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雑誌名 生薬学雑誌 = The Japanese journal of pharmacognosy

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色彩計による生薬の品質評価(第1報): 粉末生薬の 測定条件と人参類生薬の品質評価

著者 御影 雅幸, 武田 章江, 津田 喜典

雑誌名 生薬学雑誌 = The Japanese journal of pharmacognosy

巻 46

号 1

ページ 1‑8

発行年 1992‑03‑20

URL http://hdl.handle.net/2297/36615

(2)

一丁  報一 生餌縦

 鯉D

薬欲,

 U

学即ト

 ㎞8 雑Z(  a-

 鵠99 誌温湯

 色彩計による生薬の品質評価(第1報)

粉末生薬の測定条件と人参類生薬の品質評価1)

御影雅幸*,武田章江,津田喜典     金沢大学薬学部

E▼alua賦on of伽Crude DrugS by Means of Colorimeter.1.

 S心隔son伽Measuring Co血lition and E▼alua髄on of       Powdered Ginseng and lts Ailies

MAsAyuKI MIKAGE, * AKIE TAKEDA and YosHlsuKE TsuDA

Faculty of Pharmaceutieal Scienees, Kanazawa University, 13-1 Takaramachi, Kanazawa 920, Japan

(Received March 8, 1991)

 The measuring conditions for the evaluation of the qualities of powdered crude dmgs by col-

orimetry vvere exarnined. ln this work, the colors of crude drugs were specihed by the CIE 1976 L’a“b* color system which seemed to be more suitable than other color systems such as the Muncell color system and the CIE 1931 standard colorimetric system for the definition of the color differences. By this method, Ginseng powders of various grades prepared by dif-

ferent procedures were successfully distinguished from each other by their own specific colors.

Powdered crude ’drugs are usqally identified by histological examinations, which, however, do not tell much about the grades or qualities and the procedures for the preparation of the crude dmgs. Now, by analyzing the colors of powdered drugs, it is possible to know such details of the qualities of crude drugs to some extent.

 Keywords一一一rcolorimeter; powdered crude drug; CIE 1976 L*a“b“ color system; particle size; color; ginseng; grade of crude drug

 現在の日本薬局方は,医薬品の判定基準として,色に関しては主観的な表現法を採用している.生薬の色の表示に 関しては,これまでにも種々論議されてきた.村上ら2)は生薬を色票と比色して標準色名で表現し,局方の記載と比 較し,さらにその結果をxy色度図上に示しているが,これらの方法は色名の表現が細かくて利用しにくく,また色 度図上でも個々の生薬を区別するには到っていない.色を客観的に数値で表す試みは古くから行われていたが,生薬 学の分野では個々の薬物内でも変化が大きいために重要視されなかったと思われる.しかし近年色計測機器(色彩 計)が進歩し小型で便利になったので,今回物体表面色を測定する色彩計により,生薬の色による品質評価を試みた.

 従来,色を客観的に表現する手段として,マンセル表色系3a), xyz表色系(CIE 1931表色系)3b)などが利用さ れてきた4).一方,1980年にJIS規格されたし*a*b*(エルスター,エースター,ビースター)表色系3c)は色差を論 じるのに優れ3d),さらにその値からxyZ表色系より色彩をイメージしゃすい利点があるとされている4a).すなわ ちL*a*b*表色系では,L*は明度, a*b*は色相を表現し, L*が大きいほど明るく, a*の+側が赤,一側が緑,

b*の+側が黄,一側が青を表し,それぞれ絶対値が大きいほど色が濃いことを示している.本研究において他の表 色系と比較検討した結果,とくに色差から生薬の品質を論ずる上で優れていることが認められたので,本研究では し*a*b*表色系を採用した.なお,生薬の色の測定にL*a*b*表色系を採用するのは本報が最初である。

 一般に生薬の表面色は均一ではないので,生薬の色を一語で正確に表現するのは困難である.しかし粉末にした場 合には均一化されるため,野呂ら5)も指摘しているように色の表現が可能になると考えられ,本研究ではまず粉末生 薬への応用を試みた.

 個々の生薬の色は基源(原植物,部位,加工調整法など)が同じでも,原材料の個体や調整方法などの違いにより

(3)

当然変化すると考えられるが,一度に大量が処理される市販粉末生薬では基源が同じであれば,生薬の色は一定の範 囲内で安定していると考えられる.このことから各種生薬の基源や品質の差が色に反映されていると予測されたので,

本研究では人参類生薬について検討した.その結果,粉末生薬の原料となった生薬の病源や修治の程度,乾燥方法,

ひいては産地国などが,ある程度判断できることが明らかになった.

実験結果および考察  1.測定機器

 拡散照明垂直受光方式色彩色差計(物体表面色測定用):ミノルタCR-200(光源:パルスキセノンランプ.測定 径=8mm標準光:C光).

 2. 測定方法

 付属品の粉末測定用セル(CR-A50;深さ10mm)を使用.なお粉末は測定面(平坦なガラス面)にむらなく分布 するように軽く押さえて詰めた.また詰める圧力は測定値にほとんど影響を及ぼさないことを確認した.

 3.生薬材料

 使用した実験材料のすべては金沢大学薬学部付属薬用植物園〔KANP〕に保管されている.なお,各種の資料番号 など必要事項については文中や表中に記載した,

 4. 表色系の選択

 色が異なるマオウ末A〔KANP 573,帯緑色〕, B〔214,淡黄褐色〕の色を測定し,それぞれL*a*b*表色感3c),

マンセル表色事3a), CIE 1931表色系3b)で表現すると次のようであった.

 A: (L“a’b“) 68. 54, 一2. 17, 十24. 99

   (マンセル)5.lr,68/3.5

   (CIE) Y38. 71, xO. 3655, yO. 3794  B: (L’a’b*) 63.37, 十3.37, 十23.43    (マンセル)O.・3y,6.2/3.5

   (CIE) Y32. 04, xO. 3764, yO. 3727

 以上のごとく,AとBはし*a*b*表色系ではa*の+一が逆転しており,すなわちAは緑がかりBは赤みのあるこ とが表現されている.マンセル表色系は人の知覚色をイメージするのに優れ,標準色票の上に直接その色彩を見るこ とができるが,色差を数値として表現しにくい.XYZ表色系は測色の標準とされ最も精度が高いが,知覚色のイメ ージが困難で,直接色差を求めることはむずかしい.L*a*b*表色系はもともと色差を表わす1方法としてXYZ表色 系から導かれたものであるが,単色においてもxy:Z系より知覚色のイメージに近い利点が認められる.なお明度に ついては3法ほぼ同様で大きな差は認めない.以上の点から生薬の色彩の表現とともに色差を比較するにはし*a*b*

表亜系が優れていると判断し,本研究ではこれを採用した.なお,有効数字は本研究の目的には少数第1位までで十 分であると判断されたが,測定機器には第2位まで表示され,またし*a*が表色系ではそれが慣例となっているので,

本法においてもそれに従った.

 5.繰返し精度の検討

 色が異なる3種の局方生薬末①チクセツニンジン末〔KANP-539〕,②オウレン末〔475〕,③サンシシ末〔533〕を 使用して測定の精度を検討した.

 1)測定機器の精度:同一試料を一定の状態で連続して5回測定し,平均値と標準偏差を求めた結果,L*a*b*の 順に①では83. 39±0.00,一L22±0.01,+6.05±0.02,②では53.15±α00,+5.93±0.03,+39.07±0.02,③で は40.03±0.02,+10.60±0.04,+25.32±0.03であった.

 2)試料採敢による変動:約50グラムの試料を容積約5倍のガラスビンに入れ,よく振って撹絆した後に試料の一 部を採って測定し,測定後ピソに戻してよく撹搾した後に再度試料採取し測定する手順を10回繰り返した.その結果,

L*a*b*の順に①では83.49±0.08,一1。20±0.04,+15.98±α15,②では52.93±0。20,+6.02±0.11,+39・14±

0.18,③では40.41±0.30,+10.81±0.11,+25.72±0.37であった.

 以上,色の濃い試料ほど測定値の変動が大きくなるが,この程度の変動は生薬のロットの違いや個体による変化を 考慮すると無視できるものである.よって本法では個々の粉末色の測定は一回行うだけで十分であると判断した.

 6. 粒度の違いによる色変化の検討

 測定する粉末の粒度により同じ生薬でも明度や色相が異なることが予測されたので,比較的色があざやかでかつ組

(4)

TABLE 1. Difference of the Colo.r.. of Powdered Curcuma longa Rhizomea) Depending on Particle Size

Classification of powder Sieve No. Mesh size L* a* b*

Coarse (粗末プ

Moderately coarse(中垣)

Fine Very fine

(細末)

(二二)

No. 18

  32   50

 100  200

850 ptm soo 300 150 7S

50. 03 50. 56 55. 64 59. 18 59. 80

十11. 49 十12. 43 十13. 02 十13. “ 十13.“

十 os. 37 十47. 34 十 56. 50 十62. 47 十64. 46 a) Specimen number, KANP 402. The cut pieces are treated with ether before milling.

 Experimental materials are taken from each of serial sieves.

TA肌E II. Color Variation according to Milling Time in the Case of Kiboshi GINSENG

.n

σ0)

nG

M

曲 Percent ratio of

the fine powder L* a* b*

A

10 Q0        1且 ーユ 一■「R0

S506090205080

21.6 (%)

42. 1 54. 1 63. 4 67. 2 70. 9 75. 9 81. 7 84. 5 89. 3

85. 61 86. 07 85. 88 86. 23 86. 27 86. 24 86. 46 86. 53 86. 56 86. 28

一〇. 58

一一@O. 82

-O. 83

-1. 07 一 1. 25

-1. 25

-1. 27

-1. 35

-1. 41

-1. 22

十17. 97 十18. 07 十18. 14 十17. 41 十17. 57 十17. 30 十17. 11 十17. 28 十16. 88 十17. 09

BCD

180

180 180

83. 4 94. 1 93. 0

87. 33 87. 37 87. 45

一1. 42

-O. 92

-O. 92

十15. 93 十16. 62 十 16. 22

A:血1the begiming,20 g of the cut material is milled fbr 10 s. After examination of the color of the fine powder from it, the whole part of the mixture is milled additional 10 s

(30 s after 6th exam.). Thus, the examination is repeated.

B・一一D: Another each 20 g of the material is milled continuously for 180 s.

織が均一なウコンについて,各種の規格のふるいでふるい分けた粉末を測定した結果,細かいものほどL*が大きく,

a*b*もそれぞれ大きくなったが,細末と粉末ではほとんど差が認められなかった(TA肌EI).

 また,1種類のふるいを用いた場合には,同じふるいを通った粉末でも,粉末化の程度により粒度が異なり,色が 異なることが予測される.そこで,市販の刻み生干し人参および紅参を材料として,一定時間粉砕後100号ふるいを 通過したもの(細末以下)を測定し,再び合して粉砕することを繰り返し,さらに同一ロット品から別に3検体を取 り,一定時間粉砕したものについても測定した(TABLE II, III).その結果,粉砕時間が長くなるほど徐々にL*が 大きくなり,a*b*が一側に移行する傾向が認められたが,生干し人参ではし*やb*はほとんど変化しなかった.

 以上のことから,同一生薬でも粒末の粒度により色が異なり,また生薬によっては同じ規格のふるいを通った粉末 でも粉砕の程度によって色が異なることが明らかになった.しかし実験結果は同時に,各生薬によってこれらの相違 の傾向が異なっていることをも示し,さらに粉末の程度以上に粉末化する材料の違いによる差の大きいことを示して いる.このことはここで使用したような比較的組織が均一な材料においては,細末以下であれば粉末の程度を厳密に 統一する必要がないことを示唆している.なお,繊維などの機械組織が多い材料やその他組織的に硬さが不均一な生 薬では,粉末化された量や程度が色に及ぼす影響は多大であり,またその傾向は生薬の種類によって大きく異なるの で,別の機会に報告する.

 以上の結果ならびに実験の操作性などを考慮し,本研究では100号ふるいを通ったものを測定した.

 7. 水分含量の違いによる色彩変化の検討

 粉末生薬の水分含量が粉末の色に及ぼす影響を調べるため,トウキ,キョウニン,ニソジソ,ピャクジュツの各末

(5)

TABLE III. Color Variation according to Milling Time in the Case of Red GINSENG

Milling time   (s)

Percent ratio of

the fine powder L* a* b*

A

10 20 30 co 50 60 co 120 150 180

20. 5 (%)

42. 5 53, 8 61. 3 66. 3 71. 8 80. 7 85. 2 89. 0 91. 4

68. 36 69. 22 69. 70 70. 18 70. 26 70. 69 71. 32 71. 85 72. 87 72. 47

十5. 04 十4. 88 十4. 72 十4. 35 十4. 39 十4. 22 十4. 04 十3. 84 十3. 33 十3. 49

十 30. 07 十30. 23 十30. 14 十29. 49 十29. 21 十28. 82 十28. 45 十28. 67 十28. 05 十28. 18

BCD

180

180 180

89. 0 90. 1 96. 2

71. 39 71. 31 70. 54

十3. 85 十4. 26 十4. 55

十29. 66 十29. 54 十30. 01 The process of experiment is the same as shown in TABLE II.

について,水分含量6)を種々調節して色の測定をした結果,一般にL*は水分含量が高くなると下がり,a*は上が る傾向にあり,b*はほぼ一一定であることが明らかになったが,その度合いは生薬の種類によって異なっていた(Fig.

1).各検体の水分含量を揃えることは困難であるので,本研究ではとくに調整せずに測定した.

 8. 人参類生薬の色による品質評価

 人参およびその同類生薬の色について,Panax ginseng C A. MEYERに由来する白参,生干し人参,ヒゲ人参,

三種人参(湯通し品),および紅参,P. japonicus C. A. MEYERに由来する竹節人参の,それぞれ全形生薬の粉末を 作成して色を測定し,市販粉末と比較した.なお粉末化に供したサンプルは,切断品では約20g,全形品では同一標 本内(資料番号が同じ)で外見および断面の色ができるかぎり平均的なものを1~数本,あるいは資料数本から断片 を採るなどした.なお,実験に供した材料はとくに断わらないかぎり,すべて最近3年以内に生産あるいは輸入され たものである.

 1)P. gin8engに由来する人参類(TABLE IV>

 ゑgf〃8eπgに由来する人参類は,採集後の加工調整法の違いにより数種に分けられる.

 白参:軽く湯通しした後にコルク層を剥いで乾燥したもので,人参類生薬の中で粉末色が肉眼的に最も白く感じら れる.本人参の特徴はL*が87を越え,さらにb*が15前後で低いことである.ただし,韓国産(曲参)の低級品

〔KANP 1173〕ではb*がやや高い結果が得られ,細い商品では黄色みが深くなることが明らかになった.

 生干し人参:コルク層を剥がずに乾燥したものである.色は産地国により異なった傾向を示した.すなわち,おお むねL*85付近を境にして上が日本および韓国産,下が中国産であるという結果が得られた.なお例外的な中国産 の1検体〔KANP 1208, L*85.21〕はとくに根が肥大した高級品であり,このもの以外のL*は81以下であった.・

またb*も一般に中国産のほうが日本産や韓国産よりも+側であった.近年中国では多く熱風乾燥をしているという 情報を得ており,韓国産との色の差は乾燥方法の違いによっているものと推察される.b*が高いものを検鏡すると デソプソ粒がやや変質していることからも加熱されていることが確認された.

 また,日本や韓国で生産されるヒゲ人参は生干し人参の細い部分であるが,一般に同国の生干し人参よりもL*が 低くb*が高い結果が得られた.また,同じロット〔189〕内で径約3mm以上の太い部分と,それ以下の細い部分 に分けて測定したところ,細いほうが明らかにL*が低くb*が高かった.

 生干し人参は白参に比してb*がわずかに+側に寄っており,このことは生干し人参に残存するコルク層の黄色み によっていると判断され,また細い根ではさらにコルク層の割合が増加する結果ヒゲ人参の黄色みがより強くなって いると考えられる.このことから中国産のひげ根をつけたもの(全髪生晒参)の測定値が,ひげを除いたもの(普通 生晒参)よりし*が低く,b*が高いことが予測されるが,実際には熱風乾燥の程度の違いによる変化のほうがより 大きいと判断された.熱風乾燥では高温状態が長く持続するほど色が濃く(この場合はL*が低くなり,b*が高く

(6)

5

LS aS bS

o 5

o o

(A)

Ls a.e bt

.tc....A.9一一一一.一......

o 1 0   3

       (c)

一.’.一’一”’一一一一一一一.一.一一一.一..一.

e

x

x

e

(B)

5

o 5

e e

/x

o 2 o

.一Ar””’一‘tL一一 A

(D)

      3    409も     0    10

Color Change Depending on Wet of Powdered Crude Drug 4     Fig. 1.

A: Japanese Angelica Root, B: Apricot Kernel, C: Ginseng, D: Atractylodes Rhizome.

e:L*, ×:a*, A:b*.

なる)なると予測される.

 N種人参:ゆでた後に乾燥させたもので,市販品の断面は淡褐色から濃赤褐色を呈するものまである.日本産のも のではL*が78~84,b*が19~24であったが,中国産の湯通し品や大力参では色がより薄い結果が得られた.これら の色の違いは,湯の温度とゆでる時間の差によることが推測され,b*18~19を境にして上が日本産,下が中国産に 区別された.

 紅参:蒸して乾燥したもので,人参類生薬の中では最も色が濃い.実験に供した材料はすべてa*が+側であった.

また色の濃いものではL*が70以下で,他の人参類とは明確に区別された.なお,紅参で色の薄いものの中には中国 産の全髪生晒参と区別しえないものがあった.

 紅参においても色のばらつきは修治の程度差によるものと考えられる.すなわち,修治によりし*が低くなりa*

やb*が+側に移行する傾向にあり,とくにa*が+側に大きいものほど修治の程度が強いと判断できるが,修治の 温度や時間の違いによって異なった色になることが予測される.また,一般にひげ根のほうが色が薄い傾向が認めら

れた.

 市販粉末生薬の基源:各種人参類生薬の市販粉末の色を測定し以上の結果と対比した結果,市販の人参末は韓国産 の生干し人参によく一致し,また市販の紅参末の中には.L*が80以上で修治程度がかなり低いものが認められ,中国 産を原料としていると推察された.

 2)P.japonicusに由来する人参類(TA肌E V)

 竹節人参は日本および中国に産出する7).肉眼的には日本産のものの外面が淡黄色から淡灰色であるのに対して中 国産では灰黒色である.日本産7検体および中国産5検体を測定した結果,日本産のものではL*が81~87であった

(7)

TABLE IV. The Color of Ginseng and lts Allies Derived from the Root of Panax ginseng

Materials Specimen No. L* a*

  Powder of crude drug in market     wnite Ginseng

      Haku-san from Japan

      Kyoku-san from Korea A (grade 30 pcs)

        ,, B (grade 50 pcs) ”・

        t, C (grade 75 pcs)

    Dried Ginseng (Kiboshi-ninj in)

      from Japan A (5一一6 years cult.)

        ii B (3N4 years culL)

      血om Korea A(3~4 years cult.)

        tt B (cut in pieces)

        tt C (cut in pieces)

        t, D (grade 50 pieces)

        it E (3tv4 years cult.)

      from China

       without fibrous root A (Ji-lin Prov.)

         tt B          lt C

       with fibrous root A (Ji・・lin, grade 3)

         tt B ( it , grade 4)

         tt C ( ,t , grade 1)

         tt D( tt , grade 2)

         tt E (Liao-ning Prov., grade 3)

    Fibrous Ginseng

      from Japan A (Fukushima)

        tt B (large ones)

        tt (fibrous ones)

      from Korea ’

    Otane Ginseng (boiled Ginseng)

      from Japan A         tl ’  B

        t, C (Fukushima Pref.)

      from China A (Ji-lin Prov.)

        〃   B(Da-li shen,大力参)

    Red G inseng      from Japan A ’         rt    B

        it C (cut in pieces)

        tt

     from China A (cut. in pieces)

       ’〃  B(Ji-1in Prov.)

・ ・ ti C (in Hong Kong market)

        tt D (fibrous root, in Hong Kong market)

, ti E (fibrous root, in Hong Kong market)

  Powdered dmg in Japanese market     Powdered Ginseng A

      1/ ’ B     Powdered Red Ginseng A

      tl . B

KANP 292

     1178      1174      1173

1213 1214 169 428 661 1172 1198 1199 1024 1208 1165 1166 1169 1168 1167 1195 189 189 1179 165 643 1189 1185 1171

伽幅獅窺鰯蜘靭鮒脱

 ーニ      一」 -且 1 1■

517 1212 528 1063

87. 84 87. 10 88. 68 87. 88

86, 72 84. 51 86. 59 87. 24 87. 37 86. 57 85. 83

79. 47 79. 34 85. 21 80. 05 78. 57 80. 63 76. 11 71. 59

81. 14 82. 32 75. 10 84. 53

78. 70 81. 63 84. 48 83. 88 80. 67

69. 77 74. 73 67. 04 71. 31 79. 11 67. 94 69. 32 75. 70 72. 07

86. 91 85. 44 83. oo 75. 24

一1. 73

-1. 59 一 1. 50

-1. 57

一1.“

一〇. 96

-o. op

-O. 86

-O. 92

一一@1. 38 一一@O. 87

十〇. 80 十〇. co

-2. 12 十〇. 23 十〇. 88 十〇. 55 十2, 11 十3. 79

一〇. 20

-O. 34 十1. 42 一 1. 29

十〇. 55  0. oo

-1. 38

-1. 09 一 1. 54

十Z 57 十1. 33 十5. 17 十4. 26 十〇. 99 十3, 97 十4. 25 十1. 12 十2. 30

    り

一1.23

-0.56

-0.42 十2.29.t Most of materials are obtained within these 3 years.

b*

十14. 31 十14. op 十14. 79 十16. 22

十15. 06 十17. 75 十17. 22 十16. 42 十16. 62 十15. 71 十19. 60

十25. 21 十24. 18 十16. 24 十 20. 67 十 an. 63 十22. 25 十25. 65 十26. 41

十23. 71 十20. 34 十25. co 十18. 53

十24. 62 十22. 29 十19. 05 十17. 08 十17. 47

十29. 22 十24. 91 十31. 05 十29. 54 十24. 50 十29. 49 十31. 22 十23. oo 十27. 24

十16. 63 十16. 35 十20. 27 十28. 68

(8)

TABLE V. The Color of Panax Rhizome Derived from Panax J’aponieus

Materials Specimen No. L* a* b*

Powder of crude drug in market  Panax Rhizome

  from Japan A

〃〃〃〃〃〃 B C

D (cut in pieces)

E (Fukui Pref.)

F (Yamagata Pref.)

G (Akita Pref.)

  from China A    tt    B

   i, C (Gui£hou Prov.)

   ,t D (Gui-chou Prov.)

   ,, E (Hu-bei Prov.)

Powdered Panax Rhizome in Japanese market  Sample A

 Sample B

 Sample C (stored more than 15 years)

 17 1186 312 734 1193 1194 1201 1064 767 1202 1203 1204 539 369 238

83. 55 86. 20 81. 96 83. 36 85. 47 82. 11 86. 40 78. 85 79. 71 76. 94 77. 32 78. 42

83. 67 83. 75 79. 63

一〇. 87

-2. 06

-1. 66

-1. 01

-1. 16

一一@1. 68

-2. 14

一一@O. 96

-L OI

-1. 17

一一@O. 19

-1. 20

一一@1. 59

-1. 38 十〇. 84

十17. 48 十15. 86 十18. 68 十16. 65 十17. 04 十16. 76 十13. 79 十12. 68 十15. 26 十15. 84 十13. 04 十15. 17

十15. 23 十16. os 十23. 63

が,中国産では76~80であり明らかに区別された.またb*については日本産のほうがやや高い傾向が認められ,a*

はほぼ同様であった.

 その結果,近年入手した市販の竹節人参末は2検体とも日本産を原料にするものと判断できた.なお,参考までに 15年以上経過した市販品を測定した結果,L*が79.63であったが, b*は23.63で中国産とは明らかに区別され,色の 違いは経年によるものと考えられた.経年による色の変化は今後の研究課題とした.

結 論

 1) 従来,生薬の色を客観的に数値で表現する場合,主にマンセル表色系や■y:Z表色系が用いられてきたが,

L*a*b*血色系を採用するほうが知覚色をイメージしゃすい点ならびに色差が求めやすい点で,より明確に生薬の色 を把握することができる.

 2)粉末生薬を測定する際には,粒度,水分含量などが微妙に影響するが,これらの要因による変化よりも生薬の 個体による違いやサンプリングによる違いのほうが大きく,実際に生薬の品質評価を行うにあたっては無視しうる.

操作性をも考慮すると100号ふるいを通った末の色を測定するのが適当であると判断された.

 3) 本法を人参類生薬の品質評価に応用した結果,白参はb*が低いこと,紅参はa*が高いこと,生干し人参で は目本および韓国産と中国産がb*でほぼ区別できること,湯通し品では日本産と中国産がb*で区別できることな

どが明らかになった.白参と生干し人参は同一種(植物)の同一部(根)に由来し,調製段階でコルク層を剥がれて いるか否かの相違しかなく,粉末生薬の場合顕微鏡でも鑑別が困難であるが,本法ではb*の違いにより区別された.

さらに乾燥方法の違いや,修治の程度も判断できることが明らかになった.また,竹節人参についてはL*80を境 に上が日本産,下が中国産に明確に区別された.

 本法により生薬の種類を断定することには危険性があるが,白参や紅参など極端なものについては可能であり,ま たそれ以外の人参類も検鏡などと組み合わせることにより,より正確な鑑別が可能となろう.

 4) これまで粉末生薬の場合,原植物の鑑別は主として内部形態的に行われてぎたが,原料の修治の程度について は判断することができなかった.しかし色彩計を用いることによりある程度判断できることが本研究で明らかになっ た.生薬の色は古来その品質を論じる上で重要な要素であるとされてきており8),今後粉末生薬あるいは原料生薬の 品質管理を行う1手段として,色彩計により色を客観的に把握する方法はきわめて利用価値が高いと判断される.

(9)

 謝 辞:本研究に際し,実験材料を提供された株式会社ウチダ和漢薬,小太郎漢方製薬株式会社,株式会社栃本天 海堂,日本粉末株式会社,日野薬品株式会社,福田龍株式会社の各社に深謝する.

      引用文献および注 1)日本生薬学会第36回年会(熊本,1989年11月)で発表した一部.

2)村上静男,山ロー孝,下村 孟,標準色名法と生薬資料の色名記載,化学の領域,4,236(1950).

3)a)日本工業標準調査会,三属性による色の表示方法,JIS Z 8721,1977;b)同, XYZ表色系及びXle YioZlo   表色系による色の表示方法.JIS Z 8701,日本規格協会,東京,1982;c)同,日本工業規格, L*a*b*表色系及   び五*u*v*表色系による物体色の表示方法,JIS Z 8729,日本規格協会,東京,1980;d)同,色差表示方法,

  JIS Z 8730,日本規格協会,東京,1980.

4)a)川上元郎,“新版色の常識”,日本規格協会,東京,1987;山ロー孝,“植物成分分析法”,中,南江堂,東京,

  1960,pp.321-355;日本規格協会,“JISハンドブック色彩”,日本規格協会,東京,1988.

5)野呂征男,久田陽一,奥田和代,川村智子,生薬の色彩の表色と測色についての諸問題,第11回生薬分析討論会   要旨集,19(1982).

6)生薬を高湿度の容器内に一定時間入れたのちに取り出して色を測定し,また便宜上乾燥減量を水分とみなして水   分含量を算出した.

7)日本産と中国産の原植物を別種とする説もあるが,互いに根茎の形状が類似しているので,ここでは両者を実験   材料に供した.

8)一色直太郎,“和漢薬の良否鑑別法及調製法”,第二版,杏林舎,東京,1929.

(8)

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