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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 )   ド ゥ ニ ア ワ フ ァ イ バ ー ジ     学 位論 文 題 名

    ●

Studies onく)ephalosウ〇ダf勿 ワ兜冨7竹 ケ咒Z刀¢ 勿ワ銘,theCauSalfunguS     OfCephalOSporiumStripediSeaSeofWheat

    (コムギ条斑病を引き起こす

病原糸状菌CephalosporiZt 7';n grarnzneurnに関する研究)

学位論文内容の要旨

  コムギ条斑病は、土壌伝染性糸状菌Cephalosporium gramineum Nisikado&Ikata (llymenula cerealis Ell.&Ev.)により引き起こされるコムギの重要病害である。1930年代からゝ主に日本、

英国および米国などの秋播きコムギ地帯において本病の発生が認められている。コムギの葉鞘か ら葉身にかけて葉脈の褐変を伴う黄色の条斑が典型的な病徴であり、コムギ下葉から順次上葉に 広がる。症状が激しい場合、収穫期にはコムギの草丈は低くなり、穂が出すくみ状となって稔実 不良となることから、種実は「しいな」となり著しい減収となる。本菌はコムギのほかオオムギ、

ライムギなどのムギ類、オーチャードグラスなどの各種イネ科牧草にも病原性を有し、これら宿 主作物の頻繁な作付けにより圃場に定着し、恒常的にコムギに被害を与える。イネ科作物以外の 作付けによる輪作、残渣の適切な処理およぴ種子消毒が現在採られている防除対策であり、防除 に 最 も 効 果 が あ る と 考 え ら れ る 有 望 な 抵 抗 性 の コ ム ギ 品 種 は 未 だ 開 発さ れ て いな い 。   本研究では、分離年代および分離地が異なるコムギ条斑病菌を収集し、それらの遺伝子型の比 較から系統学的な検討を行った。また、各遺伝子型の塩基配列情報により、コムギ条斑病特異的 DNAマーカー検出用のプライマー組合せを開発した。さらに、各種コムギ品種・系統について本 病に対する抵抗性を評価するとともに、近年、春播きコムギの新たな栽培法として注目される初 冬 播 き が 、 本 病の 発 生 に及 ば す 影響 を 検 討し た 。 本論 文 は 、 以下 の よ うに 要 約 され る 。 1コムギ条斑病菌の遺伝子型

リボ ソームRNAをコ ードする 遺伝子(rDNA)のinternal transcribed spacer (ITS)領域およぴ intergenic spacer (IGS)領域 の制限酵素断片長多型(RFLP)解析とITS領域の塩基配列解析に基 づき、日本、米国および欧州各国において分離されたコムギ条斑病菌の遺伝的変異を検討した。

ITS領 域 ( 〜600bps)の塩 基配列は 、菌株 間で保存 性は非常 に高い ものの1塩基 置換が認 めら れ、 これによ り制限 酵素Hinnの 制限部位 が生じ、 制限酵 素断片パターンから2つのグループに 分 け られ る こ とが 明らか になっ た。一方 、IGS領域(〜5Kbps)のHinflとEcoRIによるRFLP解

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析 の 結 果 、 供 試 し た 菌 株 は4遺 伝 子型(A:9菌 株 、B:10菌 株 、C: 18菌株 お よ ぴD:3菌株 ) に 分け られ た。以上 のITSお よびIGS領域のRFLPデータ を統合す ると、ITS領域 に1塩基置換 が 認めら れた菌 株はすべ て遺伝 子型Aに含まれ 、2つのサブグループから構成されることが明らか になった。また、各遺伝子型と分離場所の関係について、結論を出すにはさらに調査菌株数を増 やす必 要があ るが、北海道で分離された27菌株は4遺伝子型のいずれかに属し多様であったが、

米 国産 の 分 離菌 株 は 遺 伝子 型BとCに 、 欧州 産 の 分離 菌 株 は遺 伝 子 型Aの み に 分類 さ れ た。

2コムギ条斑病菌特異的DNAマーカーの開発

  4遺 伝子型 の塩基配 列に多様な変異が認められる領域(〜1 Kbps)がIGS領域に存在するが、こ の領域の配列長に基づき遺伝子型の区別を可能にする遺伝子型特異的マーカーの構築には至らな かった 。しか しながら 、4遺伝子型 間で類似 度が高 い領域の 塩基配 列から開発したプライマー   (CGIGS1とCGIGS2)を 利用し たPCRに より、 供試した すべて のコムギ 条斑病菌 からは1.8Kbp のDNA断片の 増幅が確 認され 、分子マ ーカー の利用が 可能と考 えられ た。本菌以外のコムギ立 枯病菌などコムギに病原性を有する各種病原菌およびコムギ栽培土壌からの腐生性の糸状菌を含 む11属20種 の 菌 株 、あ る い はコ ム ギ植物体 のDNAからの増 幅は全 く認めら れなかっ たこと か ら、このプライマー組合せはコムギ条斑病菌特異性を有することが確認きれた。さらに、コムギ 条 斑病 菌DNAの 高 い 増幅 感 度 (700fg/ロ1以下) あるいは 罹病コ ムギ試料 から抽出 したDNAか らの本菌の安定した検出性能が示されたことから、コムギ体内での本菌の動態把握が容易になる と考えられ、コムギ系統・品種の本菌に対する侵入および伸展抵抗性の評価にこのプライマー組 合せは利用可能である。

3コムギ各種系統・品種の抵抗性の評価

  春 播 きコム ギ34系統お よぴ秋 播きコム ギ34系統 について 、温室 内におい てコムギ 条斑病 菌 を接種し発病程度を指標に抵抗性を評価した。秋播きコムギでは北見農業試験場から分譲された 1系統、¨1395‑22ー1482¨にのみ抵抗性が認められた。この系統は、1980年代に確認された抵抗 性系統¨CC1239‑3.5¨とホロシリコムギの交配後代である。また、一般的な圃場において、春播き コムギにはコムギ条斑病の発生は認められなぃ。これは秋期から初冬期にかけての土壌中の本病 菌密度が高い時期に栽培されず、春期以降は凍結による根の傷害も少なく本菌の侵入が抑制され るためと考えられている。しかし、本菌分生胞子の土壌接種により春播きコムギにも本病が起き ることを示し、中東、南米、北アフリカ、北米および中国産の春播きコムギ系統・品種には抵抗 性のものは認められなかった。

4初冬播き栽培法による春播きコムギの発病

  春播きコムギの初冬播き栽培法は、積雪直前に播種する方法であり、北海道のように積雪期間 が長い地域に韜いて春播きコムギの生育期間を延長することで、収量さらには品質を向上させる 目的で取り組まれている。この栽培体系が及ばす春播きコムギの条斑病発生に対する影響を検討 した。積雪下の温度条件に設定したクライオトロン内と初冬期の圃場に韜いて、秋播きコムギの

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チホクコムギ(対照)およぴ春播きコムギのハルユタカを病原菌接種土壌に植付け、開花期に発 病度を調査した。積雪下温度条件に移行する際に2ー3葉期であったクライオトロン内のハルユタ カは、高い発病率を示した。一方、圃場試験において積雪下に移す際の生育ステージが発芽直後 で、僅かに種子根が出現していた両コムギ品種の発病率は低かった。一般圃場の初冬播き栽培に おいて春播きコムギの発病の可能性は否定できないものの、積雪前の発芽を最小限に抑えること で相当程度本病の発生を抑 えられると考えた。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名      ●

Studies on Cephalos ウD アZ 勿ケ免曾W 口 咒Z 刀¢勿 兜,theCauSalfunguS     OfCephalOSporiumStripediSeaSeofWheat

     (コムギ条斑病を引き起こす

病原糸状菌Cephalosporiu7n gramzneum に関する研究)

  本 論 文 は 図28, 表7を 含 む6章 、 総 頁 数106か ら な り 、 別 に 参 考 論 文1編 が 添 え ら れ て い る 。   コ ムギ条 斑病は 、土 壌伝染I生 糸状菌Cephalosporium gramineum Nisikado&Ik:ata (llymenula cerealis E11.Ev.)に よ り 引 き 起こ さ れ る 世 界 的に 重 要 な 病 害で あ り 、 コムギ 生産に 多大な 影響を 与え る。コ ム ギ の 葉 鞘 か ら 葉 身に か け て 葉 脈の 褐 変 を 伴 う 黄色 の 条 斑 が 典型 的 な 病 徴 であ り 、 症 状 が激 し い 場 合 、 収 穫 期 に は コ ムギ の 草 丈 は 低く た り 、 穂 が 出す く み 状 と なっ て 稔 実 不 良と な る こ と から 、 種 実 は 「しい な」と なり著 しい 減収と なる。

  本 研 究 で は 、 コ ム ギ 条 斑 病 菌 は 大 き く4つの 遺 伝 子 型 集団 に 分 類 で き るこ と を 明 ら かに し 、 各 遺 伝 子 型 の 塩 基 配 列 情 報 に よ り 、 コ ム ギ 条 斑 病 菌 特 異 的DNAマ ー カ ー 検 出 用 の プ ラ イ マー 組 合 せ を 開 発 し た 。さ ら に 、 各 種コ ム ギ 品 種 ・系 統 に つ い て 本病 に 対 する 抵抗 陸を評 価する ととも に、 近年、

春 播 き コ ム ギ の 新 たな 栽 培 法 と して 注 目 さ れ る 「初 冬 播 き 」 にお い て も 、 適切 な 播 種 時 期で あ れ ば 本 病 の 発 生 を 抑 え ら れ る こ と を 明 ら か に し た 。 そ の 詳 細 は , 次 の よ う に ま と め ら れ る . 1コムギ 条斑 病菌の 遺伝子 型

リ ボ ソ ー ムRNAを コ ー ド す る 遺 伝 子 くrDNA)internal transcribed spacer (ITS)領 域 お よ び intergenic spacer (IGS)領 域 の 制 限 酵 素 断 片 長 多 型(RFLP)解 析 とITS領 域 の塩 基 配 列 解 析に 基 づ き 、 日 本 、 米 国 お よ び 欧 州 各 国 に おい て 分 離 さ れた コ ム ギ 条 斑病 菌 の 遺 伝 的変 異 を 検 討 し た。ITS 領 域 の 塩 基 配 列 は 、 菌 株 間 で 保 存 陛は 非 常 に 高 いも の の1塩 基置 換 が 認 め られ 、 制 限 酵 素断 片 パ タ ー ン か ら2つ の グ ル ー プ に 分 け ら れ る こ と が 明 ら か に な っ た。 一 方 、IGS領 域 のRFLP解 析 の結 果 、 供 試した 菌株は4遺 伝子型 に分け られ た。

2コムギ 条斑 病菌特 異的DNAマー カーの 開発

  4遺 伝 子 型 間 で 類 似 度 が 高 い 領 域 の 塩 基 配 列 か ら 開 発 し た プ ラ イ マ ー 組 合 せ を 利 用 し たPCR よ り 、 す べ て の コ ム ギ 条 斑 病 菌 か ら同 じ 塩 基 酉 己歹 帳 のDNA断 片 の 増 幅 が確 認 さ れ 、 分子 マ ー カ ー の 利 用 が 可 能 と 考 え ら れ た 。 本 菌 以 外 の1120種 の 糸 状 菌 、 あ る い は コ ム ギ 植 物 体 のDNAか ら     ‑ 1338

夫 則

一 之

近 幸

柏 秋

授 授

師 師

教 教

講 講

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の増幅は全く認められなかったことから、このプライマー組合せはコムギ条斑病菌特異陸を有する こ とが確 認され た。さらに、コムギ条斑病菌DNAの高い増幅感度あるいは罹病コムギ識糾から抽出 し たDNAから の本菌 の安定した検出性能が示されたことから、コムギ体内での本菌の動態把握によ るコムギ系統・品種の本菌に対する侵入およぴ伸展抵抗陸の評価にこのプライマー細合せは利用可 能と考えられる。

3コムギ各種系統・品種の抵抗性の評価

  春 播きコ ムギ34系 統およ び秋播 きコム ギ34系統について、抵抗性を評価した。秋播きコムギで は北見農業試験場から分譲された1系統、¨1395‑22‑1482¨にのみ抵抗性が認められた。また、一般的 に圃場においては春播きコムギにはコムギ条斑病の発生は認められないが、本菌分生胞子の土壌接 種により春播きコムギにも本病が起きることを示した。接種試験により、中東、南米、北アフリカ、

北 米 お よ び 中 国 産 の 春 播 き コ ム ギ 系 統 ・ 品 種 に は 抵 抗 陸 の も の は 認 め ら れ な か っ た 。 4初冬播き栽培法による春播きコムギの発病

  春播きコムギの初冬播き栽培法は、積雪直前に播種する方法であり、北海道のように積雪期間が 長い地域において春播きコムギの生育期間を延長することで、収量さらには品質を向上させる目的 で取り組まれている。この栽培体系が及ばす春播きコムギの条斑病発生に対する影響を検討した。

積雪下の温度条件に設定したクライオトロン内と初冬期の圃場において、秋播きコムギのチホクコ ムギ(対照)および春播きコムギのハルユタカを病原菌接種土壌に植付け、開花期に発病度を調査 した。積雪下温度条件に移行する際に2−3葉期であったクライオトロン内のハルユタカは、高い発 病率を示した。一方、圃場試験において積雪下に移す際の生育ステージが発芽直後で、僅かに種子 根が出現していた両コムギ品種の発病率は低かった。一般圃場の初冬播き栽培において春播きコム ギの発病の可能陸は否定できないものの、積雪前の発芽を最小限に抑えることで相当程度本病の発 生を抑えられると考えた。

  以上のように、コムギ条斑病菌の特異的マーカー開発は、コムギ条斑病菌の生態の解明、コムギ の抵抗陸育種および栽培環境改善に関わる本菌の動態解明に有用な基礎的な研究成果であり、学術 上およ ぴ応用 上高く 評価で きる, よって審査員一同は,ワファイバアジドゥニアが博士(農学)

の学位を受けるに十分な資格を有するものと認めた.

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参照

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