地 形 変 化 予 測 と沖 へ の土 砂 損 失 防 止 策 の 検 討
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(2) 627. ebb tidal deltaの 地 形 変 化 予 測 と 沖 へ の 土 砂 損 失 防 止 策 の 検 討. 漂 砂 量 係 数 の 比,ρsと 速 度 で あ る.ま. ρ は砂 と海 水 の比 重,gは. たpは 砂 の空 隙 率,hcは. 化 の 限 界 水 深,hRは. 重力加. 表‑1. 条件 計算. 波 に よ る地 形 変. バ ー ム 高 で あ る.ε(Z)は. 沿岸 漂砂. 量 強 度 の水 深 方 向 分 布 で,本 研 究 で は 一 様 分 布 と し,hc か らhRま で の 積 分 値 が1と な る よ う式(7)で 与 え る.tanβc は平 衡 勾 配 で あ り,直 角 入 射 条 件 の下 で 岸 沖 漂 砂 が0と な る と きの 海 底 勾 配 で あ る. 式(2),(3)に 関 連 し,宇 多 ら(2007)で. は芹 沢 ら(2006). の漂 砂 量 式(原 論 文 の式(53))に お い て波 向反 転 指 数 λ= 0と した 式 を 用 い た.こ. れ は 暗 に岸 沖 ・沿 岸 漂 砂 係 数 が. 等 し い と仮 定 した こ と に 等 しい.本 研 究 で は,岸. 沖・ 沿. 岸 の 漂 砂 強 度 の違 い を考 慮 で き る よ うに,漂 砂 量 係 数Kx, Kyを 岸 沖 ・沿 岸 方 向 で 区 別 して 与 え た.式(2)は,宇 ら(2007)の 式 と 同様,等. 多. 深 線 が波 向 に直 角 に な り,か つ. 局 所 海 底 勾 配 が 平 衡 勾 配 に一 致 した と き に 漂 砂=0と る 性 質 を 持 っ.本. 研 究 で は,y軸. な. を初 期 汀 線 と平 行 方 向. に と り,ま た 岸 沖 ・沿 岸 漂 砂 量 係 数 の比 はKx/Ky=0.2と 与 え た.こ れ は,宇 多 ら(2007)の よ う にKx/Ky=1.0と. す. る と,deltaは 沖 に強 く突 出 して 裾 野 の 狭 い形 状 とな るが, この よ う に沿 岸 漂 砂 の 強 度 を相 対 的 に強 め,岸 沖 漂 砂 を 弱 め る こ とでdeltaの 沖 へ の 突 出 度 が 小 さ く,か つ 裾 野 が広 い 形 状 が 再 現 可 能 と な り,等 深 線 が 緩 や か な 曲 率 を も って 沖 に張 り出 す 状 況 が 再 現 で き る. 退 潮 流 に よ る 漂 砂qR‑(qRx,qRy)に (2007)と 同 一 で あ って,Bagnold(1963)に. (10) つ い て は宇 多 ら よる掃流 砂式. を 海 底 勾 配 に 関 し て 線 形 近 似 し たBailard and Inman. (11). (1981)が 与 え た式(8)を 用 い る.. (12). (8a) (8b) こ こ に添 字Rは 退 潮 流 の値 を 表 す.θRは x軸 の な す 角,tanφ and Inman(1981)の 砂 の 安 息 角,摩 (2007)と 同 様,本. 退潮流 の流 向 と. は 土 砂 の 安 息 勾 配 で あ る.Bailard 原 式 は式(8)の 係 数GRが 瞬 間 流 速,土. 擦 係 数 で 表 示 さ れ て い る が,宇. 多 ら. 研 究 で は 波 に よ る 漂 砂 式(2)と 同 形 と. し,係 数GRに 全 て の 効 果 を 含 め た.右. 辺 第一 項 が流 れ. こ こ に,KRは V/V0,Vは. 退 潮 流 の 流砂 量 係 数,Kvは. 退 潮 流 流 速,V0は. 退 潮 流 の流 速 比. 河 口で の 基 準 流 速,Fwは. 波. 浪 の作 用 強 度 の代 表 値 で あ り,基 準 点 にお け る砕 波 点 で の波 エ ネ ル ギ ー フ ラ ッ ク ス(ECg)boを 移 動 高 で 割 っ て 与 え た(式(10)).V1,KV1は と,河. 水 深 変 化 の な い場 合 の 退 潮 流 速. 口で の 基 準 流 速 に対 す る 比 で あ る.hc2,hR2は. 退. 潮 流 作 用 時 の 地 形 変 化 の 限 界 水 深 お よ び限 界 高 で あ る. 各 パ ラメ ー タ の説 明 は 宇 多 ら(2007)と 同 様 で あ り,退 潮. の 作 用 を,第 二 項 が 重 力 に よ る斜 面 下 方 へ の 作 用 を表 す.. 流 を 噴 流 と考 え,KV1は 不 規 則 波 の 方 向 分 散 法(酒 井 ら,. 本 研 究 で は 退 潮 流 の 作 用 を マ ク ロ に捉 え,GRを. 2003)を 応 用 して 計 算 した.本. 対 象海. モ デ ル で は,波. の作 用 と. 岸 の 波 の作 用 の 強 さ(ECg)boを 基 準 と した と き の 対 象 河. 退 潮 流 を 各 時 刻 同 時 に 作 用 させ て計 算 す るが,河. 川 の 相 対 的 な 強 度 と して 表 現 す る こ と と して(ECg)boに. 退 潮 流 の 作 用 の み考 え,海 岸 へ の土 砂 供 給 源 と して は考. 比 例 す る形 と して い る.. 慮 し な い.な. お,計. 口で は. 算 で は 単 純 化 の た め式(4)に お い て. 波 の 屈 折 に伴 う波 の エ ネ ル ギ ー 強 度 変 化 は無 視 し,COS. (9). αb=1と お く.ま た 退 潮 流 に よ る地 形 変 化 の 限 界 水 深hc2 は 波 に よ る限 界 水 深hcと. 同 じ と した.退. 潮 流 に よ る地. 形 変 化 の 限 界 高 さhR2は 静 水 面 に 取 っ た.ま 表 示 に お い て は 沿 岸 方 向 にX軸,直. た,結. 果の. 角 沖 向 き にY軸 を 再.
(3) 628. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). (a) 1978年 の 再 現 地 形. (b) 2005年 の 予 測 地 形. 図‑2. 水深8mの 等深線 の経 年変 化 と2005年 の実測 地形. (a) 水 深 変化 量(予. 図‑1. 1978年 地 形 と27年 後 のdeltaの 予 測 形 状. 度 設 定 した.さ 面,平. 測). らに,初 期 地 形 は勾 配1/70の 一 様 勾 配 斜. 衡 勾 配 は1/70と し,水. 中 で の 砂 の 安 息 勾 配 は1/2. とす る.そ の ほ か の 条 件 は表‑1に 示 す. 3. 再 現 計 算 の 結 果 Hb=3m,砕. (b)水 深 変 化 量(実 測). 波 点 の 入 射 角 αb=10degの 条 件 の も とで,. 自 然 状 態 と し て初 期 の 沿 岸 漂 砂 量20万m3/yrが 連 続 的 に 流 れ る よ う沿 岸 漂 砂 量 係 数Kyを 設 定 し,動 的平 衡 状 態 を 再 現 した.そ. の 場 合,岸. 沖 漂 砂 係 数Kxは0.2Kyで 与 え た.. 初 期 等 深 線 は全 て 平 行 で あ る.今 切 口導 流 堤 は左 岸 導 流 堤 が 右 岸 よ り長 い こ と を考 慮 し,導 流 堤 形 状 は非 対 称 形 と した.た は,噴. だ し先 端 部 が 斜 め に な っ て い る点 につ い て. 流 をSyamsidikら(2007)の. 実 測 値 と 一 致 させ る よ. う右 斜 め30°の方 向 に 設 定 す る こ とで 考 慮 した. 今 切 口 に お い て は 定 量 的 意 味 か ら使 用 に耐 え る精 度 の 高 い深 浅 測 量 は1978年 以 降 行 わ れ た.こ. れ よ り1978年 か. ら2005年 まで の地 形 変 化 の比 較 を 行 っ た.初 期 状 態 か ら 出発 して まず1978年 地 形 を求 め,次. 1978年 か ら2005年 ま で の地 形 変 化 量 の 平 面 分 布. いで1978年 か ら2005. 年 ま で27年 間 の地 形 変 化 を計 算 して 実 測 形 状 との 比 較 を 行 った.こ. 図‑3. の 間,導 流 堤 間 で洗 掘 が 進 み 退 潮 流 強 度 が 次. そ の分 西 向 き に流 れ る べ き沿 岸 漂 砂 が トラ ップ さ れ た こ と に な る.図‑2は. 水 深8mの 等 深 線 の 経 年 変 化 と2005年. 第 に増 加 した と考 え られ る こ とか ら,退 潮 流 強 度 係 数 は. の 実 測 海 底 地 形 を 示 す が,ebb. 27年 間 でKv=0.1か. も に発 達 して い く状 況 が か な りう ま く再 現 で き て い る.. ら0.3ま で 直 線 的 に 増 加 させ た.図‑1. tidaldeltaが時 間 経 過 と と. (a)は 初 期 の 平 行 等 深 線 地 形 か ら 出 発 して 計 算 さ れ た. 宇 多 ら(2007)で は単 に動 的平 衡 状 態 に あ るebb tidal delta. 1978年 地 形 で あ る.退 潮 流 に よ って 左 側 か ら運 ば れ て き. の 地 形 を示 した の み で あ っ たが,本 研 究 に あ って はdelta. た沿 岸 漂 砂 が トラ ップ され 沖 合 へ流 出 して 堆 積 し,当 初. の 発 達 過 程 を 含 め て 再 現 が 可 能 に な った.. の平 行 等 深 線 がinlet沖を 中 心 に 突 出 した形 状 を持 っ に至. 図‑3(a)に は1978年 か ら2005年 ま で の 地 形 変 化 量 の 平. る.退 潮 流 に よ り トラ ッ プ さ れ た 沿 岸 漂 砂 が 流 出 し,hc. 面 分 布 を示 す.delta外 縁 に沿 って 細 長 く帯 状 の 集 中 的 堆. よ り沖 に急 斜 面 をっ く りな が ら落 ち込 ん で い く.図‑1(a). 積 区 域 が 形 成 され て い る.一 方,そ. の状 態 か ら27年 後 のdeltaの 予 測 結 果 が 図‑1(b)で あ る.. 先 端 を 中心 と して 幅 広 い 区域 で 侵 食 が 起 きて い る.こ の. ebb tidal deltaの規 模 が 増 大 し,沖 へ の突 出 度 が 高 ま っ た.. 分 布 は,図‑3(b)に 示 す 実 測 値 に基 づ く1978年 か ら2005年. の岸 側 で は導 流 堤 の.
(4) 629. ebb tidal deltaの 地 形 変 化 予 測 と沖 へ の 土 砂 損 失 防 止 策 の 検 討. 図‑4. (a) ケ ー ス1放. 置. (b) ケ ー ス2退. 潮 流 強 度1/2. 検査 区域 内 の土 砂量 変化. (c) ケ ー ス3サ. ン ドバ イ パ ス(採. 取 水 深0〜2m). (d)ケ. ン ドレ イ ズ 工 法(採. 27years (1978‑2005) 図‑5. 水深10m以 深 へ の落 ち込 み土砂量 の比 較 ー ス4サ. 取 水 深6〜7m). ま で の 地 形 変 化 量 の平 面 分 布 と か な り よ い対 応 を 示 す. 次 に1978年 以 降 の 深 浅 デ ー タ を も と に,ebb. tidaldelta. を構 成 す る全 土 砂 量 と,hcよ り十 分 深 く波 の 作 用 で 再 び 汀 線 へ と戻 る こ とが で きな い と考 え られ る水 深10mよ. り. 深 い部 分 に落 ち込 ん だ 土 砂 量 の変 化 を 求 め る た め に,図 ‑3(b)に 破 線 で 示 す 検 査 区域 を 求 め ,こ の 区 域 で の 土 砂 量 変 化 を調 べ た の が 図‑4で あ る.全 土 砂 量 は7.7万m3/yr の 割 合 で 増 加 して お り,う. ち3.6万m3/yrが 水 深10m以. に 落 ち 込 み,汀 線 へ 戻 れ な くな って い る.図‑5は,水. 深. 図‑6. ケ ー ス1〜 ケ ー ス4の 地 形 変 化 量 分 布 の 比 較. 深. 10m以 深 へ の 落 ち込 み 土 砂 量 に つ い て 計 算 と実 測 の 比 較. 側 の水 深0〜2mに. を行 っ た も の で あ るが,両 者 は 定 量 的 に十 分 な 精 度 で一. る.サ. 致 して い る.. 万m3/yrと す る.ケ 深6〜7mの. 4. 対 策 案 の 効 果 検 討 delta沖 へ の 土 砂 損 失 を 防 止 可 能 と考 え られ る い くつ. 初 期 地 形 と の比 較 に よ り対 策 案 の 効 果 検 討 を 行 っ た.初 期 地 形 に は現 況 再 現 結 果 を与 え,10年. 後 レベ ル で の相 互. ー ス4は 導 流 堤 沖 の250m×250m,水. 矩 形 領 域 で浚 渫 を行 い,導 流 堤 の す ぐ下 手 側. の水 深0〜2mに. か の 案 につ い て,対 策 実 施 後 の 地 形 変 化 を そ れ ぞ れ求 め,. 養 浜 す る と い うサ ン ドバ イ パ ス案 で あ. ン ドバ イパ ス量 は現 実 的 に可 能 な 量 を考 慮 して10. 投 入 す るサ ン ドレイ ズ工 法 で あ り,そ の. 量 は ケ ー ス3と 同 一 で あ る. 図‑6(a)に は ケ ー ス1(放 置)に お け る現 況(2005年)か の水 深 変 化 量 の平 面 分 布 を 示 す.沖. ら. 合 へ の土 砂 の 落 ち込. み が 継 続 し,結 果deltaの 前 置 層 の発 達 が 続 く.す な わ ち. 比 較 を 行 っ た.対 策 案 は放 置 も含 め て4ケ ー ス考 え た.. 上 手 側 か ら の沿 岸 漂 砂 の損 失 が今 後 も継 続 的 に 起 こ る こ. ケ ー ス1は 放 置,ケ. とが 分 か る.退 潮 流 強 度 を1/2に 弱 め た ケ ー ス2で は,図 ‑6(b)に 示 す よ う に ,退 潮 流 が 弱 ま っ た結 果 導 流 堤 の す. ー ス2は 浜 名 湖 内 で の導 流 堤 の形 状 変. 更 な ど に よ り退 潮 流 が弱 め られ た場 合 に相 当 し,退 潮 流 強 度 係 数Kvを0.3か 上 手 側 の 水 深0〜2mか. ら0.15に半 減 させ た もの.ケ ー ス3は,. ぐ沖 の 広 い区 域 が堆 積 傾 向 に変 わ り,同 時 に さ ら に そ の. ら砂 を 採 取 し,導 流 堤 の す ぐ下 手. 沖 合 で は侵 食 傾 向 と な った.侵 食 域 はdeltaの沖 合 部 の 中.
(5) 630. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008) 土 砂 損 失 が 最 も大 き い放 置 案 と比 較 した と き,最. も効. 果 的 な の は ケ ー ス2の 退 潮 流 強 度 を1/2に した 場 合 で あ る. 次 に効 果 が あ るの は沖 合 で 浚 渫 し,そ の 土 砂 を下 手 側 に 投 入 す る案 で あ る.実 際 に は今 切 口 の形 状 を 同 一 に保 っ た ま ま 退 潮 流 強 度 を 低 減 さ せ る こ と は 浜 名 湖 のtidal prismと 潮 位 偏 差 が 一 定 の も とで は か な り難 しい.こ に 対 して,沖. れ. 合 浚 渫 案 は既 に静 岡 県 で試 験 的 に実 施 さ れ. た 案 で あ る.こ れ につ い て は過 去 に は そ の 工 学 的 評 価 が な され な い ま ま行 わ れ た が,今 回 の計 算 は そ の効 果 を理 論 的 に確 認 した こ と に な る.図‑8に. は現 況 再 現 計 算 結 果. との 差 と して 求 め た各 ケ ー ス の 汀 線 変 化 の 比 較 を示 す. ケ ー ス1の 放 置 案 を基 準 と す る と,退 潮 流 強 度 を 変 え た 図‑7. 水深10m以 深 へ の土砂損 失量 の比 較結 果. ケ ー ス2で は 汀 線 変 化 か ら見 る と大 き な違 い は な い.導 流 堤 の 上 手 側 か ら下 手 側 へ の サ ン ドバ イ パ スで は下 手 側 で の 汀 線 前 進 と上 手 側 で の 後 退 が セ ッ トで 起 こ る.こ れ に 対 し下 手 側 の 侵 食 軽 減 に最 も役 立 っ の は 沖 合 掘 削 の下 手 側 投 入 の ケ ー ス4で あ る こ とが 分 か る. 5. ま と め 今 切 口 に お い て 深 浅 デ ー タの 定 量 的 比 較 が 可 能 な1978 〜2005年 の地 形 変 化 に着 目 し,退 潮 流 に よ るdeltaの発 達 過 程,土. 砂 堆 積 量 とそ の 分 布 な ど を調 べ た 上 で,BGモ. デ ル を発 展 さ せ,実. 測 地 形 変 化 を定 量 的 に 予 測 可 能 な3. 次 元 モ デ ル を 開 発 し た.こ れ らに 加 え て退 潮 流 に よ る沖 へ の 土 砂 落 ち込 み を 防 止 す る策 に つ い て も検 討 し,対 策 図‑8. と して 沖 合 浚 渫 が 有 効 な こ とを 示 した.. 各 ケ ースの汀 線変 化 の比較. 心 か ら下 手 側 へ と延 び,逆. に堆 積 域 は 導 流 堤 沖 を 中心 と. して 上 手 側 に 伸 び る と い う入 れ 違 い形 状 を 示 す.し. かし. な が ら,導 流 堤 の上 手 下 手 側 の 地 形 に は 大 き な差 異 が 見 られ な い. 導 流 堤 上 手 側 の 汀 線 近 傍 で 砂 を採 取 し,導 流 堤 の下 手 側 に投 入 した ケ ー ス3の 予 測 結 果 を 図‑6(c)に 示 す.ケ ス1,3の. ー. 地 形 変 化 量 を比 較 す る と,沖 合 に突 出 したdelta. の 形 状 お よ びdelta外縁 線 に沿 った 堆 積 状 況 は ほ ぼ同 様 で あ って,沖 合 へ の 土 砂 損 失 の 防 止 の意 味 か ら ほ とん ど効 果 が な い.一 方,汀 線 形 状 を 見 れ ば明 らか な よ う に,導 流堤 下 手 側 で は 土 砂 量 が増 加 して い る こ とか ら汀 線 後 退 防止 の 意 味 で は そ れ な りの効 果 を 有 して い る. 導 流 堤 沖 の250m×250m,水. 深6〜7mの. 矩 形領域 で浚. 渫 を 行 い,導 流 堤 の す ぐ下 手 側 の水 深0〜2mに. 投入す る. サ ン ド レイ ズ を 行 った ケ ー ス4の 結 果 を図‑6(d)に 示 す. この 場 合,delta外 縁 線 に沿 った帯 状 の 堆 積 域 で の 堆 積 土 砂 量 は減 少 し,そ の 分 土 砂 投 入 を 行 っ た導 流 堤 の 下 手 側 の汀 線 付 近 が 堆 積 傾 向 に変 わ る.こ の こ とか ら沿 岸 漂 砂 の沖 へ の 損 失 を抑 制 し,下 手 海 岸 の 侵 食 防止 を 図 る上 で 沖 合 で の 掘 削 と導 流 堤 下 手 で の 投 入 は効 果 的 で あ る. 図‑7は 水 深10m以 深 へ の土 砂 損 失 量 の 比 較 結 果 で あ る.. 参. 考. 文. 献. 宇 多高 明(2004): 「 海 岸侵食 の実態 と解決 策」, 山海堂, p.304. 宇多 高明 ・芹沢真澄 ・三波俊 郎 ・古池 鋼 ・石川仁 憲(2007): 波 と河 口流 の作用 下 での大 規模 河 口沖 テ ラスの形 成予 測 モデ ル, 海岸 工学 論文 集, 第54巻, pp.406‑410. 合 田 良實(1990): 「 港 湾 構造 物 の耐 破 設 計」, 鹿 島 出版 会, p.333. 酒井 和也 ・小林昭男 ・宇多高 明 ・芹沢 真澄 ・熊 田貴之(2003): 波 の 遮蔽 構 造物 を有 す る海 岸 に お け る3次元 静 的安 定 海 浜 形 状 の簡 易 予 測 モデ ル, 海岸 工 学 論 文 集, 第50巻, pp.496‑500. 芹 沢 真 澄 ・宇 多 高 明 ・三 波 俊 郎 ・古 池 鋼(2006): Bagnold 概念 に基 づ く海浜 変形 モデ ル, 土 木学 会論 文集B, Vol.62, No.4, pp.330‑347. Syamsidik・青 木伸一 ・加 藤 茂(2007): 河 口沖合 で の潮流 と 浮遊 砂 フラ ック スの特 性 に関す る研 究, 海 岸工 学論 文集, 第54巻, pp.601‑605.. Bagnold,R. A.(1963): Mechanics of Marine Sedimentation,in The Sea, M. N. Hill(editor), Vol.3, pp.507-528, New York, Wiley. Bailard, J. A. and D.L. Inman(1981): An energeticsbedload model for a plane sloping beach:Local transport,J. of Geophys.Res., Vol.86, C3, pp.2035-2043. Inman, D. L. and Bagnold,R. A.(1963): Littoral Processes,in The Sea,M.N. Hill,(editor), Vol.3,pp.529-533,New York, Wiley. Komar, P. D.(1998): Beach Processes and Sedimentation- 2nd Edition, M. N. Hill(editor), Vol.3, pp.544, New Jersey, Prentice Hall..
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