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障害児の祖父母 に対す るサポー ト

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(1)

障害児の祖父母 に対す るサポー ト

ー ア メ リカ合 衆 国 に お け る取 り組 み を中心 に一 今 野 和 夫

Pr of e s sl ' On alSupp or tf orGr an dpar e nt sofChl l dr e nwi t hHan di c aps KazuoKoNNO

It hi nkt hatpr of e s s i onals l l ppOr tf orgr and pa r e nt sofc hi l d r e nwi t hhandi ‑ c apsi sa ni mpo r t antpar toff aml l yc ar e . Suc hs uppo r tmayhavepos i t i ve e f f e c t sonhandi c appe dc hi l dandhi spar e nt saswe l lashi sgr andpa r e nt s . Butt he r es e e msnos uc hs uppo r ti nJapan

.

I nt hi spape r,Ir e f e r r e dt ot hr e ewor ks hopsf orgr and par e nt sofc hi l dr e n wi t hhandi c apsi nUnl t e dSt at e sofAme r i c a.Ipol nt e doutc har ac t e r i s t i c sof e ac hwo r ks ho p. Is ugge s t e dawayt ohol dawo r ks hopf o rgr and par e nt sl n Japan.

Ⅰ . は じめに

筆者 は,障害児を もつ家族 と協力者 によ るひ とつの地域的活動 t n( 1 9 8 5 年発足 の秋 田すず め の会) に関わ っている。下 の文 は,その活動 の 一環 として年 に一度発行 され る文集 のために,

4 歳 の重度精神遅滞児を もつ母親が書 いた もの である。

最近 うれ しか った ことと言 えば , 「も しか し た らみ っちゃん誰 よりも一番幸せなのか もしれ ない. いっ もおかあさん と一緒 に遊んで もらっ た り,みんなにかわいが られ‑‑」 と言 って く れた母 の言葉です。 いっの世 も,い くっ にな っ て も,娘 と思 う母の気持 ち は同 じなんです ね。

みちよを見 るたび私 に 「チコ ( 私の名前)苦労 す るね」 と口癖のように言 っていま した。そ し て , 「 頑張 れ‑・ ‑」 と必 ず言 うのです。 その都 度私 は , 「みちよよ り大変 な子供 もい っぱいい るし,私 よ り,もっともっと苦労 して い る母親 もい っぱいいるんだよ。 まわ りで思 うほど私 は 苦労 していないのだか ら,あまり心配 しないで 欲 しい」 と何度言 った ことか‑‑・ 。で も,や は り母なんですね。私 の強が りを信 じたふ りを し

て,信 じていなか ったのです。 ともすれ ばガ タ ガタと音 を立てて崩れそ うな娘 を気遣 い,明 る く励 ま し,みちよのために も強 い母 にな って ほ しいと願 っていたに違 いあ りません。 そんな母 の気持 ちをよそに,私 は,ただただ心配 か けま いと陽気 に振 る舞 っていたのです。陽気 に振 る 舞えば振 る舞 うほど,私 を不偶 に思 い孫 がかわ い くて,娘がかわい くて・ ‑‑。 きっと一番 っ ら い思 いを していたのは母か もしれません。 その 母 も多 くの障害児 に出会 った り話を問いた りし て,いろいろな世界があることを知 り,見 る目 を変 え, ようや く気持 ちを少 し楽 に して くれた のです。 そ して ,私 は母 に いっ も言 い ます。

「み っちゃん も大事だが ともち ゃん (中学 1 年 の長男) も絶対粗末 に してはいけない」 と。い つだ ったか,勉強会 の時,やはり障害児 の妹 を もつ素直で明 るい妹思 いの高校 1 年の長男が突 然家庭内暴力を振 るって困 り,先生 に相談 に来 たと聞かされま した。決 して このお母 さん も長 男を粗末 に していた訳ではないと思 う。 しか し, いつ我が身 に降 りかか って も不思議でない話で あ り,人 ごととは思えな く,母 に言 われた こと を痛感 しています 。( 1 9 8 8 年 3 月発行 , 「すず め の文集」第 2 号)

‑ 1 01‑

(2)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第4 3

上 の文か らは,障害児 の母親 と祖母 (つ ま り 障害児 の母親 の母) が互 いに相手 の心情 と苦労 を深 く細 やか に理解 し,励 ま し合 い,支 え合 っ て生 きている姿が うかがわれ る。 また子育 ての 苦労 や子 どもに対す る愛情 の深 さを理解 した上 で祖母が与 えて くれ る適切 なア ドバ イスが ,障 害児 の母親 の子育 て にとって大切 な指針 とな っ ていることも示唆 され る。 さ らに,自分 の孫 以 外 の障害児 との出会 い と関わ りを重ねることで, 祖母 は自分 の孫 やその他 の障害児 につ いての理 解 を深 め,障害児 を孫 に もつ ことで生 じる さま ざまな心労 を軽減 ない し克服 して行 けることも 示唆 され る。

祖父母 が障害児やその親 に対 して果 た し得 る 役割 ない し機能 は,本来非常 に多 いと思われる。

遊 びのパ ー トナー と して,祖父母 は時 に は親 以 上 に一生懸命,そ して心 を こめて子 どもとつ き あ って くれ るか もしれない。 そ して子 どもの遊 び心や遊 びの レパ ー トリーを膨 らま して くれて い るか もしれない。祖父母 との関わ りは,子 ど もにとって は経験 の幅が広 げ られ ることであり, 多様 な人間関係 の中で育つ ことがで きるとい う

ことで もあ る。親 が忙 しい ときや体調 が悪 いと き,祖父母 は親 に代 わ って子 どもの世話 を した り療育機関への通園を引 き受 けて くれたりす る。

子 どもへの接 し方 や子 どもの病気 の処置 の仕方 について,祖父母 は娘 の良 き相談相手 にな って くれ る。 もちろん ,親 の精 神面 のサ ポー ター 励 ま し役 として も祖父母 は重要 で あ る。 一方 , 別居 している場合 も同居 の場合 も,障害児 や そ

の親 ( た とえば自分の娘や嫁)との問に強い粁 ・ 連携関係 が培 われて行 くか もしれない し, 自分

のそれ までの豊富 な経験 や知恵 を孫 や親 のため に発揮 で きるか もしれない。孫以外 の障害児や その親 ,さ らには同様 の立場 にある別 の祖 父母 と関わ る機会 を増す に連 れ,自己の人間関 係 を 拡大で きるだ けでな く,障害 のあ る孫 を もつ こ とでの シ ョックや不安 を緩和 で きた り,自分 の 孫 や親 に対 して よ り冷静 かつ肯定的な見方 がで きるよ うにな るか もしれない。障害児 ( 者) 杏 め ぐる社会的 な問題 への関心 も育 まれて行 くか もしれない。要す るに,障害 を もつ孫 や そ の親

と関わ ることには,祖父母 にとって ,自分 を他 者 のために貢献 させ同時 に自分 を育 て ることの で きる豊 かな充実 した祖父母時代 を構築で きる 可能性 が秘 め られて いる。

一方 ,上述 したよ うに,祖父母 は障害 児 や そ の親 にとって,障害児 は祖父母 に と って ,と も に有意義 な存在 にな りうると して も,そ の よ う な状態‑つ ま り互 いにかけがえのない存在‑へ と,障害児 の誕生直後 や障害があ ると診 断 され た直後 の短 い期間 にスムーズに,親 と祖 父 母 の 間 に何 の葛藤 もな く至 るケースは,きわ めて少 ないと思 われ る。先 の文 を書 いた母親 とその祖 母 ( 実母) の間で さえ,文面 か ら推測 し得 る連 携状態 に至 るまで には何度 か意見 の食 い違 いが 生 じていると思 われ る。 さ らには,障害 児 の発 達初期 における親 と祖父母問の葛藤が,子 ど も のその後 の成長 とともにむ しろ大 き くな って し まっているケース もあ るだろ う。障害 の原因 と して,祖父母 は遺伝的 な もの,つ ま りは家系 的 な ものを重視 しがちか もしれない。 そ してその よ うな場合 には,父親方 の祖父母 と同居 して い る母親 が責 め られ る可能性 が大 きくなるだろう。

また,孫 に障害があ ることを近隣 に知 られ た く ない とか,障害があれば早 く死亡す るに違 いな いのだか らせめて元気 な間だ けで も外 に出 さず 家族で大事 に してい くべ きだ とい った祖母 の強 い意見 に抗 しきれず に,障害児 の早期 の発達 に とって も,障害児 を もつ他 の母親 や専門家 との 出会 いによる母親 の心理的適応 の進展 に とって も大切 な期間を閉鎖的な環境 の中で過 ご して し ま った母親 を,筆者 は知 って い る。 ちなみ に, てんかんを もっ子 ども ( 平均 1 5 歳) とその親 に 面接 した Ro me i s( 1 9 8 0 ) 〔 2 ‑は,子 ど もに対 し て過保護的であるよ う,あ るいは子 どもを学 校 以外 の社会的活動 (た とえば友達 とのつ きあい)

に参加 させぬよ う親 に求 め るな ど して,祖 父 母

がてんかん児 とその親 の適応 を妨 げて しま って

い るケースが多 い ことを,兄 いだ して いる。 そ

して,てんかんについての無知 ( た とえ ば抗 て

んかん剤 の存在 やその有効性 につ いて知 らない

こと) とか偏見が,てんかん児やその親 に対 す

る祖父母 の態度 お よび言動 を大 き く規定 してい

(3)

ると指摘 してい る 。Ge o r g e( 1 9 8 8 )

3)

によれば, 障害児 の早期介入 に関わ る親 の多 くが,発達遅 滞 の意味や早期介入 プログラムの必要性 を理解 していない,子 どもの障害 を否定 した り楽 観 視 した りして いる,早期指導 プログラムに基 づ く 家庭での訓練 に協力 的 で な い とい った不 満 を, 祖父母や親族 に対 して抱 いてい るとい う。

障害児 の誕生 は,その両親 のみな らず父親 方 と母親方双方 の祖父母 に とって大 きな シ ョック を もた らしかねない。 それ は,家族 内 ,家 族 と 親類間 にさまざまな葛藤 を もた ら しか ね な い。

障害児 として生 まれた原因 は何か,娘 あ るい は 嫁 はどうしてそのよ うな子 どもを生んで しまっ たのか,子 ど もは どの くらい生 き られ るのか , どこまで発達で きるのか,自分 は娘 や息子 ( っ ま り障害児 の親) と孫 にどのよ うな手助 けがで きるのか,孫 が障害を もって いることを親 類 や 知人 にいっ,どのように伝 え るべ きか等 々,祖 父母 はさまざまな疑問や悩 み,不安 とい った も のを抱 え るで あろう。一方 ,その ような状態 に ある祖父母 が,祖父母以上 に混乱 した心理 状態 にあ る障害児 の父親 や母親 に対 して どのよ うな 言動 を とって い くか ば,両親間 の関係 ,親 の心 労 の緩和 ,親 としての自覚 や 自信 の深 化 ,子 ど もに対す る愛情 の深 ま り,子 ど も‑ の接 し方 , 親 や子 どもと地域 や療育機関 との関わ りなどに, 大 きな影響 を及 ぼす もの と考 え られ る。

ところで,障害児 に対す る療育活動 は通 園施 設,療育 セ ンター,学校 な ど種 々 の機 関 で行 わ れてお り,そ こで は,カウ ンセ リングや学 習 会 な ど障害児 の家族 をサポー トす るための活動 が 行 われ る場合 も多 い。 しか し,そのようなサポー トがあ るとして も,その対象 とされてい るの は 主 として母親 であ る。子 どもの障害,子 ど も‑

の接 し方 ,障害児 を持つ ことか ら生 じる祖 父母 の悩 みな どにつ いて専門家 を交 えて話 し合 う機 会を継続的 に設定す るな どして,障害児 を孫 と して もつ祖父母 のために特別 な配慮やサポー ト を展開 してい るよ うな機関 を我 が国 に兄 いだす

ことは,現在 の ところ困難 と思われ る。 障害 児 を孫 に もつ祖父母 の悩 みや疑問,誤 解 ,偏 見 な どの緩和 や解消 に寄与で き,そ して ,障害児 の

発達 に大 き く貢献 で きるよう祖父母 をサポー ト で き,加 えて障害児 の子育てをめ ぐり障害 児 の 親 と祖父母 の間 に良好 な協力関係 が成立 す るよ う援助で きるよ うにす るにはどのような配慮 や 体制 が必要 なのか とい った点 か ら,療育 活 動 に 伴 う家族へのサ ポー トの在 り方 について検討す べ き時期 にきてい ると思 われ る。一方 ,海 外 の 療育実践 に目を向 けると,きわめて少数 で あ る が,障害児 を孫 に もっ祖父母‑ のサポー トを実 施 して い る機関 を兄 いだす ことがで きる。 すな わち,ア トランタス ピーチスクール ,テ ネ シー 大学子 ども発達 セ ンター,ワシン トン大学 児童 発達 ・精神遅滞 セ ンター実験教育部 門で あ る。

本稿 で は,これ らの機関 における取 り組 み の 実際を明 らか に し,それぞれの取 り組 み につ い て考察 を加 えたい。 さ らに,障害児 を孫 に もっ 祖父母 に対す るサポー トを我 が国で はどのよ う な形 の ものか ら着手 しうるか につ いて も,考 え てみたい。

Ⅱ.祖父母へのサポー トの実際

1 . ア トラ ンタス ピーチスクールの場合 Rh o a d e s( 1 9 7 5 ) ( 4 1は,就学前 の聴覚 障害 児 を もつ親 のための親関与 プログラムはあ って も, 祖父母 がそのよ うな プログラムに関わ る機会 は

きわめて少 ない とい う理 由か ら,祖父母 のた め の ワー クシ ョップを 自校で 1 回試 み,そ の内容 を簡単 に報告 してい る。 その報告で は,ワー ク シ ョップの成果 よ りも,その開催 までの段取 り とワー クシ ョップの内容 の方が詳述 されている。

この学校 における祖父母 のためのサー ビスの一 つの特徴 は,子 どもの指導 に参加す る親 の了解 ・ 協力を得 なが らワークシ ョップの準備 (4 カ月 間)が進 め られた ことにあ ると思 われ る。す な わち,祖父母 のための ワークシ ョップの開催 が 親 に告 げ られ,親 たちはそれに歓迎 の意 を表 し てい る。 ワークシ ョップの案内や子 ど もか らの ワークシ ョップへの招待状 は,親 を通 して祖 父 母 に配布 されてい るO ワー クシ ョップへの参加 の有無 の確認 も,親 が祖父母 の希望を問 う形 で

‑ 1 0 3‑

(4)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 43

進 め られている。 こうして,対象 とな る祖父 母 の半数以上 ( 28 人中1 7 人) が,スクールか らは か な り遠 い所 に住んでいるにもかかわ らず,ワー

クシ ョップに参加 している。

ワークシ ョップは ,4 月の土曜 日の午前 9 時 1 5 分か ら 1 2 時。 まず学校 内を見学 (9 時30 分 よ り) し,それか ら聴覚器官 や聴覚検 査 ,聴 覚 障 害 の原因,補聴器 などにつ いての説 明 (9 時50 分 よ り),聴覚障害 の子 ど もを援 助 す る際 に配 慮 すべ き点 につ いての説明 ( 子 どもの実際 の指 導場面 の ビデ オを使 用 して。 10 時20 分 よ り), 障害児 に対す る家族 の情緒的反応 につ いての説 明 ( 1 1 時1 5 分 よ り) が,それぞれ別 の部 屋 で行 われてい る。説明 によ り部屋を替 えたの は,学 校 について祖父母 に深 く知 って もらいたいため で ある。

2. テネ シー大学子 とも発達 セ ンターの場合 1983 年 ,テ ネ シー大学子 ど も発 達 セ ンター ( t heChi l dDe ve l opme ntCe nt e r)で行 われ て い る発達遅滞児 のための早期介入 の一環 として, それ までの子 どもに対す る指導 ,親 グル ー プに 対 す るサポー ト,き ょうだい グループに対 す る サ ポー トに加 え,親族 グループに対す るサ ポー ト ( api l otpr o j e c ts uppor tgr oup f orr e l a‑

t

i

ve sofc hl l dr e nwi t hde ve l o pme nt alde l ay) が新 たに施行 されている。 この親族 グループの 主 たるメ ンバ ーが祖父母 であ る。

( 1 ) サポー トの 目的 と意義

このサポー トプログラムの 目的 として,Ge o r g

e

( 1 98 8)

(3

)は以下 の 4 点 を挙 げている。

a .発達遅滞,特 に ダウ ン症 に関連 す る問題 の解決 に役立つ教 育 原則 を学 んで も らい, それを実際 に生 かせ る機会を提供す ること。

b.拡大家族 のメ ンバ ーが 自己の感情 と適 応 反応 を明瞭化 した り表 出 した りしやす いよ

うな支持 的雰囲気 を提供す ること。

C .発達遅滞児 の誕生 に当面 した ばか りの家 族 の適応反応 を改善す ること。

d.他 の親密 なサポー トネ ッ トワー クばか り で な く,子 ども,核家族 ,拡 大 家族 を含 む 家族全体 の結 びつ きが まず大切であ ること

を認識 して もらい,かつその結 びつ きを強 め ること。

e .社会的 なネ ッ トワー クを広 げ,同様 の状 況 に遭遇 して いる他 の家族 との結 びつ きを 促す こと。

ちなみに Ge or ge (1988)

'3

'は,拡 大家 族 の メ ンバ ーに発達遅滞 につ いての知識 と理解 を深 め る機会 を提供す ることは,障害児への家族 の 対処力 の強化 と柔軟化 を もた らし,さ らに,障 害児 の親 に対 して拡大家族 が情緒面 ,実 際面 か らサポー トす る力を強 め ることがで きると指摘 している。 また,発達遅滞児 を もつ他 の身 内 と の出会 いや話 し合 いを通 して も,グルー プの メ ンバ ーは子 どもの障害 につ いての理解 と受容 を 深 め ることがで きると指摘 して い る。 さ らに,

このよ うなプログラムを通 して,身 内 は,子 ど もに対 す る自分 の態度 を改善 で きるだけでな く, 子 どもの親 に とって頼 りがいのある支持者 とな れ,その ことによ り子 どもの障害 に対す る自 ら の適応 を肯定 的 に評価で きるよ うにな ると,指 摘 してい る。一方頼 りがいのあ る支持者 が身内 にいることは,障害児 の親 の精神的負担 を軽減 させて もくれ る。 こうして,祖父母 を中心 とす る身内対象 の このプログラムは,身内の み な ら ず障害児やその親 にとって も,また,身 内 と障 害児 の関係や身内 と障害児 の親 との関係 のみな らず,障害児 とその親 の関係 にとって も,価値 あ るもの と考 えられ る。

( 2) サポー トプログラムの案内と参加者の構成 親族 を対象 と したサー ビスの案 内が障害児 の 親 を通 して親族 に伝 え られ,それ に参加 の意 向 を有す る親族 に対 して,サー ビスの詳細 (日時, 場所 ,目的) が電話で伝 え られて いる。 サ ー ビ

スへの参加 はあ くまで親族 の 自由意志 によるも のであ ることと,サー ビスの趣 旨につ いて障害 児 の親 も理解 す ることが重視 されてい るよ うに 思 われ る。

グループの会合 は,1 9 83 年 の春 と秋 に はそれ

ぞれ 8週間,夏季 には 6週間 に渡 り,毎週 ほぼ

1 時間,無料で行 われてい る。 この会合 は障害

児への早期介入 プログラムと連動 させて行 われ

てお り,参加者 には,子 ど もの指導 の実 際 を観

(5)

察 した りそれに参加す る ことが許 されて い る。

一方 ,発達 セ ンターか ら遠距離 に住むな ど して 会合 に断続的 に しか参加 で きない親族 に対 して

ち,参加が認 め られてい る。

なお,グループの会合 には,ソー シ ャル ワー カーが リ‑ダー役 として参加 している。 リーダー の役割 は,グループの変容 とともに変化 して い る。

( 3) グループの変容過程

Ge o r ge( 1 9 8 8

) (3

1は,プログラムの実施 とと もに参加者 たちに変化 が認 め られ るとし,それ を 4 つ の段階 に区分 して いる。 それ らは,彼 の 指摘 に基づ きま とめると,以下 のよ うな もので あ る

第 1 段階

打 ち解 けない雰囲気 の中で,子 どもの障害 に つ いての質問が リー ダーに集 中す る段階。

自己の感情 を吐露 した り,他 のメ ンバ ー と積 極的 に関わ ることは少 な く,自分 の子 ど もの障 害 との関連 ( 医学 的,遺伝的,知的側面) で専 門家 か ら情報 を得 ることが重視 されている。

この段階 において, リーダーは,メ ンバ ーが 結束す るとともに,一緒 に考 え ることので きる 目標 ( 課題) を明瞭化できるようにと,メンバー がそれぞれの子 どもにつ いて 自由に詳 しく話 し 合 うことを促 してい る。 リー ダーは,医者 や心 理学者,早期介入プログラムのコーディネーター な どの協力 ・参加 も得 て,グループか らの質 問 や課題 に対 して正確かつ十分 な情報 を提供 で き

るよ う配慮 してい る。

第 2 段階

障害児が親 に及 ぼす影響 について話 し合 われ る段階。

メ ンバー間が親密 にな り自己の感情がス トレー トに表 出され るようにな るが,出 され る課題 は, 障害児 に対す る自己の適応 に関す るものよりも, 障害児 の親 ( つ ま り祖父母 に とって直系 の子 ど

もや義理 の子 ども) に関す るものが主。 た とえ ば障害児 の診断 に対 す る親 の反応や苦 しみ ,両 親 の不和 な ど。

リ‑ ダーは,障害児 の診断や存在 によ り生 じ る情緒的反応 ( 悲嘆 な ど) の意味 をメ ンバーが

周知で きた り,核家族 の親 に対す る有効 な援 助 法 を メ ンバーが発見で きるよ う指導 (た とえば ロールプ レイ ングを導入)。 また,個 々の メ ン バ ーが 自分 自身の悲嘆 に前 向 きに対処す るよ う 促 してい る。

第 3 段階

障害児 に対す る自己の心情 を率 直 に吐露 し, メ ンバ ー同士 でサ ポー トし合 う姿が認 め られ る とともに,障害児 の生活 や将来への関心 や ,悼 害児 とその親 に貢献 したい との意向が高 まる段 階。

メ ンバ ー間の親密 さが増 し,シ ョック,失望 , 怒 り,悲 しみ とい うよ うな感情 が率直 に表現 さ れ るよ うにな る。 また,情緒 的 によ り困難 な状 態 にあるメ ンバ ーを全体で援助 しよ うとす る雰 囲気 が生 まれ る。障害児 の しつ け,就学 ,就職 な どにつ いて メ ンバー間で話 し合 う機会が増え, また,親 に代 わ って子守 をす るとい った親 ‑ の 実際的な援助 も増加す る。

リー ダーの役割 として は,メ ンバ ー間 の積極 的 な関 わ りを促 す こと,個 々の メ ンバ ーの力 ( s t r e ngt h) を活 用す る こ と,メ ンバ ーの感 情 が良 い方向 に変容す るよ うサ ポー トす る こと, 障害児 の将来 につ いて メ ンバーが現実的な期待

を抱 けるよ うサ ポー トす ることが挙 げ られてい る。

第 4 段階

不満 の表明 と新 たな取 り組みへの展望の段階。

プログラムが終了す るころ,グループへ の愛 着や メ ンバ ー間 の秤 は最 も強 まって いる。 その ため,プログラムの終了に対する不満が リーダー に表明 され,リーダー とメ ンバ‑の間 に感情 の 不一致 も生 じる。 リーダーは,地域 の活動 組 織 に参加 した り,親族 グループを新 たに組 織 化 す るな どして これまで の経験 が生 かせ る ことを, メ ンバ ーに示唆 してい る。 この示唆 によ り,一 人 の祖母 は,高齢者 がパ ー トタイムで指 導 に当 た る発達遅滞乳幼児 のためのデイケアセ ンター を設立す ることを構想 している。

3 . ワシン トン 大学児童発達 ・精神遅滞センター Me ye r と Vadas y ( 1 986) ̀ 5 ‑は,祖 父母 のた

‑ 1 0 5 ‑

(6)

秋EB大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第

4 3

めの ワークシ ョップに先立 ち障害児 の父親への サポー トプログ ラムを実施 し,それ を通 して , 祖父母 の悲 しみや失望 の克服 を助 けることがむ ずか しい,障害 の治療 や教育 の重要性 を理 解 し て くれない,子 どもの障害 を認 めな い,子 ど も を拒否す るとい った祖父 母 につ いて の悩 み を, 多 くの父親 が抱 えて いることに気 づ いて い る。

また,障害児 の祖父母 に対す るア ンケー トを通 して,彼 らの多 くが,障害児 のため に積極 的 な 役割 を果 た したい と願 いっつ,その一方 で ,障 害児 に対す る自分 の行動 が適切 な ものか どうか 悩 んでい る こと,子 ど もの障害 ,治療 や教 育 , 福祉制度 な どにつ いて詳 しく知 りたい とい う希 望 を もっていること,障害児 を もっ他 の祖 父 母 と話 したい と思 いっつその機会が得 られず にい ることなどを,兄いだしている 。Me ye rとVadas y

機会 を与 え られ ることで祖父母 が障害児 とその 家族 のよ り良 き支援者 にな ることを願 い,ワ シ ン トン大学児童発達 ・精神遅滞 セ ンター実験教 育部門 において,障害児 を もつ祖父母 のた めの ワー クシ ョップを 2 か月 はどの間隔で 6 回 ,土 曜 の午前 を利用 して試 みている ( 無料 )。 な お この企画 は,障害児 ・者 とその家族 の援 護 と福 祉を目的とす る民間の非営利 的団体 ( TheKi ng Count yAd voc at e sf orRe t ar de dCi t

l

Z e nS ) か

らの援助 ( 特 に資金面) を得て実施 されている。

その 目的 として は,以下 のよ うな ものが挙 げ ら れて いる。

a. 障害児を孫 に もっ祖父母 が同 じ状況 にあ る他 の祖父母 と出会い,互いの共通の関心 ・ 心配 につ いて話 し合 う機会を提供す る。

b.障害児 とその家族 のた めの プ ログ ラム と サー ビスにつ いて学ぶ機会 を祖父母 に提供 す る。

C. 子 どもの障害が家族 全 体 に どの よ うな影 響 を及 ぼすのか話 し合 う機会 を祖父母 に提 供す る。

この ワークシ ョップのひ とつの特徴 は,そ の 活動 を地域 に開 いた もの とすべ く工夫 してい る ことであろ う。つ ま り,それへの参加者 を一 つ の機関や団体 に限定 していない。各回の ワーク

ショップの案内 ( 上記 の目的,前回のワークショッ プの模様 ,ワークシ ョップの 日程 と内容 な どを 含 む) は,発達障害 セ ンターや病院や学 校 な ど で組織 されてい る種々の親の団体,コ ミュニティ セ ンターや高齢者対象 のセ ンター,教会 で組織 されて いる種 々の高齢者 の団体 な どに対す るチ ラシの配布 ,さ らにはラジオや新聞 とい った マ スコ ミの利用 によ って,開催予定 日の 2 か月 は ど前 に祖父母 に伝え られる。各回のワークショッ プは,前 回の ワークシ ョップの内容 を発展 させ る形 で行われ るが,中途 か らの参加 や間欠 的 な 参加 も歓迎 している。一方 ,そのよ うな参 加 者 への便宜を図 り,各回の ワークシ ョップ は,前 回の内容 をまず簡単 に振 り返 ってか ら進 め られ てい る。 ちなみに,第 1 回の ワークシ ョップに は 3 2 人 の祖父母が 自発的 に参加 してい る。

各回の ワークシ ョップの内容 は,休憩 を問 に 挟み,祖父母での話 し合い 短r andpar e nt sr ound‑

t abl e )とゲス トによる情報提供 ( gue s ts pe ake r ) に大 き く分 け られ る (いずれ も約 1 時 間)。 祖 父母間の話 し合 いで は,参加者間でそれ ぞれ の 心情 (ス トレス,葛藤,喜 びな ど),知識 ,経験 が分か ち合 われ るとともに,各 自が抱 え る問題 の解決法 につ いて相互 に話 し合 われ る。 ゲ ス ト による情報提供で は,前 回の祖父母同士 の話 し 合 いで は解決で きなか った問題や,祖父母 同士 の共通 の関心事 ・疑 問 ( 第 1 回の ワークシ ョッ プにおいて質 問紙 による簡単 な調査 が実施 され る) につ いて,医者 やセ ラピス トや教師 な どの 専門家 ,もしくは障害児 の き ょうだいや障害者 を もつ親 とい った関係者 か ら話 を先 に提供 して もらい,続 いて,それに基づ いた質 疑 が行 われ る

この ワークショップにおいて重要な役割を担 っ てい るのは,フ ァシ リテ ィ タ‑ ( f ac i l i t at o r)

と呼 ばれ る人である 。Me ye rら ( 1 9 8 6 )

̀5

)に よ

ると,フ ァシ リティ クーの基本的役 割 は,参 加

者 の悩 みや相談 に直接解答を与 え ることで はな

く,参加者 同士 での心情 ,経 験 ,知識 の分 か ち

合 いを容易 にす ること,そ して,誠意 を もって

応 じて くれ る相談相手 ・情報提供者 を参加者 に

紹介 してや り,必要 とす る情報 を参加者 が能動

(7)

的に追求 しようとす る姿勢 を育てることである。

ちなみに Me y e r ら ( 1 9 8 6 ) ( 5 ‑は,このファシ リ ティタ‑は二人 いることが望ましいとしている。

また,必ず しも研究者や専門家が この役 割 を担 う必要 もな く,専門家 と祖父母,祖父母 同士 と い った組み合わせで もよいとしている。

ファシ リティクーには,特定 の参加者 の意 見 を支持 した り,参加者 に助言やア ドバイスを し た り,自分の考えや コメン トを強調 した りしな いよう配慮す ること,つま り基本的には中立 的 な立場 を守 るよ う求 め られて い る 。Me y e r ら ( 1 9 8 6 )( 5 ‑ は,より多 くの参加者 が意見 や考 えを 表出 し,参加者 が有 す る力 ( s t r e n g t h) ,資源 ( r e s o u r c e ),経験をで きるだけた くさん共有 で きるようにす るためには,ファシ リティ ターが 次 のような二つのテクニ ックを もつ ことが特 に 大切であるとしている。

能動的傾聴 ( a c t i v e一 i s t e ni n g)

話 し手 の気持 ちを理解 した り,話 し手 が伝 え ようとしていることが らを明瞭 に捉 え るべ く, 話 し手が述べ ることに,話 し手 に対す る姿勢 や 視線 といった非言語的な要因 にも配慮 しなが ら 注意深 く耳 を傾 けること。 ファシ リティクーに 紘,話 し手やその意見を評価 した り,話 し手 に 自分 の意見やア ドバ イ スを伝 え ることを控 え, 話 し手 の話 の内容を確認 ・反復す るような言明 をす るよう留意す ることが求 め られている。話 し手 にとり,この ことは,自分の話 が どれ ほど 相手 に伝わ っているのか点検 し,それに基 づ い て話 を修正ない し継続す ることに役立っ。

集団的探求 ( 9 r O u Pe xp一 o r a t i o n )

多 くの参加者が共通 に抱 えていた りある参加 者が特 に抱 えていた りす る問題や関心事を参加 者たちが把握 し,それ らの解決 の道が皆 の経験 と知識 の力で探 り当て られるよう,次 の よ うな 応答 の仕方 を重視す ることである。

・ 抱え る問題 につ いてよ り詳 しい話 を引 き 出す ような応答

例 : 「今話 して くれた子 どもの問題 につい て,もっと詳 しく話 して くれませんか」

・ 問題 の共有化 を促す応答

例 : 「同 じような問題 を抱 えている人 はい

ませんか」

・ 問題の原因の考察 を促す応答

例 : 「そのような問題が起 こったのはどう してだ と思 いますか」

・ 問題 にどう対処 したかに関す る応答 例 : 「その ことで,あなたは子 どもに どの

ように接 しま したか」

・ その対処の効果 についての質問

例 : 「そのように接 した ことで,子 ど もは どう変わ りま したか」

・ 問題 のより効果的な解決法の追求 を参加 者たちに促す応答

例 : 「この問題 の解決 に役立つ と思われる 別の方法があった ら,誰か教 えて くれ ませんか」

なお,ファシ リティターには,第 1 回目のワー クショップの際 に参加者が行 った質問紙 ( 知 り たい情報や関心事の調査)‑の回答結果や各回 のワークショップでの参加者間の話 し合いを検 討 して参加者 たちだけで は深 めることので きな い学習話題を定 め,それに最 も適 したゲ ス トを 選定 し,ワークショップの趣 旨を伝えなが らワー クショップ‑の参加を依頼す る,とい う仕事 が ある。

なお ,Me ye r ら ( 1 9 8 6 ) ̀ 5 )は,ワー ク シ ョッ プの一環 として グループホームや庇護 授 産所 , 障害児の学校 などを見学す る機会 を設 けること

ち,祖父母 に役立っであろうと指摘 している。

Ⅱ. 祖父母 に対するサポー トの考察

以上,障害児を もっ祖父母 に対す るサ ポー ト について,海外 における三つの取 り組 みを明 ら かに した。 どの取 り組み もまだ試行的ない し実 験的段階の ものであ り,その結果,つ ま り祖父 母 自身,祖父母 と他 の祖父母 や友人 との関係 , 祖父母 と障害児 との関係 ,祖父母 と障害 児 の親

との関係,祖父母問の関係な どにサポー トの実 践が どのような影響 を及 ぼ したのか につ いて, 詳細 な報告 はなされていない。効果については, 取 り組 みの途中や終了直後 のみな らず,終了後

に も継続 して検討 され るべ きであろう。 ちなみ

‑1 0 7‑

(8)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第4 3

に,Me ye r ら ( 1 9 8 6 ) ̀ 5 ) は,自分 らの試 み が祖 父母 とその家族 に対 し長 い期間 に渡 って貴重 な 貢献 を しうると述べてい る。 さ らに,祖父 母 に 対す るサポー トの効果 には,祖父母 自身 に よ っ て 自覚 され ること ( た とえば,障害児へ の社 会 的なサー ビスに関す る知識が増えた ことや,別 の祖父母 と親 しくな った ことに気づ く) と,む しろ周囲 の家族 によ って把握 され ること ( た と えば,孫 に関す る祖父母 の不満 が プログ ラムの 終了後 に少 な くな った ことに,母 親 が気 づ く) があると,示唆 している。 なお,サ ポー トの試 み において どのよ うな問題 が生 じたのか,そ の 問題 を解決すべ くどの ような工夫 や配慮が払 わ れたのか,さ らにはどの よ うな課題 が今後 に残 されたのか につ いて も,本稿で取 り上 げた実 践 で は報告 されていない。 また,参加 した祖父 母 に関す る情報 ( 参加者 の年齢 ,男女 比 ,職 業 の 有無,障害児 の親 との関係‑ た とえば姑 か実 母 か‑ な ど) も明記 されていない。

以上 のよ うに,本稿 で取 り上 げた三 つ の取 り 組 み はい くつかの問題 を共有 して い るが,それ にもかかわ らず,障害児 の治療 や教育 に関 わ る 機関 において祖父母 に対す るサポー トが さまざ

まな形 ・内容で実施 し得 ることを示唆す る

一方 ,それぞれの実践 には独 自の メ リッ トが あることもうかがわれ る。

まず,聴覚障害児 の祖父母 を対象 と した ア ト ランタスクールの試みは,1回限りのワークショッ プと して開催 されてお り,開催す る方 に も参加 す る方 に も負担 の少 ない,その意味で我 が国 で も開催 しやすい ( た とえば 「 敬老 の 日」 の行事 として)形 の もの と言 え る。 ちなみ に,聴 覚 障 害児 の祖父母 を対象 とす るサ ポー トには,補聴 器 の有効性 や聴覚 のはた らさな ど,障害 児 との 実際のかかわ りの中で祖父母 がす ぐに生かす こ とので きる学習テーマを設定で きるというメ リッ トがあるように思 われ る。 また,ワークシ ョッ プの開催 に向 けて障害児 やその母親 の協力 を得 てい るが,この こと自体 ,祖父母 と彼 らの関係 に望 ま しい影響 を及 ぼ してい ると患 われ る。

テネシー大学子 ど も発達 セ ンターの実践 は, 障害児への早期介入 プ ログラム,障害児 の親 へ

のサポー トプログラムと平行 させて実施 されて お り,祖父母 が障害児への援助 の仕方 を具 体 的 かつ実際的 に学 んだ り ( 早期介入 の様子 を見学 す るな ど して),障 害 児 の子 育 て に関す る祖父 母 と親 との協力関係 が深 ま った りす るのに役立 つ と思 われ る。 同 じよ うな立場 にある別 の祖父 母 と早 い時期 に出会 うことは,障害児 を孫 に も つ ことでの さまざまな悲 しみ,悩 み,不 安 を乗 り越 え る道 を早 く歩 み出す のにも役立つだろう。

一方 ,ワシン トン大学 の取 り組 みは他 の二 つ の取 り組 みよ りも社会 に開 いた もの と言 え る。

ワークシ ョップ開催 の案内が,障害児の親の種々 の団体 や新聞 な ど多様 な媒体 を用 いてなされて い る。 この ことは,障害児 を孫 に もつ祖 父母 の 心情や立場 を,障害児 の教育 ,治療 ,福 祉等 に 携 わ る専門家 を含 めて社会の多 くの人が認識す るのに寄与 してい るだろ う。 また,特定 の機 関 に通 う障害児 の祖父母 のみを対象 としていない ため,この ワークシ ョップには,子 どもの障害 , 子 どもの関わ る機 関 ,専門機関か らのサ ポー ト の経験 ,子 どもや親 や祖父母 の年齢 な ど多 くの 点で違 いのあ る人 々が参加す る可能性 が,開 か れて いる。 このよ うな違 いは,ワークシ ョップ の開催直後 に一時的な混乱 を招 くか もしれない。

しか し,それ は,自分 の孫 に障害 が あ ると知 ら されたばか りで混乱状態 にあ る祖父母 を年長 の 障害児 を もつ祖父母 が励 ま した り,子 ど もの年 齢や通 う機関 によ り子 どもの指導 内容 やその重 点 が違 うことを伝 えあ うな ど して,祖父母 同士 が互 いに援助 し合 った り情報や経験 を分かち合 っ た りす るのには,明 らか にプ ラスの影 響 を 及 ぼ すで あろ う

本研究で取 り上 げた取 り組 みか らは,障薯 児 を孫 に もつ祖父母 へのサ ポー ト ( 学習 の機会 や 他 の祖父母 との出会 いの場 の提供 ,カウ ンセ リ

ングな ど) が,祖父母 のみな らず障害児 や そ の

親 ,あ るいは,祖父母 と障害児 や そ の親 との関

係 にとって もプラスの影響 を及 ぼ し得 ることが

示唆 され る。我 が国で も,治療 や教育 な どの専

門機関,あ るいはそれ らに属す る専 門家 が ,障

害児 の家族 へのサ ポー トの重要 な部分 として祖

父母 へのサ ポー トを試 み る必要 があろ う。 そ し

(9)

て,そのサポー トの成功 に とって は,祖父母 の 健康状態 ,職 業 の有無 ,祖父 母 の関心 や心情 , 祖父母 の趣味や特技 ,祖父母 と障害児や そ の親

との関わ りの実態 な どにつ いて,祖父母 や親 を 通 してあ らか じめ把握 してお くことが,欠 かせ ない と患 う。

Ⅳ.おわ りに

本稿 で は,我 が国で も,障害児 の治療 や教育 に関わ る機関やその専門家が,障害児 の家族 に 対す るサポー トの一つ として障害児 を孫 に もつ 祖父母へのサ ポー トを試行 ・確立す る必要 が あ るので はないか とい う見地 よ り,アメ リカの ア トランタス ピーチスクール,テネシー大 学 子 ど も発達 セ ンター,ワシン トン大学児童発 達 ・精 神遅滞 セ ンターにおける祖父母へのサ ポー トの 取 り組 みを明 らか に した。 さ らに,個 々 の取 り 組 み につ いて考察が加 え られた。 そ して,障害 児 を もつ祖父母へのサ ポー トはさまざまな形 ・ 内容で実施す ることがで き,それぞれが独 自の メ リッ トを もつ ことが指摘 された。続 いて ,戟

! が国で実際 に このよ うなサポー トに取 り組 む際 の留意点 につ いて,簡単 に指摘 された。

我 が国で は 「 敬老 の 日 (9 月 15 日) 」 が定 め ' られてお り,この 日には,老人 ホーム,町 内会 ,

幼稚園 ,学校 な どさまざまな場所で さまざ まな 行事が繰 り広 げ られ る。 このよ うな我 が国の習 慣を生 か し,敬老 の 目の行事 として障害 児 とそ の親が祖父母 に感謝す る機会 を設 けてみ ること など も,治療 や教育機関 における祖父母 の た め のサポー トの一つ として可能か もしれない。 そ して,そのよ うな試 み は,継続的 かつ組織 的 な サ ポー トを確立す るための第一歩 に もな り得 る だろう。

W al s br e n ( 1 980) 〜 6 ・の研究 によれば,発達 障 害児 の父親 と母親 の多 くは,形式的な社 会 的 ・ 専門的サー ビスよ りも身 内 (と りわ け祖父 母 ) の方 が 日頃 自分 の大 きな支 えにな ってい ると考 えてい るとい う。 さ らに彼女 の研究 で は,最 も 支 えにな る援助者 としてそれぞれの実父 を挙 げ てい る父親 と母親 は,そ うでない父親 や母 親 よ りも子 どもと多 く関わ り,子 どもへの愛 情 も強

く,自分 につ いて も肯定的な評価 を して い る こ と,一方 ,配偶者 と自分 の関係 に対 す る子 ど も の影響 につ いて は双方 とも否定的 な見方 を して い ること,したが って夫婦間の ス トレス も強 い ことが,明 らかにされている 。Har ri s ( 1 985) 〔 7 J は,自閉症児 を もつ両親がそれぞれの実 父 や実 母 とどのような関係 にあるかを検討 し,母 親 と 実父 や実母 の間 よ りも父親 と実父 や実母 の間 に 考 えの大 きなずれがあ ること,そ して父親 は実 父 や実母 に多 くの不満 を抱 いてい ること ( た と えば , 「 男性 た るもの は情 緒 的 な サ ポー トを求 めて はな らない と,彼 ら ( 実父や実母) は患 っ ている 」 ) を認 めてい る 。Wai s br e n (1980)

・6、

や Har r l Sら ( 1 985) r

7

1の研究 は,障害児 の親 と 祖父母 の関係 の複雑 さを示す もので ある。一方, 質問紙 による調査や面接 を通 して障害児 の親 と 祖父母 の関係 につ いての知見 をさ らに積 み重 ね ることは,祖父母 に対す るサ ポー トの在 り方 を 究明 して い くうえで も重要 な ことと思 われ る。

文 献

( 1 ) 今野和夫 ( 1 9 9 1 )地域における障害児を持つ家 族 とその支援者の連晩 秋E E I 大学教育学部研究紀 要教育科学第42 集,41 ‑5 5

( 2 ) Rome l S,JC.( 1 9 80)TheRol eofGrand‑

par e nt sl nAd] us t me ntt oEpl l e ps y. Soc i al Wor hi nHe al t hCar e ,6,3 7 ‑4 3

( 3 ) George,J. D ( 1988) The rape ut l CI nt e r ‑

\ , e nt l Onf orGr andpare nt sandExt e nde dFa‑

ml l y ofChi l dr e n wi t h De v e l opme nt alDe ‑ 1 ays Me nt alRe t ar dat i on ,2 6 ,6,36 9 ‑3 7 5.

( 4 ) Rhoades,EA ( 1 9 7 5 )A Grandpare nt s Wor ks hop TheVol t aRe u i e w,5 5 7 ‑5 6 0.

( 5)

M

e ye r,D J , & Vadas y, P. F ( 1 9 鎚) Grand‑

par e ntWor ks hops・Howt oOr gani zeWor k‑

S hopsf orGr andpare nt sofChi l dre n wl t h Handl C aPS.Se at t l eI Unl V e r S l t yOfWas hl ng‑

t onPr e s s

( 6 ) Wal S br e n,SE ( 1 9 80)Pare nt s'Re ac t l OnS af t e rt heBュ r t hofaDe 1 7 e l opme nt al l y DI S a‑

bl e dChi l d. Ame r i c anJoL L r nalo fMe nt al De fi c i e nc y ,8 4 , 4,3 4 5 ‑3 51 .

( 7 ) Har r l S,S. L ,Handl e man,JS. , &Pal me r , C.( 1 985)Pare nt sandGrandpar e nt sVi e w t heAut l S t l CChi l d. Jou r nalo fAL L t i s m and De u e l o pme nt alDi s or de r s ,1 5 ,2,1 2 7 ‑1 3 7

‑ 1 09‑

参照

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目 目 目 目 次 次 次 次 はじめに 第1章 先行研究の検討 第1節 障害児を持つ母親の育児ストレスに関する研究 第2節 障害児を持つ母親の育児ストレスに関わる諸要因の研究 第3節 健常児の母親の育児ストレスに関する研究 第4節 ソーシャル・サポートに関する研究 第5節 就労と育児ストレストン関係の研究 第6節

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