• 検索結果がありません。

一般演題(ポスター) 第57巻Supplement1号919頁

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "一般演題(ポスター) 第57巻Supplement1号919頁"

Copied!
73
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

■一般演題(ポスター)

(2)

10329

P-002

健康診断の上部消化管検査に導入した経鼻内視鏡 検査に関する初期1000例の検討 済生会富山病院 外科1) ,済生会富山病院消化器内視鏡センター2) , 富山大学大学院医学薬学研究部消化器・腫瘍・総合外科3) ○坂東 正1,2) ,祐川 健太1,3) ,大澤 宗士1,3) ,清水 哲朗1) ,明石 桃子2) ,塚田 健一郎2) ,岩本 真也2) ,菓子井 良郎2) ,塚田 一博3) 緒言 細径内視鏡の開発が進み著明に画質が向上したことを契機に、当院 では2013年度より本格的に上部消化管の検診に経鼻内視鏡検査を導入し た。 目的 経鼻内視鏡導入からの上部消化管検診に関して、手技や合併症、 ラーニングカーブ等を検証することにより、この間の成績確認および今後 の課題等を明らかにすることを目的として検討した。 方法 当院健診セン ターにおける上部消化管内視鏡検査の内、経鼻内視鏡を用いた2013年4月 開始時からの1000例を対象とした。内訳は、男性588例、女性412例。前処 置は以下のごとくに施行した。両鼻腔に0.05%硝酸ナファゾリンを噴霧。 消泡剤服用。両鼻翼を交互に押さえてもらい通気の良い側の鼻腔を選択 し、キシロカインビスカス4mlを2-3回に分けて注入。14Frネラトンカテー テルにキシロカインのゼリー塗布およびスプレー噴霧を行い10cm挿入。 前後に動くことと痛みが無いことを確認して2分間留置。 結果 スコープ の挿入鼻孔は上記方法で選択したが、そのままの側で可能であったのは 957例で、右側411例43%、左側546例57%であった。挿入困難があり対側に 移行し観察を行った症例は30例3%で、あわせて987例98.7%が経鼻内視鏡 検査可能であった。対側に移行せず細径スコープのまま経口に変更した症 例は5例で、対側の挿入も試みたが困難だったため経口に変更した症例は8 例であった。対側への変更率は右→左が17例で、左→右の13例に比べ若干 多い傾向であった。女性の経口への変更率は2.2%で男性の0.7%に比べ高 率で、体格からくる解剖学的差異等が考えられた。検査時間は平均7.5分 (3∼22分)であった。前回経口スコープで検査を行った記録が保存されて いた症例が634例あり、これらの症例で検査時間の比較を行ったところ、約 2.2分の施行時間が延長していた。合併症の主なものは鼻出血であり、全 体で79例認めたが、いずれも自然止血もしくは鼻翼の軽い圧迫で止血を得 ている。100件毎の施行時間の推移は7.3、7.1、8.1、7.8、7.7、8.0、8.1、 8.0、8.1、7.9とラーニングカーブは認めなかった。 まとめ 健診における 細径スコープを用いた経鼻内視鏡検査の導入は比較的良好であった。今後 観察能力の検証や被験者側のデータも蓄積する必要はあるが充分に推進で 10235

P-001

苦痛のない内視鏡検査をめざして∼健診における 適正な鎮静剤の使用を考える∼ 健和会大手町病院 内科1) ,済生会唐津病院 内科2) ○久田 裕史1),河村 大輔1),岡本 憲洋2) はじめに 苦痛のない内視鏡検査を提供するには鎮静剤は欠かせない。 今回われわれは健診における適切な鎮静剤の使用をめざす取り組みを行っ た。 方法 健和会大手町病院健診科で、鎮静剤を用いて上部内視鏡検査 を受けた受診者を対象に調査した。鎮静剤の量、受診者および検査医の感 想を調べ、分析した。 結果 2012年7月26日から2014年7月31日までに健 診科で鎮静剤を用いて上部内視鏡検査を受けたのはのべ855名であった。 これは健診受診者で、経口内視鏡を行ったうちの45%にあたる。通常はミ ダゾラムを静注しているが、禁忌例にはハロペリドールを静注している。 ハロペリドールを使用したのは8例であった。 ミダゾラムの平均使用量 は2.54mg、男性2.73mg、女性2.36mgであった。調査期間を2013年7月31 日までの前半と2013年8月1日以降の後半に分けてみると、前半は2.41mg、 後半は2.65mgで、後半が有意に増加していた。1回のみの受診者(1回受診 者)でみてみると、前半が2.36mg、後半が2.53mgで、後半が有意に増加し ていた。また2回以上の受診者(リピーター)では1回目が2.45mg、2回目が 2.70mgで、2回目が有意に増加していた。 鎮静効果の判定では、「効果あ り」と答えた受診者は71.9%であったが、検査医は87.0%で、両者に乖離が みられた。ハロペリドールを使用した8名はすべて「効果なし」という回答 であった。これを1回受診者とリピーターに分けてみると、1回受診者では 「効果あり」が後半に有意に増加していたが、リピーターでは有意差がな かった。 考察 内視鏡検査における望ましい鎮静の深さは中等度鎮静 (意識下鎮静)とされている。代表的な副作用は呼吸抑制であり、検査中は 呼吸状態を監視している。 医師は中等度鎮静を目標にしている。一方受 診者は「検査中のことを覚えていない」「検査中に目が覚めない」ことを求め ているようである。ここに受診者との乖離の理由があるように思われる。 呼吸抑制が起こらず、終了後なるべく早く帰宅することを目指すならば、 ある程度の乖離はやむを得ないだろう。 ミダゾラムが使えない場合の課 題もある。ヒドロキシジン、塩酸ペチジン、ペンタゾシン、プロポフォー ルなどが候補として挙げられるが、それぞれ一長一短がある。ハロペリ ドールから代えるべきか、医療チーム内で話し合う必要がある。 おわり に 少しでも楽な内視鏡検査を提供するため、今後も鎮静剤を有効に活 用していきたい。 10843

P-004

送気装置併用による極細径内視鏡検査時間短縮の 検討 筑波大学附属病院 光学医療診療部1) ,筑波大学 消化器内科2) ○鈴木 英雄1) ,圷 大輔2) ,奈良坂 俊明1) ,金子 剛2) ,松井 裕 史1) ,溝上 裕士1) ,兵頭 一之介2) 目的 苦痛の少ない極細径内視鏡は近年、急速に普及している。しかし、 通常内視鏡と比較して時間当たりの送気量が少なく検査時間が長くなる欠 点がある。胃内粘液除去を目的としたAF-WP1は鉗子口に接続し、外部の ポンプにより送水する装置である。今回我々は、この機器を送気装置とし て用いることで送気量を増加させ、検査時間が短縮できるかを検討した。 方法 極細径内視鏡はFUJIFILM 580NWを用いた。AF-WP1のウォー タータンクを空にした状態でチューブを鉗子口に取り付け、フットペダル を押すことで追加送気とした。1、通常の送気とAF-WP1との併用送気で 単位時間当たりの送気量の比較を行った。2、被験者に同意を取得後、胃内 空気を最大限吸引した後、通常の送気とAF-WP1との併用送気で胃壁が同 程度まで伸展する時間を比較した。この試験は筑波大学附属病院倫理審査 会の審査を経て行った。 成績 1、3回の試験で送気ボタンのみの平均送気 量は10秒当たり145ml、AF-WP1との併用送気は10秒当たり265mlで約1.8 倍の送気量が得られた。2、被験者は8名(平均年齢30歳、女性3名、男性5名)。 送気ボタンのみの胃壁伸展時間は平均79秒、AF-WP1との併用送気は平均 41秒と有意な時間短縮を認めた(p<0.001)。また、試験中、試験後の有害 事象は認めなかった。 結論 送水装置AF-WP1は送気装置としても有用 であり、検査時間の短縮に寄与するものと思われた。 10079

P-003

2.4 mmの鉗子口径を持つ新型細径内視鏡は上部 消化管内視鏡検査の胃液吸引時間を短縮すること で総検査時間を短縮する 篠崎内科クリニック1),自治医科大学 医学部 内科学講座 消化 器内科学部門2) ○篠崎 聡1,2) ,三浦 義正2) ,井野 裕治2) ,山本 博徳2) 目的 細径内視鏡の開発で上部消化管内視鏡検査(EGD)は鼻からの施行 が可能になり、EGDに対する患者の受容性を改善し、大病院よりむしろ実 地医家において広く用いられている。しかし、細径内視鏡の鉗子口径は通 常の内視鏡と比較して2.0 mmと狭く、通常EGDにおいて吸引時間が延長 してしまい、結果として総検査時間の延長へとつながっている。2.4 mm の鉗子口径をもつ新型細径内視鏡であるEG-580NW2の内視鏡時間への影 響を検討した。 方法 基礎データとして200 mlの水をビーカーに入れて内視鏡で吸引し、 吸引時間を測定した。臨床データは倫理委員会の承認を経て、篠崎内科で 施行された200名のEGD録画を後ろ向きに解析し、総検査時間、胃液吸引 時間、観察時間をストップウォッチで計測した。2.0 mm鉗子口径をもつ 従来型細径内視鏡(EG-580NW)をコントロールとして用いた。 成績 200 mlの水道水吸引はEG-580NW2のほうがEG-580NWと比較して 有意に吸引速度が速かった(平均±標準偏差 22.7±1.1 sec vs. 34.7± 2.2, p<0.001)。EGDを施行された200名から生検などを受けた83名を除 外し、残った117人を2群に分けて解析を行った(EG-580NW2グループが50 名、EG-580NWグループが67名)。総検査時間はEG-580NW2グループの ほうがEG-580NWグループと比較して有意に短かった(275.3±42.0 sec vs. 300.6±46.5, p=0.003)。また、胃液吸引に要した時間もEG-580NW2 グループのほうがEG-580NWグループと比較して有意に短かった(19.2± 7.6 sec vs. 38.0±15.9, p<0.001)。一方で、観察時間は両グループとも に同様であった(EG-580NW2: 256.2±42.4 sec vs. EG-580NW: 262.5 ±41.9, p=0.419)。

結論 2.4 mmの鉗子口径を持つ新型細径内視鏡は、2.0 mmの鉗子口径を もつ従来型細径内視鏡と比較して、胃液吸引時間を短縮することでEGDの 総検査時間を短縮する。

(3)

11361

P-006

胃前庭部毛細血管拡張症に対するアルゴンプラズ マ凝固法の有効性 宮崎大学医学部内科学講座 消化器血液学分野 ○野田 裕子,山本 章二朗,野田 貴穂,鈴木 翔,山田 優里, 竹田 幸子,大園 芳範,坂口 舞,夏田 朱一郎,橋本 神奈, 前村 幸輔,土持 舞衣,山路 卓巳,三池 忠,安倍 弘生,岩 切 久芳,田原 良博,蓮池 悟,永田 賢治,下田 和哉 目的 当科で経験した胃前庭部毛細血管拡張症の臨床像を解析し、アルゴ ンプラズマ凝固法の有効性について検討する。 対象 2007年1月から2014 年10月までの期間に、当科で胃前庭部毛細血管拡張症患者に対し、アルゴ ンプラズマ凝固法(Argon Plasma Coagulation:APC)による内視鏡治療を 施行した8例を対象とした。8例の年齢(中央値)は68.5歳(56∼79歳)、男 性:女性=4:4、背景疾患は肝硬変が7例、末期腎不全が1例で、肝硬変7例 中、Child-Pugh分類Aが3名、Bが3名、Cが1名であり、Chiled-Pugh score (中央値)は7点であった。そのうち、6例に食道静脈瘤を認め、5例が食道静 脈瘤に対し、内視鏡治療を施行されていた。1回目のAPCによる治療を施 行した理由としては、貧血の進行が7例と最も多く、次いで下血が3例(重複 例あり)であり、貧血の進行・症状のいずれもなく、APCを施行されていた のは1例のみであった。 結果 1. 8例の胃前庭部毛細血管拡張症に対し、 合計15回のAPCによる内視鏡治療を施行した。 2. APCに伴う有害事象は 腹痛1回のみで、15回全てにおいてAPCによる大きな有害事象はなかった。 3. 8例中、6例に対し、followの上部消化管内視鏡検査を施行し、4例に胃前 庭部毛細血管拡張症の再発を認め、うち2例に対し、再度APCを行った。 4. 再治療を施行した2例のうち、1例は合計4回のAPCを施行した。5. 観 察期間中に2例が死亡したが、いずれも出血関連死ではなかった。 6. 15回 のAPCのうち、12回(80%)は消化器内視鏡学会専門医取得前の卒後8年目 までの医師が施行医として内視鏡治療を行ったが、その後の治療経過にお いて、上級医師施行時と大差はなかった。 結語 当科で経験した胃前庭部 毛細血管拡張症の背景疾患の殆どが肝硬変であった。胃前庭部毛細血管拡 張症に対するアルゴンプラズマ凝固法は手技的に容易であり、比較的若年 医師でも可能な処置であるが、再発することが多く、治療後も厳重なfol-lowが必要と思われる。 11334

P-005

当院における高齢者の出血性胃潰瘍症例に関する 検討 大崎市民病院 診療部 消化器内科 ○福田 翔,大矢内 幹,伊藤 博隆,泉山 泰宏,永友 宏史, 越後 絋治,石橋 嶺,佐藤 雄一郎,五十嵐 勇彦,尾花 伸也 目的 高齢者の出血性胃潰瘍について臨床的特徴、内視鏡的止血術の成績 を検討する。 方法 当院で 2011年 5月∼ 2014年 9月の期間に、吐下血を 主訴に当院を受診し緊急内視鏡的止血術を施行した出血性胃潰瘍162例(男 性123例 女性39例、平均年齢67.6歳)を対象とし、 70歳以上を高齢者群、 70歳未満を非高齢者群に分類し臨床像について比較検討した。 結果 高齢 者群は72例、非高齢者群は90例であった。男女比は高齢者群で女性の割合 が有意に高率であった(男性:女性 高齢者群40:32、非高齢者群83:7、p< 0.0001)。内服薬剤は低用量アスピリン/NSAIDsの内服が、高齢者群14例 (19.4%)/24例(33.3%)、非高齢者群12例(13.3%)/11例(12.2%)と、高齢 者群で広義のNSAIDs内服例が有意に高率であった(p<0.001)。来院時平 均Hb値(g/dl)は高齢者群7.76 非高齢者群9.25、血清Alb値(mg/dl)は高齢 者群2.77 非高齢者群3.32と、高齢者群でHb値及びAlb値が有意に低かっ た(P<0.0001)。平均輸血投与量(U)は高齢者群4.6 非高齢者群2.6で、高 齢者群で有意に多かった(P<0.01)。止血成績については、内視鏡的止血 率が高齢者群95.8%(69/72)非高齢者群98.9%(89/90)、再出血率は高齢者 群1.4%(1/72)非高齢者群4.4%(4/90)と有意な差は認めなかった。止血不 能5例については、全例外科手術が施行された。入院後の経過は、非高齢者 群では死亡例を認めなかったが、高齢者群において止血不能のため外科手 術施行後経過不良となり死亡に至った1例、吐血時の誤嚥性肺炎による死 亡例を1例認めた。 結論 当院における高齢者出血性胃潰瘍症例は、女性・ NSAIDs内服例が高率で、来院時 Hb値・ Alb値が低く、輸血を多く必要と した。内視鏡的止血術の成績に有意な差は認めず、高齢者においても内視 鏡的止血術は有用と考えられた。一方で、入院経過中に死亡する症例も存 在したことから、高齢者の出血性胃潰瘍においてはより慎重な対応が必要 と考えられた。 10557

P-008

食道・胃静脈瘤の内視鏡的硬化療法(EIS)により 虚血性胃粘膜病変をきたした6例の血行動態学的 検討 飯塚病院 消化器内科1) ,九州大学 病態制御内科2) ○細川 泰三1) ,久保川 賢1) ,徳丸 佳世1) ,長田 繁樹1) ,赤星 和也1) ,中村 和彦2) 背景・目的 食道・胃静脈瘤の形成には、左胃静脈、後胃静脈、短胃静脈 といった静脈系の供血路だけでなく、胃壁内の動静脈短絡を経由した左胃 動脈や固有食道動脈からの動脈血流も関与していると報告されている。実 際硬化剤の動脈内注入が原因と考えられる虚血性胃粘膜病変も頻度は稀で あるが報告されている。今回我々は当院でEIS時に虚血性胃粘膜病変を来 した症例に関して、その原因と対策を画像による血行動態から検討したの で報告する。 方法 対象は、2004年1月から2014年9月の間に、当科で施行 した食道および胃静脈瘤に対するEIS時に虚血性胃粘膜病変をきたした6 例。男性5例、女性1例で、平均年齢は58.8歳であった。治療対象は、食道 静脈瘤が2例、胃静脈瘤が4例であった。肝硬変の成因は、ウイルス性4例、 アルコール性1例、その他1例であった。治療時期は待期例3例、予防例3例 であった。治療成績、血行動態、予後などをretrospectiveに検討した。 結 果 治療方法は、EOでの非透視下EIS1例、EVIS4例、AS1例であった。硬 化剤の1回平均使用量は、EO6.2ml、AS8.5mlであった。EVIS施行4例中3 例で静脈瘤や静脈系の供血路以外に左胃動脈と思われる血管の造影を認 め、5例が穹窿部、1例が下部食道の虚血性変化を認めた。いずれも虚血部 位は潰瘍を形成したため、絶食・輸液・PPI投与による保存的加療を施行 し、平均68日で潰瘍は治癒した。虚血性胃粘膜病変形成後の平均観察期間 は382.3日で、5例は静脈瘤の増悪はなく経過し、1例は再発したため追加治 療を行った。 結論 EISにより虚血性胃粘膜病変をきたした症例は硬化剤 が静脈系供血路から動静脈短絡を介して動脈へと流入した可能性が考えら れた。EIS時には、硬化剤の動脈内注入により虚血性胃粘膜病変をきたす 可能性に留意すべきであり、動脈流入が疑われた場合は、硬化剤注入を中 止する必要があると考えられた。 11317

P-007

当院における胃十二指腸潰瘍止血術症例の検討 藤枝市立総合病院 消化器内科 ○志村 輝幸,丸山 保彦,景岡 正信,大畠 昭彦,寺井 智彦, 金子 雅直,山本 晃大 背 景 近 年、H.pylori 感 染 率 の 低 下 の 一 方 で、高 齢 化 社 会 を 背 景 に NSAIDs使用は増加しており、出血性胃十二指腸潰瘍の患者背景が変化し てきている。 目的 止血処置を必要とする出血性胃十二指腸潰瘍患者での 臨床の特徴を明らかにする。また、再発および止血困難例の要因を検討す る。 方法 2008年1月から2014年8月まで当院で緊急内視鏡を行い胃十二指 腸潰瘍に対して内視鏡的止血術を行った316症例(男性196例、女性120例、 平 均 年 齢 71.3 歳 * 9 症 例 は 2 回 再 発) を 対 象 と し て、NSAIDs 内 服・ H.pylori感染等の有無に関して検討した。また、潰瘍治癒後に再度処置必 要例(再発例)の検討も行った。さらに、止血困難例の要因を非止血困難例 とで比較した。 成績 処置を要した症例数は2008年より2013年まで60例、 48例、53例、49例、42例、33例と低下している。全体のNSAIDs内服者の割 合は、39.4%(128例/325例)であるが、2008年から2013年までの1年毎の内 服者の割合は33.3%、39.5%、37.7%、40.8%、42.8%、48.5%と上昇し ている。また、全体のH.pylori感染者の割合は、66.7%(134例/202例、検 査未施行124例)であった。2008年から2013年までの1年毎のH.pylori感染 者の割合は70.9%、73.1%、63.9%、57.9%、69.0%、60.0%と低下して いた。再発9例は、平均13.5±17.1ヶ月後の再発であった。NSAIDs内服例 は1例(11.1%)であり、H.pylori感染陽性5例(55.6%)は3例で除菌が施行 され、2例では除菌成功していたにもかかわらず、再発していた。入院中に 2回以上止血処置を必要とした止血困難例は、19例あり、非困難例と比べて 年齢・NSAIDs内服・H.pylori感染率について差は認めなかった。 結論 処置が必要な出血性胃十二指腸潰瘍の件数は減少している。その背景に H.pylori感染低下が関与していると考えられる。NSAIDs内服やH.pylori 感染は止血困難・再発例の要因ではなかった。

(4)

10260

P-010

Helicobacter pylori急性感染が原因と思われる急 性胃粘膜病変6例の検討 国立国際医療研究センター国府台病院 消化器・肝臓内科1) ,日本 橋大三クリニック2) ○青木 洋一郎1) ,伊藤 光一1) ,鈴木 桂悟1) ,大久保 恒希1) ,矢 田 智之1) ,赤澤 直樹1) ,小飯塚 仁彦1) ,斉藤 大三2) ,上村 直 実1) 背景 急性胃粘膜病変(以下AGML)は急激な心窩部痛を主訴に発症し, 内 視鏡所見として易出血性多発びらんや潰瘍を認める病態とされる.原因と してはH.pylori急性感染,NSAIDsなどの薬物,ストレスなどが挙げられ, 内視鏡洗浄法が確立される以前はH.pylori医原性感染によるAGMLの報告 が数多くされた.十分な洗浄・消毒がなされている今日ではAGMLは稀な 疾患となった.今回我々は,H.pylori急性感染によるAGMLを6例経験し たので,臨床経過及び文献的考察を加えて報告する. 対象・方法 2011年 10月から2014年10月までの3年間に上部消化管内視鏡でH.pylori急性感染 によるAGMLと診断した6例を対象とした.年齢は25歳から42歳,男女比 は1:1, 全例症状出現から3日以内に内視鏡検査を施行された.全例に迅 速ウレアーゼ試験(以下RUT)及び病変部の生検を行い,6例中5例では体上 部大弯,角部小弯,前庭部大弯からの3点生検を追加した.3点生検を追加 した5例はすべてH.pylori感染を証明できたが,RUTと病変部生検のみを 行った1例はH.pylori陰性であった.しかし,4ヶ月後の経過観察時に再度 生検を施行したところH.pylori陽性であり,初回の結果は偽陰性であると 考えられた.5例で血清抗体を測定したがいずれもカットオフ値以下であ り,原因はH.pylori急性初感染の可能性が高いと考えられた.2例は除菌 治療を行い,4例はPPI内服にて治療した.経過観察できた4例は4ヶ月以内 にH.pylori陰性となった. 考察 H.pylori急性感染によるAGMLが疑われ る際には感染診断が重要である.過去の報告では,複数の診断法が比較さ れているが,いずれも精度にばらつきがあり評価は一定でない.今回,3点 生検を追加し迅速ウレアーゼ試験を併用した例では,全例で感染診断が可 能であった.さらに血清抗体法を組み合わせる事で急性初感染の可能性が 高い事を確認できた. 結語 AGMLを認めた際には,原因としてH.pylori 急性感染の可能性を念頭におく必要がある.生検による感染診断の際に は,病変部を含めた生検を複数行う事でより正確な診断が可能になると考 えられた. 11483

P-009

当院で経験した胃静脈瘤破裂の検討 日本赤十字社和歌山医療センター 消化器内科 ○中井 智己,池ノ内 真衣子,梅村 壮一郎,林 佑樹,石井 達也,益田 朋典,東 俊二郎,小川 智,多木 未央,松本 久 和,籔内 洋平,岩上 裕吉,太田 彩貴子,三長 孝輔,中谷 泰樹,幡丸 景一,赤松 拓司,瀬田 剛史,浦井 俊二,上野山 義人,山下 幸隆 目的 当院において加療を行った胃静脈瘤破裂に対して治療成績、生存退 院率をretrospectiveに検討した。 対象 2004年4月∼2014年7月の10年間に 内視鏡的に胃静脈瘤破裂と診断され、118人150症例を対象とした。 結果 症例は男性83人、女性35人であった。背景肝疾患はHCV37人,HBV9人ア ルコール53人,HCV+アルコール6人,その他11例であった。破裂時の肝予 備能はChild A/B/C 46/64/40例であった。胃静脈瘤の形態は,Lg-cが85例 ,Lg-cfが43例,Lg-fが22例であった。早期再出血(1週間以内)はLg-cで2例 Lg-cfで4例Lg-fで2例認めた。生存退院が可能であった症例は131例99人で あり、入院中の死亡例は19症例であった。19例のうち6例がChild B 13例が Child Cであり、生存例と比較し肝機能の悪い症例を多く認めた。入院中の 死亡理由としては肝不全13例(うち肝細胞癌合併3例)、肝細胞癌破裂1例、 再出血による出血性ショック3例、その他2例認めた。静脈瘤の形態はLg-f 症例では22例中5例で入院中死亡しておりLg-c、Lg-cf症例よりも死亡率が 高かった。 結語 胃静脈瘤破裂は止血を得られたとしてもその後の経過で 死亡することが多い疾患であり慎重な経過観察が必要である。 10940

P-012

当院における胃生検Group2病変の現状 大森赤十字病院 ○高橋 昭裕,千葉 秀幸,栗原 大典,須藤 拓馬, 苅 圭一, 河野 直哉,関 志帆子,鶴田 晋佑,井田 智則,諸橋 大樹, 後藤 亨 背景】目的2010年3月に胃生検組織分類が改訂され、Group2(G2)の取り扱 いが変化した。今回、G2と診断された症例を 及的に評価し、G2病変の取 り扱いの妥当性について検討した。対象・方法2010年3月から2014年9月ま でに、当院にてG2と診断され追跡が可能であった42例(平均年齢66±25歳、 男性21例/女性21例)を対象とし、G2となった病理学的理由、初回内視鏡診 断、再検までの期間、再検時の病理診断、治療、最終診断等を検討した。 結果G2となった病理学的理由は、1例で組織量不十分・挫滅を指摘されて いたが、残り41例は再生性と腫瘍性変化の鑑別困難な検体であった。初回 内視鏡診断は腫瘍疑い16例、良性疑い26例であった。腫瘍疑いの16例は、 高齢のため再検されなかった1例を除き3か月以内に再検され、8例が最終 的に癌と診断された。初回再検で6例はG5で、その内3例はESD、1例は手 術、2例は高齢のため経過観察となった。残りの9例は、2例がG4、1例がG3、 2例がG2、3例がG1、1例が生検なしだった。G4とG3症例はESD施行されそ れぞれ癌、腺腫の診断だった。G2症例はそれぞれ3か月後、6か月後、G1症 例のうち1例は14日後に再検されたが、G2、G1、再現性なしであった。2回 目の再検もG2だった症例は現在も厳重な経過観察を継続している。良性 疑いの26例は3例を除き(高齢2例、大腸癌化学療法中1例)6か月以内に再検 され、18例が生検されていた。1例(初回内視鏡診断:胃ポリープ)はG5で ESD施行されSM浸潤を伴う中分化型腺癌だった。1例(初回内視鏡診断: 胃ポリープ)はG2で1か月後に再検されG3だったためESDが施行され腺腫 の診断だった。残り16例はG1だったが、その内1例は10か月後に再検され、 G4のためESD施行され、SM浸潤を伴う高分化型腺癌だった。また、再検 に拡大内視鏡を使用し良悪性の鑑別ができたものは12/13例(92.3%)で あった。最終的に癌と診断された10例に関して、組織型は分化型腺癌、肉 眼型は4例隆起型、3例陥凹型、3例混在型、初回再検までの期間は3か月以 内であった。結語初回内視鏡検査で腫瘍が疑われたG2病変は半数が最終 的に癌と診断されており腫瘍が疑われたG2病変に対しては早急な再検が 必要と考えらえた。また、初回検査で良性が疑われたG2病変にも2例癌と 診断された症例があり、良性疑いであっても拡大内視鏡検査などの精査を 11504

P-011

プロトンポンプ阻害剤服用者の胃粘膜変化の検討 北海道大学大学院医学研究科 消化器内科学分野1),北海道大学病 院 光学医療診療部2),北海道大学大学院医学研究科 がん予防内 科3) ○宮本 秀一1) ,加藤 元嗣2) ,大野 正芳1) ,津田 桃子1) ,大森 沙織1) ,高橋 正和1) ,水島 健1) ,小野 尚子2) ,森 康明1) ,間部 克裕3) ,中川 学1) ,中川 宗一1) ,清水 勇一1) ,坂本 直哉1) 背景 プロトンポンプ阻害剤(以下PPI)は消化性潰瘍や逆流性食道炎の治 療薬として広く用いられている.また,長期間の内服により胃酸分泌が抑 制されることによる胃粘膜への影響が明らかなになっており,びまん性多 発結節様隆起粘膜(以下,敷石状粘膜:京都胃炎分類)やひび割れ様粘膜を 呈することが少数ながら報告されている.しかし,出現頻度や内視鏡的所 見の特徴は明らかにされていない. 目的 PPI内服状況の有無から,敷石 状粘膜やひび割れ様粘膜について検討する. 対象・方法 2014年8月29日 から2014年9月30日までに当院で上部消化管内視鏡検査(複数回検査施行患 者,治療内視鏡,胃内画像確認不可症例を除く)を施行された患者は379名 であった.PPI内服に関する問診結果では,PPI内服あり88名(以下A群), PPI内服なし203名(以下B群),問診不可88名であった.A群,B群それぞれ の敷石状粘膜とひび割れ様粘膜の有無やその特徴, H.pylori(以下HP)感染 状態を後ろ向きに検討した. 結果 各群背景はA群88人(男性41人,女性 47人,年齢中央値71歳, HP現感染35人,除菌後15人,未感染38人).B群 203(男性113人,女性90人,年齢中央値66歳,HP現感染59人,除菌後85人, 未感染59人)であった.敷石状粘膜を認めた症例はA群で6人(6.8%),B群 0人(0%)で粘膜変化を認めた6症例のHP感染状態は(現感染:0人,除菌後1 人,未感染5人)であった.ひび割れ様粘膜を認めた症例はA群で 20 人 (23%),B群12人(6%)Odds比4.7, 粘膜変化を認めた合計32症例のHP感染 状態は(現感染:9人,除菌後12人,未感染11人)であった.また敷石状粘膜・ ひび割れ様粘膜を認めた部位は全例が胃底腺領域であった.A群では3症 例に両所見を認めた. 考察 PPI内服者の有意に多く敷石状粘膜やひび割 れ様粘膜を認めた.また全例が体部かつ非萎縮粘膜に所見を認めた.プロ トンポンプ阻害剤内服により,胃壁細胞の過形成や,胃底腺の嚢胞状拡張 などの変化を来すことが知られており,胃粘膜変化の原因として胃底腺拡 張による可能性が考えられた.過去に自験例として報告した例では組織学 的に胃底腺の拡張とガストリン高値を認めており、さらなる検討が必要で ある.

(5)

10228

P-014

超音波内視鏡下ドリル式生検針の開発 千葉大学 医学部 先端応用外科学 ○上里 昌也,武藤 頼彦,仙波 義秀,浦濱 竜馬,小倉 由起 子,水藤 広,中野 明,相川 瑞穂,羽成 直行,郡司 久,加 野 将之,松原 久裕

背景:2008年のGastrointestinal stromal tumor(GIST)診療ガイドラインで は、「大きさに関わらず生検でGISTは絶対的手術適応である」と明記され ている。しかし、大きさ別の診断方法で、「径2cm未満において悪性所見な しは経過観察してよい」とある。この矛盾の原因は、超音波内視鏡下 刺 吸引生検法(EUS-FNAB)の正診率とリスクにあると考える。EUS-FNAB 手技に慣れた施設における諸家の報告において、GIST正診率は70∼90% でありかつリスクは低い。しかし、EUS-FNAB手技に不慣れな施設や、慣 れた施設でさえも腫瘍のサイズが小さくなるにつれてその正診率は下が る。そこで、新たな機構を備えた生検針が必要ではないかと考えるに至っ た。目的:粘膜下腫瘍を対象としたドリル式生検針のモデルを作製し、胃 GIST手術切除標本を対象に生検操作を行う。方法:ドリル式生検針のモ デルとして市販の金属用(直径1mm)、木工用(直径3mm)ドリルをチュー ブ内に装填する。術前からGISTと組織学的に診断されている胃粘膜下腫 瘍表面にチューブ先端を当てる。ドリルのみを回転しながら腫瘍内へ進 め、またチューブ内へ戻す。これを1ストロークとする。3ストロークで回 収できた組織をプレパラート作製し検鏡する。通常のFNABを22G針で10 ストローク施行し、同様に検鏡する。結果:5標本に対し、組織採取を行っ た。FNA針と木工用ドリルでの組織採取率は100%であった。金属用ドリ ルでは組織採取率80%に低下した。FNA針と木工用ドリルに比べ金属用 ドリルでの組織採取量は極めて少なかった。ドリル周囲に繊維がまとわり ついていた。またドリルでの液性成分の採取は不可能であった。まとめ: ドリル式生検針においても粘膜下腫瘍内の組織を採取できる。更なる工夫 にて実用化を目指す。工夫点としてドリル先端を鋭利にすることと、陰圧 をかけられるようにすることが重要と考えた。「本研究は公益財団法人 内視鏡医学研究振興財団の助成による」 10998

P-013

当院での「抗血栓薬服用者に対する消化管内視鏡 診療ガイドライン」の検証−内視鏡的粘膜生検に ついて− 岩手県立磐井病院 消化器科 ○小林 茂之,佐野 晃俊,小岩井 明信,小川 千恵子,飛澤 笑山,横沢 聡,菅野 記豊 目的 2012年に「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」 が示され、通常の消化器内視鏡は抗血栓薬を休薬なく施行可能であり、さ らに内視鏡的粘膜生検でもアスピリン、アスピリン以外の抗血小板薬、抗 凝固薬のいずれか1剤の服用であれば休薬なく、2剤以上を内服している場 合にも慎重に対応することで休薬なくとも生検することが可能であると言 及された。当院における上部消化管内視鏡検査で施行した内視鏡的粘膜生 検について、ガイドラインの有用性を検証する。 対象 ガイドライン刊行 以降の2012年7月から2014年6月までに施行された上部消化管内視鏡で、内 視鏡的粘膜生検が施行された1194例について検討した。 結果 内視鏡的粘 膜生検を施行された患者は、70歳以上が576例と約半数を占めていた。抗 血栓薬を内服していた症例は200例で、すべて50歳以上であった。内訳は アスピリン、アスピリン以外の抗血小板薬、抗凝固薬のいずれか1剤を服用 されていたのは160例であり、2剤以上を服用していたのは40例であった。 生検後に出血し、止血処置を必要としたのは5例で、トロンビンを散布した 症例が4例、凝固止血処置を施行した症例が1例であった。抗血栓薬を内服 していた症例は2例で、内服していない症例と比較した際に有意差を認め なかった。当院では生検を施行した患者全例に、術後にヘモコアグラーゼ を投与している。検査後に生検後出血が疑われて、内視鏡再検査を施行さ れた症例は無かった。 結語 抗血栓薬を内服した患者に対して内視鏡検査 を施行する機会は増加することが予想され、また高齢者に対して内視鏡検 査を施行した際に、内視鏡的粘膜生検を必要とする機会が多いことが分 かった。抗血栓薬内服中の患者に対しても、慎重な対応のもとに検査が施 行されるのであれば、内視鏡的粘膜生検の有益性は害に勝ると考えられる。 10668

P-016

当院における胃石7例の検討 大垣市民病院 消化器内科 ○北畠 秀介,熊田 卓,桐山 勢生,谷川 誠,久永 康宏,豊 田 秀徳,金森 明,多田 俊史,山 剛基,長谷川 綾平,伊藤 隆徳,颯田 祐介,横山 晋也,杉山 由晃 胃石は比較的稀な疾患であるが、腸閉塞や胃潰瘍を合併し、出血や 孔を 来すこともあるため、早期に除去する必要がある。しかし定まった治療法 はなく、コカ・コーラでの溶解療法や内視鏡的破砕術、外科的手術などが 行われている。当科では2008年以降に7例の胃石症例を経験したのでその 詳細について報告する。年齢は57-81歳、男性は1例のみで、6例は女性で あった。主訴は心窩部痛が4例、嘔吐が2例、食欲不振が1例であった。胃切 除術の既往がある症例はなく、全例で消化性潰瘍の合併がみられた。嗜好 歴を聴取できた5例のうち、柿の摂食習慣があったのは3例であった。治療 法としては4例にコカ・コーラ溶解療法が試みられたが、胃石が消失した症 例はなかった。そのため内視鏡的破砕術を追加したが、1例ではさらに外 科的手術を要した。2例では砕石具のみで破砕が可能であり、1例では胃石 は自然消失していた。内視鏡的破砕術を行った症例では、腸閉塞の予防の ため可能な限り内視鏡的に回収した。胃石の成分分析を行ったのは4例で あったが、1例ではタンニンが98%以上みられ柿胃石と思われたが、他の3 例ではタンニンは一部にみられたのみであった。胃石に対するコカ・コー ラの有用性が報告されてから、溶解用法がひろく行われているが、無効例 も多く、また溶解療法のために胃管挿入や長期の入院が必要になることも ある。今回溶解療法を試みずに、最初から内視鏡的破砕術を行った2例で は、いずれも1回の治療で破砕、回収まで成功し、外来での治療が可能であっ た。近年ではスネアと透明キャップを用いたり、2チャンネル内視鏡でス ネアと把持鉗子を併用するなど、手技の工夫も多く報告されている。その ため一期的に内視鏡的破砕術を試みることは有用であると考えられた。 10010

P-015

クロ−ン病における上部消化管ル−チン検査と病 変のリスク分類 藤元総合病院 消化器内科1) ,東京山手メディカルセンタ−2) ,宮崎 大学医学部内科学講座消化器血液学分野3) ○藤原 利成1),駒田 直人1),迫田 敏1),河口 貴明2),酒匂 美 奈子2),吉村 直樹2),高添 正和2),下田 和哉3) はじめに クロ−ン病(CD)の胃十二指腸病変については、頻度が比較的 高く診断的価値が重要視されているが、進行性病変はまれと考えられてい る。そのため小腸大腸病変だけでCDの診断がついた場合上部消化管は検 査されない場合もあり、のちに重篤な症状を呈して初めて進行した上部消 化管病変が発見される場合もある。今回我々はクロ−ン病における上部消 化管病変の保有率と病変ごとのリスク分類について検討したので報告す る。 方法 約1年間のCDの上部消化管検査の自験例(n=18)を検討した。 結果 胃の竹の節状外観や十二指腸のノッチ様所見の陽性率(約90%)は高 く、胃十二指腸病変がCDの診断に果たす役割の大きさを再認識した。一 方、幽門・十二指腸狭窄は頻度こそ少ない(1例)が 最も深刻な病変で、潰 瘍(2例)を繰り返す場合は当然要注意だが、十二指腸の敷石状外観(4例)、 幽門部前庭部粘膜の皺襞腫大(3例)なども狭窄に至る可能性があり、要注 意所見と考えられた。 考察 CDの胃十二指腸病変は、小腸大腸病変の活 動性と関係なく悪化することが知られている。よって、CD患者全例に対 するル−チンの上部消化管内視鏡検査を行い、病変を認めた場合はその後 のリスクを検討し、それに応じた治療・フォロ−を考慮することが重要で ある。

(6)

10001

P-018

PEG観察時に胃粘膜がさけた経験−高齢者におけ る注意点 那覇市立病院 外科 ○長濱 正吉,金城 泉,宮里 浩,友利 寛文 はじめに 経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下,PEGと略す)は食事摂取不能例 や繰り返す誤嚥性肺炎例に対する手技として広く普及している.高齢者に 施行することが多く当院でも直近8年間で70歳以上の症例が70%超を占め ている.今回私たちはPEG施行の際,消化管観察時の内視鏡操作によると 思われる胃粘膜裂傷例を経験した.高齢者内視鏡検査における留意点を示 唆していると思われるため報告する. 症例 70歳代,PS4の女性.既往歴 には頸椎症性脊髄症・変形性膝関節症・高血圧・認知症,などがあった. 経口摂取困難(経管栄養中)とのことで,2014年3月に当科外来へ近医より PEG依頼となった.腹部の理学所見は平坦・軟で手術痕はなく,抗凝固薬 や抗血小板薬の内服もなかった.4月上旬にPEG目的で(経口)上部消化管 内視鏡(XP260)を施行した.食道・胃・十二指腸の通常観察終了後,PEG 施行部を決定する時に胃体下部から前庭部小彎に縦走の粘膜裂創を確認し た.バイタル・腹部理学所見の変化がないことを確認し速やかに内視鏡を 抜去しPEGを中止した.直ちに絶食・抗潰瘍治療を行い9日後に一旦退院 とした.6月に再入院し経鼻内視鏡(XP260NS)を用いて問題なくPEGは施 行可能であった.胃粘膜裂創部は瘢痕化していた. まとめ PEGの際の内 視鏡操作によると思われる胃粘膜裂傷例を経験した.高齢者のPEGの際に は胃粘膜などの脆弱化が予想されるためトルクの弱い細径内視鏡の使用や 愛護的な内視鏡操作を行うことが望ましいと思われた. 11106

P-017

当院における消化管アニサキス症の検討 JA香川厚生連屋島総合病院 内科1),香川大学医学部付属病院 消 化器・神経内科2) ○桑村 英里1) ,松岡 裕士1) ,波間 大輔1) ,小林 伸也1) ,正木 勉2) 目的 生鮮海産魚類を好んで摂取する我が国では消化管アニサキス症は急 性腹症の原因としてしばしば経験される。ここ数年、当院では消化管アニ サキス症が急増している。今回それらの臨床的特徴や現状について検討を 加えた。 方法 2004年10月から2014年10月までに当院で経験した消化管ア ニサキス症17例について、臨床症状、発症時期、摂取物、罹患部位、内視 鏡的所見などにつき検討した。 結果 男女比は9:8、平均年齢は40.9歳 (16-64歳)。1例が無症状であった以外は、残り16例すべてに心窩部痛を認 め、そのうち6例に嘔吐、4例に下痢を認めた。年代別でみると2004年 ∼2011年までは0例であったのに対して、2012年は1例、2013年は6例、2014 年は10例とここ数年で著増している。時期別では3∼5月が7例、6∼8月が3 例、9∼11月が6例、12∼2月が1例であった。全症例で3日以内での生魚介類 の摂取歴があり、サバが11例で最多(シメサバ10例、生サバ1例)、次いでイ カ3例、カツオ2例、その他サーモン、イワシ、サンマ、サワラ、マグロが 原因として挙げられた。罹患部位としては胃が13例、小腸が5例であった。 1症例で胃と小腸の重複罹患が見られた。胃アニサキス症の13例すべてに 上部消化管内視鏡検査を施行し、全例に対して虫体を内視鏡的に除去した。 13例中2例では胃内に複数隻のアニサキス虫体を認めた。胃内での虫体存 在部位は、胃体部大弯側が8例と最も多かったが、噴門直下に存在する症例 も3例認めた。内視鏡所見ではいずれの症例も虫体刺入部の発赤、周囲粘 膜の浮腫、胃雛壁の肥厚が見られた。胃アニサキス症13例では虫体除去後 は速やかに症状の改善を認めた。小腸アニサキス症の5例はいずれもCTで 小腸の限局した浮腫性壁肥厚や口側小腸の拡張、腹水貯留を認めた。いず れも絶食で保存的加療を行ったが、そのうち2例は腹痛と腹部膨満感が強 く、プレドニゾロンの投与を行った。 考察 ここ数年の消化管アニサキス 症の急増の原因としては、地球温暖化がまねく海水温上昇による個体数の 増加、流通の発達や人々の美食嗜好の向上による摂食機会の増加が要因の 1つとして挙げられる。また、CTなど画像診断能力の向上も発見機会を増 加させていると考える。今回検討した17例のうち13例が腹部CT検査や腹 部超音波検査で事前にアニサキス症疑いであると指摘できた。胃炎や腸炎 として見過ごされてきた消化管アニサキス症の存在も示唆される。 10602

P-020

当院における大腸癌に対する経肛門的イレウス管 留置術についての検討 西神戸医療センター 消化器内科 ○島田 友香里,井関 隼也,井上 貴裕,浜田 健輔,荒尾 真 道,徳永 英里,隅野 有香,吉田 裕幸,安達 神奈,林 幹人, 井谷 智尚,三村 純 は じ め に 2012 年 1 月 に 大 腸 癌 に よ る イ レ ウ ス に 対 し self-expandable metallic stentが保険診療として使用可能になり、全国で緊急手術を回避す る目的に術前一時留置が積極的に行われるようになってきている。しか し、大腸ステント留置術は手技の難易度も高く、また全ての医療機関で施 行可能ではないため経肛門的イレウス管留置術(以下イレウス管留置術)は 大腸ステントが普及しても必要な手技であることには変わりない。 対象 2009年1月から2014年10月までの期間に当院で施行した大腸癌によるイレ ウスに対しイレウス管留置術を施行した22例について検討した。 結果 症 例は男性16例、女性6例。平均年齢は66.5歳(28∼88歳)。病変部位は横行 結腸1例、下行結腸7例、S状結腸12例、直腸2例。処置は全例透視下で施行 し、CREATE MEDIC社製CLINYイレウスチューブ 22Frを使用した。処 置の成功率は86.4%(19/22例)、不成功率13.6%(3/22例)であった。不成 功症例3例のうち、2例(直腸症例1例と横行結腸症例1例)では狭窄部をガイ ドワイヤーが越えず断念。このうち直腸症例では緊急手術が施行された が、横行結腸症例では経鼻イレウス管留置に切り替えることで後日一期的 手術が可能となった。残る1例では手技の最中にガイドワイヤーで腫瘍肛 門側の健常粘膜が 孔し中止となった。また、成功例のうちの1例でも、イ レウス管留置術後3日目に 孔が確認され緊急手術となった。 孔部は腫 瘍の潰瘍底であり、イレウス管留置術との関連は不明である。 結論 経肛 門的イレウス管留置術は一般病院でも施行可能な手技であるが、大腸ステ ントと同様に緊急手術を必要とする合併症を引き起こすこともあり、外科 と協力体制をとりながら注意して施行する必要がある。 10000

P-019

悪性大腸狭窄に対する大腸ステント留置術;留置 後合併症の比較検討 新座志木中央総合病院 外科1) ,新座志木中央総合病院 内科2) , TMG宗岡中央病院 外科3),聖マリアンナ医科大学 消化器・一般 外科4) ○奈良橋 喜芳1,4),新戸 禎哲2),黒澤 貴志2),吉野 美幸1),小島 啓夫1) ,水野 真之2) ,多賀 誠1) ,古市 好宏2) ,澤田 孝繁2) ,岡田 了祐1) ,西田 二郎1) ,長嶋 隆2) ,松浦 直孝2) ,佐藤 滋3) ,吉田 紘一1) ,大坪 毅人4) 2012年4月∼2014年10月に当院で内視鏡的大腸ステント挿入術を施行し た悪性大腸狭窄患者30例に対しステントデバイス毎の留置術後の合併症, 術前留置の場合には根治手術後の合併症も含め検討を行ったのでここに報 告する. 使用ステントはWallflexTMColonic Stent(Boston Scientific; 以下

W)とNiti-S Enteral Stent(Taewoon Medical; 以下N)で, 留置目的別では 術前閉塞解除群は W群9例, N群9例, W群では2例で開腹時にステント留置 部口側フレアの露出(不顕性 孔)を認め, N群では術前の口側遠隔腸管の 高度拡張に伴う遅発性 孔に対する緊急手術が1例, 小腸高度拡張に伴う 経鼻イレウス管併用が1例, ステント拡張不良による経肛門チューブの追 加挿入が1例見られた. 上記の合併症併発例は全例屈曲部の留置であり, 上記以外では全例で挿入直後より経口摂取が可能であった. 根治術後の合 併症では縫合不全は両ステント群とも認めず, SSIはW群で1例, N群で2例 , 術後イレウスはW群で1例, N群で2例に認めた. 緩和的閉塞解除群はW 群6例, N群6例で, W群ではmigrationによる追加挿入が1例, ingrowthによ る追加挿入が2例, 追加挿入後の 孔を1例認めたが保存的治療にて改善し , N群では合併症は認めなかった. 緩和的留置群の全症例で原病悪化まで 外来通院が可能であった. Niti-Sステントは緩和的留置において合併症が みられなかったこと, 術前留置では重度のイレウスの場合に他の減圧方法 を併用することでWallflex ステントと比較して安全に施行できるのではな いかと推測された.

(7)

10815

P-022

当院での大腸ステントBridge to surgeryの成績と 合併症の検討 独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 外科1) ,北里大学 外 科2) ○細谷 智1) ,金澤 秀紀1) ,桑野 紘治1) ,大越 悠史1) ,林 祥子1) , 中込 圭子1) ,根本 昌之1) ,飯塚 美香1) ,坂本 友見子1) ,石井 健一郎1) ,井上 準人1) ,金田 悟郎1) ,渡邊 昌彦2) 2011年7月に米国製の大腸用ステントの薬事認可が承認され,2012年から は保険収載の上で,大腸ステントが使用可能になった.当院では2012年10 月より大腸癌患者のイレウスに対し,大腸ステントを使用し始め,Bridge to surgery(BTS)に24例,姑息的治療として6例に行った.留置の際には大 腸ステント安全留置のためのミニガイドラインに則り,大腸悪性狭窄に伴 う腸閉塞の解除の目的に行っており,直腸は適応外とし,回盲部の狭窄は 造影を行い,ステントを留置できるか判断している.ステントサイズは設 置時に狭窄長を測定し決定している.留置後,狭窄部を造影し 孔の有無 を確認している.処置後は充分な経過観察を行い,翌日に単純レントゲン 写真でステントの位置を確認している.イレウスが解除されれば速やかに 経口摂取を開始し手術までは1週間以上空けている.ステント留置(30例) に伴う合併症としては,保存的治療で改善した出血を1例, 孔1例, migration1例,狭窄1例を認めた.BTSを行った24例のうち,上行結腸癌3 例,横行結腸癌3例,下行結腸癌3例,S状結腸癌11例,直腸癌(RS)4例で全 症例に腹腔鏡下手術を行う事が出来た.術後合併症は,創感染1例,縫合不 全1例,腸閉塞1例であった.術後SSIを発症した1例を除き,術後6∼10日で 退院しており,ステントを必要としない症例とほぼ同等の成績を得られて いる.当院で行った大腸癌イレウスに対する大腸ステント留置術におい て,多くの症例においては良好な成績が認められた.しかしながら,一部 では 孔や縫合不全が認められた.今回は合併症を発症した症例を提示し 検討を行う. 10873

P-021

当院における緩和治療目的での大腸ステント留置 術の検討 済生会横浜市南部病院 消化器内科1) ,済生会横浜市南部病院 外 科2) ○京 里佳1),齋藤 修治2),川名 一朗1),金田 義弘1),三箇 克 幸1),林 公博1),芹沢 ありさ1),服部 純治1),山田 英司1),渡邉 誠太郎1) ,所 知加子1) ,菱木 智1) ,池 秀之2) 目的 2012年に大腸ステントが保険収載となり、悪性大腸狭窄に対する大 腸留置術が広く行われるようになってきており、有用との報告が多数みら れるようになった。従来、耐術能のない症例においては、消化管通過障害 を来すと絶食のまま症状緩和目的に経鼻胃管、イレウス管、経肛門的イレ ウス管などの留置を行い、最後までその状態を強いられることが少なくな かった。このような症例に対して当院では緩和目的の大腸ステント留置を 積極的に行っている。当院での緩和目的の大腸ステント留置につき報告す る。 方法 2012年10月から2014年10月までに緩和目的に大腸ステントを留 置した23症例につき患者背景、原疾患、留置部位、偶発症、留置後の経過 などにつき検討した。 結果 患者背景は男性14例、女性9例、年齢中央値81 歳(61∼90歳)、留置部位は上行結腸1例、横行結腸3例、脾弯曲部1例、S状 結腸13例、直腸S状結腸接合部3例、直腸2例。原疾患は大腸癌20例、胃癌2 例、膵癌1例。狭窄長は中央値4.5cm(2∼15cm)。ステントは9例でWall-flex colonic stent 径22m 12cm1例、6cm8例、Niti-S大腸用ステント径 22mm 12cm2例、10cm6例、8cm3例、6cm3例。留置時間は中央値35分 (19∼90分)。手技的成功率92%(23/25)、臨床的成功率100%で全例で翌日 には飲水開始となっており、ステント留置後にCROSS3以上となるまでの 中央値は3日(1∼9日)であった。留置後7日までの早期合併症は認めなかっ た。留置後8日以降の合併症は2014年10月現在までに 孔1例のみであっ た。 考察 耐術能のない症例において悪性大腸狭窄による消化管通過障害 の症状緩和目的に大腸ステントは容易に留置が可能であり、留置後早期よ り経口摂取が可能となる。留置後の偶発症も比較的少なく、末期に至るま で患者のQOLを保つことができ有用と考えられた。 10346

P-024

通過障害が高度で根治切除不能な大腸がん3例に 対する大腸ステント留置後薬物療法の検討 諏訪赤十字病院 腫瘍内科1) ,諏訪赤十字病院 消化器科2) ○進士 明宏1) ,大野 和幸2) ,渡邊 一弘2) 緒言 大腸の悪性狭窄に対する選択肢は原発巣を摘出しない場合、ステン ト留置か人工肛門造設となる。目的および方法 当院で、根治切除不能で 通過障害のある大腸がん患者に対して、ステント留置後に薬物療法を行っ た3例(2014/8∼10)の臨床経過を検討した。症例1 64歳、男性。直腸癌で 高度狭窄あり、多発肝転移および腹膜播種巣を認め、根治切除不能。6cm 22mmのステントを留置し、翌日から水分、翌々日に食事を開始して退院。 処置後8日後からCapecitabine投与を開始。処置時間は生検その他を含め て35分であった。入院3日間のDPC/出来高比率は94.1%であった。症例2 81歳、男性。高度狭窄を呈するS状結腸癌で、多発肝転移および腹膜播種 巣があり、6cmm, 22mmのステントを留置。翌日から水分、翌々日から食 事を開始。別部位の狭窄で一時的にイレウス管留置を要したが、処置後14 日でFOLFOXを導入し、経口摂取可能となり、第43病日に退院。処置時間 は同35分であった。DPC/出来高比率は115.83%だった。症例3 69歳、男 性。高度狭窄を呈するS状結腸癌で、多発肝転移および周辺筋肉への直接 浸潤があり切除不能で、9cm 22mmのステントを留置し、翌日より水分、 翌々日から経口摂取を開始。処置後10日でFOLFOX導入し、第15病日に 退院。処置時間は同32分であった。DPC/出来高比率は106.66%だった。 まとめ ステント留置は診断も含めて30分程度で施行可能で、食事摂取ま では数日しか要さず、使用薬剤の制約はあるが早期に薬物療法を導入でき るメリットがある。ただし、今回は短期的な観察で、治療著効例での逸脱 や再狭窄などの問題が表出しておらず、デメリットを含めた有用性は今後 の検討を要する。なお、病院収入の面からは入院期間が長い方がDPC/出 来高比率が高い傾向にあった。 10947

P-023

当院における悪性大腸狭窄に対するステント留置 例の検討 明石医療センター ○佐々木 一就,ヤハヤ ベンスレイマン,藤本 和世,林 賢一, 安藤 純哉,花房 正雄,門 卓生,吉田 志栄,原野 雄一,名 生 諭史,中島 卓利,吉田 俊一,澤井 繁明 目的 2012年に大腸ステントが保険収載となり,当院で施行した大腸ステ ント留置術について治療成績を報告し,有用性と問題点を明らかにする. 方法 当院において2012年4月∼2014年9月までに大腸ステント留置術を試 みた34例を対象とし,患者背景,留置部位,処置時間,合併症,留置後の 経過などについて検討した. 結果 患者背景は男性21例,女性12例,年齢 中央値は,72.0(53∼94)歳,留置部位は上行結腸5例,横行結腸5,下行結 腸5例,S状結腸14例,直腸4例,留置ステントはWallFlex18例,Niti-S16例 を使用した.狭窄の原因は原発性大腸癌31例,膵臓癌結腸浸潤1例で,留置 目的は,bridge-to-surgery(BTS)が21例,palliative(PAL)が13例であった. 手技成功率は,90.9%(33例中30例)であり,留置の合併症は,横行結腸の 1例において,盲腸憩室の 孔を認め,また,S状結腸の2例において,ガイ ドワイヤー操作による 孔を認めた.留置例できた30例の,処置時間中央 値は,35(15∼165)分であり,また,経口摂取再開までの期間は2.0(0-6)日 で,大腸閉塞スコア(CROSS)中央値は留置前1.5から留置後3.4と改善し た.当院で待機的に手術を施行した15例においては,すべて一期的切除が 可能で縫合不全は認めなかった.1例において,ステント留置後に化学療 法を先行させ約半年後に手術を行った.その他の14例の手術までの待機期 間中央値は,14(7-47)日であった.また,姑息的留置症例において,2例で それぞれ留置後153日と180日で腫瘍浸潤により再留置を要したが,開存期 間が400日を超える症例も認めた. 考察 大腸狭窄に対するステント留置 術は効果発現が早く低侵襲であり患者QOLの向上が得られ,有効な手技と 考えられた.また,手術までの栄養状態の維持が見込め,ステント閉塞や 逸脱のリスクは低く,緩和目的に長期留置も可能であった.しかし 孔例 も経験しており,安全な手技の習得や適応の判断が必要である.

(8)

10692

P-026

腹膜播種合併4型胃癌による幽門前庭部狭窄と大 腸狭窄に対してdouble stentingを行い、化学療法 を継続することが可能であった1例 九州医療センター 消化器科臨床研究センター ○向坂 誠一郎,川元 美緒,倉重 智之,小島 芙沙子,和田 将史,畑 佳孝,藤井 宏行,井星 陽一郎,樋口 野日斗,藤森 尚,國府島 庸之,隅田 頼信,吉本 剛志,河邉 顕,福泉 公 仁隆,原田 直彦,中牟田 誠 症例 59歳、男性。 現病歴 X-1年より 怠感が出現。その後、体重減少 と食後膨満感を伴ったためX年1月に前医を受診。2月、上部消化管内視鏡 検査で胃癌と診断されたため、当科を紹介受診した。 入院時検査 WBC: 6800 /μl, Hb:15.5 g/dl, PLT: 20.5 /μl, TP:7.7 g/dl, Alb:4.7 g/dl, CEA:1.9 ng/ml, CA19-9:13 IU/ml。上部消化管内視鏡検査及びCT検査 で幽門前庭部に全周性狭窄を認め、生検で印環細胞が認められ、4型進行癌 と診断した。大腸内視鏡で腹膜播種によると思われる多発狭窄を認めた。 臨床経過 高度狭窄を来たした幽門前庭部と大腸脾弯曲にdouble stenting を行った。食事摂取と便通が改善した後、CDDP+S-1による化学療法を 開始した。3コース終了までに幽門前庭部留置ステントにin-growthによ る内腔狭窄を2度認め、いずれもstent-in-stentで狭窄を解除しえた。CTに て腫瘍の増大傾向を認めたため、2次治療としてCPT-11を開始した。その 後、治療反応性良好で2コース終了時点で有害事象は発生していない。4型 胃癌、幽門前庭部狭窄と高度腹膜播種による多発大腸狭窄症例は手術によ る狭窄解除が困難であり、経口摂取を断念し中心静脈栄養管理となること も少なくない。今回我々は胃と大腸にpalliative目的でdouble stentingを行 い、化学療法を継続することが可能であった症例を経験したので文献的考 察を含め報告する。 10403

P-025

大腸癌イレウスに対する金属ステント挿入が有用 であった人工透析患者の1例 東京女子医科大学東医療センター 外科1) ,東京女子医科大学東医 療センター 検査科2) ○佐竹 昌也1),吉松 和彦1),横溝 肇1),矢野 有紀1),中山 真 緒1),岡山 幸代1),松本 敦夫1),藤本 崇司1),浅香 晋一1),山口 健太郎1) ,塩澤 俊一1) ,島川 武1) ,勝部 隆男1,2) ,加藤 博之2) , 成高 義彦1) はじめに 大腸癌イレウスに対する金属ステント挿入が保険適応となり、 緊急手術を回避、減圧および口側腸管の観察後に一期的に手術することが 可能となった。一方、人工透析患者では周術期管理の面から可能な限り待 期手術が望ましいと考える。今回我々は、人工透析患者の大腸癌イレウス に対し金属ステント挿入が口側腸管の観察や周術期管理に有用であった1 例を経験したので報告する. 症例 61歳男性。糖尿病性腎症で51歳時より 人工透析を受けている。2014年8月初旬より便通異常を自覚、腹痛も認め 前医を受診した。CT検査でS状結腸癌によるイレウスの診断で当院に転院 となり、緊急手術回避目的に金属ステントを留置した。留置後より多量の 排便を認め、症状は速やかに改善した。根治手術前の大腸内視鏡検査では、 閉塞部口側より横行結腸までの口側腸管は閉塞性腸炎を認めた。速やかな 改善は困難と考え、閉塞性腸炎口側の健常腸管にクリップを留置し口側切 離線のマーキングとした。ステント留置約4週間後に結腸左半切除術を施 行した。病理学的所見はT3,N1,M0でfStage3aだった。術後は合併症なく 経過、術後第18病日に退院した。 結語 大腸癌イレウスでは吻合をためら う場合も多いが、人工透析患者の周術期管理では、循環動態も不安定で、 可能であれば緊急手術を回避することが望ましい。本症例ではステント挿 入でイレウスを改善後、口側腸管の状態の観察により切除範囲を決定し、 一期的に根治切除吻合が可能であった。大腸癌イレウスに対する金属ステ ント挿入が有用であったと考え報告した。 11393

P-028

StageIV閉塞性大腸癌に対しステント留置後に化 学療法を施行した1例 地方独立行政法人 りんくう総合医療センター 外科 ○今里 光伸,金 浩敏,宇治 公美子,藤井 亮知,藤井 仁, 西谷 暁子,山村 憲幸,飯干 泰彦,位藤 俊一,伊豆蔵 正明 背景 閉塞性大腸癌に対して緩和目的に大腸ステント留置が広く行われつ つある。また新規抗がん剤の登場やレジメンの開発に伴い、StageIV大腸 癌での生存期間が延長してきており、ステント留置後の化学療法施行症例 が今後増加すると考えられる。今回StageIV閉塞性大腸癌に対しステント 留置後に化学療法を施行した1例について報告する。 症例 79歳男性、 PS1。両下肢の浮腫増強のため当院内科受診。胸腹部CT検査にて肝・肺・ 縦隔および腹部傍大動脈の多発結節像とS状結腸の壁肥厚を指摘され、当 科紹介受診。下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に狭窄を伴う3型病変を 認め、StageIV大腸癌と診断し大腸ステント(WallFlex metallic stent)留置 術を施行。大腸ステント留置後7日目に退院され、21日目より化学療法 (UFT+LV+Panitumumab)を開始した。以後化学療法に伴う有害事象 (Grade1∼2)を認めているが、大腸ステントに関連した合併症は認めてい ない。大腸ステント留置から約150日経過して化学療法計5コース終了し た。抗腫瘍効果はSDであり、現在も外来通院にて治療継続中である。 結 論 StageIV閉塞性大腸癌に対しステント留置により早期から化学療法が 導入可能であり、QOLを損なうこと無く比較的長期間の生存が期待できる と考えられる。しかしステント留置後の化学療法施行についての有用性や 安全性の検討は十分になされておらず、 孔等の合併症もあり注意が必要 である。 11067

P-027

大腸ステント留置後、深部結腸の病変に内視鏡治 療を施行した2例 岩手県立胆沢病院 消化器内科 ○諸井 林太郎,高橋 壮,市川 遼,永井 博,新海 洋彦,石 山 文威,矢口 圭,萱場 尚一 背景 本邦でも大腸癌によるイレウスに対し自己拡張型金属ステント (SEMS)が保険収載され、広く使用されている。ステント挿入後、深部結 腸の評価を行う報告が本邦でも増加しつつあるが、現在のところ深部結腸 に病変が発見されても、外科手術を優先するケースが多いと思われる。今 回我々は大腸ステント挿入後に深部結腸の評価を行い、病変を認めた2例 に対し外科手術前に内視鏡治療を施行した。今後の大腸ステント挿入後の 治療戦略に新たな可能性を提示する症例と考えられ、報告することとした。 症例1 83歳男性。閉塞性S状結腸癌に対しNiti-S®80×22mmを留置した。 深部結腸の観察を行い、上行結腸肝彎曲に30mm大の0-Is病変、下行結腸 に径30mm程度のIIa+IIcを認めた。患者にステント逸脱などのriskを説明 し、同意が得られたため外科医師と協議のうえ外科手術前に内視鏡治療 (ESD)を施行した。上行結腸の病変は筋層が挙上しており、剥離できず断 念した。下行結腸の病変はESDを完遂した。病理結果はadenocarcinoma (tub2)with adenoma component, pTis(M), ly-,v-で治癒切除であった。 後日S状結腸切除術、右結腸切除術が施行された。上行結腸の病変はm癌 であったが、筋層が挙上しているのが確認された。 症例2 80歳男性。閉 塞性直腸癌に対し、Niti-S®80×22mmを留置した。深部結腸の評価を行 い、上行結腸に径15mmの0-IIa病変、横行結腸に径20mmの0-IIa病変を認 めた。内視鏡治療(EMR)を施行した。病理結果は上行結腸の病変がtubu-lar adenoma with moderate to severe atypia(high grade)、横行結腸の病変 が adenocarcinoma(tub1>tub2), pTis(M), ly-,v-でともに治癒切除で あった。 考察 ステント挿入部より深部結腸の病変に対し、内視鏡治療を 行うことは安全性やステント逸脱のriskからcontroversialであると思われ るが、症例1のように外科手術後に内視鏡治療を行った際に2回目の手術を 要する症例も存在すると考えられる。今後症例数を増やし詳細な検討を行 う必要があると考えられた。

参照

関連したドキュメント

50 日本大腸肛門病会誌 第 71 巻抄録号 2018 年 10 月・第 73 回学術集会抄録号 一 般 演 題 ポ ス タ ー 一般演題(ポスター) 第 1 日目・9 日(金) ポスター会場 本館

第 2 日 ポ ス タ ー II−P−121 2型糖尿病に対するシタグリプチンからリナグリプチンへ の投与変更による効果 梶 明乃,粟根 尚子,安部

演題 番号 演者 所属 演題 P-21 吉田 美智子 国立成育医療研究センター

一般演題 ポスター96 P96-3 進行食道癌に対する根治的 CRT 後の転 移リンパ節遺残に対して Appleby 手術 を施行した

【緒言】 進行性の神経疾患を有する児では、神経機能障害の進行に

当院では、2013年に岐阜県で初めて婦人科と泌尿器科の境界領域疾患に対応

MSW、臨床心理士、管理栄養士で構成されており、主治医・病棟看護師が主

【概要】旧システムにおける問題点は、看護処置オーダー「看護指