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博 士 ( 工 学 ) 吉 野 利 幸

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 吉 野 利 幸

学 位 論 文 題 名

空 隙 指 標 に よ る コ ン ク リ ー ト強 度 式 の 表示 と そ の 応用      学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  コ ン ク リ ー ト の カ 学 性 状 や 耐 久 性 は 、 そ の 組 織 構 造 、 特 に 空 隙 構 造 に 大 き く 依 存 し て お り 、 こ れ ら の 性 状 を 理 解 す る 上 で 空 隙 構 造 を 知 る こ と が 不 可 欠 で あ る 。 コ ン ク リ ー ト 工 学 の 分 野 で こ の 点 に 着 目 し た 研 究 で は 、 圧 縮 強 度 お よ び 凍 害 に 関 す る も の が 進 ん で い る 。 コ ン ク リ ー ト の カ 学 性 状 と 空 隙 構 造 に つ い て は 、 強 度 を い わ ゆ るRyshkewitchの 式 で 表 す こ と が 一 般 的 で あ り 、 そ こ で は 空 隙 の 特 性 と し て 空 隙 率 の み が 考 慮 さ れ 、 空 隙 の 径 や 形 状 な ど 空 隙 率 以 外 の 空 隙 特 性 の 影 響 に つ い て は 十 分 に 確 か め ら れ て い な い。 この ため 、こ れら の点 を明 らか にす るこ とは 、 コ ン ク リ ー ト の カ 学 的 性 質 を 一 層 理 解 す る 上 で 重 要 な も の と 考 え ら れ る 。   本 論 文 は 、 コ ン ク リ ー ト 強 度 と 空 隙 構 造 の 関 係 を 空 隙 率 の み で は な く 、 他 の 空 隙 特 性 の 役 割 を 含 め て 検 討 し た も の で あ り 、 広 範 な コ ン ク リ ー ト に よ る 実 験 結 果 の 統 計 的 な 解 析 に よ り 、 従 来 の 式 を 発 展 さ せ た コ ン ク リ ー ト 強 度 式 を 誘 導 し 、 こ の 式 の 妥 当 性 を 、 モ デ ル 空 隙 に よ る 実 験 に よ り 検 証 し て い る 。 さ ら に 、 得 ら れ た 知 見 の 実 務 的 な 応 用 と し て コ ン ク リ ー ト 強 度 推 定 法 の 開 発 と コ ン ク リ ー ト 強 度 増 進 モ デ ル ヘ の 適 用 を 行 い 、 そ の 研 究 成 果 を 纏 め た も の で あ る 。   本 論 文 は 、 全6章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 各 章 の 概 要 は 次 の と お り で あ る 。   1章 で は 、 研 究 の 目 的 と 意 義 を 述 ぺ る と と も に 、 主 題 に 関 す る 国 内 外 の 既 往 の 研 究 を 示 し 、 本 研 究 の 位 置 づ け を 行 っ て い る 。

  2章 は 本 論 文 の 根 幹 を な す も の で あ る 。 こ こ で は 、 広 い 範 囲 の コ ン ク リ ー ト に つ い て 、 強 度 と 空 隙 構 造 の 関 係 を 検 討 し 、 コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度 を 空 隙 率 と 空 隙 径 に よ っ て 表 す 強 度 式 を 誘 導 し て そ の 検 証 を 行 っ て い る 。 強 度 式 の 誘 導 に あ た り 、 最 初 に 、 コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度 の 試 験 条 件 や 空 隙 構 造 に 関 す る 測 定 条 件 を 定 め る と と も に 、 測 定 値 の 指 標 化 を 行 っ て い る 。 次 に 、 コ ン ク リ ー ト の 材 料 、 調 合 、 材 齢 、 養 生 方 法 と 空 隙 指 標 お よ ぴ 圧 縮 強 度 の 関 係 に つ い て 検 討 を 加 え : コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度 が 試 料 全 体 の 空 隙 率 よ り も 硬 化 セ メ ン ト ペ ー ス ト 部 分 の 空 隙 率 と よ り 良 い 相 関 関 係 に あ り 、 そ の 相 関 関 係 は 材 齢 や 養 生 方 法 ご と に 幾 分 異 な る こ と を 見 い だ し て い る 。 そ し て 、 空 隙 率 の ほ か に 空 隙 径 、 空 隙 の 連 続 性 、 セ メ ン ト の 水 和 程 度 を 表 す 指 標 を 加 え て コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度 と の 関 係 を 統 計 的 手 法 に よ っ て 解 析 し 、 空 隙 率 と 空 隙 径 で 表 さ れ る コ ン ク リ ー ト 強 度 式 の 誘 導 を 行 っ て い る 。 誘 導 さ れ た 強 度 式 で は 、 材 齢 や 養 生 方 法 に よ る 圧 縮 強 度 と 空 隙 率 の 関 係 の 相 違 が 解 消 さ れ る こ と 、 圧 縮 強 度 と 空 隙 率 の 関 係 に 影 響 す る 骨 材 吸 水 車 お よ ぴ 骨 材 形 状 に つ い て は 普 通 骨 材 や 砕 石 に 対 す る 補 正 に よ り 対 応 が 可 能 で あ る こ と を 示 し て い る 。 こ れ ら の 結 果 に 基 づ き 、 コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度 を 硬 化 セ メ ン ト ペ

一 ・28

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ー ストの空隙率と空隙径で表す強度式を提案し、この強度式の適用性を既往の式 と 比較・検証して、その優れていることを示し、さらに、強度式が表す固相強度 について統一的な解釈を加えている。

  

3

章 で は、 形状 ・寸 法を異 なら せた

11

種 類の 人為 的な 空隙 (モ デル 空隙 ) を セメントペーストに混入し、それが強度にどのように影響するかを検討し、第

2

章で 得られ た結 果の 妥当 性を 検証している。モデル空隙は発泡ポリスチレン製 の 球状、円柱状、角柱状とし、モデル空隙のみを空隙と想定した硬化セメントペ ー スト試験体による実験から、圧縮強度と空隙率とのあいだの関係は、同じ空隙 率 でも 空隙 径の 小さ い方 が圧 縮強度が大きいことなど、第2 章で得られた結果が 妥 当ぷあることを述べている。また、強度は空隙の平均径ではなく、より大きな 径 に依存すること、空隙形状も球状く円柱状く角柱状の順に強度に影響を及ばす こ と、同じ空隙率でも固相部分として想定した硬化セメントペーストの強度が大 き い ほ ど 全 体 と し て の 強 度 が 高 く な る こ と な ど の 知 見 を 得 て い る 。

  

第4 章では 、第

2

章 で得 られ たコ ンクリ ート 強度 式の 応用 として、少量のコン ク リート片による強度推定法への利用について述ぺている。まず、強度推定式と し ての実用性を高めるため、推定誤差が強度の大小にかかわらず一定となるよう な 式の 形態 に変 換し 、さ らに 、第2 章では定数項に含めた指標(もどり比および 結合水率)を加えてコンクリート強度式を誘導し、強度推定式としている。次に、

版 模型から採取したコアの強度、鋪製型枠で作製したシリンダーの強度、強度推 定 式による推定強度のそれそれについての標準偏差を検討し、強度推定の誤差は コアやシリンダーの場合と比較して幾分大きい程度であり、その推定値とともに、

満足できるものであることを述べている。

  

第5 章では 、強 度式 のも うー つの応用として、強度式の考え方をセメントの水 和 反応過程にあてはめ、セメント化学的に記述される水和反応の進行をコンクリ ー ト強度の発現としてとらえることを行っている。コンクリートの強度増進過程 は 養生温度、材齢の関数として積算温度を用いたゴンペルツ曲線で表されること が 知られているが、本論文では、硬化セメントペースト部分の空隙率、空隙径の 変 化によってコンクリート強度の発現状況を表し、その表現がゴンベルツ曲線の 近 似となりうること、またゴンベルツ曲線による強度式には、温度による限界の あることを示している。

  

6

章 は 総 括 で あ り 、 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 要 約 し た も の で あ る 。

‑ 29

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学位論文審査の要旨      主査   教授   鎌田英治

     副査   教授   佐伯   昇      副査   教授   井野   智      副査   教授   城    攻      学位論文題名

空隙指標によるコンクリート強度式の表示とその応用

  

コンクリートの圧縮強度を空隙構造の関数として表示する強度式として、焼結体 の特性から導かれたRyshkewitch の式が広く知られている。しかし、この強度式で はコンクリートの圧縮強度が空隙率のみの関数とされており、空隙の径や形状など 空隙率以外の特性は考慮されていない。本論文は、コンクリート強度と空隙構造の 関係を広範なコンクリートによる実験結果の統計的な解析により検討したものであ り、従来の式を発展させたコンクリート強度式を誘導し、この式の妥当性を検証し ている。さらに、得られた知見の実務的な応用としてコンクリートの強度推定法の 開発と強度増進モデルヘの適用を行ったものである。

  

得られた成果を要約すると次の通りである。

@コンクリートの圧縮強度と空隙構造の関係を表すため、空隙率を硬化セメントペ ースト部分の空隙率とし、空隙径をその分布の中央値として指標化して次のような 強度式を提案した。

    a

: KD‑ ^exp (−bPp )

    

こ こ に び : コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度

  D

: 空 隙 径 ( 中 央 値 )

    P

, : 硬 化 セ メ ン ト ペ ー ス ト 部 分 の 空 隙 率

  K

a

b

: 常 数

  

提案式は、従来の式でコンクリート全体の空隙とされている空隙率を、それが存 在する硬化セメントペースト部分についての値として求め、従来の強度式では考慮 されていなかった空隙径を指標化して式に導入したものである。これにより、広い 条件範囲のコンクリートについて、強度と空隙構造の関係が精度良く表すことが可 能となった。また、この提案式は特性が異なる複数の組織からなる多孔質材料の強 度式となり得ることが期待できる。

◎空障径をコントロールした発泡スチロールをセメントペーストに混入した実験を 工夫し、定性的ではあるが上述の強度式の妥当性を実験的に検証している。ここで は、同一の空隙率を持つ材料の強度に空隙径が明確に影響することから強度式に空 隙径を導入することの意義を示し、さらに、強度には大きな径の空隙の影響が大き い傾向があること、空隙形状も球状く円柱状く角柱状の順に強度に影響を及ほすこ と、同じ空隙率でも固相部分の強度が大きいほど全体の強度が高くなることなど、

強度の空隙構造依存性に関する幅広い知見を得ている。

30―

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◎コンクリート強度と空隙構造の関係を精度良く表すことが出来たことから、この 関係を応用し、少量のコンクリート片の空隙構造を測定して、この結果からコンク リートの圧縮強度を推定する方法を開発している。版模型や構造体から採取したコ アの強度、鋼製型枠で作製したシリンダーの強度と空隙指標によって得られる推定 強度の比較検討の結果は、この方法による圧縮強度の推定値および実験誤差は実用 上満足できるものであることを示している。

@強度式の考え方をセメントの水和反応過程に適用することにより、セメント化学 的に記述される水和反応の進行を養生条件の異なるコンクリートの強度発現の過程 として表している。この結果は、コンクリートの強度増進過程で問題となる温度依 存性、材齢の進行など、コンクリート工学的立場から検討されている影響要因の役 割 を 理 論 的 に 取 り 扱 う 重 要 な 手 が か り を 与 え る も の と い え る 。

  これを要するに、著者は、コンクリートの空隙構造と強度の関係をもとに、新た な強度式を提案するとともに、実務的な応用として強度推定法の開発を行い、さら に、コンクリート工学的知見の理論的な検討を行っており、コンクリート工学・建 築材料学の進歩に寄与するところ大である。

  よって、著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認 める。

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参照

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