コストリーダーシップのバリエーション分析
(ーコストリーダー企業における事例分析を通じてー)
2008年度4月入学 戦略経営研究科戦略経営専攻専門職学位課程 0851101015L 橋本 恭弘研究論文
目次
Ⅰ.研究の目的
Ⅱ.先行研究のレビュー
Ⅲ.分析方法
Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
Ⅴ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
Ⅵ.事例研究ケース3:ユニクロ
Ⅶ.事例研究ケース4:しまむら
Ⅷ.まとめ
参考文献
ス タ テ ィ ッ ク ダ イ ナ ミ ッ ク
Ⅰ.研究の目的
2006/10 様子見Ⅰ.研究の目的
コストリーダーシップで次々と新しい施
策で純増
No1を獲得
・安かろう悪かろう。
・長続きしないだろう。
・インチキ?
・どこから資金調達?
世論は?
Ⅰ.研究の目的
社内では・・・・・
・きっと長続きしない。
・資金がもつはずがない。
・相手にしない。
・価格競争はしたくない。
25ケ月連続純増No1獲得なぜ追随しないのだろうか?
本当に長続きしないのだろうか?
資金はもつのだろうか?
問題意識100円 PC フリース 1980円 ジーンズ 980円 通話料 無料
不確実性の中でも成長している企業が
存在する。
共通:低価格戦略
ただ安いだけではない
コストリーダーシップと差別化の両立
Ⅰ.研究の目的
その他にも 既存研究ではうまく 説明できない。コストリーダーシップにもバリエーション
があるのではないか?
6Ⅰ.研究の目的
研究のテーマ
①コストリーダーシップにはどのようなパターンがある
のか。
②既存理論では指摘されていない、コストリーダーシッ
プのバリエーションを発見すること。
研究の進め方
Ⅰ.研究の目的
先行研究で言われているパターンの整理。
注目する点
①コストリーダーシップについての注目点
②コストリーダーシップが有効に働く環境に
ついての注目点
パターン化
Ⅰ.研究の目的
①コストリーダーシップについての注目点
注目変数 意味 種類 手段としてのコストリー ダーシップ 企業戦略としてのコスト リーダーシップなのか、利 益を追求するためのコス トリーダーシップなのか。 ○、× コストリーダーシップと差 別化の両立 コストリーダーシップと差 別化が両立するか。 ○、×パターン化
Ⅰ.研究の目的
②コストリーダーシップが有効に働く環境についての注目点
注目変数 意味 種類 成長方式 成功要素がM&A、外部 資源によるものか、内部 資源によるものか。 外部資源、内部資源 市場 自社にとって新規事業が 既存事業か。 新規、既存 外部環境 自社を取り巻く環境がど のようであったか。 スタティック、ダイナミックまとめ
Ⅱ.先行研究のレビュー
戦略 コストリーダー シップ 成長方式 市場 外部環境 手段 両立 内部 資源 外部 資源 既存 新規 スタ ティック ダイナ ミック ポジショニング × × ― ― ○ ○ RBV × × ○ ○ ○ 修正RBV ○ ○ ○ ○ ○ ○ 破壊的イノベー ション × × ― ― ○ ○Ⅲ.分析方法
先行研究レビュー ポジショニングパターン RBVパターン 修正RBVパターン 破壊的イノベーションパ ターン 注目変数 ケース分析 パターン化 コストリーダシップのバリ エーション発見 比較パフォーマンス
0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 1,200,000 1,400,000 2006/1Q2006/2Q2006/3Q2006/4Q2007/1Q2007/2Q2007/3Q2007/4Q2008/1Q2008/2Q2008/3Q2008/4Q docomo 純増 KDDI 純増 SoftBank 純増市場シェア獲得比較(契約純増)
SoftBank 契約純増NO.1Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
2006年成功要因分析
docomo SoftBank 割賦販売モデル KDDI 端末奨励金モデル ◆端末料金 奨励金をつけて販売 ◆通信料金 高価 ◆通信料金安価「予想外割」 ◆端末料金 ユーザーが負担 ◆通信料金 更に値下げ 「ホワイトプラン」 「Wホワイト」 様子見 分離 ■MNPのタイミング に合わせた施策。 ■単なる値引き販売 ではない。 ■わかり易さで ユーザーからの 支持を得る。 ■割賦モデルの 成功を確認した 上での「値下げ」 施策の実行。Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
2007.1 「ホワイトプラン」 2007.3 「Wホワイト」 2006.8 905SH AQUOSケータイ 2007.1 812SH PANTONEケータイ 2006.11 911SH AQUOSケータイ 2006年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 2006.10 「予想外割」 スタティック ダイナミック 市場 環境 CL 差別化 MNP開始 ケイパ 2006.4 2006.10 2006.10 「割賦販売」 2006.10 Yahooケータイ ハード コンテンツ 端末 利用料
Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
2007年成功要因分析
■コストリーダーシップ docomo SoftBank 割賦販売モデル KDDI ◆通信料金 「ホワイトプラン」 「Wホワイト」 ■割賦販売が ユーザーに 受け入れられる ■ホワイトプラン の幅を広げ、新し いユーザーの需 要を喚起。 ◆通信料金 「ホワイト家族24」 「ホワイト学割」 拡充 1年遅れで追随Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
市場 環境 CL 差別化 ケイパ ビリティ ケータイと固定通信の シナジー開始 ダイナミック競争 MNP 2G→3G 2007.6 ホワイト家族24 2007.12 docomo「割賦販売」開始 2008.2 ホワイト学割 2008.3 922SH インターネットマシン 電子コミック 3.5Gケータイ投入 THE PREMIUM ケータイ投入 テレビCMによる ブランド力向上 2007年 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 東京ミッドタウンを 広告ジャック Docomo、auの新価格サービスに 「24時間以内に対抗サービス発表」
Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
■差別化 ■インターネット端末 としての差別化開始 ■SoftBank主導で 機種のカテゴリ 分けを行い重複 をなくしたライン ナップを実現。 2006年 2007年 docomo KDDI メーカー主導のラインナップ
Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
ソフトバンクのコストリーダーシップ
Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
コ ス ト リ ー ダ ー シ ッ プ 差 別 化 ホワイトプラン ホワイト学割等 アライアンス 高機能端末 AQUOS携帯 廉価端末 PANTONE携帯 割賦販売 0円販売 加入者増 (シェア拡大) 収益減 収益増 携帯電話 事業 インターネット 事業 収益増 (携帯事業) (企業全体) 競争戦略 企業戦略成功要因分析まとめ
利益の源泉は、本業のインターネットビジネス利用料とデータ通信料金。 本業との補完関係が非常に強い。携帯電話事業はインターネットビジネス 成長のための道具でしかない。 ・自ら環境をダイナミックに変化させた ・1年目は企業戦略の手段としてコストリーダーシップをとった。 ・2年目はコストリーダーシップと差別化の同時実現をおこなっている。Ⅳ.事例研究ケース1:ソフトバンク携帯電話ビジネス参入
戦略 コストリーダー シップ 成長方式 市場 外部環境 手段 両立 内部 資源 外部 資源 既存 新規 スタ ティック ダイナ ミック ソフトバンク ○ ○ ○ ○ ○ コストリーダーシップの新たなパターン200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 1,200,000 1,400,000 1,600,000 1,800,000 2,000,000 0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 1,200,000 2007/5 ~9 2007/10~12 2008/1~3 2008/4~6 2008/7~9 2008/10~12 2009/1~3 2009/4~6 2009/7~9 累計稼働 純増 イーモバイル稼働状況 NTTドコモ au ソフトバンク EMOBILE ウィルコム EMOBILE累計 100円PC効果 純増2位
Ⅴ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
パフォーマンス
携帯電話事業
音声 データ
差別化による参入
携帯電話事業は 音声とデータ通信に 分かれる。
データ通信は携帯 電話でのネット利用 により増加傾向
PCでの利用はあ まり考えていない。 ⇒交換機負荷問題
敵のいないデータ 通信分野への参入創業~
2007年成功要因分析
Ⅴ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
コストリーダーシップ
PCとのセット販売によるコ ストリーダーシップ PC本体価格 約8万 4万円 イーモバイルが 補てん(奨励金) 4万円 残金は割賦で 24回払い 持ち帰り 0円創業~
2007年成功要因分析
Ⅴ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
アライアンス
Docomoとのローミ ング契約 ⇒エリア不足を補う
Softbankのmvno
同業者と協業?創業~
2007年成功要因分析
Ⅴ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
イー・モバイルのコストリーダーシップ
コ ス ト リ ー ダ ー シ ッ プ 差 別 化 100円PC アライアンス PCカード PCカード (別ブランド) 0円販売 加入者増 (シェア拡大) 収益増 競争戦略 企業戦略Ⅴ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
音声ローミング アライアンス基本的には競争相手のいない領域への参入でポジションを築く戦略であ ることから差別化によるポジショニング戦略。 PCセット販売によるコストリーダーシップでもある。 設備は内部資源、PCとのセット販売はアライアンスによって実現。 差別化とコストリーダーシップの両立。
イー・モバイルのコストリーダーシップ
戦略 コストリーダー シップ 成長方式 市場 外部環境 手段 両立 内部 資源 外部 資源 既存 新規 スタ ティック ダイナ ミック イー・モバイル × ○ ○ ○ ○ ○ ポジショニングの新たなバリエーションⅤ.事例研究ケース2:イー・モバイル携帯電話ビジネス参入
0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 当期利益(百万円)
Ⅵ.事例研究ケース
3:ユニクロ
パフォーマンス
1998年~2000年成功要因分析
コストリーダーシップ
SPAによる製造小売り 問屋を介さずに製造~ 小売⇒コスト削減
中国を中心とした低コ ストでの生産
尐品種大量 フリースの積み上げ販 売
品質は落とさず 契約工場への社員派 遣による品質管理。 ⇒価格と品質のバランスⅥ.事例研究ケース
3:ユニクロ
差別化
フリースのヒット後は特別なヒット商品がない。
品質見直し⇒品質を上げ値上げ
都心部への出店
ファッション性の確立
新素材の開発 東レとの共同開発 2000年エアテック 2006年ヒートテック⇒2007年に大ブーム
低価格ブランドの立ち上げ⇒g.u. ⇒品質はユニクロ、低価格はg.u.セグメント分け
海外進出2006年~成功要因分析
Ⅵ.事例研究ケース
3:ユニクロ
ユニクロのコストリーダーシップ
コ ス ト リ ー ダ ー シ ッ プ 差 別 化 SPA アライアンス 新素材 シェア拡大 収益増 競争戦略 企業戦略Ⅴ.事例研究ケース
3:ユニクロ
集中化 (ベーシック、尐品種) アライアンス ノウハウ成功要因分析まとめ
初期は、コストリーダーシップを目的にアライアンスによる外部資源を利用 して低価格を実現させてきた。 また、新素材開発についてもアライアンスを利用して開発を行い差別化を 図ってきた。 外部資源を内部資源のごとく利用しコストリーダーシップと差別化を実現さ せている。Ⅵ.事例研究ケース
3:ユニクロ
戦略 コストリーダー シップ 成長方式 市場 外部環境 手段 両立 内部 資源 外部 資源 既存 新規 スタ ティック ダイナ ミック ユニクロ × ○ ○ ○ ○パフォーマンス
0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 450,000 500,000 550,000 600,000 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 単 位 百 万 各社売上推移 しまむら ユナイテッドアローズ ファーストリテイリング タカキュー はるやま コナカ 青山 ワールド 調査対象:~1990年 1990以降Ⅶ.事例研究ケース
4:しまむら
コストリーダーシップ
情報システムの充実 1978年にオンライン化、1987年にPOS導入。
物流システムの充実
店舗進出候補、交渉、情報システム、すべて自前
パートタイマーの多登用
マニュアルの整備、充実Ⅶ.事例研究ケース
4:しまむら
しまむらのコストリーダーシップ
コ ス ト リ ー ダ ー シ ッ プ 差 別 化 流通システム (物流システム) ノウハウ シェア拡大 収益増 競争戦略 企業戦略Ⅶ.事例研究ケース
4:しまむら
成功要因分析まとめ
操業当初からローコストにこだわっている。ローコストの源泉は、大量に仕 入れた商品を売りつくすオペレーションに優れている。 その元になっているのが自前で作った物流システムである。 徹底した在庫管理により売りつくすことで、他社ができないローコストを実 現している。 戦略 コストリーダー シップ 成長方式 市場 外部環境 手段 両立 内部 資源 外部 資源 既存 新規 スタ ティック ダイナ ミック しまむら × × ○ ○ ○ RBVにあたるⅦ.事例研究ケース
4:しまむら
Ⅷ.まとめ
企業 コストリーダーシッ プ視点 環境視点 コストリーダーシッ プのパターン ソフトバンク 修正RBV 該当なし 新たなパターン イー・モバイル 該当なし ポジショニングに近 い 差別化のポジショ ニングバリエーショ ン ユニクロ 該当なし 該当なし 新たなパターン しまむら ポジショニング、 RBV、破壊的イノ ベーション RBVに近い RVB資源 競争優位性 環境条件 戦略 業績 本業との補完 関係 CL アライアンス 差別化 M&A 事業業績 UP ソフトバンクの場合 企業業績 UP 携帯電話通話料下げ 通話収入減尐 顧客増加 インターネット利用者増加 本業収益増加
Ⅷ.まとめ
◆企業戦略の手段としてコストリーダーシップを利用している。 ビジネスモデルの一環としてのコストリーダーシップ◆通信事業においては、端末(ハード)自体に価値があるのではなく、 通話料、通信料等(ソフト)と通話、通信する媒体(PC等ハード)との 合わせ技で価値が決まる。 ⇒組み合わせ方によってはCL、差別化の両立が可能。 資源 競争優位性 環境条件 戦略 業績 データ通信 に特化 差別化 アライアンス 低コスト 自前 業績UP イー・モバイルの場合 ・PCカードのみに特化すれば差別化、CLが実現できる。・PCの価格を通話料に上乗せして割賦することにより、CLが 実現できる。
Ⅷ.まとめ
資源 競争優位性 環境条件 戦略 業績 低コスト コストリー ダーシップ 資源蓄積 差別化 外部資源 (SPA) 業績UP ユニクロの場合 ・SPAによる低コストでコストリーダーシップを実現 ・低コストによる資源(ノウハウ)蓄積 ・アライアンスにより蓄積された資源を利用し、差別化を実現 ・全体を見極めるスピード アライアン ス スピード
Ⅷ.まとめ
◆外部資源を利用しながら内部資源のような模倣困難な資源を蓄積 ⇒コストリーダーシップと差別化の同時実現資源 競争優位性 環境条件 戦略 業績 低コスト コストリー ダーシップ 資源蓄積 流通システム (自社) 業績UP しまむらの場合 ・自社流通システムを充実させることにより徹底的な低コスト を実現 ・培った技術を蓄積し模倣困難な資源としている
Ⅷ.まとめ
Ⅷ.まとめ
課題
◆サンプル数が尐ない
サンプル数が4ケースと尐ない。
◆業界数が尐ない
通信業界と衣料業界の
2業界だけ
◆失敗事例がない
コストリーダーシップでの失敗を研究することで成功要
因がより明確になる。
普遍性を高める必要性がある。
【参考文献】
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