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学位論文題名Electron Transport Devices Fabricated on GaAs-based Quantum Wires and TheirApplication to Quantum Integrated Circuits

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 湯 元 美 樹

     学位論文題名

Electron Transport Devices Fabricated on     GaAs‑based Quantum Wires and Their Application to Quantum Integrated Circuits

(GaAs 系量子細線上に形成した電子輸送デバイスと      その量子集積回路への応用)

学位論文内容の要旨

    半 導体 電子 デバ イス は、 点接触型トランジスタに始まり、バイポーラトランジス タ 、MOS電 界 効 果 ト ラ ン ジ ス 夕 、 高 電 子 移 動 度 ト ラ ン ジス タ(HEMT)等の 種々 のデ バ イス ヘ発 展・ 分化 して いる 。 その 中で も、 シリ コンCMOSトラ ンジ スタ は、 低消費 電 力性 から 、現 在の 集積 回路 の大部分を占め半導体集積回路の発展を牽引してきた。

こ れら の半 導体 電子 デバ イス の高性能化はデバイスの微細化により支えられ、プロセ ス 技術 の発 展と 共に 、デ バイ ス の小 型化 が驚 異的 に進み 、1970年では10 ymであった デ ザイ ンル ール が、 現在 にお いては、100 nmを切るまでに至った。そして、同時に、

ボ トム アッ プア プロ ーチ とし て原子レベルで量子ナノ構造やその集積構造を形成する 技術が高度に発 展してきた。

    デ バイ スの 基本 寸法 がナ ノメートル領域に達し、半導体デバイス中の電子輸送を 支 配す る物 理は 古典 力学 から 量子力学ヘ移行しつっある。しかし、古典的デバイスに おいては量子力 学は負の方向に働き、ゲートリーク等様々な問題を引き起こしている。

従 って 、量 子力 学に 準ず る動 作を実現する量子デバイスが、次世代ナノエレクトロニ ク スを 担う 半導 体電 子デ バイ スとして研究開発されなければならない。量子デバイス は 微細 であ り高 密度 集積 化に 適し、超低電カスイッチング等のいくっもの利点を有す る 。し かし 、構 造や チャ ージ に非常に敏感で、利得が小さく大電流駆動能カに欠ける と ぃう 問題 点を 持つ 。従 って 、 従来 のLSIを 量子 デバ イスで置換して実現することは 困 難で あり 、こ れが 量子 デバ イス集積lIロ路の実現を妨げてきた大きな要因である。

    こ のよ うな 背景 のも と、 本論文は、量子効果に適した物性を有し、かつ、優れた 量 子ナ ノ集 積構 造形 成技 術に よ って 次世 代ナ ノエ レク トロ ニク ス材 料と して 重要な GaAs系 材料 を利 用し 、こ れに よる量子細線構造に独自のナノメートルスケールショツ ト キー ゲー トを 形成 する こと で、優れた性能を有し、超高集積化が可能な量子細線ト ラ ンジ スタ を実 現す る。 そし て、これを量子集積構造と量子輸送特性を最大限に活用 し た新 しい へキ サゴ ナル 二分 決 定グ ラフ (BDD) 量子 集積回路の基本デバイスに応用 し 、そ の集 積化 を図 ると 共に 、形成した電子輸送デバイスの動作速度や消費電カにつ い て 実 験 的 理 論 解 析 を 行 い 、 そ の 動 作 性 能 を 明 ら か に し た も の で あ る 。     本 論 文 は 8章 か ら 構 成 さ れ で ぃ る 。 以 下 に 各 章 の 要 旨 を 示 す 。

第1章では、本研究の歴史的背景と目的を述べると共に各章の概要を記している。

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     2章 で は 、 本 研 究 の デ バ イ ス に お い て 基 本 構 造 と な る 量 子 細 線 の 基 本 的 な 物 理     f  r

を 述 べ て い る 。

    第3章 では 、現 在ま で に研 究さ れて きた 半導 体量 子細線構造の実現手法とその特 徴 を述 べる と共 に、 本研 究で用いた化合 物半導体量子細線構造を作製する際に使用し た 実験 装置 およ び作 製し たデバイスの評 価に用いた測定方法について説明している。

    . 第4章で は、 イン プ レー ンゲ ート (IPG) およ びラップゲート (WPG)と呼ぶナ ノ メー トル スケ ール のシ ョッ トキ ーゲ ート を有 するGaAs系 量子 細線 トラ ンジ スタの 原 理と 構造 、作 製プ ロセ ス、および、作 製したデバイスの評価結果とその動作の理論 解 析結 果が 述ぺ てい る。 各々のゲート構 造を有する量子細線は低温から室温まで電界 効 果ト ラン ジス タと 同様 な良好なゲート 制御性を有することを示すと共に、低温にお い て明 瞭な 量子 化コ ンダ クタンスステッ プを実現した。さらに、低消費電カスイッチ ン グ実 現に おい て重 要な パラメータであ る量子化コンダクタンスステップエッジの傾 き を詳 細に 評価 し、 作製 した デバ イス では 低温 から60Kまで理論式を満たす線形性が 得 られ るこ とを 示し た。 また、ラップゲ ート構造では、垂直磁場抵抗振動測定から得 ら れた 実効 細線 幅の ゲー ト制御特性を、 フウルミ準位ピンニング現象を考慮したモデ ル を用 い、 理論 的に 説明 して いる 。

    第5章 で は 、 回 路 ア ーキ テク チャ とし て 二分 決定 グラ フ(BDD)論理 アー キテ ク チ ャを 採用 した 新し い 回路手法、ヘキサゴナル二分 決定グラフ量子回路に関して述べ て いる 。そ の概 念と 共 に、Si CMOSトラ ンジ スタ で 構成される従来の大規模集積回路 (LSI)の 限界 を超 えた 、超 低消 費電 力化 、超 高速 化 、超高集積化を実現可能な手法で あ るこ とを 説明 して い る。さらに、量子細線スイッ チをへキサゴナルナノ細線ネット ワ ーク に配 列す るこ と でBDD量 子回 路を 実装 する 手 法、その利点および論理関数表現 方 法に つい て説 明し て いる 。

    第6章 では 、 ヘキ サゴ ナルBDD量子 節点 デ バイ スの 構造 、作 製プ ロセ ス、 およ び 動 作特 性と 、そ の応 用に 関し て述べられている。第5章で説明されたヘキサゴナルBDD 量 子回 路を 実現 する ため 、第4章で 述べ られ たシ ョッ トキーラッ プゲート制御量子細 線 トラ ンジ スタ をBDD節点 デバ イス の出 力枝 に形 成さ れる量子細 線スイッチとして適 用 し、 実現 した 。作 製し た節 点デバイスは、低温から室温まで明 確なパススイッチン グ 動作 を実 現し た。 さら に、 その 応用 とし て 、AND論 理を 実現 する ヘキ サ ゴナ ルBDD 回 路 を 作 製 し 、 低 温 か ら 室 温 ま で 正 確 な 論 理 動 作 を 実 現 し た 。     第7章 で は 、 ヘ キ サ ゴ ナルBDD量子LSIの 動作 性能 評価 とさ らな る 高速 化・ 低消 費電 力化 を図 るこ とを 目指 し、量子 細線スイッチの速度および消費電カの評価手法お よび 評価 を行 った 結果 を述 ぺている 。ショットキーラップゲートを有する単体の量子 細線 スイ ッチ は10 MHzクロ ック で動 作す る こと を実 験的 に示 した 。ま た、 高周 波測 定の ため に新 たに 特殊 構造 を有する 量子細線デバイスを設計・試作・評価し、遮断周 波数5 GHzを 実 現し た。 測定 したSパ ラメ ー タを もと に等 価回 路解 析を 行い 、ゲ ート 容量 の重 要性 を指 摘し 、デ バイスの 微細化によるさらなる高速化への指針を得た。さ らに、電 力・遅延時間積評価をォfい 、本研究で開発された量子細線デバイスにより、

最 新 の ゲ ー ト 長20 nmを 有 するSi CMOSト ラン ジス タよ りも2桁 も優 れ た値 を実 現し た。 ゲー ト長 の短 縮化 によ り、さら なる電力・遅延時間積の低減が図れることを明ら かに した 。

第8章では、本論文の結論を述べている。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

長谷川 雨宮 福井 葛西

英機 好仁 孝志 誠也

     学 位 論 文 題 名

Electron Transport DevlCeSFabriCatedon     GaAS ‐ baSedQuantumWireSandTheir ApplicationtoQuantumIntegratedCirCuits

(GaAs 系量子細線上に形成した電子輸送デバイスと      その量子集積回路への応用)

    今 日 の電 子 産 業の 飛 躍 的発 展 を もた らし たのは、 シリコンCMOSトラン ジスタ である。

その 相補的構 成は、 原理的に 低消費電 カであ るため、 高密度 集積が可 能であ り、様々な大規 模 電 子 シ ス テ ム が実 現 さ れ、 現 在 に至 っ て いる 。 シ リコ ンCMOSト ラ ンジ ス タ の高 密 度 集 積化 と高性能 化はデ バイス寸 法の微細 化によ り達成さ れてき た。材料 ・プロ セス技術の進歩 に よ り 、 寸 法 の 微 細 化 は 驚 異 的 に 進 み 、 100 nmを 切 る ま で に 至 っ て い る 。     しか し、デバ イスの 基本寸法がナノメートル領域に達すると、種々の量子効果が現れる。

そし て、これ らは、 古典力学 を原理と するデ バイスに おいて は、多く の場合 有害であり、デ バイ ス性能を 劣化さ せる。例 えば、ト ンネル 効果によ るゲー トリーク 電流は 、シリコンCMOS トラ ンジスタ におい て、重大 な問題と なって いる。

    一方 、材料・ プロセ ス技術の進歩は、半導体ナノテクノロジーの急速な発展をもたらし、

量子 細線・量 子ドッ トなどの 人工的量 子構造 の実現が 可能と なった。 このた め、次世代エレ クト ロニクス を担う 半導体電 子デバイ スとし て、量子 力学を 基本原理 とする 量子デバイスの 研究 開発が、 活発化 した。量 子デバイ スは、 微細であ り、超 低消費電 カスイ ッチングを実現 でき るので、 かって ない高密 度の集積 化を実 現できる 可能性 がある。 しかし ―方、量子デバ イス は、構造 や浮遊 電荷に非 常に敏感 なため 、閾値電 圧の精 密制御が 困難で ある、利得が小 さく 大電流駆 動能カ に欠ける という問 題点を 持つ。し たがっ て、従来 のトラ ンジスタを、そ の ま ま 量 子 デ バ イ ス で 置 換 し た の で は 、LSIを 実 現 す る こ と は 不 可 能 で あ る 。     この ような背 景のも とに、本 論文は 、量子デ バイス の利点を 生かし、 かつ、欠点を補う 新し い試みと して、 量子細線 のネット ワーク を独自の ナノメ ートル寸 法のシ ョットキゲート で 制 御す る こ とに よ り 、二 分 決 定グ ラ フ(BDD)ア ー キ テ クチ ャ に もと づく大規 模論理 集積 回路 を実現す ること を検討し たもの疋 ある。 材料とし ては、 高速デバ イスや 量子ナノ集積構 造形 成に適し たガリ ウムヒソ 系材料を 採用し 、基本デ バイス や小規模 回路の 試作と評価・理 論解 析を通じ て、デ バイスの 動作速度 や消費 電カを明 らかに し、大規 模集積 化の可能性を示

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している。本論文は8章から構成されている。以下に各享の要旨を示す。

第1章 で は 、 本 研 究 の 歴 史 的 背 景 、 目 的 お よ ぴ 各 章 の 概 要 を 述 べ て い る 。 第2章では、本研究の量子集 積構造の基本となる量子細線の基礎物理を述べている。

    第3章 では 、半 導体 量子 細線 の 形成 法と その特徴を概観したあと 、本研究で用いた化合 物半 導 体量 子細 線構 造の作製法と作製装置、および、作製したデバイ スの評価法と評価装置 につ い て説 明し てい る。

    第4章 で は 、 イ ン プ レ ー ン ゲ ー ト(IPG)お よ び ラ ッ プ ゲ ー ト(WPG)と 呼 ぶ ナ ノ メ ー ト ル 寸法 のシ ョッ トキ ーグ冖トを有するガリウムヒソ量子細線トラン ジスタの構造、動作原 理 、 作製 プロ セス 、お よび、試作評価結果とその理論的考察が述べら れている。各々のゲー ト 構 造は 低温 から 室温 まで良好なゲート制御性を示すと共に、低温に おいてコンダクタンス の 量 子化 が明 瞭に 観察 された。さらに、スイッチングの低消費電力化 において重要なパラメ ー タ であ るゲ ート 電圧 に対する量子化コンダクタンスのステップの傾 きを詳細に評価し、低 温 か ら60Kま で理 論に 従う 関係 を 満た すこ とを 示した。また、ラップ ゲート構造について、

垂 直 磁場 抵抗 振動 測定 から得られた実効細線幅のゲート電圧依存性を 、表面フェルミ準位ピ ン ニ ン グ 現 象 を 考 慮 し た モ デ ル を 用 い 、 理 論 的 に 定 量 的 に 説 明 し て い る 。     第5章 で は 、 回 路 ア ー キ テ ク チ ャ と し て 二 分決 定グ ラフ(BDD)論 理ア ー キテ クチ ャを 採 用 し た 新 し い へ キサ ゴナ ルBDD量子 回路 に関 し、 その 概念 、論 理関 数表 現 方法 と特 色を 述 ぺて いる 。ま た、 具体 的実現法として、 量子細線スイッチをへキサゴナルナノ細線ネット ワ ー ク に 配 列 し たBDD量 子回 路構 成法 が説 明さ れて いる 。こ れに よれ ば、 本 手法 は量 子デ バ イ ス の 欠 点 を 補 う と と も に 、 シ リ コ ンCMOS大規 模集 積回 路の 限界 を超 え た、 超低 消費 電 力化 、超 高速 化、 超高 密度 高集 積化 が実 現可 能で ある 。

    第6章 で は 、 試 作 さ れ た へ キ サ ゴ ナ ルBDD量 子節 点デ バイ スの 構造 、作 製プ ロセ ス、

動作 特性 、お よび それ を用 い た基 本回 路が 述べ られて いる。節点デバイスは、その2つの出 力枝 にシ ョッ トキ ーラ ップ ゲート制御量子細線スイッチを形成して構成している。 低温から 室 温 ま で 明 確 な パス スイ ッチ ング 動作 が実 現さ れた 。さ らに 、AND論理 関数 を実 現す るへ キ サ ゴ ナ ルBDD回 路 を 作 製 し 、 低 温 か ら 室 温 ま で 正 確 な 論 理 動 作 を 実 現 し て い る 。     第7章 で は 、 ヘ キ サ ゴ ナ ルBDD量 子 大 規 模 集 積 回路 の高 速・ 低消 費電 力性 能の 目安 を 得 るた めに 、量 子細 線ス イッ チの速度および消費電カの 評価を行った結果を述べている。ま ず 、シ ョッ トキ ーラ ップ ゲー ト型 量子 細線 スイ ッチ は 、直 接測 定の 上限 であ る10 MHzクロ ッ ク動 作を 実験 的に 確認 した 。また、高インピーダンス のため困難なマイクロ波帯測定の目 的 で、 並列 集積 化し た特 殊量 子細 線デ バイ スを 設計 ・ 試作し、遮断周波数2.5 GHzを直接確 認 した 。測 定し たSパラ メ ータ をも とに 等価 回路 解析 を行 い、ゲート容量を評価し、デバイ ス の微 細化 によ るさ らな る高 速化 への 指針 を得 た。 さ らに、電力・遅延時間積(PDP)の評価 を 行い 、本 研究 で開 発さ れた 量子 細線 デバ イス によ り 、ゲート長20 nmを有する最新のシリ コ ンCMOSト ラ ン ジ ス タ よ り も2桁 も 優 れ たPDP値 を 得 る と と も に 、 ゲ ー ト 長 の 短 縮 化 に よ り、 さら なるPDP値低 減 が図 れる こと を明 らか にし た。

第8章では、本 論文の結論を述べている。

    こ れを 要す るに 、著 者は、量子デバイスの利点を生 かし、かつ、欠点を補う新しい試み と して 、ガ リウ ムヒ ソ系 量子細線ネッ卜ワークを独自の ナノメートルスケール・ショットキ ゲ ー ト で 制 御 す る こと によ り、 二分 決定 グラ フ(BDD)ア ーキ テク チャ にも とづ く大 規模 論

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理集積回路を実現することを基礎的な立場から検討し、有望な結果を得たものであり、半導 体工学の進歩に寄与するところ大である。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を 授与される資格あるものと認める。

参照

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をもたらす

の工業的生産の低コスト化が期待される。また、ATP 再生だけでなくGTP 再生も

    

   よっ て 著 者は , 北海道 大学博 士(工学 )の学 位を授与 される資 格ある