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博士(工学)横道政裕 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)横道政裕 学位論文題名

非線形非最小位相系に関する研究 学位論文内容の要旨

  最近、化学プラントや航空機のような非線形常微分方程式によって記述される系の制御に おいて、制御対象の非線形性を直接取り扱う非線形制御理論の実用化が進んでいる。従来は 制御対象の線形近似系を導出し、その近似系に対して線形制御理論を用いて制御則を設計す る方法が主に用いられていた。しかし、最近の計算機の処理能カの向上により複雑な制御則 を実システムに対して用いることが可能になったことや、厳密な非線形モデルに対して設計 した制御則の方が近似モデルを用いたものよりも動作範囲を広く取れること、さらに宇宙ロ ボットのように線形理論の適用が不可能な系が存在することなどにより非線形制御理論の工 学的必要性が増してきたことがその理由として考えられる。さらにその必要性に答える形で 理論的な面での整備が近年進んできている。

  非線形制御系に対する解析及び制御則の設計に関しては、幾っかの手法が提案されてい る。そのうちでも特に出カの制御問題においては幾何学的手法が主に用いられている。これ は線形制御系に対するWonhamの諸結果を微分幾何学を用いて非線形制御系に一般化したも のであり、幾っかの仮定を満足する非線形制御系に対して厳密な線形化、無干渉化、モデル マッチングといった問題が解決されている。

  幾何学的手法を用いて制御則を設計した場合、一般にその制御則は制御対象の入出力関 係に関する量から、それ以外の量、っまり内部状態を分離する構造を持つ。そのため、閉 ループ系の安定性を保証するためには内部状態の安定性を保証する必要がある。制御対象が 最小位相である、っまり出カを恒等的に零に拘束した場合の内部状態の挙動(ゼ口ダイナミ クスと呼ばれる)が漸近安定である場合には出カを有界な値に制御した場合の内部状態の有 界性が保証される。しかし、自由度よりも入カが少ない場合の口ボットアームなどは漸近安 定なゼロダイナミクスを持たず、そのような場合に対しては幾何学的手法とは異なった手法 を用いる必要がある。

  さらに幾何学的手法を用いた制御則は制御対象の状態の非線形関数の逆数、あるいは行 列の逆行列を含んだ形式で記述されるので、制御対象の状態によってはそれらの関数が零に なる、あるいは行列のランクが変化する場合が考えられる。そのような系は特異点を持つ系 と呼ばれる。特異点を持つ制御系は有限次元の内部状態を持たないので、ゼロダイナミクス を用いた内部安定性の解析は不可能となる。

  本研究ではこれらのニつの場合の制御系をを非最小位棚系と呼び、制御対象が最小位相 ではない場合の制御系の構造を明らかにすることと制御只IJの設計方法を提案することを試み た。

  本研究では最初に、ゼロダイナミクスが漸近安定ではない場合の漸近モデルマッチング 制御問題を考えた。漸近モデルマッチング制御問題とは制御対象の出カの挙動を規範モデル の出カに漸近的に一致させる制御が可能であるための条件を求め、さらにその場合の制御則 を導出する問題である。従来は幾何学的手法を用いた解析が主になされてきたが、本研究で

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はイく食多謙体の慨念を漸近 モデルマッチング制御川題に適川することを|誠みた。そして制御 対象が非妓小位射1系であっても、線形可安定であり、規純モデルとのlI|IJで定竣されるあるat5 微分方程武を解くことがfn来れば辛所近モデルマッチング;hIJ御が可能であることを161瑚した。

さら に、 その 俄i微分 方私 式 の近似解法を考え、誤差の評 価をおこなった。そして制 御対象の 持つ 幾何 学的 な性 質 を利JHし て叮 解条 件 を緩 める ことと 、制御則を改良することが 可能であ ることを示した。

  特 興点 を持 つ系 に 対す る制 御則の設計法として、特興 ー1ユを持たないような近似 系を導H1 し、 その近似系に対する制御 則を利用する手法が提案され ている。そして出丿丿トラ ッキング 制御t瑚題 に おい て出 力誤 差 及び制御対象の状態が有界に 保たれることが知られてい るが、本 研究 では 従来 の結 果 を拡 張す るこ とを 試 みた 。そ して外 乱無干渉化問題及びモデル 追従制御 問題 にお いて 出カ ト ラッ キン グ制 御開 題 と同 様の 結果を 得ることに成功した。さら に従来は 幾っ かの 具体 的な 問 題に 対し て提 案さ れ た近 似法 が一般 の場合においても適用可能 であるこ とを示した。

  有 限 次 元の 内 部状 態を 持つ 場 合に 最小 位相 とは な らな い制 御系 の特 徴 的な 例と して ハ ミ ルトン制御系および非ホ口ノ ーム拘束を受ける制御系が ある。

  ハ ミル トン 制御 系 とは ハミ ルト ンの 正 準方 程式 によっ て記述される制御系のこと であり、

摩擦 や粘 性を 無視 し た機 械系 の多 くが ハ ミル トン 制御系 となる。ハミルトン制御系 の状態空 間は シン プレ クテ イ ック 多様 体と 呼ば れ 、多 くの 幾何学 的性質を持っている。また 、最適制 御問 題に おい て最 大 原理 を用 いた 場合 の 随伴 変数 を導入 した系もハミルトン制御系 であると 見な すこ とが 可能 で あり 、H 制 御問 題と の関 連 から 近年 着目 され て いる 。一般に 制御系の 持つ ハミ ルト ン構 造 はフ イー ドバ ック に よっ て保 存され ない。そこでハミルトン制 御系の諸 変換 の下 での 構造 の 変化 を明 らか にす る 必要 があ る。本 研究では制御系の変換とし て座標変 換、 フイ ード バッ ク 変換 、そ して 時間 ス ケー ル変 換を考 察の対象とした。そしてハ ミルトン 制御 系の構造を保つ変換のク ラスを特定することに成功し た。さらにその結果の応用 として、

ハミ ルト ン制 御系 で はな い制 御系 を、 フ イー ドバ ックに よってハミルトン制御系に 変換する 問題 を無 散逸 化制 御 問題 とし て定 式化 し 、そ の可 解条件 を導出した。また、ハミル トン制御 系の 安定 化問 題を 考 える 基礎 とし て、 系 のハ ミル トン関 数が一般化運動量の有限次 多項式で 表現されるための十分条件を 導出した。

  状 態 空 間上 の 積分 不可 能な 拘 束条 件は 非ホ 口ノ ー ム拘 束と 呼ば れる 。 面上 を球 が滑 ら ず に転 がる こと やあ る 種の 系に おけ る角 運 動量 保存 則が非 ホロノーム拘束となる。ま た、非ホ ロノ ーム 拘束 のう ち でも 、拘 束条 件が 一 般化 座標 に関す る積分不可能な拘束か一般 化速度ま でも 含め た積 分不 可 能な 拘束 であ るか に よっ てそ の系の 持つ性質は大きく異なる。 前者の拘 束条 件は 古典 的非 ホ ロノ ーム 拘束 と呼 ば れる 。本 研究で は古典的非ホロノーム拘束 を受ける 系を 主に 対象 とす る 。そ して 古典 的非 ホ ロノ ーム 拘束を 受ける制御系は、どのよう に出カを 選ん でも 最小 位相 系 には なら ない こと を 示し た。 また、 径路積分型の出カを持つ制 御系と非 ホロ ノー ム拘 束と の 間の 関係 を幾 っか 明 らか にし 、さら に積分不可能な径路積分型 の出カを 持つ 系におぃては積分可能な 出カを持つ系よりも同じネ‖ 対次数に対して内部状態の 次元が出 カの数だけ増えることを示し た。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

非 線形非最 小位相系に関する研究

  最近、化学プラント・電カプラント・移動体・航空機等の非線形動特性を持つ系において 非線形制御理論の実用化の研究が盛んである。そうして、その過程において、従来の理論に おける必須の仮定であった、設計条件の正則性および内部状態の安定性を保証する制御対象 の 最 小 位 相 性 を 満 足 し な ぃ 非 最 小 位 相 系 の 設 計 論 の 重 要 性 が 認 識 さ れ つ っ あ る 。   本論文は、この非最小位相系の構造および制御系設計法に関する、不変多様体・近似表現

・変換に 対する 不変性等 の概念・ 手法を 用いた理 論的研 究の成果をまとめたものである。

  まず、系の入出力関係に関わらぬ内部状態の動特性であるゼロダイナミクスが漸近安定で ない型の非最小位相系の漸近モデルマッチング問題に不変多様体の概念を適用し、制御対象 がロバスト線形可安定でFBI方程式が可解であるならぱ、漸近モデルマッチング制御が可能で あることを示した。さらに、入出力線形化フイードバックの併用により制御性能の向上とFBI 方 程 式 の 簡 略 化 が 可 能 と な る 事 を 示 し 、 精 度 の 高 い 近 似 解 法 を 与 え た 。   次に、設計条件に行列の階数が落ちるなどの特異点がある型の非最小位相系の出カトラッ キング問題の従来の解法を拡張し、外乱無干渉化問題及びモデル追従問題の解法としても用 い 得 る こ と を 示 し 、Ball&Beam問 題 に 適 用 し て 導 出し た 近 似法 の 汎 用 性を 示 し た。

  力学系.H 制御問題 との関連 において重要なハミルトン制御系は本質的に最小位相性を 持たなぃが、その構造を不変に保つ座標変換・時間スケール変換・フイードバック変換のク ラスを定め、多項式標準形を提案し、無散逸化問題を定式化し、それらの可解条件を与えた。

さらに、古典的非ホロノーム拘束を持っ系はどのように出カを選んでも最小位相系とはなら ないこと を示し 、径路積 分型の出 カを持 っ系と一 般化速 度まで含めて積分不可能な非ホロ ノーム拘束を持つ系との関係を明らかにし、積分不可能な出カを持つ系の内部状態の次元は その出力数だけ増加することを示した。

  以上のように、著者は、非線形非最小位相系の構造と制御系設計法に関する研究において、

非線形制御理論の実用化に有益な新知見を与え、制御工学の進歩に寄与するところ大である。

  よ っ て、 著 者 は北 海道 大学博 士(工学 )の学 位を授与 される資 格ある ものと認 める。

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脩 士

公 武

   

   

谷 数

島 土

授 授

教 教

査 査

主 副

参照

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