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木ねじ、ボルトおよび釘による木質部材接合の剛性 に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

木ねじ、ボルトおよび釘による木質部材接合の剛性 に関する研究

藤元, 嘉安

https://doi.org/10.11501/3147926

出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

1 章 4 節 H 型 接 合 モ デ ル で の 振 動 法 に よ る 接 合 剛 性 の 非 破 壊 的 評 価

第l章3節では、木ねじによるパーテイクルボードの接合部について、 1 つの接合部を有する T型 試 験 体 を 設 定 し て 、 そ の 接 合 部 の 支 持 状 態 を 弾 性支持と考え、梁の固有振動数がその支持条件により変化することを利用 し、インパノレス加振による振動法を用いた接合部剛性の非破壊的評価の可 能性について検討した。

ここでは、より実用的木質構造の基本として、両端に接合部を有する H 型接合モデノレを考え、接合部の条件を変化させた場合の接合部剛性を静的 試験ならびに振動試験により求めて両者を比較し、このモデノレに対するイ

ンパル ス 加 振 に よ る 振 動 法 に つ い て 接 合 部 剛 性 の 非 破 壊 的 評 価 と し て の 可

能性を検討した。 さ ら に 、 棚 板 の 変 形 挙 動 を 調 べ る こ と に よ り 、 接 合 部 剛 性と接合モデ、ルの構造全体としての強度との関係についても追究した。

JI

性 係 数 の 評 価 方 法

1.  1 静 的 試 験 に よ る 剛 性 係 数

両端が弾性支持された構造体モデノレにおける岡JI性 と 固 有 振 動 数 と の 関 係 については、木製床を対象とした研 究 報 告 8)80)が あ る の で、 そ れ ら を 参 考 にし接合部の岡JI性 を 評 価 し た。

図 1.4.1に 示 す よ う な 両 端 が 弾 性 支 持 さ れ た 構 造 体 モデノレにおいて、梁 の中央に集中荷重がかかると、接合部には支持端の岡JI性 に よ る 反 力 で モ ー メント Moが 生 じ る 。 こ の モ ー メ ン ト の 大 き さ は 支 点 (接合部)の岡JI性 に より変化する。この接合部の剛性を定量化するため、岡Ij性係数 kを用いる と、表 1.4.1に示すように、梁の支持条件により kは 0から lま で の 値 を とり、両端の曲げモーメント Moは、

‑122 ‑

(3)

Mo==‑kPI/8 

で表される。

支持端より χの 位 置 に お け る モ ー メ ン ト Mは、

M  = =  

PX / 2 Mo

で 表 さ れ る の で 、 曲 げ の 基 本 式 を 用 い る と 、 d2W  1 / P 

ーす=一一一(~x

Mo) 

d x E 1 ' 2 

(1.4.1) 

(1.4.2) 

(1.4.3) 

となる。ここで、 E は梁の弾性係数、 Iは 梁の 断 面 2次 モ ー メ ン ト で 、 El は梁の曲げ岡IJ性 で あ る。

これを、民=0

0、(d W / dx )x=1I

0を 境 界 条 件 と し て 解 く と 、 た わ み は 、

?

=111‑

よ乙

(l‑ik)

48 E 1 '  4 

(1.4.4) 

となる。両 端 単 純 支 持 梁 と し た 場 合 の 、 ス パ ン 中 央 部 た わ み WF

f  / 

48El  であるので、岡JI性 係 数 は 、 静 的 試 験 に お け る た わ み を Wsとすると、

ks =

十 ( l ‑ j f )

(1.4.5) 

で求められる。

1.2  振 動 試 験 に よ る 剛 性 係 数

梁の密度を ρ、 断 面 積 を A、 重 力 加 速 度 を gと す る と 曲 げ 剛 性 が 一 様 な 梁 の 曲 げ 振 動 の 一 般 式 は 次 の よ う に 表 さ れ る。

a

4

/J

a

2

~

E 1 ̲ 

X.~ +二一一一一ーすg

= 0 (1.4.6)  振 動 の 一 般 理 論 に よ れ ば 、 W(x)を正規関数、 ωを 角 振 動 数 と す る と き 、

梁 の 自 由 振 動 の た わ み 量 Yは、

W(x) ( Bcosω

Bsinω (1.4.7) 

これを用いて式(1.4.6)は 次 の よ う に か き か え ら れ る。

‑123 ‑

(4)

o

一 一   χ a

τ

‑8 "W=0

ここで、

4 ̲ ρ A ω 2  

EIg 

式(1.4.8)の 一 般 解 は 次 式 で 表 す こ と が で き る。

y = C1 cos 

C2 sin 

C3 cosh 

x C4sinh 

x  ここで、 Cl、C2、C3、C4は積分分定数である。

(1.4.8) 

(1.4.9) 

こ の 弾 性 支 持 梁 に お い て 、 そ の 両 端 で の た わ み が 0、 ま た 、 た わ み 角 が 支 点 の 曲 げ モ ー メ ン ト の 大 き さ に 比 例 す る も の と す る と 、 次 の よ う な 境 界 条件が得られる。

f d

  d2W  ( Wv=() 

0、 で 一 一 = α引 っ てT I ~ x=O 

境界条件

I

d W~ T '   d2

lw ー

r

0、 で一一=一 αEIってT

(1.4.10) 

¥  一 一

x=L  U

ここで、 α は 係 数

これらの境界条件により次のような関係が得られる。

2Bsin 

L sinh 

L 2B( sin 

L cosh 

L ‑cosh 

sinh 

L ) 

‑cos 

L cosh 

L 10  (1.4.11)  ここで、、

B =

α

E8 

この梁の固有振動数

f

は、 8L=[; ([;:パラメータ)とおくと、式(1.4.11) より、

2

E 1 g 

f

二 一 一 ( 一

rl

ーっ一

2π L / ¥ I μ A   で表される。

(1.4.12) 

こ こ で 、 静 的 曲 げ 試 験 の 場 合 と 同 様 に 、 接 合 部 の 岡IJ性 の 大 き さ に 応 じて

支持点にモーメントが生じるとすると、 X 0に お い て 次 の 2つ の 式 が 得 られ、

‑124 ‑

(5)

d2W  P L 

d x2x=O‑8E f   (1.4.13)  d W   P L

一 一 二 (l‑kv) 

d x x=O  16 E 1  (1.4.14)  この式(1.4.13)、(1.4.14)と 式(1.4.10)との関係から、 αと B は れfを用 い て 次 の よ う に 表 さ れ る。

L  1‑kv  α =  

2El  kv 

l

̲  

̲!‑kv 

2  kv 

(1.4.15) 

(1.4.16) 

これを使って式(1.4.11)は、 ごと kvか ら な る 式(1.4.17)で 表 さ れ る。

sin

~

sinh 

~ (す‑

)十ご(sin 

~叫一以叫)

( 去 ‑

1) 一 川c + 1 = 0 (1.4.17) 

この式から、岡JI性係数 kvとパラメータとは次のような関係になる。

kv=  E 

~-_!- cos~ 1 ‑cosh ~

sin ~ sinh ~ (1.4.18) 

振動法による岡JI性 係 数 kvは 、 測 定 さ れ た 振 動 数

f

( こ こ で は 一 次 振 動 数 ) から、式(1.4.12)を使ってとを求め、これを式(1.4.18)に 代 入 す る こ と に よ り 求められる。

2.

実験方法

2. 1 試験体

{共試ボードには、市販の厚さ 20mm、U恥1Fタイプの 3層構造ノ々ーティ ク ル ボ ー ド を用 い た。 そ の 基 本 的 性 質 は 、 い ず れ も 平 均 値 で 、 密 度 0706cm3、 含 水 率 9.0%、MOE35200kgCcm2及 び MOR1995kgCcm2で あ っ た。

‑125 ‑

(6)

試験体は、棚板 l枚 、 及 び 側 板 2枚の 3つ の 部 材 か ら な り 、 こ れ ら を

n s

B  1112に規定する十字穴付皿木ねじを用いて接合して 作 製 した。すなわち、

それぞれ木ねじ 2本 ず つ を 用 い て 、 図 1.4.2に 示 す よ う に 棚 板 両 端 に 側 板 を接合したT型 試 験 体 を 供 試 し た。なお 、 表 1.4.2に示すよ うに、 木 ね じ の直径及びねじ込み深さを、そ れ ぞ れ 3段階に変えた計 5種 類の木ねじを 用いた。すべての試験体について、案内孔径比は側板部で1.0、棚板部で 0.8、 棚板で、の案内穴深さ比は 0.8 と し た 。 締 付 け ト ル ク は 、 ね じ が 完 全 に ね じ 込まれた状態における値を予め測定し、表 1.4.2に 示 す よ う に 各 木 ね じ 条 件について一定 と な る よ う に し た。試 験 体 は 、 作 製 後 1週 間 以 上 養 生 さ せ た後、構成ボードの含水率が約 9%になった状態で供試した。

2. 2 静的曲げ試験

イ ン ス ト ロ ン 型 万 能 試 験 機 を 用 い 、 棚 板 の 中 央 部 に 変 形 速 度 5mm/min で負荷する静的曲げ 試 験 を 行 っ た 。 試 験 に 当 た っ て は 図 1.4.31に示すよ

うに、側板部をボノレト ・ナ ットにより保持治具に一定の締付けトノレク (約 60kgf' cm) で固定してH型 試 験 体 を 取 り 付 け た。

荷 重 の 増 大 に 伴 う 荷 重 ヘ ッ ド の 下 降 距 離 を 棚 板 中 央 部 の た わ み と し て 測 定するとともに、接合部からの距離(lD) 3cmの 位 置 に お け る 棚 板 の た わ み (WD) を ダ イ ヤ ル ゲ ー ジ で 測 定 し 、 両 た わ み 量 か ら 接 合 部 の 角 度 変 化 tan‑¥WDIlD)を求めた。ま た 、 ひ ず み ゲ ー ジ (2ゲ ー ジ 法 ) を 用 い て 荷 重 点 の棚板下表面における引張のひずみを荷重 10kgf毎 及 び 破 壊 直 前 に お い て 検出した。

2.3  振動試験

H型試験体の振動試験(図 1.4.3‑2) は 、 静 的 曲 げ 試 験 の 直 前 に 、 イ ンパ ルス加振法により行った。す な わ ち 、 棚 板 中 央 部 の 上 面 を イ ンパル ス ハ ン

‑126 ‑

(7)

マにより加振し、下面に取り付けたセンサで振動をとらえ、 F F Tアナラ イザ (A&D社、 AD‑3524) に よ り 周 波 数 応 答 関 数 を 求 め 、 こ れ よ り l次の 固有振動数を得た。そ の 際 、 同 装 置 の ア ベ レ ージング機能を用い、 10回 打撃試験の結 果 の 平 均 値 を 測 定 値 と した。

負 荷 に 伴 う 棚 板 の 荷 重 点 た わ み と 剛 性 係 数

(ks)

の 変 化

静的曲げ荷 重 の 増 加 に 伴 う荷 重 点 た わ み 及び接 合 部 の 剛 性 係 数(ks)の 変 化の一例 と し て 、 木 ね じ 直 径 5.1mm、ね じ込み長さ 30mm の 場 合 の 結 果 を 図1.4.4に示す。 一般 的 に は 、 負 荷 直 後 か ら あ る 程 度 の 荷 重 域 ( 弾 性 域 ) では、式(1.4.4)で示されるように、荷重と荷重点たわみとの関係は直線で 表され、この荷重域では剛性係数は一定値をとるものと考えられる。 しか しながら、 本 研 究 に お い て は 、 図 1.4.4に示した条件に限らずこの実験で 用いたいずれの接合条件においても、荷 重 の 増 加 に 伴 う 荷 重 点 た わ み の 増 加には明瞭な直線域が認められず、たわみは負荷に伴い非線形的に増加し、

また、荷重が大きくなるほど荷重点たわみの増加が著しく な る 傾 向 を 示 し た。荷 重 点 た わ み は 、 棚 板 自 身 の た わ み と 接 合 部 の 角 度 変 化 に よ る た わみ と か ら な る も の と 考 え ら れ 、 ま た 、 荷 重 の 増 加 に 伴 う 接 合 部 の 角 度 変 化 の は、図 1.4.5に 示 す よ う に 、 荷 重 点 た わ み と 同 様 の 非 線 形 的 な増 加 傾 向を 示 し た こ と か ら 、 荷 重 点 た わ み の 増 加 傾 向 は 、 と く に 接 合 部 の 角 度 変 化 に 基づくたわみに支配されるものと考えられる。また、図 1.4.5において、

接 合 部 の 角 度 変 化 は ね じ 込 み 深 さ が 小 さ い も の ほ ど 大 き く 、 と く に ね じ 込 み深さが小さい 18mmの 場 合 に は 、 荷 重 が 大 き く な る ほ ど そ の 増 加 が 著 し くなる傾向を示した。第 1章2節 1.3項で述べたように、 H型 の 木 ね じ 接合モデルにおいても、木ねじのねじ込み深さが短いものほど、 棚板 が 厚 さ 方 向 に 引 張 ら れ て 木 ね じ の 引 抜 き 抵 抗 が 低 下 す る と と も に 、 材軸方 向 に は木 ね じ を 引 抜 こ う と す る 力 が 大 き く 作 用 す る こ と に よ り 、 木 ね じ が 抜 け

127‑

(8)

易くなり接合部の角度変化が大きくなるものと考えられる。このように、

接 合 条 件 の 違 い に よ り 負 荷 に 伴 う 接 合 部 の 角 度 変 化 ひ い て は 荷 重 点 た わ み の増大傾向がことなることから、負荷に伴う接合部剛性係数 の 変 化 も 接 合 条件により異なる挙動を示した。木 ね じ の棚 板へ の ね じ 込 み 深 さ が 異 な る 場 合 の 、 負 荷 に 伴 う 剛 性 係 数 の 変 化 を 図 1.4.6に 示 す。ね じ 込 み 深 さ が 18mmと 短 い 場 合 に は 、 低 荷 重 域 か ら 荷 重 点 た わ み が 大 き く 、 同JI性 係 数 は 小 さ な 値 で 推 移 し 、 し か も 、 高 荷 重 域 に お い て 著 し い 剛 性 係 数 の 低 減 を 不 した。木 ね じ 直 径 が 異 な る 場 合 に は 、 図 1.4.7に 示 す よ う に 、 低 荷 重 域 に お い て は 木 ね じ 直 径 に よ る 剛 性 係 数 の 差 は あ ま り 認 め ら れ な か っ た が 、 荷 重 が 大 き く な る に 伴 い 差 が 顕 著 に な り 、 と く に 、 木 ね じ 直 径 4.1mmで は 他 の 木 ね じ 直 径 の 場 合 に 比 べ て 著 し い 剛 性 係 数 の 低 減 を 示 し た。

以 上 の よ う に 、 荷 重 点 た わ み を 用 い て 求 め ら れ る 剛 性 係 数 ksは荷重の 増 加 に 伴 い 減 少 す る 傾 向 を 示 し た こ と か ら 、 静 的 曲 げ 試 験 に よ る 剛 性 評 価 は、実用上のことを考慮、し荷重 30kgfにおける剛性係数を求めて行った。

4  静 的 試 験 に よ る 剛 性 係 数

(ks)

と振動試験による岡

JI

性 係数

(kv)

との関係

木ねじのねじ込み深さを変化 さ せ た 場 合の 静 的 試 験 に よ り 求 め た剛 性 係 数ks及 び 振 動 試 験 よ り 求 め た 剛 性 係 数 kvを図 1.4.8に示す。いずれの岡JI性 係数の値もねじ込み深さが大きくなるほど増大するが、 ksは kvより低い 値を示した。

この原因のーっとして、同JI性 を 評 価 す る と き の 荷 重 レ ベ ル の 差 が 考 え ら れる。す な わ ち 、 静 的 試 験 に お い て ksは図 1.4.4に示 さ れ る よ う に 荷 重 の 増加に伴い滅少傾向を示し、荷重 30kgfに お け る 荷 重 点 た わ み を も と に し て求められたのに対し、 kvの測 定 は イ ンパノレス加振法により ksに比べ非 常に小さな荷重域で行われたことから、 ksは か よ り 小 さ な 値 を 示 し た も

‑128 ‑

(9)

のと考えられる。ま た 、 静 的 試 験 で は 、 試 験 体 作 製 時 な ど に お い て 派 生 す る欠陥の影響やボード自体の塑性的挙動が測定荷重域内で出現するため、

剛 性 係 数 は 振 動 試 験 の 場 合 に 比 べ よ り 小 さ な 値 を 示 し た も の と 考 え ら れ

D

また、ねじ込み深さを変化させた場合における

k s

と か の 関 係 を 図 1.4.9 に示すO 図 よ り 、 静 的 試 験 に よ り 得 ら れ た 剛 性 係 数

k s

と振動試験により 得られた剛性係数 kvと に は 非 常 に 高 い 相 関 関 係 ( 相 関 係 数 0.95) がある

ことが確認できた。

な お 、 木 ね じ 直 径 の 増 大 に 伴 い 剛 性 係 数 は 増 加 傾 向 を 示 し た が 、 ね じ 込 み深さの影響に比べ小さかった。ま た 、 木 ね じ 直 径 を 変 化 さ せ た 場 合 に お ける

k s

とkvの と の 聞 に は 、 相 関 係 数 0.79と 、 ね じ 込 み 長 さ を 変 化 さ せ た 場合と同様に高い相関が認められた。

さ ら に こ の 実 験 で 用 い た 全 て の 接 合 条 件 を 一 括 し た

k s

と kvとの関係に ついても、図 1.4.10に 示 す よ う に 相 関 係 数 0.91 と 非 常 に 高 い 相 関 を 示 し た。このことは、パーティクノレボードを木ねじ接合した H型 試 験 体 に お い て 、 各 種 の 接 合 条 件 に よ り 接 合 部 の 剛 性 は 異 な る が 、 そ の 剛 性 を 振 動 試 験 により非破壊的に評価し得ることを示唆している。

5.

接 合 部 剛 性 と 構 造 体 と し て の 強 度 と の 関 係

ね じ 込 み 深 さ を 変 化 さ せ た 場 合 の 、 荷 重 点 の 引 張 り 側 表 面 に お け る ひ ず みの負荷に伴う推移を図 1.4.11に示す。ね じ 込 み 深 さ が 小 さ い も の ほ ど ひ ずみ発生量が大きくなる傾向にあった。

本 研 究 で は 、 接 合 部 を 半 剛 節 と し て 考 え 、 そ の 静 的 試 験 に お け る 岡JI性 係 数を ksとしている。ksは 0から lまでの値をとり、 kが 0の と き は 両 端 単 純支持の状態で、 kが 1の と き は 両 端 固 定 支 持 の 状 態 と し て 考 え ら れ る。 したがって、この梁におけるモーメント分布は、岡JI性 係 数

k s

の 値 に 応 じ

129‑

(10)

て、両端単純支持梁の場合と両端固定支持の場合の中間的な分布を示し(図 1

.4,12)、梁(棚板)の 荷 重 点 に お け る モ ー メ ン トMx=lI2は式(1,.41)及 び 式(1.4.2) により次式で表される。

' k  

川 一

8一 一

(1.4.19) 

棚板の荷重点における引張り側表面の応力はその点におけるモーメント

と断面係数 (z)と の関係 か ら 次 式 で 表 さ れ る。

一生企

lI

2

Mx=lI

2h 

Ih(2 ‑k s )  

Fl/2 ‑ z ‑ 2 f ‑ 1 6 I ( 1 4 2 0 )  

式(1.4.20)から明らかなように、岡JI性 係 数

k s

が 小 さ い ほ ど 荷 重 点 引 張 り

側表面の応 力 は 大 き く な る こ と か ら 、 ね じ 込 み 深 さ の 小 さ い 、 す な わ ち 剛 性の低い場合ほど棚板の荷重点におけるひずみは大きくなるものと考えら

れる。

なお、静的曲げ試験 に おいて 、 い ず れ の 接 合 条 件 の 場 合 も 、 接 合 部 に お ける破壊は認められず、破壊は全て棚板の荷重点における曲げ破壊による ものであった。そして 、 破 壊 時 に お け る ひ ずみはいずれの接 合 条 件 に お い てもほぼ 5500

106程 度 で あ り 、 こ れ に 供 試ボードの曲 げ 弾 性 係 数 を 乗 じると 、 供 試 ボ ー ド の 曲 げ 破 壊 係 数 に ほ ぼ 匹 敵 す る 値 と な る こ と が 確 認 さ れた。

さらに、ねじ込み深 さ が 破 壊 荷 重 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 図 1.4.13に示す が、ねじ込み深さが大きくなるほど、破壊荷重は増大する傾向が認められ

た。破 壊 荷 重 と 、 破 壊 時 の 接 合 部 の 剛 性 係 数

( k s )

を 用 い て 、 棚 板 の 引 張 り側表面における破壊時の応力に相当する量を求めた結果、接合条件によ る差異は認められず、供試パーティクノレボードの曲げ破壊係数とほぼ等し い値となることが確認された。

以上、 両端に接合部を持つH型 接 合 モ デ ル に お い て は 、 接 合 部 の 剛 性 係

130

(11)

数が大きいものほど棚板の荷重点に作用するモーメント(応力)が小さく、

部 材 に か か る 負 担 が 小 さ く な る た め 、 破 壊 に 至 る に は よ り 大 き な 荷 重 を 要 することが確 認 さ れ た。こ の こ と か ら 、 接 合 部 の剛 性は 構 造 体 の 変 形 挙 動 のみならず、 構 造 体 全 体 と し て の 強 度 に 大 き な 影 響 を 及 ぼ し て い る も の と 考えられる。

摘要

本実験では、接合部のみの評価を行う T型 試 験 体 に 比 べ よ り 実 用 的 な 木 質構造体の基本性能として、その接合部の剛 性 な ら び に 破 壊 強 度 に ついて 検討するため、両端に接合部を有する H型 接 合 モ デ ル を 設 定 し た。異な る接合条件により作製したそのモデ、ル試験体について、静的試験ならびに イ ン パ ル ス 加 振 に よ る 振 動 試 験 に よ り 接 合 部 剛 性 係 数 を 求 め 比 較 検 討 を 行 った結果を要約すると次の通りである。

(1) パーティクノレボードを木ねじ接合した日型試験体において、静的試験

こより得られた剛性係数 ksと 振 動 試 験 に よ り 得 ら れ た 剛 性 係 数

k v

とは非 常 に 高 い 相 関 関 係 が あ る こ と が 確 認 さ れ 、 接 合 部 剛 性 の 非 破 壊 的 評 価 が 振 動法により可能であることが確認された(図 1.4.9、図 1.4.10)。

(2) 接 合 部 の 剛 性 係 数 が 高 く な る 接 合 条 件 に お い て 接 合 部 の 角 度 変 化 が 少 ないことを明らかにしたが、この事実から接合部の剛 性 係 数 と 接 合 部 の 角 度変化とは密接な関係にあることが認められた(図 1.4.5、図 1.4.6)。 (3) 接 合 モ デ ル の 破 壊 が す べ て 棚 板 の 荷 重 点 に お け る 曲 げ 破 壊 に よ り 生 じ たこと、ならびに負荷に伴う棚板の荷重点におけるひずみの発生挙動から、

接合部の岡JI性 は 接 合 モ デ ル の 構 造 全 体 と し て の 強 度 に 大 き く 関 与 し て い る ことが確認された(図 1.4.13)。

‑131 ‑

(12)

Mo  P 

Mo 

1/2  スパン:1 

図 1. 4. 1 両 端 弾 性 支 持 の 構 造 体 モ デ ル

表1.4.1 支 持 条 件 に よ る 剛 性 係 数k及 び モ ー メ ン ト Mo

支 持 条 件 剛 性 係 数k

モ ー メ ン ト λ10

単純支持

弾 性 支 持

‑一一PI ‑k

‑132 ‑

固 定 端

PL 

(13)

表 1.4.2 試 験 体の接合条 件

木ねじ直 径 ねじ込 み 深さ 締付けトルク (mm)  (mm)  (kgf' cm) 

5.1  5.1  5.1  4.1  6.2 

︒ ︒

U ζ 113 JUU

戸 ︑

J 33

0 0 0 5 8  

今ム

q3

戸 ︑

J

︐h

3

‑133 ‑

(14)

500 

(平面図)

棚 板

(側面図)

図 1.4.2 H型 接 合 試 験 体

134‑

木 ね じ

Unit: m m  

(15)

H型 試 験 体

ひ ず み ゲ ー ジ

試 験 体 保 持 治 具

図1.4.3‑1 静 的 曲 げ 試 験 の 概 略

FFTアナライザ

試 験 体 保 持 治 具

図1.4.3‑2 振 動 試 験 の 概 略

135‑

(16)

1.0  2.0 

0.8  1 . 5 

U

0.6 

0.4  1 . 0 

(ε ο

︐ £

n

h

0.2  O. 5 

0.0  150  100 

50  0.0 

(kgf) 

静的試験における負荷に伴うたわみと 剛性係数

k s

の変化

木ねじ直径 5.1 mm  ねじ込み深さ 30mm

:たわみ

一一O一一 :剛性係数

‑136 ‑

k s  

荷重 図1.4.4

(17)

O. 10 

0.08

← 

(.

)

.

.  

0.06

← 

Au

nU

 

企 ・ ‑ •

• •

.L 

100 

&

.

‑ 企 ・ •

50 

A A

. .  

・ &

•• ・

0.02

← 

150  0.001 

(kgf) 

ねじ込み深さが異なる場合の静的負荷 に伴う接合部の角度変化

木ねじ直径 5.1 mm  ねじ込み深さ

‑137 ‑

18mm  30mm  55mm  荷重

図1.4. 5 

(18)

1 . 0 

0.8

• •

• •

• •

• •

• •

• •

ハn

u

U

• •

C;I) 

くに

• •

0.4

• •

0.2

100  ..L 

50  150 

0.0  0 

(kgf) 

静的試験におけるねじ込み深さが異なる 場合の負荷に伴う剛性係数

k s

の変化

木ねじ直径 5.1 mm  ねじ込み深さ

‑138 ‑

18mm  30mm 

55mm  荷重

図1. 4. 6 

(19)

1.0 

0.8

‑ ‑ 圃

E A  

・企園企

‑A 

・ 企 ・ ・ 企 ・

‑A 

‑ &

‑ a

. 企 '  

LE

υU

U

• •

• •

0.4

← 

• •

0.2

← 

100 

L

50  150  0.0 

(kg f) 

静的試験における木ねじ直径が異なる 場合の負荷に伴う剛性係数

k s

の変化 ねじ込み深さ 30mm

木ねじ直径

4.1mm 

...  5.1mm 

6.2mm

‑139 ‑ 荷重 図1. 4.  7 

(20)

1 . 0  1 . 0 

~O.

J

訴 川 町 ? 州 十 一 一

‑ t  

O. 6 

Q M U C O  

‑ ‑ ‑

‑ ‑ ‑

0.8

← 

‑ t  

0.4 

Q

‑ ‑ ‑ uoo

‑ ‑ ‑

0.6

CI) 

0.4

← 

‑ t  

0.2  0.2

0.0 

̲L 

60 

40  ねじ込み深さ

̲L 

20  0.0 

(mm) 

静的負荷及び振動の各試験における ねじ込み深さを変化させた場合の剛

性係数 k s 及び k v

木ねじ直径 5.1mm 

:静的試験による剛性係数

k s

o  :振動誌験による剛性係数

k v

‑140 ‑ 図

1 . 4 . 8

(21)

• •

1 . 0 

0.8 

0.4  0.6 

c/) 

州制 緩川 明↑ 蓋

r=O. 95  相関係数

0.2 

1 . 0  0.8 

0.4  0.6  剛性係数

k v

0.2  0.0 

0.0 

ねじ込み深さを変化させた場合の 剛性係数 k s と れ と の 関 係 木ねじ直径

5.1 mm 

ねじ込み深さ   . ..

18mm  30mm  55mm 

141‑

図1.4.9

(22)

1 . 0 

0.6 

0.4 

0.2  0.8 

u )  

説経制↑這

r=O. 91  相関係数

1 . 0  0.8 

0.4  0.6  岡]1性係数

k v

0.2  0.0 

0.0 

試験に用いたすべての接合条件における 剛性係数 k s とれとの関係

‑142 ‑ 図1. 4. 10 

(23)

8000 

.A 

6000

← 

(

10

×

.A 

4000

← 

' 水 町 ぃ ︒

100 

....L 

50  2000

150  ( kgf) 

荷化

缶民亦久的の

静み

場面

合ひ

h弘州閃川

異り

h

が張

5

.

キ ぜ

深点径深

み重直み

込荷じ込 じうねじ

ね伴木ね

‑143 ‑

18mm  30mm  55mm 

‑ 企 ・

荷重

図1. 4.  11 

(24)

両 端 単 純 支 持 荷 重 点

一 ¥ / /

.L 

J 1

接 合 部 両 端 弾 性 支 持

︑ ィ / 一 一

) 国寸 両

L

端芯

接 合 部

図 1. 4. 12各 種 支 持 条 件 に お け る 静 的 負 荷 で の 梁 の 曲 げ モ ー メ ン ト 分 布

ks : 静 的 負 荷 に よ る 剛 性 係 数

‑144 ‑

(25)

200 

150

(恥一回ぷ)

100

← 

60 

40 

20  50

← 

(mm)  ねじ込み深さ

。 。

重荷壊

T Lm u F  

. 引μ

c

mm

r

5

ね 影 径

のす直

ヰふドレ

木に木 ね及ね

145‑

図1. 4. 1 3 

(26)

1 章 5節 H 型 接 合 モ デ ル に お け る A E 発 生 挙 動

ノ々ーティクノレボード構造体木ねじ接合の単純モデルの静的試験におい

て 、 負 荷 に 伴 う 接 合 部 あ る い は 棚 板 の 微 小 破 壊 進 展 挙 動 と 接 合 部 剛 性 の 変 移 と の 関 係 に つ い て 明 ら か に す る た め に 、 接 合 部 の 剛 性 を 木 ね じ の 長 さ に よって変化させたH型 接 合 試 験 体 を 用 い 、 木 ね じ 寸 法 等 の 接 合 条 件 と 岡JI性 と の 関 係 な ら び に 負 荷 に 伴 う 接 合 部 や 荷 重 点 等 の 微 小 破 壊 の 発 現 を 示 す ア コースティック・エミッション (AE) の 発 生 挙 動 に つ い て 検 討 し た。な お 、 木 ね じ に よ る 接 合 と は 基 本 的 に 異 な る 接 着 接 合 の 場 合 に つ い て も 比 較 検討を行った。

1  実験方法

1.  1試験体

供試ボードとして、市販の厚さ 20mmのU M Fタイプの 3層 構 造 パ ー テ イクルボードを用いた。そ の 性 質 は い ず れ も 平 均 値 で 、 密 度 0.77g/cm3、 含水率 8.5%、 MOE44900kgf/cm2 で あ っ た。こ の ボ ー ド を 用 い 、 図 1.4.1と 同様に、木ねじで接合したスパン 500mmのH型 接 合 試 験 体 を 作 製 し た。 接合には JISB 1112に 規 定 す る 十 字 穴 付 き さ ら 木 ね じ を 各 接 合 部 に つ き 2 本ずつ用いた。そ の 木 ね じ の 直 径 は 5.1mmで あ り 、 長 さ は 棚 板 へ の ね じ 込み深さを変えて接合部の岡JI性を変化させるために、 38、50及 び 75mm の3種 類 と し た 。 側 板 の 厚 さ は 一 定 (20mm) で あ る の で 、 木 ね じ の 棚 板 へのねじ込み深さは、それぞれ、 18、30及 び 55mmである。 案内 穴 径 比

は、棚板へのねじ込み部分で 80%、 ね じ 込 み 深 さ 比 は 80%と し 、 側 材 に は 木ねじと同じ直径の穴を貫通させた。な お 、 比 較 の た め エ ポ キ シ 樹 脂 接 着 剤のみで接合した同様のH型 試 験 体 を 作 製 し 実 験 に 供 し た 。 試 験 体 は 各 実 験条件につき 5体 を 、 組 立 て 後 1週 間 以 上 養 生 し て 供 試 し た。

‑146

(27)

1.2曲げ試験方法

静的曲げ試験方法の概略を図1.5.1に 示 す。第1章 4節 と 同 様 にH型 試 験体の両端の側板をボノレト・ナットにより、 一定 の 締 付 け ト ル ク ( 約 60kgf

cm)で 保 持 治 具 に 固 定 し 、 イ ン ス ト ロ ン 型 強 度 試 験 機 を 用 い て 、 棚 板 中 央部に変形速度 20mm/minで 集 中 荷 重 を 増 大 さ せ て 静 的 曲 げ 試 験 を 行つ

この静的試験においては、図1.5.1に 示 す よ う に 、 棚 板 の 荷 重 点 ① 及 び 接合部近傍②に

A E

セ ン サ を 装 着 し 、 各 点 に お け る 負 荷 に 伴 う

A E

の 発 生 挙動を計測した。

A E

計 測 で は 、 プ ロ セ ッ サ に は

N F

回 路 ブ ロ ッ ク 社 製 の Music 9604を 用 い 、 セ ン サ に は 同 社 製 の 周 波 数 11¥任{zの 共 振 型 セ ン サ (NF AE905U)を用いた。セ ン サ で 検 出 し た

A E

信号は、プリアンプ (NF

A E ‑ 9 1 2 )  

で 40dB、プ ロ セ ッ サ 内 蔵 の メ イ ン ア ン プ で 40dBの 合 計 80dB増 幅 し、 100kHz '"'‑'  11任 I z の 範 囲 の バ ン ド パ ス フ ィ ル タ を 用 い て 癒 波 し た。また、

しきい値は増幅後の信号に対し 300mVと設定した。本研究においては、

負荷に伴う

AE

イ ベ ン ト の 累 積 挙 動 を 求 め 、

AE

発生開始時の荷重値目)に つ い て 検 討 す る と と も に 、 振 幅 、 持 続 時 間 及 び 立 上 が り 時 間 等 の 分 布 に つ

いて解析を行った。な お 、 こ の 試 験 で は 、 第 1章4節 で 詳 述 し た 方 法 で 岡JI

性係数を求めた。

2.

強度及び剛性

静 的 曲 げ に お け る 荷 重 ー た わ み 曲 線 を 図 1 .5.2に 示 す。木 ね じ の 棚 板 へ

のね じ 込 み 深 さ が 大 き い も の ほ ど 、 立 上 が り の 傾 き が 大 き く 、 接 合 部 の 剛 性が大きいことがわかる。エ ポ キ シ 樹 脂 接 着 剤 を 用 い て 接 合 し た 試 験 体 は 、

低 荷 重 領 域 で は 木 ね じ 接 合 試 験 体 に 比 べ か な り た わ み が 少 な く 高 い 剛 性 を 有しているが、荷重が約 40kgfを越え る と 急 激 に た わ み が 増 加 し た が 、 そ

‑147 ‑

(28)

れ は 接 着 面 近 傍 の 側 板 の 表 層 に は く 離 破 壊 が 生 じ る た め で あ る こ と が 確 認 された。

ま た 、 各 接 合 条 件 に お け る 破 壊 時 の 荷 重 は 、 木 ね じ の ね じ 込 み 深 さ が 大 き い も の ほ ど 増 大 し 、 木 ね じ 接 合 試 験 体 で は 接 着 接 合 試 験 体 よ り も 大 き な 破壊荷重を示した。

負荷に伴う剛性係数の推移を図1.5.3に 示 す。接合部の岡JI性に つ い て 木ねじ接合試験体ではねじ込み深さが小さいものほど初期岡lJ性が小さく 負 荷 に 伴 う 剛 性 低 下 の 度 合 も 大 き い こ と が 明 ら か に な っ た。 こ の こ と は 第1章4節 で 述 べ た よ う に 、 木 ね じ の ね じ 込 み 深 さ が 短 い も の ほ ど 、 棚 板 が厚 さ 方 向 に 引 張 ら れ て 木 ね じ の 引 抜 き 抵 抗 が 低 下す る と と も に 、 材 軸 方 向には木ねじを引抜こうとする力が大きく作用するこ と に よ り 、 木 ね し か 抜 け 易 く 接 合 部 の 角 度 変 化 が 大 き く な る た め で は ないかと考 え ら れ る c こ れに対し、接着接合試験体では、 棚 板と 側 板 と の 接 合 面 が 密 着 してい るた め、木ねじ接 合 試 験 体 に 比 べ 非 常 に 高 い 初 期 剛 性 を 維 持 す る ものの、さ ら なる荷 重 増 大 に よ っ て 接 着 面 近 傍 の 側 板 の 表 層 で は く 離 破 壊 が 生 じ 、 急 激 な剛性低下が見られた。

3.  A E

発 生 挙 動

各接合条件における A E発 生 開 始 時 の 荷 重 値 を 図 1 .5.4に示す。ね じ 込 み深さ 18mm及び 30mmの 試 験 体 で は 、 と く に 接 合 部 に お い て は 荷 重 点 よ りも

AE

発 生 が 低 い荷 重 で 開 始 す る こ と 、 す な わ ち 負 荷 に 伴 う 破 壊 は 接合

部において先行して始まることが認められた。

次 に 、 荷 重 点 及 び 接 合 部 に お け る 負 荷 に 伴 う A E累 積 イ ベ ン ト の 推 移 を 図 1.5.5に示す。荷 重 点 で は 、 い ず れの接合方法や条件においても、 A E 発生の形態はほぼ同 様 で 、 破 壊 荷 重 近く で の 急 激 なA E発 生 の 増 大 が 見 ら

148‑

(29)

れた。そ れ に 対 し 接 合 部 で は 、 ね じ 込 み 深 さ 55mmの 場 合 に お け る A E発 生 は 非 常 に 少 な く 、 接 合 部 で の 破 壊 が ほ と ん ど 生 じ て い な い こ と が 認 め ら れた。ま た 、 接 合 部 で は 、 ね じ 込 み 深 さ が 小 さ い 試 験 体 ほ ど 低 荷 重 域 に お いてA E発 生 が 開 始 し 、 そ の 増 加 度 合 も 大 き い こ と か ら 、 ね じ 込 み 深 さ が 小 さ い も の ほ ど 低 荷 重 に お け る 接 合 部 の 破 壊 が 生 じ 易 い と い え るc 接 着 接 合試験体においては、接着面近傍の側 板表 層 の 剥 離 破 壊 発 生 と 同 時 に 、 そ れに起因する A Eが 急 激 に 発 現 し 始 め た。接 合 部 に お け る 負 荷 に 伴 う A E 発生挙動は、前述の岡JI性 の 低 減 挙 動 に 相 応 す る 傾 向 を 示 し た こ と か ら 、 接 合 部 の 剛 性 低 下 に は 接 合 部 の 微 小 破 壊 進 展 が 密 接 に 関 与 し て い る も の と 推 察できる。

4.  A E

発 生 と 応 力 と の 関 係

荷重点における A E発 生 挙 動 に つ い て は 、 荷 重 点 引 張 側 に お け る 曲 げ 応 力との関係について検討した。荷 重 点 に お け る 曲 げ 応 力 は 、 前 節 に 示 さ れ る式(1.4.20)を 用 い て 求 め た。各接合条件において、 A E発 生 が 確 認 さ れ 始 めた点の応力すなわちA E発 生 開 始 時 応 力 を 図 1 .5.6に示す。荷 重 点 に お いては、 A E発 生 開 始 時 の 応 力 は い ず れ の 接 合 条 件 に お い て も ほ ぼ 同 様 の

値を示すものと考えられる。

また、荷重点における応力と A E累 積 イ ベ ン ト 数 と の 関 係 を 図 1 .5.7に 示す。い ず れ の 条 件 に お い て も 、 応 力 が 150kgf/cm2を 越 え る と 急 激 なA E 発 生 の 増 加 が 見 ら れ る こ と よ り 、 木 ね じ 接 合 試 験 体 の 荷 重 点 に お け る A E の 発 生 挙 動 は 、 そ こ に 作 用 す る 応 力 の 大 き さ に 支 配 さ れ る こ と が 確 認 さ れ

ち に

149‑

(30)

5 .  A  E パラメータ

荷重の増大に伴う A Eの 振 幅 分 布 の 推 移 を 木 ね じ 接 合 の ね じ 込 み 深 さ 18mm、30mm、55mm及 び エ ポ キ シ 樹 脂 接 着 剤 接 合 の 場 合 に つ い て 、 そ れ ぞれ図1.5.8、図1.5.9、図1.5.10及び図1.5.11に 示 す。接合部においては、

ねじ込み深さ 18mm及 び 30mmの 場 合 、 荷 重 点 に 比 べ 低 荷 重 域 か ら 大 振 幅 のA E発 生 が 顕 著 に 見 受 け ら れ た。ね じ 込 み 深 さ 55mmの 場 合 は 、 接 合 部 における A E発 生 が 少 な い こ と が 明 ら か に な っ た。一 方 、 接 着 接 合 試 験 体 で は 、 接 合 部 近 傍 の 側 板 表 層 の は く 離 破 壊 発 生 時 に 大 量 に A Eが 発 生 し て いるのがわかる。こ れ ら の 結 果 か ら 、 荷 重 点 と 接 合 部 と で は 発 生 す る A E の振幅分布に差があることが認められた。

ねじ込み深さ 18mmの 試 験 体 と 接 着 接 合 試 験 体 に お け る A Eの 持 続 時 間 の分布を図1.5.12に示す。接 合 部 で は 10数 μsecのところにピークがあり、

持続時間の長い A Eが 荷 重 点 よ り も 多 く 含 ま れ て い る 傾 向 が あ る。

また、 A Eの 立 上 が り 時 間 の 分 布 を 図 1 .5.13に 示 す 。 荷 重 点 に お い て は 10μsec以 下 の も の が 大 半 を 占 め る の に 対 し 、 接 合 部 で は 、 10数μsecの ところにピークがあり そ れ 以 上 の 立 上 が り 時 間 の も の も 多 く 含 ま れ る 傾 向がある。持 続 時 間 な ら び に 立 上 が り 時 間 と も に 、 い ず れ の 接 合 条 件 に お い て も 同 様 の 傾 向 が 見 受 け ら れ た こ と よ り 、 荷 重 点 と 接 合 部 と で は そ の 分 布が異なることが認められた。これらの結果より、 A Eの 立 上 が り 時 間 及 び持続時間は、接合部と荷重点、における破壊形態の相違を究明する上で、

有 用 な パ ラ メ ー タ と な る も の と 考 え ら れ 、 今 後 さ ら に 詳 細 な 検 討 が 必 要 で ある。

6.

摘要

両 端 に 木 ね じ あ る い は 接 着 に よ る 接 合 部 を 持 つH型 の パ ー テ ィ ク ル ボ ー

‑150 ‑

(31)

ド接 合 試 験 体 を 用 い 、 静 的 曲 げ に お け る そ の 接 合 部 と 荷 重 点 の

AE

発 生 挙 動を検討した。

(1)ねじ込み深さが小さい試験体では、荷重の増大に伴う

AE

発 生 は 荷 重

点よりも接合部において低荷重で開始する。す な わ ち 、 負 荷 に 伴 う 破 壊 は 接合部において先行していることが認められた。(図1.5.4)

( 2 )

ねじ込み深さ 55mmの 場 合 に は 、 接 合 部 に お け る

AE

発 生 が 非 常 に 少 な く 、 接 合 部 で の 破 壊 が ほ と ん ど 生 じ て い な い こ と が 認 め ら れ た。また、

ねじ込 み 深 さ が 小 さ い 試 験 体 で は 、 低 荷 重 域 に お い て

AE

発生が開始し、

そ の 後 の 増 加 度 合 も 大 き い こ と が 明 ら か と な り 、 比 較 的 低 荷 重 で も 接 合 部 の破 壊 が 生 じ 易 い こ と が 確 認 さ れ た。(図1.5.5)

(3) 負荷に伴う接合部の

AE

発生挙動は、岡IJ性 係 数 の 低 減 挙 動 に 相 応 す る 傾 向 を 示 し て い る こ と か ら 、 接 合 部 の 剛 性 低 下 に は 接 合 部 の 微 小 破 壊 進 展 が密 接 に 関 与 し て い る も の と 推 察 で き る。ま た 、 接 着 接 合 試 験 体 で は 、 棚 板 と 側 板 と の 接 合 面 が 密 着 し て い る た め 、 木 ね じ 接 合 試 験 体 に 比 べ 非 常 に 高 い 初 期 剛 性 を 維 持 す る も の の 、 荷 重 増 大 に 伴 う 接 着 面 近 傍 の 側 板 の 表 層 はく離による破壊で大量に

AE

が 発 生 し 、 そ れ に 相 応 し て 急 激 な 剛 性 低 下 が見られた。(図1.5.3、図1.5.5)

(4) 荷重点と接合部とでは、

AE

の 振 幅 、 立 上 が り 時 間 及 び 持 続 時 間 等 の 分 布 が 異 な る こ と が 認 め ら れ た こ と か ら 、 こ れ ら の

AE

パ ラ メ ー タ は 接 合 部 と 荷 重 点 に お け る 破 壊 形 態 の 相 違 を 究 明 す る 上 で 有 用 で あ る と 考 え ら れ

る。(図1.5.8 '"'"'図1.5.13)

‑151 ‑

(32)

H型 試 験 体

試 験 休 保 持 治 具 図 1.5.1 静 的 曲 げ 試 験 に お け る A Eセ ン サ ー の 位 置

A Eセ ン サ ー の 位 置

:荷重点

:接合部近傍

‑152 ‑

(33)

150 

100 

50 

(

)

1

~

2.0 

1 . 0  0.5 

0  0.0 

(cm) 

1 . 5.  2静的試験における荷重ーたわみ曲線

一‑̲.‑‑̲. 木ねじ接合(ねじ込み深さ 18mm) 一一企一一 :  11  11  30mm) 

‑ . 一 11 11  55mm)  一心ー :エポキシ樹脂接着剤接合

153‑

たわみ 図

(34)

1. 0 

0.8 

O. 6 

凶毛

H

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̲""a 

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町 、 司 、

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0.2 

150  (kgf) 

荷 一 雷 エ

nU  

Fhd 0.0 

1 . 5.  3静的負荷に伴う接合部同]1性係数の推移

‑.‑‑‑ー:木ねじ接合(ねじ込み深さ:18mm) 

一一企一一 11  11  30mm) 

‑・‑:

If  11  55 mm ) 

ーやー :エポキシ樹脂接着剤接合

154‑

(35)

.A.  .A. 

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80 

40  60 

20 

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30  55  G  ねじ込み深さ (mm)  1 8 

1.5.4接合条件がAE発生開始時の荷重 に及ぼす影響

G :エポキシ樹脂接着剤接合

4 :荷重点

--~-- :接合部

‑155 ‑ 図

(36)

2500 

荷 重 占 山

2000  1500  1000 

議ム入て﹂︑細

ww

500 

150  100 

50  0 0 

2500 

接合部

.,

6

 

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2000  1500 

500  1000 

150  100 

(kgf) 

# 何 雷 エ

U

Fhu 

。 。

静的負荷に伴う

AE

累積イベント数の推移

‑‑‑‑*‑‑‑‑ 木ねじ接合(ねじ込み深さ:18mm) 

‑ ‑ A一一 :  /1  1/  30mm) 

‑ :   /1  /1  55mm)  ーやー:エポキシ樹脂接着剤接合

156‑

1 ̲ 5.  5  図

(37)

200 

150 

(N EO

¥

)

100 

50 

R

G

‑L  30  55  G 

ねじ込み深さ (mm) 1 8 

1 . 5.  6

接合条件が荷重点における

AE

発生 開始時の応力におよぼす影響

G :エポキシ接着剤接合

‑157 ‑ 図

(38)

2500 

1500 

500  1000  2000 

500  600 

lJnι n H M m

a aJ//  nuc 

F+

t 

gb   'k  

︐ ︐

EE︑ ︑

300  200 

100 

。 。

曲げ応力

1.5.7荷重点における曲げ応力と A E累積イベント数 との関係

‑‑‑̲.‑‑‑‑:木ねじ接合(ねじ込み深さ:18mm) 

一一企一一 11  11  30mm) 

.. ‑ :   11  11  5 5 mm )  一心一一:エポキシ樹脂筏着剤接合

‑158 ‑

(39)

素話 住民

ま 話 也区

荷 重 点

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振 幅

(V) 

図1.  5 .   8  静的曲げ諒験における AE 振幅分布

(木ねじのねじ込み深さ:18mm) 

159‑

100 

(40)

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(V) 

振 幅

1 0 0  

実話 也長

(V) 

静的曲げ試験における A E 振幅分布 (木ねじのねじ込み深さ

:30mm)

‑160 ‑

振 幅

図1.  5 .   9 

(41)

実話 也民

素系 性

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荷 重 点

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振 幅

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図1

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A E

振幅分布 (木ねじのねじ込み深さ

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静的曲げ試験における A E 振幅分布 (エポキシ樹脂接着剤接合)

‑162 ‑

振 幅

1. 

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11 

表 1 . 4 . 2 試 験 体 の接 合 条 件 木 ねじ 直 径 ねじ 込 み 深 さ 締付けトルク (mm)  (mm)  ( k g f '  cm)  5 . 1  5
表 2 . 1 . 2 ボルト 軸力 の初期の緩 和 ( P l/ P O ) と 緩 和 係 数 (mp)
表 2 . 1 .4座金 の 長 さ が 異 な る場合 のボ ル ト 軸 力の 初 期 の 緩 和 ( P l/ P O ) と緩和係数 (mp)

参照

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