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本報告書は 文部科学省のエネルギー対策特別会計委託事業による委託業務として 公益財団法人原子力安全研究協会が実施した平成 24 年度 緊急被ばく医療研修 の成果をとりまとめたものです

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全文

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平成 24 年度

緊急被ばく医療研修

成果報告書

平成 25 年 3 月

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本報告書は、文部科学省のエネルギー対策特別会計委託事業による委託 業務として、公益財団法人原子力安全研究協会が実施した平成24 年度「緊 急被ばく医療研修」の成果をとりまとめたものです。

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まえがき

原子力施設等の防災対策については、平成11 年 9 月に発生した(株)ジェー・シー・オー (JCO)ウラン加工施設の臨界事故における災害対応の教訓を踏まえ、平成 11 年 12 月に 原子力災害対策特別措置法が制定され、国、地方公共団体、事業者等において、原子力災 害の特殊性に応じた緊急時対応体制の強化が図られている。 地域の緊急被ばく医療活動については、地方公共団体及び医師、看護師、診療放射線技 師、搬送関係者等(以下「緊急被ばく医療関係者」という。)を中心に、原子力安全委員会 が策定した「緊急被ばく医療のあり方について」(平成 20 年 10 月一部改訂)に基づき、 実施されてきている。地方公共団体における緊急被ばく医療体制の実効性向上を図るため には、緊急被ばく医療に関する知識と技能を備え、訓練された緊急被ばく医療関係者の養 成が不可欠となっており、研修を通して緊急被ばく医療に関する知識や技能を習得する機 会を提供することが重要である。 今年度は、地域の緊急被ばく医療活動の実効性を確保するために、緊急被ばく医療関係 者に対して、「緊急被ばく医療のあり方について」に基づき、緊急被ばく医療初級講座、緊 急被ばく医療基礎講座Ⅰ、緊急被ばく医療基礎講座Ⅱ、緊急被ばく医療基礎講座Ⅲ、緊急 被ばく医療専門講座Ⅰ、緊急被ばく医療専門講座Ⅱを実施した。 また、緊急被ばく医療研修専門委員会、講師連絡会を設置し、研修講座で使用するテキ スト及びカリキュラムの評価・見直し、Web サイトを活用した研修の実施、教授方法の平 準化を行い、研修効果の充実を図った。 平成25 年 3 月 公益財団法人 原子力安全研究協会

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目 次

第1 章 はじめに ··· 1 第2 章 研修の実施 ··· 2 2.1 緊急被ばく医療初級講座〔初級講座〕 ··· 3 2.2 緊急被ばく医療基礎講座Ⅰ(除染コース、搬送コース)〔基礎講座Ⅰ〕 ··· 29 2.3 緊急被ばく医療基礎講座Ⅱ(救護所活動コース)〔基礎講座Ⅱ〕 ··· 49 2.4 緊急被ばく医療基礎講座Ⅲ(ホールボディカウンタコース)〔基礎講座Ⅲ〕 ··· 67 2.5 緊急被ばく医療専門講座Ⅰ(救護関係者コース)〔専門講座Ⅰ〕 ··· 75 2.6 緊急被ばく医療専門講座Ⅱ(医療関係者コース)〔専門講座Ⅱ〕 ··· 90 2.7 まとめ ··· 101 第3 章 研修効果の充実を図るための活動 ··· 105 3.1 各講座のテキスト及びカリキュラムの評価・見直し ··· 105 3.2 Web サイトを活用した研修の実施 ··· 106 3.3 Web サイトのアクセス数およびアンケート結果 ··· 110 3.4 教授方法の平準化 ··· 115 3.5 まとめ ··· 117 第4 章 まとめ ··· 118 4.1 今後の課題 ··· 118 4.2 研修講座の成果 ··· 121 参考資料 参考資料1:平成 24 年度「緊急被ばく医療初級講座」アンケート結果 ··· 125 参考資料2:平成 24 年度「緊急被ばく医療基礎講座Ⅰ」アンケート結果 ··· 157 参考資料3:平成 24 年度「緊急被ばく医療基礎講座Ⅱ」アンケート結果 ··· 179 参考資料4:平成 24 年度「緊急被ばく医療基礎講座Ⅲ」アンケート結果 ··· 213 参考資料5:平成 24 年度「緊急被ばく医療専門講座Ⅰ」アンケート結果 ··· 219 参考資料6:平成 24 年度「緊急被ばく医療専門講座Ⅱ」アンケート結果 ··· 233 参考資料7:平成 24 年度「緊急被ばく医療研修」講師一覧 ··· 253 平成24 年度緊急被ばく医療研修委員名簿

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第 1 章 はじめに

地域の緊急被ばく医療活動の実効性を確保することを目的として、公益財団法人原子力 安全研究協会では、平成 24 年度「緊急被ばく医療研修」を文部科学省より受託し、地方 公共団体職員、医療関係者(医師、看護師、診療放射線技師など)、搬送関係者(消防、海 上保安庁、自衛隊、警察など)に対して、「緊急被ばく医療のあり方について」(平成 20 年10 月一部改訂)及び東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の 事故を受けた同委員会における「緊急被ばく医療のあり方」改訂等の状況を踏まえ、初心者 を対象とした「緊急被ばく医療初級講座」(以下「初級講座」という。)を 21 回、実務に 携わる者を対象とした「緊急被ばく医療基礎講座Ⅰ(除染コース、搬送コース)」(以下「基 礎講座Ⅰ」という。)を 16 回、「緊急被ばく医療基礎講座Ⅱ(救護所活動コース)」(以下 「基礎講座Ⅱ」という。)を16 回および「緊急被ばく医療基礎講座Ⅲ(ホールボディカウ ンタコース)」(以下「基礎講座Ⅲ」という。)を10 回、専門的な知識の習熟を図るための 「緊急被ばく医療専門講座Ⅰ(救護関係者コース)」(以下「専門講座Ⅰ」という。)を 4 回及び「緊急被ばく医療専門講座Ⅱ(医療関係者コース)」(以下「専門講座Ⅱ」という。) を4 回実施した。 初級講座及び基礎講座については、関係道府県に実施時期、実施施設についてのアンケ ートを行うとともに、事前打合せを適宜実施し、地域の要望や地域特有の情報を可能な限 り講座へ反映させた。さらに、次の段階への動機付けとして、全ての研修講座において、 修了した者には修了証を交付した。 緊急被ばく医療は発生頻度の低い事象ではあるが、平成 23 年 3 月に発生した東日本大 震災に起因する福島第一原発事故への対応では、その重要性がこれまで以上に強く認識さ れた。万一の場合には万全の対応が求められることから、限られた時間で知識・技術を効 率的に習得できるよう、各講座のテキスト及びカリキュラムの評価・見直し、Web サイト を活用した研修を実施するとともに、教授方法の平準化により研修効果の充実を図った。

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第 2 章 研修の実施

地域の緊急被ばく医療関係者を対象に、初級講座を 21 回、基礎講座Ⅰ、基礎講座Ⅱを 各16 回、基礎講座Ⅲを 10 回、専門講座Ⅰ、専門講座Ⅱを各 4 回、合計 71 回開催し、延 べ2,600 名の参加を得た。 今年度の研修は、全ての研修が地域において実施する総合防災訓練に資する内容とする ことを前提に、リスク対応の観点から各講座の内容を体系的に整理し、それぞれの講座で 獲得すべき目標を明確にした。具体的には、下図に示すとおり、初級講座では、緊急被ば く医療に関する知識の獲得(講義)と地域の問題点の抽出(机上演習)を目標とした。基 礎講座では、技術の習得として、実習を通した活動能力の獲得を目標とした。また、専門 講座では、緊急被ばく医療に関して、必要以上に高度専門的な内容とするのではなく、地 域の緊急被ばく医療関係者としての必要な方針決定能力(判断能力)の養成を目標とした。 研修の体系 総合 演習 機能演習 ドリル 机上演習 セミナー

初級講座

基礎講座

専門講座

地域が実施する

総合防災訓練等

活動能力

方針決定

能力

知識獲得

地域の

問題点抽出

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2.1 緊急被ばく医療初級講座〔初級講座〕 初級講座は、地域で行う研修(現地型)として当初、原子力施設立地の 16 道府県にお いて実施予定であった。 ところが、平成24 年 9 月 19 日に原子力規制委員会が発足し、10 月 31 日に原子力災害 対策指針(以下「指針」という。)が施行された。 その中で「原子力施設等の防災対策について」(原子力安全委員会、昭和55 年 6 月、平 成22 年 8 月最終改正)で示されていた「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)」 に代わり、「原子力災害対策重点区域」として、①予防的防護措置を準備する区域(PAZ: 原子力施設から概ね半径 5km)、②緊急時防護措置を準備する区域(UPZ:原子力施設か ら概ね半径30km)が定められた。 それに伴い、富山県(志賀原子力発電所)、岐阜県(敦賀発電所、ふげん、もんじゅ、美 浜発電所)、滋賀県(敦賀発電所、ふげん、もんじゅ、美浜発電所、大飯発電所、高浜発電 所)、山口県(伊方発電所)、福岡県(玄海原子力発電所)の5 県が新たに緊急時防護措置 を準備する区域の対象となり、新たに緊急被ばく医療初級講座を開催することとなった。 なお、原子力施設立地 16 道府県と新たに追加された 5 県については、地域の実情に合 わせ、一部内容を変えて実施した。

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(1)開催実績 地域 開催日 時間 開催場所 参加人数 (募集定員 60 名) コース 1 宮城県 7 月 7 日 (土) 10:30~17:00 石巻赤十字病院 127 名 A 2 静岡県 7 月 14 日 (土) 10:30~17:00 磐田市立総合病院 73 名 A 3 青森県 7 月 28 日 (土) 10:00~16:30 むつ総合病院 65 名 A 4 北海道 8 月 4 日 (土) 10:00~16:30 札幌医科大学 47 名 A 5 福島県 8 月 4 日 (土) 10:00~16:30 郡山市医療介護病院 68 名 A 6 佐賀県 8 月 11 日 (土) 10:30~16:30 佐賀大学医学部 59 名 B 7 福井県 8 月 18 日 (土) 10:00~16:30 福井大学医学部附属病院 73 名 A 8 愛媛県 8 月 19 日 (日) 10:00~16:30 市立八幡浜総合病院 75 名 A 9 新潟県 8 月 25 日 (土) 10:00~16:30 アトリウム長岡 60 名 A 10 石川県 10 月 27 日 (土) 10:00~16:30 公立能登総合病院 39 名 A 11 大阪府 10 月 27 日 (土) 10:00~16:30 大阪医療センター 30 名 A 12 島根県 10 月 28 日 (日) 10:00~16:30 島根県立中央病院 44 名 A 13 岡山県 11 月 11 日 (日) 10:00~16:30 津山中央病院 34 名 A 14 神奈川県 11 月 17 日 (土) 10:00~16:30 横須賀市立市民病院 47 名 A 15 鹿児島県 12 月 2 日 (日) 10:00~16:30 鹿児島県医師会館 50 名 A 16 茨城県 12 月 22 日 (土) 10:00~16:30 水戸医療センター 40 名 A 17 福岡県 2 月 23 日 (土) 10:00~16:30 九州大学医学部 51 名 D 18 岐阜県 2 月 24 日 (日) 10:00~16:30 岐阜大学医学部 66 名 D 19 富山県 3 月 3 日 (日) 10:00~16:30 富山市民プラザ 57 名 D 20 滋賀県 3 月 9 日 (土) 10:00~16:30 長浜赤十字病院 62 名 D 21 山口県 3 月 23 日 (土) 13:00~16:30 山口大学医学部 40 名 D 合 計 1,207 名 (2)実施結果 アンケート等からの初級講座の実施結果(21 道府県共通部分)は以下の通りである。 なお、アンケートおよび受講効果判定結果の詳細については、参考資料 1 に示す。 ① 受講者数およびアンケート回答数 平成 24 年度の初級講座の受講者数は 1,207 名であった。平均は 57.5 名/回で募集 人数(60 名/回)に対し、95.8%であった。また、アンケートの回答数は 1,163 名で あった。なお、受講者数については、会場および受講効果を考慮し、地域によっては 募集人数を超過した参加申込み分について受入られないケースも生じた。 また、過去3 年間の比較では、今年度は昨年度よりも受講者が減っているが、上述

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の通り今年度は、受講効果を考慮し、受講者の制限(原則、募集人員×1.2 まで)を 行ったことがあげられる。 (募集人員 60 名/回) 平成24 年度 (新規5 県) 平成24 年度 (16 道府県) 平成24 年度 (21 道府県) 受講者数 276 名 931 名 1,207 名 平均受講者数 55.2 名/回 58.2 名/回 57.5 名/回 定員充足率 92.0% 97.0% 95.8% アンケート 回答数 262 名 901 名 1,163 名 アンケート 回答率 94.9% 96.8% 96.4% 受講効果判定票 回答数 266 名 930 名 1,196 名 受講効果判定票 回答率 96.4% 99.9% 99.1% (募集人員60 名/回) 平成24 年度 平成23 年度 平成22 年度 受講者数 1,207 名/21 回 1,374 名/19 回 839 名/17 回 平均受講者数 57.5 名/回 76.3 名/回 49.4 名/回 定員充足率 95.8% 120.5% 82.3% アンケート回答数 1,163 名 1,316 名 807 名 アンケート回答率 96.4% 95.8% 96.2% 受講効果判定票回答数 1,196 名 1,306 名 825 名 受講効果判定票回答率 99.1% 95.1% 98.3% ② 受講者の所属・職種について 受講者の所属は、病院関係者:501 名(43.3%)、消防関係者:262 名(22.7%)で 両者合わせて、66.0%であった。職種は、医師:96 名(8.3%)、看護師(保健師): 242 名(20.9%)、診療放射線技師:259 名(22.4%)であった。以下に過去の結果と 併せて示す。

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病院関係者 消防関係者 医師 看護師 (保健師) 診療 放射線技師 平成24 年度 新規5 県 (276 名/5 回) 111 名 (42.4%) 62 名 (23.7%) 25 名 (9.5%) 42 名 (16.0%) 93 名 (35.5%) 平成24 年度 16 道府県 (931 名/16 回) 390 名 (43.6%) 200 名 (22.4%) 71 名 (7.9%) 200 名 (22.3%) 166 名 (18.5%) 平成24 年度 21 道府県 (1,207 名/21 回) 501 名 (43.3%) 262 名 (22.7%) 96 名 (8.3%) 242 名 (20.9%) 259 名 (22.4%) 病院関係者 消防関係者 医師 看護師 (保健師) 診療 放射線技師 平成24 年度 (1,207 名/21 回) 501 名 (43.3%) 262 名 (22.7%) 96 名 (8.3%) 242 名 (20.9%) 259 名 (22.4%) 平成23 年度 (1,374 名/19 回) 519 名 (39.8%) 349 名 (26.8%) 154 名 (11.8%) 326 名 (25.0%) 201 名 (15.4%) 平成22 年度 (839 名/17 回) 298 名 (37.0%) 269 名 (33.4%) 42 名 (5.3%) 171 名 (21.5%) 133 名 (16.7%) 平成21 年度 (823 名/17 回) 336 名 (41.7%) 261 名 (32.2%) 59 名 (7.3%) 163 名 (20.1%) 122 名 (15.0%) ③ 受講理由について 「初級講座へ参加した理由」は、「自ら進んで参加した。」が 672 名(58.0%)、「業 務命令で参加した。」が 456 名(39.4%)であった。地域別にその差を確認すると、 佐賀県、石川県が平均よりも業務命令で参加の割合が高く、神奈川県が自ら参加の割 合が高い傾向にあった。 自ら進んで参加した 業務命令で参加した その他 平成24 年度 新規5 県 (276 名/5 回) 173 名(66.0%) 85 名(32.5%) 4 名(1.5%) 平成24 年度 16 道府県 (931 名/16 回) 499 名(55.7%) 371 名(41.4%) 26 名(2.9%) 平成24 年度 21 道府県 (1,207 名/21 回) 672 名(58.0%) 456 名(39.4%) 30 名(2.6%)

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2.1.1 原子力施設立地 16 道府県における開催 開催にあたっては、地域の緊急被ばく医療関係者と協議・検討の上、開催日、開催場所 およびカリキュラムを決定した。初級講座のカリキュラムは下記のカリキュラムを基本と し、全ての地域で「講義 1 放射線の基礎知識-緊急被ばく医療関係者の放射線防護-」、 「机上演習 ○○地域の仕組みを理解する-ケース対応-」を実施した(下記カリキュラ ム下線部)。机上演習の(4 つの)ケース設定および選択講義については、各実施地域の実 情に合わせ選択した。 なお、今年度は15 地域が A コースで開催、残り1地域は B コースで開催し、C コース での開催は実施されなかった。 緊急被ばく医療初級講座カリキュラム(原子力施設立地16 道府県) 【A コース】(標準コース) 10:00~10:20 オリエンテーション 10:20~11:20 講義 1 放射線の基礎知識-緊急被ばく医療関係者の放射線防護- 11:20~11:30 休憩 11:30~12:10 講義 2 12:10~13:10 休憩 13:10~13:50 講義 3 13:50~14:00 休憩 14:00~16:00 机上演習 ○○地域の仕組みを理解する-4 つのケース対応- 16:00~16:20 質疑応答および意見交換 16:20~16:30 閉会 【B コース】(半日コース) 13:30~13:50 オリエンテーション 13:50~14:50 講義 1 放射線の基礎知識-緊急被ばく医療関係者の放射線防護- 14:50~15:00 休憩 15:00~15:40 講義 2 15:40~17:30 机上演習 ○○地域の仕組みを理解する-4 つのケース対応- 17:30~17:50 質疑応答および意見交換 17:50~18:00 閉会

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【C コース】(夜コース) 17:00~17:20 オリエンテーション 17:20~18:20 講義 1 放射線の基礎知識-緊急被ばく医療関係者の放射線防護- 18:20~20:00 机上演習 ○○地域の仕組みを理解する-4 つのケース対応- 20:00~20:20 質疑応答および意見交換 20:20~20:30 閉会 ・講義の演題の候補 ① 放射線事故の歴史 ② 緊急被ばく医療の汚染対応 ③ 心のケア(メンタルヘルス) ④ 放射線の基礎知識(放射線の性質、単位、人体影響) ⑤ 我が国の緊急被ばく医療体制 ⑥ 急性放射線症候群の診断と治療 ⑦ ビデオ上映 ・緊急被ばく医療と放射線安全管理 -医療関係者の不安解消のために- ・緊急被ばく医療 -医療機関における実際の対応- ・被ばく・汚染傷病者のプレ・ホスピタルケア ※下線部は、全地域で実施 (1)実施内容 全地域で実施した「講義 1 放射線の基礎知識-緊急被ばく医療関係者の放射線防護 -」の講義内容および「机上演習 ○○地域の仕組みを理解する-4 つのケース対応-」 のケース設定は以下の通りである。なお、講義前のオリエンテーションにおいて、「緊急 被ばく医療のあり方について」の概念と「緊急被ばく医療研修の体系」の説明を行った。 講義1 放射線の基礎知識-緊急被ばく医療関係者の放射線防護- 放射線被害が発生した場合の対応者としてのリスクへの対応に関する説明を行った後、 以下の項目について焚き火とペンキの例えを用いて説明を行った。 ・放射線に関する用語 ・放射線の単位

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・被ばくリスク軽減 ・放射線の生体影響 また、緊急被ばく医療関係者(医療関係者、搬送関係者)が活動を行う際に、どのよ うな時に自分への影響(二次被害)が想定されるのかのポイントと机上演習の4 つのケ ースについて説明するとともに、自分への影響の回避のための方策について説明を行っ た。 机上演習 ○○地域の仕組みを理解する-4 つのケース対応- 原子力施設において以下の 4 つのケースの救急要請がなされた際に、どの医療機関へ どのような方法で搬送がなされるのか、その際に必要となる情報、医療機関等での対応 等を異業種の参加者からなる班構成にて議論を行った。なお、以下に示す4 つのケース を標準形として、地域の特徴(施設の種類、受講者の職種)等を考慮し、地域の実情に あった内容で実施した。 各班からの発表後の講師の説明は、各地域の救急医療体制、緊急被ばく医療体制、マ ニュアル等に基づき行った。 机上演習-4 つのケース対応-

○○原子力発電所で、

① 従業員のAさんが突然の胸痛を訴えた ② 従業員のAさんが大量の放射線に被ばくした (放射性物質による汚染なし) ③ 作業員のAさんが原子炉点検作業中に墜落した (放射性物質による汚染の有無不明) ④ パターン1:作業員のAさんが環境モニタリング中に倒れた パターン2:複数の作業員が受傷した

事業所から救急要請が行われた。

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講義 机上演習グループ討議 机上演習グループ討議 机上演習発表 (2)実施結果 アンケート等からの初級講座の実施結果は以下の通りである。 初級講座では、受講後のアンケートの他、受講前と受講後に同じ問題による受講効果 判定を行った。以下にアンケートおよび受講効果判定の実施結果の概要を示す。なお、 アンケートおよび受講効果判定結果の詳細については、参考資料1 に示す。 なお、アンケート結果における記述式回答(抜粋)部分については、アンケート回答 のまま(参加者の記載内容)となっている。 ① 初級講座の評価について(16 地域共通部分) 初級講座の評価について、16 地域で実施した講義 1 、机上演習および初級講座全 般に関する結果を示す。なお、16 地域の回答の他、職種別(医師、看護師(保健師)、 診療放射線技師、消防職員、事務職員)のデータの抽出を行った。

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講義1「放射線の基礎知識」 講師の教え方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 576 299 7 1 18 901 65.2% 33.9% 0.8% 0.1% 医師 45 23 1 1 1 71 64.3% 32.9% 1.4% 1.4% 看護師(保健師) 122 75 0 0 3 200 61.9% 38.1% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 110 51 1 0 4 166 67.9% 31.5% 0.6% 0.0% 消防職員 160 63 3 0 4 230 70.8% 27.9% 1.3% 0.0% 事務職員 59 42 1 0 1 103 57.8% 41.2% 1.0% 0.0% 講義1「放射線の基礎知識」 あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 296 548 37 1 19 901 33.6% 62.1% 4.2% 0.1% 医師 32 37 1 0 1 71 45.7% 52.9% 1.4% 0.0% 看護師(保健師) 40 144 13 0 3 200 20.3% 73.1% 6.6% 0.0% 診療放射線技師 79 80 3 0 4 166 48.8% 49.4% 1.8% 0.0% 消防職員 83 132 10 0 5 230 36.9% 58.7% 4.4% 0.0% 事務職員 20 76 6 0 1 103 19.6% 74.5% 5.9% 0.0% 講義1「放射線の基礎知識」スライド・資料 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 465 402 15 0 19 901 52.7% 45.6% 1.7% 0.0% 医師 38 31 1 0 1 71 54.3% 44.3% 1.4% 0.0% 看護師(保健師) 108 88 1 0 3 200 54.8% 44.7% 0.5% 0.0% 診療放射線技師 89 68 5 0 4 166 54.9% 42.0% 3.1% 0.0% 消防職員 127 95 2 0 6 230 56.7% 42.4% 0.9% 0.0% 事務職員 35 64 3 0 1 103 34.3% 62.8% 2.9% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・とてもわかりやすく理解が深まった。(医師、20 歳代) ・もう少し専門的でも良いと思います。(医師、60 歳以上)

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・放射線の被ばくと汚染と言う意味が理解できたと思う。汚染は感染対策と同じよう に考えていけば実践のイメージがつきやすいと思った。(看護師(保健師)、50 歳代) ・説明がわかりやすく、何がポイントなのか頭に残りやすい。資料も後から読んでも 説明を思い出しやすい内容で助かる。(看護師(保健師)、50 歳代) ・緊急被ばくと一般の急患の区別の必要性や、なぜ緊急被ばくの学習が必要であるか という被ばくについての理解が得られとても勉強になりました。(看護師(保健師)、 40 歳代) ・医療の観点から放射線の基礎知識が学べて良かった。(診療放射線技師、20 歳代) ・事前にホームページで確認できたので理解が進んだ。(薬剤師、50 歳代) ・講義終了直後に質疑応答時間が有ってもよいのでは?(消防職員、20 歳代) ・具体的事例を交えながらの話が参考になりました。(事務職員、30 歳代) 「机上演習」 講師の進め方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 534 313 20 2 32 901 61.5% 36.0% 2.3% 0.2% 医師 45 18 2 1 5 71 68.2% 27.3% 3.0% 1.5% 看護師(保健師) 105 87 2 0 6 200 54.1% 44.9% 1.0% 0.0% 診療放射線技師 106 55 1 0 4 166 65.4% 34.0% 0.6% 0.0% 消防職員 158 62 5 0 5 230 70.2% 27.6% 2.2 0.0% 事務職員 50 41 5 1 6 103 51.5% 42.3% 5.2% 1.0% 「机上演習」 あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 311 498 58 2 32 901 35.8% 57.3% 6.7% 0.2% 医師 29 35 2 1 4 71 43.3% 52.2% 3.0% 1.5% 看護師(保健師) 56 129 9 0 6 200 28.9% 66.5% 4.6% 0.0% 診療放射線技師 62 88 12 0 4 166 38.3 54.3 7.4 0.0% 消防職員 94 120 9 0 7 230 42.2% 53.8% 4.0% 0.0% 事務職員 25 55 16 1 6 103 25.8% 56.7% 16.5% 1.0%

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「机上演習」 あなたの満足度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 420 387 58 3 33 901 48.4% 44.6% 6.7% 0.3% 医師 37 26 3 1 4 71 55.2% 38.8% 4.5% 1.5% 看護師(保健師) 86 99 9 0 6 200 44.3% 51.0% 4.7% 0.0% 診療放射線技師 78 73 11 0 4 166 48.1% 45.1% 6.8% 0.0% 消防職員 127 79 15 1 8 230 57.2% 35.6% 6.8% 0.4% 事務職員 30 54 12 1 6 103 30.9% 55.7% 12.4% 1.0% 「机上演習」 班の構成・人数 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 451 390 23 2 35 901 52.1% 45.0% 2.7% 0.2% 医師 37 30 0 0 4 71 55.2% 44.8% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 83 105 5 1 6 200 42.8% 54.1% 2.6% 0.5% 診療放射線技師 84 74 2 0 6 166 52.5% 46.3% 1.2% 0.0% 消防職員 141 74 7 0 8 230 63.5% 33.3% 3.2% 0.0% 事務職員 39 53 4 1 6 103 40.2% 54.7% 4.1% 1.0% 【意見・要望(受講者)】 ・医療者の班、搬送の班、事業所の班、事務職の班というグループ分けで討論するパ ターンもありだと思います。(医師、40 歳代) ・初めての参加だったので、もう少し、討論の時間がほしかった。(医師、20 歳代) ・さまざまな職種の方の意見や実際の動きを聞くことができ勉強になった。(看護師 (保健師)、30 歳代) ・班の人数はもう少し少ない方が良いと思う(4~6 人くらい)。人数が多すぎると話 がまとまりにくい。(看護師(保健師)、40 歳代) ・色々な職種の人がいると、多分野の情報とリアリティがあり勉強になった。(看護師 (保健師)、40 歳代) ・他職種間で話し合いをすることにより、わからないことを教え合えるところがとて も勉強になった。実際にどうすればよいか考えることはとても難しいと感じた。(診

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療放射線技師、20 歳代) ・他職種の方とコミュニケーションをとることができたのでよかった。(診療放射線技 師、30 歳代) ・災害+被ばくとなると関係機関が増え、調整が必要であったり、受け入れ病院の選 定にも苦慮しそうだと感じました。(消防職員、30 歳代) ・消防、海保、病院、行政などあらゆるところでの意見を聞くことができ、大変勉強 になりました。(消防職員、20 歳代) ・班内に救急に携わる方が多く、専門用語が飛び交いついていけなかった。(事務職 員、30 歳代) 初級講座に参加して有益であったか とても 有益 有益 あまり 有益で なかった 全く 有益で なかった 無回答 合計 全回答 443 430 7 2 19 901 50.2% 48.8% 0.8% 0.2% 医師 33 35 1 1 1 71 47.2% 50.0% 1.4% 1.4% 看護師(保健師) 96 101 1 0 2 200 48.5% 51.0% 0.5% 0.0% 診療放射線技師 79 82 1 0 4 166 48.8% 50.6% 0.6% 0.0% 消防職員 120 104 1 0 5 230 53.3% 46.2% 0.5% 0.0% 事務職員 48 50 1 1 3 103 48.0% 50.0% 1.0% 1.0% 基礎講座や専門講座に参加したいか 是非 参加したい 参加 したい どちらとも 言えない 参加 したくない 無回答 合計 全回答 292 466 123 1 19 901 33.1% 52.8% 14% 0.1% 医師 25 34 10 0 2 71 36.2% 49.3% 14.5% 0.0% 看護師(保健師) 61 102 35 0 2 200 30.8% 51.5% 17.7% 0.0% 診療放射線技師 47 101 12 0 6 166 29.4% 63.1% 7.5% 0.0% 消防職員 87 113 27 0 3 230 38.3% 49.8% 11.9% 0.0% 事務職員 31 51 18 1 2 103 30.7% 50.5% 17.8% 1.0% 【全体を通しての意見・要望(受講者)】 ・放射性物質、被ばくなど、言葉は知っていてもきちんと理解していなかったので、

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今回参加させていただきよかったです。災害から時間が経ち、住民の方の関心もや や薄れているような感じはしますが、職員として正しい正確な知識をもつことはと ても重要だと感じました。ありがとうございました。(看護師(保健師)、20 歳代) ・いずれも、講義はわかりやすく資料も丁寧でしたが、自分の理解が完璧とは言える ものではなく、続けて学習をしていくことが大切だと思いました。職場で復命もす るつもりですが、できれば同僚が同じように研修を受けるのがベストだと思いまし た。(看護師(保健師)、40 歳代) ・午前中からグループに区分されていたのですが、グループワークになるまでほとん ど会話ができなかったので、午前中にもグループワークが入るともっと意見交換し やすかったと思いました。(看護師(保健師)、30 歳代) ・内容の割に時間が足りないような気がしたが、充実した時間を過ごすことができま した。病院だけの問題ではないが、現に福島で事故が起きてとても大きな被害を見て いるので、自分の役割を理解し、知識を得て体制作りをしなければいけないと実感 しました。(看護師(保健師)、30 歳代) ・大変有意義な講座でした。他職種の仕事内容の理解も必要であると感じました。(診 療放射線技師) ・関係する多くの機関の方々の話が聞けたことは、とても有益であった。(海上保安官、 30 歳代) ・地域の二次被ばく医療機関の施設見学をしたかったです。(消防職員、40 歳代) ・少しでも多くの関係者が持続的に受講できるような仕組みを整える必要があると思 います。(事務職員、40 歳代) ・質疑が非常に有益であった。自分の関心事以外についても非常に勉強になった。(事 務職員、40 歳代) また、受講者に対して、今後取り上げて欲しいテーマを聞いたところ、以下の内容が 挙げられた。 ・原子力災害 ・福島第一原子力発電所事故の状況、現在の状況 ・福島第一原子力発電所の事故対応を行った人の体験談 ・安定ヨウ素剤の服用指示、服用方法、調製方法等

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・地域の緊急被ばく医療マニュアルの紹介、解説 ・心のケアや住民への具体的な説明の方法 ② 初級講座の評価について(選択制講義部分) 初級講座の評価について、地域により選択制で実施した主な講義について結果を示 す。なお、上記①と同様に、全地域の回答の他、職種別(医師、看護師(保健師)、診 療放射線技師、消防職員、事務職員)のデータの抽出を行った。 1)選択制講義「放射線事故の歴史」 選択制講義として、16 道府県中 14 地域で実施した。 選択制講義「放射線事故の歴史」講師の教え方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 401 339 24 1 14 779 52.5% 44.3% 3.1% 0.1% 医師 32 21 2 1 1 57 57.1% 37.5% 3.6% 1.8% 看護師(保健師) 84 81 4 0 2 171 49.7% 47.9% 2.4% 0.0% 診療放射線技師 80 59 4 0 4 147 55.9% 41.3% 2.8% 0.0% 消防職員 118 71 7 0 3 199 60.2% 36.2% 3.6% 0.0% 事務職員 35 50 4 0 1 90 39.3% 56.2% 4.5% 0.0% 選択制講義「放射線事故の歴史」あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 220 486 57 1 15 779 28.8% 63.6% 7.5% 0.1% 医師 23 31 2 0 1 57 41.1% 55.3% 3.6% 0.0% 看護師(保健師) 31 121 17 0 2 171 18.3% 71.6% 10.1% 0.0% 診療放射線技師 54 80 9 0 4 147 37.8% 55.9% 6.3% 0.0% 消防職員 63 114 17 1 4 199 32.3% 58.5% 8.7% 0.5% 事務職員 15 69 5 0 1 90 16.9% 77.5% 5.6% 0.0%

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選択制講義「放射線事故の歴史」スライド・資料 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 375 361 27 0 16 779 49.2% 47.3% 3.5% 0.0% 医師 30 24 2 0 1 57 53.6% 42.9% 3.5% 0.0% 看護師(保健師) 82 86 1 0 2 171 48.5% 50.9% 0.6% 0.0% 診療放射線技師 78 61 4 0 4 147 54.5% 42.7% 2.8% 0.0% 消防職員 109 76 9 0 5 199 56.2% 39.2% 4.6% 0.0% 事務職員 29 56 4 0 1 90 32.6% 62.9% 4.5% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・難しい「歴史」というテーマを、とてもわかりやすく楽しく教えてもらえた。個人 的に興味があった分野なので、また自主的に勉強したいと思う。(看護師(保健師)、 20 歳代) ・原子炉施設や再処理施設以外での放射線事故については、初めて知ったものが多か った。(診療放射線技師、20 歳代) ・過去の放射線事故を振り返り、またその件数の多さを再確認できた。(消防職員、 30 歳代) ・事故は原発だけで起こっているわけではない、という事を知ることができました。 (事務職員、30 歳代) ・被ばくして死亡した人について、経過や病状などをもっと知りたいと思った。(事務 職員、20 歳代) 2)選択制講義「緊急被ばく医療における汚染対応」 選択制講義として、16 道府県中 16 地域で実施した。

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選択制講義「緊急被ばく医療における汚染対応」講師の教え方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 461 384 35 4 17 901 52.1% 43.4% 4.0% 0.5% 医師 39 29 1 0 2 71 56.5% 42.0% 1.5% 0.0% 看護師(保健師) 98 90 10 0 2 200 49.5% 45.5% 5.0% 0.0% 診療放射線技師 94 62 7 0 3 166 57.7% 38.0% 4.3% 0.0% 消防職員 132 81 12 2 3 230 58.1% 35.7% 5.3% 0.9% 事務職員 43 55 2 0 3 103 43.0% 55.0% 2.0% 0.0% 選択制講義「緊急被ばく医療における汚染対応」あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 263 572 45 2 19 901 29.8% 64.9% 5.1% 0.2% 医師 29 38 2 0 2 71 42.0% 55.1% 2.9% 0.0% 看護師(保健師) 46 139 14 0 1 200 23.1% 69.9% 7.0% 0.0% 診療放射線技師 64 89 9 0 4 166 39.5% 54.9% 5.6% 0.0% 消防職員 70 145 9 1 5 230 31.1% 64.5 4.0% 0.4% 事務職員 20 74 6 0 3 103 20.0% 74.0% 6.0% 0.0% 選択制講義「緊急被ばく医療における汚染対応」スライド・資料 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 410 444 27 1 19 901 46.5% 50.3% 3.1% 0.1% 医師 36 31 2 0 2 71 52.2% 44.9% 2.9% 0.0% 看護師(保健師) 96 97 6 0 1 200 48.2% 48.8% 3.0% 0.0% 診療放射線技師 84 76 3 0 3 166 51.5% 46.6% 1.9% 0.0% 消防職員 118 99 7 1 5 230 52.5% 44.0% 3.1% 0.4% 事務職員 25 70 5 0 3 103 25.0% 70.0% 5.0% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・医療者の立場から、どのように患者に関わっていくかがよく理解できた。実際に現 場で自分がスムーズに動けるように日頃から意識してトレーニングする必要がある

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と感じた。(看護師(保健師)、30 歳代) ・除染を優先するものと思っていたが、人命優先と安全管理が重要なことが理解でき た。(消防職員、40 歳代) ・命最優先。二次被ばく、汚染での影響はほとんどない、ということがよくわかった。 (消防職員、20 歳代) 2.1.2 新規 5 県における開催 開催にあたっては、地域の緊急被ばく医療関係者と協議・検討の上、開催日、開催場所 およびカリキュラムを決定した。初級講座のカリキュラムは下記のカリキュラムを基本と し、全ての地域で「講義 1 緊急被ばく医療の考え方」、「講義 2 放射線の基礎知識-被 ばく医療関係者の放射線防護-」、「講義 3 初期被ばく医療活動」、「机上演習 ○○県の 被ばく医療を考える/ケーススタディー」を実施した。ただし、山口県での開催は、時間 を短縮し、机上演習は「被ばく医療対応を考える/ケーススタディー」として実施した。 緊急被ばく医療初級講座カリキュラム(新規5 県) 【D コース】 10:00~10:10 オリエンテーション 10:10~10:50 講義 1 緊急被ばく医療の考え方 10:50~11:00 休憩 11:00~12:00 講義 2 放射線の基礎知識-被ばく医療関係者の放射線防護- 12:00~13:00 休憩 13:00~14:00 講義 3 初期被ばく医療活動 14:00~14:10 休憩 14:10~16:00 机上演習 ○○県の被ばく医療を考える/ケーススタディー 16:00~16:25 質疑応答および意見交換 16:25~16:30 閉会 (1)実施内容 実施した講義、机上演習の内容についての詳細は以下の通りである。 講義 1 緊急被ばく医療の考え方

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日本における原子力防災対策、被ばく医療体制について、過去から現在に至るまでの 経緯をTMI 事故、JCO 臨界事故、福島第一原発事故を踏まえて段階的に説明し、原子 力災害対策指針から新規5 県の体制整備の必要性等についても解説を行った。また、そ の上で地域の被ばく医療体制の構築・維持の重要性を説明した。 ・過去から現在に至るまでの原子力防災対策、被ばく医療体制構築の経緯 (旧原子力防災指針と原子力災害対策指針の解説) ・被ばく医療の特殊性 ・原子力災害対策重点区域の範囲拡充 ・被ばく医療関係者のネットワーク構築 講義2 放射線の基礎知識-被ばく医療関係者の放射線防護- 緊急被ばく医療関係者医療関係者、搬送関係者が活動を行う上で、基本となる放射線 の知識と、放射線被害が発生した場合の対応者としてのリスクへの対応に関する説明を 行った後、以下の項目について焚き火とペンキの例えを用いて説明を行った。 ・放射線の用語 ・放射線の単位 ・被ばくリスク軽減 ・放射線の生体影響 講義3 初期被ばく医療活動 原子力災害時の緊急被ばく医療体制についてその全体像を確認するとともに、初期被 ばく医療活動について、①原子力施設における対応、②避難所/救護所における対応、 ③医療機関における対応の3 種類に分け、個々の内容について説明した。その中で、搬 送機関として、医療機関としての対応を解説した。 机上演習 ○○県の被ばく医療を考える/ケーススタディー 被ばく医療活動が想定される主なケース 4 つについて講師から解説を行うとともに、 その中でケース①~③についてグループワーク形式で検討、発表を行った。検討事項は、 搬送機関として/医療機関として、どのような点に注意して活動を行うか等、予め講師 から示した上で、受講者同士で検討した。

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机上演習-4 つのケース (2)実施結果 アンケート等からの初級講座の実施結果は以下の通り。 初級講座では、受講後のアンケートの他に、受講前と受講後に同じ問題による受講効 果判定を行った。以下にアンケート及び受講効果判定結果から実施結果の概要を示す。 アンケート及び受講効果判定結果については、参考資料1 に示す。 ① 初級講座の評価について(新規5 県) 初級講座の評価について、講義1~3、机上演習および初級講座全般に関する結果を 示す。なお全地域の回答の他、職種別(医師、看護師(保健師)、診療放射線技師、消 防職員、事務職員)のデータの抽出を行った。 講義 1「緊急被ばく医療の考え方」 講師の教え方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 129 113 11 0 9 262 51.0% 44.7% 4.3% 0.0% 医師 12 9 1 0 3 25 54.6% 40.9% 4.5% 0.0% 看護師(保健師) 25 13 4 0 0 42 59.5% 31.0% 9.5% 0.0% 診療放射線技師 48 42 0 0 3 93 53.3% 46.7% 0.0% 0.0% 消防職員 30 28 2 0 2 62 50.0% 46.7% 3.3% 0.0% 事務職員 6 8 2 0 0 16 37.5% 50.0% 12.5% 0.0%

被ばく医療活動が想定されるケース

① 近隣の原子力発電所で原子力災害が発生し、住民の避難等が実施される場合 ② 近隣の原子力発電所で多数傷病者が発生し、立地県内の医療対応能力を超え、傷病 者の受入要請があった場合 ③ 県下の放射性同位元素(RI)取扱施設もしくは放射性物質輸送中の事故 ④ 県下でテロ等、悪意のある放射線(能)の使用

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講義 1「緊急被ばく医療の考え方」 あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 67 163 22 1 9 262 26.5% 64.4% 8.7% 0.4% 医師 7 15 0 0 3 25 31.8% 68.2% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 10 26 6 0 0 42 23.8% 61.9% 14.3% 0.0% 診療放射線技師 37 52 1 0 3 93 41.1% 57.8% 1.1% 0.0% 消防職員 12 39 9 0 2 62 20.0% 65.0% 15.0% 0.0% 事務職員 3 10 3 0 0 16 18.75% 62.5% 18.75% 0.0% 講義 1「緊急被ばく医療の考え方」スライド・資料 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 113 131 8 0 10 262 44.8% 52.0% 3.2% 0.0% 医師 13 9 0 0 3 25 59.1% 40.9% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 23 17 1 0 1 42 56.1% 41.5% 2.4% 0.0% 診療放射線技師 48 41 1 0 3 93 53.3% 45.6% 1.1% 0.0% 消防職員 24 33 3 0 2 62 56.7% 42.4% 0.9% 0.0% 事務職員 4 12 0 0 0 16 25.0% 75.0% 0.0% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・わかりやすい例を出してもらって、理解しやすかった。(警察、30 歳代) ・もっと長い時間設定でもよい。(看護師、30 歳代) ・話し方もわかりやすかったのですが、内容の割に時間が短く、かけ足に進んでいっ たのが残念だった。(診療放射線技師、20 歳代) ・今まで知らなかった知識を得てよかったです。(看護師50 歳代) ・行政の面は大変詳しく参考になりました。(医師、40 歳代)

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講義2「放射線の基礎知識」講師の教え方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 169 83 1 0 9 262 66.8% 32.8% 0.4% 0.0% 医師 12 10 0 0 3 25 54.5% 45.5% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 27 15 0 0 0 42 64.3% 35.7% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 56 31 3 0 3 93 62.2% 34.5% 3.3% 0.0% 消防職員 43 17 0 0 2 62 71.7% 28.3% 0.0% 0.0% 事務職員 7 9 0 0 0 16 43.75% 56.25% 0.0% 0.0% 講義2「放射線の基礎知識」あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 113 132 8 0 9 262 44.7% 52.2% 3.2% 0.0% 医師 10 11 1 0 3 25 45.5% 50.0% 4.5% 0.0% 看護師(保健師) 15 25 2 0 0 42 35.7% 59.5% 4.8% 0.0% 診療放射線技師 51 36 2 1 3 93 56.7% 40.0% 2.2% 1.1% 消防職員 21 36 3 0 2 62 35.0% 60.0% 5.0% 0.0% 事務職員 3 11 2 0 0 16 18.75% 68.75% 12.5% 0.0% 講義2「放射線の基礎知識」スライド・資料 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 156 93 3 0 10 262 61.9% 36.9% 1.2% 0.0% 医師 12 9 1 0 3 25 54.5% 40.9% 4.5% 0.0% 看護師(保健師) 25 16 0 0 1 42 61.0% 39.0% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 51 36 3 0 3 93 56.7% 40.0% 3.3% 0.0% 消防職員 39 21 0 0 2 62 65.0% 35.0% 0.0% 0.0% 事務職員 6 10 0 0 0 16 37.5% 62.5% 0.0% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・二次被ばく防止の点はうまくまとめられていて、わかりやすかった。(診療放射線 技師40 歳代)

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・初級講座らしく、素人である私にとって非常にわかりやすい内容だった。また、資 料も上部にスライド、下部に説明があり、わかりやすかった。(事務(市町村)、30 歳代) ・完全理解には復習がいる。(消防、30 歳代) ・例えがわかりやすく、理解しやすかった。わかりやすいので、聞いていて面白かっ た。(消防、20 歳代) ・基本的内容+具体的内容が説明されていて、理解が深まりました。(薬剤師、50 歳 代) ・とてもわかりやすかった。医療関係者でなくても、理解が進むと思う。(診療放射 線技師、20 歳代) 講義3「初期被ばく医療活動」講師の教え方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 172 80 0 0 10 262 68.3% 31.7% 0.0% 0.0% 医師 17 5 0 0 3 25 77.3% 22.7% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 30 11 0 0 1 42 73.2% 26.8% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 61 29 0 0 3 93 67.8% 32.2% 0.0% 0.0% 消防職員 39 21 0 0 2 62 65.0% 35.0% 0.0% 0.0% 事務職員 7 9 0 0 0 16 43.75% 56.25% 0.0% 0.0% 講義3「初期被ばく医療活動」あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 111 137 5 0 9 262 43.9% 54.2% 2.0% 0.0% 医師 11 11 0 0 3 25 50.0% 50.0% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 20 21 1 0 0 42 47.6% 50.0% 2.4% 0.0% 診療放射線技師 47 43 0 0 3 93 52.2% 47.8% 0.0% 0.0% 消防職員 21 36 3 0 2 62 35.0% 60.0 5.0% 0.0% 事務職員 4 11 1 0 0 16 25.0% 68.75% 6.25% 0.0%

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講義3「初期被ばく医療活動」スライド・資料 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 147 103 1 0 11 262 58.6% 41.0% 0.4% 0.0% 医師 15 7 0 0 3 25 68.2% 31.8% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 27 13 0 0 2 42 67.5% 32.5% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 51 39 0 0 3 93 56.7% 43.3% 0.0% 0.0% 消防職員 31 29 0 0 2 62 51.7% 48.3% 0.0% 0.0% 事務職員 7 9 0 0 0 16 43.75% 56.25% 0.0% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・医療の知識が全くない私にもわかりやすい講義でよくわかった。(警察、30 歳代) ・他職種の対応がわかった。(診療放射線技師、40 歳代) ・大変わかりやすい説明で理解しやすかったです。(消防、40 歳代) ・スライドGood!!コメント付きで大変よい。(消防、30 歳代) 「机上演習」 講師の進め方 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 177 74 0 0 11 262 70.5% 29.5% 0.0% 0.0% 医師 17 5 0 0 3 25 77.3% 22.7% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 31 10 0 0 1 42 75.6% 24.4% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 63 27 0 0 3 93 70.0% 30.0% 0.0% 0.0% 消防職員 43 16 0 0 3 62 72.9% 27.1% 0.0% 0.0% 事務職員 8 8 0 0 0 16 50.0% 50.0% 0.0% 0.0%

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「机上演習」 あなたの理解度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 115 132 4 0 11 262 45.8% 52.6% 1.6% 0.0% 医師 10 12 0 0 3 25 45.5% 54.5% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 20 19 2 0 1 42 48.8% 46.3% 4.9% 0.0% 診療放射線技師 47 43 0 0 3 93 52.2% 47.7% 0.0% 0.0% 消防職員 26 32 1 0 3 62 42.2% 53.8% 4.0% 0.0% 事務職員 5 11 0 0 0 16 31.25% 68.75% 0.0% 0.0% 「机上演習」 あなたの満足度 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 144 103 3 0 12 262 57.6% 41.2% 1.2% 0.0% 医師 14 8 0 0 3 25 63.6% 36.4% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 22 17 1 0 2 42 55.0% 42.5% 2.5% 0.0% 診療放射線技師 53 36 1 0 3 93 58.9% 40.0% 1.1% 0.0% 消防職員 39 19 1 0 3 62 66.1% 32.2% 1.7% 0.0% 事務職員 5 11 0 0 0 16 31.25% 68.75% 0.0% 0.0% 「机上演習」 班の構成・人数 大変良い 良い 不満 とても 不満 無回答 合計 全回答 165 80 4 0 13 262 66.3% 32.1% 1.6% 0.0% 医師 17 5 0 0 3 25 77.3% 22.7% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 28 11 1 0 2 42 70.0% 27.5% 2.5% 0.0% 診療放射線技師 57 32 1 0 3 93 63.3% 35.6% 1.1% 0.0% 消防職員 43 15 1 0 3 62 63.5% 33.3% 3.2% 0.0% 事務職員 5 9 1 0 1 16 33.3% 60.0% 6.7% 0.0% 【意見・要望(受講者)】 ・放射線災害に対して興味がわいた。(診療放射線技師、40 歳代) ・実際に起きた時を想定して、考えることができ、色々な問題点を知ることができた。

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(診療放射線技師、20 歳代) ・様々な職種の方々とディスカッションできたことは大変有意義でした。(消防、40 歳代) ・グループワークの時間をもう少し長くした方が意見交換が十分できたのでは?と思 います。(看護師、50 歳代) ・やはり自分達で考えるというのはよいことであり、グループワークはよいものだと 思いました。(医師、40 歳代) ・他職種、他の病院の方ともコミュニケーションがとれ、意志の疎通の重要性を実感 した。(診療放射線技師、20 歳代) 初級講座に参加して有益であったか とても 有益 有益 あまり 有益で なかった 全く 有益で なかった 無回答 合計 全回答 130 122 0 0 10 262 51.6% 48.4% 0.0% 0.0% 医師 15 7 0 0 3 25 68.2% 31.8% 0.0% 0.0% 看護師(保健師) 24 18 0 0 0 42 57.1% 42.9% 0.0% 0.0% 診療放射線技師 45 44 0 0 4 93 50.6% 49.4% 0.0% 0.0% 消防職員 33 27 0 0 2 62 55.0% 45.0% 0.0% 0.0% 事務職員 3 13 0 0 0 16 18.75% 81.25% 0.0% 0.0% 基礎講座や専門講座に参加したいか 是非 参加したい 参加 したい どちらとも 言えない 参加 したくない 無回答 合計 全回答 78 138 36 0 10 262 31.0% 54.8% 14.3% 0.0% 医師 6 11 5 0 3 25 27.3% 50.0% 22.7% 0.0% 看護師(保健師) 10 20 12 0 0 42 23.8% 47.6% 28.6% 0.0% 診療放射線技師 36 46 7 0 4 93 40.4% 51.7% 7.9% 0.0% 消防職員 21 33 6 0 2 62 35.0% 55.0% 10.0% 0.0% 事務職員 2 13 1 0 0 16 12.5% 81.25% 6.25% 0.0%

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【全体を通しての意見・要望(受講者)】 ・色々な職種の人が一緒に研修することは、とても大切だと思いました。(看護師、 40 歳代) ・連携を取るためにも、他職種のことをもっと知る必要があると思いました。そのた め、他職種、他部署が普段どういったことをしているのか、またどういった意見を 持っているのか、何がわからないのかについてアンケート等をとることも大切だと 思う。(診療放射線技師、20 歳代) ・組織として考える必要があり、より多くの職員に受講させたい。また、グループデ ィスカッションもあるので多数受講は困難であるので、開催回数を増やしてほしい。 ありがとうございました。(消防、40 歳代) ・自分の知識不足を感じました。今後は知識を高めて、他の講座にも参加したいと思 います。(消防、20 歳代) ・ケーススタディーは考えるよい機会となりました。(薬剤師、50 歳代) ・もう少し講義等の時間があるとよいと思いました。(事務(道府県)、40 歳代) ・他職種とのつながりができてよかった。(看護師、40 歳代) ・色々な職種の方と交流がもててよい刺激を受けました。準備も大変だったと思いま すが、ありがとうございました。(看護師、40 歳代) また、受講者に対して、今後取り上げて欲しいテーマを聞いたところ、以下の内容が 挙げられた。 ・安定ヨウ素剤の服用指示、服用方法、調製方法等 ・スクリーニングおよび救護所対応 ・医療機関における被ばく者の対応 ・各職種における対応 ・福島第一原子力発電所の事故対応を行った人の体験談

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2.2 緊急被ばく医療基礎講座Ⅰ(除染コース、搬送コース)〔基礎講座Ⅰ〕 基礎講座Ⅰは、地域で行う研修(現地型)として16 道府県において実施した。 基礎講座Ⅰの開催にあたっては、地域の緊急被ばく医療関係者と協議・検討の上、開催 日、開催場所を決定した。基礎講座Ⅰのカリキュラムは下記の通りである。 緊急被ばく医療基礎講座Ⅰ(除染コース、搬送コース)カリキュラム 項 目 時 間 除染コース 搬送コース 9:30~ 9:45 オリエンテーション 講義1 9:45~10:10 放射線防護と事故事例 講義2 10:10~10:40 緊急被ばく医療に必要な放射線測定の基礎 10:40~10:50 (休憩) 実習1 10:50~12:00 放射線測定実習-サーベイメータによる放射線測定- 実習2 13:00~16:00 除染実習 汚染を伴った外傷患者の取り扱い 搬送実習 汚染を伴った傷病者の搬送 ・ 「 医 療 機 関 にお ける 実 際 の対 応 」 (ビデオ) 【以下、病院内で実施】 ・ 情報の収集 ・ 処置室の汚染防止措置 ・ 服装、装備の準備 ・ 処置室でのスタッフの配置、役割 の確認 ・ 処置室の資機材、医薬品の確認 ・ 処置室での除染を含めた医療処置 ・ 医療スタッフの退出および後片付け ・ガイダンス ・ 情報収集 【以下、病院駐車場等で実施】 ・ 出動準備(救急車等の汚染防止措置) ・ 現場到着 ・ 初期評価と対応 ・ 傷病者の車内収容 ・ 搬送中の車内対応 ・ 医師への引継ぎの報告 ・ 汚染防止措置の解除 16:00~16:20 質疑応答 16:20~16:30 閉会

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(1)開催実績 地域 開催日 時間 開催場所 参加人数 ( )内は募集定員 除染 (30) 搬送 (20) 合計 (50) 1 茨城県 7 月 28 日 (土) 9:30~16:30 水戸医療センター 28 名 17 名 45 名 2 北海道 8 月 5 日 (日) 9:30~16:30 北海道社会事業協会岩内病院 27 名 11 名 38 名 3 青森県 8 月 26 日 (日) 9:30~16:30 弘前大学医学部 24 名 19 名 43 名 4 宮城県 9 月 2 日 (日) 9:30~16:30 石巻赤十字病院 29 名 32 名 61 名 5 岡山県 9 月 8 日 (土) 9:30~16:30 岡山医療センター 26 名 27 名 53 名 6 佐賀県 9 月 23 日 (日) 9:30~16:30 佐賀県立病院好生館 35 名 18 名 53 名 7 大阪府 9 月 29 日 (土) 9:30~16:30 りんくう総合医療センター 18 名 24 名 42 名 8 愛媛県 10 月 7 日 (日) 9:30~16:30 西予市立宇和病院 他 21 名 16 名 37 名 9 福井県 10 月 13 日 (土) 9:30~16:30 市立敦賀病院 41 名 22 名 63 名 10 新潟県 10 月 20 日 (土) 9:30~16:30 県立中央病院 23 名 27 名 50 名 11 島根県 11 月 11 日 (日) 9:30~16:30 松江市立病院 35 名 17 名 52 名 12 静岡県 11 月 24 日 (土) 9:30~16:30 榛原総合病院 29 名 23 名 52 名 13 福島県 12 月 1 日 (土) 9:30~16:30 いわき市総合保健福祉センター 31 名 25 名 56 名 14 石川県 12 月 9 日 (日) 9:30~16:30 金沢大学附属病院 34 名 16 名 50 名 15 神奈川県 1 月 19 日 (土) 9:30~16:30 横須賀市立市民病院 20 名 13 名 33 名 16 鹿児島県 1 月 27 日 (日) 9:30~16:30 鹿児島市医師会病院 21 名 14 名 35 名 合 計 442 名 321 名 763 名 (2)実施内容 基礎講座Ⅰの講義、実習に関する実施内容は以下の通り。 講義1 放射線防護と事故事例 「緊急被ばく医療」を実施する際に、多くの医療関係者が持っている「自分自身が被 ばくするのではないか」(被ばく防護)あるいは「医療対応を行った自分が家族と接触し ても家族は大丈夫なのか」(汚染拡大防止)という不安に対して身近な例え(被ばく防護 →たき火、汚染拡大防止→ペンキ塗りたて)を用いて説明を行った。主な項目は以下の 通り。 ・被ばくと汚染 ・被ばく防護と汚染拡大防止 ・放射線の単位 ・放射線防護の三原則 ・過去に起こった事故事例とその分類

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講義2 緊急被ばく医療に必要な放射線測定の基礎 「緊急被ばく医療に必要な放射線測定の基礎」として、除染実習、搬送実習において 必要とされる体表面汚染測定(検査)、個人被ばく線量測定を中心に放射線測定の目的と 使用される測定機器等について基礎的な説明を行った。主な項目は以下の通り。 ・原子力施設の事故に関わる放射性核種について ・想定される被ばくの形態 ・放射線の特性と放射線測定器の種類 ・放射線測定の目的と方法 ・空間線量率、体表面汚染の測定と個人線量計による測定 実習1 放射線測定実習-サーベイメータによる放射線測定- 緊急被ばく医療に必要な放射線測定として、個人線量計および体表面汚染測定用サー ベイメータを用いて実習を行った(線源としてマントルを使用)。実習は、6 名~10 名程 度の参加者により班を構成し、個人線量計については2~3 名に 1 台、体表面汚染測定用 サーベイメータについては各班に1~2 台を用意するとともに、各班には実習協力者(放 射線管理要員等)を配置し、取扱方法や実習の方法等について指導、助言を行った。な お、一部の地域では、事前打合せに基づき、医療機関や搬送機関に配備されている測定 機器(GM サーベイメータ、プラスチックシンチレーションサーベイメータ)を用いて 実習を行った。また、実習を円滑に進めるため、測定実習キットを準備した。標準的な 実習内容は以下の通り。 ① 個人線量計の取り扱い 使用方法と装着位置(男性:胸部、女性:腹部)を確認した。 ② GM サーベイメータの取り扱い 使用前点検(測定レンジの選択、時定数の設定)、自然放射線および線源(マントル) の測定を行った。 ③ 放射線の性質 垂直方向の距離、水平方向のずれおよび遮へいによりどのように放射線が減衰して いくのかを測定した。また、GM サーベイメータのプローブの移動速度を変化させる ことにより、どのように指針の振れが変化するのかを確認した。

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サーベイメータの取り扱い 放射線の性質(垂直方向の減衰) 放射線の性質(水平方向の減衰) 放射線の性質(移動速度による針の動き) 実習2 除染実習-汚染を伴った外傷患者の取り扱い- 原子力施設(原子力発電所、核燃料施設等)の管理区域内で発生した労災事故により、 汚染を伴った外傷患者が被ばく医療機関に搬送されてきたことを想定し、患者の受入準 備(情報の収集、処置室の準備)、医療処置、後処理に必要な放射線管理、汚染管理につ いて実習した。なお、医療処置については当該の医療機関から医療チームを編成した。 実習は以下の順で実施した。 ① 情報の収集 原子力施設と医療機関の担当者により、患者の受入要請と患者の状況について、救 急連絡票に基づき情報伝達を行った。主な伝達項目は以下の通り。 ・患者が発生した事故の概要 ・病院に搬送される患者の人数 ・患者の重症度 ・放射性物質による汚染の有無

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・放射線管理要員等の同行の有無 ② 処置室の汚染防止措置(受入前の処置室およびストレッチャーの養生) 処置室の床・壁等を養生シートで養生し、一時的な汚染管理区域とする。さらに、 汚染区域とする範囲を除染水等が滴下しても吸収されるように、ろ紙シートにて養生 した。また、医療処置に使用するストレッチャー、処置台、点滴台等を養生シートで 養生した。 ③ 服装、装備の準備 医療処置を行うスタッフの服装、装備を確認し、医療チームのスタッフは服装を着 替え、装備を装着した。 ④ 処置室でのスタッフの配置、役割の確認 医療チームの構成および役割について確認した。 参考:標準的な医療チーム構成とその役割 医 師(2 名):チームリーダー、医療処置 看護師(3 名):医療処置の介助、機材出し、記録 診療放射線技師(2 名):患者の汚染検査、処置室内の汚染管理 ⑤ 処置室の資機材、医薬品の確認 外傷患者の医療処置に通常使用している資機材に加え、汚染患者を処置する際に必 要な資機材を確認した。 ⑥ 処置室での除染処置等 バイタルサインにより全身状態が安定していることを確認した後、生理食塩水等を 用いて汚染部位の除染処置を実施した。除染処置の前後および医療処置後には、汚染 検査を実施した。 ⑦ 医療スタッフの退出および後片付け 医療チームのスタッフの脱衣を行った。処置室の養生シート等をはがし、原状復帰 を実施した。いずれの場合も、汚染が拡大しないように表面を内側に巻き込むように 処理し、これらの廃棄物は事業所の放射線管理要員に引き渡した。さらに、スタッフ および処置室の汚染検査を実施した。

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処置室の汚染防止措置 服装、装備の準備

患者の処置室への搬入 処置前の汚染検査

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後処理(脱衣後の汚染検査) 養生の撤去 実習2 搬送実習-汚染を伴った傷病者の搬送- 汚染を伴った傷病者を原子力施設から被ばく医療機関まで、または被ばく医療機関か ら被ばく医療機関の間(初期被ばく医療機関から二次被ばく医療機関、二次被ばく医療 機関から三次被ばく医療機関)で搬送することを想定し、必要な汚染防止措置、傷病者 の汚染拡大防止措置、車内収容および搬送中の車内対応の留意点、医療機関での引継ぎ、 汚染防止措置の解除について、今年度作成した紹介動画を含むガイダンスにて流れや注 意点等について説明の後、救急自動車を用いて実習を実施した。実習は以下の順で実施 した。 ① 情報収集 放射性物質による汚染の有無(除染の実施)等の入電時に聴取・確認すべきポイン トと救急隊が現場に到着するまでに事業所に依頼すべき事項について確認した。 ② 出動準備 汚染を伴った傷病者を搬送する際に用いる資機材について確認した。特に、一般救 急対応において使用していない物品について確認した。また、養生シートを使用し、 救急自動車内およびストレッチャーを養生した。さらに、汚染防止の観点から必要な 救急隊員の装備を確認し、着装した。 ③ 現場到着 現場到着時に、一般救急対応において収集する情報の他に、汚染・被ばくに関する 情報および傷病者収容地点が、放射線管理上安全であるかどうかの情報を得ることが 必要であると確認した。 ④ 初期評価と対応

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傷病者(ダミー人形)の作業着に汚染に見立てた絵の具を塗布し、実際に脱衣させ ることにより汚染拡大防止の留意点を確認した。脱衣後、必要な処置を行い、さらに 傷病者搬送用シートを用い、搬送の準備をした。 ⑤ 傷病者の車内収容 脱衣により傷病者に汚染のないことを確認の上、ストレッチャーに乗せ替えて救急 自動車に収容した。このとき、放射線防護の支援のため、放射線管理要員等に同行を 依頼した。 ⑥ 搬送中の車内対応 搬送時に必要な放射線管理上の注意事項を確認し、嘔吐あるいは観察時の対処方法 および放射線管理要員等との共同作業内容について確認した。 ⑦ 医師への引継ぎの報告 医療機関へ到着した際の引継ぎ内容について、一般救急対応の他に伝えるべき情報 (汚染状況とその対応)について確認した。 ⑧ 汚染防止措置の解除 汚染の有無の確認後、救急自動車およびストレッチャーの養生をはがし、原状復帰 を行った。その後、救急隊員の防護装備の脱衣を行った。いずれの場合も、汚染が拡 大しないように表面を内側に巻き込むように処理し、これらの廃棄物及び車内対応に て回収した嘔吐物について放射線管理要員に引き渡した。その後、再度、救急自動車 および救急隊員の汚染検査を実施した。 汚染防止措置(救急自動車の養生) 汚染防止措置(ストレッチャーの養生)

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汚染防止措置(防護服の着装) 傷病者の脱衣

汚染部位からの線量率の測定 傷病者の車内収容

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防護服の脱衣 脱衣後の汚染検査(全身) (3)実施結果 アンケート等からの基礎講座Ⅰの実施結果は以下の通りである。なお、アンケートお よび受講効果判定結果の詳細については、参考資料2 に示す。 ① 受講者数およびアンケート回答数 平成24 年度の基礎講座Ⅰの受講者数は、除染コース:442 名、搬送コース:321 名、 合計763 名であった。平均は、除染コースは 27.6 名/回で募集人数(30 名/回)に 対して 92.0%であり、搬送コースは 20.1 名/回で募集人数(20 名/回)に対して 100.5%であった。全体としては、47.7 名/回で募集人数(50 名/回)に対して 95.4% であった。また、アンケートの回答数は、739 名(96.9%)(除染コース:427 名(96.6%)、 搬送コース:312 名(97.2%))であった。

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平成 24 年度 平成 23 年度 除染コース 搬送コース 合 計 除染コース 搬送コース 合 計 受講者数 442 名 /16 回 321 名 /16 回 763 名 /16 回 788 名 /19 回 499 名 /19 回 1287 名 /19 回 平均受講者数 27.6 名/回 20.1 名/回 47.7 名/回 41.4 名/回 26.2 名/回 67.7 名/回 定員充足率 92.0% 100.5% 95.4% 138.2% 131.3% 135.4% アンケート回答数 427 名 312 名 739 名 - - - アンケート回収率 96.6% 97.2% 96.9% - - - 受講効果判定票※ 回答数(前) 426 名 323 名 749 名 768 名 476 名 1244 名 受講効果判定票※ 正答率(前) 81.9% 71.7% 77.5% - - - 受講効果判定票※ 回答数(後) 426 名 318 名 744 名 763 名 482 名 1245 名 受講効果判定票※ 正答率(後) 89.1% 83.8% 86.8% - - - ※平成23 年度までは、受講前アンケートおよび受講後アンケートとして実施 ② 受講者者の所属・職種について 受講者の所属は、病院関係者:344 名(46.7%)、消防関係者:245 名(33.3%)で 両者合わせて、80%を超えている。職種は、医師:71 名(9.7%)、看護師(保健師): 168 名(22.9%)、診療放射線技師:132 名(18.0%)であった。以下に過去の結果と 併せて示す。 病院関係者 医師 看護師 (保健師) 診療 放射線技師 消防関係者 平成24 年度 (46.7%) 344 名 (9.7%) 71 名 (22.9%) 168 名 (18.0%) 132 名 (33.3%) 245 名 平成23 年度 568 名 (45.8%) 131 名 (10.6%) 265 名 (21.4%) 259 名 (20.9%) 353 名 (28.5%) 平成22 年度 368 名 (44.7%) 63 名 (7.7%) 173 名 (21.0%) 185 名 (22.5%) 280 名 (34.0%)

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