(1)医療 薬 学
全文
(2) 736. 医 療 薬 学Vol.31,. (Medication. No.9. (2005). Error)で あ る こ と が 明 ら か に な っ て お. り1,2),Medication. 方. Error防 止 の た め に薬 剤 師 に求 め られ. 法. る役 割 は多 い3).ま た,使 用 時 の 安 全 に対 す る 社 会 の 関. 調 査 対 象 は,立 場 の異 な る医 師,看 護 師,薬 剤 師 の3. 心 の 高 さ を受 け て,製 薬 企 業 に お い て も,医 薬 品 使 用 に. 医療 職 お よ び患 者(心 臓 用 全 身性 経 皮 吸 収 剤 使 用 中)の4. 伴 う有 害 反 応(ADR:Adverse. 群 と した.こ. Drug. Reaction)だ け で な. の う ち,医 師 は 虚 血 性 心 疾 患 患 者 を診 察 す. く,医 薬 品使 用 時 の エ ラー 防 止 対 策 に も積 極 的 に取 り組. る 内科 ・循 環 器 系 医 師,看 護 師 は虚 血 性 心 疾 患 患 者 が 入. む よ う に な っ て い る.. 院 して い る内 科 ・循 環 器 系 病 棟 に勤 務 す る もの と した.. 1999年1月. に関 東 地 方 の あ る大 学 病 院 で 起 きた患 者 取. 医 療 従 事 者 に対 して はA4サ. イズの各職種専 用の調査 用. り違 え 「手 術 」 事 故 の調 査 過 程 に お い て,患 者 の 背 中 に. 紙 を用 い,ま. 硝 酸 イ ソ ソ ル ビ ド経 皮 吸 収 型 製 剤 フ ラ ン ドル テ ー プSR. 項 目 を 印刷 した もの(Fig.2)を. (ト ー ア エ イ ヨ ー(株))が 貼 られ て い た に もか か わ らず,担. 医 療 従 事 者 に対 す る調 査 項 目 は,一 般 的 事 項(全 身 性 経. 当麻 酔 医 は十 分 な確 認 を行 わ ず に,肺 手術 を行 う患 者 と. 皮 吸 収 全 体 に共 通 す る 質 問)と 本 剤 で 試 み た 「薬 効 マ ー. 思 い込 ん で 本 剤 をは が して麻 酔 をか け て い た こ とが 明 ら. ク」 の安 全 対 策 面 で の 評 価 に つ い て 行 っ た(Table 1).. か に な っ て い る4).こ の患 者 取 り違 え 「手 術 」 事 故 調 査. また,患 者 に対 して は,本 剤 の使 用 状 況,「 薬 効 マ ー ク」. 報 告 に注 目 して,フ. に対 す る感 想,全. ラ ン ドル テ ー プSR本 体 に 「薬 効(領. 域)マ ー ク.以 下,薬 効 マ ー ク(Fig‑1)」 と 「製 品 名 」 を 印 刷 す る と い う再 発 防 止 対 策 を行 っ た5).し か し な が. た,患 者 に対 して は専 用 ハ ガ キ 裏 面 の 調 査 用 い て調 査 を実 施 した.. 身 性 経 皮 吸 収 剤(心 臓 用)に 関 す る意 見. に つ い て調 査 した. 医 療 従 事 者 に対 す る調 査 用 紙 の配 布 と 回収 は,共. 同研. ら,患 者 安 全 管 理 の た め の 製 薬 企 業 が 試 み る対 策 の 有 効. 究 者 が 所 属 す る 製 薬 企 業 の 医 薬 情 報 担 当 者(MR)が. 性 につ い て は,医 療 従 事 者 に とっ て 必 ず し も納 得 で きる. た.患 者 に対 す る 調 査 用 紙 の 配 布 は調 査 協 力 病 院 と調 査. もの だ け で は な い.逆. 協 力 保 険 薬 局 の薬 剤 師 が 行 い,郵 送 に よ り回収 した.医. に,無 意 味 と思 わ れ る対 策 も少 な. くな い.し. か し な が ら,製 薬 企 業 と医 療 機 関 の 双 方 の. Medication. Error防 止 へ の 試 み に つ い て 評 価 を行 っ た 研. 究 は 現 時 点 で は 少 ない.. 療 従 事 者 へ の調 査 用 紙 の 配 布 と回 収 期 間 は2004年1月 ら2月. 護. か ら2月. と し,返 信 ハ ガ キ の受 付 は2004年3. 月 末 投 函 分 まで と した.調 査 用 紙 の 回収 目標 は,医 療 従. 師,薬 剤 師)と 患 者 が 関 わ る も の で あ り,製 薬 企 業 が 試. 事 者(医 師,看 護 師,薬 剤 師)は 各10,000人,患. み た患 者 安 全 の た め の 対 策 に対 す る評 価 が そ れ ぞ れ の 立. 人(6,000人 に配 布,回 収 率50%を. 場 に よ っ て 異 な る 可 能 性 が あ る.そ. か. と した.ま た,患 者 へ の 調査 専 用 ハ ガ キ の 配 布 も. 2004年1月. 医 薬 品 は 職 能 の 異 な る複 数 の 医 療 従 事 者(医 師,看. 行っ. 者 は3,000. 目標)と した.. こ で,医 療 従 事 者. (医 師,看 護 師,薬 剤 師)と 患 者 を対 象 に 実施 した全 国 規 結. 模 の 調 査 結 果 に基 づ い て,硝 酸 イ ソ ソ ル ビ ド経 皮 吸 収 型 製 剤 フ ラ ン ドル テ ー プSRの 使 用 の 安 全 対 策 と して 導 入. 果. 調 査 用 紙 の 回 収 枚 数 は,医 師 が7,078枚,看 護 師 が7,018. した 「薬 効 マ ー ク」 に つ い て の評 価 を試 み た の で 報 告 す る.. Fig.1.. フ ラ ン ドルRテ ー プSに 「 薬 効 マ ー ク」と製 剤 名. 印刷 されて い る Fig.2.. 患 者 用 の 調 査 用 は が き裏 面.
(3) 医 療 薬 学Vol.31,. No.9. 737. (2005). Table1.. 医 療 従 事 者(医 師,看. 全 身 性 経 皮 吸 収 剤: Systemic. 枚,薬 剤 師 が7,361枚 患 者 が1,339枚. と 目 標(3,000枚)の44.6%で. 協 力 施 設 は102病 1.. と 目 標(10,000枚)の70.2〜73.6%, あ っ た.調. 査. 般項 目. 身性 経 皮 吸 収 剤 の. 「心 臓 用 」 だ け を 処 方 す る 医 師 と 「心 臓 用 」 だ け を. 取 り扱 う 看 護 師 は,そ. れ ぞ れ23.3%と23.2%と. Freparation. い て は,医. 師 の77.7%と. に 対 し,看. 護 師 は59.0%と. (STAP). 薬 剤 師 の71.3%が. っ た く採 用 し て い な い と の 回 答 が0.1%,「. 臓 用 」 だ け の 採 用 が2.0%で,97%の. 36.8%)に. 心. 薬剤 師が複 数 の全. 認 めてい るの. 相 対 的 に 低 く,各. 職 種 にお い. 剤 で試 み た心 臓 をイ メ ー ジ した 護 師41.4%,薬. 「薬 効 マ ー ク 」 と レ イ ア ウ ト の 安 全 対 策. と し て の 有 用 性(医. 師30.2%,看. 護 師28.6%,薬. 剤 師. つ い て は,職 種 間 で 大 き な 差 は 認 め ら れ な か っ. た(Fig.6). 本 剤 の 心 臓 を イ メ ー ジ し た 「薬 効 マ ー ク 」 の よ う に,. 少 なか っ. 剤 師 を対 象 に調 査 した 全 身性 経 皮 吸 収 剤 の採 用 状. 況 は,ま. Absorbent. 剤 師38.4%)と. 務 す る 看 護 師 を 調 査 対 象 と し た が,全. た.薬. Transdemla. 「薬 効 マ ー ク 」 の 好 感 度(医 師36.7%,看. 今 回 は 内 科 ・循 環 器 系 医 師 と 内 科 ・循 環 器 系 病 棟 に 勤. うち. 剤 師)へ の 調 査 項 目. て 評 価 が 異 な っ た.本. 院 と55保 険 薬 局 で あ っ た.. 医療従事者対 象の調査 1)一. 護 師,薬. 他 の 全 身用 経 皮 吸 収 剤 にお け る に つ い て は,処. 「薬 効 マ ー ク 」 の 必 要 性. 方 す る 医 師 と製 剤 を取 り扱 う 職 種 で 差. (医 師35.2%,看. 護 師41.9%,薬. 剤 師51.4%)が. 認 め ら. れ,「 薬 効 マ ー ク 」 の 必 要 性 に つ い て は,取. り扱 う 看 護. に お け る 複 数 領 域 の 全 身 性 経 皮 吸 収 剤 の 併 用(使 用)に つ. 師 と薬 剤 師 で 高 い 傾 向 に あ っ た(Fig。7).ま. た,同. い て は,67.3%の. で の. 身 性 経 皮 吸 収 剤 を 取 り扱 っ て い た(Fig.3).一. 師が. 医 師が. 人 の患者. 「 併 用 し な い 」,52.6%の. 「併 用 し て い な い 」 と 回 答 し,約30〜40%で. 看 護 併用が. 全 身 用 経 皮 吸 収 剤 と い う 剤 形 に 対 す る 評 価 は,医 「効 果 が 長 時 間 持 続(51.5%)」,「. 高 い(49.6%)」,「 看護師 では. 師で. コ ン プ ラ イ ア ン スが. 消 化 管 に 負 担 が か か ら な い(39.1%)」,. 「効 果 が 長 時 間 持 続(59.1%)」,「. 担 が か か ら な い(55.2%)」,「 (45.0%)」,薬. 剤 師で は. 消 化 管 に負. 「 効 果 が 長 時 間 持 続(58.3%)」, 初 回通過 効 果. と,「 初 回 通 過 効 果 を 受 け に く. 剤 師)に 共 通 し て. 43.6%)」. 13.4%)」. 剤 師3.3倍)が. の 分 類 に お い て も,そ. 380人(5.4%)の. は. 由 コメ ン ト. 看 護 師 と153人(2.1%)の. 薬剤 師が患者 護 師 に対 して. に 関 す る 質 問 が そ れ ぞ れ,221人(58.2%),. 高 い 」 に お い て 職 種 間 で 違 い が 認 め ら れ た(Fig.5).. 「 薬 効 マ ー ク」 の エ ラ ー 防 止 対 策 と して の 妥 当 性 に つ. 認 め ら れ た.自. の 内容 に職 種 間 で 差 が 認 め ら れ た. 「製 剤 ・効 果 」,「 服 用 ・投 与 法 」,「 薬 効 マ ー ク 表 示 」. (26.3%),31人(8.2%)で. 「薬 効 マ ー ク 」 の 評 価. 8.9%,. 種 間 で 差(医 師2.2倍,看. か ら 本 剤 に 関 す る 質 問 を 受 け て い た が,看. て は. 全 対 策 と して の. 「同 効 薬 で 統 一(32.7%,. (Fig.8).. い 」,「食 事 の 影 響 を 受 け に く い 」,「 コ ン プ ラ イ ア ン ス が. 2)安. 効 薬. 種(医 師,. が 「会 社 独 自 の も の(15.1%,. に 比 べ て 多 い が,職. 護 師4.2倍,薬. 食 事 の 影 響 を 受 け に くい. 「消 化 管 に 負 担 が か か ら な い(48.0%)」,「 を 受 け に く い(41.3%)」. 看 護 師,薬 37.2%,. 行 わ れ て い た(Fig.4‑1,4‑2).. は. 「薬 効 マ ー ク 」 統 一 化 に つ い て は,3職. あ っ た.ま. た,薬. 100人 剤 師 に対 し. 「 薬 効 マ ー ク 表 示 」,「服 用 ・投 与 法 」,「 製 剤 ・効. 果 」 に 関 す る 質 問 が そ れ ぞ れ, 83人(54.2%), (26.8%),18人(11.8%)で. あ っ た(Fig.9).こ. 41人 の 結 果.
(4) 738. 医 療 薬 学Vol.31,. A.. 処 方 経 験(医 師). Fig.3.. B.. 使 用 経 験(看 護 師). C.. 採 用 状 況(薬 剤 師). 全 身 性 経 皮 吸 収 剤 の 処 方 経 験(医 師),取. No.9. (2005). り. 扱 い 経 験(看 護 師)お よ び採 用 状 況(薬 剤 師). Fig.4‑1.. 全 身 用 経 皮 吸 収 剤 の 併 用 処 方 経 験(医 師). Fig.4‑2.. 全 身用 経 皮 吸 収 剤 の 併 用 処 方 経 験(看 護 師). は,患 者 が 医 療 従 事 者 の役 割 を考 慮 して,質 問 内容 を分. 使 用 して お り,ま た,89.8%の. け て い る こ とを示 して い る.. で使 用 さ れ て い た. 2). 2.. 本 剤使用 中の患者対 象の調査. 以 上 の 年 齢 で あ っ た(Fig.10).性. 性 が43.6%,女 1). 性 が31.7%,不. 明 が24.7%で. 別 は,男 あ っ た.. 使用 状況. 回答 者 の71.4%は. 「薬 効 マ ー ク」 につ い て の 感 想. 患 者 で は,「 薬 効 マ ー ク」 と 「製 剤 名 の 表 示 」 に 対 し. 本 剤 の 適 応 とな る 疾 患 の特 徴 を反 映 して,回 答 患 者 の 85.4%が60歳. 患 者 にお い て本 剤 が 単 独. て 「良 い 」 との 回 答 が 各 年 齢 層 を通 し て60%以 り,60歳. 未 満 で は69.2%と. (Fig.11),反. 上であ. 最 も高 い 値 を示 した. 対 に,「 な い 方 が 良 い」 との 回答 は7.8%で. あ っ た,各 年 齢 層 で ほ とん ど差 は認 め られ な か った. 心 臓 用 全 身性 経 皮 吸 収 剤 を1年 以 上. 「薬 効 マ ー ク」 の着 衣 の上 か らの 見 え や す さ に対 す る.
(5) 医 療 薬 学Vol.31,. No.9. 73.9. (2005). Fig.5.. 全 身 用 経 皮 吸 収 剤 の 選 択 理 由(医 師)・ 評 価 理 由(看 護 師 ・薬 剤 師). Fig.6.. 安 全 対 策 と し て の 薬 効 マ ー ク の 評 価I(医. 療 従 事 者).
(6) 740. 医 療 薬 学Vol.31,. Fig.7.. Fig.8.. No.9. (2005). 安 全 対 策 と して の 薬 効 マ ー ク の 評 価II(医 療 従 事 者). 全 身 用 経 皮 吸 収 剤 の 安 全 対 策 に 関 す る コ メ ン トの分 類(医 療 従 事 者). 評 価 は,「 見 え な い方 が よい 」とい う回答 は全 体 の42.4%. との 回 答 が 全 体 の53.5%を. で あ っ た が,年 齢 層 が 上 が る に従 っ て減 少 傾 向 に あ った. た 」 との 回答 が 全 体 の39.1%で. (Fig.12).ま. め られ た.. た,各 年 齢 層 に お い て,性 差 は認 め られ な. か っ た. 「ど ち らで も 良 い 」 との 回 答 は 全 体 の48.2%で,こ. 占 め た が,「 解 りや す くな っ あ り,識 別 性 の 改 善 が 認. 心 臓 用 全 身 性 経 皮 吸 収 剤 を 貼 っ て い る と き に 「薬 効 ち. マ ー ク」 と 「製 剤 名 の表 示 」 が 「 気 に な る」 との 否 定 的. ら は 年 齢 層 が 上 が る に従 っ て 増 加 傾 向 に あ っ た.「 薬 効. な 回 答 は,全 体 の6.0%で. マ ー ク」 を付 け る こ と に よ っ て 貼 付 部 位 が 認 識 しや す く. との 肯 定 的 な 回 答 は全 体 の78.7%で. な っ た か とい う点 に つ い て は,「これ ま で と変 わ らな い」. い は 認 め られ な か っ た(Fig.13).. あ っ た.逆 に,「気 に な ら な い」 あ り,各 年 齢 層 で違.
(7) 医 療 薬 学Vol.31,. No.9. 741. (2005). Fig.9.. 薬 剤 師 と看 護 師 が 患 者 か ら受 け た 質 問 項 目. Fig.10.. 回答 患 者 の性 別 と年 齢 構 成. トナ ー と し て 患 者 自 身 に もADRの. 考. 察. あ る患 者 取 り違 え 「手 術 」 事 故 の 調 査 結 果 か ら学 び,. tion. Errorの 防 止 に 協 力 し て も ら う こ と は 重 要 な 方 策 の. ひ と つ で あ る こ と か ら7),医 薬 品 の 使 用 目 的 を わ か り や. 再 発 防 止 の た め に本 剤 で 試 み た 「薬 効 マ ー ク」 は,今 回. す く示 す. の調 査 結 果 か ら,医 師,看 護 師 お よ び薬 剤 師 の3職 種 に. 思 わ れ る.. 共 通 して 安 全 対 策 の ひ とつ と して 効 果 的 で あ る と評 価 さ. 早 期 発 見 やMedica‑. 「薬 効 マ ー ク 」 は 患 者 に と っ て も有 用 で あ る と. 今 回 の 多 くの 調 査 項 目 に お い て,医. 師,看. 護 師 と薬 剤. れ て い る こ とが わ か っ た.入 院 患 者 に 実 際 に薬 剤 を手 渡. 師 の 各 職 種 間 で 回 答 結 果 に 違 い が 認 め ら れ た こ と は,業. す,あ. る い は 貼 付 す る 役 割 を 果 た して い る 看 護 師 の 約. 務 上 の 役 割 に よ っ てMedication. 75%は. 複 数 領 域 の 全 身 性経 皮 吸 収 剤 を取 り扱 っ て お り,. が 異 な る こ と を 示 し て い る8).し. 貼 付 した 状 態 で も使 用 目的 が わ か る 「 薬 効 マ ー ク」 表 示. Error対. は看 護 師 の エ ラー 防 止 の た め の 確 認 に利 用 で きる と思 わ. な く,役. れ る.し. こ と が 必 要 で あ る と思 わ れ る.. か しな が ら,看 護 師 で は,「 薬 効 マ ー ク」 表 示. 以 外 に 「貼 付 日付 記 入 欄 」 の 要 望 が 高 く,安 全 対 策 にお. Error対 策 に 対 す る 評 価 た が っ て,Medication. 策 に つ い て 評 価 を 行 う と き に は,単. 独 職種 では. 割 の 異 な る 関係 職 種 す べ て を対 象 に調 査 を行 う. 医 薬 品 の 識 別 性 を向 上 させ る. い て役 割 の違 い が 現 れ て い る. ,多 くの全 身 性 経 皮 吸 収 剤. cation. を取 り扱 う薬 剤 師 も,製 剤 の 識 別 性 を高 め る た め に,製. れ る が,患. 剤 に薬 効 を示 す 工 夫 を求 め て い る6).ま た,医 療 の パ ー. 可 能 性 が あ る.今. 「薬 効 マ ー ク 」 はMedi‑. Error防 止 対 策 に お い て 有 効 な 一 工 夫 で あ る 思 わ 者 の 病 気 に つ い て の情 報 を第 三 者 に知 らせ る 回 の 調 査 に お い て,「 薬 効 マ ー ク 」 や.
(8) 742. 医 療 薬 学Vol.31,. Fig.11.. Fig.12.. 薬 効 マ ー ク と製 剤 名 表 示 に 対 す る評 価(患 者). 薬 効 マ ー ク の 着 衣 を通 し た見 え や す さ に対 す る 評 価(患 者). Fig.13.. 薬 効 マ ー ク 表 示 に対 す る評 価(患 者). No.9. (2005).
(9) 医 療 薬 学. Vol.31,. No.9. 743. (2005). 「製 剤 名 表 示 」 に対 して 否 定 的 な患 者 は全 年 齢 層 に お い. 果 か ら,識. て約7〜8%と. が 独 自 に 作 成 す る の で は な く,同. 少 な く,本 剤 で 試 み た 「薬 効 マ ー ク」 は. 全 体 と し て好 意 的 に受 け入 れ られ て い る と思 わ れ る.こ. 別 性 を 目 的 と し た 「薬 効 マ ー ク 」 は,各. た 方 が 良 い こ と,ま. た,他. 企 業. 効 薬 に お い て は統 一 し. の全 身性 経 皮 吸 収 剤 に お い て. の こ と は,「 薬 効 マ ー ク」 や 「製 剤 名 表 示 」 は,患 者 に. も 「薬 効 マ ー ク 」 が 必 要 で あ る こ と が 示 さ れ た.各. とっ て 自分 が 使 用 して い る薬 剤 を確 認 す る た め に有 用 と. 企 業 独 自 に 「薬 効 マ ー ク 」 を 検 討 し導 入 す る こ と は,医. 受 け 止 め られ て い る こ と を示 して い る.し か しな が ら, 一 方 で 約40%の 患 者 は ,着 衣 の 上 か ら 「薬 効 マ ー ク」 や. 療 機 関 に 混 乱 と新 た な エ ラ ー を 引 き 起 こ す 可 能 性 が あ. 「製 剤 名 表 示 」 が 見 え な い 方 が 良 い と感 じ て お り,年 齢. 機 関 と製 薬 企 業 が 共 同 で. 層 が 低 い ほ どそ の 傾 向 が 強 い こ とか ら,他 人 に 心 臓 病 患. に つ い て 検 討 す る こ と が 重 要 で あ る と思 わ れ る.. る.ま. だ,導. 製薬. 入 が 進 ん で い な い 段 階 に お い て こ そ,医. 療. 「薬 効 マ ー ク 」 の 統 一 化 と 拡 大. 者 と知 られ た くな い心 理 が 働 い た もの と思 わ れ た.本 剤 の 「薬 効 マ ー ク」 の 表 示 色 に つ い て 色 彩 学 か ら検 討5)を 行 っ た よ う に,着 衣 の 上 か らは見 え に くい工 夫 が 必 要 で あ る と思 わ れ る.以 上 の 結 果 か ら,「 薬 効 マ ー ク」と 「 製 剤 名 の表 示 」 に対 して,患 者 は好 意 的 に受 け 止 め,本. 謝辞. 今 回 の 調査 に ご協 力 い た だ い た全 国 の 患 者 の 皆 様,. 医 師,看 護 師,薬 剤 師 の 皆 様,そ 会 社 医 薬 情 報 担 当 者(MR)の. し て,ト ー ア エ イ ヨ ー 株 式. 皆 様 に,心. よ り感 謝 い た し ます.. 人. 自身 は気 に な ら な い け れ ど も,第 三 者 に は見 え な い ほ う. 引. 用. 文. 献. が 良 い と感 じて い る こ とが わ か っ た. 今 後,別. の 領 域 の 全 身 性 経 皮 吸 収 剤 に お い て 「薬 効. 1). る. 今 回 の 調 査 に お い て,医 師,看 護 師,薬 剤 師 と患 者 か ら多 くの 質 問 と意 見 が 自由 に記 述 さ れ た.こ. れ ら 自由 記. ヤ リ ・ハ ッ ト11,000事 例 に よ る エ ラ ー. マ ッ プ 完 全 本",医. マ ー ク」 導 入 を検 討 す る際 に は,対 象 患 者 の 年 齢 層 と患 者 心 理 を十 分 に 考 慮 す る必 要 が あ る こ と を 示 唆 し て い. 川 村 治 子,"ヒ. 学 書 院,東. 京,. 2003, pp.2‑6.. 2) H. Furukawa, H. Bunko, F. Tsuchiya, K. Miyamoto, Voluntary Error Reporting Program in a Japanese National University Hospital, The Annals of Pharmaco therapy , 37, 1716-1722 (2003). 3). 古 川 裕 之,医. 療 機 関 にお け る 医 療 薬 学 安 全 管 理 体 制. 述 回答 部 分 の解 析 は,テ キ ス トマ イ ニ ン グ手 法 を用 い て. の 整 備 一 患 者 安 全 の た め に病 院 薬 剤 師 に 求 め られ る. 行 い,別. 役 割 一,日. の 論 文 と して ま とめ た9).自 由 記 述 に よ る 回 答. は,選 択 肢 に よ る 回答 に 比 べ て よ りキ メ の 細 か い 意 見 が 4). 得 ら れ る 反 面,回. 答 者 に 多 くの 労 力 を 強 い る こ と に な. り,回 答 率 は 一 般 的 に低 い 傾 向 が あ る.調 査 用 紙 を用 い. 本 病 院 薬 剤 師 会 雑 誌,. 執 刀 医 ら5人. 有 罪 判 決,朝. 日 新 聞,2001年9月20日. 5). 塚 本 均,井. 上 祐 一,大. 久 保 堯 夫,小. 町 谷 朝 生,全. 性 経 皮 吸 収 剤 フ ラ ン ドル テ ー プSRに. 正確 に反 映 させ る た め に,自 由記 述 部 分 と適 切 な選 択 肢. 域)マ. との 組 み合 わ せ を十 分 考 慮 した 設 問 の 設 定 が 必 要 で あ る. 285‑291(2003). 6). ま た,患 者 か らの 質 問 事 項 に対 して は,現 在,Q&A 集 を作 成 中 で あ る.こ のQ&A集. 7). 薬企 業 が試 み たMedication. につ い て の 評 価 を行 っ た.Medication. 断 と 新 薬,40,. ー プ 剤 に も 薬 効 表 示 し て,朝. 医 学 ジ ャ ー ナ リ ス ト協 会 訳,"人. 東 京, 8). Error対 策. Error対 策 は 医 薬. 石 黒 道 子,テ. 対 す る 薬 効(領. 日新 聞. は誰 で も間違 え る. よ り安 全 な 医 療 シ ス テ ム を 目 指 し て",日 本 評 論 社,. 皮 吸 収 剤 の 適 正 か つ 安 全 な使 用 に向 け て の 患 者 教 育 用 資. 本 研 究 で は,製. ー ク と 製 品 名 表 示 の 試 み,診. 身. 「声 」 欄,1998年8月6日.. を本 剤 を含 む全 身 性 経. 材 と して,医 療 従 事 者 用 へ の提 供 を計 画 して い る.. 1101‑1105. 夕 刊.. た 調 査 は容 易 な調 査 方 法 で あ る が,回 答 者 の 意 見 を よ り. と思 わ れ る.. 40,. (2004). 2000, pp.223‑234.. 古 川 裕 之,安 全 管 理 の 視 点 に 立 つ 医 薬 品 の 適 正 使 用 ―feelingか らevidenceへ ― ,医 薬 品 相 互 作 用 研 究, 27, 47‑51(2003).. 9). 品 を提 供 す る側 と使 用 す る側 が 協 力 して行 う こ と も必 要. 木 村 昌 臣,古. 川 裕 之,塚. 大 倉 典 子,土. 屋 文 人,医. 本 均 、田 崎 久 夫,空. 閑 正 浩,. 薬 品使 用 の 安 全 性 に関 す る. で あ り,両 者 が そ れ ぞ れ の 立 場 を理 解 して 協 同 で取 り組. ア ン ケ ー トの 解 析. テ キ ス トマ イ ニ ン グ 手 法 の 適. む こ とが 重 要 で あ る10).全 身 性 経 皮 吸 収 剤 は比 較 的新 し. 用,人. 刷 中(2005).. い剤 形 で あ り,今 回 の評 価 対 象 とな っ た 虚 血 性 心 疾 患 用 (硝酸 イ ソ ソル ビ ド,ニ. トロ グ リセ リ ン)以 外 に も,気 管. 支 拡 張(塩 酸 ツ ロ ブ テ ロ ー ル),ホ. ル モ ン補 充(エ ス トラ. ジ オ ー ル),禁 煙 補 助(ニ コチ ン),が. ん性 疼 痛 緩 和(フ ェ. ン タ ニ ル)な ど複 数 領 域 に拡 大 して い る.今. 回の調査 結. 10). 間 工 学,41,印. 古 川 裕 之,小 人,小. 川 充,坂. 松 原 明 哲,宮. 尾 雅 子,和 本 謙―,ア. 田 出 静 子,土. 屋文. ン プ ル法 と プ レ フ ィ. ル ド ・シ リ ン ジ 法 に よ る 注 射 剤 混 合 プ ロ セ ス に お け る リ ス ク と 作 業 効 率 軽 減 の 比 較 分 析,医 270‑278(2003).. 療 薬 学, 29,.
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