緒 言
緩和ケアは,生命を脅かす疾患のすべてのステージにお いて提供され1, 2),患者や家族が抱える複雑な苦痛を緩和 するために,さまざまな医療従事者が連携するチームによ るアプローチが必須である1, 3). がん治療においては,外科療法や化学療法,放射線療法 など,治癒ならびに生命予後を延長するための治療が行わ れる.近年では,経口抗がん薬や支持療法の進歩,外来が ん化学療法センターの開設によって,化学療法は外来へ移 行している4).一方で,進行がん患者の 3 分の 2,化学療 法を受けている患者の 3 分の 1 はがん疼痛を抱えており5), がん治療の初期から継続的な緩和ケアを実施するために, 入院・外来を問わず積極的な緩和ケアチームの介入が求め られる. また,終末期に関する調査では,根治不能ながんを患っ た場合,在宅療養を希望する日本人は 6 割と報告されて おり6),スムーズに在宅療養へ移行するうえでも外来での 緩和ケアは重要である. 緩和ケアチームは,さまざまな専門性をもつ医療従事者 が関わり,トータルペインに対応する学際的な医療チーム である3).日本における緩和ケアチームの数は年々増加し, 薬剤師もチームの一員としての役割を担うようになってい る7, 8).緩和ケアチームへの主な紹介理由は疼痛や精神症 状であり,薬物治療は主要なアプローチである9, 10).その 中で薬剤師は,処方設計や投与方法に関するチーム内への 助言や患者・家族への説明,特殊な投与に関する情報提 供,薬剤費,薬剤の廃棄など,適切な薬物治療を支援して いる8, 11). しかし,日本の従来の緩和ケアチームにおいては,薬剤 師は主に入院患者を対象として活動しており,外来患者を 対象とした薬剤師の役割は現在のところ明確ではない. 国立がん研究センター東病院では,医師,看護師,薬剤 師,栄養士,理学療法士など,多職種から構成される緩和 ケアチームが活動している.チームに所属する薬剤師は, カンファレンスへの参加や薬剤に関する他職種への情報提 供のほか,入院患者の処方確認,入院患者・家族への服薬 指導などを行っている.さらに,2011 年 6 月より,緩和 ケア外来において患者・家族との面談を開始した.薬剤師 による面談は,主に緩和医療科医師の診察前に実施し,使 用中の医療用医薬品や一般用医薬品・サプリメントなどの 内服・管理状況の確認や使用効果,および副作用の発現の 有無などを確認している.症状コントロールや服薬管理上 の問題を発見した場合,医師や看護師と相談し,処方提案 や服薬指導を行っている(図 1). 今回我々は,緩和ケア外来における薬剤師の役割を明ら かにすることを目的として,薬剤師による面談で発見され 問合先:沖﨑 歩 〒 277-8577 柏市柏の葉 6-5-1 国立がん研究センター東病院薬剤部 E-mail:[email protected][原 著 論 文]
緩和ケア外来受診がん患者の抱える薬物治療の
問題点と薬剤師の役割
沖﨑 歩
*1, *2元永 伸也
*2松本 禎久
*3三浦 智史
*3市田 泰彦
*2和泉啓司郎
*2加藤 裕久
*1木下 寛也
*3 *1昭和大学薬学部薬物療法学講座医薬情報解析学部門 *2国立がん研究センター東病院薬剤部 *3国立がん研究センター東病院緩和医療科 (2014 年 11 月 25 日受理) [要旨] がん治療では,あらゆる場面で緩和ケアチームの介入が求められる.しかし,日本では,薬剤師の介入 は入院患者に限られ,緩和ケア外来での薬剤師の役割は明らかでない.そこで,緩和ケア外来での薬剤師の役割を 明らかにするため,2011 年 7 月から 2012 年 3 月の間に,国立がん研究センター東病院の緩和ケア外来で薬剤師が 診察前に面談した患者 288 名を対象に,診療録を後方視的に調査した.その結果,167 名(58.0%)に,薬物治療 の効果不十分,自己管理の問題,副作用の対策不足等の問題点が認められた.薬剤別では,医療用麻薬に関する問 題が最も多かった.また,薬物治療の効果不十分とされた問題 50 件中,42 件(84.0%)が薬剤師の介入により改 善したと判断された.一方,独居や老々介護で治療を受ける高齢者も多く,薬剤の把握が不十分な患者もみられた. 緩和ケア外来においても,薬剤師による積極的な支援が必要と考えられる. キーワード: 薬剤師,緩和ケア外来,緩和ケアチーム,薬剤師介入,外来緩和ケア管理料た外来患者が抱える問題点を抽出した.また,抽出された 問題点に対する薬剤師の介入内容およびその効果について 調査した.
方 法
2011 年 7 月から 2012 年 3 月の間に,国立がん研究セ ンター東病院の緩和ケア外来を受診した患者のうち,薬剤 師が診察前に面談した患者 288 名を対象とした.これら の患者の診療録を後方視的に調査し,患者が抱える薬物治 療の問題や薬剤師の介入状況について評価した. なお,本研究は,国立がん研究センター倫理審査委員会 の承認を受けて実施した (承認番号:2012-056). 1. 薬剤師による面談 緩和ケア外来受診前に,待合室あるいは個室で患者・家 族と面談した. 面談の際に収集する情報は,緩和ケアチームに所属する 医師,薬剤師,看護師であらかじめ検討した.検討した内 容から,各疾患や症状に対応する病院内外の薬剤の使用状 況,アレルギー・副作用歴,サプリメント・健康食品・一 般用医薬品の使用の有無,自己管理の可否,その他につい て評価した(図 1). 2. 評 価 項 目 患者背景・疾患データとして,年齢,性別,家族構成, がん種,転移の有無を調査した.また,薬剤の使用状況と して,使用薬剤数,医療用麻薬使用の有無,他院処方の有 無を調査した. 面談時に抽出した問題点は,(1)効果不十分,(2)自 己管理の問題,(3)副作用対策,(4)未治療,(5)処方 不足,(6)その他,の 6 つに分類した.それぞれについ て,問題となった薬剤の分類や理由など,詳細を調査し た. 面談で発見した症状コントロールや服薬管理上の問題に 対し,患者・家族や医師に行った服薬指導や処方提案の内 容について,(a)服薬指導,(b)用法用量の変更・中止の 提案,(c)自己管理の促進,(d)新規・追加処方の提案, (e)情報提供,(f)剤形変更の提案,(g)その他,の 7 つ に分類した.それぞれについて,詳細を評価した. さらに,面談時に抽出した問題点のうち,(1)効果不 十分と分類された問題点に対し,介入した結果および改善 の有無について評価した.評価は,次の外来診察時の医 師,薬剤師,看護師の記録を参照し,1 名の緩和医療科医 師による確認のうえで,改善あり・改善なしに分類した.結 果
1. 患者背景・疾患データ 9 カ月間に薬剤師が緩和ケア外来の診察前に面談した患 者 288 名のうち,167 名(58.0%)が問題点を 1 つ以上有 していた. 年齢は中央値 69 歳(範囲 21 ~ 96 歳)であり,男性が 93 名(55.7%)であった.113 名(67.7%)は転移性の腫 瘍を有しており,肺がん,頭頸部がん,乳がん,肝・胆・ 膵がんが半数を占めるが,さまざまながん種の患者が包含 されていた.167 名のうち,148 名(88.6%)には同居者 がいた(表 1). また,106 名(63.5%)が 65 歳以上であり,そのうち 49 名(46.2%)が,配偶者あるいは配偶者と親といった高 図 1 緩和ケア外来での薬剤師業務の流れ齢者同士で構成された老々介護の状態,12 名(11.3%)が 独居であった(表 2). 2. 薬剤使用状況 面談時に使用していた薬剤数は,定期使用薬と頓服薬を 合わせて中央値で 7 種類(範囲 0 ~ 21)であり,72 名 (43.1%)が 6 種類以上の定期使用薬を使用していた(表 3). 87 名(52.1%)の患者が医療用麻薬を使用しており,ま た 98 名(58.7%)が,併存疾患に対する薬剤を含む他院 からの処方薬も使用していた. 3. 発見された問題点 167 名が有していた問題数は合計で 246 件であり,1 名 あたりの中央値は 1 件(範囲 1 ~ 4)であった. 246 件中 168 件は特定の薬剤またはサプリメントに関す る問題点で,そのうち最も多かったのは医療用麻薬であ り,44 件(26.2%)であった(図 2). 問題点の分類は,(1)効果不十分 86 件(35.0%),(2)自 己 管 理 の 問 題 64 件(26.0%),(3) 副 作 用 対 策 50 件 (20.3%),(4)未治療 16 件(6.5%),(5)処方不足 10 件 (4.1%),(6)その他 20 件(8.1%)であった(表 4). 表 1 患者背景(N = 167)* 中央値(範囲) 年齢(歳) 69(21 ~ 96) 名(%) 性別 男性 女性 同居 あり なし 不明 転移 あり なし がん種 肺・胸膜中皮腫・胸腺 頭頸部 乳 肝・胆・膵 泌尿器 大腸 食道 胃 骨・軟部 その他 93(55.7%) 74(44.3%) 148(88.6%) 18(10.8%) 1( 0.6%) 113(67.7%) 54(32.3%) 43(25.7%) 18(10.8%) 17(10.2%) 17(10.2%) 14( 8.4%) 13( 7.8%) 8( 4.8%) 6( 3.6%) 5( 3.0%) 26(15.5%) * 9 カ月間に薬剤師が面談した患者 288 名中 1 つ以 上問題点を有していた 167 名. 表 2 高齢者の同居の有無・内訳(N = 106) 高齢者(65 歳以上)N = 106 名(%) 高齢者との同居* 非高齢者との同居** 同居なし 不明 49(46.2%) 44(41.5%) 12(11.3%) 1( 0.9%) *配偶者や親など同世代・上世代と同居. **子供や孫など下世代と同居. 表 3 薬剤使用状況* 薬剤使用状況 N = 167 中央値(範囲) 使用中の薬剤数(種類) 7(0 ~ 21) 名(%) 定期使用薬の数 5 種類以下 6 種類以上 不明 医療用麻薬 使用あり 使用なし 他院からの処方薬 あり なし 78(46.7%) 72(43.1%) 17(10.2%) 87(52.1%) 80(47.9%) 98(58.7%) 69(41.3%) * 評価時に確認できた内服薬,坐薬,吸入薬,貼付薬(医 療用麻薬,β刺激薬,硝酸薬)について記録した. 図 2 問題となっていた薬剤またはサプリメント(N = 168)
(1)効果不十分については,疼痛に対して使用中の薬 剤の用法や,用量が不十分なため鎮痛効果が不十分であっ た例がみられ,(2)自己管理については,他院の処方内 容を患者自身が把握しておらず相互作用などの確認ができ ない,といった問題があった.(3)副作用対策について は,複数の施設で重複処方された薬剤が発見されたこと や,患者の理解が不十分であるために副作用の発生につな がる問題点があった.(6)その他については,錠剤や散 剤など嚥下困難で服薬できていない,という問題点も発見 された(表 4). 4. 薬剤師の介入 発見された問題点 246 件に対し,内容に合わせて医師 への処方提案や患者・家族への指導を行った. 介入内容は,(a)服薬指導 74 件(30.1%),(b)用法用 量の変更・中止の提案 52 件(21.2%),(c)自己管理の促 進 50 件(20.3%),(d) 新 規・ 追 加 処 方 の 提 案 46 件 (18.7%),(e)情報提供 18 件(7.3%),(f)剤形変更の提 案 4 件(1.6%),(g) そ の 他 2 件(0.8%) で あ っ た( 表 5). 5. 薬剤師による介入の結果 発見した問題点のうち(1)効果不十分 86 件について, 追跡評価ができなかった 28 件および薬剤師の提案が処方 に反映されなかった 8 件を除外し,50 件を対象に追跡評 表 5 薬剤師の介入内容 介入 N = 246 分類 件(%) (a)服薬指導 (b)用法用量の変更・中止の提案 (c)自己管理の促進 (d)新規・追加処方の提案 (e)情報提供* (f)剤形変更の提案 (g)その他 74(30.1%) 52(21.2%) 50(20.3%) 46(18.7%) 18( 7.3%) 4( 1.6%) 2( 0.8%) * 患者・家族から質問のあったサプリメントや健康食品,メディ アに取り上げられた薬剤について情報を提供した. 表 4 発見した問題点 問題点 N = 246 分類 件 (%) 原因 / 詳細 件(%) 例 (1)効果不十分* 86(35.0%) 疼痛 57(66.3%) 医療用麻薬への抵抗感からレスキュー薬の使用を我慢して いた 便秘 13(15.1%) 塩類下剤と大腸刺激下剤の使い分けがわからず間違って服 用していた 悪心 / 消化器症状 4( 4.7%) 制吐薬の用法がわからなかった 浮腫 2( 2.3%) ステロイドを自己判断で中止していた その他 10(11.6%) 苦みのため漢方製剤を飲んでいなかった (2)自己管理の問題 64(26.0%) 他院からの処方薬不明 48(75.0%) お薬手帳の持参がなく他院処方を把握できなかった 薬剤管理不十分 16(25.0%) 認知機能低下で自己管理が困難となっていた (3)副作用対策 50(20.3%) 悪心 / 消化器症状 12(24.0%) 非ステロイド性抗炎症薬の長期使用中に消化器症状が出現 した 眠気 / 傾眠 10(20.0%) 他院より睡眠薬が重複して処方されていた 腎機能低下 7(14.0%) 非ステロイド性抗炎症薬の長期使用中に腎機能低下がみら れた 錐体外路症状 5(10.0%) D2受容体拮抗薬の長期服用によるアカシジアが発現してい た せん妄 3( 6.0%) 医療用麻薬のレスキュー薬の使用回数増加後にせん妄がみ られた 不要薬剤の継続使用 2( 4.0%) 他院との重複処方で薬剤数が増加していた 便秘 2( 4.0%) 医療用麻薬使用後から便秘が増悪していた その他 9(18.0%) サプリメント使用中に肝機能障害がみられた (4)未治療** 16( 6.5%) 悪心 / 消化器症状 3(18.8%) 病状の悪化による悪心があったが制吐薬を使用していな かった 咳嗽 / 呼吸苦 3(18.8%) 咳嗽があるが鎮咳薬を使用していなかった 疼痛 2(12.5%) 放射線治療後の口腔内疼痛があったが対策できていなかっ た 皮膚乾燥 / 掻痒感 2(12.5%) 皮膚乾燥があるが対策できていなかった その他 6(37.4%) 頭頸部腫瘍からの出血があったが対策できていなかった (5)処方日数の不足 10( 4.1%) 処方日数の不足 10(100%) 医療用麻薬の使用数を記録できておらず処方日数が不足し ていた (6)その他 20( 8.1%) − − 不要になった医療用麻薬の処分についてわからなかった *各症状に対し治療を提供されていたが適切に使用されず,その効果が不十分であったものを「効果不十分」とした. **症状があるがまだ治療を提供されていないものを「未治療」とした.
価した.その結果,42 件(84.0%)に改善がみられた(図 3).改善がみられなかった 8 件中 6 件は,疼痛に対する 医療用麻薬や非ステロイド性抗炎症薬,鎮痛補助薬の調整 についての介入であった.これらはいずれも,コントロー ル困難な疼痛であり,介入後も継続的な薬物や非薬物治療 によるアプローチが行われた症例であった.残りの 2 件 は,介入後も服薬アドヒアランス不良の症例であり,いず れも高齢者であった.薬剤師が介入し,改善がみられた例 とみられなかった例について,症例を提示する(図 4,図 5).
考 察
本研究は,日本のがん専門施設の緩和ケア外来受診患者 が抱えている薬物治療に関する問題点を明らかにし,それ らに対する薬剤師の役割について検討することを目的に 行った. 薬剤師が面談した患者のうち 58.0% が,効果不十分, 自己管理の問題,副作用対策,未治療といった問題を抱え ていた.海外で行われた先行研究では,上記の問題に対し て,服薬指導,用法用量の変更や中止・追加処方の提案と いった薬剤師の介入が行われていた12, 13).本研究では,こ れらに加え,処方日数の調節や剤形変更の提案など,先行 研究ではみられなかった介入も行った.特に効果不十分で あると評価された問題点に対して,きめ細かい介入を行う ことで,約 8 割に改善がみられ,薬剤師による緩和ケア 外来患者に対する介入の有用性が示唆された. 薬剤別にみると,医療用麻薬による疼痛緩和に関する問 題点が最も多かった.入院患者を対象とした従来の緩和ケ アチームの活動においても,症状や代謝・排泄機能など 個々に合わせた投与量の調節が提案されている8).医療用 麻薬による症状緩和を実践するうえで,入院だけでなく外 来患者に対しても,チーム内に薬剤師を含める重要性が示 唆された. 一方,本研究で対象となった緩和ケア外来受診患者の年 齢中央値は 69 歳であり,定期使用薬と頓服薬を合わせた 薬剤数の中央値は 7 種類であった.高齢者では多剤の併 図 3 「効果不十分」と評価された問題点に対する薬剤師の介入 結果 図 4 薬剤の理解と自己管理に問題を認め,薬剤師の介入により改善を認めた例謝 辞
本研究は,国立がん研究センター東病院の薬剤師レジデ ント制度の課程の中で実施されました.薬剤師レジデント 制度を構築し,緩和ケア外来での薬剤師の業務を行うきっ かけを与えてくださった前薬剤部長である遠藤一司先生 (現明治薬科大学客員教授)はじめ薬剤部の先生方に心よ り感謝申し上げます. また,本稿は,第 6 回日本緩和医療薬学会年会(2012. 10.6,7)において優秀発表賞を受賞した内容を含みます. 発表内容について,ご評価いただき,論文執筆の機会を与 えてくださった皆様方に,厚く御礼申し上げます.文 献
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public health perspective. J. Pain Symptom. Manage. 2007; 33: 483-485.
3)Bruera E, Higginson IJ, Ripamonti C, et al. Textbook of Palliative Medicine, 1st ed, CRC Press, 2009; p.245-250. 4)Ando M and Saka H. Estimated number of cancer patients
treated on an outpatient basis in Japan. Jpn. J. Cancer Chemother. 2005; 32: 647-651.
5)Cancer Pain Relief: With a Guide to Opioid Availability. 1996. World Health Organization.
6)終末期に関する調査.2008.厚生労働省.
7)日本ホスピス緩和ケア協会.緩和ケア診療加算届出施設の 推移・累計施設数.[http://www.hpcj.org/what/aboutpcu. html]
8)Ise Y, Morita T, Katayama S, et al. The activity of pallia-
pallia-用,特に 6 種類以上の併用で有害事象が増加するという 報告もあり,注意を要する14, 15).さらに,58.7% の患者が 併存疾患に対する薬剤を含む他院からの処方薬も使用して おり,すべて把握できていない患者も少なからずみられ た.独居や老々介護でがん治療を受ける高齢者も多く,患 者や介護者に対する教育や支援が必要と考えられる. 日本では,2012 年に外来緩和ケア管理料が設置され, 外来における緩和ケアチームの活動が評価されるように なった.この外来緩和ケアチームの条件には,薬剤師を配 置することが明記されており16),薬剤師が入院・外来どち らにおいても,副作用マネジメントを含む症状緩和に継続 的にかかわる存在として役割を果たしていくことが求めら れている.さらに,緩和ケアチームだけでなく病院内外と 連携を図りながら,より安全で適切な薬物治療の実施に努 める必要がある. 本研究の限界として,後方視的調査であり,評価項目は すべて診療録の記録から抽出している点が挙げられる. フォーマットを用いた継続的なデータの収集が必要と考え られ,本研究を基にした共通のフォーマットの作成および 使用を進めている.また,薬剤師による介入結果について は,客観的な指標を用いて評価されることが望ましく,今 後の課題である. 利益相反(COI):なし. 図 5 薬剤の理解と自己管理の問題,認知機能障害を認め 薬剤師の介入により改善が認められなかった例
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Pharmacist’s Role in Palliative Care Outpatient Clinics:
A Record of Pharmacists’ Activity in the Comprehensive
Cancer Center
Ayumi OKIZAKI
*1, *3, Shinya MOTONAGA
*1, Yoshihisa MATSUMOTO
*1,
Tomofumi MIURA
*2, Yasuhiko ICHIDA
*1, Keishiro IZUMI
*1,
Yasuhisa KATO
*3, and Hiroya KINOSHITA
*2*1 Department of Pharmacy, National Cancer Center Hospital East, 6-5-1, Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8577, Japan
*2 Department of Palliative Medicine, National Cancer Center Hospital East, 6-5-1, Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8577, Japan
*3 Division of Drug Information, Department of Therapeutic Sciences, School of Pharmacy, Showa University,
1-5-8, Hatanodai, Shinagawa-ku, Tokyo 142-8555, Japan
Abstract: The palliative care team is often required to intervene in the treatment of cancer patients; however, intervention by pharmacists is limited for hospitalized patients in Japan, and the role of the pharmacist in palliative care outpatient clinics (PCOC) is not clear. This study aimed to show the pharmacist’s role in PCOC. We reviewed the medical records of cancer patients who visited the PCOC at the National Cancer Center Hospital East and were interviewed by a pharmacist from July 2011 to March 2012. We evaluated the patients’ medical problems and the pharmacists’ interventions. A total of 288 patients were included in this study. One hundred and sixty-seven patients (58.0%) had problems such as insufficient medical therapy, problems with self-management, or lack of care for side effects. Narcotic analgesic was the most common cause of medical problems. Of the 50 patients that had insufficient effects of medical therapy, 42 (84.0%) saw improvement after intervention by the pharmacist. On the other hand, many patients were elderly and lived alone, or were supported by their aged spouse or parents, and most did not fully understand their medication. Active intervention by a pharmacist contributed to the treatment of cancer patients in the PCOC.
Key words: pharmacist, palliative care outpatient clinic, palliative care team, intervention by pharmacists, palliative care outpatient clinic management fee