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多主桁多径間鋼鈑桁橋への塩分付着挙動

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Academic year: 2022

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(1)多主桁多径間鋼鈑桁橋への塩分付着挙動 山口大学大学院 学生会員 ○松尾宏樹 山口大学大学院 学生会員. 西村陽平. 山口大学大学院. 麻生稔彦. 正会員. 1. はじめに 耐候性鋼材は、鋼材表面に緻密な保護性さびを形成することにより鋼材の腐食速度を抑えることができ、 無塗装での使用が可能となる。これにより塗装のための維持管理費が大幅に縮減され、ライフサイクルコス トの縮減につながる。しかし、耐候性鋼材に本来の防食機能を発揮させるには、飛来塩分量などの腐食環境 を十分に把握する必要がある。そこで、本研究では耐候性鋼材を使用した多主桁多径間鋼鈑桁橋における飛 来塩類と付着塩類について調査し、測定位置の腐食環境について検討する。 2. 調査方法. 表-1 橋梁概要 構造形式 4径間連続鈑桁橋. 対象橋梁の概要を表-1 に示す。塩分付着挙動調査を対象橋梁の横断方向と橋軸方 向で行った。飛来塩類はガーゼ捕集器により採取し、付着塩類は拭き取り試験によ. 材質. 耐候性鋼材. 離岸距離. 1.5km. 桁数. 7本. 橋長. 139m. 全幅員. 20m. り採取する。 ガーゼ捕集器の位置と拭き取り試験の位置を、図-1 および図-2 に示す。 月に 1 回回収した試料 をろ過し、イオンクロマトグラフおよび ICP により、イオ ン分析を行う。本研究では 7 種類 (Cl⁻、NO₃⁻、SO₄²⁻、K⁺、Na⁺、 Mg²⁺、Ca²⁺)のイオンを対象とした。 3. 調査結果 対象橋梁では、西南西および西方向 の離岸距離が 1.5km と短く、この方向. 図-1 横断方向における試験位置. からの風速と飛来塩分量には関係があ ると考えられる。そこで、図-3 に月別 飛来塩分量(Cl⁻量から換算した NaCl 量)と海風方向(西、西南西方向)の累 積風速の関係を示す。累積風速のデータ. 図-2 橋軸方向における試験位置. は、対象橋梁から北西方向に約 9km の位 西. いる。計測期間に おける平均飛来塩 分量は 0.249mdd となった。図にお いて、両者は同様 の傾向をとってお. 飛来塩分量(mdd). 下松から引用して. 西南西. 桁下飛来塩分量. 平均. 0.8. 1000. 100%. 0.7. 900. 90%. 800. 80%. 700. 70%. 0.6 0.5. 600. 0.4. 500. 0.3. 400. 累積風速(m/s). 置にあるアメダス. 20%. 0.1. 100. 10%. 0.0. 0 2010年. S-6. 40% 30%. 2009年. S-5. 50%. 200. 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月. S-3. 60%. 300. 0.2. S-2. 0% 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 2009年 2010年. 図-3 月別飛来塩分量と累積風速. 図-4 桁間流入率. り、相関係数は 0.81 となっている。また、夏季より冬季の方が飛来塩分量は大きくなっている。冬季は季節風が海方向から 卓越するので、多くの海塩粒子が運ばれるためだと考える。図-4 に桁下飛来塩分量の桁間流入率を示す。飛 来塩分量は、桁下において最も多く、桁間飛来塩分量(S-L,2,3,5,6)は桁下飛来塩分量の 35~45%の量である。 また、図より桁の位置による桁間流入率の差は明確には見られなかった。.

(2) ウェブ上部. 図-5 に各部位における平均付着塩分量の月別変化を示す。 測定月によらず付着塩分量はウェブ上部からフランジ上面へ 露により塩分が下へ洗い流されているのが原因だと考えられ る。また、フランジでは洗い流された塩分が堆積すると考え. フランジ上面. 0.04 0.03 0.02 0.01. られ、フランジ上面には、ウェブ下部の 4. 6 倍の塩分が付着. 0.00 9月 10月 11月 12月 1月. していた。桁下飛来塩分量に対する割合はウェブで 3.5%以下、. 2月. 3月. 4月. 2009年. フランジは 10. 3%の塩分が付着していることが明らかとなっ. 5月. 6月. 7月. 8月. 9月. 2010年. 図-5 横断方向付着塩分量. た。 図-6 に海水の塩類組成、図-7. ウェブ下部. 0.05. 付着塩分量(mdd). と下方にいくにつれて、大きい値になっている。これは、結. ウェブ中央. 0.06. Cation ←・→ Anion. -1.5. -1.0. Cation ←・→ Anion 8月 1月 -0.5. 0.0. 0.5. 1.0. 1.5. に 8 月と 1 月の桁下飛来塩類組 Na+ +K+. 成のヘキサダイアグラムを示す。 海水は Na⁺と Cl⁻が多い盃型で. Cl-. Ca2+. あり、桁下飛来塩類も同じ盃型. SO4 2-. ClSO4 2-. Ca2+. NO3 -. Mg2+. をしており、飛来塩類は海塩粒. Na+ +K+. Mg2+. NO3 -. 子に由来していると考えられる。 しかし、飛来塩類には海水にない. 図-6 海水. 図-7 飛来塩分量. NO₃⁻や SO₄²⁻が含まれている。光市は工業地域のため、工. 140. と考えられる。. 120. 関図を示す。対象橋梁は、さび安定化補助処理が施されて. 膜厚(µm). 場から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物が影響している 図-8 に各部位における膜厚測定結果と付着塩分量の相. フランジ. 160. 100 80. 60 40. いる。図より付着塩分量が多い部位ほど膜厚が大きい傾向. 20. にある。この結果から、付着塩分量が鋼材の腐食に大きく. 0 0.00. 影響していると考えられる。. 0.01. 0.02 0.03 0.04 付着塩分量(mdd). 図-9 に橋軸方向における飛来塩分量を、図-10 に付着塩 分量をそれぞれ示す。両者ともに橋軸方向において位置による. 西側←・→東側. ず、飛来塩分は橋 に到達し付着して. 0.05. は横断方向同様に. 飛来塩分量(mdd). 0.00. 0.15. 0.35. 0.040. 平均 C-1. 11月. 12月. 0.035 0.030 0.025 0.020 0.015 0.010 0.000. 0.25. 大きい。. 10月. 0.005. 0.20. 0.30. この調査により、. C-3. 0.10. 下方にいくにつれ 4. まとめ. 10月. 西側←・→東側 11月 12月 C-L C-2. 付着塩分量(mdd). C-4. 梁に対しほぼ一様. また、付着塩分量. 0.05. 図-8 膜厚と付着塩分量相関図. 差はあまり見られ. いると考えられる。. ウェブ. ウ ェ ブ 上 部. 図-9 橋軸方向飛来塩分量. ウ ェ ブ 下 部. フ ラ ン ジ. ウ ェ ブ 上 部. ウ ェ ブ 下 部. フ ラ ン ジ. ウ ェ ブ 上 部. ウ ェ ブ 下 部. フ ラ ン ジ. ウ ェ ブ 上 部. ウ ェ ブ 下 部. フ ラ ン ジ. 図-10 橋軸方向付着塩分量. 対象橋梁における飛来塩分量と付着塩分量の関係が明らかとなった。本橋のような多主桁多径間の橋梁は複 雑な構造を持つため、桁の位置により付着塩分量が異なる結果となり、フランジ上面はウェブ下部の約 4.6 倍の塩分が付着していることがわかった。また、膜厚測定の結果より膜厚の大きさと付着塩分量には関係が あることが示された。.

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