く 論 文)
外国投資の経済性計算
(1)旗 本 智 之
日 第
1章 外国投資の意思決定の特徴
第
1節 は じめに 第
2節 外 国投資の動銭
第
3節 外 国投資の意思決定 の困難性 第 4節 本論文 の構成
第
2章 外国投資 の意思決定 に適切 な キ ャ ッシ ュ ・フ ロー概 念 (そ の 1)
一子 会社 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー と 親 会社 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー 第
1節 は じめに
第
2節 計 算例 第
3節 ま とめ
第
3章 外国投資の意思決定 に適切 な キ ャ ッシ ュ ・フ ロー概 念 (そ の
2):二 つ の親会 社 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー 第
1節 は じめに
第
2節 法人税
衣
第
3節 計算例
Ⅰ第
4節 計算例 Ⅰ Ⅰ ( 以上本号掲載) 第
5節 計算
例Ⅰ Ⅰ Ⅰ( 以下次号掲載予定) 第
6節 まとめ
第
4章 外国投資の意思決定 に適切 な資 本 コス ト
第
1節 はじめに
第
2節 為替 レー トとイン フ レーシ ョ ンの割引率 に対す る影響 第
3節 まとめ
第
5章 為 替 レー トとイ ン フ レーシ ョン 第 1節 は じめに
第
2節 購買力平価説
第
3節 為替変 動 リス ク とシ ミュレー シ ョン分析
第
4節 まとめ 第
6章 結語
第 1章 外国投資の意思決定の特徴
第 1節 はじめに
外 国投資 の意思決定 とは,親会社 の存在す る国以外 の国 に,新た に子会社 を設立 して企業
‑ 57‑
「 外国投資の経済性計算」 ( 柴本)
活動を行 うべ きかか否かの意思決定のことであると )親会社の存在す る国を本国 といい,子会 社 の設立 される国を現地国 と呼ぶ。本論文では,現地国子会社 は親会社が
100%出資 して設立 す るもの とす る。
第
2節 外国投資の進出動機
外国投資の意思決定が どの ような要因か ら行われ るかを,わが国の通産省のアンケー ト調 査を検討 した田近教授 と油井教授
2)によると,わが国の企業の「 進 出動磯 として,現地への販 路の拡大が もっとも大 きいのはすべての地域(アメ リカ, アセアン
,ECの こと‑筆者挿入) に共通 しているが,その次に回答の多かった項 目は,地域 によって大 き く異 なる。アメ リカ,
EC
では情報収集や貿易摩擦‑の対応 をあげるのに対 し, アセアン‑の進 出企業 は豊富 な労 働力の利用や現地政府の進出優遇策 をあげている。 また
EC, アセアンでは,進出先以外へ 輸出す るための生産拠点 として進 出 している企業 も多 く, アセアンではさらに 日本への生産 物の逆輸入を進出動機 にあげる企業 も多い 。 」 [ 田近 ‑油井
,1993,p.26]。
こうい った様 々な要田か ら外国投資の意思決定が行われ るのである。 これ らの要因をすべ て経済性計算に反映 させ ること自体 も非常 に困難 ことであろ う。 なかには反映 させ得 ない要 因 もあろ う。その意味で も,外国投資 の意思決定 は困難 なのである。
第
3節 外国投資の経済性計算の困難性
ところが,外国投資の経済性計算 自体 も,国内の投資 に比べて次のような複雑 な問題 を引 き起 こすのである。
①
プ ロジ ェク トのキャッシュ ・フローは,親会社 の立場か らみたキャッシ ュ ・フローと 子会社 の立場か らみたキ ャッシュ ・フローお よび企業集団の立場か らみたキ ャッシュ ・
フローとでは異 なる。
②
本国 と現地国の税制度の相違,現地国の送金 の制約,現地国の慣習,そ して本国 と現 地国の資本市場制度の相違 のために,親会社 と子会社の資本構成 は異 なる。
③
現地国 と本国 とでインフレ率が相違 している場合が多い。
⑥ 為替 レー トを予測 しなければならない。
⑤
収用や資金封鎖 とい った リスクがある。
⑥
現地国が特 に低利 の利子率での貸付を提供す ることがある. これはプロジェク ト特定 貸付制度 と呼ばれ る。
⑦
現地国,本国,そ して第三国の潜在的購入者 にとって, プロジ ェク トの市場価値が異
なる可能性があるため,残存価額 は評価 しに くい
喜)札幌学院大学商経論集 第 11巻第
1号 ( 通巻
66号)
第
4節 本論文の構成
そ こで,本論文 で は,外 国投資 の経済性計 算 に焦点 を当て,適切 なキ ャ ッシ ュ ・フ ロー概 忠,資本 コス ト,為替 レー トや インフレーシ ョンの問題 を論 じる。
本章 のま とめ の代わ りとして,本論文 の構 成 を掲 げ る ことにす る。本章 に続 く第
2章 で は, 国際財務管理 のテキス トのなかで外 国投資 の意思決定 で取 り上 げ られ てい る問題点,つ ま り 親会社 と子会社 のキ ャ ッシ ュ ・フ ローの対立 とい う問題 を検討す る上 で理 解すべ き親会社 の
キ ャ ッシ ュ・フ ローの計算法 につ いて
,Eitemanらのテキス トと
Shapiroのテキス トを比較 検討す る。
第
3章 で は,子会社 のキ ャ ッシ ュ ・フ ロー と対立す る親会社 のキ ャ ッシ ュ ・フローには, 個別企業 としての親会社 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー と企業 集団 としての親会社 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー があ ることを筆者 オ リジナルの設例 に よって明 らか にす る。
第
4章 で は, キ ャ ッシ ュ ・フ ローを割 り引 くため の割引率 ( 資本 コス ト) の問題 を,特 に 為替 レー トとインフレ率 に関わ らせ て把握す る ことの重要性 を指摘す る。
第
5章 で は,為替 レー トの予測技法 を説 明 した後,為替 レー ト予測 に際 しての異 な る仮定 の下 での シ ミュレーシ ョンを行 う。
最終章 であ る第
6章 で は, 第
1章 か ら第
5章 まで の内容 を要約 し, ま とめ る。
第
2章 外国投資の意思決定に適切なキャッシュ ・フロー概念 ( その
1):子会社キャッシュ ・フロー と親会社キャッシュ ・フロー
第 1節 は じめ に
外 国投資 の意思決定 と言 え ども, 適切 なキ ャ ッシ ュ ・フ ローを予測 し,適切 な資本 コス ト で割 り引 くとい う計算 ( 正味現在価値法) を行 うとい う点で は,他 の意 思決定 となん ら変わ
りはない。 しか し,前章 で述べた よ うに,外 国投資 の場 合,多種多様 な困難性 があ る。 そ こ で, まず本章 で は, 国際財務 管理 の文 献 で述 べ られ てい る,外 国投 資 の意 思決 定 に適 切 な キ ャ ッシ ュ ・フ ローを整理す る。
第
2節 計算例
本節 で は,具体的 な計算例
4)に よって,国際財務管理 の文献 で論 じられてい る外 国投資 の意 思決定 の計 算方法 を明 らか にす る。 ただ し, ここで使 う計算例 はす で に拙稿 [ 境木
,1993,
pp.94‑111]で紹介 した ので,詳 しい計算 プ ロセ スは省略 させ ていただ く。
A
計算条件
米国系 多国籍企業 の
MultinationlElectricalCorporation (MEC‑USA)は,以前 は フラ ンスに冷凍庫 を輸 出 していたが
,ECの外部障壁や原油価格高騰 に よる輸送費 の上昇 に よっ
‑ 59‑
「 外国投資の経済性計算」( 鹿本)
て,輸出が価格優位でな くなったため,フランスに冷凍庫の製造工場
(MEC‑France)を設 立 しようとしている。フランス工場 はフランス市場 のみならず
,EC諸国にも供給す ることに なる。
( 1 ) 初期投資
既存の冷蔵庫製造工場 を
FF3,000万で取得 して,冷凍庫工場 に改装す る。この資金の半分 は, フランス開発銀行 か ら融資 され,残 りの半分 は
MEC‑USAが現金 で提供す る。 また
FF1,000万 の設備が,操業開始時に必要であ り, この うち半分 は
MEC‑USAの別 の工場か ら輸入 し,残 りの半分 はフランスで購入す る。輸入設備 の残存簿価 はゼ ロであるが
,$100万
(FF500万)の市場価額で譲渡 され る。ただ し
30%のキャピタル・ゲイン税が米国によって 課 され る。
MEC‑USA
は部品や原材料 の形で,運転資本を提供 し,その金額 は
$100万であ り,その うち
30%は
MEC‑USAの税引前貢献利益
5)である。将来提供 され る部品及 び原材料 も同率 の税引前貢献利益 を含む。その他 の運転資本 は現地 の銀行か ら借 り入れ,その金額 は
FF500万である。
(2)
売上高
フランスの第
1年度 の販売個数
6)は
20,000単位で年率
5%増加す る。第
1年度の フラン建 ての価格 は
FF2,000で年率
10%で上昇す る
。EC諸国への第
1年度の販売数量 は
20,000単 位で年率
8%増加 し
,EC統合通貨で表 され る価格 は,年率
5%で上昇す る
。EC統合通貨 に 対す るフランの年
5%の減価 の結果
,EC諸国への販売のフラン建て価格 は約
10%上昇す る。
(3)
製造原価 と販売費お よび一般管理費
MEC‑France
は使用す る原材料 の
20%を
MEC‑USAか ら市場価格 (ドル建 て)で輸入 し, その他の投入要素 はすべて フランスで調達す る。現地調達 の材料費,部品費お よび労務費の 第
1年度 における販売数量当た り価格 は
FFl,000で年率
10%上昇す る。輸入材料お よび部 品の第
1年度 における ドル建て価格 は $
50で,次年度以降米国の期待 インフレ率
5%に応 じ て上昇す る
.MEC‑USAに支払 うライセンス ・フィー
7)は売上高の
5%である。販売費及 び 一般管理費は,第
1年度では約
FF500万であ り,年率
5%で増加す る.工場及 び装備 は,残 存価額ゼ ロ,耐用年数
5年,定額法で減価償却 され る。
( 4 ) 税金
MEC‑France
はフランスにおいて純利益 の
50%を法人税 として支払 う。フランスでは,国 外居住者 に支払われ る配当金 に対 して
, 5%の源泉徴収税 を支払わ なければな らない。 ライ セ ンス ・フィーは
MEC‑USAに送金 され るときに
5%の源泉徴収税 が課 せ られ る
。MEC‑USA
が支払 う法人税 の実効税率 は,連邦税
46%,州税
4%なので
,48%となる ( 州税 は連
邦税計算上,損金算入が可能)。 またキ ャピタル ・ゲインの税率 は
30%である。
札幌 学 院 大 学 毎 経 論 集 第 11巻 第 1号 ( 通巻
66号 / l
(5)
プ ロシ ェク ト特定貸付制 度
失業者対策 として, フランス開発銀行 〔 FDB)は工場 の取得原価 の半分 を利子率
6%,近 済期間
5年,均 等払 いで貸 し出す
。MEC‑FrallCeは この プ ロシ ェク ト特定貸付制度 を利用す るが, 同様 の長期負債 を米国で借 り入れれ ぼ その利子率 は
10%となるo フランス ・フラン は ドルに対 して年
3%その価値 を減少す るので, フランス ・フランの
6%の利子率 での借 入 れ は
,MEC‑USAに とって
3%の利子率 に相 当す る。したが って
7%の利子補給 を受 け る こ とにな る。 この借 入金 に対す る支払利息 は, フランスで は課税計 算上損金 算入で きないが, 米 国で は損金算入で きる
。(6)
運転資本
MEC‑France
の所要運転資本 は,総収益 の年 率
20%と予測 され,支払債務 は総収益 の
10%であ り,正味運転資本 は総収益 の
10%であ る。運転資本 の追加額 は,親会社 か らの ものを除
くと, フランスの銀行 の貸付 に よって供給 され る。
( 7) 残存価額
MEC‑France
は第
5年 度末 に フランスの投資家 に売却 され る と仮定す る。そ して,第
5年 度のキ ャ ッシ ュ ・フ ローが さ らに
10年 同 じ水準 で続 き, その
10年 分 のキ ャ ッシ ュ 。フ ロー を
15%の現地利益 率
8)で割 引 いた金額 が第
5年 度 末 の残存 価 額 に等 しい と仮定 す る。 た だ
し, この うち
30%はキ ャピタ
ル。ゲイン税 として支払わ なけれ ばな らない。
( 8) 為替 レー ト
フランス 。フランは, ドルに対 して年
3%その価値 を減少 し,第
1年 度期首 の為替相場 は
FF 5‑$1であ り
,EC統合通貨 に対 しては年
5%減価 し,第
1年度末 の為替相場 は
EC統 合通貨 当 りFF 2であ る。
( 9) 資本 コス ト
MEC‑USA
の観 点 か らの評 価 を行 う際 の資 本 コス トは税 引後
14%で あ り, また
MEC‑FrallCe
の観点 での資本 コス トは税 引後
15%であ る。
( 1 0 )
MEC‑Franceの利益処分方針
MEC‑France
の純利益 の
80%が配 当 として
MEC‑USAに支払われ,残 りは
,15%.の内部 利益率 で再投資 され る。
( l l ) その他
当分資金封鎖 の危険性 はな く
,MECIFranceのネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ。フ p‑は 自由に
MEC‑USA
に送金で きる。同 じタイムスケールで代替的投資機会 を比較 す るため に
,MEC‑USAは資本予算分析 において
5年 の経済命数 を用 い る。失わ れた冷凍庫 の年 間輸 出高 は
S200万 で,貢献利益率 は
30%であ る3 )
‑ 61‑
「 外国投資の経済性計算」( 東本)
B‑ 1
子 会 社 の観 点 か らの経 済 性 計 算
MEC‑France
の観 点 か らす る と, キ ャ ッシ ュ ・イ ソ フ ロ ー は
,(1)EC諸 国 ‑ の輸 出 と フ ラ ン ス 国 内 で の販 売 か ら獲 得 す る純 営 業 利 益
,(2)減 価 償 却 に 関 す る タ ック ス ・シ ー ル ド
, (3)運 転 資 本 の 回 収 とキ ャ ピ タル ・ゲ イ ン税 引 後 の残 存 価 額 で あ る。 キ ャ ッシ ュ ・ア ウ トフ ロー は
(1)
工 場 , 設 備 , 運 転 資 本 の初 期 投 資 額
,(2)純 営 業 利 益 に対 す る法 人 税
,(3)所 要 運 転 資 本 追 加 額 で あ る。
MEC‑France
の 損 益 計 算 書 は次 の表 の よ うに な る。
表2.2.1 MEC‑France
の予定損益計算書
1
年度
2年度
3年度
4年度
5年度 1. フランスの売上高 :
2.
販売個数
3.販売単価
4.売上高
5.EC
諸国の売上高 :
6.販売個数
7.
販売単価
8.為替 レー ト1 )
9.販売単価
10.売上高
ll.総売上高 :
12.総販売個数
13.総売上高
14.現地調達の材料 ・
部品 ・労務費
2) 15.輸入材料 ・部品費
3) 16.為替 レー ト
4) 17.輸入材料 ・部品費
18.総材料 ・部品 ・労務費
19.ライセンス ・フィー
20.販売 ・一般管理費
21 .減価償却費
22.
総原価
(ll+14+15+16) 23.税引前利益
(1‑2) 24.法人税
(23×0.5) 25.純利益
(23‑24)20,000 21,000 22,050 23,153 24,310 2,000 2,200 2,420 2,662 2,928 40.0 46.2 53.4 61.6 71.2 20,000 21,600 23,328 25,194 27,210
1,000 1,050 1,103 1,158 1,216 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2,000 2,205 2,427 2,663 2,918
40.0 47.6 56.6 67.1 79.4 40,000 42,600 45,378 48,347 51,520
80.0 93.8 110.0 128.7 150.6 40.0 46.9 54.9 64.3 75.4
2316485104211357276846881913111
997547480984425596589844179211
0053325502CO4425385587211168211
7322657305376251845867881571
0000000000055250045873661561
単位 :
3と
9は
FF、7古土EC統合通貨
、15は S百万
、4、10、11、13、14、17か ら
25までは
FF百万。注 1 ) 対
EC統合通貨 レー ト
。2)第
1年度の単価 は
FFl,000であ り、第
2年度以降はそれぞ れ
FF1,100、FFl,210、FFl,331、FF1,464である
。3)第
1年度の ドル建て単価 は
$50であ り、
第
2年度以降はそれぞれ
$52.5,$55.1、$57.9、$60.8である
。4)対 ドル レー ト。
札幌学院大学商経論集 第 11巻第
1号 ( 通巻
66号)
表
2.2.1には
,MEC‑USAへ の配 当金 とライセ ンス ・フ ィーに関わ る源泉徴収分 は計上 され てい ない。なぜ な ら,源泉徴収 は
MEC‑USAが
MEC‑Franceか ら資金 を送金 させ るた め に用 い る方法 か ら生 じてい るか らであ る と o )
MEC‑France
の純運転資本 の追加額 につ いての計算 プ ロセ スは, [ 旗 本
,1993] も し くは
[Eiteman and Stonehi l
l,1982] を参照 されたい。
表
2.2.2はプ ロジ ェク トが
15%の割引率 で
FF6,050万 の正 の正味現在価値 を もた らす ことを表 してい る。
表
22.2MEC‑Fr ance の観点からの経済性計算( 単位 : FF 百万)
0
1 2 3 4 5 5T1.キャッシュ.イソフロ‑二
2.
純利益
6.5 8.6 11.4 14.4 18.1 3.減価償却費
8.0 8.0 8.0 8.0 8.04.
運転資本 の回収
15.15.
残存価額
120.06.7.
キャッシュ.イソフロ‑合計 キャッシュ.アウトフロー:
8.
初期投資額
40.0.00 14.5 16.6 19.4 22.4 26.1 135.1 9.運転資本追加額
10.0 (2.0) 1.4 1.6 1.9 2.210.
キャピタル .ゲイン税
36.0l
l .アウトフロー合計
50.0 (2.0) 1.4 1.6 1.9 2.2 36.0 12.ネット.キャッシュ ・イソフロー
(50.0) 16,5 15.2 17.8 20.5 23.9 99.1 13.現在価値
(50.0) 14.4 11.5 11.7 11.7 11.9 49.3B‑2 親会社 の観点か らの経済性計算
親会社 の観点 か らのキ ャ ッシ ュ・インフ ローには
,(1)MEC‑Franceのネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ・
インフ ロー
,(2)EC諸 国‑ の輸 出か ら得 られ る貢献利益
,(3)MEC‑USAが受 け取 る ライセ ン ス ・フィー
,(4)フランス開発銀行か らの利子補給 があ る。一方,親会社 の観点 か らのキ ャ ッ シ ュ ・ア ウ トフローには
,(1)MEC‑France‑ の設備売却 に関わ るキ ャピタル ・ゲイン税 と,
(2)MEC‑Franceか らの配 当金 に伴 う源泉 徴収税 お よび米 国法人税 と
(3)ライセ ンス ・フ ィー
の送金 に伴 う源泉徴収税 お よび米国法人税 があ る
。MEC‑Franceのネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ ・イ ソフロー以外 の項 目につ いての計算 プ ロセ スは,[ 唐本
,1993]もし くは
[EitemanandStone‑ hil
l,1982] を参照 されたい。
親会社 の観点か らキ ャ ッシ ュ ・フ ローを測定す る際 に重要 な ことは,資金 を国外 に送金 で きる場合 は, その全部 を親会社 のキ ャ ッシ ュ ・イソフロー として考 えなけれ ばな らない こと であ る。資金 の送金方法 は現地 国 と本 国へ の税金 の計算 に影響 を及 ぼす ことに注意 を要す る。
‑ 63‑
「 外国投資の経済性計算」( 旗本)
表 2. 2. 3 では MEC‑ US A の観点か らのプロジ ェク トの利益率が示 され るo
表2.2.3 MEC‑USAの観点か らみた経済性計算
0
1 2 3 4 5 5T1. キ ャッシ ュ ・イソフロー ( 単位
:FF100万)
2.MEC‑Franceの
キ ャッシ′ ユ ・イソフロー
3.ライセ ンス ・フイ
4.仏源泉徴収税
5.
キ ャッシ ュ ・イソフp‑
6.
対 ドル ・フラン ・レー ト
7.キ ャッシ ュ ・イソフロー
( 単位
:$100万):
8.MEC‑France
の キ ャッシ ュ ・イソフロー
9.ECへの輸 出の純貢献利益
10.FDBか らの利子補給
ll.インフロー合計
12.
キ ャッシ ュ ・ア ウ トフロー
13.設備売却 の
キ ャピタル ・ゲイン税
14.送金利益 の法人税
15.ア ウ トフロー合計
16.ネ ッ ト・キ ャッシ ュ ・
イソフロー
17.正味現在価値:
18.
現在価値
19.累積正味現在価値
20.内部利益率
≒46%1FJ150500640051(2Eiii11■nHt00000555∫̲\/.\
(10.0) 4.0 0.2 0.0 0.1 (9.8) 4.1
日日99
932
502
87日H
251 16959
ヽ1
51
3671
05(3ヽ一49056065(2ヽ‑.58535025(2tFJ1754240957トへ 7777ll.4.2一.6505
.7.1一.8404
21144004
71193003
0.3
0.2 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 0.3 0.3 0.3 (10.
1 )
3.9 3,6 4.1 4.5(10.
1 )
3.4 2.8 2.8 2.7 (10.1
) (6.7) (3.9) (1
.1 )
1.60.3 0.3 5.3 17,7
2.8 9.2 4.4 13.6
以上の分析 によ り,当該 プロジ ェク トは子会社の観点か らも親会社 の観点か らも正 の正味 現在価値 を持つので,採用すべ きであると考 える。
第
3節 まとめ
前節では
,Eitemanらのテキス トにある計算例をみたが,彼 らは,子会社 のキャッシュ・
フローとして, キ ャッシュ ・イソフローには,
( 1 ) EC 諸国への輸出 とフランス国内での販売か ら獲得す る営業利益
( 2 ) 減価償却 に関す るタ ックス ・シール ド
(3)
運転資本の回収 とキ ャピタル・ゲイン税引後 の残存価額があるとしている。キャッシュ・
アウ トフローに は
(1)
工場,設備,運転資本の初期投資額
札幌学院大学商経論集 第 11巻第 1号 ( 通巻
66号)
(2)
営業利益 に対す る法 人税 ( 3) 所要運転資本追加額 があ る としてい る。
そ して,親会社 の観点か らのキ ャ ッシ ュ 。イソ フローには, (
1)
MEC‑Franceのネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ ・インフ ロー
(2)EC諸 国‑ の輸 出か ら得 られ る貢献利益
(3)MEC‑USA
が受 け取 る ライセ ンス ・フ ィー ( 4) フランス開発銀行か らの利子補給
があ る としてい る。
一方, キ ャ ッシ ュ ・ア ウ トフ ローには,
(
1)
MEC‑Franceへ の設備売却 に関わ るキ ャピタル ・ゲイン税
(2)MEC‑Franceか らの配 当金 に伴 う源泉徴収税 お よび米 国法人税 ( 3) ライセ ンス ・フ ィーの送金 に伴 う源泉徴収税 お よび米国法人税 があ る としてい る。
Eiteman
らのキ ャ ッシ ュ ・フロー との特徴 として,子会社 か ら親会社‑ 自由に送金 で きる 場合 には,子会社 のネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ ・イソフ ローは親会社 のキ ャ ッシ ュ ・イソ フ ロー と してい る点 があげ られ る。 ここで,子会社か ら親会社へ 自由に送金 で きる場 合 とは,具体的 には,現地 国で為替規制 が ない場合 を指す。 ただ し,子会社 のネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ ・イソフ ローが親会社 のネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ ・イソフロー と同 じで はない。親会社 は,子会社 か らラ イセ ンス ・フ イを受 け取 り, また,税金 を支払 うか らであ る。
また,子会社 のネ ッ ト・キ ャ ッシ ュ ・イソフ ローを親会社 のキ ャ ッシ ュ ・インフ ロー とす る事 は,子会社 の初期投資額 を親会社 の初期投資額 とす ることになる( 表
2.2,2と表
2.2.3を 参照せれたい) 。 しか し,親会社 が 0年 度末 に提供 した の は
,FFl,500万 ($
300万)の現金 と
FF500万 (
$100万)の設備 お よび
FF500万 (
$100万)の部 品 な どの合計
FF2,500万
($500万)であ る。一方,子会社 の初期投資額 は
FF5,000万 ($
1,000万)であ る。 また, 子会社 の運転資本追加投資額 も親会社 のキ ャ ッシ ュ ・イソ フ ロー とな る。
これ に対 して
,Shapiroはテキス トの中で設例 を設 けて,親会社 のキ ャ ッシ ュ・フ ローを, ( 1 ) キ ャ ッシ ュ ・イソフ ロー
①借入返済額 ( 診配 当金
③諸受取手数料
(2)
キ ャ ッシ ュ ・ア ウ トフ ロー
① 工場取得原価
‑ 65‑
「 外国投資の経済性計算
」(旗本)②設備
a
親会社か ら提供 された設備
b現地国で購入 した設備
③運転資本
とい う項 目で計算 してい る
[Shapiro,1992,pp.452‑467] 去1)まず,借入返済額であるが, これは親会社借入返済額 と銀行借入返済額 に分かれ る。親会 社借入金 の元金返済額を親会社 のキャッシュ ・フローに含めている一方で,その利息支払額 を親会社 のキャッシュ・フローには含めていない。それは
,「IDC‑U.K.( 子会社 の こと :筆 者注)のキャッシュ ・フローの減少 と
IDC‑U.S.( 親会社の こと :筆者注)のキ ャッシュ ・
フローの増加 を同時にもた らすか らである
」[Shapiro,1992,p.462]と述べている。しか し, 子会社 にとって親会社か らであれ,銀行か らであれ,借入を行 っても,その返済額や利息支 払額 は子会社 のキ ャッシュ ・フローには無関連である。子会社 の投資 に対す る,子会社の資 金調達の問題であるか らである。 また,親会社が子会社 に資金 を提供 しても,それは親会社 の投資であ り,貸付金 の返済額や利息受取額 は投資か ら得 られ るキャッシュ ・フローモある か ら,貸付金 の返済受取額だけではな く利息受取額 も親会社 のキャッシュ ・フローとして計 上 しなければならないはずである。
さらに
,Shapiroは子会社が調達 した銀行借入の返済額を親会社 のキャッシュ・イソフロー として計上 してい る。その理 由として
,「これ らは,親会社の額面上 の連結負債 の負担を減少 させ,その分親会社の株式の価値 を増加 させ るため
」[Shapiro,1992,p.462]と述べている。
彼のキ ャッシュ ・アウ トフロー項 目は,すべて初期投資額である。 このなかで親会社が提 供 した設備 は,本国での税金が関係す るので,子会社の初期投資額 とは一致 しないが, これ 以外の項 目については初期投資額 と一致す る。つ ま り
,Shapiroは親会社 の初期投資額 につい ては
Eitemanらと同 じ計算をしているのである。
また
,Shapiroの設例では,子会社が運転資本を初期投資以外 にも,追加投資 して,子会社 のキャッシュ ・フローに計上 している。 しか し,子会社 の運転資本追加額を親会社 のキ ャッ シュ ・フローには計上 していない。 この点は,子会社 のネ ッ ト・キャッシュ ・イソフローを 親会社 のキャッシュ ・イソフローに計上す る,つ ま り子会社 の運転資本追加額 を親会社 の キャ ッシュ ・フローには計上す る
Eitemanらの計算 とは異 なる0
このよ うに
,Eitemanらと
Shapiroでは,親会社のキ ャッシュ・フローの計算方法が異 なっ
ている。両者 とも,外国投資の意思決定 において適切 なキ ャッシュ・フローは,親会社 のキャッ
シュ ・フローであるのか,それ とも子会社 のキャッシュ ・フローであるのか とい う問題 を設
定 している
[Eitemaneta1.
,1991,pp.494‑496;Shapiro,1992,pp.449‑450] と2)しか し,
論者によって親会社 のキャッシュ ・フローの定義が異 なるとい う点を明確 に意識すべ きであ
札幌学院大学商経論集 第 11巻第
1号 ( 通巻
66号)
ろ う。
第 3 章 外国投資の意思決定に適切なキャッシュ ・フロー概念 ( その 2) :二つの親会社キャッシュ ・フロー
第 1節 は じめ に
従来, 国際財務管理 の文献 で は,外 国投資 の意 思決定 に適切 であ るキ ャ ッシ ュ ・フ ロー概 念 は,親会社 のキ ャ ッシ ュ ・フ ローであ るのか, それ とも子会社 のキ ャ ッシ ュ ・フ ローであ るのか とい う議論 が な され て きた 三 3 )あ るテ キス トで は, ほ とん ど説 明 な く親 会社 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ローが最適 であ る と言 い,せ いぜ い 「 経済学」 の論理 か らそ う判 断 され てい る とい
うのであ る
と4 )もし くは,両方 のキ ャ ッシ ュ・フ ロー概念 も重要 であ り,第‑ ステ ップ として 子会社 のキ ャ ッシ ュ ・フローで の評価, 第二 ステ ップ として親会社 のキ ャ ッシ ュ ・フ ローで の評価,最終 ステ ップ として多 国籍企業全体 のキ ャ ッシ ュ ・フ ローでの評価 を行 うとい う
3ステ ップに よる分析 を推奨 してい る
と5 )なぜ この よ うに,論者 に よって帰結 が異 なるのか筆者 には理解 が困難 で あ った。
この よ うな状況 に置 かれ ていた筆者 に, あ る 日,新 聞で 日本企業 の連結経営 の重視 とい う 文言 が 目に入 って きた。 その ときは,企業 も単独 の企業 で はな く,企業集 団 として経営活動 を行 うことも必要 なのであろ うと言 う印象 しか持 た なか った。 しか し,時 が経 つ につれ て, 企業集 団,連結経営 とい う文吉 が頭 を 占め るよ うになった。そ して,投資 の意 思決定 の場合, 財務諸表 の一 つであ る損益計算書 ( 当然営業利益 までの) を作成 してか ら, キ ャ ッシ ュ ・フ
ローを導 き出す。 この ことと,企業集 団や連結経営 とい う文言 ない し概念 が,筆者 の頭 の中 で接近 した とき,財務諸表 に親会社個別財務諸表 と子会社個別財務諸表 お よび連結財務諸表 があ るよ うに, キ ャ ッシ ュ・フ ロー概 念 に も親会社 キ ャ ッシ ュ・フロー,子会社 キ ャ ッシ ュ・
フロー,企業集 団 キ ャ ッシ ュ ・フ ローがあ るので はないか, そ して これ らのキ ャ ッシ ュ ・フ ロー概 念 はそれぞれ親会社損益計算書,子会社損益計算書,連結損益計算書 か ら導 き出 され るので はないか とい う疑 問が生 じた。 この疑 問 に対処す る ことに よって,外 国投資 に適切 な キ ャ ッシ ュ ・フロー概 念 としての親会社 キ ャ ッシ ュ ・フ ロー と子会社 キ ャ ッシ ュ ・フローの 対立 に新 た な,建設的 な議論 を付加す ることがで きるので はないか, とい う希望 が生 まれ て
きた。
A
(とい う概 念) と
B(とい う概念) が異 なる とい うの は, ど うい う次元 で異 なるのかあ るい は ど うい う状況で異 な るのか を明示 しなけれ ば, その区別 には何 の利用価値 もない。 た だ単 なる区別 と 「 分類」 の大 きな違 いであ るO そ こで,上 のキ ャ ッシ ュ ・7. ]‑概 念 が ど う い う次元 あ るい は状況 で異 な るのか を明示 す るのが本章 の課題 であ る。
‑ 67‑
「 外国投資の経済性計算」 ( 鹿本)
議論を簡略化す るために,親会社 の出資比率 は
100%とす る。つ ま り,親会社 は外国投資によ り外国に
100%所有子会社 を設立す ることになる。親会社が
100%子会社を所有す ると,親会社 は子会社の財務諸表 を連結 して企業集団全体としての財務諸表,つ ま り連結財務諸表 を作成 しなければならない。子会社 はすべて連結 の 対象 となるのが原則である1 6 )が , 「 連結す ることによ り利害関係者 の判断を誤 らせ るおそれ のある会社
」17)は連結の範囲に含めな くてもよい。これは,連結 の範囲に関す る重要性′ の原則 の適用であるが,資産基準 と売上高基準が適用 され る
ま8 )このよ うに,外国投資を行 う企業 に とっては個別財務諸表 のはかに,連結財務諸表 を作成 しなければならない。 したがって,外 国投資が影響 を与 える財務諸表 を分析す る際にも個別財務諸表 と連結財務諸表を区別 して分 析 しなければならない。 ここで,個別財務諸表 には,親会社財務諸表 と子会社財務諸表 の
2つの個別財務諸表があることに注意 しなければならない。
第2
節 外国税額控除 :国際
2重課税の回避
外国投資のキ ャッシュ・フローを検討す る前に,法人税 について検討 しなければならない。
資本予算では税引後 キャッシュ ・フローを計算す るか らである。子会社か ら親会社へ配当す ると,親会社 のある国 ( 以下,本国 と呼ぶ) と子会社のある国 ( 以下,現地国 と呼ぶ) の二 カ国で,法人税が課 され る。 この場合,下の例で説明す るように,国際
2重課税 の問題が生 じる。 ここでは,外国税額控除制度の基本的な考 え方を述べ るだけにす る。
[ 例]ある企業 ( 以下,親会社 と呼ぶ)が外国に
100%子会社 (以下,子会社 と呼ぶ)を所 有 している。子会社では,収益が
100円あ り,費用が
20円ある。現地国の法人税率 は
30%であ り,税引 き前利益が課税対象 となる。子会社 は税引後利益の全額を配当金 として親会社 に 支払 う。
親会社 の収益 は子会社か らの受取配当金だけであ り,費用 はない もの とす る。本国の法人 税率は
30%であ り,税引 き前利益が課税対象 となる。子会社 と親会社の損益計算書を作成す ると,それぞれ以下の ようになる。
札幌学 院大学 商経 論集 第 11巻 第 1号 ( 通 巻
66弓う
子 会社 損益 計算 書
税引前利益 80 図表
3.21親 会社 損益 計算書
税 引前利益
56図表
32.2この結果,現地 国に
24円,本 国 に16.8円の税金 を支払 い,子会社 と親会社全体 で は,令 計
40.8円の税金 を支払 う( 下 の連結損益計算書参照) 。 これで は,税 引前利益
80円に対 して 50.1%(‑40.8円÷80 円
×100)の税金 を支払 うことになる。 この よ うに, 「 外 国か ら生ず る 所得 につい て,一度 は外国でい ま一度 は 日本で,二重 に課税 され る ことにな る
烏 9)連寺 吉損益 計算書
図表
3.2.3そ こで, かか る二重課税 を排除す るため に外 国税額控除制度 が設 け られ てい る ( 法人税法
第69条 第1項)。
外 国税額控除 とは,簡単 に言 って しまえば,外 国 に納 めた税金 は本 国での課税計算上控除 して しま うことであ る。そのため には,まず子会社 か らの配 当金
56円を税 引 き前 の金額 に戻 す。上 の例 では,56 円÷(1‑0.
3)‑80円 となる。この80円の税 引 き前配 当金 を本 国で の課 税対象 とす る と,本 国での税金 は
24円 とな る。この
24円か ら現地 国 に納 めた税 金
24円を控 除す る。結局,本 国に納 め る税金 は 0円 とな る。この結果,子会社 と親会社全体 で は
24円の税金 を支払 うことにな る。
ー 69‑
「 外国投資の経済性計算」 ( 庚本)
第
3節 計算例
1:もっとも単純な場合
本節か ら第
5節 までの節では,設例 に基づいて子会社,親会社,企業集団の財務諸表 を作 成 し,それ らに基づ くキャッシュ ・フローを計算す る。本節では,子会社が親会社か らの出 資金によって資金調達をす る場合を,第
4節では,親会社か らの出資金 に加 えて銀行か ら借 入を行 って資金調達す る場合を,第
5節では,親会社か らの出資金 に加 えて親会社か ら借入 を行 って資金調達す る場合を検討す る。
[ 例 1] 今,ある米国系企業 ( 以下
P社 と呼ぶ)がある外国 ( 通貨 は米国 と同 じ ドル(S) である)に子会社 ( 以下
S社 と呼ぶ)を設立 しようとしている
。S社 は
P社か ら
$100の資本 の拠出を受け,その金額で設備 を購入す る
。S社の期首の貸借対照表 は以下の とお りである。
S
社期首貸借対照表 設備
$1() ( )
合計
$100資本金
金川()合計 $
100設備 は耐用年数 2年,残存価額ゼ ロ,定額法で減価償却 され,S社 の向 こう2年間の売上高 は毎年
$100であ り( 現金収入),費用 は減価償却費以外かか らない もの とす る。さらに,当該 プロジ ェク トの耐用年数 は2 年であるとし, 2 年度末 に清算 され るとす る。
では
,Ⅰ現地国 と本国の法人税率が
30%で等 しい場合
,「 現地国の法人税率が
30%で本国 の法人税率が
40%の場合
,」 現地国の法人税率が
40%で本国の法人税率が
30%の場合 の各場 合 において
,S社が
(1)利益 を内部留保す る場合
,(2)利益 をすべて ライセンス・フイとして送金 す る場合 と
(3)利益 をすべて P 社 に配当す る場合 に分 けて,向 こう
2年 間の財務諸表 を作成 し, キャッシュ ・フローを計算 しよう。 ところで,本章 の設例では, ライセ ンス ・フイとし て子会社の利益をすべて送金す るとしたが,実際 にはこのような多額の ライセンス ・フイを 送金す ることはできないであろ う。現地国の法人税がな くなって しま うので, ライセンス ・
フイの損金算入額が制限 され るであろ う。 しか し,様 々な名 目のもとで,損金算入を認め ら
れ る形で送金す るであろ う。そ ういった名 目を ライセソス ・フイとして一括 して扱 った。
札幌学院大学商経論集 第 11巻第 1号 ( 通巻
66号)
Ⅰ法人税率
(30%)が等 しい場合
S
社財務諸表
貸借 対照表 現金 設備 借方計 資本金 剰余金 貸 方計 損益計算書 売 上高 減価償却費 ライセ ンス ・フイ 税 引前利益 法人税
( 1刑 益 をすべて内部留保す
(2) 利益 をすべ てライセ ンス , る場 合 フイと して送金す る場合 0期末
1期末
2期末 0期末 1 期末 2 期末
0 8 5 1 7 0 0 5 0
1001 0 0
50 0 1 0 0 5 0
01 0 0
1351 7 0 1 00 1 00 100
1 00
100 1 0 0 100 1 00 100
0
357 0 0 0 0
1
0 0
135 17
01 0 0 1 00 100
100 100 1 0 0 100
50 50
5 0 50
5 0 50
50 50
0 0
15 15
0 0
税 引後利益
35 35 0 0剰余金計算書
剰余金期首技高 0 3
50 0
当期純利益 35 3
50 0
配当金 0
00 0
剰余金期末残高 35
700 0
P 社財務諸表
貸借対照表 現金 子会社株 式 借方計 資本金 剰余金 貸方計 損益計算書 ライセンス ・フイ 受取配当金 税 引き前利益 法人税 税 引後利益 剰余金計算書
図表 3.
3.1(
1) 利益 をすべ て内部留保す
(2) 利益 をすべ て ライセ ンス ‑ る場合 フイと して送金す る場合 0期末
1期末
2期末 0期末
1期末
2期末
0 0 0 0
3570
1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0
1001 00 1 00 1 0 0 1 00 1 0 0 135 1 7 0 1 0 0 1 00 1 00 100
100 1 0 0 0 0 0 0 35 7 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 00 135 170
170
0
0 50 50
0
0 0 0
0
0 50 50
0 0 15 15
0
03
5 35剰余金期首技高
00 0
35当期純利益 剰余金期末技高
0 0
35 350 0 35
70図表 3.
3.2‑ 71‑
(3
J 利益 をすべ て配 当金 と し て送金す る場合 0期末
1期末 Z期末
0
50 1 00
10050 0
1001 00 1 00
1001 0 0 1 00
0
0 0
100
1 0 0
100(3
) 利益 をすべ て配 当金 とし て送金す る場合 0期末
1期末
2期末
0
357 0 1 0 0
1001 0 0 1 0 0
1351 7 0
1 00
1001 0 0
0
357 0
1 00
1351 70
0
03
5
3535
350
035
350 35
35 35
35 7 0