学級活動の実践的指導力と学級経営力を高めるため の校内研修支援の在り方について
著者 上床 美嗣, 半澤 嘉博
雑誌名 東京家政大学教員養成教育推進室年報
巻 4
ページ 175‑185
発行年 2017‑11‑01
出版者 東京家政大学教員養成教育推進室
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010142/
学級活動の実践的指導力と学級経営力を高めるための 校内研修支援の在り方について
The methods to support in-school training for enhancing teacher’ s practical leadership and management of classroom activities
児童教育学科非常勤講師 上床 美嗣 児童教育学科 半澤 嘉博
1 はじめに
平成29年3月に公示された小学校学習指導要領では、新しい時代に必要となる資質・能力の育成のため の教科等の新設や目標・内容の見直しが行われた。学力観に関しては、知識の理解の質を高め資質・能力 を育む「主体的・対話的で深い学び」を重視し、「知識及び技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学び に向かう力、人間性等」の三つの柱で再構成し、「何のために学ぶのか」という学習の意義の共有を強調 している。
特別活動においては、特に、生命の有限性や自然の大切さ、挑戦や他者との協働の重要性を実感するた めの体験活動の充実(小中:総則)や、自然の中での集団宿泊体験活動や職場体験の重視(小中:特別活 動等)により体験活動を充実する方向性が示されている。また、教科等間の往還(カリキュラム・マネジ メント)として、「知識及び技能」に関しては、集団の運営に関する方法や基本的な生活習慣等の育成、「思 考力・判断力・表現力等」に関しては、よりよい集団の生活を形成し、自己を生かす能力の育成、「学び に向かう力、人間性等」に関しては、自主的、実践的に自己の役割や責任を果たす態度等の育成を重視し ている。
しかし、最近の児童生徒の実態を鑑みると、いじめや不登校などの問題に代表されるように児童生徒同 士の豊かな人間関係の育成が大きな課題となっている。浜銀総合研究所の経済産業省委託事業「キャリア 教育の内容の充実と普及に関する調査報告書」1)においても、社会や地域で起こっていることについて 関心を持つ意欲や、他人に働きかけ巻込む力や意見の違いや立場の違いを理解する力、自分と周囲の人々 や物事との関係性を理解する力を育むチーム行動の未熟さが指摘されている。これからの学校教育におい て、児童生徒の「チームで行動する力」や「自らシナリオを描く経験」、 また「社会や地域に関心を向け る機会」の育成や充実が求められるところであり、学級集団をまとめ、豊かな人間関係を構築していく特 別活動、とりわけ学級活動の実践の重要性はさらに大きくなると考える。そして、このような指導ができ る教員の養成も大切であり、各学校において研究や研修を深めていくことが必要である。
小学校の教員養成に携わる大学として、小学校からの校内研修などに対応していくことが多くあるが、
以上の視点からの学級活動の指導の理論構築を図り、教員の実践的な指導力や経営力を高めていくことが できる指導助言の内容・方法を充実させていくことが求められるところである。
本研究では、新学習指導要領における学級活動の指導に関しての校内研修での指導助言のポイントをま とめるとともに、実際の校内研修での指導助言の事例を通して、実践的指導力と学級経営力を高めるため の校内研修支援の在り方について考察していく。
2 学級活動の充実を図る指導助言のポイント
(1)学級経営と学級活動との関係
学級経営とは「児童一人一人の成長・発達が円滑かつ確実に進むように、学校経営方針や学年経営方針
教員養成教育推進室年報 第4号
を踏まえて、学級を単位として展開される様々な教育活動の成果が上がるよう、諸条件を整備し運営して いくこと」とされている。「様々な教育活動」の法的根拠となる現行の小学校学習指導要領第1章総則に は「日ごろから学級経営の充実を図り、教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係を育てる とともに児童理解を深め、生徒指導の充実を図ること」と学級経営を充実させることの重要性を明記して いる。さらに、小学校学習指導要領解説(特別活動編)では「学級経営の充実を図る」(P59)という項 を設け、「学級活動の指導は、学級経営と密接に関連している。学級経営の充実を図るためには、「(1)学 級や学校の生活づくり」、「(2)日常の生活や学習への適応及び健康安全」を内容とする学級活動は欠か すことができないものである。一方、学級活動において充実した活動が展開されるためには、その土台と なる日々の学級経営が必要である」と具体的に述べている。
このような学級経営と学級活動の関係については、平成29年3月に告示された学習指導要領やその解 説(平成29年6月)においても、以下のようにより一層重要視されている。
<学級経営と学級活動の関係>
〔小学校学習指導要領解説 総則編 第4の1の(1)〕(P95)
⇒ 学習や生活の基盤として、教師と児童との信頼関係及び児童相互のよりよい人間関係を人間関係を 育てるため、日頃から学級経営の充実を図ること。~以下略~
〔小学校学習指導要領解説 特別活動編 第3の1(3)〕(P142)
⇒ 学級活動における児童の自発的、自治的な活動を中心として、各活動と学校行事を相互に関連付けな がら、個々の児童についての理解を深め、教師と児童、児童相互の信頼関係を育み、学級経営の充実を図 ること。その際、特に、いじめの未然防止等を含めた生徒指導との関連を図るようにすること。~以下略~
(2)指導助言の基本的スタンス
① 単に授業を参観して指導助言を行うだけでなく、指導助言者が実際に授業の指導に加わり、教員と 一緒に授業を作り上げていくことを通して、児童理解を共有し、共感性をもってともに考えていく研 修会の指導助言ができるようにする。
② 学級活動の指導を通して、学級経営の充実の重要性を認識でき、学級経営に生かすことができる指 導法の在り方に関しての具体的な指導助言に留意する。
③ 新学習指導要領の趣旨に沿って、児童の自発的、 自治的な活動を促す事前指導や学級会での話合い 活動を展開できる実践的な手法を紹介していく。
(3)教育課程との関連についての指導助言
指導助言に際しては、教育課程部会特別活動ワーキンググループ2)で指摘されているように、話合い 活動におけるよりよい「合意形成」など、各学校段階における学びが次の学校段階に十分生かされていな いとの現状の課題を踏まえ、特に、教育課程全体における特別活動の意義の明確化を強調していく。
① 特別活動を通じた望ましい学級集団の形成が、教育課程全体における「主体的・対話的で深い学び
(アクティブ・ラーニング)」を推進する基礎を作るものであること
② 特別活動は、教科等で学んだことを活用して自分自身や学級・学校の生活の改善を図るものである こと
③ 特別活動の目標や成果から学校全体、特に教務部が関わり指導計画や指導体制を確立すること加え て、小学校段階だけの教員の意識ではなく、特別活動で身に付けさせる資質・能力が、現在及び将来 の生活につながる重要なものであるということを教員に意識させ、将来の積極的な社会参画につなが る集団での合意形成の重要性と、合意形成のためのよりよい話合い活動の重要性を強調していく。
3 実践事例の概要
(1)校内研修の実施校
本実践は、平成28年度に東京都の多摩地区のA小学校から「学級経営の要である学級活動についての
校内研修を行いたい」という依頼を受けて、筆者の上床が指導助言を行ったものである。この小学校は、
多摩地区の住宅街にあり、平成28年度は全校児童約700名、22学級、学級担任22名・専科教員及び養護 教諭5名であった。合計27名の教員のうち、経験3年以下の若手教員が3名、産休育休代替教員が8名 在職していた。
年度当初、学級経営上の大きな問題は発生していなかった。しかしながら、上記の教員は、日々教科の 授業を行うのに精一杯で、意図的・計画的に学級集団作りに取り組む余裕はなかった。そのような実態で あったので、年度途中で学級経営上の問題が発生することを校長は心配していた。また、若手教員や産休 育休代替教員ばかりでなく、学校全体として、特別活動、中でも学級活動についての教員の理解や実践的 指導力が不十分であるという実態もあった。そこで、校長は「学級活動についての実践的研修」を行い、
若手教員や産休育休代替教員ばかりでなく、全教員の学級活動への理解と実践的指導力、そして学級経営 力を高めたいと考えた。
(2)具体的な指導助言の取り組みの概要
校長との事前打合わせで、学級経営の要である学級活動の特質を理解し実践的指導力と学級経営力を高 めるために、平成28年5月に実施された以下の3つの授業に、上床がティームティーチング(以下TT)
として指導案を立てたり指導したりして、校内への公開授業として行った。公開授業後には、研究協議会 を実施し、全教員による研究協議を行うとともに、上床が指導助言を務めた。
<実践1>3年1組で学級会のオリエンテーションを兼ねて「議題収集から議題選定まで」を実施
<実践2>上記で「学級全員による計画委員会」を実施
<実践3>上記で学級会(話合い活動)「もっとなかよくなる会を計画しよう」を実施
(3)学級会活動の特質を理解し実践的指導力と学級経営力を高めるための実践 ① 実践1~3の指導計画(児童や教員にとっての位置付け)
日 時 主な内容等 児童や教員にとっての位置付け
第一時 5月6日(金)
第5校時
学級会オリエンテーション
「第1回学級会の議題を決 めよう」
【児童】 2年生までの学級会活動を振り返り、3年生 での学級会活動についての意欲をもたせるとともに、
第1回学級会の議題を決める。
【教員】 学級会活動の特質、特に「自発的、自治的活動」
という特質を「議題収集から議題選定までの活動」の 参観を通して具体的・実践的に理解する。
第二時 5月13日(金)
第5校時
学級全員による計画委員会
「第1回学級会で話し合う ことを決めよう」
【児童】 全員で計画委員会を行い、第1回学級会の話 合いの柱を決めたり進め方を相談したりする。
【教員】 学級全員で行う計画委員会の参観を通して、
「学級会活動の事前指導の在り方」の重要性を具体的・
実践的に理解する。
第三時
5月25日(水)
第5校時
第1回学級会議題
「もっとなかよくなる会を 計画しよう」
【児童】 5月6日(金)に選定し、5月 13 日(金)に立 てた話合いの活動計画に沿って、学級会を行う。
【教員】 児童の自発的、自治的活動としての話合い活動 やそこでの教員の指導・助言の在り方について、具体 的・実践的に理解する。
② 実践1「学級会オリエンテーション及び『第1回学級会の議題を決めよう』」の実際
・日時 5月6日(金)第5校時
・内容 「学級会オリエンテーション及び『第1回学級会の議題を決めよう』」
・本時の指導助言に当たっての工夫
学級会活動の特質は「自発的、自治的活動」ということである。その特質を踏まえた活動にしていくた めには「児童に問題に気付く目や意欲」を育てるとともに、「気付いた問題を学級全員に提起する方法や 学級会までの手順」を指導しておくことが重要である。それらのことを本時の授業を通して児童と教員に 理解してもらうために以下のような工夫を行った。
教員養成教育推進室年報 第4号
ア 学級担任がT1、上床がT2のTTで指導する。本時の要所や学級担任でなければ判断できないとこ ろについてはT1が指導したり判断したりする。学級会活動の特質に関してはT2が指導したり助言した りする。
イ 2年生までの指導や経験を大事にするために、学級会の特質に関わるようなことや発達段階に合わせ て変える指導については「学年が一つ進級したから」という意識を育むスタンスで指導する。
ウ 「学級会活動に関する経験の実態や意識の把握」とオリエンテーションを効率的に行うためにアン ケートへの記入(図1)という手法で授業を進めていく。また、第三時の第1回学級会への主体的な意識 を育むために議題提案カード(図2)を用意した。
図1 学級会についてのアンケート 図2 議題提案カード
・第一時のねらい
○ 2年生までの学級会活動を振り返り、3年生での学級会活動についての意欲と見通しをもつ。
○ 第1回学級会の議題を決めることができる。
・第一時の展開
児 童 の 活 動 指 導 上 の 留 意 点 導 入
(T2自己紹介)
1 アンケート「学級会の好き嫌いやその理由」に記入した結果を 踏まえながら、学級会の時間は「学級生活がより豊かに楽しくなる ようにみんなで考え、実践する時間」であることを全員で確認する。
○ みんなでやりたい ○ みんなで作りたい ○ みんなで解決したい 等
○ 「(学年ごとの)学級会活動
(話合い・係・集会)指導のめや す」は踏まえながらも、児童の 実態や経験に応じてその特質を 確認させる。
展 開 前 段
2 アンケート「2年生までに経験した議題や係・集会」に記入し た内容を踏まえながら、2年生までの学級会活動について想起する。
(1)議題 (2)係活動 (3)集会活動 3 3年生からの学級会活動について知る。
○ 話合い活動は計画委員会を中心に運営する。
○ 話し合いたいことは議題カードに書いて議題箱に入れる。
○ 議題の決定は学級全員で行い、話合いの活動計画などは計画 委員会が立てる。
○ 議題・係の種類・集会名等、
2年生までの学級による違いに ついては深入りしない。
○ 進級したことにより「教師 と一緒にという低学年の話合い や係・集会」から、「計画委員会 を中心とした中学年以上の自発 的、自治的な活動」に移行して いくことを理解させる。
展開後段 4 5/ 25(水)5校時の学級会の議題候補を出し合い、全員で第 1回学級会の議題を決定する。
○ 議題提案カードへの記入。
○ 議題案をKJ法で以下の二つに分類する。
・学級会の議題(候補)とそれ以外〔・朝や帰りの会・係や 委員会に・先生に(自治的範囲外)〕
○ 議題候補の中から、議題を決定する。
○「議題収集から議題案選定」、
「議題決定」「話合いの活動計画 作成」「話合いの柱の予告」「学 級会での司会・黒板記録・ノー ト記録」等の計画委員会の活動 について具体例を挙げながら理 解させる。
終末 5 決定した議題を確認し、次週、全員で「どんなことを話し合え ばよいか」という話合いの柱を決める活動計画作りを行うことを知 る。
○「3年生の学級会の進め方」
を実践を通して具体的に学ぶこ とを確認し、次回への意欲と見 通しをもたせる。
・事後の活動
ア 担任が、児童の特性や能力、年間の活動回数等を勘案しながら、計画委員会のグループ編成を行った。
イ 担任が、帰りの会(5/ 12:木)において「『5/ 25(水)の学級会で、どんなことを話し合わなけ ればならないか』、明日(5/ 13:金)の学級会で話し合うので、考えて来るように」指導した。
・指導助言の実際
ア 「学級会オリエンテーション」の導入として、2年生での学級会の経験についてのアンケートを行っ た。その結果、2年生までに指導しておくべき「低学年としての話合いや係・集会活動についての知識や 技術」についてはほぼ指導されてきている。
イ 本時の中で全員に「議題提案カード」に記入させたところ、予想通り「お楽しみ会」が多かった。こ の実態は、この学校の3年生に限ったことではない。特に特別活動を研究していない学校であれば、十分 予想されることであるし、特別活動を研究している学校であっても、集会に関する議題の提案は多くなる。
ウ 本学級の実態は、東京都における一般的な小学校3年生の発達段階である。この実態から、さらに望 ましい3年生としての自発的、自治的な活動ができる力を育成するためには、児童の日常生活の中に、「自 分たちの生活をよりよくするための問題に気付く目」や「それをみんなに提案」し、「話し合い」、「実践 あるいは解決し振り返る」という一連の流れを、体験を通して実践的に身に付けさせることが必要である と考えた。
③ 実践2「学級全員による計画委員会「第1回学級会で話し合うことを決めよう」の実際
・日時 5月13日(金)第5校時
・内容 「学級全員での計画委員会『第1回学級会で話し合うことを決めよう』」
・本時の指導助言に当たっての工夫
計画委員会は、輪番制の司会グループと議題の提案者で組織されるのが一般的である。その指導は、2 年生の後半ぐらいから、教師の指導を受けながら具体的な活動を通して、少しずつ体験的に学ばせるのが 望ましいとされている。その経験をもとにした本格的な計画委員会の活動は、3年生くらいからとされて いる。自主的、実践的活動という特別活動の特質から考えると、司会グループが替わるたびに丁寧な指導 をすることが望ましい。しかしながら、「はじめに」で述べたように、特別活動の特質と発達段階を踏ま えた指導がなされていないことも多いという現実がある。また、そのような丁寧な指導を積み重ねるには 児童にも教師にも時間的・精神的ゆとりがないのが実態である。そこで、上床は、3年生以上の学級では、
年度当初にオリエンテーションを兼ねて「学級全員での計画委員会」を行うことを勧めてきている。以下 に、本学級での実践を例に述べる。
具体的には、第一時と同じように学級担任がT1、上床がT2のTTで指導する。
特に本時で大事なことは、「何のためにお楽しみ会をやるのかという提案理由の練り上げ」である。そ のことをしっかりと押さえておかないと、実際の学級会が「自分にとって楽しい」「楽しくない」を論拠 とした不毛の話合いになる可能性がある。
教員養成教育推進室年報 第4号
また、実際に集会を行ったとしても、その振り返りは、「自分にとって楽しかったか、楽しくなかったか」
ということが基準となり、授業時間に行う望ましい集団活動とはいえなくなってしまう。なお、議題案の 選定の仕方や議題の練り上げ方や話合いの柱の決め方を、具体的、効率的に指導するために、図3を授業 中に拡大掲示するとともに、図4の学級会カードを各児童に配布した。
図3 拡大提示した<議題を選ぶ時は>
図4 学級会カード
・第二時のねらい
「お楽しみ会をやりたい(14 枚)」という議題提案カードをもとに、提案理由を練り上げるとともに、
第1回学級会(5/ 25)の活動計画を立てることができる。
・第二時の展開
児童の活動 指導上の留意点
導入 1 前時の振り返りをする。
・学級会アンケート
・議題提案カード(お楽しみ会)
○ いろいろな議題が出されていたが、一番多かった
「お楽しみ会」を次回の議題としてとりあげることを 確認する。
展開前段 2 前時の「お楽しみ会以外のカード」は どのようにしたらよいか考える。
・学級会の議題 ・朝や帰りの会 ・係や委員会に
・先生に(自治的範囲外) 等
○ 計画委員会は、本来、新旧司会グループと提案者が 担任の指導・助言を受けながら行うものであることを 確認する。
○ 「自治的範囲」や「議題選定の条件」について、 議 題提案カードをもとに具体的に確認する。
○ 左記の分類にチェックを入れ提案者に返却する。
展開後段 3 「お楽しみ会」を行うためには、どのよ うなことを話し合わなければならないか話 し合う。 ・提案理由の練り上げ(めあての明確化)
・話合いの柱①②の決定
○ いつ行うかは教育課程、どこで行うかは施設・設備 の利用なので、担任が決めることを確認する。
□ 6/9(木)6校時・教室
○ 学級会カード(拡大版)をもとに、話合いの柱を決 めさせる。
終末 4 5/ 25(水)5校時に学級会を行うこ
とを予告し、意欲を高める。 ○ 司会グループには、「司会メモ」をもとに学級会の シミュレーションを行うことを予告し、不安を抱かせ ないようにする。
・事後の活動
ア 本時の「全員計画委員会」を踏まえた学級会カードをもとに、話合いの柱に沿って、自分の考えをま 図4 学級会カード
とめておいた。
イ 司会グループの児童は、「司会メモ」をもとに学級会のシミュレーションを行った。
・指導助言の実際
「楽しいから」という理由だけでは学級の児童全員が納得するような集会を計画することはできないと いうことを、2年生までの集会活動の経験をもとに理解し、3年生なりに提案理由の練り上げを行うこと ができていた。また、話合いの柱を決めるに当たっても、2年生までの経験を生かすことができたので、
すんなりと「何をするか」と「どんな係が必要か」という二つの柱を決めることができた。全員計画委員 会の実施の成果が現れていると考えられる。
④ 実践3 「第1回学級会 議題『もっとなかよくなる会を計画しよう』」の実際
・日時 5月25日(水)第5校時
・内容 「第1回学級会 議題『もっとなかよくなる会を計画しよう』」
・本学級の学級会についての実態
2年生での経験について挙手させて訊いたところ以下のような結果であった。
ア 司会を経験したことあると挙手した児童………13人 イ 黒板記録を経験したことがあると挙手した児童………15人 ウ ノート記録を経験したことがあると挙手した児童……7人
・本時に至るまでの経過
ア 5月6日(金)5校時に「学級会オリエンテーションと議題選定」を行った。その時に、14 名が話 し合いたいこととして議題提案カードに記入していた「お楽しみ会」を議題とすることが決まった。
イ 5月13日(金)5校時に全員で計画委員会「話合い活動計画の作成」を行い、提案理由の練り上げ と話合いの柱①「何をするか」、柱②「どんな係が必要か」を決めた。
ウ 本来ならば、話合い活動の前に行うことの多い「事前アンケートや意見の集計」「予想される意見の 扱い」「話合いの見通し」等の指導は行ってはいない。本時の学級会の場で直接指導することで、児童だ けでなく教員にも「教師の適切な指導・助言のあり方」を具体的に体験したり、具体的、実践的に学んだ りすることができると考えた。
・評価規準と目指す児童の姿 観点 集団活動や生活への
関心・意欲・態度 集団の一員としての
思考・判断・実践 集団活動や生活についての 知識・理解
評価規準 学級の生活上の問題に関心を もち、他の児童と協力して意欲 的に集団活動に取り組もうとし ている。
より良い学級の生活づくりに向け て考え、自己の役割や集団について よりよい方法を考え、判断し、まと めようと話し合っている。
学級集団として、意見をまと める話合いの活動の計画的な進 め方について理解している。
目指す児童の姿
「もっとなかよくなりたい」と いう提案理由を踏まえて、意欲 的に友達の意見を聞いたり、自 分の意見を発表したりしてい る。
「もっとなかよくなりたい」という提 案理由を踏まえて、3年生として、
協力して実践できる会になるように、
考えて意見を言うことができる。
「もっとなかよくなりたい」と いう提案理由や計画委員会で 作った話合いの活動計画を話合 いの見通しをもち、進めること ができる。
・第三時のねらい
提案理由にそって意見を発表したり、友達の意見を聞いたりして、合意形成を図りながら「もっとなか よくなる会」の計画を立てることができる。
教員養成教育推進室年報 第4号
・第三時の指導計画
話合いの順序 指導上の留意点 目指す児童の姿と評価方法 1 はじめの言葉
2 計画委員の紹介 3 議題の確認 4 提案理由の説明
5 決まっていることの確認 6 話し合うことの確認
○ いつでも提案理由が判断基準 になるよう、内容がしっかりと伝 わるように発言させる。
○ 決まっていること
(6/9:金6校時・教室で)を 確認する。
○ 計画委員会で打ち合わせしたこと を踏まえて、司会を行うことができる。
【発言・態度】
○ 提案理由の意図がきちんと伝わる ように提案できている。
【発言・態度】
7 話合い
柱 1 「 どんなことをすれば もっとなかよくなれるか」
① みんなですること ② 出し物
柱2 「もっとなかよくなる会 に必要な係」
① 司会
② はじめのことば ③ おわりのことば
○ いろいろな意見が出たり論点 がずれたりしたときには「もっと なかよくなりたいから」という提 案理由に立ち返るよう助言する。
○ 2年生までの集会の経験をも とに必要だと考えた左記3つにつ いては計画委員会から提案させる。
○ 提案理由を踏まえた視点で意見を 言ったり聞いたりができている。
【発言・態度】
○ 自分の意見を言うだけでなく、合 意形成のために意見をつなげたり、ま とめたりすることができている。
【発言・態度】
8 決まったことの発表 9 振り返り
10 先生の話 11 終わりの言葉
○ 提案理由を踏まえた意見や合 意形成のための意見ばかりでなく 司会グループのがんばりを賞賛す るとともに、実践までの見通しを もたせる。
○ 実践への見通しを立て、自分の役 割への意欲をもつことができる。
【学級会カード・発言】
・指導助言の実際
図5は学級会当日の様子であるが、本時 では、時間の関係で「柱1 どんなことを すればもっとなかよくなれるか」の「①み んなですること」と「②出し物」までしか 決めることはできなかった。全員計画委員 会として全員で決めた話合いの柱を終わら せられなかったのは残念であるが「計画委 員会で計画を立て、司会グループが前に座っ て話合いを進める」という、いわゆる一般 的な学級会をほぼ児童だけで進められたと いうことは、本学級の児童には大きな自信 となった。図6の司会メモも司会グループ が進行を進める上で有効であった。
図5 柱1を話し合っている場面
図6 司会グループが使った司会メモ
5 考察
校内研修として3時間にわたって授業を参観した本校の教員にとっても、学級会活動の特質や指導方法 を学ぶのに大変有効であったと考える。学級活動は、学級担任が指導することを前提としている。しかし ながら、今回は、年度初めの学級集団つくりの時期に効率的に学級経営の研修を行うという趣旨から、指 導助言者としての立場とともに、その要である学級活動の授業にT2として3回加わった。年度末の教員 の振り返りや1年後の児童の様子からも、この校内研修の成果は児童にも教員にも表れている。
(1)若手教員や産休育休代替教員等からは校内研修での指導助言に関して以下のような感想を得た。
① 「係活動と当番活動の違い」などを理解しないままに指導してきたことに気付いた。今後は、それ らの特質を踏まえながら組織をつくっていきたい。
② 1年生やあまり学級会の経験のない学級で、学級会を実践的に理解させる指導として、45 分の中 で話合いと集会や係などの活動を組み合わせて行う指導が有効であるということを学んだ。
③ 議題収集から計画委員会、そして学級会と実際に授業を参観させていただいたことで、学級会の指 導過程を具体的に学ぶことができた。
④ 学級活動といえば、いわゆる学級会だけだと思っていた。自己指導力を育てるための学級活動(2)
をやらなければならないのだということを知らなかった。反省するとともに、今後、実践していきたい。
⑤ 学級活動(2)は、学級の人間関係を好ましいものにしていくために有効だということを学んだ。
ぜひ、学級で実践していきたい。
校長の話では、3回の学級会の授業を行った学級では、本年度も意欲的に学級会活動に取り組んでいる ということであった。また、この授業をきっかけにして何人もの若手教員が、学級活動の実践に一生懸命 取り組んでいるということである。
図6 司会グループが使った司会メモ
5 考察
校内研修として3時間にわたって授業を参観した本校の教員にとっても、学級会活動の特質や指導方法を学 ぶのに大変有効であったと考える。学級活動は、学級担任が指導することを前提としている。しかしながら、今 回は、年度初めの学級集団つくりの時期に効率的に学級経営の研修を行うという趣旨から、指導助言者として の立場とともに、その要である学級活動の授業にT2として3回加わった。年度末の教員の振り返りや1年後 の児童の様子からも、この校内研修の成果は児童にも教員にも表れている。
(1)若手教員や産休育休代替教員等からは校内研修での指導助言に関して以下のような感想を得た。
① 「係活動と当番活動の違い」などを理解しないままに指導してきたことに気付いた。今後は、それらの特 質を踏まえながら組織をつくっていきたい。
② 1年生やあまり学級会の経験のない学級で、学級会を実践的に理解させる指導として、45 分の中で話合 いと集会や係などの活動を組み合わせて行う指導が有効であるということを学んだ。
③ 議題収集から計画委員会、そして学級会と実際に授業を参観させていただいたことで、学級会の指導過程 を具体的に学ぶことができた。
④ 学級活動といえば、いわゆる学級会だけだと思っていた。自己指導力を育てるための学級活動(2)を やらなければならないのだということを知らなかった。反省するとともに、今後、実践していきたい。
⑤ 学級活動(2)は、学級の人間関係を好ましいものにしていくために有効だということを学んだ。ぜひ、
学級で実践していきたい。
校長からの話では、3回の学級会の授業を行った学級では、本年度も意欲的に学級会活動に取り組んでいる ということであった。また、この授業をきっかけにして何人もの若手教員が、学級活動の実践に一生懸命取り組 んでいるということであった。
教員養成教育推進室年報 第4号
(2)3回のTTによる授業とその後の研修会や研究授業を終えて
① 今回の「TTによる3回の授業の公開による校内研修」は、新学習指導要領公示前であったが、「問 題に気付き、学級全員に問題を投げかけ、話し合い、集団決定し、実践し振り返るという学級活動におけ る主体的・対話的で深い学び」を意識しながら行った。教師の意図的計画的指導である学級活動(2)は ともかくとして、「自治的、自発的活動」を特質とする学級活動(1)〔学級会活動〕では従前から「主体 的・対話的で深い学び」が行われていたのだということが、驚きをもって理解された。
② 学級会活動や学級活動(2)の授業においても、「児童から出された意見をカードに書き出す可視化」
や「黒板に張り出した意見を話合いに沿って動かす操作化」「意見の出し合いから集団決定までの流れを 黒板に表す構造化」という「学級活動における主体的・対話的で深い学び」を教員に具体的に理解しても らうことができた。
③ どこの学校でも、年度末にそれぞれの教育委員会に、特別活動の全体計画等を届け出てはいる。し かしながら、それらをそれぞれの特質を踏まえて実践していないことを具体的に意識させるとともに、全 体計画を踏まえた年間指導計画を整え、それに基づいて実践していくことの重要性を理解してもらえた。
④ 学級経営には、「黄金の3日間」という言葉がある。担任した最初の3日間の指導の重要性を強調し た言葉である。今回は、校長の危機意識もあって、始業式の2日後の4月8日には、「学級活動の特質や 学級目標と個人目標の設定の仕方などについての研修会」を行った上で、学級会の指導過程に沿った授業 を行うことができた。その結果、上記(1)のような成果を得ることができた。研修で問題意識をもった 後、実際の授業を観てもらい、また研究協議会という方法は、非常に効果的である。しかしながら、この ような研修を実施するには、年度当初の行事計画の作成等に発想の転換を要する。
本実践を行った学校は、近年の東京都の大量退職・大量採用の影響を極端に受けた例ではある。しかし ながら、どこの学校でも、大なり小なり似たような悩みを抱えているというのが現状である。若手教員が 多く、校内研究や校内研修などでベテランの教員からのOJTによる指導を受ける機会が減っている学校 は少なくない。3)
小学校のこのような実態は、今後10年間くらい続くのではないかとも考えられる。そのため、各学校 では外部講師による指導助言を得るための校内研修を意図的に実施しているが、外部講師の指導助言にも 限界がある。1回だけの研究授業を参観しての指導助言では、十分な児童理解ができていないことや、学 級経営の状況の把握ができていないため、今後の学級経営につながる指導助言を行うことが難しいことで ある。教科の指導に関する指導助言であれば、指導法や教材、評価等に関する内容に関しては対応できる かもしれないが、特別活動や道徳に関する指導助言では、児童や学級の状況把握は必要不可欠であると考 える。
今回実施した数回にわたる校内研修での指導助言の方法は、今後、学級経営について効果的な指導助言 の一つの試みとして大きな可能性があり、さらに充実のための方策を研究していきたい。
参考文献
1 株式会社 浜銀総合研究所 平成24年度総合調査研究キャリア教育の内容の充実と普及に関する調 査報告書(経済産業省委託事業)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/career-education/pdf/h24survey_honbun.pdf(L.A. 2017.
8.11)2013
2 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別活動ワーキンググループ 特別活動について 平成27年11月25日第1回教育課程部会特別活動ワーキンググループ配布資料9
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/066/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/08/
1364981_1.pdf(L.A 2017.8.11)2015
3 東京都教育委員会 OJTガイドライン~学校におけるOJTの実践~
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/jinji/jinzai/ojtgaidorain.pdf(L.A. 2017.8.11)2008