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博士(工学)原田宏幸 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)原田宏幸 学位論文題名

工具・工作物調和動作に基づく形状創成法の      開発に関する研究

学位論文内容の要旨

  機械部品あるい1ま製品の製造工程において,除去加工は広く用いられてい る.その中でも切削および研削による機械加工は製造業界における加工法の 多くの部分を占めている.除去加工の過程において工作物に与えられる形状 は主にニっの要因によって決定される.それらは工具形状の工作物への転写 および工具の移動軌跡の工作物への転写である.形状の創成においてこれら 二者のどちらが主体となるかは加工の機構,使用される工作機械の構造によっ て異なっている,またこれらを同時に考慮する加工方法は限られた用途にのみ 用いられている.現在の製造部門においては多品種小量生産の必要性と頻繁 なモデルチェンジの要求から,柔軟かつ多彩な加工をこなすことのできる工作 機械への要求が強く,これらの要求に答えるため,機能の複合化された工作機 械も開発されつっある.このような工作機械において工具形状の工作物への転 写および工具の移動軌跡の工作物への転写をさらに高度に利用することがで きれば形状創成に対する自由度が高まり,非常に有効であると考えられる.

  そこで 本論文では 工作物への工具形状の転写および工具軌跡の転写のニ つの要素を,工具と工作物の調和動作によってさらに高度に利用することによ る形状創成法の開発を試みた.ここでは回転運動を主体とする現有の工作機 械を基に,具体的な例を取り上げながら本加工方法の実現に向けた実践的な 取 り組 み が 行わ れ ,いくっ かの加工例 に対して有 効な成果が 得られた.

  本論文は全8章で構成されている.

  第1章では一 般的な機械 加工におけ る工具形状 の転写およ び工具軌跡の 転写のニっの要素から見た形態の違いに触れ,本研究におけるそれらニつの 要素および工具・工作物調和動作の応用の指針や考え方,研究の意義などに っいて述べた.

  第2章では工具を回転する工作物に対して同期制御することにより普通NC 旋盤を用いて任意の断面形状を創成する方法に関する取り組みにっいて述べ た.ここではまず旋削用NC言語を利用した刃物台位置制御方法が試みられ,

さらに旋盤駆動系の能カをさらに引き出す方法として開発したダイレクトコント

(2)

ロール方式による制御法にっいての取り組みが行われた.結果としてNC言語 による制御法においては言語処理における能力的制約と時間的不確定要素を 含むことから任意形状創成への適応は困難であり,これに対してダイレクトコン トロール方式では目的の幾何形状を再現性よく得ることが出来ることが示され た.

  第3章では形状測定機構とダイレクトコントロール方式による刃物台位置制 御機構の融合により工作物表面形状に追従した加工を行う形状適応切削シス テムの開発を行った.ここではシステムの構造と制御プログラムの開発について 述 べ , 実 際 の 加 工 例 を 示 し て シ ス テ ム の 有 効 性 を 示 し た .   第4章で は 三次 元的に配 置された工 具の輪郭形 状の工作物 への転写に よ る形状創成方法に対する取り組みを行った.例として非球面形状の研ぬI亅加工 を取り上げ,コンピュータシミュレーションにより目的形状に対する加工精度を 考察した.結果としてある程度の近似精度は得ることが出来たが,精度向上の ためには 工具形状に 対してさら に考察を加 える必要が ある事が分かった,

  第5章 ではボール ねじを例に三次元的に配置された工具の輪郭形状と工具 と工作物の相対運動を同時に考慮した形状創成法に取り組んだ.ボールねじ 溝は一般に円弧をニつ組み合わせたゴシックアーチと呼ばれる形状をしており,

この加工には通常は総形研削が用いられるが,砥石のドレッシングに手間を要 する.ここでは普通形状砥石の使用を前提に,本形状創成法の理論に基づく 研削シミュレーションによって最適な砥石設定角度が求められ,本加工法が可 能であることが示された,さらに誤差判定法の改善によって形状精度が大きく 向上した.またシミュレーション結果に基づく加工実験と創成されたボールねじ の形状測定結果から,加工工程がやや複雑にはなるものの本加工法が有効で あることが示された.

  第6章 では第5章に述べ たボールね じ創成法に より加工を行う場合の加工 工程をより簡略化する目的で砥石設定角の自由度を減らし,ねじ溝両面を同じ 設定ないし1パスで加工する方法に取り組んだ.コンピュータシミュレーションと 実際の加工実験の結果,形状精度を維持しつつ,加工工程が大幅に簡略化さ れ 得 る こ と が 示 さ れ , 本 加 工 法 の 実 現 性 が よ り 高 ま っ た .   第7章 では既存の 形状解析システムにかわる新しいボールねじ測定および 評価システムの開発を行った.ここではまずポールねじと鋼球の接触に関する 幾何学的考察が行われ,接触点における特徴的性質が明らかにされた.さらに 鋼球の中心円径測定法として新たに開発した六球法にっいてその測定理論と 実際の測定結果を示した.幾何学的性質と六球法による測定結果および溝断 面の形状データから,ねじの立体形状を求め形状の解析を行うシステムが開発 さ れ , ボ ー ル ね じ 溝 に 対 す る よ り 詳 細 な解 析 と 評価 が 可能 と なっ た .   第8章 で は 本 研 究 に お い て 得 ら れ た 成 果 に っ い て 総 括 を 行 っ た .     以上

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

工具・工作物調和動作に基づく形状創成法の      開発に関する研究

  切 削・ 研削 に 代表 され る除 去加 工に おい て工 作物 に形 状が 与え られ る過程は主とし て,

工 具 形 状 の 工 作 物 へ の 転 写 , お よ び 工具 の移 動軌 跡 の工 作物 への 転写 ,の ニっ に分 ける こと がで きる . これ らを 同時 に考 慮す る加 工方 法は 限ら れた 用途 にの み用いられてい る.

今 後 , 多 品 種 小 量 生 産 と 頻 繁 な モ デ ルチ ェン ジヘ の 要求 から ,柔 軟か つ多 彩な 加工 をこ な す こ と の で き る 工 作 機 械 へ の 要 求 が強 く, これ ら の要 求に 答え るた め, 工具 形状 の工 作 物 へ の 転 写 お よ び 工 具 の 移 動 軌 跡 の工 作物 への 転 写, さら にこ れら の複 合し た加 工法 を高 度に 発展 さ せる こと は極 めて 有用 であ る.

  本 論 文 は こ れ ら の 背 景 の も と に , 工作 物へ の工 具 形状 の転 写お よび 工具 軌跡 の転 写,

さ ら に こ れ ら を 複 合 し た 要 素 を , 工 具と 工作 物の 調 和動 作に よっ てさ らに 高度 に利 用す る こ と に よ る 新 た な 形 状 創 成 法 の 開 発を 試み たも の であ る. ここ では 回転 運動 を主 体と す る 現 有 の 工 作 機 械 を 基 に , 具 体 的 な例 を取 り上 げ なが ら本 加工 方法 の実 現に 向け た実 践 的 な 取 り 組 み が 行 わ れ た . 結 果 と して 得ら れた い くっ かの 加工 例に 対す る主 な成 果は 以下 のよ うに 要 約さ れる ,

@ 工 作 物 へ の 工 具 軌 跡 の 転 写 に よ る 形 状 創 成 法 を 発 展 さ せ た も の と し て , 普 通NC 盤 を 用 い て 任 意 の 断 面 形 状 を 創 成 す る方 法に 関し て ,旋 盤駆 動系 の能 カを さら に引 き出 す 方 法 と し て 開 発 し た ダ イ レ ク ト コ ント ロー ル方 式 によ り目 的の 幾何 形状 を再 現性 よく 得る こと が出 来 るこ とが 示さ れた .

◎ 上 記 の ダ イ レ ク ト コ ン ト ロ ー ル 方 式 と 形 状 測 定 機 構 の 融 合 に よ り , 与 え ら れ た 工 作 物 の 表 面 形 状 に 追 従 し た 加 工 を 行 う ため の形 状適 応 切削 シス テム の開 発が なさ れ, その 有効 性が 確認 さ れた .

◎ 工 作 物 へ の 工 具 形 状 の 転 写 に よ る 形 状 創 成 法 を 発 展 さ せ た も の と し て , 三 次 元 的 に 配 置 さ れ た 工 具 の 輪 郭 形 状 の 工 作 物 への 転写 によ る 形状 創成 方法 の開 発が なさ れ, 例と し て 行 わ れ た 非 球 面 形 状 の 研 削 加 工 にお いて 一定 の 近似 精度 が得 られ ,さ らな る精 度向 上の ため の工 具 形状 への 指針 が得 られ た.

@ 工 作 物 へ の 工 具 形 状 の 転 写 お よ び 工 具 軌 跡 の 転 写 の 双 方 を 複 合 し た 形 状 創 成 法 を 発     ー15

男也 元 忠路 田田 田 和 鍵岸 山 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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展させたものとして,三次元的に配置された工具の輪郭形状と工具・工作物の相対運動 を同時に考慮した形状創成法をボ―ルねじの創成に適用した.その結果,通常は総形研 削が用いられるボ―ルねじ溝の創成が,普通形状砥石の使用でも可能となり,総形ドレ ッシングが不要となって加工工程が改善された.

◎新たにボ―ルねじと鋼球の接触に関する幾何学的考察がなされ,接触点の位置およ び運動に関する新知見が得られた.

◎既存の方法に代わる新しいボールねじ測定法(六球法)および解析法が開発され,

測定手順の改善および解析・評価の詳細化がなされた.

  以上を要するに,著者は,除去加工において工具・工作物調和動作に基づく新たな形 状創成法と測定法の開発に新知見を得たものであり,機械加工学,形成工学の発展に貢 献するところ大なるものがある.

  よって著者は,北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める.

‑ 16ー −

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