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発達障害児をもつ母親の障害に対する考え方への祖父母の影響に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)発達障害児をもつ母親の障害に対する考え方への祖父母の影響に関する研究 特別支援教育学専攻   心身障害コース.     M08096A      神崎 愛. I.問題の所在と目的  『今後の特別支援教育の在り方について(最終報 告)」(文部科学省,2003)で、特別支援教育は従来の特. 殊教育の対象だけでなく、LD,ADHD、高機能自閉症 を含めて障害のある児童生徒に適切な教育や指導を 通じて必要な支援を行うものであることが明言され た。そして対象児への支援だけでなく、家族支援や 発達障害者に対する社会の理解も進んできている。 しかし他方、LDやADHD、高機能自閉症などの障害は 外見からは判断しにくく、通常学級に在籍している 場合も多い。そのため、健常児と同じように教育を 受けてきた自分の孫が突然「障害児」という枠組み に入ることに対して抵抗を感じる祖父母もいるとい う声がある。.  佐鹿(2007)は主な育児者である母親が子どもの障 害と向き合っていく中で、身近な家族の支えは大き. いと述べている。一方で、祖父母の無理解な言葉な どは重圧であり、そのような重圧から解放されるこ とが、親の障害受容が進むうえで必要であるとも述 べている。.  また、今野(1998)は、多くの祖父母は障害児のい. る家族に対して暗いイメージを抱き、障害児に対す る医療や教育、福祉等の現状を知らないだけでなく、. 発達についても否定的・消極的な考えを抱きがちで あると述べている。また、子どもの障害や教育など に対する祖父母の理解のなさを日頃感じている母親 は決して少なくないという。一方、祖父母が障害の 知識を増やすことや偏見をただすきっかけを得るこ とは母親以上に難しいと考えられ、親だけでなく祖 父母に対する支援の必要性を述べている。  以上のことから、対象児やその親、さらに家族全 体への支援を行う上で祖父母の意識や態度もふまえ て考えていくことが必要であろう。しかし、障害児 の祖父母に焦点をあてたこれまでの研究は少なく、 通常学級に在籍している発達障害児を対象とした祖 父母の研究は見当たらない。.  そこで本研究では、祖父母と母親との関わりや祖 父母と子どもとの関わりから、母親が感じる祖父母 の障害に対する意識を明らかにし、発達障害児をも つ母親の障害に対する考え方における祖父母の影響 について検討することを目的とする。 皿.方法 1.対象  小野市、加東市、三木市在住の発達障害児の母親 8名。Aさん(30歳代):子どもa(11歳・男)広汎性発 達障害、父方祖父母・母方祖母ともに別居。Bさん(30. 歳代):子どもb(10歳・男)LD・A㎜D・高機能自閉症、. 父方祖父母・母方祖母ともに別居。Cさん(30歳代): 子ども。(10歳・男)広汎性発達障害、父方祖父母・母 方祖父母ともに別居。Dさん(40歳代):子どもd(11 歳・男)LD・高機能自閉症、父方祖母は別居、母方祖父 母は同居。Eさん(30歳):子どもe(11歳・男)高機能. 自閉症、父方祖父母は同居、母方祖父母は別居。F さん(30歳代):子どもf(8歳・女)広汎性発達障害・. 精神遅滞、母方祖父母と同居。Gさん(30歳代)=子 どもg1(10歳・男)g2(7歳・男)両児とも広汎性発達障. 害、父方祖父母・母方祖父母ともに別居。Hさん(40 歳代):子どもh(11歳・男)アスペルカー症候群、父 方祖父母・母方祖父母ともに別居。. 2.実施時期.  2009年9月から10月 3.調査方法 1)手続き:紹介者を通じて事前に質問内容を確認し  ておいてもらい、それに基づきインタビューを行  った。1対1の面接で実施時間は1人30∼40分程  度であった。その内容はICレコーダーに録音した。 2)質問項目:①子どもの障害について、②障害に気  付いたときの様子や経緯、診断前後について、③  祖父母との関わりについて、④母親自身の気持ち  の変化について、⑤祖父母の発達障害に対する意  識について。過去から現在に至るまでを語っても  らった。. 皿.結果と考察 1.子どもの様子  子どもの様子については、家庭と学校の様子の相 違点を挙げてから、それぞれどのような様子が見ら れるか詳しく語ってもらった。家庭の方が落ち着い. ていると感じているのはAさんとDさんで、学校で は問題行動が見られたり、担任の先生に問題を指摘 されたりすることが多いと答えていた。学校ではお となしく、気持ちを抑えて過ごし、家庭で発散させ てのびのび過ごしていると答えていたのはCさん、E さん、Fさん、Gさんであった。 2.障害1二気づいた時の様子や経緯・診断前後.  子どもに対して何か気になると思い始めた気づき の時期については、今回の対象者全員が小学校1年 生までに気づきがあったという結果になった。最も 早い人は生まれた時に何らかの気づきがあり、年上 のきょうだいがいる場合に明らかな違いに気づいた り、標準の発達よりも遅れていることが明らかであ ったりする場合には気づきの時期が比較的早いと考 えられる。しかし、Aさんのように家庭で問題なく. 190一.

(2) 過ごしてきた場合は、きょうだいがいても気づきに くいこともあり、そのような場合就学し、集団に入 った時に障害の特徴が顕著に現れると考えられる。  気づくきっかけとなる場面は乳幼児健診が多く、C さんは1歳半健診、Bさん、Eさん、Hさんは3歳児 健診で発達の遅れを発見されている。しかしすぐに 発達障害と結びつかず、健診の結果は母親に気にな ることとして意識の中に残るが、深刻に受け取らな いこともある。これは母親の人柄や家庭の雰囲気、 またその子の性格として捉える場合があるからだろ う。さらに、遅れや育てにくさを家庭環境や自分の 子育てに責任があると考える場合も多く、見た目で は障害がわかりにくい発達障害の発見が就学前後に なる原因の一つと考えられる。診断前の相談相手は 夫や祖父母という家族が一番多かった。保育士や保 健師など家族以外に相談した場合はそこで医師を紹 介され、受診を勧められるケースが目立つ。また、 保育士や通常学校教員が医師を紹介したり、診断後 教員の適切な対応があったりと発達障害の理解が教 育現場に浸透しつつあることが例える。  診断後の気持ちについては、すっきりした、わか ってよかったという前向きなものが大半を占める。 小さい頃から感じていた育てにくさなどのわだかま りの原因が見つけることができたからであろう。一 方で、「障害がある」ことに衝撃を受け、さらに先の ことに不安をもつ母親は少なくない。診断によって、 障害があるとわかっても、その後の子育てや問題へ の対処法がわからなければ関わり方を混乱させるこ とにもっながりかねないと考える。 3.祖父母との関わり  Dさんの事例を除いては最終的に両方の祖父母に 障害があると伝えている。祖父母と同居しているD さん、Eさん、Fさんは同居の祖父母に診断後すぐに 報告している。同居していなくてもAさん、Cさん、 Gさんのようにすぐに両祖父母に報告しているケー スもあり、Hさんのようにきちんと伝えていないケ ースもある。伝えるか伝えないか、わかってもらえ るようにどこまで丁寧に説明をするかはやはりそれ までの母親と祖父母の関係や家族の実態によって 様々であるといえる。.  伝えた時の祖父母の反応もそれぞれである。Aさ ん、Cさん、Eさんの祖父母は驚きや戸惑いであった。. Cさんの父方祖父母には理解が得られず、考えの違 いに負担を感じているようである。Dさん、Fさんの 祖父母は納得したようであった。診断前後で祖父母 と子どもとの関わり方が変化したかについては、大 きく変化を見せた事例はなかった。母親に対して子 どもの障害を公言しないように言うことはあっても、. 向き合って接してくれることをありがたいと言うよ うに、祖父母との関わり自体を避けたりするような 関係ではないことがわかる。また、祖父母がもっと 境遇を生かして活動したらとアドバイスしており、 母親が心配するほど祖父母は周囲の目を気にしてい ないことが例える。子どもの障害が明らかになる以 前から母親と祖父母とに会話や関わりがある場合、 障害が明らかになっても両者の関係が著しく悪化す ることがないと示唆する。祖父母の考えや態度に不 満や戸惑いはあっても祖父母の存在は切っても切れ ないものであり、考えの違いも大事な意見であり、 祖父母の存在自体を必要と思える状態であると考え られる。. 4母親自身の気持ちの変化  Aさんのように、祖父母と子どもの話をすること が、自分の気持ちをリセットし、悪いところはかり 見ていた状態を立て直すきっかけになるという。子 どもに障害があっても長年子育てをしてきた祖父母 は関わり方を心得ている場合があると考えられる。 祖父母の穏やかな対応により、子どもも母親も落ち 着く状態になれるのではないだろうか。逆に、祖父 母が忙しく、同居していながらも子どものことにあ まり関心を示さない場合、近くに頼りたい人がいる のに協力してもらえないというもどかしさは、別居 の場合よりも母親の負担を増加させる可能性が考え られる。祖父母の適度な関わりは母親によい影響を 与えることを示唆する。. 5.祖父母の発達障害1=対する意識  発達障害に対する祖父母の知識やイメージについ ては、Bさん、Eさん、Hさんがネガティブなイメー ジを持っていると思うと答えた。一方で発達障害児 が悪いニュースで取り上げられることもあるが、有 名人の中には発達障害を持っている人もいる、飛び 抜けて優れているところがあるというイメージもあ り、才能を引き出せればいいと希望を持つ祖父母も いる。子どもの障害を知ってからイメージや接し方 が変わったのはCさん、Dさん、Eさんで、Cさんや Dさんの場合、母親自身が落ち着いたことにより、 支援が必要な子であることを祖父母も理解したこと から、祖父母に変化が見られる時、祖父母の意識だ けが変わったということではなく、母親や子ども、 教員という周りの人の変化とも相互に影響し合って いると考えられる。障害に対してもともと持ってい た知識やイメージがネガティブなものであっても、 子どもの障害を知ってからの接し方にそのイメージ にとらわれたようなものは見られないことがわかっ た。ただ、接し方に現れなくても時折気にする発言 が見られ、祖父母の思いの中にはネガティブなもの が消えずにいる可能1性は考えられる。. やはり孫はイ可よりも可愛いと思う対象であり、きょ うだいの中で特に気にかけてくれることも、障害の 有無に関わらず接していることも多いと言える。.          主任指導教員 芝田裕一.  母親と祖父母の関わりについては、障害を公言し ないよう言われることもあるが、祖父母が子どもと. 指導教員 芝田裕一. 一191.

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