シリコン基板上の相溶性高分子ブレンド薄膜 が示す脱濡れ形態
平成 26 年度 修士論文
三重大学大学院 工学研究科 博士前期課程 分子素材工学専攻
有機素材化学研究室 東 和宏
三重大学大学院 工学研究科
目次
第 1 章 緒言 第 2 章 実験 2-1.試料 2-2.装置 2-3.実験操作 第 3 章 結果
3-1.PS 単独膜における膜厚の違いによる脱濡れ形態
3-2.PS-PVME ブレンド薄膜における膜厚の違いによる脱濡れ形態
第 4 章 考察
第 5 章 結論
参考文献
謝辞
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第一章 緒言
近年、機械、半導体用レジスト、小型デバイス、塗装、接着などの工業技術分野で高分子 薄膜が利用されるが、その膜厚が薄くなるのに伴い、薄膜が基板から撥かれる脱濡れが顕 在化する。本研究では、次の1と 2 の場合について検討したので報告する。
1.シリコン基板上にスピンコート法によりポリスチレン(分子量 10×103)(PS)で薄膜を作製 し、シリコン基板の酸処理の有無により基板の表面特性や薄膜の膜厚を変えることによる 影響を調べた。
2.
PS 及びそのポリビニルメチルエーテル(PVME)との混合系で薄膜を作製し、
PS と PVME のブレンド薄膜における、薄膜内での脱濡れについて着目し、ブレンド系での脱濡れによ る影響が、PS 単独膜での場合と比較し、検討する。PS と PVME からなる異分子間で相互作用を有するブレンドポリマーは、室温で相溶状態 である。また、バルク中では、下限臨界相溶温度(LCST)を持ち、その温度より低いと一相 であるが、高温になると、二相に相分離をする。本研究では、PS と比較し、PVME は、カル ボキシル基を持ち、極性を持つ。シリコン基板を酸処理することで、基板上にシラノール 基が形成され、このシラノール基が、極性がある物質と吸着が起こる。この吸着との関連 性で、薄膜中での PS と PVME のブレンド薄膜における脱濡れ形態に着目し、ブレンド薄膜 での脱濡れによる影響が、PS や PVME 単独薄膜での場合と比較し、PVME の添加量によって どのように変化するのかを調査したので報告する。
本研究における脱濡れとは、基板上に高分子薄膜を作成すると、生じる現象である。この 現象では、塗布した高分子が蓮の葉の上に垂らした水滴のように表面で撥かれてしまう現 象で、工業的には被覆した高分子のフィルムがはがれてしまう原因として、問題とされて います。そこで、脱濡れにおける形態や挙動について着目し、薄膜自身の物性による解析 を行った。
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(濡れ性の機構)
脱濡れの濡れの動力学は、拡張係数 S を用いて、以下の式を用いて表現できる。
S=γs/g-γp/g-γp/s (ア)
ここで、Fig.1 より γs/g、γp/gと γp/sはそれぞれ基板/空気、ポリマー/空気、ポリマー/
基板の表面張力を表す。また、ヤング-デュプレ(Young-Dupre)の法則を用いて空気、ポリ マー、基板の三相が接する境界線(接触線)に働く表面張力の釣り合いを考え、接触角 θ を 表面張力 γp/gと γp/sのなす角度と定義し、以下の式で表される。
γp/gcosθ=γs/g-γp/s (イ) (ア)式と(イ)式を用いて次のように書ける。
S=γ(cosθ-1) (ウ)
この時、脱濡れは S<0 で定義され、(ウ)式より θ は拡張係数が負のときのみ成立する。
ポリマーが脱濡れするにつれて、θ は増加する。接触角 θ が 90°未満の場合では、ポリ マーは、広がり濡れ性を示す。また、θ が 90°より大きい場合では、液滴状態で存在し、
脱濡れする。
θ 空気
ポリマ-
γp/s γp/g
γs/g 基板
γp/g θ
γs/g γp/s
Fig.1 濡れと脱濡れの界面の概略
図
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第二章 実験
2-1. 試料
2-1-1. ポリスチレン(PS),Mn=11500,PDI=1.04 (polymer source 社) (Tg(bulk)=100℃)
2-1-2.ポリビニルメチルエーテル(PVME),Mn=22100,PDI=1.09 (polymer source 社)
(Tg(bulk)=-24℃)
・回転半径の算出 Rg=(Nb2/6)0.5 N:重合度、b:セグメント長 ※1(参考文献) bPS=0.68 bPVME=0.69
Rg(PS)=2.9nm、Rg(PVME)=5.5nm
2-1-3. トルエン
和光純薬株式会社製で高分子溶液を調製する時の溶媒として用いた。トルエンは PS に対し て良溶媒であり、PVME に対しても良溶媒である。
純度 99.8%、密度 1.033g/ml、粘度 0.5203(30℃)
2-1-4. 過酸化水素水
和光純薬株式会社製の濃度 30%のものを用いた。
2-1-5. 濃硫酸
ナカライテスク製の純度 97%、密度 1.84g/ml のものを用いた。
2-1-6. シリコン基板
厚さ:0.625±0.025mm、直径:150.0±0.5mm のフェローテックシリコン製のものを用いた。
基板を 2cm×2cm の正方形に切り出し、エタノール溶液に浸し、超音波振動をかけ、表面に 付着している基板の微粒子を取り除いた。
2-1-7. 超純水
本研究室で使用した水は超純水と呼ばれるものを使用しており、日本ミリポア株式会社製 の Elix<純水製造装置>・Milli-Q 水<超純水製造装置>より得られた水である。Elix は電気 イオン交換テクノロジーを駆使した純水製造装置であり、その純水の純度をさらに上げる ための装置が Milli-Q 水である。
三重大学大学院 工学研究科 Fig.2 スピンコーター(a)と試料台(b) 2-2 装置
2-2-1. スピンコーター
シリコン基板を試料台にのせて真空密着させて、PS-トルエン溶液を基板上に滴下し、高速 回転をさせ不要な溶媒を飛ばしサンプルを均一に広げて薄膜を作製するための装置として (MIKASA 1H-D7) Fig.2 を用いた。
2-2-2. 真空加熱乾燥器
試料の熱処理を行うために(ISUZU) Fig.3 を用いた。
2-2-3. 光学顕微鏡
熱処理前後の薄膜の表面状態を観察するために(OLYMPUS STM-UM)(メイジテクノ株式会社 MX-4000)(Fig.4)を用いた。倍 率は 640 倍のものを用いた。
Fig.3 真空加熱器
(a) (b)
Fig.4 光学顕微鏡の概観
(a)光学顕微鏡(LEICA VZ 105) (b)メイジテクノ株式会社 MX-4000 (a)
(b)
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Fig.5 X 線反射率プロファイルと構造パラメータ 2-2-4. X 線反射率測定
三重大学機器分析施設X線回折実験室にて(X 線反射率計 RIGAKU SmartLab 波長:1.54Å) を用いて鏡面反射条件のもと測定した。(検出器:1 次元半導体検出器)
(目的)
X 線反射率法は、試料に X 線を入射し膜の内部での反射、屈折、干渉した強度パターンを 収集し、薄膜の深さ方向の内部構造及び膜厚、密度、界面ラフネスを求める方法である。
(原理)
X 線反射率法では、X 線ビームを試料表面に対してとても浅い角度で入射させる。試料は、
表面を研磨したシリコン基板、石英ガラス、フロートガラスなどに膜をつけたものが多く、
入射角度 θ は約 0.1°~6°である。本研究では、X 線は入射角度と同じ角度で反射させた。
これを鏡面反射の条件である。鏡面反射が起こる確率を(鏡面)反射率という。この鏡面反 射率を X 線の波長を一定に保ち、ビームの入射角度(θ)を変えて測定したデータは、試料 の表面・界面構造を知ることができる。
反射率データは、縦軸が反射率で、横軸は入射角度に比例し、波長に反比例する移行運動 量(qZ)で定義される。
qZ=4πsinθ/λ (1)
移行運動量(qZ)が小さいとき反射率が 1(=100)となる。これは、すべての X 線が反射されて いて全反射と呼ばれる。また、移行運動量(qZ)が大きくなると反射率は振動しながら急激に 減衰していくが、できるだけ大きい qZまで測定すれば、試料の微小構造を知ることができ る。また、振動の周期より膜厚を導出することができる。
d=2π/⊿q (2) (⊿q は振動の周期)
臨界角→密度
振動の振幅 層の密度差
振動の周期→膜厚d=2π/q
三重大学大学院 工学研究科 2-3 実験操作
2-3-1. サンプル調製 C*
PVME
を計算し、PS1cm3あたり(d=1.05g/cm3)の PVME の重量比率を算出し、以下の溶液をト ルエンを溶媒として作製した。
1.WPVME=4wt%, W
PS=96wt%となる溶液 2.WPVME=10wt%, W
PS=90wt%となる溶液 3.PVME-Toluene 1wt%となる溶液 4.PS-Toluene 1,2,3wt%となる溶液
2-3-2. 酸処理
シリコン基板をピラニア酸溶液(濃硫酸/30%/過酸化水素水/10%)に浸漬することで表面を 親水性にした。
(操作)
.濃硫酸と過酸化水素水を濃硫酸:過酸化水素水=3:1 の体積比で混合しピラニア酸溶液を調 製した。
.Fig.6 のようにまず容器にピラニア酸溶液を加えた。
.溶液の内部から約 90℃で酸素の気泡が現れた。その後、基板を約 100℃で入れ、1 時間加 熱した。
.1 時間後加熱を止め、Milli-Q 水で満たしたシャーレに基板を浸漬させた。
.基板を 1 枚ずつ取り出し、Milli-Q 水で何回かすすぎ、窒素ガスを噴きかけて水分を十分 に飛ばして乾燥させた。
ピラニア酸溶液
Fig.6 酸処理の概略図
基板
三重大学大学院 工学研究科 2-3-3. 薄膜作製
スピンコート法とは、基板を回転台に真空密着させ、サンプルを基板上に滴下し、高速回 転させて、サンプルを均一に広げて薄膜を作製する方法である。(スピンキャスト法) 本研究では、このスピンコート法を用いて Fig.2 に示すスピンコーターを用いて薄膜を作 製した。(基板と試料台間は真空状態に保たれている)
(操作)
試料台に切り出したシリコン基板を置き、下の条件のもとそれぞれ薄膜を作製した。調製 した溶液を基板上に whatman 社のテフロン(PTFE)製のフィルター(ポアサイズ 0.2μm)を 4 回通して展開し(Fig.8)、回転数を設定して 60 秒間スピンキャストを行った。
薄膜作製後は、基板表面に残った余分な溶媒を除去するために、約 6 時間真空乾燥を行っ た。下の Fig.9 はシリコン基板をスピンキャストした後の試料である。
薄膜 フィルター付きシリンジ
溶液 基板
試料台
Fig.7 ス ピ ン コ ー ト 法 の概略図
2cm×2cm
Fig.9 薄膜作製後の試料
Fig.8 フィルター付きシリンジ
10
三重大学大学院 工学研究科 2-3-4. 熱処理
PS はガラス転移温度(Tg)約 100℃であると言われている。Tg より低い温度であるとガラス 状態をとっており、高分子のセグメントは動きにくいため、脱濡れが起きるには、相当時 間がかかり短時間観察では困難である。そこでガラス転移温度よりも高い温度で熱処理を することで高分子鎖の運動を活性化させることで脱濡れを起き易くさせた。
(真空加熱乾燥器内部の位置と温度変化の試行(120℃))
本研究を行う前に Fig.10-1 に示す位置 1、2、3 での温度変化を調べたので報告する。この とき、温度設定は 120℃で行った。
①:加熱スイッチを入れてから 50 分で 128℃になり、60 分で 126℃の一定温度で保たれた。
設定温度 120℃と内部の最高温度 128℃と 8℃の差があった。
②:加熱スイッチを入れてから 50 分で 122℃になり、60 分で 120℃に下がり、90 分後で 118℃
の一定温度で保たれた。
③:加熱スイッチを入れてから 50 分で 120℃になり、60 分で 122℃に上がり、その後一定の 温度で一定に保たれた。
この結果をまとめると Fig.10-2 のようになった。試料を置く位置は、②か③に置くことが 望ましいと判断した。この時、基板をできるだけ一か所にまとめ、温度による差を無くし た。
(操作)
本研究では、Fig.3 の真空加熱器を用いて温度設定を 120℃で保たれる位置 2 でそれぞれ 30 分、60 分で加熱した。(また加熱時間は、120℃になった後から経過した時間である。) 試料は Fig.10-1 のようにシャーレの上に並べた。これは、できるだけ、基板と接している 部分における熱伝導を無視するために行った。)
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Fig.10-2 真空加熱器の位置による温度変化
1 2 3
シャーレ 基板
真空加熱器
Fig.10-1 熱処理の概略図
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第三章 結果
(3-1.PS 単独膜における膜厚の違いによる脱濡れ形態)
スピンコート法によりポリスチレン(分子量 10×103)(PS)で薄膜を作製し、シリコン基板の 酸処理の有無により基板の表面特性や薄膜の膜厚を変えることによる影響を調べた。
(実験内容)
・PS のトルエン溶液の濃度がそれぞれ、1wt%,2wt%,3wt%のものを滴下し、回転数を 3500rpm で統一してスピンキャストを行った。試料を 120℃で 12 時間熱処理を行った。
(3-1-1. X 線反射率法による膜厚評価)
2-2-4.の X 線反射率計を用いた測定結果は、下の Fig.11、Fig.12 のようになった。Fig.11 は酸処理をした基板で、Fig.12 は酸処理をしなかった基板である。
測定結果を Fig.11 と Fig.12 に示す。⊿q(ピーク周期)はフリンジの山と隣の山との間隔と し⊿q が大きいほど(2)より d は小さくなり膜厚は減少する。また、⊿q が小さいほど d は 大きくなり膜厚が増加する。実際、酸処理を行った基板を用いて 3500rpm のスピンコート 法により作製した薄膜の膜厚を(2)の式より見積もるとそれぞれ以下の結果になった。
1wt% sample 27nm 2wt% sample 55nm 3wt% sample 85nm
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酸処理を行わなかった基板を用いて 3500rpm のスピンコート法により作製した薄膜の膜厚 を(2)の式より見積もるとそれぞれ以下の結果になった。
1wt% sample 27nm 2wt% sample 55nm 3wt% sample 85nm
また、熱処理後にそれぞれの試料の膜厚は、酸処理をした基板の試料、酸処理を行わなか った基板の試料で 1nm の減少がみられた。
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・3-1-2:膜厚の違いによるポリスチレン薄膜の脱濡れ形態
(1wt%の PS のトルエン溶液を滴下し、27nm の試料を作製)
条件:酸処理有、回転数 3500rpm、熱処理 12 時間
下の Fig.13,Fig.14 は熱処理前後における薄膜表面における光学顕微鏡の観察結果であり 画像を示す。Fig.13,Fig.14 は、スピンコート法の遠心力に着目し、中心からの距離で同心 円状の位置にある表面の画像結果を示す。
Fig.13 27nm の膜厚の薄膜で酸処理を行った基板の熱処理前 の表面観察結果
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Fig.14 27nm の膜厚の薄膜で酸処理を行った基板の熱処理後 の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 条件:酸処理無、回転数 3500rpm、熱処理 12 時間
下の Fig.15,Fig.16 は熱処理前後における薄膜表面における光学顕微鏡の観察結果であり 画像を示す。Fig.15,Fig.16 は、スピンコート法の遠心力に着目し、中心からの距離で同心 円状の位置にある表面の画像結果を示す。
Fig.15 27nm の膜厚の薄膜で酸処理を行わなかった基板の熱 処理前の表面観察結果
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Fig.16 27nm の膜厚の薄膜で酸処理を行わなかった基板の熱 処理後の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 (2wt%の PS のトルエン溶液を滴下し、55nm の試料を作製)
条件:酸処理有、回転数 3500rpm、熱処理 12 時間
Fig.17 55nm の膜厚の薄膜で酸処理を行った基板の熱処理前 の表面観察結果
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Fig.18. 55nm の膜厚の薄膜で酸処理を行った基板の熱処理後 の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 条件:酸処理無、回転数 3500rpm、熱処理 12 時間
Fig.19. 55nm の膜厚の薄膜で酸処理を行わなかった基板の熱 処理前の表面観察結果
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Fig.20 55nm の膜厚の薄膜で酸処理を行わなかった基板の熱 処理後の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 (3wt%の PS のトルエン溶液を滴下し、85nm の試料を作製)
条件:酸処理有、回転数 3500rpm、熱処理 12 時間
Fig.21 85nm の膜厚の薄膜で酸処理を行った基板の熱処理前 の表面観察結果
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Fig.22 85nm の膜厚の薄膜で酸処理を行った基板の熱処理後 の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 条件:酸処理無、回転数 3500rpm、熱処理 12 時間
Fig.23 85nm の膜厚の薄膜で酸処理を行わなかった基板の熱 処理前の表面観察結果
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上の膜厚が、27nm、55nm、85nm のそれぞれの試料における脱濡れの形態は、膜厚が薄いほ ど、周縁隆起(rim)(リム)の大きさは、小さくなる。また、膜厚が大きいと大きくなる。
rim とは下の Fig.25 のものである。
Fig.24 85nm の膜厚の薄膜で酸処理を行わなかった基板の熱 処理後の表面観察結果
Fig.25 脱濡れの形態の周縁隆起の図
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次にそれぞれの膜厚の試料において、一枚の基板上で脱濡れが占める面積の割合を以下の Fig.26 の方法で解析を行った。この解析においては、ImageJ の解析ソフトを用いた。
この方法で一枚の基板全体において、光学顕微鏡により写真 1 枚当たり 0.27mm×0.20mm の 範囲で観察し、連続で 441 枚撮影し、その中で脱濡れが占める面積を算出した。結果は、
Fig.27 に示す。
Fig.26 脱濡れの占める面積を求める方法
三重大学大学院 工学研究科 Fig.27-1 の結果より次のことが分かった。
・27nm、55nm、85nm の試料において、総合的に判断した場合、酸処理をした基板の方がし ていない基板に比べて脱濡れの占める面積の割合は大きくなることが分かる。
・膜厚に対しての脱濡れの占める面積の割合の影響を考えると、膜厚が薄くなるほど、脱 濡れが占める面積の割合が大きくなる。
脱濡れの形態については、周縁隆起(rim)(Fig.25)の大きさは、膜厚が小さいことが分かる。
また、膜厚が薄くなると、孤立した穴の割合が少なくなり、穴同士の合一が起こりやすい ことも分かった。
また、脱濡れの面積の割合が熱処理の時間と共にどのように変化するのかを検討したので 報告する。
Fig.27-1 脱濡れの占める面積の割合算出結果
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Fig.27-2 より、酸処理を行った基板では、熱処理時間を長くすると、脱濡れが起きる面積 の割合は、増加することが分かった。これは、ガラス転移温度(Tg)以上で熱処理を行うと熱 運動を行う分子の数は、増加し、分子の運動エネルギーが活性化され、脱濡れが起きやす いことが考えられる。また、酸処理を行っていない基板では、熱処理の時間を長く行った が試料表面における脱濡れが占める面積の割合は減少し、時間による依存性は、観察され なかった。これは、酸処理を行った場合では、基板表面の特性変化によりシラノール基(OH 基)が存在することで、PS 薄膜との相互作用による影響が考えられるが、酸処理を行わなか った基板上の薄膜では、相互作用による影響が小さくなると考えた。
Fig.27-2 膜厚が 55nm における試料の脱濡れの占める面積の変化
三重大学大学院 工学研究科 (3-2.PS-PVME ブレンド薄膜の脱濡れ形態)
PS 及び PVME との混合系で薄膜を作製し
、
PS と PVME のブレンド薄膜における、薄膜内での 脱濡れについて着目し、ブレンド系での脱濡れによる影響が、PS 単独膜での場合と比較し、検討する。薄膜中での高温における PS と PVME のブレンド薄膜における脱濡れ形態に着目 し、ブレンド薄膜での脱濡れによる影響が、PS や PVME 単独薄膜での場合と比較し、PVME の添加量によってどのように変化するのかを検討した。
(実験内容)
・PS-PVME のトルエン溶液を調製し、回転数 3500rpm で統一して酸処理を行ったシリコン基 板上にスピンキャストを行った。この時、作製した試料の膜厚は、約 30nm で統一した。
・溶液調製 C*
PVME
を計算し、PS1cm3あたり(d=1.05g/cm3)の PVME の重量比率を算出し、以下の溶液をト ルエンを溶媒として作製した。
1.WPVME=4wt%, W
PS=96wt%となる溶液 2.WPVME=10wt%, W
PS=90wt%となる溶液 3.PVME-Toluene 溶液
4.PS-Toluene 溶液
C*PVME=(22100/(6.02×1023))/(4/3×π×(5.5×10-7)3)=0.053g/cm3となり、
C*
PVME
の時におけるブレンド比率を計算すると
WPVME=4.8wt%, W
PS=95.2wt%となる。この比率をもとに、C*
PVME
を基準とした時に
C*より小さな領域で少量添加した場合 1 の溶液、C*より大きな領域で多く添加した場合 2 の 溶液を調製した。
・熱処理
バルク中での PS-PVME ブレンド系の相図を元に、薄膜での高温状態の設定を今回は、110℃
と 120℃の場合で 6 時間行った。
三重大学大学院 工学研究科 (3-2-1. X 線反射率法による膜厚評価)
2-2-4 の X 線反射率計を用いた測定結果は、下の Fig.28、Fig.29 のようになった。
Fig.28 より熱処理前の薄膜の膜厚を(2)の式より見積もるとそれぞれ以下の結果になった。
PVME 4wt% sample 25.2nm PVME 10wt% sample 26.7nm PVME homo sample 32.6nm PS homo sample 30.4nm
三重大学大学院 工学研究科
Fig.29 より熱処理後の薄膜の膜厚を(2)の式より見積もるとそれぞれ以下の結果になった。
PVME 4wt% sample 23.4nm PVME 10wt% sample 2.1nm PVME homo sample 31.4nm PS homo sample 31.4nm
熱処理前後の膜厚測定結果から PS 単独薄膜のみ膜厚が約 1nm 増加した。しかし、PVME ブレ ンド薄膜と PVME 単独薄膜は、熱処理後に膜厚が減少した。これは、PVME 鎖の極性を持つ部 分が熱処理を行うことでシリコン基板上のシラノール基と結合するように偏析し、薄膜全 体が伸縮するためであると考えた。
三重大学大学院 工学研究科 (薄膜の表面観察法)
観察領域としては、Fig.30 に示す赤色の 0.5cm×0.5cm の正方形の中の範囲で行った。この 時熱処理前は、中心を含めた横方向の 0.1cm の範囲を観察したので、0.025cm の間隔で写真 を撮影した。また、熱処理後の観察については、赤色の領域が示す正方形の領域を観察し た。この時観察方法は、左下の場所から右方向に 0.025cm ずつ 20 枚連続に観察を行い、さ らに縦に 0.02cm ずつずらして縦方向にも 20 枚連続で写真を撮影した。この時赤色の範囲 内で撮影した写真の合計は 400 枚であり、400 枚の中で脱濡れが占める面積の割合を算出し た。(Fig.26)
Fig.30 薄膜の観察方法の簡略図
三重大学大学院 工学研究科
・
3-2-2:PS-PVME ブレンド薄膜の脱濡れ形態(110℃で 6 時間熱処理)
(PVME 4wt% PS 96wt%からなる膜厚 25.2nm の試料)
Fig.31 PVME4wt%薄膜の熱処理前の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科
Fig.32 PVME4wt%薄膜の熱処理後の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 (PVME 10wt% PS 90wt%からなる膜厚 26.7nm の試料)
Fig.33 PVME10wt%薄膜の熱処理前の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科
Fig.34 PVME10wt%薄膜の熱処理後の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 (PS 単独膜からなる膜厚 30.4nm の試料)
Fig.35 PS 単独膜の熱処理前の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科
Fig.36 PS 単独膜の熱処理後の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科 (PVME 単独膜からなる膜厚 32.6nm の試料)
Fig.37 PVME 単独膜の熱処理前の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科
熱処理後の観察結果から、ブレンド薄膜と単独膜では、脱濡れの形態に違いがあることが 分かった。ブレンド薄膜においては、PVME を少量添加した場合(PVME4wt%)では、液滴状の ものと多角形のものが混在していたが、多く添加した場合(PVME10wt%)では、液滴状に脱濡 れしたものが多くみられた。また、単独膜では、脱濡れがほとんど起きずに、PS 単独膜で は、熱処理前の表面の状態と変わらなかった。PVME 単独膜は、熱処理前と比べて黒い点の ようなものが多く分布していた。
Fig.38 PVME 単独膜の熱処理後の表面観察結果
三重大学大学院 工学研究科
次にそれぞれの試料(PS-PVME ブレンド薄膜、PS、PVME 単独膜おいて、一枚の基板上で脱濡 れが占める面積の割合を Fig.26 の方法で解析を行った。この解析においては、imageJ の解 析ソフトを用いた。一枚の基板全体で光学顕微鏡により写真を Fig.30 のように 400 枚撮影 し、その中で脱濡れが占める面積を算出した。結果は、Fig.39 に示す。
Fig.39 の結果は、PVME ブレンド薄膜、PS 単独薄膜、PVME 単独薄膜をすべて同時に作製し、
作製後に日にちをおいて測定した場合と日にちを置かずに測定した場合のデータである。
この時、測定した試料の膜厚は、約 30nm の範囲であった。ブレンド薄膜において、PVME を 4wt%添加したものより 10wt%添加したものが脱濡れの占める面積の割合は大きくなること が分かった。また、作製した試料ごとに面積の割合が違うことは、真空加熱乾燥器の温度 は、一定に保たれているが試料ごとに雰囲気下が違うことが考えられる。また、PS、PVME 単独薄膜では、脱濡れがほとんど起きず面積の割合は小さいことが分かる。
Fig.39 ブレンド薄膜及び単独薄膜の熱処理後の脱濡れの占める面積の割合
三重大学大学院 工学研究科
・
3-2-3:PS-PVME ブレンド薄膜の脱濡れ形態 (120℃で 6 時間熱処理、膜厚 30nm)
(PVME4wt%の試料)
Fig.40 PVME4wt%薄膜の熱処理後の表面観察結果(6 時間 120℃)
三重大学大学院 工学研究科 (PVME 10wt%の試料)
Fig.41 PVME10wt%薄膜の熱処理後の表面観察結果(6 時間 120℃)
三重大学大学院 工学研究科 (PS 単独膜の試料)
Fig.42 PS 単独膜の熱処理後の表面観察結果(6 時間 120℃)
三重大学大学院 工学研究科 (PVME 単独膜の試料)
熱処理後の観察結果より 120℃での脱濡れの形態は、110℃と比べて、ブレンド薄膜、PVME 単独薄膜の形態に変化はなかった。しかし、PS 薄膜は、脱濡れは、起き始めていた。これ は、110℃の時より、120℃の方がより分子の運動が激しくなったことによると考える。
Fig.43 PVME 単独膜の熱処理後の表面観察結果(6 時間 120℃)
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次に 120℃での、それぞれの試料(PS-PVME ブレンド薄膜、PS、PVME 単独膜)おいて、一枚の 基板上で脱濡れが占める面積の割合を Fig.26 の方法で解析を行った。この解析においては、
ImageJ の解析ソフトを用いた。一枚の基板全体で光学顕微鏡により写真を Fig.30 のように 400 枚撮影し、その中で脱濡れが占める面積を算出した。結果は、Fig.44 に示す。
測定方法は、110℃、6 時間の熱処理の場合と同様に測定した。Fig.44 の結果より、ブレン ド薄膜において、PVME を多く添加した場合の方が脱濡れは起きやすくなることが示されて いる。また、PS 薄膜では、脱濡れが起き始めている段階にあり、僅かに起きている。PVME 単独膜は 110℃の場合とは、変化はなかった。
Fig.44 ブレンド薄膜及び単独薄膜の 120℃、6 時間の熱処理後の脱濡れの占める 面積の割合
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第四章 考察
・膜厚の違いによる影響
膜厚が薄い薄膜では、分子間相互作用の到達距離を考慮しなければならない。
そこで、厚み e の薄膜を固体基板上に展開した時、薄膜が厚いときは、表面張力は fig1 よ り γs/p+γp/gと表すことができる。よって、表面の単位面積あたりのエネルギーF(e)を次式 で定義できる。
F(e)= γs/p+γp/g+P(e)+1/2ρge2 (3) ρ:ポリマー密度 g:重力加速度 e:ポリマーの膜厚
ここで、膜厚が薄い場合、P(e)は、ファンデルワールス力の効果を考えなければならない。
P(e)は、下の式(6)で表すことができる。
P(e)=A/12πe2 (4)
A は、エネルギーの次元をもつハマカー定数と呼ばれ、式(5)で表される。
A=π2kαP(αS-αP) (5)
αPと αSはポリマーとシリコン基板の単位体積当たりの分極率である。ポリマーが固体基 板よりも分極しやすい場合 αS<αPとなり、ハマカー定数は負となる。(3)式より P(e)と 1/2ρge2の項に着目すると、これらは膜厚によりそれぞれの大小が関係する。
(ⅰ) 膜厚が大きい場合、重力による効果が大きくなる。よって、P(e)<<1/2ρge2となり、
分子間力による影響 P(e)が無視でき、F(e)の曲率は正(F``(e)>0)となり薄膜は、準安定とな り脱濡れが起きにくい。
(ⅱ) 膜厚が小さい場合、分子間力による効果が大きくなる。よって、P(e)>>1/2ρge2とな り、重力による影響(1/2ρge2)が無視でき、F(e)の曲率は正(F``(e)<0)となり薄膜は、不安 定となり、薄膜内の膜厚方向に揺らぎが生じ、脱濡れがおきやすくなる。
・酸処理の有無による影響
シリコン基板を酸処理することで基板の表面を親水性に行うことで界面の特性が変化した。
表面を親水性にすることで、シリコン基板の表面にシラノール基(OH 基)の層が形成される。
この時、このシラノール基による層の分極率を α とすると α<αS<αPで、(5)式から A<0 となり、F(e)の曲率は、負となり、脱濡れが起きやすくなる。
・周縁隆起(rim)の大きさ
rim の大きさは、次式で定義される。
W=(η・h/k)1/2 (η:高分子の粘度、h:膜厚 k:摩擦係数) ※2 参考文献
この式から、膜厚 h が大きいほど rim の大きさ W は、比例して大きくなることが分かる。
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・熱処理前後の X 線反射率測定結果による変化
熱処理後の膜厚変化は、PVME を添加したブレンド薄膜では、熱処理後における X 線反射率 測定結果のプロファイルが極端に変化した。これは、次の場合が考えられる。
1.PVME を添加したブレンド薄膜の試料は、熱処理後の光学顕微鏡の表面観察結果より脱濡 れの占める面積の割合が、大きくなる。そこで、Fig.28 と Fig.29 の結果から、脱濡れが起 きていると、基板表面に存在する薄膜の割合が減少し、試料表面における X 線の照射強度 が減少し、表面の粗さが増加したので、熱処理後でプロファイルが変化した。
2.PS 及び PVME の単独薄膜では、熱処理後の光学顕微鏡の表面観察結果より脱濡れの占める 面積の割合が、小さくなる。熱処理前後で比べると、Fig.28 と Fig.29 の結果より変化がな い。これは、基板表面に存在する薄膜の割合が変化せず、試料表面における X 線の照射強 度に変化がなく、表面の粗さにも変化がない。
・PS-PVME ブレンド薄膜の脱濡れによる形態や機構
基板上に展開した高分子薄膜の表面構造とバルク状態での基板上での表面構造には、違い がある。そこで、PS と PVME のブレンド薄膜を熱処理することで、脱濡れが起きやすくなる ことが分かった。また、PVME の添加量の違いにより、脱濡れの形態もしくは、占める面積 の割合が異なることも分かった。この時熱処理を行うことで薄膜内での PVME 鎖の変化が起 きていると考えられる。PS/PVME ブレンド薄膜を熱処理することで、相分離が起こり、空気 と接する表面側に PVME 鎖が分布する。また、空気側の表面ほどではないが、PVME 鎖は基板 側にも分布するようになる。これは、PVME が持つカルボキシル基と酸処理により形成した シラノール基との相互作用により PVME が偏析し、吸着が起きるからである。この時、高分 子と基板間の界面エネルギーが最小になることが知られている。界面エネルギーが最小化 することは、表面張力の低下につながり脱濡れが、起きやすくなると考えた。また、PS/PVME のバルク中における相図をもとに考察を行う。Fig.45 では、バルク中での状態を基に、ブ レンド薄膜における組成を考えた。一相領域では、相分離が起きにくい。また、二相領域 では、相分離が起き、脱濡れが誘発される。本研究では、φPS=0.9 から 1.0 の間で PVME を 添加したので、Fig.45 の相図から 110℃では、一相領域であるので、相分離が起きず、脱 濡れも起きにくい領域である。しかし、薄膜状態では、脱濡れが起きてしまい、二相領域 になっていることが分かった。また、120℃では、二相領域であるので、相分離が起き、脱 濡れが起きることが分かり、薄膜状態においても 120℃において二相領域となり、脱濡れが 起きていることが分かった。これらの結果より、薄膜状態では、バルク状態と比べて違う 状態を示し、相図とは異なる挙動を取り、PVME の添加量の違いで脱濡れの形態に違いが生 じた。また、PVME 単独薄膜では、相図と同様、一相領域で相分離が起きにくい領域で、脱 濡れが起きにくい。本研究では、熱処理後の表面に 10μm 程度の大きさの黒点が生じ、表 面の形態が脱濡れとは異なる形態を示した。
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二相 領 域
1 1 4
1 1 2 1 1 0 1 0 8 1 0 6
υ 0
¥ 8 5 5 ω
仏何
ω F H L
回T c l
1 0 4
一相領域1 . 0 0 . 4
の
/wt %
I PS
F i g . 4 5 P S / P V M E
ブレンド系のバルク状態での相図0 . 8 0 . 6
0 . 2 1 0 2
0 . 0
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第五章 結論
・PS 単独膜での脱濡れ形態 (脱濡れの形態)
膜厚が大きくなると、周縁隆起(rim)の大きさは、大きくなった。また、膜厚が大きくなる と、穴同士の合一が起きている観察結果が少なくなった。
(脱濡れの面積の割合)
膜厚が大きいと脱濡れの面積が全体的に減少した。また、酸処理によって表面特性を変え ることで、脱濡れの面積が全体で増加した。
・PS-PVME ブレンド薄膜での脱濡れ形態 (脱濡れの形態)
PVME を添加した場合、PS 単独薄膜の場合と比べて、液滴状に脱濡れ形態が起きていたが、
液滴の形態が大きい液滴と小さな液滴が混在していたものが多かった。また、PVME 単独薄 膜での熱処理後の脱濡れ形態は、黒い液滴のものが分布しているものが多く存在した。
(脱濡れの面積の割合)
ブレンド薄膜と単独薄膜では、ブレンド薄膜の方が脱濡れの占める面積の割合が大きいこ とが分かった。
また、ブレンド薄膜において、PVME の添加量が多い方が少ない方よりも脱濡れによる面積 の割合が大きいことが分かった。
PVME 単独薄膜では、脱濡れが起きなかった。
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参考文献
(1) Keiji Tanaka, Jeong-Sik, Atsushi Takahara, and Tisato Kajiyama Macromolecules 1995,28,934-938
(2)F.Brochard-Wyart,G. Debregeas, R. Fondecave and P. Martin, Macromolecules, 1997,30,1211.
(3)Ballard,D.G.H.;Wignall,G.D.;Schelten,J.Eur.Polym.J.1973,9,965
(4)Beauage,G.;Stein,R.S.Macromolecules 1993,26,1617
(5)Ogawa,Hiroki; Kanaya,Toshiji; Nishida,Koji 他 Journal Of Chemical Physics(2009),11(10)
(6)Tian Xia, Hiroki Ogawa, Toshiji Kanaya 他 Macromolecules2013,46,4540-4547
(7) Hiroshi Morita, Toshihiro Kawakatsu, and Masao Doi Macromolecules, 2001, 34 (25), pp 8777–8783
(8)Takahara,K.;Takahara,A.;Kajiyama,T. Macromolecules1996,29,3232
(9)Cowie,J.M.G.;Devlin,B.G.;McEwen,I.J. Macromolecules1993,26,5628
(10)Nishi, T.;Wang,T.T.;Kwei, T.K. Macromolecules 1975,8,227
(11)Ogawa,H.;Kanaya,T.;Nishida,K.;Matsuba,G. Polymer 2008,49, 2553-2559
(12)ドゥジェンヌ、プロシャール-ヴィアール、ケレ 共著、奥村 剛 訳、
吉岡書店 「表面張力の物理学」 第 2 版 2009 年
(13)高分子化学Ⅱ 物性 著者 松下 裕秀
(14)X 線反射率測定法入門 (社)応用物理学会
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謝辞
本研究において、多くの助言・御指摘を頂きました川口正美教授に厚く御礼申し上げます。
また、本研究の担当であり、実験を進めていく上で様々なアドバイスやディスカッション に貴重な時間を割いて下さった鳥飼直也准教授に厚く感謝申し上げます。野村伸志助教に は、実験装置や生活面の助言などでお世話になりました。
また、器具や薬品の発注等でお世話になりました山本みどりさんに厚くお礼申しあげます。
本実験において、多くのアドバイスや提案をして頂いた研究室の学生の同期や後輩の学生 に感謝をいたします。また、最後に学生生活を支援して頂いている家族を含め、感謝の意 を申し上げます。