博 士 ( 医 学 ) 久 保 隆 之
学 位 論 文 題 名
ヒ ト 好 T リ ン ノ く 球 性 ウ イ ル ス n 型 (HTL'V ー II) の Long Termlnal Repeat
遺伝子配列と制限酵素断片長多型 (RFLP) 分析
学 位論文内容の要旨
I .緒言
HTLV‑II 感染は、多くの生粋のアメリカインディアン住民、欧米の静注麻薬常用者(IVDAs) の 間で広く蔓延していることが報告されている。 HTLV‑II の病原性を示すものとして慢性進行性脊髄 症やりンパ球増殖性疾患との関連を示唆する報告もあるが、未だ特定の疾患の原因として確立され たものはない。 HTLV‑II に関する分子生物学的分析ではサブタイプIIa (HTLV‑IIa) とサブタイプIIb (HTLV‑IIb) の2 種類のサブタイプの存在が知られている。両タイプ間の遺伝子配列の変化の割 合は、調べる遺伝子部位によって様々であり、約3.5‑‑6.7% であるが、その変化は Long Terminal Repeat (LTR) 領域内にもっとも顕著であることが判明している。そこで我々は、Ln 領域の分析を 詳しく行うことで、このウイルスの特性をさらに追求することを目的とし、 WD 心、アメリカイン ディアン、北アメリカ都市地域から得られた多数の検体について、塩基配列分析と制限酵素断片長 多型(RFLP )法を用いて調査した。
III 材料と方法 1 .研究対象と検体
合計 18 名の HTLV‑II 感染者から末梢血単核球を採集し遺伝子配列分析に供した。その内、8 名は サブタイプ Ila 、10 名はサプタイフ'IIb に感染していた。以上の他に36 件のmLv‑a 感染者の検体を New York 血液センタ―から入手し、 RFI .P 分析法によって調べた。
2 Polymerase Chain Reaaion (PCR) 法
遺伝子増幅はごく少量の検体 DNA を用いたnestedPCR 反応により行われた。最終増幅DNA は494 塩基であった。
3 .増幅産物のクローニングと核酸塩基配列分析
PCR 後、増幅産物をPCR‑Script TM SK (十)ペクタ―を用い、クローン化した。リコンビナントク ローンから得られたプラスミドDNA を自動シークエンス装置を使って、各々の検体にっき2 〜3 個の
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ク ロ ー ン の 塩 基 配 列 分 析 を 行 っ た 。 そ の 中 か ら コ ン セ ン サ ス シ ー ク エ ン ス を 得 て 系 統 発 生 分 析 (Phyjogenetic anajysis)に 用 い た 。Quasispecies分 析 に は 、typelIb (FUC)の 増 幅産 物か ら15ク 口―
ン を 選 び 、 上 記 の 方 法 に よ り す べ て の ク ロ ー ン の 塩 基 配 列 を 決 定 し た 。
4.制限酵素断片 長多型( RFLP)分 析
PCR産物を直接1単位のAva II,BanII,BglI,Bsu361,A譱.|c【,&cII,5細a【制限酵素を用いて消化した。
心 屯P分 析 の 妥 当 性 を 確 認 す る た め に 、NewYork血 液 セ ン タ ー か ら 得 ら れ た36検 体 と 、HTLV‐II に 感 染 し た4名 の 供 血 者 と そ の 各 々 の 受 血 者 の 計8検 体 を 同 様 の 制 限 酵 素 を 用 い て 消 化 し 、 制 限 酵 素部位 同定のためのコン ピュータプログラム を使用して検討し た。
5.系統発生分析 (Phylogenetican甜ysis冫
HrLV‐II株 内 で の 系 統 発 生 分 析 をCLUSTALVprogrampackageを 使 っ て 決 定 し た 。 今 回 新 た に 得 ら れ た18例 の 塩 基 配 列 に 加 え 、 以 前 に 発 表 さ れ て い る2例 の サ プ タ イ フ11a(MOT,KD、2例 の サ ブ タイプHb(NRA,G12)も 含めて系統発生樹枝 図作成を行った。
m. 結 果 と 考 察
HTLV‑II感 染 者 18名 の ウ イ ル スDNAの5. 末 端LTR領 域 塩 基 配 列 か ら 、 制 限 酵 素 断 片 長 多 型 (RFJP)分 析 に 用 い る 制 限 酵 素 地 図 を 上 記7種 類 の 制 限 酵 素 部 位 に 基 づ い て 作 成 し た 。 そ の 結 果 、 系 統 発 生 グ ル ― プ と 予 想 さ れ たRFLPグ ル ー プ 間 に 密 接 な 関 連 性 が 認 め ら れ 、 サ ブ タ イ ブ'IIaは4グ ル ー プ(al‑a4)、 サ ブ タ イ プIIbは6グ ル ー プ(bl‑b6)のRFLPグ ル ー プ に 細 分 類 さ れ た 。 さ ら に 、 塩 基 配 列 分 析 に 用 い た18個 人 す べ て の ウ イ ル スDNAを こ れ ら の 制 限 酵 素 を 用 い て 消 化 し た と こ ろ 、 こ れ ら の グ ル ー プ 内 に 効 率 よ く 分 類 さ れ た 。HTLV‑II感 染 の 特 徴 をRFLP分 析 法 に て 迅 速 診 断 で き る こ と を 確 認 す る た め に 、NeW Yorkセ ン タ ― のFrrLV‑II感 染 供 血 者 か ら の36検 体 を 用 い て 同 様 の 制 限 酵 素 に よ る 消 イ ヒ 試 験 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 す べ て の 検 体 を 予 想 し たRFIPグ ル ー プ の い ず れ か に 分 類 す る こ と が で き 、 こ のRFLP分 類 法 の 有 用 性 が 評 価 さ れ た 。 ま た 、 こ の 手 法 に よ っ て 、 輸 血 に お け る 供 血 者 と 受 血 者 間 の ウ イ ル ス サ ブ タ イ プ 内 のRFI.Pグ ル ー プ の 一 致 が 示 さ れ 、FrrLV‑n 感 染 が 輸 血 に よ っ て 起 こ っ た も の で あ る こ と も 確 認 さ れ た 。 ま た 、HTLV‑tlのquaSBpeciesの 存 在 を 確 認 す る た め に1例 のHTLV‑IIb感 染 者 か ら 得 た15 ク ロ ― ン の 塩 基 配 列 分 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 4ク ロ ― ン に 塩 基 配 嚠 ヒ が 起 き た が 、 こ れ ら のRFIPパ タ ー ン は サ ブ タ イ プIIb内 の い ず れ の グ ル ー プ に も 一 致 し て お ら ず 、 提 唱 し たRFIPグ ル ー プ が 、quasispeciesの 存 在 に よ っ て 著 し く 影 響 を 及 ぼ さ れ る こ と は な い と 推 定 さ れ た 。
V.結 語
Hn V‑IIのlong terminal repeat (LTR)に は 遺伝 子変 異 が最 も多 く 存在 する こ とを 利用 し 、多 数の 症 例 を 用 い てLTRの 塩 基 配 列 を 調 べ 、 か つ 制 限 酵 素 断 片 長 多 型(RFLP)分 析 を 行 う こ と に よ りHTLV‑II の 細 分 類 が 可 能 で あ る か を検 討し た 。 18名のHn,V。II陽 性患 者の 末 梢血 を検 索 した 結果HnーV ‑[Iaは さ ら にal〜a4ま で の4つ の グ ル ー プ に 、m1 V‑IIbはb1〜b6ま で の6っ の グ ル ー プ に 細 分 類 す る こと が で き た 。 ま た 同 時 にHTLV‑IIに お け るquasispeciesの有 無 を検 討し た とこ ろ、quaSBp eciesの存 在が 示
唆されたが、RFU 解析に影響を及ぼす程のものでは無いことが明らかとなった。RFIP 分析法の妥 当性を検討するためNew Yorkff 血液センターの供血者より得たHTLV‑II 陽性血液 36 検体を調ぺたと ころ、全て細分類に分類可能となり、RFLP 分析法の有効性が実証された。さらに供血者と受血者 とが明らかな4 検体は全て正確に 1 対1 に対応していることも判明した。従って rm .V‑II のLTR を対 象とした RFLP 分析法は迅速かつ正確にHn .v |II を同定することが可能であり、種々の人種における HrL v → II 感 染 の 特 徴 と 疫 学 と を 調 べ る う え で 極 め て 有 用 な 方 法 と 思 わ れ た 。
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