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博 士 ( 工 学 ) 五 十 嵐 学 位 論 文 題 名 Boundary and Finite Element Analyses of Helically Symmetric Electromagnetic Fields

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 五 十 嵐 学 位 論 文 題 名

    Boundary and Finite Element Analyses of Helically Symmetric Electromagnetic Fields

( ヘ リ カ ル 対 称 電 磁 界 の 境 界 お よ び 有 限 要 素 法 解 析 )

学位論文内容の要旨

  近 年, コ ンピ ュー タ の進 歩と 数 値計 算技 術 の発達に より,電磁界問題 の3次元解 析が可能にな りつ っあ る 。し かし な がら ,3次 元の 計 算モ デル の作成にはプリ プロセッシングソ フトウェアを 用い ても 一 般に 極め て 長い 時間がかかり,ま たその計算コストも 多大であるのが現 状である。計 算コ スト と 記憶 容量 の 面か ら,数値解の精度 が保証されるような 離散化節点数がと れない場合も ある 。従 っ て, 解析 対 象に 空間対称性を見い 出すことができる場 合には,それを利 用して計算モ デル の簡 略 化を 行う 必 要が ある 。 特に 計算 モ デルが2次元の空間 変数で記述できる ようなときに は,非常に効率の 良い解析を実行す ることができる。

  3次 元ユ ーク リ ッド 空間 においては ,3次元 問題を2次 元化できる空間対 称性として,(a)並進 対称性,(b)軸対称性,(c)ヘリカル対称性が存在する。これらの対称性のうち並進対称および軸対 称 に っ い て は , こ れ ま で 境 界 要 素 法(BEM)や 有 限 要 素 法(FEM)等 に よ る 多 数 の 電 磁 界 解 析 が報 告さ れ てき た。 し かし ながらヘリカル対 称系に関しては,汎 用の数値解析手法 にっいての報 告 が ほ と ん ど な さ れ て い な か っ た 。 本 論 文 で は , ヘ リ カ ル 対 称 電 磁 界問 題のBEMお よ びFEM 解析にっいて論じ ている。

  第1章で はヘ リ カル 対称 電 磁界 問題 の 数値 解析 手法に関する研 究を行う背景,電 気工学におけ るヘ リカ ル 系の 例, ヘ リカ ル対称電磁界問題 の解析手法に関する 研究の経緯,研究 課題,本研究 の位置づけにっい て述べている。

  第2章で は一 般 曲線 座標 の 理論 ,特 に 規準 ・逆 規準ベクトル, 計算テンソル,共 変・反変成分 表示 ,ス カ ラ一 .ベ ク トル 積,線素・面素・ 体素,微分演算子に っいて述べている 。さらにこれ らを 基礎 と して ,ヘ リ カル 対称 系 を記 述す る ツイ スト 座 標, ヘリ カ ル極座標を導 入している。

  第3章 で は ,BEM解 析 で 必要 とな る 基本 解に っ いて 述べ て いる 。ま ず ヘリ カル 対 称ベ クト ル 変形 ヘル ム ホル ツ方 程 式の 基本解tま ,3次元 の基本解のソースヘ リックスにっいて の積分から統

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一的に導出できることを示している。また求めた基本解の無限級数部の収束は計算点がソース点 に近づいたときに極めて遅くなることを指摘している。この問題を解決する方法として,基本解 を漸近展開して収束性の悪い成分を抜き出し,その成分の無限和を解析的に評価する方法の提案 を行い,実際の計算からその有効性を示している。さらにヘリカル対称系の基本解はソース近傍 で対数関数的に変化することを明らかにしている。.

  第4章で は ,ヘ リカ ル対称ポテンシャル問題のBEMおよびFEM定式化を行い, いくっかの 具体的な問題に本手法を適用している。まず最初にスカラーポテンシャル問題を取り上げ,閉領 域問題と開領域問題に対する定式化をツイスト座標を用いて与えている。特に開領域問題に対す るFEMでは,ラプラス方程式の解析解を用いて無限領域の面積分を疑似円形境界上の線積分に 置き換えることによって,これまでの難点を解消している。

  上記手法を用いて方形断面ヘlJカル柱内のポテンシャル 場を解析し,BEMとFEM解はピッ チによらず一致することを示した。また,ヘリカル波数で展開した2次摂動解は,ヘリカル波数 が小さいときには上記2っの数値解と精度良く一致することを示した。さらにへりカルコイル周 辺の静磁界を解析し,提案した手法による解は,解析解と良く一致することを示し,本手法の妥 当性を示した。またツイストペア線の周りの電界を解析し,ヘリカル波数の増加によって電界が 線近傍のみに局在化して行くことを示した。最後に本手法を用いて,超電導線の交流損失をツイ ストの効果を考慮して解析し,従来の2次元解析ではピッチが小さいときの損失を正しく計算で きないことを明らかにした。

  本章では続いてべク卜ルポテンシャルを未知数とする電磁流体力学的(MHD)プラズマのヘ リ カ ル対 称平 衡方 程式 のBEM.FEM定式 化 を行 い, 円形 断面 の へり カル容器内 のMHD平衡 を解析した。その結果,非線形平衡方程式の反復解法にPicard法を用いると平衡パラメ一夕に よって反復が数値的に不安定になることが分かった。この不安定な反復計算は,反復演算子の固 有 値を実効的に小さくするMarder―Weitzner法によって安定化できることを示した。さらに へ り アッ ク核 融合 炉内 のMHD平 衡 をFEMで 解析し, その結果が解析解と良く一 致すること を示した。またト口イダル方向の電流が存在しないという拘束条件をPicard法に組み入れると,

数 値的に安定で,しかもMarder−Weitzner法よりも収束の速い計算が実現できることを明ら かにした。

  第5章で は ヘリ カル 領域 の電 磁 波の 定常 導波 問題 に っい てのBEMおよびFEM定式化を与 え,それらを用いた解析にっいて論じている。

  本章ではまずヘルツベクトルを用いてマックスウェルの方程式をからスカラーヘルムホル`ソ方

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程 式 を 導出 し , そ れ を基 礎 と し て へり カ ル 導 波路のLewinの 摂動 解法を 説明し ている 。ま たス カ ラ ー ヘル ム ホ ル ` ソ方 程 式 に 対 するBEMお よびFEM定式 化 を ツ イ スト座 標上で 与え ている 。 BEM定 式 化 で は 所 謂 ハ イ ブ リ ッ ドBEMを 採 用 し, 線 形 の 固 有方 程 式 を マ ト リッ ク ス 形 式 で得 た 。 こ れら 数 値 解 法 とLewinの 摂 動 解 法 で方 形 断面ツ イスト 導波 管の伝 搬特性 を解析 した とこ ろ,3者 による 結果は 良く 一致す ること が分か った 。しか しなが ら,ス カラー ヘル ムホル ツ方程 式を 基礎と した 解析で は,導 波管のピッチが小さな場合,境界条件が不正確になることが分かり,

正確 な解析 には べクト ルヘル ムホル ツ方 程式を 解かな ければ ならな いこ とが示された。さらに反 復 計 算 を 必 要 と し な い ハ イブ リ ッ ドBEMに よ っ て も, 解 析 の 計 算コ ス ト はFEMに 較 べ て 高い こと が判明 した 。

  本章 で は 続 い て べク ト ル ヘ ル ムホ ル ツ 方 程式 のFEM定式化 を磁 界の反 変・共 変両成 分に っい て行 った。 スプ リアス 解対策 として はぺ ナルテ ィ法を 採用し た。定 式化 の結果,反変成分を用い た定 式化で は電 界のエ ネルギ ーを表 す項 が煩雑 な形式 となり ,共変 成分 を用いた定式化ではペナ ルテ ィ項が 複雑 な形式 となる ことが 分か り,両 定式化 を計算 機で実 現し たときの計算量は,ほぼ 同等 である こと が分か った。 上記手 法を 用いて 方形断 面ツイ スト導 波管 の伝搬特性を解析した結 果, 反変・ 共変 両定式 化によ る解は一致することが分かり,それらの定式化の等価性が示された。

また べクト ルヘ ルムホ ルツ方 程式を 摂動 法で解 いた解 は,本 手法に よる 解とピッチが大きなとき に倣 良く一 致す るが, ピッチ が小さ くな ると前 者に無 視でき ない誤 差が 生じることが明らかにさ れた 。

  6章 で は , 以 上 の 章 の 結 諭 と し て , 本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 の 要 点 を ま と て め て い る 。

学位論文審査の要旨

  本論 文は, これま で正 確な解 析が困 難であ ったへ りカ ル対称 性を有 する電磁界のための,境界 要 素 法(BEM)お よ び 有 限 要素 法(FEM)を 新 た に提 案 し , そ れ によ っ て へ り カル 対 称 ス カ ラ一

久 郎

利 一

正 武

間 井

柴 戸

本 深

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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ポ テン シ ャ ル 問 題,ベ クトル ポテ ンシャ ル問題 および 固有値 問題 を,2次元 問題と して精 度良く 効率的 に解 析でき ること を明ら かに したも のであ る。

  電気 ・電子 工学に おいて へり カル対 称性を 有する 種々 の装置 ・シス テムが 存在す るが ,それら の電磁 界を 精度良 く効率 的に解 析で きる汎 用の数 値解析 手法が これ までに は無く ,その 開発が切 望され てき た。

  まず 著者は ,一般 曲線座 標の 理論を 基礎と して, ヘリ カル対 称ペク トル変 形ヘル ムホ ルツ方程 式の基 本解 は,3次元 の基本 解のソ ースヘ リッ クース にっい ての積 分から統一的に導出できること を示し た。 また, 求めた 基本解 の無 限級数 部の収 束性は ,それ を漸 近展開 して収 束性の 悪い成分 を抜き 出し ,その 成分の 無限和 を解 析的に 評価す ること によっ て改 善でき ること を示し た。著者 は 上 記 の 結 果 に 基 づ い て , ヘ リ カ ル 対 称 電 磁 界 の た め の BEMを 構 築 し た 。   っ ぎ に 著 者fま , ヘ リ カル 対 称 ポ テ ンシ ャ ル 問 題 の ため のBEMお よ びFEM定 式 化 を 行 い, 具 体的な 電磁 界問題 に本手 法を適 用し た。ス カラー ポテン シャル 問題 にっい ては, 閉領域 問題と開 領 域問 題 に 対 す る定式 化をツ イス ト座標 を用い て与え た。特 に, 開領域 問題に 対するFEMで は,

ラプラ ス方 程式の 解析解 を用い て無 限領域 の面積 分を疑 似円形 境界 上の線 積分に 置き換 えること によっ て, これま での難 点を解 消し た。さ らに著 者は上 記手法 を用 いて方 形断面 ヘリカ ル領域内 の ポ テ ン シ ャ ル 場 を 解 析 し ,BEMとFEM解 が2次 摂 動 解 に 一 致 す る こ と を 示し , そ の 正 当性 を確認 した 。また ,上記 手法を へり カルコ イル周辺の静磁界解析,`ソイストペア線の電界解析,

超電導 線の 交流損 失解析 に適用 し, これま で不明 であっ た電磁 界に おける ヘリカ ル構造 の効果を 明らか にし た。

  こ れ に 続 い て著 者 は , ベ クト ル ポ テ ン シャ ル を 未 知 量 とす る 電 磁 流 体力 学 的 (MHD)プラ ズ マ の へ り カ ル 対 称 平 衡 方 程 式 のBEM・FEM定 式 化 を 行 い , ヘ リ カ ル 容 器 内 のMHD平 衡 を 解 析した 。そ の結果 ,非線 形平衡 方程 式の反 復解法 に,反 復演算 子の 固有値 を実効 的に小 さくする Marder―Weitzner法 およ び ト 口 イ ダル 方 向 の 電 流が 存 在 し な いと い う 拘 束 条 件を 課 し たPi‑

card法 を 用 い る と , 数 値 的 に 安 定 で 収 束 の 速 い 計 算 が 実 現 で き る こ と を 示 し た 。   さ ら に 著 者 は へ り カ ル 対 称 電 磁 界 解析 に お け る 固 有値 問 題 の た めのBEMおよ びFEMを開 発 し た 。 ま ず ス カ ラ ― ヘ ル ム ホ ル ツ 方 程 式 に対 す るBEMお よ びFEM定 式 化 を ツイ ス ト 座 標 上で 与えた 。こ れらの 数値解 法と摂 動法 による 方形断 面ツイ スト導 波管 の伝搬 特性は 良く一 致するこ とを示 し, その正 当性を 確認し た。 また, ピッチの小さいツイスト導波管を厳密に解析するには,

ベクト ルヘ ルムホ ルツ方 程式を 解く 必要が あるこ とを示 した。 この ため著 者は続 いてべ クトルヘ ル ムホ ル ツ 方 程 式のFEM定 式化 を 磁 界 の 反変 ・ 共 変 両 成分 に っ いて行 った。 定式化 の結果 ,反

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変成分を用いた定式化と共変成分を用いた定式化の計算量は,ほぼ同等であることを示した。さ らに上記手法を用いて方形断面ツイスト導波管の伝搬特性を解析し,反変・共変両定式化による 解が良く一致することを示し,それらの定式化の等価性を明らかにした。またべクトルヘルムホ ルツ方程式を摂動法で解いた解は,本手法による解とピッチが大きなときには良く一致するが,

ピッチが小さくなると前者に無視できない誤差が生じることを明らかにした。このことから,ツ イスト導波管の解析には提案したFEMが有効であることを示した。

  これを要するに,著者 はこれまで困難であったヘリカル対称電磁界の解析が,BEMおよび FEMによって効率的に精度良く行えることを明らかにしており,電気・電子工学の進歩に寄与 するところ大なるものがある。よって,著者は,博士(工学)の学位を授与される資格あるもの と認める。

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札幌法学 27 巻 1・2 合併号(2016) — 104 —