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犬の炎症性角化異常におけるT細胞サブセットに関する研究

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Academic year: 2021

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Title 犬の炎症性角化異常におけるT細胞サブセットに関する研究( 内容と審査の要旨(Summary) ) Author(s) 秋山, 智 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第561号 Issue Date 2020-03-13 Type 博士論文 Version ETD URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/79362 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本(国)籍) 秋 山 智(滋賀県) 主 指 導 教 員 氏 名 岐阜大学 教授 前 田 貞 俊 学 位 の 種 類 博士(獣医学) 学 位 記 番 号 獣医博甲第561号 学 位 授 与 年 月 日 令和2年3月13日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 岐阜大学 学 位 論 文 題 目 犬の炎症性角化異常における T 細胞サブセットに関す る研究 審 査 委 員 主査 岐 阜 大 学 准教授 西 飯 直 仁 副査 帯広畜産大学 教 授 宮 原 和 郎 副査 岩 手 大 学 教 授 山 﨑 真 大 副査 東京農工大学 准教授 西 藤 公 司 副査 岐 阜 大 学 教 授 前 田 貞 俊 学位論文の内容の要旨 犬の角化異常は, 鱗屑を特徴とする疾患群である。本疾患群は続発性角化異常と原発性 角化異常に分類され, さらに,原発性角化異常は炎症を伴う炎症性角化異常と非炎症性角 化異常に分類される。犬の炎症性角化異常に類似する疾患として, 人の乾癬がある。人の 乾癬では, 17 型ヘルパーT (Th17)細胞が産生するインターロイキン(IL)-17A がケラチ ノサイトにおける好中球遊走因子の産生を誘導し, 病変部に好中球を遊走させる。また, Th17 細胞が産生する IL-22 はケラチノサイトの増殖亢進および分化異常を引き起こす。そ の結果, 重度の表皮肥厚および錯角化などの角化異常が生じることから, Th17 細胞は乾癬 の病態において重要な役割を果たすと考えられている。一方, 犬の炎症性角化異常の臨床 および病理学的特徴はこれまで詳細に解析されておらず, その病態は不明である。本研究 では, 犬の炎症性角化異常の病態を明らかにすることを目的として以下の実験を行った。 第 1 章では, 犬の炎症性角化異常の臨床および病理学的特徴を調査した。その結果,犬 の炎症性角化異常の皮疹は主に腹部および背部に分布しており, 病理組織学的所見におい ては, リンパ球および好中球を主体とした炎症細胞の浸潤, 重度な表皮の肥厚および角化 亢進が特徴であることが明らかになった。また, すべての症例において,寛解維持にグル ココルチコイドまたはシクロスポリン A の投与が必要であった。これらの結果から, 犬の 炎症性角化異常の病態における T 細胞の関与が示唆された。 第 2 章では, 犬の炎症性角化異常に関与する T 細胞サブセットを明らかにすることを目 的として, 病変部におけるサイトカイン, ケモカイン受容体およびケモカインの遺伝子転 (10)

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写量の解析を実施した。その結果, Th17 サイトカイン, Th17 細胞に選択的に発現している ケモカイン受容体, そのリガンドであるケモカインおよび好中球遊走因子の遺伝子転写量 が健常犬の皮膚と比較して増加していることが明らかになった。これらの結果から, 病変 部に Th17 細胞が浸潤し, Th17 細胞とケラチノサイトの相互作用により角化異常が生じる 病態が推測された。 第 3 章では, 健常犬の末梢血 Th17 細胞割合の加齢変化をフローサイトメトリーにより 評価し, その後に炎症性角化異常の犬と比較した。その結果, 健常犬の末梢血 Th17 細胞 の割合は加齢とともに増加し, さらに, 犬の炎症性角化異常においては,末梢血 Th17 細 胞の割合が健常犬の同年齢対照群と比較して減少していることが明らかになった。したが って, 犬の炎症性角化異常の症例では, 末梢血 Th17 細胞が病変部に遊走する結果, 末梢 血 Th17 細胞の割合が減少している可能性が示された。 以上の研究結果から, 犬の炎症性角化異常においては Th17 細胞が病態に関与している 可能性が示された。本研究の結果は, Th17 細胞が犬の炎症性角化異常における重症度マー カーあるいは治療標的細胞となり得る可能性を示している。 犬の炎症性角化異常は鱗屑を特徴とする疾患群であり, 続発性角化異常および非炎症性 角化異常の除外によって診断される。犬の炎症性角化異常に類似する疾患である人の乾癬 では, 17 型ヘルパーT(Th17)細胞が病態に重要と考えられているが, 犬の炎症性角化異 常の病態は明らかになっていない。本研究では, 犬の炎症性角化異常の病態を明らかにす ることを目的として以下の実験を行っている。 第 1 章では, 犬の炎症性角化異常の皮疹は腹部および背部に分布しており,病変部にお けるリンパ球と好中球の浸潤, 重度な表皮肥厚および角化亢進が特徴であることを明らか にした。また, 寛解維持にグルココルチコイドまたはシクロスポリン A の投与が必要であ ったことから, 病態における T 細胞の関与が示唆された。 第 2 章では, 犬の炎症性角化異常の病変部において, Th17 サイトカイン, Th17 細胞に 選択的に発現するケモカイン受容体, そのリガンドであるケモカインおよび好中球遊走因 子の遺伝子転写量が健常犬の皮膚と比較して高いことを明らかにした。この結果から, Th17 細胞とケラチノサイトの相互作用により角化異常が生じる病態が推測された。 第 3 章では, 健常犬の末梢血 Th17 細胞の割合は加齢とともに増加することを明らかに し, さらに, 犬の炎症性角化異常においては,末梢血 Th17 細胞の割合が健常犬の同年齢 対照群と比較して減少していることを明らかにした。この結果より, 犬の炎症性角化異常 の症例では, 末梢血 Th17 細胞が病変部に遊走する結果, 末梢血 Th17 細胞の割合が減少し ている可能性が示された。 以上の結果から, 犬の炎症性角化異常においては Th17 細胞が病態に関与している可能 性が示唆された。本研究の結果は, Th17 細胞が犬の炎症性角化異常におけるバイオマーカ 審 査 結 果 の 要 旨

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ーあるいは新規治療法の標的となり得る可能性を示す興味深い知見であると思われる。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値があると認めた。

基礎となる学術論文

1)題 目:Th17 cells increase during maturation in peripheral blood of healthy dogs

著 者 名:Akiyama, S., Asahina, R., Ohta, H., Tsukui, T., Nishida, H., Kamishina, H. and Maeda, S.

学術雑誌名:Veterinary Immunology and Immunopathology 巻・号・頁・発行年:209:17-21, 2019

参照

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