る と,離 岸 堤. 離 岸 堤 群 の岸 側 と沖 合 領 域 で の 海 浜 変 形 の 比 較. 群 の 陸 側 で の 粗 粒 土 砂 のSand bodyyと 図‑2で は,離 岸 堤 群 沖 の 水 深6mの. 等 深 線 が 細 砂 の堆. して の 移 動 過 程 と,. 離 岸 堤 沖 を 細 砂 が 移 動 す る過 程 を 同 時 に モ デ ル化 す る こ. 積 と と も に次 第 に 前 進 す る とい う特 性 が 見 出 され た.そ. とが 必 要 と な る.本 研 究 で は,熊 田 ら(2005)の. こで 水 深6mの. 考 慮 した 等 深 線 変 化 モ デ ル を用 い て この モ デ ル化 を 行 っ. 等 深 線 の 変 化 の詳 細 を 調 べ る た め に,. 1983年 に お け る水 深6mの の水 深6mの. 等 深 線 位 置 を 基 準 と して 各 年. 等 深 線 の 変 化 量 を 算 出 し,沿 岸 方 向 分 布 と. 粒径 を. た. まず,計. 算 対 象 の海 岸 線 は元 々 ほ ぼ 直 線 状 で あ る こ と. して 整 理 した の が 図‑4(a)で あ る.比 較 の た め に1983年. か ら,現 況 再 現 計 算 で はSand bodyyの 発 達 が 見 られ る以. の 汀 線 を 基 準 と し た各 年 の 汀 線 変 化 量 の分 布 も図‑4(b). 前 の1983年 測 量 の海 底 地 形 を 展 開 座 標 の 手 法 に よ り直 線. に示 す.. 平 行 等 深 線 に 置 き 換 え た.計. 汀 線 変 化 に は安 倍 川 河 口 か らSand bodyyの 進 行 と と も. X=6.0kmか. 算 区域 は静岡海岸 の. ら清 水 海 岸 のX=‑2.0kmま. で の 区 域 で あ る.. に堆 積 域 が 次 第 に北 側 に広 が る とい う変 化 が現 れ て い る. この 区 間 に は 現 在 合 計67基 の 離 岸 堤 が設 置 され て い る.. の に対 し,水 深6mの. 初 期 海 底 地 形 に つ いて は,実 測 縦 断 形 を参 考 と し,水 深. 等 深 線 の 変 化 で は,Sand bodyyの. 移. 動 よ り早 い 時 期 に静 岡 海 岸 北 部 か ら清 水 海 岸 付 近 で 堆 積. 4m以. 浅 を1/10,水. 深4m〜6mを1/30,6m以. 深 を1/70と,.

(4) 679. 静 岡海 岸 にお けるsand bodvの 発 達 と移動 お よび沖合 で の細砂 移動 の予 測. 表‑1. 計算 条件. 図‑6. Sand bodyの. 移 動 を表す 等深線. ま 流 出 す る と い う通 過 境 界 を 設 け た.hcと は 実 測 値 を も と に そ れ ぞ れ7m,3mと 長 は80m,透 離 は80mと. 過 率 はKt=0.5,開 した.設. バ ー ム高hR. した.離. 岸 堤 の堤. 口 幅 は40mで,離. 岸距. 置 基 数 は実 績 に あ わ せ て 沿 岸 方 向. に67基 と し た.再 現 期 間 は顕 著 なSand bodyの. 発達 が見. られ た1983年 か ら2006年 ま で と した.そ の ほか 漂 砂 量 係 数 な ど は表‑1に 示 す と お りで あ る. 離 岸 堤 群 が 設 置 さ れ た 海 岸 に お け るSand bodyの. 移動. の モ デ ル化 に あ っ て は,離 岸 堤 を モ デ ル に組 み 込 む 必 要 が あ る.こ の た め ま ず 開 口部 を有 す る多 数 の透 過 堤 を 並 べ た離 岸 堤 群 に対 して,酒 井 ほ か(2002)の. 方 向分散法. に よ り離 岸 堤 背 後 の 回 折 係 数,回 折 波 向 の分 布 を 求 め た. こ の結 果 を 用 い て離 岸 堤 な しの場 合 の 砕 波 波 高 に 回 折 係 数 を乗 じて 波 高 を低 減 させ た.一 方,離 岸 堤 よ り岸 側 の 砕 波 波 向 に は回 折 波 向 を用 い た.離 岸 堤 の沖 側 ・岸 側 を 連 続 領 域 と して扱 い,離 岸 堤 群 の 効 果 は背 後 の 波 浪 場 の 静 穏 化 効 果 の み で 考 慮 した. 水 深 の増 加 と と も に海 底 勾 配 が 緩 くな る鉛 直 上 方 に 凹 な 縦 断 形 と し,海 浜 形 状 は沿 岸 方 向 に一 様 と した.粒 径 構 成 と して は3粒 径 を考 え,第1は 移 動 が で き な い大 粒 径(漂. 細 粒,第2は. 砂 量 係 数=0)と. らの 代 表 粒 径 は0.2mm,2mm,100mmと. る.ま. し た.こ れ し,初 期 に お す. した.一 般 に,海. ら流 入 した沿 岸 漂 砂 は沿 岸 に 並 ぶ 多 数 の離 岸 堤 に よ って 自 由 な移 動 が 妨 げ られ る.こ の た め個 々 の 離 岸 堤 の 陸 側 で 次 第 に舌 状 砂 州 が 形 成 さ れ る.汀. 浜 変 形 は年 数 回 の 発 生 頻. が 集 中 的 に 堆 積 し,Sand bodyを. 度 とな る よ うな 高 波 浪 時 に著 し く な る の で,出 現 頻 度 が. 進 ん で い く.一 方,離. ほ ぼ5%の 波 浪(Ho'=3m,T=9s)を. が 選 択 的 に 移 動 し,Sand bodyよ. 考 え,こ. 線 付 近 か ら水 深4m. まで は海 底 勾 配 が1/10と 急 な た め,平 衡 勾 配 の 大 き な 礫. た 各 粒 径 に 対 応 す る平 衡 勾 配 は そ れ ぞ れ1/35,. 1/10,1/3と. 計算結果. 図‑6に は初 期 形 状 と23年 後 の 計 算 結 果 を 示 す.右 端 か. 粗 粒,第3は. け る各 粒 径 の 含 有 率 は μ1=0.0,μ2=0.0,μ3=1.0と. 5.. の 波 が卓. 形 成 しな が ら北 向 き に. 岸 堤 沖 で は平 衡 勾 配 の小 さ な 細 砂 り も速 い 速 度 で 下 手 方. 越 方 向 で あ るSか ら入 射 す る と し,沖 合 か ら砕 波 点 ま で. 向 へ移 動 す る こ とが 分 か る.海 浜 変 形 は こ れ らが 重 合 し. の 屈 折 を考 慮 して 初 期 汀 線 に 対 して θw=10° の 入 射 角 で. た 形 で 起 こ り,Sand bodyが. 作 用 す る と した.境 界 条 件 と して,宇. 岸 堤 沖 で の 細 砂 の 堆 積 域 が 北 向 き に広 が って い く.. 多 ら(1997)に. よ. る 自然 状 態 の 沿 岸 漂砂 量1.3×105m3/yrを 目安 に して,計 算 領 域 の右(南)端. か ら細 粒 分,粗. 粒 分 が そ れ ぞ れ7.0. ×104m3/yrの 流 入 を 仮 定 し,左 端 で は沿 岸 漂 砂 が そ の ま. 左 方 向 へ と移 動 しつ つ,離. 図‑7(a)に は,計 算 開 始 後23年 間 に お け る離 岸 堤 群 背 後 のSand bodyの. 発 達 と移 動 状 況 を ま と め て 示 す,Sand. bodyは 安 倍 川 河 口側 か ら時 間 経 過 と と もに 進 行 し,そ の.

(5) 680. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). (a) 汀 線 変 化. (a) A断 面(X=4.88km):断. 面 変化. (b) 細砂 の含有率 分布. (b) 6m等 深 線 の 変 化. (c) 礫の含有率 分布. 図‑7. 計算 開始後23年 間 の汀線 と水 深6m等 深 線 の変化. 図‑8. 縦 断形 変化 と礫 ・細 砂 の含有 率分 布(A断 (a) D断 面(X=‑0.32km):断. 面). 面変化. 移 動 速 度 は252m/yrと な る.こ れ は実 測 移 動 速 度260m/yr (宇多,1997)と 水 深6mの. 非 常 に よ く一 致 す る.ま. た図‑7(b)に は. 等 深 線 で 表 さ れ る堆 積 域 の 先 端 部 の移 動 速 度. も示 す が,こ. の 移 動 速 度 は372m/yrで. の 移 動 速 度 の1.48倍 とな っ た.こ. あ り,sand. body. れ は 図‑6で 求 め た移 動 (b) 細 砂 の含有 率 分布. 速 度 比1.44と 非 常 に よ い一 致 を 示 す. X=4.88,‑0.32kmに. 位 置 す るA,D断. 面 の縦 断形変. 化 と対 応 す る含 有 率 の 岸 沖 分 布 を 示 す.ま は,図‑8の. ず,A断. 面で (c) 礫 の含 有率 分布. よ うに離 岸 堤 を貫 い て 急 傾 斜 で礫 が 堆 積 す る. と 同 時 に,離 岸 堤 沖 に は細 砂 が緩 や か な傾 斜 を 持 って 堆 積 す る.D断. 面 で は図‑9の よ う に離 岸 堤 の 岸 側 で はsand. bodyが 到 着 して い な い こ とか ら礫 の 堆 積 は起 こ らず, 離 岸 堤 沖 に お い て細 砂 が 緩 勾 配 を な して 堆 積 す る の み で. 図‑9. 縦断 形変化 と礫 ・細 砂 の含有 率分 布(D断. 面). あ る.以 上 の 結 果 は実 測 縦 断 形 の変 化 に見 られ た特 徴 と 非 常 に よ い 一 致 を示 す.. 参 考 文 献 宇 多 高 明 ・河 野 茂 樹 (1996): 海 浜変 形 予測 の た めの等深 線 変 化 モ デ ル の 開 発, 土 木 学 会 論 文 集, 539/II‑35, pp.121 ‑139 .. 6. あ と が き 本 研 究 で は,異. な る粒 径 の 土 砂 が 河 口 か ら流 入 した場. 合 の 砂 移 動 予 測 を 行 っ た.こ の 場 合,沖 底 面 を 細 砂 が移 動 す るが,そ. 合 の 緩 勾 配 の海. れ が 沿 岸 漂 砂 と して 移 動 す. る に は,細 砂 の 堆 積 が 起 き て い る区 域 を代 表 す る沖 合 の 等 深 線,例. え ば 水 深6mの. 等 深 線 が 沿 岸 方 向 に勾 配 を持. つ こ とが 必 要 とさ れ る.こ れ を 実 測 値 で 確 認 す る た め図 ‑2を 再 度 参 照 す る と ,安 倍 川 河 口 近 傍 で は河 口 に近 接 す る ほ ど6mの. 等 深 線 が 沖 向 き に 突 出 し,沿 岸 方 向勾 配 が. 大 き くな って い る.こ の よ うな等 深 線 の 沿 岸 方 向 勾 配 が あ るか ら こそ細 砂 の 沿岸 方 向移 動 が可 能 とな る.し たが っ て こ の種 の 問 題 につ い て 考 え る場 合 に は,汀 線 の沿 岸 方 向 勾 配 に加 え て 沖 合 の等 深 線 の沿 岸 方 向 勾 配 に着 目す る こ とが 重 要 とな る.. 宇 多高 明. (1997):「. 日 本 の 海 岸 侵 食 」, 山 海 堂, p.442.. 宇 多 高 明 ・住 谷 建 夫 ・矢 澤 肇 ・大 谷 靖 郎 ・厚 坂 祐 次(1998) :展 開 座 標 を 用 い た 汀 線 変 化 モ デ ル に よ る 親 沢 鼻 砂 嘴 の 地 形 変 化 予 測, 海 岸 工 学 論 文 集, 第45巻, pp.541‑545. 宇 多 高 明 ・西 谷 誠 ・芹 沢 真 澄 ・三 波 俊 郎 ・石 川 仁 憲 (2007) 等 深 線 変 化 モ デ ル に よ るsand 地 形, Vol.28, pp.399‑414.. body移. 動 の 数 値 解 析,. 熊 田 貴 之 ・宇 多 高 明 ・芹 沢 真 澄 ・三 浦 正 寛 (2005): 蔽 域 形 成 に 伴 う3次 元 地 形 ・粒 径 変 化 の 予 測 法,. 波 の遮 海洋開. 発 論 文 集, 第21巻, pp.1029‑1034. 酒 井 和 也 ・小 林 昭 男 ・宇 多 高 明 ・芹 沢 真 澄 ・熊 田 貴 之 (2003): 波 の 遮 蔽 構 造 物 を 有 す る 海 岸 に お け る3次 元 静 的 安 定 海 浜 形 状 の 簡 易 予 測 モ デ ル, 海 岸 工 学 論 文 集, 第 50巻, pp.496‑500. 芹 沢 真 澄 ・宇 多 高 明 ・三 波 俊 郎 ・古 池 鋼 ・熊 田 貴 之 (2002) : 海 浜縦 断形 の安 定化機構 を組 み込 んだ等 深線 変化 モ デ ル, 海 岸 工 学 論 文 集,. 第49巻,. pp .496‑500..

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