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鋼の連続鋳造鋳片品質向上に関する研究−薄鋼板表 面疵発生抑制−

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Academic year: 2022

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(1)鋼の連続鋳造鋳片品質向上に関する研究−薄鋼板表 面疵発生抑制− 著者 著者別表示 雑誌名 学位授与番号 学位名 学位授与年月日 URL. 淵上 勝弘 Fuchigami Katsuhiro 博士論文本文Full 13301甲第4823号 博士(工学) 2018‑09‑26 http://hdl.handle.net/2297/00053068. Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja.

(2) 博士論文. 鋼の連続鋳造鋳片品質向上に関する研究 − 薄鋼板表面疵発生抑制 −. 金沢大学大学院自然科学研究科 機械科学専攻 次世代鉄鋼総合科学講座. 学籍番号. 1524032024. 氏名. 淵上勝弘. 主任指導教官名. 松宮徹. 平成 30 年 6 月.

(3) 第1章 序論 1.1 本研究の背景と目的 1.2 本研究の対象となる技術課題. 1 2. 第 2 章 介在物凝集・浮上除去に関する研究 2.1 緒言 2.2 介在物凝集モデル 2.3 実プロセスの実態調査 2.4 介在物凝集モデルによる検証 2.4.1 計算条件 2.4.2 計算結果及び実機調査結果との対比 2.5 考察 2.5.1 溶鋼流動によるスラグ巻き込み挙動の変化 2.5.2 アルミナクラスタの体積補正 2.5.3 アルミナ系介在物の凝集に与えるスラグ系介在物の影響 2.6 結言 参考文献. 9 10 13 16 16 18 22 22 23 25 26 27. 第 3 章 スラグによる再酸化に関する研究 3.1 緒言 3.2 実験方法 3.3 実験結果 3.4 考察 3.4.1 速度定数 3.4.2 酸素移動速度 3.4.3 律速段階の検討 3.5 結言 参考文献. 28 28 30 34 34 37 41 46 47. 第 4 章 連続鋳造鋳片の表面割れ防止技術の研究 4.1 緒言 4.2 実験方法 4.3 実験結果 4.3.1 変態挙動調査結果 4.3.2 高温引張事前試験結果 4.3.3 高温引張試験結果. 48 50 52 52 53 59.

(4) 4.4 考察 4.4.1 Ti を含まない場合の高温脆化挙動 4.4.2 Ti を含む場合の高温脆化挙動 4.5 結言 参考文献. 61 61 64 70 71. 第 5 章 結論 5.1 本研究の結論 5.2 本研究の工学的意義と今後の課題. 72 74. 参考論文. 76. 謝辞. 77.

(5) 第 1章 1.1. 序論 本研究の背景. 日本の産業界を素材供給の観点から支えてきた鉄鋼製品の競争力の源泉 は 、新 し い 材 料 特 性 を 持 つ 商 品 の 開 発 力 及 び 優 れ た 品 質 に 代 表 さ れ る 技 術 先 進 性 で あ る 。材 料 と し て の 鉄 の 優 れ た 特 徴 は 、金 属 組 織 や 析 出 物 の 制 御 に よ り 広 範 な 強 度 範 囲 を カ バ ー で き 比 強 度 が 高 い こ と 、さ ら に 他 材 料 と 比 較 し て 低 コ ス ト か つ 大 量 生 産 が 可 能 で あ る こ と な ど が 挙 げ ら れ る 。こ の よ う な 特 徴 から、鉄鋼材料は、自動車、家電、容器などに用いられる薄鋼板、造船、橋 梁 、海 洋 構 造 物 な ど に 用 い ら れ る 厚 鋼 板 、ラ イ ン パ イ プ な ど に 用 い ら れ る 鋼 管 な ど 、そ の 用 途 は 非 常 に 多 岐 に 亘 る 。そ の た め 、強 度 以 外 に も 鉄 鋼 材 料 に 求 め ら れ る 特 性 は 多 岐 に 亘 り 、各 々 の 特 性 に 応 じ た 成 分 や 欠 陥 な ど の 制 御 を 行っている。 鉄 鋼 業 で は 多 岐 に 亘 る 材 料 特 性( 品 質 )を 大 量 生 産 下 で 保 証 す る た め 、製 造 プ ロ セ ス で の 材 質( 品 質 )の 造 り 込 み 技 術 が 重 要 で あ る 。鉄 鋼 製 品 の 特 性 と 品 質 は 、鉄 鋼 製 造 プ ロ セ ス の 中 で も 半 製 品 で あ る 鋼 塊 を 製 造 す る 製 鋼 プ ロ セ ス で の 造 り 込 み が 大 き な 役 割 を 果 た し て い る 。製 鋼 プ ロ セ ス は 、鉄 鋼 石 及 び コ ー ク ス か ら 製 造 さ れ る 溶 銑( 炭 素 の 飽 和 し た 銑 鉄 の 溶 体 )を 必 要 と す る 成 分 に 調 整 し た 後 、鋳 片 と 呼 ば れ る 鋼 塊 を 製 造 す る プ ロ セ ス で あ る 。F i g . 1 . 1 に製鋼工程の概略図を示す。通常の製鋼プロセスは、一次精錬、二次精錬、 連 続 鋳 造 に 分 か れ て い る 。一 次 精 錬 の 前 に は 、溶 銑 予 備 処 理 と 呼 ば れ る 事 前 処 理 で 溶 銑 の 不 純 物 成 分 で あ り 材 料 特 性 に 悪 影 響 を 及 ぼ す 燐 、硫 黄 を 除 去 す る こ と が 多 い 。溶 銑 予 備 処 理 を 行 っ た 溶 銑 は 、転 炉 で 酸 素 を 吹 き 込 み 、脱 炭 を 行 い 、溶 鋼 と す る 。二 次 精 錬 で は 、転 炉 で 吹 き 込 ん だ 酸 素 が 溶 鋼 中 に 残 存 し て い る た め 、ア ル ミ ニ ウ ム な ど の 脱 酸 元 素 を 添 加 し て 溶 解 し て い る 酸 素 を 酸 化 物 と し て 除 去 す る と と も に 、材 料 に 応 じ た 成 分 の 調 整 を 行 う 。成 分 調 整 に は 、合 金 成 分 の 調 整 以 外 に 、真 空 脱 ガ ス 装 置 を 用 い た 水 素 や 窒 素 の 脱 ガ ス 処 理 や 、硫 黄 の 脱 硫 処 理 も 含 ま れ る 。連 続 鋳 造 で は 、成 分 の 調 整 を 行 っ た 溶 鋼をタンディッシュと呼ばれる中間容器とノズルを介して溶鋼を銅製の鋳 型 に 注 入 し て 凝 固 さ せ な が ら 連 続 的 に 引 き 抜 く こ と で 、鋳 片 を 製 造 し て い る 。 連 続 鋳 造 さ れ た 鋳 片 の 品 質 、つ ま り 各 種 欠 陥 の 低 減 が 、最 終 製 品 で あ る 鉄 鋼 製 品 の 品質 を 左 右 す る こ とに な る 。鋳 片 の 欠 陥 は 、① 介 在 物 、② 割 れ 、③ 偏 析 の 3 つ に 大 別 で き る 。① 介 在 物 は 鋼 材 中 の 異 物 粒 子 の こ と で あ り 、加 工 時 の 割 れ の 起 点 と な る 他 、表 面 に 線 状 の 疵 と し て 残 存 す る こ と が あ り 、鉄 鋼 1.

(6) Fig.1.1 Steel making process.. 製 品 の 品 質 上 、大 き な 課 題 の 一 つ で あ る 。② 割 れ に は 、鋳 片 の 表 面 割 れ と 内 部 の 割 れ に 大 別 さ れ 、表 面 割 れ に 関 し て は 鋳 片 表 面 を 研 削 し て 除 去 す る な ど 、 生 産 工 程 の 複 雑 化 、コ ス ト ア ッ プ 、歩 留 ロ ス に 繋 が る 。内 部 割 れ に 関 し て は 、 圧 延 後 の 製 品 で の 表 面 疵 な ど に 繋 が る 。③ 偏 析 は 、連 続 鋳 造 特 有 の 中 心 偏 析 が 大 き な 課 題 で あ り 、有 害 元 素 の 偏 析 が 材 料 特 性 劣 化 の 原 因 と な る 。こ の よ うに製品の品質に大きな影響を及ぼす鋳片の各種欠陥の低減に向けた研究 開 発 及 び 技 術 開 発 が 日 々 行 わ れ て い る 。製 鋼 プ ロ セ ス は 、1500℃ を 超 え る 高 温 条 件 下 で あ る こ と 、液 相 や 気 相 及 び 固 相 間 の 種 々 の 反 応 が 生 じ る こ と や 複 雑 な 混 相 流 体 現 象 や 凝 固 現 象 を 含 む こ と な ど か ら 、実 製 造 ラ イ ン で の 現 象 を 正 確 に 把 握・理 解 す る こ と は 容 易 で は な い 。そ の た め 、技 術 開 発 や 研 究 開 発 2.

(7) に は 非 常 に 多 岐 に 亘 る 専 門 分 野 の 知 識 が 必 要 で あ る と と も に 、実 製 造 ラ イ ン で の 複 雑 な 現 象 を 理 解 す る た め に 、実 製 造 ラ イ ン の サ ン プ リ ン グ に よ る 実 態 解明とラボスケールの実験や数値解析などのような要素毎に分けた基礎検 討 の 両 輪 で の 技 術 開 発 及 び 研 究 開 発 を 行 う 必 要 が あ る 。本 論 文 で は 、実 製 造 ラインでの実態解明と基礎検討を組み合わせた連続鋳造鋳片品質向上に関 する研究について述べる。. 1.2. 本研究の対象となる技術課題. 連 続 鋳 造 鋳 片 に お け る 品 質 は 、各 材 料 に 応 じ た 成 分 精 度 と 前 述 し た 3 つ の 欠陥である。ここでは、3つの欠陥について、より詳しく説明する。. 第 1 の 欠陥 は 、鋳 片 に 残 存し て い る 介 在 物( 異 物 粒 子 )で あ る 。介 在 物 は 発 生 要 因 別 や 種 類 に よ り 分 け ら れ る 。介 在 物 の 種 類 と し て は 、酸 化 物 、硫 化 物 、炭 窒 化 物 で あ り 、特 に 大 型 の 酸 化 物 が 最 も 影 響 が 大 き い 。酸 化 物 の 起 源 も 、( 1 ) 酸 素 と 溶 鋼 中 の 成 分 が 反 応 し て 生 成 す る 酸 化 物 、( 2 ) 酸 化 物 の 溶 鋼 中 へ の 巻 込 み に 分 か れ る 。反 応 に よ っ て 生 成 す る 酸 化 物 の 酸 素 源 は 、転 炉 で 吹 き 込 ん だ 酸 素 が 溶 鋼 中 に 溶 解 し て い る 酸 素 、溶 鋼 上 に 存 在 し て い る ス ラ グと呼ばれる精錬時の副産物である酸化物融体から溶鋼へ供給される酸素、 溶 鋼 を 納 め る 容 器 で あ る 取 鍋 の 耐 火 物 か ら の 酸 素 、空 気 中 の 酸 素 が 挙 げ ら れ る 。外 部 か ら 溶 鋼 中 に 巻 込 ま れ る 酸 化 物 源 は 、前 述 し た ス ラ グ 、耐 火 物 と と も に 連 続 鋳 造 時 に 使 用 す る モ ー ル ド フ ラ ッ ク ス( 酸 化 物 融 体 )が 挙 げ ら れ る 。 Table 1.1 に 工 程 別 及 び 要 因 別( 反 応 /物 理 的 な 巻 き 込 み )の 介 在 物 の 起 源 を 示す。. Table 1.1. Origin of Inclusion.. Process. Reaction. Secondary. Oxides by deoxidation. refining. Oxides by reoxidation(slag). Tundish. Oxides by reoxidation(slag,air). Tundish slag. ‑. Mold powder. Continuous casting. 3. Entrapment Ladle slag.

(8) ま ず 、介 在 物 の 中 で も 反 応 に よ り 生 成 す る 酸 化 物 に つ い て 詳 細 に 説 明 す る 。 反 応 に よ り 生 成 す る 酸 化 物 は 、転 炉 で 吹 き 込 ん だ 酸 素 が 溶 鋼 中 に 溶 解 し て い る 酸 素 を 脱 酸 す る と き に 生 成 す る 酸 化 物 が も っ と も 影 響 が 大 き い 。通 常 、転 炉 で は 、炭 素 濃 度 を 0 .1 m a s s % 以 下 ま で脱 炭 す る 。こ の と き に 、溶 鋼 中 の 炭 素 と の 平 衡 溶 解 度 に よ り 酸 素 濃 度 が 決 ま り 、数 百 p p m で あ る 。こ の 状 態 で 凝 固 さ せ る と 凝 固 時 に C O ガ ス が 発 生 す る た め 、ア ル ミ ニ ウ ム な ど の 脱酸元素で酸化物として除去している。アルミニウムで脱酸する場合には、 式( 1 )で 示 す 反 応 に よ り アル ミ ナ が 生 成 し 、ア ル ミ ナ の 凝 集・合 体 が 進 み ながら、浮上しスラグ層に吸収されて除去される。 2Al+3O=Al2O3. ・ ・ ・( 1 ). 脱 酸 に よ り 生 成 さ れ た 酸 化 物( ア ル ミ ナ )を 効 率 的 に 除 去 さ せ る こ と が 非 常 に 重 要 と な り 、溶 鋼 の 攪 拌 に よ り 酸 化 物 の 凝 集 ・ 合 体 を 促 進 さ せ 粗 大 化 さ せ て 浮 上 除 去 さ せ る こ と が 一 般 的 に 行 わ れ て い る 。こ の よ う に 溶 鋼 中 に 溶 解 し て い る 酸 素 を 酸 化 物 と し て 効 率 的 に 除 去 し た と し て も 、外 部 か ら の 酸 素 源 に よ り 再 度 、酸 化 物 が 生 成 す る 場 合 が あ り 、そ の 酸 素 源 と し て ス ラ グ 、耐 火 物 、 空 気 が 挙 げ ら れ る 。こ の よ う な 外 部 か ら の 酸 素 源 に よ り 酸 化 物 が 生 成 し て し ま う 現 象 は「 再 酸 化 」と 呼 ば れ て お り 、前 記 の 脱 酸 元 素 に よ り 溶 解 酸 素 の 酸 化 物 と し て の 除 去 は「 脱 酸 」と 呼 ば れ て い る 。再 酸 化 源 と し て 主 に 問 題 と な る の は ス ラ グ と 空 気 で あ る 。ス ラ グ は 、転 炉 で の 脱 炭 時 に 使 用 す る 副 原 料 の C a O と 脱 炭 反 応 時 に 同 時 に 生 成 す る 各 種 酸 化 物 の 混 合 融 体 で あ り 、転 炉 か ら 取 鍋 へ 溶 鋼 を 移 し 替 え る 際 に 、溶 鋼 と 一 緒 に 少 量 の ス ラ グ が 流 出 し て し ま う 。ス ラ グ 中 に は 、酸 化 度 の 強 い 鉄 の 酸 化 物 や マ ン ガ ン の 酸 化 物 が 含 ま れ て お り 、こ れ ら の 成 分 の た め に 溶 鋼 へ 酸 素 が 供 給 さ れ 、酸 化 物 が 生 成 し て し ま う 。ス ラ グ か ら の 再 酸 化 を 防 止 す る た め に 、転 炉 か ら 溶 鋼 を 取 鍋 に 注 入 す る 際に、金属アルミニウムやCaOを添加してスラグの酸化度を低減させる 「 ス ラ グ 改 質 」が 最 も 一 般 的 に 行 わ れ て い る 。空 気 か ら の 再 酸 化 は 、中 間 容 器 で あ る タ ン デ ィ ッ シ ュ で 最 も 影 響 が 大 き く 、溶 鋼 を 空 気 と 接 触 さ せ な い こ と が 重 要 で あ る 。そ の た め 、タ ン デ ィ ッ シ ュ 内 の 雰 囲 気 酸 素 濃 度 の 低 減 や 溶 融フラックスによる空気遮断などが行われている。 次 に 、外 部 か ら 溶 鋼 中 に 巻 込 ま れ る 介 在 物 に つ い て 詳 細 に 説 明 す る 。外 部 か ら 溶 鋼 中 に 巻 込 ま れ る 介 在 物 源 と し て は 、ス ラ グ と モ ー ル ド フ ラ ッ ク ス が 最 も 影 響 が 大 き く 、両 者 と も に 溶 融 酸 化 物 で あ り 巻 込 み し や す い と 考 え ら れ ている。巻込む要因としては、転炉から溶鋼を出鋼する際のスラグ巻込み、 二 次 精 錬 時 の 攪 拌 時( 溶 鋼 の 流 動 や ガ ス の 影 響 )の ス ラ グ 巻 込 み 、取 鍋 か ら タ ン デ ィ ッ シ ュ へ 注 入 す る 際 の ス ラ グ 流 出 に よ る 巻 込 み 、鋳 型 内 の 溶 鋼 流 動 4.

(9) 及 び 不 活 性 ガ ス 吹 き 込 み に よ る モ ー ル ド フ ラ ッ ク ス 巻 込 み で あ る 。こ れ ら に つ い て は 、転 炉 か ら の ス ラ グ 流 出 防 止 対 策 や 溶 鋼 の 攪 拌 方 法( 流 動 制 御 や 攪 拌 の た め の ガ ス 吹 き 込 み 方 法 )の 最 適 化 、鋳 型 内 溶 鋼 流 動 の 制 御 及 び ガ ス 吹 き込み方法などの最適化を図ることで抑制されている。 鋳 片 に 残 存 す る 介 在 物 が 原 因 と な る 製 品 の 欠 陥 と し て は 、表 面 疵 と 内 部 欠 陥 に 分 け ら れ る 。表 面 疵 は 、製 品 の パ フ ォ ー マ ン ス に は 影 響 を ほ と ん ど 及 ぼ さ な い も の の 、製 品 の 外 観 を 悪 く す る 。表 面 疵 の 原 因 と な る 介 在 物 は 、脱 酸 時 に 生 成 す る ア ル ミ ナ と モ ー ル ド フ ラ ッ ク ス が 多 い 。ア ル ミ ナ は 、溶 鋼 と の 濡 れ 性 が 悪 く 凝 集 し や す い が 、溶 鋼 中 で は 固 体 で あ る た め に 、ク ラ ス タ ー と な る 。ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー は 、内 部 に 溶 鋼 を 含 ん で い る た め に 見 か け の 比 重 が 重 く 浮 上 除 去 に は 不 利 で あ る 。ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー が 鋳 片 表 面 に 残 存 す る と 、圧 延 に よ り 破 砕 さ れ ば ら ば ら と な る が 、サ イ ズ が 大 き い ク ラ ス タ ー は 破 砕 さ れ る 過 程 で 線 状 の 疵 と な る 。モ ー ル ド フ ラ ッ ク ス は 低 融 点 の 酸 化 物 で あ り 、熱 間 圧 延 時 に 延 伸 し や す く 、鋳 片 表 面 近 傍 に 残 存 し た 場 合 に ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー 同 様 に 線 状 の 疵 と な る 。内 部 欠 陥 は 、鋼 材 製 品 の 内 部 に 存 在 す る 欠 陥 で あ り 、加 工 時 の 割 れ の 起 点 や 材 料 特 性 の 悪 化 の 原 因 と な る 。内 部 欠 陥 に つ い て は 、対 象 と な る 製 品 の 鋼 板 厚 や 必 要 特 性 な ど に よ り 対 象 と な る 介 在 物 も 様 々 で あ る 。加 工 の 厳 し さ や 板 厚 の 薄 さ に よ り 、悪 影 響 を 及 ぼ す 介 在 物 サ イ ズ も 小 さ く な っ て く る 。ま た 、破 壊 の メ カ ニ ズ ム な ど に よ り 、問 題 と な る 形 状 も 変 わ る 。低 炭 素 系 薄 鋼 板 で 清 浄 性 が 要 求 さ れ る 缶 用 素 材 で は 、5 0 〜 1 0 0 μ m 程 度 の 介 在 物 が 加 工 時 の 割 れ の 起 点 と な る 。内 部 欠 陥 の 原 因 と な る介在物は、主に巻込まれたスラグ粒子やモールドフラックス粒子である。 前 述 し た ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー は 、圧 延 に よ り 破 砕 さ れ 、1 0 μ m 以 下 の 介 在 物として分散されるため、内部欠陥への影響は少ない。. 第 2 の 欠 陥 は 、連 続 鋳 造 時 に 発 生 す る 鋳 片 割 れ で あ る 。鋳 片 割 れ も 、表 面 割 れ と 内 部 割 れ に 発 生 す る 部 位 で 大 別 さ れ る 。こ れ ら の 割 れ は 、鋼 の 高 温 で の 延 性 に 起 因 し て い る も の で 、3 つ の 温 度 領 域( 脆 化 温 度 領 域 )に 分 か れ る 。 Ⅰ 領 域 の 脆 化 は 凝 固 直 後 の 温 度 領 域 で 、部 分 的 に 残 存 す る 液 相 が 脆 化 の 原 因 で あ る 。Ⅱ 領 域 の 脆 化 は 、1 0 0 0 ℃ 〜 1 2 0 0 ℃ 程 度 の 領 域 で こ の 領 域 で 生 成 す る 液相( S 脆 化 が 代 表例 )が 脆 化 の 原 因で あ る 。Ⅲ 領 域 の 脆 化 は 、7 0 0 ℃ 〜 9 0 0 ℃ 程 度 の 領 域 で γ 粒 界 の 割 れ で あ り 、γ 粒 界 上 に 生 成 す る 析 出物やγ/α変態時に生成するγ粒界上のフィルム状初析αが脆化の原因 で あ る 。 Fig.1.2 に 各 温 度 領 域 で の 高 温 延 性 ( 脆 化 ) 挙 動 と 各 領 域 で の 脆 化 と 鋳 片 割 れ と 対 応 の 概 念 図 を 示 す 。 Fig.1.3 に 鋳 片 割 れ タ イ プ 毎 の 概 略 図 を 5.

(10) 示す。. Fig.1.2 Hot ductility of steel. Brittle temperature ranges and their relating types of crack.. Fig. 1.3 Types of slab crack.. 鋳片表面割れは、鋳造方向に平行に割れる縦割れと鋳造方向に垂直方向に 割 れ る 横 割れ( γ 粒 界 割 れ )が 問 題 と な る 割 れで あ る 。縦 割 れ は 、鋳 型 内 の 鋳 造 初 期 の 凝 固 不 均 一 に よ る 歪 に よ り 発 生 し 、Ⅰ 領 域 の 脆 化 に 対 応 す る 。縦 割 れ を 防 止 す る た め に は 、初 期 凝 固 の 均 一 化 が 必 要 で あ り 、そ の た め に モ ー ルドフラックスの適正化や鋳造速度などの適正化が行われている。横割れ 6.

(11) ( γ 粒 界 割 れ )は 、鋳 造 中 の 連 続 鋳 造 機 内 で Ⅱ 領 域 も し く は Ⅲ 領 域 の 脆 化 温 度 ま で 鋳 片 表 面 温 度 が 低 下 し た 状 態 で 、鋳 片 の 矯 正 時 に 発 生 す る 矯 正 歪 に よ り 発 生 す る 。横 割 れ を 防 止 す る た め に は 、発 生 歪 量 の 低 減 や 鋳 片 表 面 温 度 の 適 正 化 が 行 わ れ て い る 。鋳 片 内 部 割 れ は 、鋳 造 中 の ロ ー ル 間 の バ ル ジ ン グ や 矯 正 歪 に よ り 固 液 界 面 近 傍 で 割 れ る 現 象 で 、Ⅰ 領 域 の 脆 化 が 主 た る 原 因 で あ る 。内 部 割 れ を 防 止 す る た め に は 、発 生 歪 量 の 低 減 の た め の 鋳 造 速 度 の 適 正 化などが行われている。 鋳 片 割 れ が 残 存 し た 場 合 に は 、表 面 割 れ で あ れ ば 介 在 物 同 様 に 製 品 で の 表 面 疵 の 原 因 と な る 。製 品 の 表 面 疵 防 止 の 観 点 で 、鋳 片 表 面 割 れ と 鋳 片 表 層 近 傍 の 介 在 物 除 去 を 目 的 と し て 、鋳 片 表 面 の 手 入 れ( 表 面 の 溶 削 な ど )が 行 わ れ る た め 、品 質 と コ ス ト の 両 面 か ら 鋳 片 表 面 割 れ を 防 止 す る こ と は 重 要 で あ る。また、内部割れの場合には、内部割れに伴う偏析(溶質濃度の濃化)に よる鋼材内の不均一に起因する材料特性不良や大きな内部割れの場合には、 鋼材の圧延中の破断の原因となる。. 第 3 の 欠 陥 は 、鋳 片 の 厚 み 中 心 部 に 発 生 す る 中 心 偏 析 で あ る 。中 心 偏 析 は 、 凝 固 末 期 の 固 液 界 面 に 濃 縮 し た 溶 質 が 、バ ル ジ ン グ や 凝 固 収 縮 に 伴 う 流 動 に よ り 厚 み 中 心 部 に 集 中 す る 現 象 で あ る 。中 心 偏 析 を 防 止 す る た め に は 、上 述 し た 流 動 を 抑 制 す る 必 要 が あ り 、バ ル ジ ン グ 抑 性 の た め に ロ ー ル 間 ピ ッ チ を 短くすることや凝固収縮を補償する軽圧下などが行われている。 中 心 偏 析 が 原 因 と な る 製 品 で の 欠 陥 は 、溶 質 成 分 の 濃 化 に よ る 部 分 的 な 硬 化 や 偏 析 に 伴 う M n S の 生 成 に よ る も の が 主 で あ る 。中 心 偏 析 部 の 硬 化 部 や 延 伸 性 の M n S は 、割 れ や 脆 化 の 起 点 と な る 。中 心 偏 析 が 問 題 と な る 場 合 は 、 厚 鋼 板 や 鋼 管 な ど の 板 厚 が 厚 く 、中 心 偏 析 の 影 響 が 強 く 残 存 す る 場 合 が 多 い 。. こ れ ま で述 べ て き た 鋳 片の 3 つ の 欠 陥( 介 在 物 、割 れ 、中 心 偏 析 )と 薄 鋼 板 製 品 に お け る 欠 陥 と の 対 応 を Table 1.2 に 示 す 。 薄 鋼 板 製 品 で の 表 面 欠 陥 は 、介 在 物( 特 に 粗 大 な ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー や 溶 鋼 中 に 巻 き 込 ま れ た ス ラ グ や モ ー ル ド パ ウ ダ ー 粒 子 )と 鋳 片 表 面 割 れ の 残 存 が 主 要 因 で あ る 。薄 鋼 板 の 中でも自動車用鋼板やブリキなどのような低炭素系製品での表面欠陥の要 求レベルが厳しく、製鋼工程での対策や改善が継続的に行われている。. 7.

(12) Table 1.2 Defects of thin steel sheet. Inclusion Surface. Alumina cluster. defect. Slag/Powder particle. Internal defect. Slag/Powder particle. Crack. Segregation. Surface crack. ‑. Internal crack. Center segregation. 本 論 文 で は 、低 炭 素 系 の 薄 鋼 板 の 表 面 欠 陥 防 止 を タ ー ゲ ッ ト に 、介 在 物 と 鋳片表面割れに関する連続鋳造鋳片の品質向上に関する研究について述べ る 。ま ず 、介 在 物 に つ い て は 、脱 酸 生 成 物 で あ る ア ル ミ ナ と 溶 鋼 中 に 懸 濁 し ているスラグ粒子の 2種類の粒子を考慮した二次精錬時の介在物凝集モデル に つ い て 実 プ ロ セ ス の 現 象 と の 対 比 を 行 っ た 。ま た 、ス ラ グ に よ る 再 酸 化 に つ い て ラ ボ ス ケ ー ル の 実 験 を 通 し て 、実 プ ロ セ ス に も 活 用 可 能 な 定 量 化 を 試 み た 。最 後 に 、鋳 片 表 面 割 れに 関 し て 、Ⅱ 領 域の S 脆 化 を 中 心 に検 討 し 、低 炭素系の薄鋼板の連続鋳造鋳片の品質向上の提言をまとめた。. 8.

(13) 第2章 2.1. 介在物凝集・浮上除去に関する研究 緒言. 溶 鋼 中 の 介 在 物 と し て 最 も 代 表 的 な 介 在 物 は 、ア ル ミ ニ ウ ム 脱 酸 時 に 生 成 す る ア ル ミ ナ で あ る 。ア ル ミ ナ の 大 部 分 は 、二 次 精 錬 時 の 脱 酸 後 に 除 去 さ れ る 。そ こ で 、二 次 精 錬 中 の 脱 酸 後 の 介 在 物 の 凝 集・ 浮 上 除 去 に つ い て 検 討 す る 。溶 鋼 中 の 介 在 物 凝 集 挙 動 に つ い て は 、計 算 モ デ ル に よ る 解 析 が 行 わ れ て きた. 1)2)3). が、いずれも脱酸生成物であるアルミナ粒子を対象としたもので. あ る 。実 際 に は 、溶 鋼 上 に あ る ス ラ グ の 巻 き 込 み が 、介 在 物 挙 動 に 大 き く 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。Fig. 2.1 に は 、二 次 精 錬 直 後 の 溶 鋼 中 に 見 ら れ る 介在物の代表的な形態を示すが、脱酸生成物である数μm サイズのアルミナ 粒 子 が 多 数 凝 集 し た ア ル ミ ナ ・ ク ラ ス タ ー 以 外 に 、完 全 な 球 形 の 介 在 物 と 凹 凸 を 呈 す る 形 態 の 介 在 物 ( こ こ で は 、不 定 形 介 在 物 と 呼 称 す る ) が 見 ら れ る 。 こ の 球 形 の 介 在 物 は 、 組 成 を 分 析 す る と 、 CaO‑Al2O3 を 主 成 分 と す る 多 元 系 の 酸 化 物 で あ り 、融 点 が 比 較 的 低 い た め 、溶 鋼 中 で は 液 相 に な っ て い る も の と 考 え ら れ る 。 一 方 、 不 定 形 の 介 在 物 は 、 CaO‑Al2O3 系 の Al2O3 含 有 量 の 多 い 複 合 酸 化 物 で あ り 、融 点 は 比 較 的 高 い 。取 鍋 精 錬 に お い て 、ア ル ミ ニ ウ ム 脱 酸 後 か ら 連 続 的 に 溶 鋼 サ ン プ リ ン グ を 行 な っ た 試 験 結 果 か ら 、球 形 介 在 物 は 、 取鍋溶鋼上のスラグが溶鋼内に巻き込まれた粒子が溶鋼中のアルミニウム で 還 元 さ れ た も の だ と 推 定 さ れ る 。ま た 、不 定 形 介 在 物 は 、脱 酸 生 成 物 で あ る ア ル ミ ナ と 球 形 介 在 物 が 凝 集 合 体 し た も の だ と 推 定 さ れ る 。こ の よ う な 巻 き 込 み ス ラ グ に 起 因 す る 介 在 物 は 、そ の 量 が 多 い 場 合 に は 、脱 酸 生 成 物 で あ るアルミナの凝集、浮上分離挙動に大きな影響を与えると考えられる。. Fig. 2.1 Morphologies of inclusions.. 9.

(14) 本 章 で は 、新 し く 開 発 し た 2 種 粒 子 の 介 在 物 凝 集 モ デ ル. 4). を 用 い て 、ス ラ. グ 巻 き 込 み を 考 慮 し た 介 在 物 挙 動 の 計 算 を 行 な い 、取 鍋 精 錬 終 了 時 の 溶 鋼 サ ン プ リ ン グ 結 果 と 対 比・検 討 し た 結 果 に つ い て 述 べ る 。特 に 、介 在 物 の 初 期 粒 径 分 布 、処 理 中 の ス ラ グ 巻 き 込 み 量 、ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー の 密 度 補 正 、ア ルミナ系介在物の凝集に与えるスラグ系介在物の影響をパラメータとして モ デ ル 計 算 を 行 い 、実 プ ロ セ ス の 結 果 と 比 較 し て 、妥 当 な パ ラ メ ー タ を 選 択 をすることによって、介在物の粒径分布予測計算法の確立を目指した。. 2.2. 介在物凝集モデル. 今 回 の 研 究 に お い て は 、取 鍋 精 錬 装 置 と し て 、取 鍋 底 部 か ら ア ル ゴ ン ガ ス 攪 拌 を 行 な い 、浸 漬 管 内 で 脱 酸 材 を 添 加 す る タ イ プ の 装 置 を 対 象 と し た 。介 在 物 凝 集 の 計 算 は 、溶 鋼 流 動 計 算 プ ロ グ ラ ム と 介 在 物 凝 集 プ ロ グ ラ ム を そ れ ぞ れ 独 立 に 用 い て 行 な っ て お り 、溶 鋼 流 動 計 算 プ ロ グ ラ ム で 得 ら れ た 各 メ ッ シュごとの 6方向の速度ベクトルを介在物凝集プログラムのメッシュに換算 し て 入 力 す る 。溶 鋼 流 動 計 算 に お け る メ ッ シ ュ は 、49×49×38 と し 溶 鋼 流 動 を できるだけ精密に計算した。一方、介在物凝集モデルにおいては、溶鋼流動計 算 と 同 一 メ ッ シ ュ で は 計 算 時 間 が 膨 大 に な る た め 、 メ ッ シ ュ を 10×10×8 と し た 。 溶 鋼 流 動 計 算 プ ロ グ ラ ム は 、 3 次 元 流 体 解 析 モ デ ル "FLODIA"に 、 ガ ス 吹. き 込 み に よ る 浮 力 お よ び 溶 鋼 の 密 度 変 化 を 考 慮 し た も の を 用 い た 。" F L O D I A " は 、3 次 元 の L a r g e E d d y S i m u l a t i o n に よ る 乱 流 の 非 定 常 計 算 モ デ ル で あ り 、 詳細は沢田らによる参考文献. 5). を参照されたい。. ガ ス 吹 き 込 み に よ る 浮 力 の 計 算 に は 、 以 下 に 示 す. Castillejos and. Brimacombe6) の モ デ ル を 用 い た 。. α max= 2.9377R α max= R− 0.22. (R≧ 4). ・・・ (2.1). (R< 4). ・・・ (2.2). R= (g・ d05(ρ l− ρ g)/ Q02・ ρ l)0.269(h/ d0)0.993 rα. max/2. = 0.243(g・ d05(ρ l− ρ g)/ Q02・ ρ l)0.184(h/ d0)0.48. α = α max・ exp{− 0.7(r/ rα. max/ 2. )2.4}. ρ = α ・ ρ g+ (1− α )ρ l. ・・・ (2.3) ・・・ (2.4) ・・・ (2.5) ・・・ (2.6). こ こ で 、 g: 重 力 加 速 度 、 h: 吹 き 出 し 口 か ら の 鉛 直 方 向 距 離 、 d0: 吹 き 出 し 口 径 、 Q0: ガ ス 流 量 、 r: 吹 き 出 し 口 中 心 線 (吹 き 出 し 口 を 通 る 鉛 直 方 向 の 線 )か ら の 水 平 距 離 、 α : 気 泡 率 、 ρ l: 溶 鋼 密 度 、 ρ g: Ar ガ ス 密 度 、 ρ : 溶 鋼 ・ Ar ガ ス 混 合 部 密 度 10.

(15) 介 在 物 粒 子 は 、ア ル ミ ナ と ス ラ グ 粒 子 の 2 種 と し 、移 流 拡 散 、乱 流 せ ん 断 、 浮 上 速 度 差 、ブ ラ ウ ン 運 動 等 を 考 慮 し た 凝 集 お よ び 浮 上 の 計 算 を 行 な う 。介 在物の凝集については、以下の式を用いた。 まず、介在物の凝集合体頻度を以下の式で表す。 Z= γ ×Fij. ・・・ (2.7). こ こ で 、 Z: 凝 集 合 体 頻 度 、 γ : 凝 集 係 数 、 Fij : 介 在 物 衝 突 頻 度. 粒 径 di と dj の 介 在 物 ど う し の 衝 突 頻 度 は 次 式 で 表 さ れ る. 7). 。. Fij = {β 1 (di,dj)+ β 2 (di,dj)+ β 3 (di,dj)+ β 4 (di,dj)}ni・ nj ・・・ (2.8) こ こ で 、 β 1 (di,dj): 乱 流 剪 断 に よ る 衝 突 頻 度 β 2 (di,dj): 乱 流 変 動 に よ る 衝 突 頻 度 β 3 (di,dj): 浮 上 速 度 差 に よ る 衝 突 頻 度 β 4 (di,dj): ブ ラ ウ ン 運 動 に よ る 衝 突 頻 度. であり、それぞれ、以下の様に表される。. β 1 (di,dj)= 2.3{(di+ dj)/ 2}3(ε / ν )0.5. ・・・ (2.9). β 2 (di,dj)= 2(2π ){(di+ dj)/ 2}2(1− ρ / ρ inc)(τ i− τ j)(Du/ Dt) ・・・(2.10) τ i= di2・ρ inc/ 18μ. ・・・(2.11). (Du/ Dt)2= 1.3ν ‑1/2ε 3/2. ・・・(2.12). β 3 ( d i , d j ) = 2 π・Δ ρ・g / ( 9 μ ) { ( d i + d j ) / 2 } 3 | ( d i − d j ) / 2 | ・ ・ ・ ( 2 . 1 3 ) β 4 (di,dj)= 2kBT/ (3μ ){(1/ di− 1/ dj)}(di+ dj). ・・・(2.14). こ こ で 、 ni, nj: 介 在 物 個 数 、 ε : 撹 拌 エ ネ ル ギ ー 、 ν : 動 粘 性 係 数 、 ρ : 溶 鋼 密 度 、 ρ inc: 介 在 物 密 度 、 τ : 粒 子 緩 和 時 間 、 μ : 溶 鋼 の 粘 性 係 数 、 Δ ρ : 密 度 差 、 kB: ボ ル ツ マ ン 定 数 、 T: 絶 対 温 度. 凝 集 係 数 は 粒 子 種 ご と に 変 更 で き る が 、今 回 は 簡 略 化 の た め に 、こ と わ り の な い 限 り 0.3 一 定 値 と し た 。 Nakanishi et al. 8). は 、 ASEA‑SKF 炉 内 で の ア. ル ミ ナ の 凝 集 係 数 を 0.27〜 0.63 と し て い る が 、 山 田. 1). らは、タンディッシ. ュ 内 で の ア ル ミ ナ の 凝 集 係 数 と し て 0 . 1 が 実 測 値 と 合 う と し て い る 。こ こ で 11.

(16) は 、 Nakanishi et al ら の 値 の 低 い ほ う を 採 用 し た 。 な お 、 0.1 で の 計 算 も 行 な っ て み た が 、0 . 3 の ほ う が 1 0 0 μ m 以 上 の 介 在 物 が わ ず か に 増 え る 傾 向 に あ っ た 。ま た 、粒 子 合 体 に つ い て は 、ア ル ミ ナ ど う し の 衝 突 以 外 は ス ラ グ 系 介 在 物 に な る と し た 。す な わ ち 、ア ル ミ ナ 粒 子 + ア ル ミ ナ 粒 子 は ア ル ミ ナ 粒 子 、ス ラ グ 粒 子 + ス ラ グ 粒 子 は ス ラ グ 粒 子 、ア ル ミ ナ 粒 子 + ス ラ グ 粒 子 は ス ラグ粒子となる。 介 在 物 の 浮 上 に つ い て は 、 粒 子 レ イ ノ ル ズ 数 が 1 未 満 で は Stokes 式 、 1 以 上 で は Allen 式 を 用 い る 。 更 に 、 気 泡 に よ る 介 在 物 の 除 去 に つ い て は 、 S z e k e l y 9 ) の 慣 性 衝 突 お よ び さ え ぎ り 衝 突 を 考 慮 し た 。ま た 、界 面 に 到 達 し た 介 在 物 は 系 外 に 除 去 さ れ る が 、一 部 は 温 度 勾 配 に 基 づ く 界 面 張 力 差 に よ り 溶 鋼中へ戻されるとした. ufloat. 10). 。. = ufloat− K・usurf・d. ・・・(2.15). こ こ で 、 ufloat : 介 在 物 の 浮 上 速 度 、 ufloat: Stokes ま た は Allen 式 に よ る 介 在 物 の 浮 上 速 度 、 K: 定 数 (= 2000)、 usurf: 溶 鋼 の 表 面 流 速 、 d: 介 在 物 の 直 径. 式 (2.15)の 右 辺 の 第 2 項 は 、 介 在 物 が 温 度 勾 配 に 基 づ く 界 面 張 力 差 に よ り 溶 鋼 中 へ 戻 さ れ る 速 度 を 表 し て い る 。こ の 項 は 、式 (2.16)の 温 度 勾 配 の 項 を レイノルズのアナロジーを用いて求めた結果である. uσ = − 4σ / (9μ )・ (∂ σ / ∂ T)(∂ T/ ∂ x). 11). 。. ・・・(2.16). こ こ で uσ : 溶 鋼 中 へ 戻 さ れ る 流 速 、σ : 表 面 張 力 、μ : 動 粘 性 係 数 、x: 溶鋼表面からの距離. な お 、本 モ デ ル で は 、介 在 物 の 生 成 と し て 、ア ル ミ ニ ウ ム 添 加 に よ る ア ル ミ ナ の 生 成 、空 気 酸 化 や ス ラ グ か ら の 酸 素 供 給 に よ る ア ル ミ ナ の 生 成 が 計 算 出 来 る 構 造 に な っ て い る が 、本 研 究 で は 、以 下 の よ う に 初 期 条 件 と し て 介 在 物粒径を与えた。 初 期 条 件 と し て 、ア ル ミ ニ ウ ム 脱 酸 直 後 を 想 定 し た ア ル ミ ナ 粒 子 の 粒 径 分 布 を 与 え る 。ま た 、ス ラ グ 粒 子 に つ い て は 、溶 鋼 に 懸 濁 し て い たも の と 、攪 拌 中 に 常 時 巻 込 ま れ る も の に わ け て 計 算 す る 。脱 酸 前 に 溶 鋼 に 懸 濁 し て い た スラグ粒子について、初期条件の一つとして、粒径分布を与える。 12.

(17) ま た 、撹 拌 中 に 常 時 巻 き 込 ま れ る ス ラ グ 粒 子 に つ い て は 、溶 鋼 流 動 や ス ラ グ 物 性 に 基 づ く 物 理 モ デ ル で は な く 、単 純 に 境 界 条 件 と し て 、溶 鋼 / ス ラ グ 界 面 の 単 位 面 積 、単 位 時 間 あ た り 巻 き 込 む ス ラ グ 粒 子 の 量 と 粒 径 分 布 を 与 え た 。こ れ は 、本 検 討 で 利 用 で き る よ う な 、取 鍋 ス ラ グ の 巻 き 込 み 挙 動 に 関 す る 精 度 の 高 い 物 理 モ デ ル が な か っ た た め で あ る 。こ れ に つ い て は 、今 後 の モ デル改善の中で検討したい。 な お 、 介 在 物 の 密 度 は 、 ア ル ミ ナ 粒 子 、 ス ラ グ 粒 子 と も 3.0g/ cm3 と し 、 溶 鋼 の 密 度 は 7.0g/ cm3 と し た 。 ま た 、 本 モ デ ル で は 、 巻 き 込 ま れ た ス ラ グ 粒子の分裂は考慮していない。. 2.3. 実プロセスの実態調査. 取 鍋 精 錬 装 置 と し て 、取 鍋 底 部 か ら ア ル ゴ ン ガ ス 攪 拌 を 行 な い 、浸 漬 管 内で脱酸材を添加するタイプの装置. 12). を 用 い た ( F i g . 2 . 2 )。 取 鍋 内 径 は 約. 2.8m、浸 漬 管 内 径 は 約 1.2m で あ り 、底 吹 き 位 置 は 取 鍋 壁 面 か ら 約 0.5m の 位 置 で あ る 。調 査 し た 鋼 種 は 低 炭 ア ル ミ キ ル ド 鋼 で 、溶 鋼 単 位 重 量 当 た り ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 を 0.0293(Nl/(s・t))と 0.0441(Nl/(s・t))の 2 水 準 で 変 化 さ せ 、 脱 酸 後 及 び 脱 酸 後 10 分 間 の 処 理 後 の 溶 鋼 サ ン プ ル を 採 取 し て 、 鋼 中 の 介 在 物 を 電 解 ス ラ イ ム 抽 出 法 お よ び 顕 微 鏡 法 で 分 析 し た 。 溶 鋼 成 分 を Table 2.1 に 、 試 験 条 件 を Table 2.2 に 示 す 。 ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 0.0293(Nl/(s・t))(水 準 1)と 0.0441(Nl/(s・t))(水 準 2) の 2 水 準 に お け る ス ラ グ 系 介 在 物 (単 体 ア ル ミ ナ 以 外 : 巻 込 み ス ラ グ を 還 元 ま た は ス ラ グ と 凝 集 合 体 し た ア ル ミ ナ ) の 粒 径 分 布 を F i g . 2 . 3 に 示 す 。ま た 、 ア ル ミ ナ 系 介 在 物 の 粒 径 分 布 を Fig. 2.4 に 示 す 。 縦 軸 の 介 在 物 個 数 は 、 測 定 し た 介 在 物 個 数 を そ の 測 定 し た 粒 径 範 囲 の 幅 で 割 っ た 1μ m 当 た り の 介 在 物 個 数 と し た 。通 常 、サ イ ズ 分 布 を 示 す 場 合 は 、等 間 隔 の 区 間 を 採 用 す る 場 合 が 多 い が 、 今 回 は 微 小 介 在 物 を 1〜 10μ m ピ ッ チ で 顕 微 鏡 で 測 定 し 、 大 型 介 在 物 を 50μ m ピ ッ チ で ス ラ イ ム 法 で 測 定 し た た め 、 サ イ ズ 区 間 が 異 な り 、 そ の ま ま で は 正 し い 介 在 物 分 布 と な ら な い 。そ こ で 、測 定 し た 粒 径 範 囲 の 幅 で 規 格 化 し た 。 例 え ば 、 50〜 100μ m の 介 在 物 が 100 個 あ っ た 場 合 、 縦 軸 は 測 定 粒 径 範 囲 幅 50μ m で 割 っ た 値 、 2 個 /μ m と な り 、 サ イ ズ 平 均 値 75μ m の介在物が 2 個存在するとした。連続関数としての介在物分布を考えると、 100 個 と い う 数 値 は 連 続 関 数 を そ の 区 間 の 範 囲 で 積 分 し た 値 に 相 当 し 、 1μ m の区間幅当たりの 2個という数値はその区間内の分布が直線と仮定した場合 の サ イ ズ 平 均 値 ( 75μ m ) に 対 す る 介 在 物 個 数 を 示 し て い る 。 サ イ ズ 区 間 の 平 均 値 と 1μ m 当 た り の 介 在 物 個 数 を プ ロ ッ ト す る こ と に よ り 、 連 続 関 数 的 13.

(18) な介在物分布が得られる。. Fig.2.2 Schematic figure of CAS(Composition Adjustment by Sealed argon bubbling) process.. Table 2.1. Chemical composition of the steel (mass%).. C. Si. Mn. P. S. Al. 0.05. 0.03. 0.4. 0.01. 0.01. 0.05. Table 2.2. Experimental conditions.. case. Ar (Nl/s/t)). Mass of steel (ton). Depth of free board(mm). 1. 0.0293. 340. 100. 2. 0.0441. 340. 200. 14.

(19) Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). 4 ●:Ar=0.0293Nl/(s・t) ▲:Ar=0.0441Nl/(s・t). 3 2 1 0 ‑1 ‑2 0. Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). Fig. 2.3. 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Size distribution of slag‑inclusions (measured).. 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ‑1 ‑2. ●:Ar=0.0293Nl/(s・t) ▲:Ar=0.0441Nl/(s・t). 0 Fig. 2.4. 100. 100. 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Size distribution of alumina‑inclusions (measured).. 15.

(20) 粒 径 が 37μ m 以 上 に つ い て は 、 電 解 ス ラ イ ム 抽 出 法 の 結 果 で あ り 、 30μ m 以 下 に つ い て は 顕 微 鏡 観 察 の 結 果 で あ る 。ア ル ミ ナ 系 介 在 物 の 場 合 に は 、顕 微 鏡 で も 数 μ m サ イ ズ の 非 常 に 多 く の 介 在 物 が 観 察 さ れ た が 、C a を 含 む 介 在 物( ス ラ グ 系 介 在 物 )に つ い て は 、顕 微 鏡 で は全 く 観 察 さ れ ず 、最 小 粒 径 は 電 解 ス ラ イ ム 抽 出 法 で 得 ら れ た 37μ m で あ っ た 。こ の こ と は 、球 形 介 在 物 の 起 源 が 脱 酸 生 成 物 で は な く 、物 理 的 に 巻 き 込 ま れ た も の で あ る こ と を 示 す と 考えられる。 Fig. 2.3 よ り 、 ス ラ グ 系 介 在 物 の 個 数 は 、 150μ m を 境 に 両 水 準 で 逆 転 す る こ と が 判 っ た 。す な わ ち 、1 5 0 μ m よ り 小 さ い 場 合 に は 水 準 1 の ほ う が 多 い が 、 150μ m 以 上 で は 水 準 2 の ほ う が 多 い 。 一 方 、 ア ル ミ ナ 系 介 在 物 の 場 合 に は 、 Fig. 2.4 よ り 30μ m 以 下 で は 両 水 準 に 大 き な 差 は 見 ら れ な い が 、3 7 〜 1 0 5 μ m で は 水 準 2 の ほ う が 多 く 、1 0 5 μ m 以 上 で は 水 準 1 の ほ う が 多 い 。た だ し 、ス ラ グ 系 介 在 物 ほ ど 大 き な 差 は 見 ら れない。 ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 を 0.0293(Nl/(s・t))か ら 0.0441(Nl/(s・t))に 増 大 す る こ と に よ り 、ス ラ グ 系 介 在 物 は サ イ ズ の 大 き な も の が 増 加 し 、ア ル ミ ナ 系 介 在 物 は サ イ ズ の 大 き な も の が 減 少 し た こ と か ら 、ス ラ グ 系 介 在 物 は 、ア ル ミ ナ系介在物の挙動に影響を与えている可能性が大きいと考えられる。. 2.4. 介在物凝集モデルによる検証. 2.4.1. 計算条件. モ デ ル 計 算 で は 、実 機 調 査 結 果 と 対 比 す る た め に 同 じ ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 条 件 で あ る 、 0.0293(Nl/(s・t))(水 準 1)と 0.0441(Nl/(s・t))(水 準 2)の 2 水 準 に つ い て 行 な っ た 。浸 漬 管 の 浸 漬 深 さ に つ い て も 実 機 と 同 じ 浸 漬 深 さ と し て 計 算 し た 。初 期 条 件 は 、ア ル ミ ナ 初 期 粒 径 分 布 と 脱 酸 前 に 溶 鋼 に 懸 濁 し て い る ス ラ グ 粒 径 分 布 で あ る が 、ス ラ グ 系 介 在 物 の 粒 径 分 布 に つ い て は 、別 途 求 め た ア ル ミ ニ ウ ム 添 加 前 の 介 在 物 実 測 結 果 を も と に 決 定 し た 。ア ル ミ ナ 系 介 在 物 に つ い て は 、粒 径 分 布 を 変 化 さ せ て 与 え 、水 準 1 に つ い て 計 算 を 行 な い 、 ア ル ミ ナ 系 介 在 物 と ス ラ グ 系 介 在 物 の 両 方 に つ い て 、 そ の 結 果 が 水 準 1、 す な わ ち ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 が 0.029Nl/(s・t)の 場 合 の 実 測 結 果 と 最 も 合 う よ う に 試 行 錯 誤 的 に 検 討 し た 。ま た 、境 界 条 件 と し て の 、取 鍋 ス ラ グ 巻 き 込 み 量 に つ い て も 、同 様 に ア ル ミ ナ 系 介 在 物 と ス ラ グ 系 介 在 物 の 両 方 に つ い て 、計 算結果が水準 1 の実測結果と最も合うように試行錯誤的に検討した。. 16.

(21) Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ‑1 ‑2. ●:slag‑inclusion ◆:alumina‑inclusion. 0. Number of inclusion : log(N) N/(m2 ・μm・s). Fig. 2.5. 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Initial size distribution of inclusions.. 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ‑1 ‑2 0. Fig. 2.6. 100. 100. 200 300 400 Size of inclusion (μm). Boundary condition ; Size distribution of engulfed by surface flow.. 17. 500. slag particles.

(22) 得 ら れ た 初 期 条 件 と 境 界 条 件 を Fig. 2.5、 Fig. 2.6 に 示 す 。 ア ル ミ ナ 系 介 在 物 に つ い て は 、サ イ ズ が 小 さ く な る ほ ど 個 数 が 多 く な る よ う な 分 布 で あ り 、ス ラ グ 系 介 在 物 に つ い て は 、初 期 粒 径 分 布 お よ び 巻 き 込 み 粒 径 分 布 と も 40μ m で 個 数 の ピ ー ク を 示 す 分 布 と な っ た 。. 2.4.2. 計算結果および実機調査結果との対比. 2 つ の 水 準 に お け る 取 鍋 内 溶 鋼 流 動 の 計 算 結 果 を Fig. 2.7、 Fig. 2.8 に 示 す 。 0.0293(Nl/(s・t))(水 準 1)の 場 合 に 較 べ て 、 0.0441(Nl/(s・t))(水 準 2) の 場 合 に は 、上 昇 速 度 は む し ろ 若 干 小 さ く な っ て い る が 、浸 漬 管 壁 に 沿 う 下 降流が大きくなっている。これは、水準 2 の場合のほうが浸漬管の深さが 200mm と 、 水 準 1 の 100mmm に 較 べ て 深 く な っ て い る 影 響 だ と 考 え ら れ る 。 Fig. 2.9、 Fig. 2.10 に は 、 水 準 1 に つ い て 、 サ ン プ リ ン グ 位 置 に お け る モデル計算結果と実測結果の対比を示す。なお、サンプリング位置は、 Fig.2.7、 Fig.2.8 で 示 す 鍋 中 心 部 付 近 ( 浸 漬 管 の 左 側 ) の ス ラ グ /メ タ ル 界 面 か ら 3 0 0 m m 深 さ の 位 置 で あ る 。ス ラ グ 系 に つ い て は 、2 7 0 μ m で 若 干 開 き が 見 ら れ る が 、他 の 粒 径 で は 計 算 結 果 と 実 測 結 果 が ほ ぼ 一 致 し た 。一 方 、ア ル ミ ナ 系 に つ い て は 、初 期 条 件 を 変 化 さ せ て も 、こ れ 以 上 の 合 致 に は な ら な か った。 水 準 1 と 同 じ 初 期 条 件 ( ア ル ミ ナ 系 お よ び ス ラ グ 系 介 在 物 粒 径 分 布 ) 、境 界 条 件 (巻 き 込 み ス ラ グ 粒 径 分 布 )を 用 い て 、 Ar 流 量 0.044 Nl/(s・t)(水 準 2) の 場 合 を 計 算 し た 結 果 を Fig. 2.11、 Fig. 2.12 に 示 す 。 図 中 に は 水 準 2 の 実 測 値 と 水 準 1 の 計 算 結 果 も 合 わ せ て 示 す 。ス ラ グ 系 介 在 物 に つ い て は 、計 算 結 果 よ り も 実 測 値 の ほ う が 、1 0 0 μ m 以 上 の 介 在 物 個 数 が 多 い 。ま た 、ア ル ミナ系介在物については、計算結果と実測値がほぼ一致している。 な お 、同 じ 計 算 結 果 ど う し で 水 準 1 と 水 準 2 を 比 較 す る と 、ス ラ グ 系 介 在 物 に つ い て も 、ア ル ミ ナ 系 介 在 物 に つ い て も 大 き な 変 化 が 見 ら れ な い 。す な わ ち 、初 期 条 件 と 境 界 条 件 を 変 化 さ せ な い 場 合 に は 、こ の レ ベ ル の ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 変 化 で は 、介 在 物 凝 集 挙 動 に 大 き な 変 化 を 与 え て い な い こ と が 判 る 。. 18.

(23) Fig, 2.7 Molten steel flow in a ladle(case1,estimated).. Fig, 2.8 Molten steel flow in a ladle(case2,estimated).. 19.

(24) 4. Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). ●:measured ○:estimated. 3 2 1 0 ‑1 ‑2 0. 100 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). Fig. 2.9 Size distribution of slag‑inclusions (case1).. 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ‑1 ‑2. ◆:measured ◇:estimated. 0. 100 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Fig. 2.10 Size distribution of alumina‑inclusions (case1).. 20.

(25) Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). 4 ▲:measured △:estimated(case2) ○:estimated(case1). 3 2 1 0 ‑1 ‑2 0. 100 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). Fig. 2.11 Size distribution of slag‑inclusions (case2).. 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ‑1 ‑2. ◆:measured ◇:estimated. 0. 100. 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Fig. 2.12 Size distribution of alumina‑inclusions (case2). 21.

(26) 2.5. 考察. 2.5.1. 溶鋼流動によるスラグ巻込み挙動の変化. 水準 2 での実測値と計算結果を合うようにするために、以下に検討した。 初 期 条 件 は 、水 準 1 と 水 準 2 で 変 化 が な い も の と 仮 定 し 、巻 き 込 み ス ラ グ 量 に つ い て 変 化 さ せ た 。 こ の 結 果 、 巻 込 み ス ラ グ 粒 子 の 粒 径 分 布 を Fig. 2.13 に 示 す よ う に 変 化 さ せ た 場 合 に 、水 準 2 に お け る 実 測 の 介 在 物 粒 径 分 布 と 計 算 結 果 が 、 Fig. 2.14 に 示 す よ う に ほ ぼ 一 致 し た 。 こ の こ と は 、 ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 を 0.0293(Nl/(s・t))(水 準 1)か ら 0.0441(Nl/(s・t))(水 準 2)に 変 え た 場 合 に は 、介 在 物 凝 集 挙 動 そ の も の に は 大 き な 変 化 を 与 え な い が 、ス ラ グ 巻 き 込 み 量 に 変 化 を 与 え る 、す な わ ち 、ア ル ゴ ン ガ ス 流 量 が 多 く な る と 巻 き 込 まれるスラグ粒径が大きくなることが判った。. 4. Number of inclusion : log(N) N/(m2 ・μm・s). ●:initial(case1) ▲:modified(case2). 3 2 1 0 ‑1 ‑2 0. 100 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Fig. 2.13 Modified boundary condition ; Size distribution of slag particles. engulfed by surface flow.. 22.

(27) Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). 4 ▲:measured △:estimated(before modified) □:estimated(after modified). 3 2 1 0 ‑1 ‑2 0. 100 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Fig. 2.14 Size distribution of slag‑inclusions (case2,estimated by using modified boundary condition).. 2.5.2. アルミナ・クラスタの体積補正. Fig. 2.10 に お い て 、 ア ル ミ ナ 系 介 在 物 に 関 し て は 、 初 期 条 件 を 変 化 さ せ て も 、こ れ 以 上 の 合 致 に は な ら な か っ た 。そ こ で 、ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー の 体 積 に つ い て 検 討 し た 。ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー は ア ル ミ ナ 粒 子 に 溶 鋼 が と り 囲 ま れ た 状 態 に な っ て い る と い わ れ て お り 、見 か け の 体 積 に 対 し て 、ア ル ミ ナ 粒 子 の 占 め る 空 間 充 填 率 は 1 よ り か な り 小 さ い と 考 え ら れ る 。モ デ ル 計 算 に お け る ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー の 補 正 に つ い て は 、 Miki et al.3)は 、 凝 集 合 体 す る 際 の 衝 突 半 径 に は 見 か け の 半 径 を 、浮 上 で は 見 か け の 球 に 対 す る 空 間 充 填 率 を 1 と仮定して計算している。 本計算モデルでは、アルミナクラスターに関してはすべて空間充填率が 1 の 球 と し て 計 算 し て い た 。そ こ で 、計 算 で 得 ら れ た ア ル ミ ナ 粒 子 の 粒 径 の う ち 1 0 μ m 以 上 の サ イ ズ の も の に つ い て 、ア ル ミ ナ 粒 子 の 占 め る 空 間 充 填 率 が 10,30,100%で あ る と し て 補 正 し た 結 果 を Fig. 2.15 に 示 す 。 図 よ り 、 ア ル ミ ナ 粒 径 が 小 さ い 場 合 に は 充 填 率 が 100%と 大 き い 方 が 計 算 結 果 と 良 く 合 う が 、 粒 径 が 大 き く な る に 従 い 、30%、10%と 補 正 し た 方 が 実 測 値 に 合 っ て く る こ と が 判 る 。こ の 結 果 か ら 、ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー の ア ル ミ ナ 粒 子 の 空 間 充 填 率 は ク ラ ス タ ー サ イ ズ が 大 き く な る ほ ど 小 さ く な る と 推 定 さ れ 、今 後 は こ の よ う 23.

(28) Number of inclusion : log(N) N/(Kg・μm). にサイズ毎の空間充填率の補正を検討する必要がある。. 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 ‑1 ‑2. rate of alumina filled up 10% 30% 100% measured. 0. 100. 200 300 400 Size of inclusion (μm). 500. Fig. 2.15 Size distribution of alumina‑inclusions (case1,estimared by changing rate of alumina particle filled up).. 顕 微 鏡 に お け る 断 面 観 察 で 検 出 さ れ る ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー の 例 を Fig.2.15 に 示 す 。F i g . 2 . 1 6 に 示 す よ う に 、大 型 の ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー で は 、局 所 的 に アルミナ粒子が密集している領域とアルミナ粒子の存在しない領域がある。 こ れ は 、比 較 的 小 さ い ア ル ミ ナ 粒 子 が 密 集 し た ク ラ ス タ ー 同 士 が 凝 集 し た た め と 考 え ら れ 、上 述 し た よ う に 、ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー の ア ル ミ ナ 粒 子 の 空 間 充填率はクラスターサイズが大きくなるほど小さくなることを示している と考えられる。. 24.

(29) Fig. 2.16 Morphologies of alumina cluster.. 2.5.3. アルミナ系介在物の凝集に与えるスラグ系介在物の影響. アルミナ系介在物に与えるスラグ系介在物の影響を明確にするために、ス ラ グ 粒 子 を 考 慮 す る 場 合 と し な い 場 合 で 計 算 を 行 っ た 結 果 を Table 2.3 に 示 す 。ス ラ グ 粒 子 は 、微 細 な ア ル ミ ナ 系 介 在 物 に は 大 き な 影 響 は 及 ぼ さ な い が 、 50μ m 以 上 の ア ル ミ ナ 系 介 在 物 が 減 少 す る こ と が わ か っ た 。 こ の 結 果 は 、 凝 集 係 数 0 . 1 の 場 合 の 結 果 で あ り 、凝 集 係 数 を 0 . 2 7 に し た 場 合 は こ の 傾 向 は も っ と大きくなる. Table 2.3. Effect of the slag‑particles on the alumina‑inclusion(N/kg).. 〜10μm. 〜30μm. 〜50μm. 〜100μm. 〜200μm. non‑slag. 2.705E+09. 2.810E+05. 334.58. 2.99. 0.0491. slag. 2.689E+09. 2.732E+05. 324.22. 2.85. 0.0414. slag/non‑slag. 0.994. 0.973. 0.969. 0.953. 0.843. non‑slag : Calculation without slag‑particles slag : Calculation with slag‑particles slag/non‑slag : Ratio of slag to non‑slag. 25.

(30) 2.6. 結言. 新 し く 開 発 し た 2 種 粒 子 の 介 在 物 凝 集 モ デ ル を 用 い て 、ス ラ グ 巻 き 込 み を 考 慮 し た 介 在 物 挙 動 の 計 算 を 行 な い 、取 鍋 精 錬 終 了 時 の 溶 鋼 サ ン プ リ ン グ 結 果と対比・検討し、以下の知見を得た。 ( 1 ) 本 モ デ ル に よ り 、取 鍋 精 錬 後 の 溶 鋼 中 介 在 物 に つ き 、ア ル ミ ナ 系 お よ び ス. ラグ系介在物の両方について、その粒径分布を計算出来る。 (2)Ar 流 量 を 0.0293(Nl/(s・t))(水 準 1)か ら 0.0441(Nl/(s・t))(水 準 2)に 変. えた場合には、介在物凝集挙動そのものには大きな変化を与えないが、ス ラ グ 巻 き 込 み 量 に 変 化 を 与 え る 、す な わ ち 、A r 流 量 が 多 く な る と 巻 き 込 ま れるスラグ粒径が大きくなる。. 今後の課題として、以下の改良が必要である。 (1)ア ル ミ ナ ク ラ ス タ ー 体 積 補 正 の モ デ ル 内 へ の 取 り 込 み (2)ス ラ グ 系 + ア ル ミ ナ 系 、 ス ラ グ 系 ど う し の 衝 突 時 の 凝 集 係 数 の 変 更. 26.

(31) 参考文献 1) 山 田. 亘 、 沢 田 郁 夫 、 田 中 宏 幸 : CAMP‑ISIJ,9(1996),767.. 2) 村 井. 剛 、 松 野 秀 寿 、 高 橋 謙 治 、 櫻 井 栄 司 、 川 島 一 斗 士 : 学 振 製 鋼 第 19. 委 員 会 第 12 回 反 応 プ ロ セ ス 研 究 会 資 料 (1997.1.28). 3) Y.. Miki, Brian G. Thomas, A. Denissov and Y. Shimada :. Iron &. Steelmaker, Aug.(1997),31. 4) 清 瀬 明 人 、 沢 田 郁 夫 、 若 生 昌 光 : CAMP‑ISIJ,11(1998),197. 5) 沢 田 郁 夫 、 岸 田 豊 、 岡 澤 健 介 、 田 中 宏 幸 : 鉄 と 鋼 ,79(1993),160. 6) A. H. Castillejos and J. K. Brimacombe: Met. Trans.,18B(1987),659. 7) 谷 口 尚 司 、 菊 池. 淳 : 鉄 と 鋼 ,78(1992),p.527.. 8) K. Nakanishi and J. Szekely: Trans. Iron Inst. Jpn. ,15(1975),522. 9) A. G. Szekely: Met. Trans.,7B(1976),259. 10) K.Mukai: Testu‑to‑Hagane,71(1985),1435. 11) W.Yamada, I.Sawada and H.Tanaka: CMAP‑ISIJ,10(1997),109. 1 2 ) 梶 岡 博 幸 : 取 鍋 精 錬 法 ,日 本 鉄 鋼 協 会 監 修 , 地 人 書 館 ,東 京 , ( 1 9 9 7 ) , 1 0 8 .. 27.

(32) 3.スラグによる再酸化に関する研究 3.1. 緒言. 前 章 に お い て 二 次 精 錬 時 の 介 在 物 挙 動 に つ い て 検 討 し て き た が 、二 次 精 錬 で 介 在 物 を 浮 上 ・ 除 去 を 促 進 し た と し て も 、そ の 後 の 工 程 で の 汚 染 を 抑 性 す る こ と が 最 終 的 な 清 浄 性 を 確 保 す る た め に は 非 常 に 重 要 で あ る 。溶 鋼 を 汚 染 す る 要 因 とし て ,ス ラ グ ,空 気 ,耐 火 物 等 か らの 再 酸 化 や ,ス ラ グ お よ び 連 鋳 モ ー ル ド フ ラ ッ ク ス の 巻 き 込 み な ど が 挙 げ ら れ る 。ス ラ グ に よ る 溶 鋼 の 再 酸 化 に つ い て は ,二 次 精 練 に よ り 清 浄 度 を 向 上 さ せ た と し て も ,そ の 後 鋳 造 ま で の 間 に 溶 鋼 汚 染 の 原 因 と な る た め ,そ の 防 止 は 溶 鋼 清 浄 度 を 向 上 さ せ る た め の 重 要 な 因 子 で あ る 。そ の た め ,溶 鋼 の 再 酸 化 に 与 え る ス ラ グ 組 成( 特 に FeO や MnO な ど の 低 級 酸 化 物 濃 度 ) の 影 響 を 実 験 的 デル. 4),5). 1)〜 3). あるいは反応モ. を 用 い て 検 討 し て い る 事 例 は 多 い 。ま た ,ス ラ グ に よ る 溶 鋼 の 再 酸. 化 に 及 ぼ す 攪 拌 状 態 の 影 響 6 ) に つ い て の 検 討 も 見 ら れ る 。こ れ ら の 検 討 で は , 再 酸 化 反 応 を 1 次 反 応 と 見 な し ,A l 等 の 脱 酸 元 素 の 速 度 定 数 で 評 価 し て い る 場 合 が 多 い 。速 度 定 数 に は 反 応 界 面 積 の 項 が 含 ま れ て い る た め 、普 遍 的 な 指 標 と し て 活 用 す る た め に は 反 応 界 面 積 を 正 確 に 評 価 す る 必 要 が あ る 。し か し な が ら 、ラ ボ 実 験 を 含 め て 溶 鋼 の 攪 拌 を 行 っ て い る 場 合 に は ,反 応 界 面 積 を 正 確 に 評 価 す る こ と が 困 難 で あ る こ と か ら 、ラ ボ 実 験 結 果 を 実 機 プ ロ セ ス に 適 用 す る こ と は 容 易 で は な い 。ス ラ グ に よ る 溶 鋼 の 再 酸 化 に つ い て は 、二 次 精 練 が 終 了 し た 以 降 の 静 置 時 間 中 の 再 酸 化 挙 動 が 重 要 で あ る が 、攪 拌 条 件 下 で の ラ ボ 実 験 結 果 を 直 接 適 用 す る こ と は 困 難 で あ る 。ま た ,攪 拌 時 と 静 置 時 に お い て は 、同 一 の ス ラ グ 組 成 及 び 溶 鋼 組 成 の 条 件 に お い て も 、反 応 の 律 速 段階が異なる可能性が高い。 本 章 で は ,二 次 精 錬 が 終 了 し た 以 降 の 静 置 時 間 中 の ス ラ グ に よ る 溶 鋼 の 再 酸化挙動を明確にする目的で、静止浴の条件(反応界面積を固定した条件) で 再 酸 化 挙 動 を 検 討 し ,反 応 界 面 積 当 た り 単 位 時 間 当 た り の 酸 化 速 度 を 定 義 し て ,溶 鋼 の 再 酸 化 挙 動 に 与 え る ス ラ グ 組 成 や 脱 酸 元 素 種 及 び 濃 度 の 影 響 を 検討した結果について述べる。. 3.2. 実験方法. 溶 鋼 を 静 置 し た 条 件 下 で の ス ラ グ に よ る 再 酸 化 挙 動 を 再 現 す る た め に 、タ ンマン炉を用いてスラグ/溶鋼の反応実験を実施した。実験装置の概要を F i g . 3 . 1 に 示 す 。内 径 5 0 m m ,高 さ 1 8 0 m m の 電 融 マ グ ネ シ ア 坩 堝 で 電 解 鉄 1 5 0 0 g を 溶 解 し , 各 種 成 分 の 調 整 を 行 っ た 後 に , ス ラ グ 50g を 添 加 し た 。 目 視 で ス 28.

(33) ラ グ が 完 全 に 溶 融 し た と 確 認 し た 時 点 か ら 2、 5、 7、 10、 20、 30 分 後 に 、 ス ラ グ / 溶 鋼 界 面 よ り 2cm の 深 さ か ら シ リ カ 製 の ピ ン サ ン プ ラ ー を 用 い て 溶 鋼 を 採 取 し 化 学 分 析 を 行 っ た 。ま た 、実 験 後 に ス ラ グ を 採 取 し て 成 分 分 析 を 行 い ,溶 鋼 の 成 分 変 化 と あ わ せ て 各 時 点 で の ス ラ グ 成 分 の 変 化 を 推 定 し た 。な お , 実 験 中 は Ar ガ ス 5Nl/min を 炉 内 に 吹 き 込 み , 雰 囲 気 制 御 を 行 っ た 。 実 験 中 は 、 溶 鋼 温 度 を 1600±10℃ と し た 。. Al2O3 tube Carbon heater Sampler MgO crucible Slag Molten steel. Fig.. 3.1. Schematic diagram of experimental apparatus.. 実 験 に 用 い た 溶 鋼 組 成 を Table 3.1 に 、 ス ラ グ 組 成 を Table 3.2 に 示 す 。 Table 3.1 に 示 し た 溶 鋼 組 成 は 、 初 期 成 分 調 整 時 の 目 標 濃 度 で あ る 。 低 炭 鋼 を ベ ー ス に 脱 酸 元 素 と し て A l と T i を 使 用 し た 。ス ラ グ は あ ら か じ め 溶 解 し た も の を 粉 砕 し て 添 加 し て お り 、 Table 3.2 に 示 し た 組 成 は 配 合 上 の 狙 い の 組 成 で あ る 。 ス ラ グ に つ い て は 、 CaO‑Al2O3 系 を ベ ー ス に 酸 化 源 と し て FeO や MnO を 添 加 し た 。 な お 、 ス ラ グ に は 坩 堝 の 保 護 の た め 、 MgO も 添 加 し て い る 。ま ず 、取 り 扱 い を 簡 略 化 す る た め に 、溶 鋼 に つ い て は 炭 素 以 外 は 脱 酸 元 素 の み と し 、ス ラ グ に つ い て は 酸 化 源 と し て F e O と し た 水 準 の 実 験 を 行 っ た 。 29.

(34) 初期の脱酸元素濃度を. 0.15mass% と し 、 Ti 脱 酸 時 の. FeO=10mass% の 水 準. (HT‑2)を 除 い て ス ラ グ 中 の FeO を 全 て 還 元 で き る 条 件 と し た 。次 に 、実 プ ロ セ ス に お け る 溶 鋼 成 分 及 び ス ラ グ 組 成 に 近 い 水 準 で 実 験 を 行 っ た 。溶 鋼 に は Si 及 び Mn も 添 加 し 、ス ラ グ に は SiO2 及 び MnO も 添 加 し た 。こ れ ら の 条 件 で は 脱 酸 元 素 は 0.08mass%と し 、 ス ラ グ の 酸 化 源 は FeO と MnO と な る 。. Ta b l e 3 . 1. Chemical compositions of molten steel (mass%).. C. CH.NO.. Si. Mn. Al. Ti. Slag.NO. mass%. HA‑1 HA‑2 HT‑1 0.05. HT‑2. ‑. ‑. ‑. ‑. 0.15 0.15 ‑. MA‑1 0.01. MA‑2. 0.02. MT‑1. Ta b l e 3 . 2. A. ‑. B. 0.15. A. 0.15. B. 0.08. ‑. ‑. 0.08. C D C. Chemical compositions of slag (mass%).. NO. CaO. Al2O 3. SiO 2. MnO. MgO. FeO. FeO+MnO. A. 46.5. 46.5. ‑. ‑. 2. 5. 5. B. 44. 44. ‑. ‑. 2. 10. 10. C. 45. 35. 10. 2. 5. 3. 5. D. 40. 25. 12. 5. 8. 10. 15. 3.3. 実験結果. ま ず 、溶 鋼 成 分 及 び ス ラ グ 組 成 を 単 純 化 し た 水 準( 溶 鋼:T a b l e 3 . 1 の H A ‑ 1 , 2 、 HT‑1,2、 ス ラ グ : Table 3.2 の A,B) の 実 験 結 果 に つ い て 示 す 。 ス ラ グ 添 加 後 の 溶 鋼 中 の A l 濃 度 の 変 化 を F i g . 3 . 2 に 、T i 濃 度 の 変 化 を F i g . 3 . 3 に 示 す 。 Al 脱 酸 及 び Ti 脱 酸 と も 、 FeO 濃 度 が 高 く な る と 再 酸 化 速 度 が 速 く な る こ と が わ か る が 、T i 脱 酸 時 の F e O = 1 0 m a s s % の 水 準 に お い て の み 、ス ラ グ 溶 融 後 3 0 分 ま で 直 線 的 に Ti が 減 少 ( 1 次 反 応 的 な 挙 動 ) し て い る 。 次 に 、 平 衡 Al 濃 度 [mass%Al]e 及 び 平 衡 Ti 濃 度 [mass%Ti]e を 考 慮 し た 溶 鋼 中 の ( [mass%Al] − [ m a s s % A l ] e ) の 変 化 を F i g . 3 . 4 に 、( [ m a s s % T i ] − [ m a s s % T i ] e ) の 変 化 を Fig.3.5 に 示 す 。 平 衡 濃 度 は 、 ス ラ グ 中 の FeO を 全 て 還 元 し た と 仮 定 し た 場 合 の 濃 度 で あ り 、平 衡 T i 濃 度 [ m a s s % T i ] e は T i 2 O 3 が 生 成 す る と 仮 定 し て 算 出 30.

(35) 1 HA‑1 FeO=5mass%. [mass%Al]. HA‑2 FeO=10mass%. 0.1. 0.01 0 Fig.. 3.2. 10. 20 time(min). 30. 40. Concentration change in [mass%Al].. 1 HT‑1 FeO=5mass%. [mass%Ti]. HT‑2 FeO=10mass%. 0.1. 0.01 0 Fig.. 3.3. 10. 20 time(min). 30. Concentration change in [mass %Ti].. 31. 40.

(36) 1 HA‑1 FeO=5mass%. [mass%Al]‑[mass%Al]e. HA‑2 FeO=10mass%. 0.1. 0.01. 0.001 0 Fig.. 3.4. 10. 20 time(min). 30. 40. Concentration change in ([mass %Al]-[ mass %Al]e).. 1 HT‑1 FeO=5mass%. [mass%Ti]‑[mass%Ti]e. HT‑2 FeO=10mass%. 0.1. 0.01. 0.001 0 Fig.. 3.5. 10. 20 time(min). 30. 40. Concentration change in ([mass %Ti]-[ mass %Ti]e) .. 32.

(37) し た 。 Al 脱 酸 時 の FeO=5mass%の 水 準 (HA‑1)で の ば ら つ き は 大 き い も の の 、 脱 酸 元 素 が 同 じ で あ れ ば FeO 濃 度 に 関 係 な く ほ ぼ 一 定 の 傾 き を も っ て い る こ とがわかる。 次 に 、 実 プ ロ セ ス の 成 分 に 近 い 条 件 ( 溶 鋼 : Tale 3.1 の MA‑1,2,MT‑1、 ス ラ グ : Table 3.2 の C,D) で 実 施 し た 実 験 結 果 に つ い て 示 す 。 平 衡 Al 濃 度 [ m a s s % A l ] e を 考 慮 し た 溶 鋼 中 の( [ m a s s % A l ] − [ m a s s % A l ] e )の 変 化 を F i g . 3 . 6 に、 ( [ m a s s % T i ] − [ m a s s % T i ] e )の 変 化 を F i g . 3 . 7 に 示 す 。な お 、平 衡 濃 度 は 、 FeO と MnO を 全 て 還 元 し た 場 合 の 濃 度 と し た 。 初 期 濃 度 が 異 な る に も 関 わ ら ず 、A l 脱 酸 及 び T i 脱 酸 と も F e O + M n O 濃 度 が 5 m a s s % の 場 合 に は 、F e O 濃 度 が 5mass% の 場 合 と ほ ぼ 同 じ 直 線 上 を 推 移 す る こ と が わ か る 。 Al 脱 酸 時 の FeO+MnO 濃 度 が 15mass%の 場 合 に は 、 ス ラ グ 溶 融 後 7 分 前 後 に お い て 、 傾 き が 変 化 し て い る こ と が わ か る 。こ の 条 件 は 、ス ラ グ 中 の FeO+MnO 量 に 対 し て 溶 鋼 の A l 量 が 大 き く 不 足 す る 条 件 で あ り 、A l 以 外 に も S i の 酸 化 が 生 じ て い る。. 1 HA‑1 FeO=5mass% HA‑2 FeO=10mass% MA‑1 FeO+MnO=5mass%. [mass%Al]‑[mass%Al]e. 0.1. MA‑2 FeO+MnO=15mass%. 0.01. 0.001. 0.0001 0 Fig. 3. 6. 10. 20 time(min). 30. 40. Concentration change in ([mass %Al]-[ mass %Al]e).. 33.

(38) 1 HT‑1 FeO=5mass%. [mass%Ti]‑[mass%Ti]e. HT‑2 FeO=10mass% MT‑1 FeO+MnO=5mass%. 0.1. 0.01. 0.001 0 Fig.. 3.4. 3.7. 10. 20 time(min). 30. 40. Concentration change in ([mass %Ti]-[ mass %Ti]e) .. 考察. 3.4.1. 速度定数. ス ラ グ に よ る A l キ ル ド 溶 鋼 の 再 酸 化 反 応 は ,( 3 . 1 ) 式 に 示 す よ う な 1 次 反 応として扱われる場合が多い。 d[mass%Al]/ dt=− k( [mass%Al] − [mass%Al]e). ・ ・ ・ (3.1). k= kAl・ A/ V. ・ ・ ・ (3.2). [ m a s s % A l ]: 溶 鋼 中 の A l 濃 度 , [ m a s s % A l ] e : 平 衡 A l 濃 度 , k: 速 度 定 数 , kAl: Al の 物 質 移 動 係 数 , A: 反 応 界 面 積 , V: 溶 鋼 体 積 通 常 ,速 度 定 数 k は 反 応 界 面 積 及 び 溶 鋼 体 積 を 内 包 し た 形 と な っ て い る た め ,ラ ボ 実 験 結 果 を 実 プ ロ セ ス へ 応 用 す る た め に は 反 応 界 面 積 の 正 確 な 評 価 が 必 要 で あ る 。 ま た , (3.2)式 は 溶 鋼 中 Al の 物 質 移 動 律 速 の 場 合 で あ り 、 ス ラグ側の物質移動律速や溶鋼側及びスラグ側の物質移動の混合律速の場合 に は 異 な っ て く る 。 更 に , 過 去 に 行 わ れ て き た 検 討 に お い て は , (3.1)式 中 の 平 衡 Al 濃 度 を 無 視 し て 速 度 定 数 を 求 め て い る 場 合 が 多 い 。 そ こ で 、 平 衡 Al 濃 度 を 考 慮 し な い 場 合 と 考 慮 す る 場 合 に つ い て 速 度 定 数 を 求 め て 比 較 し た 。 速 度 定 数 は 、 ス ラ グ 溶 融 後 10 分 ま で の 濃 度 変 化 に 対 し て 求 め た 。平 衡 A l 濃 度 を 考 慮 し な い 場 合 の み か け の 速 度 定 数 k. とスラグ中. FeO+MnO 濃 度 と の 関 係 を Fig.3.8 に 、Al 濃 度 と の 関 係 を Fig.3.9 に 示 す 。な 34.

(39) お 、ス ラ グ 中 FeO+MnO 濃 度 は ス ラ グ 溶 融 後 2 分 の 時 点 で の 推 定 値 で あ り 、Al 濃 度 は ス ラ グ 溶 融 後 2 分 の 時 点 で の 実 績 値 で あ る 。 Fig.3.8 に 示 す よ う に 、 Al 濃 度 が 0.1mass%以 上 の 条 件 で は ス ラ グ 中 FeO+MnO 濃 度 の 増 加 と と も に 速 度 定 数 が 大 き く な り 、定 性 的 に は ス ラ グ 組 成 の 影 響 を 評 価 で き る 指 標 と な っ て い る 。 一 方 、 Fig.3.9 か ら も わ か る よ う に 、 Al 濃 度 が 変 化 す る と 速 度 定 数 は 変 化 す る 傾 向 が 見 ら れ 、 特 に FeO+MnO 濃 度 が 高 く Al 濃 度 が 低 く な る と 速 度 定 数 が 非 常 に 大 き く な る 。 そ の た め 、 平 衡 Al 濃 度 を 考 慮 し な い 速 度 定 数 を用いて実プロセスでのスラグによる再酸化挙動を定量的に検討すること は 注 意 が 必 要 で あ る 。 次 に 、 平 衡 Al 濃 度 を 考 慮 す る 場 合 の 速 度 定 数 k と ス ラ グ 中 FeO+MnO 濃 度 と の 関 係 を Fig.3.10 に 、 Al 濃 度 と の 関 係 を Fig.3.11 に 示 す 。 Fig.3.10 及 び Fig.3.11 に 示 す よ う に 、 Al 濃 度 が 0.03mass%以 上 の 条 件 で は ス ラ グ 中 FeO+MnO 濃 度 に 関 係 な く ほ ぼ 一 定 の 速 度 定 数 に な る こ と が わかる。. 0.25 Al>0.1mass% Al>0.03mass%. 0.2. k' (1/min). Al<0.03mass%. 0.15 0.1 0.05 0 0. 5. 10. 15. FeO+MnO (mass%) Fig.. 3.8. Relationship between rate constant k’ and (FeO+MnO).. 35.

(40) 0.25 FeO+MnO>9mass%. 0.2. FeO+MnO<6.5mass%. k' (1/min). 0.15 0.1 0.05 0 0. 0.05. 0.1. 0.15. 0.2. [mass%Al] Fig.. 3.9. Relationship between rate constant k’ and [mass %Al].. 0.25 Al>0.1mass% Al>0.03mass%. 0.2. k (1/min). Al<0.03mass%. 0.15 0.1 0.05 0 0. 5. 10. 15. FeO+MnO (mass%) Fig.. 3.10. Relationship between rate constant k considering the equilibrium Al content and (FeO+MnO) concentration in slag.. 36.

(41) 0.25 FeO+MnO>9mass%. k (1/min). 0.2. FeO+MnO<6.5mass%. 0.15 0.1 0.05 0 0. 0.05. 0.1. 0.15. 0.2. [mass%Al] Fig.. 3 . 11. Relationship between rate constant k1 considering the equilibrium Al content and [mass%Al].. 3.4.2. 酸素移動速度. 実 際 の 再 酸 化 挙 動 は ,溶 鋼 側 の 脱 酸 元 素 の 物 質 移 動 が 律 速 す る 場 合 と ス ラ グ 側 の 物 質 移 動 が 律 速 す る 場 合 が あ る の で ,両 者 の ケ ー ス を 含 め て 評 価 を 可 能とするために,以下に示すような酸素移動速度を定義した。 Uo=Δ Wo/ (t・A). ・ ・ ・ (3.3). U o : 酸 素 移 動 速 度 ( g / m 2 / m i n ), Δ W o : 各 脱 酸 元 素 の 酸 化 量 か ら 求 め た 酸 素 量 (g), A: ス ラ グ / 溶 鋼 界 面 積 (m2), t: 時 間 (min) こ れ は ,ス ラ グ か ら 溶 鋼 に 移 動 し て 実 際 に 再 酸 化 に 使 わ れ た 酸 素 量 を ,ス ラ グ / 溶 鋼 の 単 位 界 面 積 当 た り 及 び 単 位 時 間 当 た り で 表 し た も の で あ る 。本 実 験 で は ,比 較 的 静 止 浴 に 近 い た め ,坩 堝 断 面 積 を ス ラ グ / 溶 鋼 界 面 積 と し て 用 い た 。本 来 は ,溶 鋼 流 動 や 溶 鋼 中 の 拡 散 な ど を 考 慮 し て 解 析 す べ き と こ ろであるが,今回は溶鋼中の濃度は均一であると仮定した。 実 際 の 解 析 手 順 と し て は ,平 衡 濃 度 を 考 慮 し た 速 度 定 数 か ら 脱 酸 元 素 の 減 少 速 度 (g/min)を 求 め , 酸 素 量 に 換 算 し た も の を 坩 堝 断 面 積 で 割 っ た 値 を 酸 素 移 動 速 度 と し た 。ま た ,各 時 点 で の ス ラ グ 成 分 は ,脱 酸 元 素 の 酸 化 で 消 費 さ れ た 酸 素 量 を 全 て FeO 量 の 減 少 量 に 換 算 し て 推 定 し た 。 再 酸 化 に 使 わ れ た 酸 素 量 を 表 し た 酸 素 移 動 速 度 は ,溶 鋼 中 A l の 物 質 移 動 律 37.

(42) 速 の 場 合 に は ,ス ラ グ 組 成 に 関 係 な く 溶 鋼 中 A l の 物 質 移 動 係 数 及 び A l 濃 度 に 対 応 し た 値 と な る 。一 方 、律 速 段 階 が ス ラ グ 側 の 物 質 移 動 で あ る 場 合 に は , 酸 素 移 動 速 度 は , 溶 鋼 中 の Al 濃 度 に 関 係 な く ス ラ グ 側 の 物 質 移 動 係 数 及 び ス ラ グ 組 成 (特 に FeO+MnO 濃 度 )に 対 応 し た 値 と な る 。す な わ ち ,溶 鋼 中 で の 物 質 移 動 律 速 の 場 合 に は , 酸 素 移 動 速 度 は Al 濃 度 に 比 例 し , ス ラ グ 側 の 物 質移動律速の場合には,スラグ組成により変化する。 初 期 FeO+MnO 濃 度 が 15mass%で ス ラ グ 溶 融 後 2 分 の Al 濃 度 が 0.04mass% 未 満 の 水 準 ( M A ‑ 2 ) に つ い て は 、ス ラ グ 溶 融 後 2 分 か ら 7 分 ま で と 7 分 か ら 1 0 分 ま で の 速 度 定 数 を 算 出 し , そ れ 以 外 の 水 準 で は ス ラ グ 溶 融 後 2 分 か ら 20 分 ま で 一 定 の 速 度 定 数 と し て 酸 素 移 動 速 度 を 求 め た 。A l 脱 酸 の 場 合 の 酸 素 移 動 速 度 と 推 定 FeO+MnO 濃 度 と の 関 係 を Fig.3.12 に 示 す 。. Uo (g/m2/min). 50 45. Al=0.005mass%. 40. Al=0.01mass%. 35. Al=0.02mass% Al=0.03mass%. 30. Al>0.05mass%. 25 20. MA‑2. 15 10 5 0 0. 5. 10. 15. FeO+MnO (mass%) Fig. 3.12. Relationship between re-oxidation rate Uo and (FeO+MnO) concentration in slag(De-oxidation element: Al).. ま た ,酸 素 移 動 速 度 と A l 濃 度 の 関 係 を F i g . 3 . 1 3 に 示 す 。F i g . 3 . 1 2 に 示 す よ う に 、今 回 の ス ラ グ 組 成 の 範 囲 内 で は A l 濃 度 が 0 . 0 5 m a s s % 以 上 に お い て 酸 素 移 動 速 度 は F e O + M n O 濃 度 に ほ ぼ 比 例 し て い る た め 、ス ラ グ 側 の 物 質 移 動 律 速 に な っ て い る と 考 え ら れ る 。 こ れ は 、 Fig.3.13 に お い て , FeO+MnO 濃 度 が 一 定 で あ れ ば Al 濃 度 が 変 化 し て も ほ ぼ 一 定 の 酸 素 移 動 速 度 に な っ て い る こ と に 対 応 す る 。F i g . 3 . 1 3 の 実 線 で 囲 ん だ 点 が 同 一 水 準 の 実 験 中 の 変 化 を 示 し 38.

参照

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