洗浄並びに含嗽による口腔剥離細胞に関する研究第1編
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(2) 6060. 白. 石. 生 理 的 食 塩 水 で 含 嗽 を 施 行 せ し め た.そ. 洗 浄 又 は 含 嗽 液 に50% よ く混 和 し,室. alcoholを. の. 直 ちに等 量加 え て. 温 に 置 い た も の を 被 検 液 と し た.. 赤 ×青,青. に染 色 され,こ の色 別 に よ る平均 百 分率. 及 び 推 計 学 的 に 有 意 の差 を検 定 した.ま た対 象 測微 計 を普 通 の標 本 を 検 す る と き の ご と く見 て 対物 鏡. 実験方法 1.. 夫. 細 胞 を算 定,角 化 の程 度 に よ り細 胞 形 質 は黄,赤,. を 行 わ し め て 大 き な 食 物 残 渣 等 を 取 り 去 つ た 後,約 50ccの. 好. 100倍,接. 遠 心沈 渣 塗 抹法. 眼 鏡10倍,計1000倍. 計(ERMA製)の. 被 検 液 を 遠 心 沈 澱 器 で, 2000 間 遠 心 し上 澄 液 を 棄 て て,沈. r. p. m.に. て10分. 渣 を静 か に白 金 耳 又 は. 綿 球 で 清 拭 した 載 物 ガ ラ ス 上 に 塗 抹,固. 定.(以. 下. 油 浸 装 置 で接 眼 測 微. 一 度 目が8μ. に 当 る の を 知つ た.. 対 象 測微 計 を去 り,標 本 を 置 いて 各 々の 色 別 につ い て100個 の 細 胞 形 質及 び核 の長 径 を 測 定 した.更 に 退 行 性 変 化 の程 度 を検 索 した.. 遠 心 法 と略). Ⅱ. Cell Block法. 実. 遠 心 法 に よ つ て 得 た 沈 渣 に13mgの を70%の1000cc.. alcoholに. lens paperで. 濾 過 し,こ. ピ ク リ ン酸. リ ン酸 溶 液 中 に24時 間 以 上 固 定 し,通 水,パ. 共 に ピク. この方 法 に よ る沈渣 塗 抹 標 本 の所 見 は 図1. Aに 示 す ご と くで あ る.即 ち扁 平 上 皮 細 胞 の 形態 は よ く 保 たれ て い るが〓 々折 れ 曲 り,重 畳 し,時 に細 胞 形 質 辺 縁 が 捲縮curlingし. Filter法. 被 検 液 を 遠 心 す る こ と な くMembrane 洋 濾 紙 製,以. 下MFと. 略)を. 共 に 固 定,染. て い る 所 見 が見 られ た.. そ の他 所 謂唾 液 小 体,各 種 細 菌 が観 察 され た.. Filter(東. 用 い て 吸 引 濾 過 しMF. 扁平上皮細胞 A.. 上 捕 捉 さ れ た 細 胞 を 載 物 ガ ラ ス上 に 移 して 塗 抹 標 本 と し た も の,及. 績. 法 の ご と く脱. ラ フ ィ ン 包 埋.. Ⅱ. Membrane. 成. I. 遠 心 法. 溶 解 し た もの を 加え. のlenspaperと. 験. a.. び 細 胞 を 剥 離 す る こ と な くMFと. 細 胞及 び核 の構 造 上 の所 見. 核 の所 見. 核 の外 形 は明 確 で 略 々 細 胞 の 中心 に位 置 す るが,. 色.. 検 査 方法. 時 に は 梢 々偏 在 して い る.形 は 円形 又 は 楕 円 形.大. 塗 抹 標本 とす る ものは 載物 ガ ラ スに 塗 抹後 乾燥 せ. き さ は最 大11μ で あつ た.染. し め る こ と な く,直 etherの. ち に95%. alcoholと. 又 は網 様構 造 を呈 し,塩 基 好 性 に 染 り,時 に1〜2. 間以 上 固 定. 個 の核 小 体 を認 め た.小 さい もの は核 濃 縮 を 示 し濃. ethyl. 等 量 混 合 固 定 液 に 少 く と も1時. し, Cell Block法. に よ つ た も の は2〜4μ. し て 脱 パ ラ し,す. べ てPap,氏. HarrisのHematoxylin,. に薄 切. 染 色 法 に従 つ て. Orange・G及. びEA. 65. 液 に よ る 重 染 色 を 行 つ た.. の 状 態 を,オ. レ ン ヂ,淡. 別 し得 る こ と,核,細. 紅,青. と異 り細 胞 の角 化 と そ の 程 度 に よ り識. 胞 形 質 の微 細 構 造 の 追究 に最. 適 で あ る等 の 点 か ら, Pap.の の 識 別,剥. 所 謂malignant. の も の で あ る とPap.は. 述 べ て い る.ま. 細 胞 をwell‑preserveす. る こ と が 重 要 て,こ. alcohol固. cell. 離 細 胞 か ら性 周 期 を 判 定 す る上 に,必. め に 材 料 採 取 後,標. 須. たPip.は のた. 本 が 乾 燥 せ ぬ う ちに, ether. 辺92)に. よ る),. 鏡 検 は 先 づ 倍 率100倍. 少 数 と 思 わ れ る も の を(‑)と 更 に 標 本 中 央 部 の1/3の. B, a).こ れ らは 〓 々核 の周 囲 に一定 の. 距 離 を あ け て 同 心 円 状 に 核 周 囲 空 胞 を形 成(図 た核 の存 在 した 所 が 無構 造 透 明 とな りその. 痕 跡 のみ を と どめ る もの,及 び 全 く消失 して い る も の も多 く見 ら れ た(図1.. D).多. し,殆. ん ど無 い か 或 は. し た. 部 分 を200倍. で500個. 核(2〜4個)を. 有 す る もの が 少 数 見 られ た(図1.. E, F, a).核 が 崩. 壊 し核 膜 は 消 失 して染 色 質 の粗 大 な 凝 塊 が 不規 則 に 分 布 して い る も の が 見 られ た(図1.. G).核. 分裂像. 核 の 大 き さは,細 胞 形 質 の色 別(後 述)に つ いて 各 々100個 の核 の 長 径 を 測 定 し, 6μ 以 上, 後,. の. 3μ 以 下20.8%,. 6μ 以 上 及 び核 の消 失 した もの は,各 々7%で た.. 5μ 前. 3μ 以 下 と して 分 類 し平 均 値 を求 め た(表2).. 5μ 前 後 の もの が 最 も多 く64.7%,. で 標 本 全体 を検 し白血 球 の. 多 数 見 られ る も の を(+)と. 明 瞭(図1.. は見 られ な か つ た.. 定 液 に 投 入 す る こ と を 強 調 して い る(wet. procedure)(渡. い 塩基 好性 に染 り一 様 に暗 く混 濁 して核 内構 造 は不. 1.C).ま. こ の 染 色 の 特 徴 は, Giemsa法. 色 質 は微 細 な顆 粒状. あつ.
(3) 洗 浄 並 び に 含嗽 に よ る 口腔 剥 離細 胞 に 関 す る研 究 図1. 6061. A. E. (×200) B. (×400) F. (×400). (×400). C. G. (×400) D. (×400) H. (×200). (×400).
(4) 6062. 白 表2. 石. 好. 夫. 細 胞 は核,細 胞 形 質 共 に 大 き く,黄 色 細 胞 は これ に. 剥離 上皮 細 胞 の核 の 大 き さ. 比 して梢 々小 さ い も の が 多 く見 られ た(図1. D参 照). 退 行 性 変 化,例 え ば核 崩壊,核 周 囲 空胞,核 消失, 変 性 な どは 赤 色,黄 色 細胞 に多 く認 あ られ,そ の成 績 は 表4に 示 す ご と くで あ る. 表4. 註:数 b.. 字 は%を. 示す. 細胞 形 質 の 所 見. 豊 富 な 細 胞 形 質 を 有 し薄 く透 明.形. は 紡 錘 形,類. 円 形 の 細 胞 も 見 ら れ た が 大 部 分 は 不 正 多 角 形.大 さ は40〜70μ. き. で 細胞 形 質 内 に 塩 基 好性 の 円 形 の 大. 小 種 々 の 顆 粒 を 多 数 認 め る も の が 見 ら れ た.細 体 に 大 き な 折 れ 目が 入 つ た り,皺 見 は よ く観 察 さ れ た(図1.. 註:数 字 は%を 示 す. 胞 企. B.. が 寄 つ た りす る 所. F, b).細. 胞 形 質 が変 性. を 起 して 網 状 を 呈 す る も の が 稀 に 見 られ た(図1.. 細 胞相 互 関 係 に お け る所 見. 遠 心 法 に お いて は 上 皮 細 胞 が 細胞 集 団 を 形 成す る こ とな く分 離 して お り,従 つ て個 々の 細 胞 は時 に重 畳 して い るが 明瞭 に 区別 され た(図1.. H). Pap.染 赤,赤. 白血 球 及 び 退 行 性 変 化. 色 で は 細 胞 形 質 は 角 化 の 程 度 に 従 つ て 黄,. × 青,青. な ど に 色 別 さ れ た が,黄. 縮 核 を 有 して い る も の が 多 く,た は 増 し た ご と く見 え た.核 細 胞 形 質 の み と な り,黄. 色 細 胞 は濃. め に細 胞 形質 の量. の 消 失 した 細 胞 は 均 等 な. 色 細 胞 の 内 で25%を. 示 し た.. 細 胞 形 質 の 大 き さ は 色 別 各 々 に つ い て100個 径 を 測 定 し65μ. 以 上, 50μ. 類 し平 均 値 を 求 め た(表3). も多 く75.8%,. 40μ. 前 後, 40μ 50μ. の長. 65μ. 旁基底 細胞 核 は 細 胞 の 中心 に位 置 し,大 き さは4μ 前 後,濃 い塩 基 好 性,微 細顆 粒 状 の染 色 質 を有 し比 較 的明 瞭 な 核 膜 を認 め た.そ の形 は円 形 又 は楕 円 形.細 胞 全 体 の 大 き さは 白 血球 の4〜5倍. の小 さい 円形 又 は楕. 円 形.細 胞 形質 は塩 基 好 性 に 染 り,そ の 巾 は通 常核 の直 径 と等 しい所 見 が 見 られ た.細 胞形 質 辺 縁 は平. 以 下 に分. 前 後 の ものが 最. 以 下15.5%,. E参 照).. 滑 且 つ甚 だ 明 瞭.稀. に群 を な して 見 られ た(図1.. B, b).そ の 出現 は極 め て 少数 で あつ た.. 以 上8.7%. 白血 球 及 び そ の 他. で あ つ た.. 白血 球 は年 令 層 に よつ て 殆 ん ど存 在 しない もの又 表3. 剥 離 上皮 細 胞 形 質 の大 き さ. は 多数 存 在 して い る もの が 見 られ た.口 腔 内 の種 々 の 細 菌 も同 時 に見 られ,こ. とに 上皮 表 面 に附 着 して. い る所 見が 〓 々見 られ た. 以 上 の所 見 に基 い て,年 令 層 別 に 剥離 上 皮 細胞 の 角化 の差 異 につ い て 観 察 を 行 つ た. 新 生 児 ・乳 幼 児 で は表5に 示 す ご と く青 色 細胞 は 50〜85%を. が 見 られ た.平 均 値 は 青色 細胞65%,つ. いで 赤色 細. 色 細 胞11%で. あ つ た.下 顎 乳 中切 歯 が僅. か に 出 銀 して い る症 例 も同 様 の傾 向 を示 した(表6). 細 胞 全体 と して の所 見. 白 血 球 は 少 数 見 られ た が,赤 血球 は認 め られ なか つ. 不 正 多 角 形 の もの が95%DJ.上 を 占め,異 形 細 胞 は 認 め られ なか つ た.核 の 大 きさ は細 胞 形 質 の 大 き さ に従 つ て 変 化 す る所 見 が見 られ,た. 著 し く変 動. 胞20%,黄. 註:数 字 は%を 示 す c.. 示 し,赤 色 細 胞 は7〜33%で. め に核 一 細 胞形. 質比 は略 々一 定 に 保 た れ て い た.赤 色,青 色 に 染 る. た. 成 人 で は 青色 細 胞63〜17%,赤. 色 細胞21〜71%を. 示 し変動 が 見 られ た.平 均 値 は赤 色 細 胞46%で 最 も 多 く,つ いて 青 色 細 胞40%,黄. 色 細 胞10%で 比 較的.
(5) 洗 浄 並 び に含 嗽 によ る口腔 剥 離 細 胞 に関 す る研 究 表5. 角化 に よる 剥離 上 皮 細 胞 の 分類(1). 表7. 6063. 角 化 に よる 剥離 上 皮 細胞 の分 類(3). 新 生 児 ・乳幼 児. 成 人(健 康 有 歯顎). 註 ・数 字 は%を 示 す 表6. 角化 に よ る剥 離上 皮 細 胞 の 分類(2). 下顎 乳 中切 歯 が 僅 か に 出齦 し て い る もの. 註:数 字 は%を 示 す Ⅱ. Cell Block法 註 ・数 字 は%を. 10例 に 試 み たが 核 は圧 偏 され塩 基 好 性 に 濃 染,た. 示す. めに核 内構 造 は不 明 瞭.細 胞 形 質 は黄,赤,青 少数 で あ つ た(表7).白. 血 球 は多 数 認 め られ た.. 老 人 で は青 色 細 胞10〜58%,赤 黄 色 細 胞 は10〜49%で 色 細胞40%,つ. 色 細 胞14〜67%,. 変 動 が 見 られ た.平 均 値 は赤. い で 青色 細 胞31%,黄. あ つ た(表8).白. 血 球 は殆 ん ど認 めな か つ た.. 各 平均 値 を グ ラフ に示 す と図2の 更 に 各平 均 値 の 危険 率5%の 限 界 は表9の. 色 細 胞2696で. ご と くで あ る.. ご と くで あ る.. 場 合の 標 準偏 差,信 頼. に色. 別 され た が,そ の形 は皺 が 寄 つ た り,捲 縮 し,棒 状 乃 至 舟 状 を呈 し,こ れが 不規 則 に 積 層 して い る ご と き所 見 を 見 た.ま た 細胞 集 団 像 は顕 著 で あつ た(図 3. A), Ⅱ. MF法 10例 に試 み,上 皮 細 胞 の染 色 性,形 態 は遠 心 法 に お け る と大差 は認 め な か つ た. MFと 場 合, MFは. 共 に 染 色 した. 透 明 とな り鏡 検 に は 障害 とな らな かつ.
(6) 6064. 白 表8. 角化 に よる剥 離 上 皮 細胞 の分 類(4) 老 人(無 歯顎). 石. 好. 夫 表9. 角 化 に よる剥 離 上 皮 細 胞 の分 類(5). 図3 A. CeIl. BIock法(×200) B. 註:数 字 は%を 示 す 図2. MF法(×200) た が,細 3. B).. 胞 が 重 畳 し て い る所 見 は 顕 著 で あ つ た(図.
(7) 洗 浄 並 び に 含嗽 に よ る 口腔 剥 離細 胞 に 関 す る研 究. 6065. は 消 失 した もの が過 半 数 を 占 めて い る.赤 と青 との 総 括 及 び 考 按. 移 行 形(赤. 従 来 口腔 粘 膜 の角 化 に 関 して は前 述 の ご と く口腔 内 の 各部 位 の擦 過 塗 抹法 に よ る角 化 所 見 と,例 え ば 性 周 期.齲 蝕, Hormon,. Vitaminな. ど との関 係 に. ×青 と して 記 載),即. ち 赤 と青 とが 斑状. に混 在 して 染 つ た形 を特 に 区 別 した.こ の もの の意 義 は現 在 不 詳 で あ る. そ の他 旁基 底 細胞 は稀 に認 め られ た.赤 血 球 は 見. つ い て行 つ た もの で あ り,無 刺 戟 に近 い 状 態 で,し. られ な い が,白 血 球 は新生 児 ・乳 幼 児,老 人 の無 歯. か も正 常 口腔 全 体 に お け る剥 離 細 胞 に 関 して詳 細 な. 顎 に は殆 ん ど見 られ ず,成 人 有 歯顎 にお い て は 多数. 検 索 は行 われ て い な い.. 認 め られ た.. わ た く しは此 の点 に関 して,洗 浄 又 は 含嗽 を施 行 せ しめ,そ の洗 浄 又 は 含嗽 液 を用 い る方法 が適 切 且 つ 有効 で はな い か と考 え,先 づ 各 年 令 層 に お け る正 常 口腔 に応 用 を試 み,そ の基 準 を確 立 せ ん と した. 先 づ材 料 採 取 時 間,及 び そ の他 の条 件 を 一 定 に し. 三 木(1949)38)は. 一 部 欠 損 歯 を 有 す る もの,及. び無 歯 顎 患 者 の唾 液 小 体 像 に つ いて,そ の 数 は欠 如 歯 を有 す る場 合 は減 少 し,無 歯顎 の場 合 は僅 少 で あ る と述 べて い る.そ して そ の 有 力 な 出現部 位 は歯 肉 嚢 附 近 で血 行経 由游 走 して 来 る好 中球 が 主 体 で あ る. た.こ の こ とは食 事 前 後,義 歯 の使 用 な どに よ つ て. と報 告.渡 辺(1951)83)は. 起 る剥離 細胞 の増 減,破 壊 を 考 慮 したた め で あ る.. のX線 照 射 を行 つ た所,口 腔 内 に成 熟 した 白 血球 が. ま た 新生 児 は 出産 直 後 にお け る羊 水 な どの 影響 を避. 著 明 に認 め られ た.こ れ はX線 照射 に よつ て 口腔 粘. け,手 技 の点 か らも考 え て10日 以上 の もの と し,こ. 膜 殊 に歯 肉嚢 か らの透 過 性 が 昂 つ た た あで あ ろ う と. れ らは水 銃 に よ る口腔 内 洗 浄 を施 行 した.. 述 べ て い る.. 採 取 した洗 浄 又 は含 嗽 液 に 加 え るalcohol濃 遠 心 時 間,回. 度,. 転 数 の 関 係 に つ い て は,わ た くし. (1959)71)が 先 に報 告 し て い るご と く,室 温 で50% alcoholを 直 ちに等 量 加え, 2000r. p. m., 10分 間遠 心 を行 え ば 細胞 の破 壊 が 少 な く,且 有 効 に蒐 集 し得 る こ と,更 にPap.染. 色法 に よ つ て 細胞の算定に. 可良 な状 態(wel1‑preserved)を. 得 た の で この 方法. を用 い た.. 以 上 の ことか ら白 血球 の出 現 は,歯 肉嚢 の存 在, 即 ち歯 牙 の有 無 によ つ て異 る こ とが うかが わ れ る. 従 つ て 私 の成 績 も肯 首 さ れ る. 剥離 上 皮 細胞 の退 行性 変 化 は増 令 的 に 増加 す る傾 向 を示 した. さて 剥 離 上 皮 細 胞 の 角 化 に 関 してWeinmann (1940)98)は 正 常 口腔 粘 膜 は舌 前 部,頬 部,舌 歯 肉,硬. 洗 浄 又 は含 嗽 によ つ て得 られ た 細 胞 は す べ て上 皮. 正 常 健 康人 に50〜200γ. 後部,. 口 蓋 の 順 に 角 化 が 増 し て い る と報 告.. Miller et a1.(1951)40)は 健 康成 人 に つ いて 検 索,. 表 層 に属 す る もの で あ るが, Grahametal.(1954)14). ま た推 計学 的 に考 察 を加 えて 略 々一 致 した成 績 を発. に よ る と表 層 細 胞 の 中 で前 角化 細 胞 は塩 基 好 性 の も. 表 して い る.正 慶 ・島 田(1956)63)は. 歯 肉 の 角化 に. のが 多 く基 底 層 も し くは移 行 層 のす ぐ上部 よ り由来. つ い て報 告.福 井 ・真 木(1958)20)は. 動 物 実 験及 び. し,角 化 細胞 は通 常 酸好 性 に染 り最 表 層 の 細 胞 で あ. 人 歯 牙 の抜 歯創 の治 癒過 程 に関 し剥 離 細 胞 学 的 に検. る との べ て い る.松 井(1959)43)は 歯 肉組 織 をPap,. 索 を行 つて い る.日 高(1959)17)は. 癩 患 者62例 の 口. 染 色 して最 表 層 の 角 化 層 は黄 又 は赤 色 に,基 底 層 及. 腔 内 各部 位 を直 接 塗 抹法 で,又69例. の 含嗽 液 遠 心法. び 固 有 層 は青 色 に染 る との べ てい る.こ の こ とか ら. に よ る検 索 を行 つ て い る.更 に位 相 差 顕 微 鏡 に よ つ. 青 色 細 胞 は角 化 程 度 が低 く,赤,黄. た 検 索 で は清 水(1959)74) 75)の 報 告 が 見 られ る.他. 色 とな るに した. が つ て 角化 して い る もの と考 え られ る. 正 常 剥離 上 皮 細 胞 の核 は明 瞭 で,円 形 又 は楕 円 形. 時 に2〜4個. の核 を認 め る.細 胞 の形 態 は 大部 分,. 不 正 多 角形 であ る. Petera(1958)58)は. Eisenring(1957)8)な. 1939)46)47),. ど の報 告 が あ る.. これ らは 各部 位 につ い て 行 つ た もの で あ るが,私 の成 績 につ い て み る と剥 離 上 皮 細 胞 の 角化 程 度 は 各. 比 較 的 大 きい 細胞 で60〜75μ. の もの が見 られ る との べ て い る. 私 の成 績 で も65μ 以上 の 細 胞 が見 られ た が,赤 又 は青 色 細胞 は50μ. 方 組 織 学 的 検 索 で はOrban(1930,. 前 後 で,こ の 中 に5μ 位 の核. を 有 して い る もの が 最 も多 い.こ れ に比 較 して黄 色 即 ち角 化 細胞 は梢 々小 さい 細 胞 が 多 く,核 は濃 縮 又. 年 令層 によ つ て差 が 見 られ る.青 色 細 胞 は新 生 児 ・ 乳 幼 児 では 過半 数 を 占 め て い るが, 14日 〜7月(無 歯 顎)に つ い で6〜9月(乳. 中切 歯 が 僅 か に 出齦). の もの,更 に成 人,老 人 と増 令 的 に 減 少 を示 した. 角 化 の傾 向 を示 す 赤 色 細胞 は新 生児.乳 も成人 に著 明 な 増 加 を認 め た.. 幼児 よ り.
(8) 6066. 白. 石. 好. 夫 表10. 無 歯顎 で あ つ た ため に 老人 の 中 に含 め た30才 の女. 有 意 差 の 検 定(危 険 率5%). 性 が1例 見 られ たが,所 謂 歯槽 膿 漏 患 者 で あつ て, 2年 前 わ た くしが 全歯 牙 を 抜 歯 した症 例 で あ る.ま た 同患 者 の姉(33才)も. 無 歯顎 で あつ て,比 較 的稀. な もの と考 え られ るが,成 人,老 人 の 平均 値 と比 較 して 見 る と,青 色 細 胞 は 両者 よ り も減 少 し,赤 色 細 胞 は著 し く増 加 し,黄 色 細胞 はそ の 中 間 を示 した. Eisenring(1957)8)は. 義歯 床 で 口腔 粘 膜 が覆 わ れ. 註:+は 有 意 の差 を 認 め た もの ‑は 有意 の差 を 認 め な か た も の. た直 後 は,口 蓋 腺 の 被 覆,温 熱 の蓄 積 な どの 結果, 軽 度 の炎 症 症 状 を 呈 し,正 常 な 角化 過 程 が 障害 され るが,個 体 の抵 抗 力,習 慣 性 とい う点 か ら急速 に 消 退 す る とのべ て い る.鈴 木他(1955)65)は16〜63才. 黄 色 細 胞 が成 人 に おい て 梢 々 減 少 し,小 児 群 との 間 に 有意 の差 が 認 め られ な か つ た こと は,新 陳代 謝. の もの につ い て組 織 学 的 に追究 し,上 皮表 層 の角 化. 及 び 咀 嚼機 能 の旺 盛,更 に機 械 的刺 戟 が 加 え られ る. 程 度 は高 令 者 にお い て厚 く,義 歯 装 着 例 に お い て も. こ と も多 く,た め に最表 層 の 角化 細胞 は常 に 剥離 し. 同 一 の所 見 で あ るが,粘 膜 下結 合組 織 の排 列が 緻 密. て しま つ て い る ので は な い か と考 え られ るが,此 の. 化 す る とのべ て い る.. 点 に関 して は更 に症 例 を 増 して検 討 す る必要 が あ る.. 以上 の こ とか ら, 30才 の無 歯 顎 患者 に赤 色 細 胞 が. 北 村(1958)32)は. 正 常 口腔 粘 膜 につ い て早 産 児 は. 著 明 に増 加 した こと は,増 令 的変 化 も考 え られ るが,. ま だ何 処 も角 化 を示 さず,老 人 の 上 皮 は〓 々角 化 し. 他 方義 歯 床 の慢 性刺 戟 に よつ て粘 膜 の 角化 の傾 向 が. て い る と述 べ て い るが,剥 離 細 胞 学 的 に追 究 して も,. 早 期 に現 わ れ た ので はな い か とい う こ とが うか が わ. 組 織 学 的 所 見 と同様 に,増 令的 に角 化 の 傾 向 は明 ら. れ る.. か であ つ た.な ほ この こ とはWeinmann(1940)98). 黄 色 即 ち角化 細胞 は新 生 児 ・乳 幼児 と成 人 で は 大. の 述 べ て い る角 化 現 象 は上 皮 本来 の 目 的 た る保 護,. 差 な く,む しろ成人 の方 が 減 少 を示 した.老 人 で は. 及 び異 つ た刺 戟 に対 す る上 皮 の反 作 用 とい う点 か ら. これ らに比 して 著 し く増 加 した.. も納 得 出来 る と ころ で あ る.. Montgomery(1951)35)は. 粘 膜 よ り擦 過 す る方法. で 小 児,成 人,老 人(3〜63才)に. つ い て検 索 を行. Cell Block法. は液 状 の 被 検 材 料,例 え ば 食道,. 腔 の 洗 浄液,漿 膜 液 又 は種 々の 分 泌液 を遠 心 沈 澱 し,. つ て い るが,そ の成 績 と比 較 して見 る と全 く同 様 の. そ の沈 渣 を濾 過 し,濾 紙 と共 にパ ラ フ ィ ン 切 片 と. 傾 向 で あつ た.. す る 方 法 で あ る.悪 性 腫 瘍 の 診 断 に応 用 せ られ. 更 に これ らを 各年 令別 に推 計学 的 に比 較検 討す る た め に両 群 を(X1,. X2,… …XM),. (y1, y2,… …yN). と して次 の 公式 を用 いて, F分 布 に よ り検 定 を行 つ た.. Mandelbaum(1917),. Zemansky(1928)な. ど によ. つ て,そ の声 価 が 高 め られ た(武 田他79)に よ る). Luae and. Reagan(1954)33)は. 悪 性 腫 瘍 の 所見. と比 較す るため に,悪 性 腫 瘍 を伴 わぬ 腹 水,心 嚢,. 公. 式. 肋 膜 の滲 出液(920例)に (x‑y)2/. F=. ω2・. MN/. M+N. 自 由 度n1=1. n2=. al.(1955)27)は. つ い て報 告. Johnson. 食 道 の 洗 浄 液 を 用 い てCell. et. Block. 法 を行 い,大 部 分 は扁 平 上 皮 細 胞 で,稀 に深 層 細 胞. M+N‑2. ω2:通 計分 散 x, y:算 術 平 均値(%) M,. N:例. 数. 危 険 率0.05. が 見 られ る,そ の他 白血 球,線 毛 細 胞 を挙 げて い る. 私 の成 績 で は上 皮 細胞 は多 く集 め られ て い るが, そ の特 徴 は 形態 的変 化 が 著 明 で あつ て 殆 ん ど扁 平 上 皮 細 胞 の 原 形 を とど め な い場 合が 多 く見 られ た.即 ち核,細. 胞 形質 共 に著 し く圧 偏 され,捲 縮,棒 状 を. 即 ち表10に 示 す ご と く.青 と赤 色 細 胞 は 各年 令層 の. 呈 し積 層 した細 胞 集 団 像 を 示 した.た め に 個 々 の細. 間 に,黄 色 細 胞 は成 人 と老 人,老 人 と新 生 児 ・乳 幼. 胞 につ いて の検 索,及 び 算 定 は困 難 で あ つ た.し か. 児 の 各 々 の 間 に 有意 の差 を 認 め た.赤 × 青,及 び 黄. し色 別 は明 瞭 に 区 別 され て い るた め,細 胞 集 団 像 か. 色 細胞 の新 生 児.乳 幼 児 と成人 の 間 に は 有意 の差 は. ら一 見 して 角 化 の状 態 は うかが わ れ た.. 認 め られ な か つ た.. MF法. は特 殊 濾 過 膜 を 用 い て,被 検 液 を直 ちに吸.
(9) 洗 浄 並 び に含 嗽 に よ る 口腔 剥離 細 胞 に 関す る研 究 3). 引濾過 す る方法 で あ る. Seal(1956)64)が. 初 あ て孔 径0.5〜3μ. のMFを. 用 い て漿 液 中の腫 瘍 細 胞 を 蒐 集 して い る.武 田他 (1958)79)に よ る と, MFの. 光 の屈 折 率 は1.49〜. 1.51で 屈 折 率 の等 しいCanada. balsamで. 封 入すれ. 6067. 白 血球 は新生 児 ・乳 幼 児,老 人 に極 め て小 数. 認 め られ,成 人 で は 多数 見 られ た. 4). 剥 離 上 皮 細胞 の内 で,退 行 性 変 化 を示 す もの. は,増 令 的 に梢 々増 加す る傾 向 が 見 られ た. 5). 剥離 細 胞 の状 態 を推 計 学 的 に検 索 した結 果,. ば透 明 とな り,そ の ま ま永 久 標 本 とな し得 る.そ し. 増 令 的 に 角化 又 は角 化 の傾 向 を示 す 細胞 が 多 く剥 離. て細 胞 の 変 形 が沙 な く, Coll Block法. して い る ことが 認 め られ,組 織 学 的所 見 と一 致 した.. よ り迅速 に. 行 い得 る との べ,悪 性 腫 瘍 に つ い て検 索 を 行 つ て い る.. 6). 遠 心法, MF法. は形 態 が よ く保 た れ,剥 離 上. 皮 細胞 の観 察 は 容 易 で あ つ たが, Cell Block法. 私 は上皮 細胞 の大 き さを 考 慮 して,現 在作 られ て い る最 大孔 径1000mμ 約20ccの. のMFを. 使 用 した.被 検 液. 濾 過 に要 す る時 間 は,僅 か2分 で極 め て. は. 形 態 的変 化 が 著 明 で あつ た.し か し細胞 集 団 像 を 示 し,一 見 して 色 別 に よ る角化 の 傾 向 は うかが わ れ た. 7). 洗 浄 又 は含 嗽 液 に よ る方法 は,細 胞 の 蒐集 が. 速 かで あつ た.加 え られ る機 械 的損 傷 も少 な く,細. 容 易 で あ り,加 え る刺 戟 の 少 い こ と,手 技 の簡 単,. 胞 形態 はよ く保 た れ て い た.し か しMFと. 反 覆 可能 な どの 点 か ら,広 範 囲 な部 位 に お け る検 索. 色 した 場 合 は, MFは. 共 に染. 透 明 とな つ た が,細 胞 は 重畳. に は有 効 な 方 法 と考 え られ る.. して算 定 は 困難 で あ つ た.腫 瘍 細 胞 の発 見 に は速 か に行 い 得 て 良好 な結 果 を 示 す もの と考 え られ る. 以 上要 す るに洗 浄 又 は含嗽 液 を用 いて,種 々 の方. 本論 文の 要 旨は,昭 和32年11月30日 口腔 外 科 学 会,. 法 で検 索 を行 つ た が,口 腔粘 膜 が増 令 的 に 角化 して. 第1回 関 西 部 会,及 び 昭和33年3月29,. い る こ とは剥 離 細 胞 学 的 に も認 め られ,広 範 囲 な部. 回 日本 口腔 科 学 会 総会 に お い て発 表 した.. 位 か ら,何 ら刺 戟 を 加 え る こと な く,反 覆 して 細 胞 が蒐 集 せ られ,殊 に遠 心 法, MF法. で は そ の観 察 も. 30日,第12. 終 りに 本研 究 に 当 り,御 懇 篤 な る御 指 導 と御校 閲 を 賜 つ た 渡 辺 教授 に 深 甚 の 謝意 を表 し ます.又 御 助 言 を い た だ い た阪 大 武 田 助 教授 に 感 謝 す る次第 で あ. 容 易で あつ た.. り ます. 結 1). 論. な お 本研 究 の 一 部 は 岡山 癌 研 究 会 な らびに 渡 辺 教. 洗 浄並 び に含 嗽 液 を 用 い て,正 常 口腔粘 膜 を. 有 す る新生 児 ・乳 幼 児,成. 人,老. 人(無. 歯 顎),計. 83例 の 剥離 上 皮 細 胞 に つ い て観 察 を行 つ た. 2). 青,赤 色 の 前 角 化 細胞 は核,細 胞 形質 共 に大. き く,こ れ に比 較 して黄 色 の 角化 細 胞 は,核 濃 縮 又 は核 消 失 を示 し,細 胞 形質 は梢 々小 さい もの が多 く 見 られ た.. 授 に 対す る文 部 省 科 学試 験 研 究 費 に よ りな され た も の で あ る. 文 献は 第1編,第2編 載 す る.. を 併せ て第2編 の終 りに 記.
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