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東北薬科大学 審査学位論文(博士)要旨

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Academic year: 2021

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東北薬科大学

審査学位論文(博士)要旨

氏名(本籍) コンノ タカシ

今野 崇(宮城県)

学位の種類 博士(薬学)

学位記番号 甲第136

学位授与の日付 平成26318

学位授与の要件 学位規則第4条1項該当

学位論文題名 Dermorphin N 末端テトラペプチド誘導体 TAPA 脊髄鎮痛作用発現機構の解析

論文審査委員

主査 特任教授 櫻 田 忍 副査 教 授 永 田 清 副査 教 授 顧 建 国

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Dermorphin N末端テトラペプチド誘導体TAPA 脊髄鎮痛作用発現機構の解析

論文内容要旨

東北薬科大学大学院薬学研究科 薬学専攻博士課程後期課程

機能形態学教室

今野 崇

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1

Dermorphin N 末端テトラペプチド誘導体 TAPA の脊髄鎮痛作用発現機

構の解析

東北薬科大学大学院薬学研究科 機能形態学教室 今野 崇

緒言

南米産カエルの皮膚より単離された dermorphin は、受容体に対する高い親和性 と選択性を有するヘプタペプチドである。Dermorphinは、脳室内投与(i.c.v.)、脊髄 クモ膜下腔内投与(i.t.)、皮下投与(s.c.)ならびに静脈内投与などの種々の投与経路 において、受容体を介した強力な鎮痛作用を発現することが明らかとなっている。

Dermorphin の構造活性相関に関する研究により、その N 末端テトラペプチドが

容体作動薬としての最小構造である事が明らかとなり、また 2 位に D-Arg2を導入す る事により、中枢性の鎮痛作用が極めて増強される事が報告されている。櫻田らは、

強力な新規鎮痛薬の創製を目指し、さらにdermorphin誘導体の構造活性相関を検討 した結果、D-Arg2 を含む数多くの dermorphin N 末端テトラペプチド誘導体、

Tyr-D-Arg-Phe--Ala-OHTAPA)、Tyr-D-Arg-Phe--Ala-NH2TAPA-NH2)、

Tyr-D-Arg-Phe-Sar-OH TAPS ) 、 H2NC(=NH)-Tyr-D-Arg-Phe--Ala-OH

(amidino-TAPA)、H2NC(=NH)-Tyr-D-Arg-Phe-Me-Ala-OH(ADAMB)等を開発 した。中でもTAPAは、モルヒネと比べてi.c.v.、i.t.およびs.c.における鎮痛効力が、

それぞれ2000倍、1100倍、および9.1倍という強力な鎮痛作用を発現する。またTAPA

は、dermorphinと同様に受容体に対して高い親和性と選択性を有しており、その鎮

痛作用は受容体を介して発現していることが明らかにされている。さらにTAPAは、

マウス脳内および脊髄内のいずれにおいても酵素的に安定であり、この酵素抵抗性が TAPA の強力な鎮痛作用に関与している事が明らかにされている。しかし、その鎮痛 作用の詳細な発現メカニズムは未だ不明である。

本研究では、dermorphin N末端テトラペプチド誘導体であるTAPAの脊髄鎮痛作 用発現メカニズムを行動薬理学的に検討した。

実験方法

実験には、体重22-25 gddY系、CXBK系、C57BL/6ByJ系、prodynorphin 損およびその野生型の各種雄性マウスを使用した。薬物は、TAPA、-funaltrexamine、

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naltrindole nor-binaltorphimine naloxonazine D-Pro2-endomorphin-2

D-Pro2-endomorphin-1、D-Pro2-Tyr-W-MIF-1、dynorphin A 抗体 、dynorphin B 体、-neo-endorphin抗体、[Leu5]enkephalin抗体および[Met5]enkephalin抗体を用 い、全て人工脳脊髄液(artificial cerebrospinal fluid : aCSF)で希釈した。また薬物 投与は、Hylden and Wilcoxの方法に準じi.t.で行なった。投与薬液量は、5 l/mouse とした。鎮痛作用は、tail-flick 法によって測定し、最大有効反応率(%MPE : percent maximum possible effect)で表した。実験は 1 10 匹で行ない、統計学的検定は one-way analysis of variance(ANOVA)あるいはtwo-way ANOVAを用いて行なっ た後、Bonferroni’s test で後検定した。危険率 5%未満を有意差ありとした。また用 量反応曲線は、GraphPad Prism 4を用いて算出し、F-testを用いて比較した。

実験結果および考察 TAPAの脊髄鎮痛作用

ddY系雄性マウスを用い、TAPAの脊髄鎮痛作用を測定した。TAPA(0.265-0.750

pmol)の i.t.投与により、用量依存的な鎮痛作用が発現した。TAPA の脊髄鎮痛作用

は、投与後10分をピークとし、その後徐々に低下し90分後に消失した。作用ピーク 時におけるTAPA50%有効用量(ED50値)は0.3360 pmolであり、選択的受容体 作動薬であるDAMGO(ED50値:3.866 pmol)の11.5倍強力であった。

TAPAの脊髄鎮痛作用における各種オピオイド受容体の関与

オ ピ オ イ ド 受 容 体 はお よ び受 容 体 に 分 類 さ れ る 。受 容 体 拮 抗 薬 の

-funaltrexamine(0.5-4 nmol)、受容体拮抗薬のnor-binaltorphimine(1-4 nmol)

および受容体拮抗薬のnaltrindole(0.033 nmol)を用い、TAPA(0.75 pmol)の脊 髄鎮痛作用における各種オピオイド受容体の関与を検討した。TAPA の脊髄鎮痛作用 は、受容体拮抗薬の-funaltrexamineおよび、受容体拮抗薬のnor-binaltorphimine の前処置によって用量依存的に抑制された。一方、naltrindole前処置による影響は認 められなかった。以上の結果から、TAPAの脊髄鎮痛作用は受容体および受容体を 介して発現していることが明らかとなった。

TAPAの脊髄鎮痛作用における受容体サブタイプの関与

受容体は、naloxonazineに対する感受性の違いによって1受容体および2受容体 に細分化される。選択的1 受容体拮抗薬である naloxonazine(1.4-5.5 nmol)と

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D-Pro2-endomorphin-225-200 pmol) お よ び 選 択 的2 受 容 体 拮 抗 薬 で あ る

D-Pro2-endomorphin-1(0.01-0.25 pmol)とD-Pro2-Tyr-W-MIF-1(25-1200 pmol)

を用い、TAPA(0.75 pmol)の脊髄鎮痛作用における1受容体および2受容体の関与 を検討した。TAPA の脊髄鎮痛作用は、選択的1受容体拮抗薬である naloxonazine および D-Pro2-endomorphin-2 によって用量依存的に有意に抑制された。一方、選択 的2受容体拮抗薬である D-Pro2-endomorphin-1 および D-Pro2-Tyr-W-MIF-1 は、

TAPA の脊髄鎮痛作用に影響を及ぼさなかった。以上の結果より、TAPA の脊髄鎮痛 作用は1受容体を介して発現していることが明らかとなった。

CXBKマウスにおけるTAPAの脊髄鎮痛作用

TAPAの脊髄鎮痛作用における1受容体の関与を明らかにする目的で、自然発生的 1受容体が減少している CXBKマウスとその親系統である C57BL/6ByJマウスを 用いて実験を行なった。TAPA(0.375-12 pmol)は、CXBKマウスおよびC57BL/6ByJ マウスのいずれにおいても、用量依存的な鎮痛作用を発現した。しかしその用量反応 曲線は、C57BL/6ByJマウスと比較して、CXBKマウスにおいて6.5倍も著しく右側 にシフトした。CXBKマウスおよびC57BL/6ByJマウスにおけるTAPAED50値は、

それぞれ2.859 pmolおよび0.4384 pmolであった。以上の結果から、TAPAの脊髄 鎮痛作用は1受容体を介して発現している事が確認された。

TAPAの脊髄鎮痛作用における各種内因性オピオイドペプチドの関与

TAPA受容体に対する選択性が高く、受容体には殆ど親和性を示さない。しか し本研究において、TAPAの脊髄鎮痛作用はオピオイド受容体拮抗薬によって有意に 抑制された。この結果は、TAPAの脊髄鎮痛作用の発現に、内因性オピオイドペプチ ドが関与している可能性を示している。そこで、内因性オピオイドペプチドである dynorphin A、dynorphin Bおよび-neo-endorphinの抗体ならびに内因性オピオイ ドペプチドである[Leu5]enkephalinおよび[Met5]enkephalinの抗体を用いて、TAPA

(0.75 pmol)の脊髄鎮痛作用における内因性オピオイドペプチドの関与を検討した。

その結果、TAPA の脊髄鎮痛作用は、-neo-endorphin 抗体(1:800-1:50)の前処置 によって有意に抑制されたが、dynorphin A、dynorphin B、[Leu5]enkephalin、およ び[Met5]enkephalinの各抗体(1:50)の前処置によっては影響を受けなかった。以上 の結果から、TAPA の脊髄鎮痛作用の発現には、内因性オピオイドペプチドである

-neo-endorphinの遊離が関与していることが明らかとなった。

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Prodynorphin欠損マウスにおけるTAPAの脊髄鎮痛作用

TAPA の脊髄鎮痛作用の発現における内因性オピオイドペプチドの関与を明らか にする目的で、内因性オピオイドペプチドが欠損したprodynorphin欠損マウスおよ びその野生型を用いて検討を行なった。TAPA(0.265-3 pmol)は、prodynorphin 損マウスおよび野生型マウスのいずれにおいても、用量依存的な脊髄鎮痛作用を発現 した。しかしながら、prodynorphin 欠損マウスにおける用量反応曲線は、野生型マ ウスと比較すると 2.1 倍有意に右側にシフトした。Prodynorphin 欠損マウスおよび 野生型マウスにおけるTAPAED50値は、それぞれ0.8098 pmolおよび0.3804 pmol であった。以上の結果より、TAPAの脊髄鎮痛作用の発現には、内因性オピオイドペ プチドの遊離が関与していることが明らかとなった。

結論

本研究において、TAPAは脊髄1受容体を直接刺激することにより、強力な鎮痛作 用を発現することが明らかとなった。同時に、TAPA の脊髄1 受容体刺激によって、

内因性オピオイドペプチドである-neo-endorphin の遊離が誘発され、遊離した

-neo-endorphinが受容体を刺激することにより、より強力な脊髄鎮痛作用を発現す ることが明らかとなった。

主論文(原著論文)

H. Mizoguchi, T. Kon-no, H. Watanabe, C. Watanabe, A. Yonezawa, T. Sato, T.

Sakurada, S. Sakurada: Involvement of spinal release of -neo-endorphin on the antinociceptive effect of TAPA. Peptides (2013) 50: 139-144.

副論文(原著論文)

H. Mizoguchi, C. Watanabe, T. Higashiya, S. Takeda, K. Moriyama, Y. Aoki, T.

Kon-no, H. Takagi, A. Yonezawa, T. Sato, T. Sakurada, S. Sakurada: Distinct physiological role of amidino-TAPA-sensitive and DAMGO-insensitive -opioid receptor splice variants in the mouse spinal cord. European Journal of Pharmacology (2013) 711: 80-86.

参照

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