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山本 学 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成22年2月

山本 学 学位論文審査要旨

主 査 清 水 英 治 副主査 岡 崎 俊 朗 同 池 口 正 英

主論文

NKG2D+CD4+ T cells with immune suppressive property increase in patients with colorectal cancer

(大腸癌患者におけるCD4、CD8 Tリンパ球及びNK細胞のNKG2D発現に関する検討)

(著者:山本学、齊藤博昭、木原恭一、堅野国幸、池口正英)

平成22年 Yonago Acta medica 53巻 9頁~16頁

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学 位 論 文 要 旨

NKG2D+CD4+ T cells with immune suppressive property increase in patients with colorectal cancer

(大腸癌患者におけるCD4、CD8 Tリンパ球及びNK細胞のNKG2D発現に関する検討)

目 的

NKG2DはCD8+Tリンパ球やNK細胞などに発現する活性化レセプターで、それらの機能の中 心的な役割を果している。これらの細胞に発現するNKG2Dは癌患者においてその発現は低下 することが知られており、これにより癌患者で免疫機能が低下し腫瘍に有利な環境を作っ ていると考えられている。一方最近の研究で末梢血及び腫瘍浸潤CD4+Tリンパ球において少 数のNKG2Dが発現しており、これが免疫抑制に関わっていることが示唆された。そこで本研 究では大腸癌患者においてCD8+、CD4+Tリンパ球及びNK細胞に発現するNKG2Dについて調べ、

免疫抑制との関わりについて研究した。

対 象 と 方 法

前治療歴のない大腸癌患者42名及び健常人22名を対象とした。それぞれの末梢血及び大 腸癌組織においてCD4+、CD8+Tリンパ球及びNK細胞に発現するNKG2DをFACSにて解析した。

さらに細胞内サイトカイン染色を行い、NKG2D+CD4+Tリンパ球のサイトカインの特性を調査 した。

結 果

末梢血及び癌組織の腫瘍浸潤CD8+Tリンパ球、NK細胞では癌患者においてNKG2Dの発現は 有意に低下していた。一方末梢血及び腫瘍浸潤CD4+Tリンパ球は癌患者でその発現は有意に 増加していた。また、NKG2D+CD4+Tリンパ球はNKG2D-CD4+Tリンパ球と比較して抑制性サイ トカインであるIL-10やTGF-βの産生が有意に増加していた。

考 察

CD8+Tリンパ球やNK細胞はその細胞障害性や液性因子により腫瘍制御の中心的な役割を 果している。癌患者においてはこれらの機能が低下していることが知られているが、最近 の研究で癌患者においてこれらの細胞に発現するNKG2Dが低下しており、それが機能低下と

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関連するということが報告されている。今回の研究においても健常人と比較して大腸癌患 者において末梢血及び腫瘍浸潤CD8+Tリンパ球、NK細胞ともNKG2Dの発現が低下しているこ とを確認した。一方最近の研究で癌患者において末梢血及び腫瘍浸潤CD4+Tリンパ球にも NKG2Dが発現していることが報告された。本研究でも同じく大腸癌患者においてCD4+Tリン パ球に発現するNKG2Dを調べたところ、健常人と比較して大腸癌患者の末梢血では有意に NKG2Dの発現が増加していた。さらに腫瘍組織においてはより著明にNKG2Dが増加していた。

しかしこの発現増加は腫瘍の伸展には関連がなく、CD4+Tリンパ球におけるNKG2D発現は早 期の段階から起こっているのかもしれないことが示唆された。また今回の実験でこれらの NKG2D+CD4+Tリンパ球はNKG2D-CD4+Tリンパ球と比較してIFN-γの産生が少ない一方、抑制性 サイトカインであるIL-10やTGF-βの産生は増加していることが確認された。今回の研究で 大腸癌患者においてNKG2D+CD4+Tリンパ球の増大は免疫抑制に働く可能性が示唆され、これ が腫瘍の免疫逃避機構に関与しているかもしれないと考えられた。NKG2D+CD4+Tリンパ球が 増大しているメカニズムについては今回の研究では明らかにできなかったが、これから研 究を重ね、その詳細なメカニズムの解明をしていきたい。

結 論

CD8+Tリンパ球及びNK細胞におけるNKG2Dの低下と、CD4+Tリンパ球におけるNKG2Dの上昇 が、大腸癌患者の腫瘍による免疫回避の一つの重要なメカニズムかもしれないことが示唆 された。

参照

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