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会社 の ク ライ シス マネ ジメ ン トの法 理(上)

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説 〉

会社 の ク ライ シス マネ ジメ ン トの法 理(上)

一 企業の社会的責任 に関す る試論[1]一

目 次 1は じめ に

2ダ ス キ ンTY件 の概 要 (D箏 実 関 係 (2)原 告 の 主張 (3)争 点 3第 一 審判 決

4控 訴 審判 決(以 上本 号)

5第 一 審判 決 と控訴 審 判 決 との比 較 (1)コ ン プ ライ ア ンス 体 制 の構 築 (2)控 訴 審 判 決 に お け る見解 6ク ライ シ ス マネ ジ メ ン トの 法理 (D控 訴 審 判 決 の もつ 意 義 (2)企 業 の社 会 的 責任 論 との 関 係 7む す び

1は じめ に

企 業 に よ る不 祥 事 は 、 絶 え る こ とな く発 生 して い る。 毎 年 あ きれ る ば か りの 企 業 非 行 で あ るが 、 最 近 は特 に 「食 」 に関 す る不 祥 事 が相 次 い で い る。 今 年 発 生 した 冷 凍 鮫 子 の 異 物 混 入 問 題 は 、 日本 全 体 を不 安 に お と しい れ 、 そ の生 産 輸 送 過 程 の どの 部 分 で 異物 が 混 入 され た か は 、 現 在 も未 解 明 の ま まで あ る 。安 心 安 全 の 信 用 を 落 と した 名 門 料 亭 も、 つ い に廃 業 に追 い 込 まれ た 。 こ う書 い て い る最 中 に も、 肉 の産 地 偽 装 が あ っ た との報 道 が な され て い る。 この よ うに 企 業 が 悪 事 を は た ら き 、虚 偽 を表 示 す る こ とが 続 く と、企 業 は悪 事 を働 く もの だ と の社 会 通 念 が 形 成 さ れ て しま うの で は な い か と懸 念 す る。

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一 方 、今年 は、 「内部統制元年」 といわれて いる。金融商 品取 引法 に基づ く内U

部 統 制 ル ー ル 、 つ ま り上場 企 業 の 決 算 書 類 の 信 頼 性 を 高 め る新 た な取 組 み が 開 始 され た。 企 業 が 不 祥 事 を 起 こ さな いた め の 重 要 な取 組 み で あ る。 こ の よ う な コ ン プ ライ ア ンス の 体 制 作 りが 、 単 な る体 制 作 りに終 始 し、 魂 の 入 ら な い制 度 に な らな い よ うに す べ きで あ る。 か りに コ ン プ ライ ア ン ス体 制 が 完 備 され た と

して も、後 に詳 述 す る ダ ス キ ン事 件 で見 られ る よ う な、 会 社 経 営 者 の 生 半 可 な 態 度 が あ る な らば 、 膨 大 な コ ン プ ラ イ ア ンス 体 制 も ま さ に絵 にか い た 餅 に す ぎ な くな るか らで あ る。

本 年2月12日 、 い わ ゆ る ダス キ ン事 件 に つ い て、 最 高 裁 判 所 が 役 員 、株 主 双

方 の 上 告 を棄 却 す る と共 に、 上 告 受 理 申立 て を受 理 しな い 旨 の 決 定 を行 っ た。

3)

これ に よ り、大 阪 高 等 裁 判 所 の控 訴 審 判 決 が 確 定 す る こ と とな っ た 。 ダ ス キ ン 事 件 は 、 そ の経 営 す る ダ ン キ ン ドー ナ ッツ チ ェー ン に お いて 販 売 した 食 品 に、

食 品衛 生 法 に よ って 許 可 され て い な い添 加 物 が 混 入 して い た こ と をめ ぐ る事 件 で あ る。 これ を食 した消 費 者 の 人 体 に被 害 が 出 た わ け で は な か っ た 。 取 締 役 ら の 大 半 が こ の違 法 添 加 物 の 混 入 を知 った の が 販 売 終 了 後 で あ り、 そ こで 取 締 役 会 で 特 に会 社 側 か ら事 実 を公 表 しな い と決 定 して い た とこ ろ 、 マ ス コ ミが 知 り、

4)

事 実 を 「隠 ぺ い」 した こ とが 大 問 題 とな った とい う事 案 で あ る。 ダ ス キ ン は、

そ の 後 事 態 の 収 拾 の た め に 多 額 の 出 費 を す る こ とに な っ た 。 本 件 は株 主 代 表 訴 訟 で あ り、 その よ うな 積 極 的 に 公 表 しな い 態 度 を 決 定 した取 締 役 らに は、 会 社 に 対 して損 害賠 償 す る義 務 が あ る とい う申 立 て で あ る。

ダ ス キ ン事 件 につ い て は、 企 業 に お け る コ ン プ ライ ア ン ス体 制 の 構 築 義 務 が あ る とい う点 が 最 大 の 争 点 で あ るか の よ うな 理 解 が あ るが 、 そ れ は ま っ た くの 誤 解 で あ る。 争 点 は、 取 締 役 らに よ る 「隠 ぺ い」 を どの よ う に捉 え る か で あ る。

後 述 す る よ うに、 ダ ス キ ン判 決 は 、 「ク ライ シ ス マ ネ ジ メ ン ト」 とい う言葉 を判 決 の 中 で は じめ て 使 用 した 判 決 で あ る。 本 判 決 は、 「ク ライ シ ス マ ネ ジ メ ン ト」

の法 理 の端 緒 とな った 判 決 と位 置 づ け られ る。 通 常 、 「危 機 管 理 」 とは 、企 業 側 か らみ た 考 え方 で あ り、 企 業 が 不 祥 事 を いか に 防 止 す るか 、 不 祥 事 が 発 生 した 場 合 に どの よ うに 対 処 して い くか が 、 企 業 の テ ー マ とな る も の で あ る。

しか し、 企 業 側 の 論 理 だ け で 考 え る と き、 企 業 が 社 会 に 対 して い か に そ の責 任 を果 た す べ き か と い う観 点 が 抜 け落 ち て し ま う。 会 社 の ク ラ イ シ ス マ ネ ジ メ

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会 社 の ク ライ シ ス マネ ジメ ン トの 法理(上) 3/

ン トは 、 企 業 の社 会 的 責 任 論 か らア プ ロ ー チ す る こ とが 必 要 で あ る。 は た して ク ライ シ ス マ ネ ジ メ ン トの 法 理 に は 、 会 社 法 に お け る取 締 役 らの 善 管 注 意 義 務 の違 反 とい う観 点 しか な いの だ ろ うか とい う疑 問 が 本 稿 の 問 題 意 識 で あ る。

な お 、 これ を も っ て企 業 の 社 会 的 責 任 論 の 皮 切 り と し、 今 後 、 さ らに他 の 判 例 等 につ い て 分 析 を加 え なが ら、 さ さや か な 試 論 の連 載 を進 め た い と考 え て い

る。

2ダ ス キ ン事 件 の概 要

(1)事 実 関 係

本 件 は 、株 式 会 社 ダ ス キ ン(以 下 、 「ダ ス キ ン」 とい う)が 、 食 品 衛 生 法 に違 反 して 、 平 成12年4月 か ら同年12月20日 まで の間 、 無 認 可 添 加 物 「t一 ブ チ ル ヒ ドロキ ノ ン」(以 下 、 「TBHQ」 とい う)を 含 む 商 品 名 「大 肉 ま ん 」1314万 個 を 、 同社 が 展 開 す る ミス タ ー ドー ナ ッ加 盟 店 で 販 売(以 下 、 「本 件 販 売 」 とい

う)し た こ とに よ って 、加 盟 店 に 対 す る営 業 補 償 費 等 の た め 会社 に総 額106億2400 万 円 の 損 害 が 生 じた と して 、 ダ ス キ ンの 株 主 が 代 表 取 締 役 、 取 締 役 、 監 査 役 ら

を相 手 取 り、 右 損 害 を会 社 に賠 償 す る よ う求 め た 株 主 代 表 訴 訟 で あ る。

食 品 販 売 部 門 の 担 当専 務 取 締 役A及 び使 用 人 兼 取 締 役BがTBHQの 使 用 の 事 実 を知 っ た に もか か わ らず 、 これ を隠 蔽 して 販 売 継 続 の 決 定 を した とさ れ る 右被 告2名 に つ いて は 、 弁 論 が分 離 され た(な お 、 本 件 と分 離 され た 被 告両 名 に は 、 平 成13年2月9日 、 大 阪 地 裁 よ り、106億2400万 円全 額 につ い て の 損 害

5)

賠 償 責 任 を認 め る判 決 が 下 さ れ た)。

した が っ て 、 本 件 は 、 他 の 取 締 役 及 び監 査 役 につ い て の もの で あ る。

事 実 の経 過 は、 次 の 通 りで あ る。

① ダ ス キ ン は、 平 成12年4月 、 ミス ター ドー ナ ッ加 盟 店 店 頭 で 、株 式 会 社 ハ チ バ ン(以 下 ハ チ バ ン」 とい う)に 委 託 して 製 造 した 商 品 名 大 肉 まん 」 の テ ス ト販 売 を決 定 し、 同 年10月6日 、本 格 販 売 を開 始 した が 、 この 「大 肉 まん 」 に は 、 テ ス ト販 売 当 初 よ り食 品 衛 生 法 上 使 用 が 許 され て い な い添 加 物 で あ るTBHQが 含 まれ て い た 。 た だ し、TBHQは 無 認 可 添加 物 で は あ るが 、 特 に 人体 に は 無 害 で あ る酸 化 防 止 剤 で あ った 。

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② 平成12年8月 ころ か ら、 「大 肉 まん 」 の テ ス ト製 造 を して い た ア ー トワー ク ・エ ヌ 社 の 代 表 取 締 役Nは 、 ハ チ バ ンの 供 給 す る 「大 肉 ま ん 」 にTB HQが 含 まれ て い る こ とを知 り、 同年ll月30日 、 ダ ス キ ン を 訪 問 して 、 同社 従 業 員Zに これ を告 げ た 。

③Zは 、 直 ち に こ れ を ミス タ ー ドー ナ ッ ッ本 部 長Bに 報 告 し、Bは 畢 実 関 係 の 調 査 を指 示 した 。

④ 平 成12年12月2日 、 ハ チバ ンが 製 造 を 委 託 した 株 式 会 社 ニ ッキ ー フー ズ の 中 国 子 会 社 で あ る仁 木 食 品 が 、 原 材 料 の 仕 入 先 に 確 認 した と こ ろ 、無 認 可 添 加 物TBHQが 含 まれ て い た こ とが 判 明 した た め 、 同社 は 自主 的 に操 業 を停 止 した 。

⑤ この 頃 、Bは 、 専 務 取 締 役 フ ー ド事 業 担 当 のAに 事 実 を報 告 した 。

⑥Aお よびBは 、 平成12年12月8日 こ ろ、 ハ チバ ンが製 造 した 「大 肉 まん 」 に つ い て 販 売 を 継 続 す る こ とを決 定 した 。

⑦ 平 成12年12月20日 こ ろ、 本 件 販 売 は 終 了 した。

⑧ 平 成12年12月29日 、 事 情 を知 る取 引業 者 のDが 、 専 務 取 締 役Y2に 認 可 され て い な い添 加 物 が 混 入 され て い た 事 実 を指 摘 した が 、 特 に取 締 役 会 に知 らせ る な どの 措 置 は と ら なか っ た 。

⑨ ダス キ ン は、Nに 対 し、 口止 め 料 の 趣 旨 で、 平 成12年12月13日 に800万 円 、 同 月15日 に2500万 円、 平 成13年1月18日 に3000万 円 を そ れ ぞ れ 支

払 っ た(合 計6300万 円。 以 下 「本 件 支 払 」 とい う)。 な お、 この3000万 円 は 、 取締 役Aが 、C社 よ り借 り入 れ た 上 で支 払 い、 平 成14年2月20Cl、

ダス キ ン よ りC社 に返 済 さ れ て い る。

⑩ 平 成13年2月8日 、取 引業 者 のDは 、 ダス キ ン社 長 のYiに 未 認 可 の 添 加 物 混 入 を指 摘 した 。 この 時 点 で 、Y1は 、AとBか ら説 明 を させ て 、 その

内 容 を 了承 した 。

⑪ 平 成13年7月 中 旬 、 他 の取 締 役 は、Aか ら事 情 聴 取 を 行 い 、 詳 細 な=1実 を 認 識 した。

⑫ ダ ス キ ン は、 平 成13年9月 、 社 外 取 締 役Tの 提 案 に よ り、 調 査 委 員 会 を 設 置 した 。

⑬ 社 外 取 締 役Tは 、 新 社 長 で あ るY2宛 に 「緊 急 提 言 書 」 を提 出 した 。

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会社 の ク ライ シ ス マネ ジ メ ン トの 法理(上) 33

⑭ 調 査 委 員 会 に よ る調 査 の結 果 を受 け て 、 同 年11月29日 の 取 締 役 会 で 、A お よびBの 処 分 を決 定 した が 、本 件 販 売 の事 実 を積 極 的 に は公 表 しな い

こ と と した。

無 認 可 添 加 物 を含 む 「大 肉 まん」 の販 売 の 衷 実 は、 「大 肉 まん 」 販 売 終 了後 、 厚 生 労 働 省 ま た は 農 林 水 産 省 へ の 匿 名 に よ る通 報 、 保 健 所 の 立 ち 入 り検 査 を経 て 、 共 同通 信 社 の 取 材 の 後 、 ダ ス キ ン に よ る記 者 会 見 で 公 表 さ れ 、 平 成14年5月21日 以 降大 き く新 聞 報 道 さ れ た 。

⑯ ダ ス キ ンは 、平 成14年5月31日 、 大 阪 府 に よ る販 売 停 止 の行 政 処 分 を 受 けた 他 、 平 成15年9月4日 、 食 品 衛 生 法違 反 の 罪 で 罰 金20万 円 に 処 せ ら れ た。

⑰ ダス キ ン は、 平成14年4月1日 か ら平 成15年3月31日 の 間 、 食 品 衛 生 法 に違 反 す る 「大 肉 まん 」 を販 売 した こ とに 関 して 、 ミス タ ー ドー ナ ツ加 盟 店 営 業 補 償 、 信 頼 回 復 費 用 等 の た め 、合 計105億6100万1:1]の 出 摘 を し た(以 下 、 「本 件 出 掴 」 とい う)。

問 題 のTBHQは 、 製 造 委 託 先 で あ るハ チ バ ンか ら さ らに 製 造 を委 託 され た 株 式 会 社 ニ ッキ ー フー ズ が 、 中国 の子 会 社 で あ る山 東 仁 木 食 品 有 限公 司(以 下 、

仁 木 食 品 」 とい う)の 中 国工 場 で 「大 肉 まん 」 を製 造 す る際 に

、 その 皮 の 部 分 に 使 用 した 原 材 料 に 含 まれ て い た も の で あ っ た。

(2)原 告 の 主 張

本 件 訴 訟 に お い て 、原 告 は、 次 の よ うに主 張 した。

① ダ ス キ ン は、 食 品 衛 生 法 上 販 売 が 許 され て い な い 添 加 物 が ダス キ ンの販 売 す る食 品 に使 用 され る こ とが な い よ うな リス ク 管 理 体 制 を構 築 す る善 管 注 意義 務(旧 商254・3項 、 民644、 旧商280)が あ った の に これ を怠 り、

食 品 衛 生 法 上 販 売 が 許 され て い な い添 加 物 の 使 用 を 発 見 した場 合 に取 締 役 等 が どの よ う に報 告 し行 動 しな けれ ば な らな い の か 等 につ い て マ ニ ュ ア ル を作 成 し周 知 徹 底 させ 、 違 法 行 為 等 が あ れ ば即 座 に コ ン プ ライ ア ン ス部 門 等 を通 して 取 締 役 会 に報 告 され る体 制 を 構 築 す るな どの 善 管 注 意 義 務 が あ っ た の に これ を 怠 り、 そ の 結 果 、 ダ ス キ ン に ミス タ ー ドー ナ ツ 加 盟 店 営 業 補 償 、 キ ャ ンペ ー ン関 連 費用 等 の 出 掴 や 支 払 を余 儀 な くさせ 、

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合 計106億2400万 円 の 損 害 を 与 え た。

② ま た、 ダ ス キ ンが 、 「大 肉 ま ん」 にTBHQが 含 ま れ て い る こ とを知 らせ たNに 対 して6300万 円 を支 払 っ た こ とにつ い て 、 被 告 らは 、取 締 役 等 が 恐 喝 等 の 違 法 行 為 の 疑 い が あ る皐 実 を 認 識 した 場 合 に は 、 直 ち に コ ン プ ライ ア ン ス部 門 に報 告 し、 同 部 門 は 必 要 な調 査 を した上 、 取 締 役 会 に報 告 す る体 制 を構 築 す る善 管 注 意 義 務 が あ っ た の に これ を 怠 り、 ダ ス キ ン

に上 記 支 払 額 と同 額 の損 害 を与 え た 。

③ さ ら に、 被 告 らがTBHQを 含 ん だ 「大 肉 まん 」 が 販 売 され た こ とを認 識 した後 、 上 記 事 実 を公 表 す るな ど しな か った こ とにつ い て 、被 告 ら は、

上記 事 実 を公 表 し、 上 記 大 肉 まん 」 を 回 収 し、 謝 罪 等 の 被 害 回 復 措 置 を と るべ き 善 管 注 意 義 務 が あ っ た の に こ れ を 怠 り、 そ の 結 果 、 ダス キ ン に 上 記 の 出 掴 や 支 払 を余 儀 な く させ 、 合 計106億2400万 円 の 損 害 を与 え た 。

(3)争 点

本 件 にお け る主 な 争 点 は 、 次 の通 りで あ る。

大 肉 まん 」 にTBHQが 使 用 され た こ とに つ い て 、 被 告 ら に善 管 注 意 義 務 違 反 が 認 め られ るか 。

② 本 件 販 売 につ い て 、 被 告 らに 善 管 注意 義 務 違 反 が 認 め られ るか 。

③ 本 件 支 払 につ い て 、 被 告 ら に善 管 注 意 義 務 違 反 が 認 め られ るか 。

④ 被 告 らが 、 本 件 販 売 を認 識 した後 、 当 該 事 実 を公 表 す るな ど しな か っ た こ とに つ い て 、被 告 らに 善 管 注 意 義務 違 反 が 認 め られ るか 。

⑤ 被 告 らが 、 本 件 販 売 を認 識 した後 、 当 該 事 実 を公 表 す る な ど しな か っ た こ と と本 件 出掴 及 び 本 件 支 払 との 因 果 関 係

⑥ 被 告Ylが 、平 成13年2月 に何 らか の 食 品 衛 生 法 上 使 用 が 許 さ れ て い な い 添加 物 が 「大 肉 ま ん」 に 含 ま れ て い た との 噂 が あ っ た 旨の 事 実 しか 認 識 して い なか っ た 場 合 、 同 被 告 が 、 上 記 事 実 を 取 締 役 会 に報 告 す る な ど し な か った こ とにつ い て善 管 注 意 義 務 違 反 ・忠 実 義 務 違 反 が 認 め られ る か。

な お 、 以 下 に お い て 、 第 一 審 ・控 訴 審 の 判 決 を引 用 す るが 、 煩 瑳 を避 け るた め に あ え て か ぎ括 弧 で 示 さ な い。 また 、 長 い判 決 文 で あ るの で 、 筆 者 がTsと

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会 社 の ク ライ シス マ ネ ジ メ ン トの法 理(上) 35

思 わ れ る個 所 に は破 線 を施 した。

n

3第 一審 判 決

争 点①(TBHQ使 用 に つ い て の 善 管 注 意 義 務)に つ い て

ダ ス キ ン と して は、 ハ チ バ ンが 、 国 内 に お い て、 「大 肉 ま ん」 と類 似 の 蒸 し鮫 子 及 び 冷 凍 ワ ン タ ン等 を 自 ら製 造 販 売 して きた 実 績 を 有 し、 か つ 、 上 記 の とお り原 材 料 と製 品 の 検 査 実 施 を徹 底 して い る こ と を確 認 した 上 で 同社 に製 造 を 依 頼 す るの で あ るか ら、 ハ チ バ ンが 自 ら製 品 を製 造 しな い場 合 で あ っ て も 、 同 社 は、 国 内 に お い て 適 法 に販 売 す る こ との で き る食 品 を製 造 す る こ との で き る品 質 管 理 体 制 を 有 す る事 業 者 を選 定 して これ に 「大 肉 ま ん」 を製 造 させ る と通 常 予 測 す る と ころ で あ る。 そ して 、 ダ ス キ ン は 、 実 際 に 「大 肉 ま ん」 を製 造 す る 事 業 者 が 仁 木 食 品(前 記 の とお り、 当 時 農 林 水 産 省 食 肉加 工 食 品 認 定 工 場 で あ るの み な らずISO90002認 証 を取 得 して い た 。)で あ る こ とを確 認 して い るか ら、

仁 木 食 品 が 国 内 に お け る 中華 点 心 等 の製 造 及 び販 売 実 績 を 有 す る ニ ッ キ ー フー ズ に よ っ て 設 立 され た 会 社 で あ り、 上 記 認 証 を取 得 す る な ど して い る以 上 、 具 体 的 に原 材 料 に食 品 衛 生 法 に お い て指 定 され て い な い添 加 物 の 一 つ 一 つ につ い て それ が 含 まれ て い な いか を検 査 して い るか 否 か を 確 認 しな く と も、食 品 衛 生 法 に関 す る一 定 の 知 識(個 別 に指 定 を受 け な い 限 り、 添 加 物 を 使 用 す る こ とは で き な い こ と等)を 有 す る こ と を前 提 に 、 一 定 の 品 質 管 理 体 制 を有 して い る と 信 頼 した と して も これ を非 難 す る こ とは で きな い。

さ ら に、 ダ ス キ ンは 、 ハ チ バ ン に 「大 肉 ま ん」 の製 造 を委 託 す る に先 立 っ て 、 原 材 料 の 原 産 国 ・生 産 地 等 の記 載 の あ る原 材 料 規 格 書 を徴 求 し、 品 質 面 に 問 題 が な い こ とを確 認 し、 原 材 料 の 品 質 に疑 い が 生 じ た場 合 の 追 跡 可 能 性 を確 保 し て い る(製 造 され た 「大 肉 ま ん」 の 一 部 に 品 質 上 の 問題 が 生 じた場 合 、 原 材 料 の生 産 者 ま で た ど る こ とで 原 因 を 究 明 し、 問題 の 拡 大 を 防 止 し解 決 を図 る こ と が で き る。)。以 上 の 諸 事 情 を 総 合 す る と、 ダ ス キ ン と して は 、 平 成12年 当 時 、 ハ チ バ ンか ら 「大 肉 ま ん 」 の 供 給 を 受 け る に つ いて 品質 確 保 の た め に必 要 な 措 置 を講 じて い な か っ た と まで は認 め る こ とが で き な い。

これ に対 して 、 原 告 は、 被 告 取 締 役 らが 、 「大 肉 まん 」 に 食 品 衛 生 法 上 許 され

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て い な い 添 加 物 が 使 用 され な い よ う に、 社 内 に品 質 管 理 機 関 を 設 置 し、 〔1〕同 機 関 か ら 「大 肉 まん 」 の 試 作 品製 造 過 程 に人 材 を派 遣 す る 、 〔2〕試 作 品 を品 質 管 理 機 関 に お い て 検 査 す る、 〔3〕第 三 者 の学 識 者 に大 肉 ま ん の 試 作 品 の検 査 を 依 頼 す る、 〔4〕原 材 料 及 び 使 用 添 加 物 も含 め 、 大 肉 まん の 製 造 に 使 用 した 材 料 の詳 細 を報 告 させ 、 そ れ を品 質 管 理 機 関 が チ ェ ック す る等 の措 置 を講 じ るべ き で あ っ た 旨主 張 す る。

しか しな が ら、 食 品 を 販 売 す る会 社 で あ るか ら とい って 、 他 の 食 品 製 造 業 者 か ら食 品 の供 給 を受 け る際 、 当 然 にか つ 一 律 に、 自社 に お い て も独 自 に検 査 等 を しな けれ ば な らな い とか 、 試 作 品 製 造 過 程 に 自社 の 人 材 を 派 遣 しな けれ ば な らな い とい う こ とはで き ず 、 前 判 示 の とお り、 ダ ス キ ン と して は、 平 成12年 当 時 、 ハ チバ ンか ら 「大 肉 ま ん 」 の 供 給 を 受 け る に つ い て 品 質 確 保 の た め に必 要 な 措 置 を講 じて い な か っ た と まで は認 め る こ とが で き な い か ら、 原 告 の 上 記 主 張 は採 用 す る こ とが で き な い 。

また 、 原 告 は、 総 論 的 に マ ニ ュ ア ル の 作 成 及 び 周 知 徹 底 等 の リス ク管 理 体 制 構 築 義 務 の慨 怠 を主 張 す る が 、 本 件 に お いて 、 ダ ス キ ン と して は、 自社 に お い て 独 自 に検 査 等 を しな く と も、 ハ チバ ンか ら 「大 肉 ま ん」 の 供 給 を受 け る に つ い て 品 質 確 保 の た め に必 要 な 措 置 を講 じて い な か った と まで は認 め る こ とが で き な い か ら、 マ ニ ュ ア ル の作 成 及 び 周 知 徹 底 等 の 有 無 が 善 管 注 意 義 務 違 反 の 有 無 に関 す る判 断 を左 右 しな い こ とは 明 らか で あ る。

以 上 の とお り、 ダ ス キ ン は、 平 成12年 当時 、 ハ チ バ ン か ら 「大 肉 ま ん 」 の 供 給 を受 け る に つ い て 品 質 確 保 の た め に必 要 な措 置 を講 じて い な か った と まで は い え な い か ら、 この 点 に 関 す る 限 り、 当 時 フー ドサ ー ビス 事 業 グル ー プ抵 当 専 務 取 締 役 で あ っ たYl2及 び ミス タ ー ドー ナ ツFC本 部 長 取 締 役 で あ っ たY13に つ い て 、 業 務 担 当 取 締 役 又 は 使 用 人 兼 務 取 締 役 と して の 善 管 注 意 義 務 違 反 は 認 め られ な い。

した が っ て、 当 時代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 で あ っ た被 告Y】 につ い て 、 監 督 義 務 の慨 怠 は認 め られ ず 、 同 被 告 を 除 くそ の余 の 被 告 取 締 役 らに つ い て、 監 視 義 務 の僻 怠 は認 め られ な い 。 ま た 、被 告Y7に つ い て 、監 査 役 と して の 善 管 注 意 義 務 違 反 も認 め られ な い 。

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会 社 の ク ライ シ ス マネ ジメ ン トの 法 理(上) 37

争 点 ②(本 件 販 売 に つ い て の 善 管 注 意 義 務 違 反)に つ い て

健 全 な 会 社 経 営 を行 うた め に は 、 目的 とす る事 業 の種 類 、 性 質 等 に応 じて 生 じ る各 種 の リス ク、 例 え ば 、 信 用 リス ク、 市場 リス ク 、流 動 性 リス ク、 禦務 リ ス ク、 シ ス テ ム リス ク等 の 状 況 を 正確 に把 握 し、 適 切 に制 御 す る こ と、 す な わ ち リス ク管 理 が 欠 か せ ず 、 会 社 が 営 む 事 業 の規 模 、 特 性 等 に応 じた りス ク管 理 体 制(い わ ゆ る内 部 統 制 シス テ ム)を 整 備 す る こ とを要 す る。

も っ とも 、整 備 す べ き リス ク管 理 体 制 の 内容 は、 リス クが 現 実 化 して惹 起 す る様 々 な 事 件 事 故 の 経 験 の 蓄 積 と リス ク管 理 に 関 す る研 究 の 進 展 に よ り充 実 し て い くも の で あ る。 した が っ て 、 現 時 点 で 求 め られ て い る リス ク管 理 体 制 の 水 準 を もっ て 、 本 件 の判 断 基 準 とす る こ とは相 当 で な い とい うべ きで あ る。 また 、

どの よ うな 内 容 の リス ク管 理 体 制 を整 備 す べ きか は経 営判 断 の 問題 で あ り、 会 社 経 営 の 専 門 家 で あ る取 締 役 に 、 広 い 裁 量 が 与 え られ て い る とい うべ きで あ る。

本 件 は、 食 品 販 売 に 関 す る事 業 部 門 の業 務 担 当 取 締 役 及 び使 用 人 兼 務 取 締 役 が 、 自社 が 販 売 して い た 食 品 に食 品 衛 生 法 上使 用 が 許 され て い な い 添 加 物 が 含 まれ て い る こ と を知 っ た に もか か わ らず 、 そ の 販 売 を継 続 す る とい う違 法 行 為 に 出 た とい う事 案 で あ る。 そ こで 、 ダ ス キ ンの 本 件 販 売 当 時 に お け る リス ク管 理 体 制 の うち 、 違 法 行 為 を未 然 に 防 止 す る た め の 法 令 遵 守 体 制(具 体 的 な取 組 み を含 む 。)に つ い て検 討 す る に、 前 記 の とお り、 ダス キ ン は、 当時 、担 当取 締 役 は 経 営 上 の 重 要 な 事 項(販 売 して い た食 品 に 食 品 衛 生 法 上 使 用 が 許 さ れ て い な い 添 加 物 が 含 まれ て い た こ とは 、 食 品 を販 売 す る会 社 に と って は経 営 上 極 め て重 要 な 問 題 で あ る の は 明 らか で あ る。)を 取 締 役 会 に報 告 す る よ う定 め 、 従 業 員 に対 して も、 ミスや 突 発 的 な 問題 は速 や か に報 告 す る よ う周 知 徹 底 して お り、 違 法 行為 が 発 覚 した場 合 の 対応 体制 に つ いて も定 め て い た(「 内部 摘 発 」 に よ る違 法 行 為 の発 覚 も想 定 され て い る。)。ま た 、 その 上 で 、 実 際 に 起 こ っ た 食 中毒 に 関 す る企 業 不 祥 事 の 事 案 を取 上 げて 注 意 を 促 す セ ミナ ー も開 催 して い た もの で あ る。 これ ら を総 合 して み る と、 ダ ス キ ン に お け る違 法 行 為 を未 然 に 防 止 す るた め の 法令 遵 守 体 制 は、 本 件 販 売 当 時 、 整 備 さ れ て い な か っ た とま で は

い え な い も の とい うべ き で あ る。

これ に対 して 、 原 告 は、 違 法 行 為 等 が あ れ ば 即 座 に 「コ ン プ ライ ア ン ス部 門 」 又 は 「品 質 管 理 機 関 」 を通 して 取 締 役 会 に報 告 され る体 制 を構 築 し周 知 徹 底 し

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て お か な けれ ば な らな か っ た 旨主 張 す る。

しか しな が ら、 株 式 会 社 で あれ ば 当然 に か つ 一 律 に 「コ ン プ ライ ア ン ス部 門 」 を設 置 しな けれ ば な ら な い とか 、 食 品 を販 売 す る会 社 で あ れ ば 当然 にか つ一 律 に、 違 法 行 為 等 の情 報 を収 集 し取 締 役 会 に報 告 す る、 食 品 の企 画 ・製 造 ・販 売 の 部 門 か ら独 立 した機 関 と して の 「品 質 管 理 機 関 」 を設 置 しな けれ ば な らな い とま で は い う こ とが で き ず 、 前 判 示 の とお り、 ダ ス キ ン に お け る違 法 行 為 を 未 然 に 防止 す る た め の 法 令 遵 守 体 制 は 、本 件 販 売 当 時 、 整 備 され て い な か っ た と

まで は い えな い か ら、 原 告 の 上 記 主 張 は採 用 す る こ とが で きな い。

な お 、確 か に 、 本 件 の 場 合 、Nか らハ チ バ ンが 製 造 した 「大 肉 まん 」 にTB HQが 使 用 され て い る こ とを知 ら され たZが 、 自 己の 上 司 に 当 た るY13に 対 して の み な らず 、 フー ドサ ー ビ ス事 業 グ ル ー プの 外 の 機 関(取 締 役 会 を含 む 。)に 対 して も上 記 事 実 を報 告 して い れ ば 、本 件 販 売 が 決 定 され な か っ た可 能 性 が あ る こ とは結 果論 と して は否 定 で きな い。 しか しなが ら、 フー ドサ ー ビス 事 業 グル ー プ は 、前 記 の とお り、 ダ ス キ ン に お い て 、 他 の 事 業 部 門 と並 ん で そ れ 自体 あ た か も一 っ の 企 業 の よ うに独 立 して一 定 の 権 限 と責 任 を与 え られ た一 つ の事 業 部 門 で あ る と ころ、Zは 、 そ の よ うな 事 業 部 門 に お け る指 揮 命 令 系統 に従 っ て1'13 に上 記 事 実 を報 告 して 指 示 を仰 いだ もの で あ り、 そ の事 実 はYisを 通 じて 当 該 事 業 部 門 の最 高 責 任 者 で あ るYl2に も報 告 され た も の で あ る か ら、 フー ドサ ー ビス 事 業 グル ー プ の 指 揮 命 令 系 統 は正 常 に機 能 して い た とい え る。 本 件 は、 そ うで あ る に もか か わ らず 、 事業 部 門 の 最 高 責 任 者 で あ っ たYl2及 び これ に次 ぐ地 位 に あ っ たYl3が 、 稟議 規 定 に違 反 して上 記 事 実 を取締 役 会 に報 告せ ず 秘 密 裏 に あ え て違 法 行 為 を行 う とい う意 思 決 定 を した とい う事 案 で あ り、 本 件 販 売 当 時 、 そ の よ うな 場 合 を も想 定 して 、 従 業 員 に対 し、 自己 の属 す る事 業 部 門 の指 揮 命 令 系 統 に従 っ て情 報 を伝 達 す る の み な らず 、 当 該 事 業 部 門 の 外 に あ る機 関 に も同 じ情 報 を伝 達 す る こ とを 義 務 づ け る体 制 を構 築 して お か な け れ ば な らな か っ た と まで は い う こ とが で き な い。

また 、 原 告 は 、 取 締 役 会 は 、違 法 添 加 物 の 使 用 を発 見 した 際 、 どの よ う に報 告 し行 動 しな けれ ば な ら な い の か 等 に つ い て 、 マ ニ ュ ア ル を作 成 し、 そ れ を従 業 者 に周 知 徹 底 させ な けれ ば な ら なか っ た 旨主 張 す る。

しか しな が ら、Y12及 びYl3は 、 「大 肉 まん」 に食 品 衛 生 法 上 使 用 が許 され て い

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会社 の ク ライ シ スマ ネ ジ メ ン トの 法理(上) 39

な いTBHQが 含 まれ て い る こ とを知 りな が ら、 あ え て そ の 販 売 継 続 を決 定 し た の で あ っ て(当 事 者 間 に 争 いが な い 。)、食 品 衛 生 法 上 使 用 が 許 さ れ て い な い 添 加 物 の 使 用 を 発 見 した 際 に どの よ う に報 告 し行 動 しな け れ ば な らな い の か 等 に つ い て 無 知 で あ っ た が ゆ え に販 売 を 継 続 した もの で は な い か ら、 原 告 の上 記 主 張 は理 由 が な い 。

以 上 の とお り、 ダ ス キ ン に お け る違 法 行 為 を 未 然 に 防 止 す る た め の 法 令 遵 守 体 制 は、 本 件 販 売 当 時 、 整 備 さ れ て い なか っ た とまで は い え な い か ら、 被 告 取 締 役 ら につ い て善 管 注 意 義 務 違 反 は認 め られ な い。 また 、被 告Y7に つ い て 、 監 査 役 と して の 善 管 注 意 義 務 違 反 も認 め られ な い 。

争 点 ③(本 件 支 払 に つ い て の 善 管 注 意 義 務 違 反)に つ い て

ダ ス キ ンは 、 前 記 の とお り、本 件 支 払 当 時 、 全 事 業 部 門 を 「完 全 資 金 独 算 会 社 」 と し、権 限 と責 任 を各=r業 部 門 の 責 任 者 に委 譲 す る 旨 の稟 議 規 定 の 改 定 を 行 っ て お り、 フー ドサ ー ビス 事 業 グル ー プ の場 合 、3000万 円 以 下 の案 件 に つ い て はYI3の 単 独 決 裁 に よっ て 、3000万 円超1億 円 以 下 の案 件 に つ い て はYizお よ びYisの 共 同 決 裁 に よ って 、 原 則 と して被 告Y3や 取 締 役 会 の 決 裁 を要 す る こ と な く処 理 す る こ とが 認 め られ て い た。 ダ ス キ ン の よ う に全 く種 類 の 異 な る分 野 に ま た が っ て 事 業 を 展 開 す る会 社 に お い て 、 事 業 分 野 ご とに 当 該 事 業 を 取 り巻 く環 境 等 様 々 な考 慮 要 素 を 的 確 に把 握 して 総 合 的 に評 価 し、 時 機 を失 す る こ と な く経 営 判 断 を す る こ とを可 能 に す る、本 社 部 門 が 全 社 戦 略 に 専 念 す る こ とを 可 能 に す る等 の 観 点 か ら、各 事 業 分 野 ご とに 自律 性 ・独 立 性 の 高 い組 織(事 部 、 事 業 部 門 、 カ ンパ ニ ー等)を 設 け 、 当 該 箏 業 部 門 に権 限 と責 任 を 委 譲 す る こ とは 、 会 社 の組 織 の あ り方 と して一 定 の 合 理 性 を有 す る。 そ して 、 そ の よ う な組 織 体 制 を構 築 す る以 上 、 事 業 部 門 が そ の権 限 の 範 囲 内で 出掴 を す る場 合 に、

本 社 部 門 が 常 に そ の 出 掴 の必 要 性 、相 当 性 等 を審 査 しな け れ ば な らな い とま で は い う こ とが で きず 、 本 社 部 門 に どの よ うな 内 容 の 経 理 体 制 を整 備 す べ きか は、

経 営 判 断 の 問 題 で あ り、 会 社 経 営 の専 門 家 で あ る取 締 役 に 、 広 い裁 量 が 与 え ら れ て い る とい うべ きで あ る。

そ して 、 前 記 の とお り、 ダ ス キ ン は 、 稟 議 規 定 に定 め られ た 決 裁 権 限 の 範 囲 内で 、各 事 業 部 門 の 統 括 責 任 者 及 び担 当 役 員 の責 任 の 下 に 、 伝 票 入 力 か ら証 票

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等 の チ ェ ッ ク及 び 伝 票 の 承 認 行 為 に至 る まで の 処 理 が 各 事 業 部 門 内で 完 結 さ れ 、 経 理 本 部 が その 出掴 の 必 要 性 、 相 当性 等 を審 査 しな い シ ス テ ム を採 用 して い た もの で あ るが 、 同 時 に、 履 歴 付 き の経 理 デ ー タ を いつ で も検 索 、 照 会 等 す る こ とが で き る シ ス テ ム を採 用 して お り、 一 度 特 定 の 事 業 部 門 の 出 掴 に つ い て 疑 義 が 生 じれ ば 、 当 該 出 掴 を含 む 当 該 事 業 部 門 の 出摘 に つ い て さか の ぼ っ て 調 査 す る こ とが で き る追 跡 可 能 性 が 確 保 され て い た こ と、 ダ ス キ ンの 平 成12年4月1 日か ら平 成13年3月31日 ま で の仕 訳 レ コー ド件 数 は、 借 方 と貸 方 を別 々 に数 え る と1日 平 均1万7617件 と多 数 に及 ん で お り、 経 理 本 部 にお い て これ らの 経 理 処 理 を事 前 に 審 査 す る体 制 を構 築 す る た め に は相 当 の 人 員 と費 用 を投 じな けれ ば な ら な い もの と推 認 され る こ と に加 え 、 そ も そ も経 理 本 部 の 業 務 内容 は 予 算 業 務 及 び決 算 業 務 で あ っ た こ と等 を も併 せ 考 慮 す れ ぼ 、 経 理 本 部 が 事 業 部 門 の 出掴 の 必 要 性 、 相 当性 等 を審 査 す る体 制 を構 築 しな か った か ら と い っ て 、 当 時 経 理 担 当 取 締 役 で あ っ た 被 告Y5に つ い て 、 使 用 人 兼 務 取締 役 と して の 善 管 注 意 義 務 違 反 は認 め られ な い 。

した が って 、 当 時代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 で あ っ た被 告Yiに つ い て 、監 督 義 務 の慨 怠 は認 め られ ず 、 同被 告 を 除 くその 余 の被 告 取 締 役 ら につ い て 、 監 視 義 務 の慨 怠 は 認 め られ な い 。 また 、 被 告Y7に つ い て 、 監 査 役 と して の 善 管 注 意 義 務 違 反 も認 め られ な い。

これ に 対 し、原 告 は 、本 件 支 払 につ いて 、Yl3の 個 人 口座 あ て に い っ た ん 振 り 込 ま れ て い る な どの不 自 然 、 不 可 解 な点 が あ っ た に もか か わ らず 、 被 告Y5が 漫 然 と これ を見 逃 した 旨主 張 す るが 、 前 判 示 の とお り、 そ も そ も 、経 理 本 部 が 事 業 部 門 の 出 摘 の必 要 性 、 相 当 性 等 を審 査 す る体 制 を構 築 しな か っ た か ら とい っ て 、 被 告Y5に つ い て善 管 注 意 義 務 違 反 は認 め られ な い の で あ るか ら、 上 記 主 張

は理 由 が な い。

争 点 ④(本 件 販 売 認 識 後 の対 応 に つ い て の 著 管 注 意 義 務 違 反)に つ い て 複 数 の 事 業 を営 む 相 当 程 度 規 模 の大 きい 会 社 に お い て 、複 数 の業 務 担 当取 締 役 の 間 の 職 務 分 掌 を 定 め る以 上 、 特 定 の 事 業 部 門 に 関 す る事 実 につ い て は担 当 取 締 役 が 処 理 を す れ ば よ い とい う の が原 則 で あ る とい え る。 しか しな が ら、 他 方 に お い て 、 取 締 役 会 は、 会 社 の 全 事 業 に つ い て取 締 役 の職 務 執 行 を 監 督 す る

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会 社 の ク ライ シ ス マネ ジメ ン トの 法理(上) 41

機 関 で あ り、 取 締 役 は その 構 成 員 で あ る。

そ して 、 ダ ス キ ン に お い て は 、 稟 議 規 定 に お いて 、経 営 上 の重 要 な蘂 項 に つ い て は、 役 員 協 議 会(取 締 役 会)に 報 告 す る よ うに定 め られ て い た と こ ろ、 食 品 販 売 事 業 を 営 む 会 社 にお い て 、 使 用 が 許 され て い な い 添 加 物 を 含 ん だ 食 品 を 販 売 す る とい う、 具 体 的 な法 令 に 違 反 して い る可 能 性 の あ る行 為 が 経 営 上 の 亟 要 な 事 項 に該 当 す る こ とは 明 らか で あ る。 した が っ て 、 取 締 役 が 、 具 体 的 な 法 令 に違 反 す る可 能 性 の あ る事 実 を 認 識 した 以 上 、 担 当 取 締 役 か ら合 理 的 な 説 明 (例 え ば 、既 に とった 具 体 的対 応 策 や客 観 的 な 証 拠 を示 して の法 令 違 反 の 衷 実 が な い 等 の説 明)が され るな どの特 段 の 事 情 が 認 め られ な い 限 り、役 員 協議 会(取 締 役 会)に 対 して報 告 す る か 、 少 な く と も業 務 執 行 機 関 の最 高 責 任 者 で あ る代 表 取 締 役 社 長 等 に報 告 しな け れ ば な らな い 善 管 注 意 義 務 を負 う に至 る もの と解 す る。

本 件 に お い て 、 被 告Y2は 、 前 記 の とお り、具 体 的 な 法 令 に違 反 す る可 能 性 の あ るfii実を認 識 した もの で あ るか ら、担 当取 締 役 で あ るYisに 単 な る嘉 実 確 認 を す る に と ど ま る の で は な く(被 告Y2の 陳 述 書(乙 ウ70号 証)に よれ ば 、 「大 肉 まん 」 に何 か 問 題 が あ っ た の か 、 との 問 い か け に対 し、Yl3は 、 そ の件 は既 に 処 理 が 済 ん で い る と答 え た に と どま る とい う の で あ り、 仮 に 上 記 陳 述 啓 の 記 載 の とお りで あ っ た と して も、 上 記 特 段 の 嘉 情 を認 め る に は到 底 足 りな い 。)、被 告

Y2と して は 、 少 な く と も、 当 時 ダ ス キ ン の業 務 執 行 機 関 の最 高 責 任 者 で あ っ た 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 の被 告Yiに 報 告 しな け れ ば な らな い善 管 注 意 義 務 を負 っ て い た もの とい え る。 しか る に、 被 告Y2は 、 上 記 義 務 を 怠 っ た もの で あ る。

原 告 は 、 ダ ス キ ン は 、違 法 行 為 を認 識 した ら、 直 ち に違 法 添 加 物 を食 べ させ た消 費 者 に被 害 回 復 を 申 し出 る体 制 を構 築 しな けれ ば な らな か っ た と主 張 す る。

しか しな が ら、原 告 は 、 上 記 体 制 の 内 容 等 を何 ら具 体 的 に 主 張 しな い か ら、 上 記 主 張 は それ 自体 失 当 で あ る。

争 点 ⑤(本 件 販 売 認 識 後 の 対 応 と 損 害 の 間 の 因 果 関 係)に つ い て

本 件 に お い て、 被 告Y2が 、 「大 肉 まん 」 に使 用 が 許 され て い な い 添加 物 が含 ま れ て い た とい う事 実 を知 った の は 、本 件 販 売 の 終 了 後 約9日 が 経 過 した 時 点 で あ り、 当 時 、 「大 肉 まん 」 は 、 店 頭 に お い て直 ち に食 べ られ る よ うに蒸 した状 態

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で の み販 売 され て い た 〈証 拠 略 〉 とは い え、 購 入 者 が 自宅 に持 ち帰 っ た後 、 冷 蔵 な い し冷 凍 保 存 を す る ケ ー ス な ど も考 え られ な くも な い の で あ るか ら、 お よ そ全 く回 収 の 余 地 が な い とは い え な い 状 況 で あ っ た 。 した が っ て 、 そ の 時 点 に お いて 、 被 告Y2が 、 「大 肉 まん」 に使 用 が許 され て い な い添 加 物 が 含 まれ て い た とい う事 実 を 当 時 代 表 取 締 役 会長 兼 社 長 で あ っ た被 告Ylに 報 告 して い た とす れ ば、 同被 告 が 取 締 役 会 を招 集 す る か 、 あ る い は 自 らの 職 務 権 限 を行 使 して 、 本 件 販 売 の 対 象 とな った 「大 肉 まん」 を回 収 す る措 置 を早 期 に講 じ る可能 性 が あ っ た とい え る。 また 、 被 告Y2が 上 記 報 告 を して いれ ば、 本 件 支 払 の う ち、 平 成13 年1月18日 に、Yl3がNに 支 払 っ た3000万 円 につ い て は、 支 払 を 止 め る こ とが 可 能 で あ っ た と推 認 され る。 さ らに 、 マ ス コ ミは 、 本 件 販 売 及 び本 件 支 払 に つ いて 、 ダ ス キ ン が食 品 衛 生 法 上 使 用 が 許 され て い な い添 加 物 を使 用 した 「大 肉 まん 」 の 販 売 を故 意 で 継 続 す る とい う食 品 衛 生 法 違 反 行 為 を行 っ た こ と及 び そ れ に か らん で 当該 事 実 を指 摘 した 業 者 に 「口止 め 料 」 を支 払 っ て い た こ と、被 告Y1に よ り隠 ぺ いが さ れ た こ と等 の 疑 惑 等 を 大 き く報 道 して い る とこ ろ、 被 告 Y2の 善…管 注 意 義 務 違 反 が な けれ ば、 同 年1月18日 支 払 の3000万 円 の支 払 を 防 止 す る こ とは もち ろ ん、 既 に支 払 済 み の3300万 円 に つ いて も早 期 解 決 が 図 られ た 可 能 性 も否 定 で きな い し、 そ の 後 の 隠 ぺ い疑 惑 も生 じ る余 地 が な か っ た か ら、

マ ス コ ミ に よ る 上 記 報 道 の 内 容 も相 当 程 度 異 な っ て い た蓋 然 性 が あ っ た と推 認 され る 。 そ うす れ ば 、 ダ ス キ ン の ミス ター ドー ナ ツ事 業 及 び そ の他 の 事 業 の信 用 が 損 な わ れ 、 売 上 げが 減 少 した こ とに よ っ て 、 同社 が 負 担 しな けれ ば な らな くな る費 用 を本 件 出 掴 の額 よ り も少 な くす る こ とが で き る蓋 然 性 が あ っ た と認 め られ る。

した が って 、 被 告Y2の 善 管 注 意 義 務 違 反 行 為 と本 件 出 掲 及 び 本 件 支 払 の う ち 平 成13年1月18日 支 払 の3000万 円 との 間 の 法律 上 の 因果 関係 が否 定 され る こ と は な い 。

な お 、被 告Yiは 、 平 成13年2月 に 、Dか ら 「大 肉 ま ん」 に食 品衛 生 法 上 使 用 が 許 され て い な い 添加 物 が 入 って い る とい う噂 が 出 て い る旨 を 告 げ られ て 、Yl2 お よ びYl3を 呼 び 出 した が 、 上 記 添 加 物 が 検 出 され な か っ た 旨 の証 明書 を示 され て、 そ れ 以 上 の 事 実 関係 の 調 査 、 確 認 を して い な い が 、被 告Y2の 善 管 注 意 義 務 違 反 行 為 が あ っ た 当 時 は、 平 成12年12月 末 の 段 階 で あ って 、 本 件 販 売 終 了 後 約

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会 社 の ク ライ シ スマ ネ ジ メ ン トの 法理(上) 43

9日 経 過 した だ けで あ り、 か つ 、 本 件 支 払 の う ち3000万 円 の支 払 は 未 だ され て い な い段 階 で あ る こ とや 、 ダ ス キ ン の 当時 の専 務 取 締 役 の被 告Y2か らの 指 摘 で あ る こ と を考 慮 す る と、 上 記 の とお り、 早 期 に 「大 肉 ま ん 」 の 回 収 の 措iuを と る蓋 然 性 や 本 件 支 払 の うち3000万 円 の 支 払 を 防 止 す る蓋 然 性 が あ っ た と認 め る の が相 当 で あ る。

しか しなが ら、 そ もそ も、 食 品販 売 事 業 を営 む 会 社 が 、 過 去 に 、 飲 食 に 関 す る衛 生 の 見 地 か ら法 律 上 使 用 す る こ とが 許 され て い な い 添 加 物 を 含 ん だ 食 品 を 故 意 で販 売 して いた とい う=」実(食 品 衛 生 法 違 反 の犯 罪行 為 に 該 当 す る。)に 加 え て 、 「口止 め料 」 の 支 払 が され て い た事 実 等 を 消 費 者 が 知 った 場 合 、上 記 專 実 が 消 費 者 が知 った 時 期 や 同 社 が 上 記 事 実 を 自 ら積 極 的 に 公 表 す るか 否 か に か か わ らず 、 消 費 者 は、 同 社 が 販 売 す る食 品 の安 全 性 に つ い て 不 信 、 不 安 を 抱 き、

そ の 結 果 と して 、 同社 の 食 品販 売 事 業 の信 用 が 損 な わ れ 、 同社 が 販 売 す る食 品 の 売 上 げ が 減 少 す る蓋 然 性 が あ る ほか 、 同社 の 営 む他 の 事 業 に つ い て も信 用 が 損 な わ れ 、 売 上 げ が 減 少 す る蓋 然 性 が あ る もの と推 認 され る 。 食 品 は体 内 に摂 取 す る もの で あ っ て 、 一 般 に 、 消 費 者 は そ の 安 全 性 に つ い て 敏 感 に反 応 す る も

の で あ る と こ ろ、

た とえ 、 当 該 会 社 が 、 法 律 上 使 用 す る こ とが 許 され て い な い 添 加 物 を ん だ 食 品 を販 売 して い た とい う事 実 を 自 ら公 表 した と して も、 同社 が 現 在 及 び 今 後 販 売 す る食 品 が 当然 に安 全 で あ る と信 頼 す る もの で は な く、 や は り同社 が 販 売 す る食 品 の安 全 性 に つ い て 不 信 、 不 安 を 抱 くもの と推 認 さ れ る上 、 消 費者 は、 必 ず し も特 定 の 会 社 の 営 む複 数 の 事 業 を 峻 別 せ ず 、 あ る事 業 に つ い て 法令 に違 反 した 会 社 は、 他 の 事 業 に っ い て も法 令 に 違 反 す るの で は な い か とい う不 信 、 不 安 を抱 く蓋 然 性 が あ る も の と推 認 さ れ るか らで あ る。

そ して 、本 件 に お い て は 、Y12お よ び1'13が 、 食 品 衛 生 法 違 反 を認 識 しなが ら 本 件 販 売 の 継 続 を 決 定 し実 行 して い た か ら、 何 らか の 原 因 、 方 法 に よ って そ の 事 実 を 消 費者 が 知 る蓋 然 性 が あ った 。 した が っ て 、 被 告Y2が 大 肉 まん 」 に 使 用 が 許 され て い な い添 加 物 が 含 ま れ て い た とい う纂 実 を 当 時 代 表 取 締 役 会 長 兼 社 長 で あ っ た被 告Y1に 報 告 し、 ダス キ ン にお い て 、 本 件 販 売 の終 了 後 早 期 に 、

大 肉 まん」 の 回 収 の 措 置 を と り、 本 件 支 払 の う ち3000万FIヨの支 払 を 防止 して い た と して も、 や は り、 消 費 者 が 本 件 販 売 の 事 実 を知 っ て ダ ス キ ンの 販 売 す る食

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品 の 安 全 につ い て不 信 、 不 安 を抱 き、 そ の結 果 と して 、 同社 の信 用 が 損 なわ れ 、 売 上 げ が減 少 し、 同 社 が 本 件 出 掴 の よ うな 性 格 を 有 す る 多 額 の 費 用 を 負 担 しな け れ ば な らな くな る蓋 然 性 が あ った もの で あ る。

そ うす る と、 被 告Y2に 対 し、本 件 出 掴 や 本 件 支 払(そ の うち3000万 円)と い う損 害 の全 額 につ い て 賠 償 させ るの は公 平 を 失 す るか ら、 寄 与 度 に応 じた 因 果 関係 の 割 合 的認 定 を 行 うの が 合 理 的 で あ り、Yl2お よびY13が 食 品衛 生 法 違 反 を 認 識 しなが ら本 件 販 売 の 継 続 を 決 定 し実 行 す る とい う重 大 な 法 令 違 反 行 為 が 先 行 して い る こ と、 上 記 行 為 が 本 件 出 摘 及 び本 件 支 払 と い う損 害 の 発 生 に 不 可 欠 な原 因 とな っ て お り圧 倒 的 に寄 与 して い る と考 え られ る こ と、 被 告Y2が 大 肉 ま ん 」 に使 用 が 許 さ れ て い な い添 加 物 が 含 まれ て い た と い う事 実 を認 識 した 時 点 に お い て は既 に本 件 販 売 が 終 了 し、 本 件 支 払 の う ち3300万 円 も支 払 わ れ て い た こ と等 を勘 酌 し、 同被 告 は、 本 件 出 掴 相 当 額 で あ る105億6100万 円及 び 本 件 支 払 の うち3000万 円 の 合 計105億9100万 円 の う ち、5パ ー セ ン トに 当 た る5億 2955万 円 の 限 度 で 責 任 を 負 う もの とす る の が 相 当 で あ る。

争 点 ⑥(被 告Y1が 噂 を 取 締 役 会 に報 告 す るな ど しな か っ た こ と に つ い て の 善 管 注 意 義 務 違 反 ・忠 実 義 務 違 反)に つ いて

原 告 は 、 仮 に 、 被 告Yiが 、 平 成13年2月 当 時 、 何 らか の食 品衛 生 法 上 使 用 が 許 さ れ て い な い 添 加 物 が 「大 肉 ま ん 」 に含 ま れ て い た との 噂 が あ った 旨 の 衷 実 しか 認 識 して い な か っ た と して も、 同 被 告 は 、 上 記 噂 の 出 所 、 検 査 機 関 の 適 正 性 、 検 査 寧 項 及 び 検 査 方 法 の 適 正 性 並 び に問 題 とな っ て い る添 加 物 の 種 類 及 び 人 体 へ の 影 響 力 等 につ い て 、 自 ら又 は部 下 に 指 示 して 積 極 的 に調 査 、 確 認 す る と と も に、 上 記 噂 が あ っ た こ とを取 締 役 会 に報 告 し、 上 記 調 査 結 果 を一 般 消 費 者 に公 表 す る な どの 善 管 注 意 義 務 ・忠 実 義 務 を 負 っ て い た 旨主 張 す る。

しか しな が ら、被 告Ylは 、 平 成13年2月 、Dか ら、 「大 肉 まん 」 に食 品 衛 生 法 上 使 用 が 許 さ れ て い な い 添 加 物 が 入 っ て い る とい う噂 が 出 て い る 旨告 げ られ て、Yizお よびY13を 呼 び 出 した が 、 同人 らが 、 そ の よ うな 噂 が 出 た こ とは 専 実 で あ るが 、実 際 には 上 記 添 加 物 は検 出 され な か った 旨報 告 し、 「不 検 出 」 と い う 検 査 結 果 の 記 載 され た公 的 機 関 の証 明 書(乙 ウ14号 証 参 照)を 示 した の で 、 同 被 告 は これ を信 頼 して 特 に 事 実 関 係 の 調 査 、 確 認 を指 示 しなか っ た とい うの で

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会 社 の ク ライ シ ス マネ ジメ ン トの 法 理(上) 4S

あ り、 そ の よ うな状 況 下 に お い て、 被 告Ylに お い て 、原 告 主 張 の 事 実 関 係 に つ い て 自 ら又 は部 下 に指 示 して 積 極 的 に調 査 、確 認 しな け れ ば な らな い善 管 注 意 義 務 ・忠 実 義 務 や 、 上 記 噂 が あ っ た こ とを取 締 役 会 に 上 程 しな け れ ば な らな い 善 管 注 意 義 務 ・忠 実 義 務 を認 め る こ とはで きな いか ら、 原 告 の 上 記 主 張 は 理 由

が な い。

8)

4控 訴審 判 決

本 件 判 決 に 対 して は 、取 締 役 らの隠 蔽 体 質 等 につ い て の責 任 が認 め られ なか っ た こ と等 を不 服 と して 、 原 告 が 控 訴 した。 控 訴 審 で あ る大 阪 高 裁 は、 平 成18年

6月9日 、 被 告ll名 全 員 につ き、 約5億5800万 円 の賠 償 責 任 を認 め る判 決 を下 した 。 第 一 審 判 決 が 、他 の 取 締 役 に っ いて は、 販 売 終 了約1年 後 で あ る平 成13 年ll月 末 の 時 点 に お い て 、 本 件 販 売 の 事 実 を認 識 し、 積 極 的 に は公 表 しな い 旨 を決 定 した との認 定 を した 上 で 、 本 件 出 掴 との 因果 関 係 を否 定 した の に 対 し、

控 訴 審 判 決 は 、TBHQの 使 用 量 が人 体 へ の実 害 が ない 程度 で あ り、 問題 の 「 肉 ま ん」 も、 す で に消 費 され て い て 回収 可 能 性 が な か っ た と して も、 これ らの 事 実 を早 期 に 自 ら公 表 す る こ とで 、 損 害 を軽 減 で きた との判 断 を した 。

① 「大 肉 まん 」 にTBHQが 混 入 した こ と(以 下 「本 件 混 入 」 とい う こ とが あ る。)に つ い て 、 一 審 被 告 らに 善 管 注 意 義務 違 反 が 認 め られ るか 。

② 本 件 販 売 に つ い て 、m被 告 らに 善 管 注 意 義 務 違 反 が 認 め られ るか 。

③ 本 件 支 払 に つ い て 、 一 審 被 告 らに 善 管 注 意 義 務 違 反 が 認 め られ るか 。

④ 一 審 被 告 らの本 件 販 売 等 を認 識 した後 の 対 応 、 当 該 事 実 を公 表 す るな ど しな か っ た こ とな ど にっ い て 、 一 審 被 告 ら に善 管 注 意 義 務 違 反 が 認 め られ るか 。

⑤ 一 審 被 告 らの本 件 販 売 等 を認 識 した 後 の 対 応 、 当 該 事 実 を公 表 す るな ど しな か っ た こ とな ど と本 件 出 掲 及 び本 件 支 払 との 因 果 関 係

⑥ 一 審 被 告Ylが 未 認 可 添 加 物 混 入 の うわ さが あ っ た とい う事 実 しか 認 識 して い な か った と した 場 合 に 、 同 被 告 に 善 管 注 意 義 務 ・忠 実 義務 違 反 が 認 め られ る か 。

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争 点①(本 件 混 入 に つ い て の 善 管 注 意 義 務 違 反)に つ い て

ダ ス キ ン は飲 茶 事 業 全 般 の技 術 指 導 契 約 を皇 宮 の 間 に締 結 して い た と ころ 、 皇 宮 は飲 茶 事 業 に 関連 した 飲 食 店 を 自 ら経 営 す る もの で 「大 肉 ま ん」 製 造 に つ い て も専 門 的 知 識 を 有 す る と認 め られ る か ら、 そ の 皇 宮 の技 術 指 導 及 び 生 産 に 対 す る監 督 に よ っ て 、 自 ら品 質 管 理 を行 うの と同等 以 上 の 監 督 が 期 待 で き た。

以 上 の 諸 事 情 を総 合 す る と、 ダ ス キ ン と して は 、 平 成12年 当 時 、 ハ チ バ ンか ら 「大 肉 ま ん 」 の 供 給 を 受 け る に つ いて 品質 確 保 の た め に必 要 な 措 置 を講 じて い な か った と まで は認 め る こ とが で き な い。

一 審 原 告 は、 総 論 的 に マ ニ ュ ア ル の 作 成 及 び 周 知 徹 底 等 の リス ク管 理 体 制 構 築 義 務 の 慨 怠 を 主 張 す るが 、 本 件 に お い て、 ダ ス キ ン と して は、 自社 に お いて 独 自 に検 査 等 を しな く と も、 ハ チバ ンか ら 「大 肉 ま ん 」 の 供 給 を 受 け る に っ い て 品 質 確 保 の た め に必 要 な 措 置 を講 じて い な か った とま で は認 め る こ とが で き な い か ら、 マ ニ ュ ア ル の作 成 及 び周 知徹 底 等 の 有 無 が 善 管 注 意 義 務 違 反 の 有 無 に関 す る判 断 を左 右 しな い こ とは明 らか で あ る。

争 点 ②(本 件 販 売 に つ い て の 善 管 注 意義 務 違 反)に つ い て

一 審 原 告 らは、 カ ンパ ニ ー 制 度 を設 け て 皐 業 部 門 の 独 立 性 を認 め る場 合 に も 取 締 役 の監 視 義 務 は 全 社 に及 ぶ の で あ るか ら、 当 該 事 業 部 門 限 りで情 報 が と ど ま る こ とが な い よ う に、 現 場 か らの 情 報 が 複 数 の ル ー トを 通 って 伝 達 され る よ う に体 制 づ く りを す る必 要 が あ る と主 張 す る。 しか しな が ら、 事 業 部 門 の独 立 性 を高 め るの は、 当 該 会 社 が 多 岐 に亘 る事 業 経 営 を して い るた め、 一 定 の 基 準 を 設 け て、 その 範 囲 内 で は 当 該 部 門 内部 で 処 理 が 可 能 な こ と と して経 営 効 率 の 向 上 を 目指 す も の で あ るか ら、 情 報 の全 て を他 の 部 門 に伝 達 す る こ と を要 求 す るの は そ の趣 旨 に反 す る。 取 締 役 の 監 視 義務 が 部 門 ご との 限 定 な く、 全 社 に及 ぶ こ とは 当然 で あ るが 、 そ の監 視 の 方 法 は、 各 事 案 につ い て の 個別 の 事 前 チ ェ ッ

ク に限 られ る も の で は な い。 ダ ス キ ンは 、 経 営 上 の 重 要 な情 報 を取 締 役 会 へ の 報 告 事 項 と定 め て い た か ら、 各 取 締 役 が 定 め られ た 義 務 を果 た せ ば、 各 事 業 部 門 に 生 じ る問題 を全 社 的 に議 論 す る こ とが 可 能 に な っ て い た もの で あ る。

以 上 の とお り、 ダ ス キ ン に お け る違 法 行 為 を未 然 に 防 止 す るた め の 法 令 遵 守 体 制 は 、 本 件 販 売 当 時 、 整 備 さ れ て い な か っ た と まで は い え な いか ら、 一 審 被

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会 社 の ク ライ シ ス マネ ジ メ ン トの法 理(上) 47

告 取締 役 らにつ い て 善 管 注 意 義 務 違 反 は 認 め られ な い 。 また 、 一 審 被 告Y8に つ い て 、 監 査 役 と して の 善 管 注 意 義 務 違 反 も認 め られ な い 。

争 点 ③(本 件 支 払 に つ いて の 善 管 注 意 義 務 違 反)に つ い て

一 審 原 告 は、 以上 に対 して、本件支 払につ いての経理処理 は、K個 人の 口座 に対 す る仮 払 い が 行 わ れ 、 そ の 支 払 い理 由 も 「異物 混 入 」 な ど とい う不 自然 な もの で あ っ た に もか か わ らず 、 一 審 被 告Y6が これ を漫 然 と見 逃 した の は、 善 管 注 意 義 務 違 反 に 当 た る 旨主 張 す る。 しか し、 前 記 の とお り、 所 定 の 決 裁 権 限 の 範 囲 内 で は、 各 衷 業 部 門 の 経 理 処 理 に つ い て の 責 任 を 当 該 部 門 に委 ね 、 経 理 本 部 は そ の 出掴 の 必 要 性 、相 当 性 を審 査 しな い と い うシ ス テ ムで あ る以 上 、 仮 払 いや 支 払 い名 目 な どを検 討 しな い の は 当 然 で あ り、 一 審 被 告Y6に 上 記 一 審 原 告 主 張 の よ うな 点 につ い て 善 管 注 意 義 務 違 反 は認 め られ な い 。

た だ し、 一 審 被 告Y2が 本 件 混 入 等 の 事 実 を知 っ た と きに 適 切 に行 動 して い た ら、 本 件 支 払 の 内3000万 円 の 支 払 い を 阻 止 で きた と推 認 され 、 その 点 に つ い て 善 管 注 意 義 務 違 反 が認 め られ る こ とは、 後 記 の とお りで あ る。

争 点 ④(一 審 被 告 らが 本 件 販 売 等 を認 識 した 後 の対 応 、 当 該 事 実 を公 表 す る な ど し な か った こ と な ど に つ い て 、 一 審 被 告 ら に善 管 注 意 義 務 違 反 等 が認 め ら れ るか)に つ い て

食 品 の 安 全 性 の 確 保 は 、食 品 会 社 に課 せ られ た 最 も重 要 で 基 本 的 な 社 会 的 な 責 任 で あ る。 した が っ て 、食 品 会 社 は 、 安 全 性 に 問 題 の あ る食 品 が 製 造 、 販 売 され な い よ うに予 め 万 全 の 体 制 を整 え る と共 に 、 万 一 安 全 性 に疑 問 の あ る食 品 を販 売 した こ とが 判 明 した場 合 に は 、 直 ち に これ を回 収 す る な どの 措 償 を講 じ て 、 消 費 者 の 健 康 に障 害 が 生 じな い よ う に あ らゆ る手 だ て を尽 くす 責 任 が あ る こ と は い う まで も な い。 また 、 食 品 の 安 全 性 に っ い て の判 断 は 、 科 学 的 な 知 見 に基 づ い て 的 確 に な さ れ る こ とは も とよ り、 食 品 衛 生 法 及 び そ の 他 の 法 令 通 達 等 の 基 準 に従 って な され るべ きで あ る こ と も当 然 の こ とで あ る。 そ して 、 第2

の4の 前 提 事 実 の 項 で認 定 判 断 した とお り、TBHQは 未 認 可 食 品 添 加 物 で あ り、 これ が 混 入 した 「大 肉 ま ん 」 の 製 造 、 販 売 は食 品 衛 生 法 に 違 反 し、 人 の 健 康 を 損 な うお それ の あ る違 法 行 為 に該 当 す る。 した が って 、 これ の 混 入 が 判 明

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