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学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

     博 士 ( 獣 医 学 ) 木 田 克 弥 学 位 論 文 題 名

乳牛の分娩および乾乳後10 日毎標準値による 代謝プロフんイルテストの実用化に関する研究

学位論文内容の要旨

  Payneら(1970)により提唱され た季U羽牛群に対するf協廿プロファイノレテスト(MP T)は、分娩後 日数 または拏し量により2〜3孚じ朝に区分された泌孚L牛と乾乳牛各数頭を対象に血液検査を実施して 生 産病の予兆を検出し、生産病を 予防しようというものである。診断は、 L期毎に測定結 果の平均 値 をあらかじめ乳期毎に設定され た標準値あるいぱ慓準値範囲と比較することにより行わ れる。と こ ろで 、 北海 道の 標準 約な 規模 であ る搾 乳牛50頭 前後 の酪農家においては、検査対象牛 に分娩時 期や 年齢の片寄りがあったり、潜在的な病牛の混在が見られたりすることが少たくない。そのため、

乳 期毎の平均値による診断ではく 変動の原因が牛群全体にかかわる飼養管理ヒの問題なの かあるい は特 定の個体の問題なのか判然と世ず、鰯釈を誤る可能性がある。したがって、lvIPTの診断fヨ韻4定 結 果 の 平 均 値 だ け で な く 個 体 毎 の 測 定 結 果 を 検 討 す る こ と も 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。   また 、 従来 のMPrで は、 分娩前 後の牛は生理的変動が大きく診断が困難であるとの理由 により、

検査 対象から除外されている。しかし、周産期は代謝病の発生に重大な・意味を持っており、この時 期 の牛を検査することは丶代謝異 常を早期に発見して有効な対策を講ずる上で極めて重要 であると 考えられる。

  そこ で 、本 研究 では 、乳 牛に対するMPTについて、分娩直前およぴ直後の牛の生理的変 化にも対 応 でき、個体の異常値も検出可能 な診断方法を確立することを目的とし、‑1.従来大きく 区分され て いた 乾 乳期 、泌 La9J期 、泌 乳最 盛 期、 泌乳 中期 および泌 乳後期の5乳期をさらに10日 毎に細区 分 した10日毎 標準 値(lO‑Day Criteria;10‑DC)を 平均 値土1.OSDの範 囲と して 設定し、2.飼料 給 与診 断 の補 助的 指標 とし て10‑DCに よるMPTでど の項 目が有効であるかについて野外牛 群におけ るMPT成 績と 飼料 給与 との 関係 を変 数 選択 重回 帰分 析により 検討し、3.周産期病の予防 手法とし て10‑DCによ るMPTの実 用性 につ いて 、高 泌乳 で周 産期 病が多発していた牛群における周 産期の代 鶺すプロファイノレの特徴を明らかするとともに、その発生が終息した際の代謝プロファイル の変化を 確認することにより検証した。

  1.10一DCの設定

  10一DCは、1987年 から1996年の 間にMPTが実 施 され た北 海道 内全 域の 一般酪農家1,130戸で飼 育さ れて いた 、合 計29,043頭の ホル スタ イン 種 乳牛 をも とに 設定 した この際、母集団の分布型 を検討し、歪度が大きく対数分布に近 似していたッグロブリン(Glb)、非エステル型脂肪酸(NEFA)、 アス パラ ギン 酸ア ミ ノトランスフェラーゼ(AST)およびッグルタミルトランスベプチダーゼ紅汀)

については、測定値を対数変換し標準 正規分布に近似させた後、統計処理を行った。これらの牛に ついて、乳期を乾孚L期(乾乳〜分娩)、泌乳初期(分娩〜分娩後49日)、泌剽最盛期(同50日〜109日)、

泌乳中期(同110日〜209日)およぴ泌 薯し後期(同210日〜章辞Dに区分した。さらに、乾乳日および

(2)

分 娩 日 を起 点 と して10日毎 に 細 区 分し 、 乾 乳期60日問 お よび泌 孚L期360日 間につい て10日毎 に 平均値土1. OSDを求め、平均値十1.OSDを上限、平均値―1.OSDを下限とする10‑DCを設定した。ま た 対照とし て乳期 毎に実用的な診断墓準として広く遺漏されてきた平均値土1. 3SDを孚嘲IJ標準値 (Stage Criteria;STC)と して求め 、10・DCの 変動とSTCとを 比較した さらに周 産期病 多発牛群 と 健 康牛群の 周産期 の牛につ いて、 両漂準値 範囲からの逸脱値の検出割合を両群問で比較するととも に 、 分 娩 前 後 の 110日 間 に お け る10日 毎 の 逸 脱 催 諦 食 出 状 況 に つ い て も 比 較 し た 。   10‑DCは、ボ ディコン ディシ ョンスコ ア、アル ブミン(Alb)、血 液尿素 窒素(BUN)、血糖(Glc)、 コ レステロ ーリレ(Cho)、NEFA、GGTお よびASTが乾乳期と泌 La9J期で変動し、特に分娩直後の10日 間 で は へマ ト ク リッ ト(Ht)、BUN、Choお よ びマ グ ネ シウ ム(S‑Mg)がSTCの範 囲 を 超え て大き く 変 動してい た。ま た、10‑DCは、周 産期病多 発牛群 において 、過肥 や低Alb、低Cho、低S‑Iolgおよ ぴ 高NEFAなど周 産期病多 発牛群 の問題点 を明確に 検出で きた。さ らに、10日毎の逸 脱缶噸 出状況 か ら 、10‑DCでは検査 頭数分布 にほば 一致して 逸脱値 を検出し たのに 対し、STCでは分 娩直前 ある い は直後に 逸脱と 判定され る例が 多い一方 で分娩後日数の経過と共に検出数が減少した。これらの こ とから、10‑DCはSTCより も周産 期の乳牛 の生理的変動を反映した診断カミ可能であることが確認 された。

  2.飼料給与診断における実用性

  一 般 骼 農 家343牛 群の 中 か ら、4,679頭 の飼 料 紺 とMPT廠 績の 関 係 を変 数 遥 髄回 帰 分 析に よ り検討した。

  MPT項 目 の測 定 値 およ び 乳量 について 、標準値 の平均 からのズ レの大 きさ、す なわち 偏差率を

((測定値一10日毎標準値の平均)/標準値のSD)の式より求め、これを独立変数(説明変数)として 従 属変数す なわち 各栄養成 分の栄 養充足率 および乳 量を予 測した。 なお、有意な説明変数は採用F 値≧4.0とする変数増加法により決定した。

  乳 量予測式 の適合 度は最も 良好(Rz=0. 214、p<0. 0001)で、その偏回帰係数からCho、S‑Mg、BUN お よびAlbに正の 、Glcお よぴ血 清カルシ ウム(S一Ca)に負の 関係が 認められ た。飼料 給与予 測式 では粗蛋白質の適合度が比較的良好(R2ニo. 072、p<0. 0001)で、BUNに正の関係が認められた。その 他 の飼料給 与予測 式の適合 度は低 かったも のの、各 予測式 において 、いくっかのMPT項目が飼料給 与に対する有意な説明変数として採用された。また、各予測式を孚L舌朔I亅にみると、泌乳中〜後期お よ び乾乳期 の飼料 給与予測 式の適 合度は、 乳量変動が大きいために飼料給与量が大きく変化する泌 乳初期よりも高かった。

  3.周産期病予防手段としての実用性

  MPT実施前の1年間に孚疇§、ダウす‑副霙群、第四胃変位、ケトン症、脂|肪ロ干およて瑚台盤停滞の 発 症 率 が高 く ( 平均27%)、 特に、MP実施前3ケ月 間に集中 的に発 生してい た牛群を 選定し 、そ の 中 か ら2回 目 のMPT尭晦 時 に 周産 期 病 の 発生 が 総 魯してい た17牛群 において 、周産 期病多発 時 と終息時のrvuyr成績を比較した。

  周 産期 病 多 発時 に は 、乾乳 期にお いてHt、Alb、Glc、Cho、S‑Caおよ びS‑Mgが低 下してい る個 体 が多かっ たが、 周産期病 の終息 時には、発生原因となっていた飼養管理上の問題が解消され、血 液成分値もまた正常値を示した,

  以上のことから、MPT診断基準としての10―I℃は、1.ぽrを周産湖の孚し牛にも応凋司能にし、2, 牛群の問題だけでなく個体の異常も判定でき、3.飼料給与冫贓兄や乳量変動の評価を可能にし、4. 周産期 病の要因 を明ら かにする ことが でき、5.周産期病に対する的確な予防を可能にするなど、

十分に実用的であると考えられた。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

乳牛の分娩および乾乳後 10 日毎標準値による 代謝プロフんイルテストの実用化に関する研究

  申 請 者 は 、 乳 牛 の 代 謝 プ ロ フ ん イ ル テ ス ト(MPT)に つ い て 、 生 理 的 変 動 の 大 き な 周 産 期 の 牛 に も 応 用 で き 、 個 体 毎 の 診 断 も 可 能 な 基 準 を 確 立 す る た め 、 乳 期 を 分 娩 お よ ぴ 乾 乳 後10日 毎 に 細 区 分 し た10日 毎 標 準 値 ( 平 均 値 士1標 準 偏 差 ) を 29, 043頭 の MPT成 績 を も と に 設 定 し 、 そ の 実 用 性 を 検 証 し た 。   ま ず 、 新 た に 設 定 さ れ た10日 毎 標 準 値 は 、 従 来 の 基 準 に 比 べ て 多 く の 項 目 で 乾 乳 期 と 泌 乳 初 期 に 変 動 が 認 め ら れ 、 特 に へ マ ト ク リ ヅ ト 、 血 液 尿 素 窒 素 、 コ レ ス テ ロ ー ル お よ び マ グ ネ シ ウ ム は 分 娩 直 後 で の 変 動 が 大 き か っ た 。   次 い で 、10日 毎 標 準 値 に 基 づ く4,679頭 のMPT成 績 に つ い て 、MPT項 目 を 独 立 変 数 、 乳 量 お よ ぴ 栄 養 充 足 率 を 従 属 変 数 と す る 変 数 選 択 重 回 帰 分 析 を 行 っ た 。 乳 量 モ デ ル は 適 合 度 が 最 も 良 好 で 、 コ レ ス テ ロ ー ル 、 マ グ ネ シ ウ ム 、 血 液 尿 素 窒 素 お よ ぴ ア ル プ ミ ン に 正 の 、 血 糖 お よ ぴ カ ル シ ウ ム に 負 の 関 係 が 認 め ら れ た 。 栄 養 充 足 率 で は 粗 蛋 白 質 モ デ ル の 適 合 度 が 良 好 で 、 血 液 尿 素 窒 素 に 正 の 関 係 が 認 め ら れ た 。 そ の 他 の モ デ ル で は 適 合 度 は 低 か っ た が 、 い く っ か のMPT項 目 は 栄 養 充 足 率 を 有 意 に 説 明 し た 。

  最 後 に 、 周 産 期 病 多 発17牛 群 に お し ヽ て 周 産 期 病 多 発 時 と 終 息 時 のMPT成 績 を 比 較 し た 。 多 発 時 に は 、 乾 乳 期 に へ マ ト ク リ ヅ ト 、 ア ル プ ミ ン 、 血 糖 、 コ レ ス テ ロ ー ル 、 カ ル シ ウ ム お よ ぴ マ グ ネ シ ウ ム 濃 度 の 低 下 し て い る 個 体 が 多 か っ た が 、 終 息 時 に は 正 常 値 範 囲 内 を 示 し た 。

  以 上 の 通 り 、 申 請 者 が 新 た に 設 定 し た10日 毎 標 準 値 に よ るMPTは 、 周 産 期 の 乳 牛 に も 応 用 可 能 で あ り 、 牛 群 の 問 題 だ け で な く 個 体 の 異 常 や 飼 料 給 与 状 況 や 乳 量 変 動 の 評 価 を 可 能 に す る な ど 、 十 分 に 実 用 的 で あ る と 考 え ら れ た 。   よ っ て 、 審 査 員 一 同 は 、 上 記 学 位 論 文 提 出 者 、 木 田 克 弥 氏 が 博 士 ( 獣 医 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

徹 之

光 幸

   

   

昌 吉

藤 斉

前 高

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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