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スペックルを用いた歯の粗さ計測装置の開発

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Academic year: 2021

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(1)

スペックルを用いた歯の粗さ計測装置の開発 

スペックルを用いた歯の粗さ基礎計測の検討 

内野正和*1  藤崎  渉*2   栗原えりこ*3   松田健次*4  小関健由*5  

Development on Measurement System of Tooth Roughness using Laser Speckle

Investigation of Fundamental Measurement of Tooth Roughness using Laser Speckle Masakazu Uchino, Wataru Fujisaki, Eriko Kurihara, Kenji Matsuda, Takeyoshi Koseki

 

  歯科医療における歯の粗さ評価は虫歯予防の重要な試験の一つである。本研究では歯表面の粗さを正確に評価す るための新しい計測方法の基本的特性の検討を行った。歯の表面粗さを客観的に判断する方法としてスペックルパ ターンを利用した。計測装置を試作し,歯に一様な粗さを加えた試験片と金属の標準粗さ試験片の比較計測を行っ た。計測結果よりスペックルパターンと歯の表面粗さとの間に金属の場合と同様の良い相関と金属面とは異なる反 射の形態が見られた。 

    1  はじめに 

Object

  歯科医療の分野では器具を利用した歯の粗さ評価は,

クラウン装具や樹脂加工の最終仕上げに置いて重要な 試験の一つである。仮に表面状態が粗く虫歯菌が付着 し易いような場合,そこから虫歯が生じることが考え られる。そのため虫歯予防医療の観点から歯の表面粗 さを測定することが非常に重要である。   

about 10 mm

  レーザを粗面に照射するとスペックルパターンと呼 ばれる明暗の斑点模様が発生する。スペックルパター ンは粗面の状態に応じて広がることが分かっており,

この原理を利用することで表面粗さの評価ができる。

この方法は金属材料に多く利用され,金属の表面粗さ を準定量的に評価することが可能である。本研究では レーザスペックル計測を歯科医療の分野に適応し,歯 の表面粗さを客観的に評価するための基礎的な研究を 行う。まずは,計測装置を試作し,金属の標準粗さ試 験片の計測を行い,装置の有効性を検証し,歯の表面 に一方向に種々の粗さの溝を加えた試験片の計測を行 い,スペックル計測の有効性を評価する。 

 

2  実験と解析 

2-1  装置の試作と金属試験片の計測 

  図−1に今回用いたレーザスペックル粗さ計測装置 の概略図を示す。この装置はフォーカスレンズ付きの

半導体レーザ(670nm,0.9mW),磨りガラス,CCD カメ ラで構成している。レーザ光はレンズにより試料表面 に焦点が合うように調整されている。試料上でのスポ ットサイズは,約 0.5mm である。試料表面で散乱・反 射された光は磨りガラス上に投影され,その像は CCD カメラにより取り込まれる。取り込まれた画像の大き さは 320x240 画素で,1画素の強度は 8bit のグレース ケールである。試料から磨りガラス,磨りガラスから CCD カメラまでの距離はそれぞれ 10mm,50mm である。

金属の標準粗さ試験片を用いて計測されたスペックル パターンの一例を図−2に示す。この金属の標準粗さ 試験片は水平方向に沿った方向に一様粗さ(Ra:0.10 μm)が加えられており,そのため垂直方向に広がる様 子が観察される。本研究では広がりを評価する方法と して相関法を利用した。 

最もスペックル強度が高い部分を中心とした

NxN

CCD

図−1  計測システムの概略図 

Ground

Diode laser  Focus lens 

about 50 mm 

Image processing board,

*1  機械電子研究所 

*2  九州産業大学 

*3  九州歯科大学 

*4  九州工業大学 

*5  東北大学 

(2)

素のサブセットを基準とし,以下の式を用いてそのサ ブセットの相関関数を画像全体に渉って求める。 

20 0 pi xe ls

∑ ∑

 

= =−

+ +

− + + + +

=

M

M i

M

M j

j Y i X I j v Y i u X I

C ( , ) ( , )

(1) 

  ここで

N=2M+1

C

は相関関数,

I(X,Y)

は画像の

(X,Y)

点での強度である。

u,v

はそれぞれ

x,y

方向の移 動画素量である。

x,y

方向に任意に1画素毎移動さ せながら相関関数を計算する。図−3に図−2の画像 を利用して相関関数分布を求めた結果を示す。サブセ ットの大きさは 41×41 画素で,

u,v

はそれぞれ

X-100

から

X+100

まで,

Y-100

から

Y+100

までの値をとる。

スペックル画像に比べて,非常になめらかな強度分布 が得られた。 

200 pixels

図−2  金属標準粗さ試験片 (Ra 0.10 

µ

m)  のス ペックルパターン画像 

  図−4に種々の一様粗さを持つ金属試験片(Ra:0.01,

0.10,0.20,0.57μm)の相関分布計測結果を示す。相 関分布では画像中心の相関関数が他の位置での相関関 数に比べて非常に高くなるため,図−4の横軸は画像 中心から1画素分下の位置を原点とし鉛直下向きの位 置での相関関数をプロットしている。また,縦軸の相 関関数は任意の値である。図−5(a)に図−4のデータ に対して曲線近似を行った結果を示す。相関関数

C(ρ)

 と位置

ρ

の近似曲線は次式を用いた。 

 

C ( ρ ) = exp ( a ρ

2

+ b ρ + c ) + m

    (2) 

 

また,比較を明確にするために図−5(b)に図−5(a) の近似曲線を次式を用いて変換した結果を示す。 

( C m

 

) c

C ' ( ρ ) = ( ρ ) − / exp ( )

      (3) 

 

表面粗さが粗くなるにつれて曲線に傾きが緩やかにな る傾向があり,本手法により粗さを評価できることが 確かめられた。 

2-2  歯の計測 

  歯の計測試料として牛歯を用いた。試験片は測定面 の大きさが 10mm 角程度になるような直方体に切り出 し,測定面を通常の歯の表面と同様にするために研磨 を行った。(この試験片を T-C とする。)次に,T-C の 試験片に粗さの異なるサンドペーパ(#1500,#800,

#120)を用いて一方向に溝を加えた。(それぞれの試験 片を T-1500,T-800,T-120 とする。)T-C,T-1500,T-800,

T-120 の表面粗さ(Ra)は,それぞれ約 0.02,0.10,

0.27,1.21 μm である。図−6に T-1500 のスペック ル画像と相関画像を示す。金属の場合と同様に相関画

像では滑らかな分布が得られた。しかしながら歯から 反射したスペックル画像では金属の場合とは異なる広 がりを示しており垂直方向の広がりに加えて,垂直方 図−3  金属標準粗さ試験片 (Ra 0.10 

µ

m)の  相関画像 

201 pixels

center pixel point

20 1 pi xe ls

0 0.1 0.2 0.3 0.4

0 20 40 60 80

Ra 0.57 Ra 0.20 Ra 0.10 Ra 0.01

C [a. u. ]

Position ρ [pixel] 

図−4  種々の金属標準粗さ試験片の相関画像を利 用した解析結果   

(3)

向の広がりに加えて円形状の広がりが観察された。こ の原因として歯からの反射には2通りの形態があり,

一つは金属と同様に歯表面での反射(垂直方向の反射),

もう一つはレーザ光の一部が歯の表面層を透過し内部 での散乱・反射(円形状の反射)である。図−7に T-C,

T-1500,T-800,T-120 のスペックル画像を示す。図よ り,表面での反射は表面粗さが増加するにつれて垂直 方向の広がりは大きくなり,T-120 のように粗くなり すぎると観察できなくなる傾向が確認される。一方,

円形状の広がりは粗さが大きくなるにつれて大きく広 がる傾向が観察された。図−8に T-C,T-1500,T-800,

T-120 の相関関数を利用した広がりの解析結果を示す。

図−8(a)は図−4と同様にして相関関数を求めた結 果で,図−8(b)は式(2),(3)を用いて変換した近 似曲線である。粗さが増加するにつれて表面での反射 よりもむしろ円形状の反射の影響が大きくなる傾向が あるため金属の近似曲線と比べると異なる近似曲線が 得られた。しかしながら,金属試験片の場合と同様に 粗さが増加するにつれて曲線の傾きが緩やかになる傾 向が見られ,本計測法を利用することで計測が可能で あることが確かめられた。 

  3  まとめ 

 

歯の粗さを準定量的に評価することを目的としてレ ーザスペックル計測装置の試作を行った。金属の標準 粗さ試験片と一方向に溝を加えた歯の試験片の計測実 験を行った。結果として本手法によりスペックルパタ ーンの広がりと歯の粗さの間に良い相関が得られるこ 図−6  耐水ペーパ(#1500)で一方向に溝を付 けた歯の試験片の計測結果; (a) スペックルパタ ーン画像, (b) 相関画像.    

(a) Speckle pattern 200 pixels

20 0 pi xe ls

0 0.1 0.2 0.3

0 20 40 60 80

Ra 0.57 Ra 0.20 Ra 0.10 Ra 0.01

C) [a . u .]

ρ [pixel]

 

20 1 pi xe ls

(a)

(b) Correlation function image 201 pixels

図−5  種々の金属標準粗さ試験片を計測した解 析 結 果 の 近 似 式 に よ る 比 較 ; (a) 

C(ρ)  =  exp(aρ

2

+bρ+c)+m

,  (b)  converting  (a)  in  the  equation 

C’(ρ) = (C(ρ) –m)/exp(c)

    

C’)

(b) ρ [pixel]

 

0.25 0.5 0.75 1

Ra 0.57 Ra 0.20 Ra 0.10 Ra 0.01

0

0 20 40 60 80

(4)

と確かめられ,スペックルパターンを利用した計測方 法の有効性が確かめられた。しかしながら,歯から得 られるスペックルパターンの反射には金属の場合とは 異なり2つのパターンが組み合わさっていることが確 認された。一つは金属と同様で表面粗さに依存する垂 直方向の反射パターンで,もう一つは円形状の反射パ ターンである。歯の計測を行う上で歯からの異なるパ ターンの反射を評価することが重要であると考えられ る。今後は,ランダムな方向に溝を付けた歯の試験片 を計測し,反射パターンを考慮しながら歯の粗さ計測 の特性評価を行う。 

   

4  参考文献 

1)T.Yoshimura and K.Nakagawa:Opt. Commun., 60  p.139(1986) 

2) D.J.Shertler and N.George:Opt.Lett., 18 p.391  (1993) 

3) A.Kato, Y.Z.Daid and F.P.Chiang:JSME int. J.,  34 p.374(1991) 

4) A.Kato, M.Kawamura and K.Ito:J.JSNDI, 44 p.529  (1995) 

5) P.Lehmann, S.Patzelt and A. Schöne,Appl:Opt.,  36 p.2188(1997) 

6) P.Lehmann, Appl:Opt., 38 p.1144(1999)   

T-C T-1500 T-800 T-120

図−7  歯の基準試験片(T-C)と耐水ペーパ(#1500, #800, #120)により一方向に溝を付 けた試験片のスペックルパターン画像   

図−8  歯の試験片の解析結果; (a) 計測結果, (b)近似式による変換結果. 

ρ [pixel]

 

C) [ a . u.]

(a) 0

0.1 0.2

0 20 40 60 8

0.3

0

0 0.25 0.5 0.75 1

0 20 40 60 80

120 800 1500 C 120

800 1500 C

C')

ρ [pixel]

 

(b)

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