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英虞湾沿岸未利 用地 にお ける海水導入 による環境再生効果の検討

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Academic year: 2022

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(1)海 岸 工 学 論 文集,第55巻(2008) 土 木 学 会,1271‑1275. 英虞湾沿岸未利 用地 にお ける海水導入 による環境再生効果の検討 Evaluation of Restoration Effect in the Coastal Unused Reclaimed Area by Promoting Water Exchange in Ago Bay.. 国 分 秀 樹1・ 高 山 百 合 子2・ 矢 持 進3 Hideki. In AGO. Bay, approximately. tempts. were made. sea using. evaluated. by monitoring. wetland. were. would. reclaimed. 1.. pumps,. gradually. the water. method. 70%. to enhance. and outer. under. KOKUBU,. of the tidal. the biological pipeline. sediment changed. exchange.. TAKAYAMA. flat have already productivity,. system quality,. water. condition. of land reclamation.. water. between. every. season. by promoting would. environment. YAMOCHI. lost because. in an experimental. abundance. exchange. use of the coastal. been. and Susumu. by promoting. was set up benthic. to the aerobic. Continuous. lead to wise. Yuriko. exchange reclaimed for. the decomposition. provide. enhancement. and enhance. wetland.. 18 months.. The. productivity. at-. reclaimed. Improvements sediment. of the hypertrophic. of the biological. the biological. In this study,. unused. were. statuses. in. sediment. productivity. around. area. This. the unused. areas.. たが,明 治 時 代 に干 拓 され,現 在 は耕 作 放 棄 され て い る. は じめ に 海 域 側 はコ ンク リー ト堤 防 に よ り締 め切 られ,陸 側 は山 々 東 京 湾 や大 阪湾 な どの都 市 域 の沿 岸 部 に は低 利 用 地 化 し. に連 続 した ヨ シ原 と隣 接 し,水 田 と して 整 備 され た名 残 か. た 工場 跡 地 が多 く残 され,ま た,一 見 自然 豊 か な英 虞 湾 に. ら,実 験 地 の周 囲 は あぜ道 で 囲 まれて い る.ま た,堤 防 に. お いて も,耕 作 放 棄 地等 の未 利 用 地 を多 く抱 えて い る.沿. は逆 流 防止 用 の フ ラ ップ が設 置 され,後 背 地 と海 域 との 多. 岸 域 の 環 境再 生 を実 施 す る場 合,こ の よ うな未 利 用 地 の面. 少 の 海 水 交 換 は あ る.本 実 験 で は,対 象 水 域 を 中 央 で2. 積 は無 視 で きな い規 模 で あ り,東 京 湾 で は沿 岸 域 一 帯 に,. 区 画 に土 嚢 で仕 切 り,1区. 英 虞 湾 で は現 存 す る干 潟 の約2倍 る(国 分 ら2008).こ. 画 はポ ンプ に よ る海 水 導 入 区 と. の休 耕 田が放 置 さ れて い. の よ うな沿 岸 未 利 用 地 は,英 虞 湾 浅. 海 域 を分 断 し,生 物 生 産 性 を著 し く低 下 させて い る(国 分 ら2008).こ. う した 実 情 を背 景 に,海 域 の 自然 再 生 手 法 と. して,沿 岸未 利 用地 を干 潟 に再 生 す る構 想 が 議 論 さ れて い る.本 研 究 で は,沿 岸 未 利 用 地 の 再 生 技 術 開 発 の 第 一 歩 と して,沿 岸 未 利 用 地 の生 物 生 産 性 の向 上 を 図 る ため,堤 防 に よ り阻 害 さ れて いる海 水 流 動 を ポ ンプ に よ り回 復 させ る海 水 導 入 実 験 を実 施 し,海 水 導 入 前 後 の底 質 と底 生 生 物 の変 化 特 性 につ い て整 理 した.さ. らに実 験 デ ー タを 元 に 図‑1. 流 動 ・水 質 ・底 質 シ ミュ レー シ ョンを実 施 し,海 水 導 入 に. 英 虞湾 内堤 防後 背地 の調 査地点. よ る環 境再 生 効 果 を検 討 した. 2.. 現地実験の方法. (1) 海 水 導 入 に よる 堤 防後 背 地 の再 生 実 験 現 地 実 験 場 所 と海 水 導 入実 験 図 を 図‑1,2に 験 は,2006年5月. 示 す.本 実. よ り阿 児 町 立 神 杓 浦 で実 施 した.実. 験. 場 所 は,英 虞 湾 の入 江 の奥 に位 置 し,過 去 に は干 潟 で あ っ. 1正 会 員. 理修. 三重県水産研究所. 2正 会 員. 工博. 大成建設(株)技術 セ ンター. 3正 会 員. 農博. 大 阪市立大学大学 院工 学研究科都市系 専攻. 図‑2. 堤 防後 背地 へ の海 水導 入実 験 の概要(杓 浦).

(2) 1272. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). し,も う1区 画 は対 照 区 と して 現 状 が維 持 され る条 件 と し た(総 面 積200m2).海. 水 導 入 区 の 水 位 は,海 域 側 の潮 位. に あわ せ て変 化 す るよ うポ ンプ流 量 を 設 定 した.流 域 負 荷 を含 め た 未 利 用 地 の環 境,未. 利 用 地 環 境 が 淡 水 系 か ら海. 水 系 に変 化 す る ことに よ る水 質,底 質,底 生 生 物,植 生 お よ び周 辺 海 域 へ の影 響 を把 握 す る ことを 目的 と し,現 在 も モ ニ タ リング を継続 中 で あ る. (2) 現 地 調 査 方 法 a) 事 前 調 査 堤 防 後 背 地 の 現 状 を把 握 す る ため,図‑1に. 示 す よ う に,. 潮 受 け堤 防後 背 地 の未 利 用 水 域 につ いて,英. 虞 湾 内 の代. 図‑3. 計 算 モ デル. 図‑4. 計算 ケ ース. 表 的 な場 所 を それ ぞ れ3箇 所(杓 浦(DL+1.0m,+0.5m, ±0m:海. 水導 入 実 験 予 定 地),立 石 浦(DL+0.5m,±0m). 及 び 石 淵(DL+1.0m,+0.5m,±0m))選 とに年4回,1年. 定 し,季 節 ご. 間 の 底 質 とマ ク ロベ ン トスの変 化 を調 査. した.調 査 日時 を表‑3に 示 した. b) 海 水 導 入 後調 査 海 水 導 入 実 験 区 造 成 後,2006年6月 対 照 区 及 び堤 防 前 面 の海 域(干 高 毎(DL:0m,+0.5m,1m)に 類 数,個. よ り海 水 導 入 区 と. 潟)の. 測 点 に お いて 地 盤. 底 質,マ ク ロベ ン トス(種. 体 数,湿 重 量)に つ いて 同 様 に年 に4回,定. 的 に調 査 を行 った(図‑2).底. 質 は直 径8cmの. 期. ア ク リル製. 表‑1. 流 入負 荷 およ び海側境 界 の物質 濃度. コアを用 いて 干 潟 底 質 の未 撹 乱 試 料 を採 取 し,ク ロロ フ ィ ル‑aは. 表 層 か ら1cm,そ. T‑N,TOC)は. れ 以 外(含. 泥 率,COD,AVS,. 表 層 か ら12cmを 分 析 試 料 と した.マ ク ロベ. ン トス の調 査 は,各 地 点 面 積0.2m2(0.2m×0.2m×5回), 深 さ20cmで か けた後,残. 干 潟 底 泥 を採 取 し,1mmメ. ッ シュの ふ る いに. 留 物 につ いて マ ク ロベ ン トス の種 類 数,個 体. 数,湿 潤 重 量 及 び食性 を調 べ た.食 性 につ いて は,風 呂 田 ら(2000)の. 表‑2. 底 質上 の物 質収 支 の設定 条件. 干 潟生 物 の摂 食 様 式 を参 照 し,分 類 した.. (3) 海 水 導 入 によ る環 境 再 生 効 果 の検 討 a) モ デル 概 要 海 水 導 入 によ る環 境 再 生 効 果 を検 討 す るた め,実 験 デ ー タを元 に流 動 ・水 質 ・底 質 シ ミュ レー シ ョ ンを行 った.計 算 プ ログ ラ ムは デル フ ト水 理 研 究所 で 開発 さ れたDelft3D‑ FLOWお. よ びDelft3D‑WAQを. 2005a,2005b),水. 使 用 し(Delft. Hydraulics,. 質 と底 質 の相 互 作 用 を考 慮 した平 面2. 次 元 シ ミュ レー シ ョ ンを実 施 した.計 算 モ デル を図‑3に 示. 域 の物 質 濃 度 を与 え た.堤 防 後 背 地 に は,流 域 か らの流 入. す.計 算 モ デル は,海 水 導 入 実 験 を対 象 と し,計 算 領 域 は,. 負 荷 を陸 側 の 中央 か ら与 え た.流 入 負 荷 と海 域 境 界 の物 質. 海 域 は岸 沖60m× 岸15m,グ. 沿 岸75m,堤. リ ッ ド間 隔2.5m,水. 防後 背 地 は岸 沖15m× 深1.4m(1層)と. 海 水 導 入 は,海 側 境 界 の潮 汐 周 期,振. 沿. 設 定 した.. 幅 に合 わ せ て 海 域. 濃度 は海 水 導 入 実 験 の調 査 結 果 を 参 考 に 設 定 した(表‑1). 海 側 境 界 濃 度 は,植 物 プ ラ ンク トン,デ トリタス,溶 存 態 有 機 物 の濃 度 を それ ぞ れ 表‑1の. とお り設 定 した.流 入 負. と堤 防後 背 地 の 中央 にそ れ ぞれ 設定 した取 放 水 口を通 じて. 荷 の値 は,降 雨 時 に堤 防 後 背 地 に流 れ込 む 流 量 お よび流 入. 行 わ れ る もの と し,上 げ潮 時 は堤 防後 背 地 内 に流 入,下. 物 質 濃 度 を 実 測 した 結 果 を 用 い,流. げ. 潮 時 は海 域 に流 出 す る.堤 防 後 背 地 で は,こ の海 水 交 換 に よ り後 背 地 水 量 の約35%が1日2回 件 で あ る.海 側 境 界 は潮 汐(M2潮,振. 外 海 水 と交 換 され る条 幅0.5m)で. あ り海. 0.0005m3/s,物. 域 か らの 流 量Qは. 質 濃度 は表‑2に 示 す.. b) 計 算 ケー ス 計 算 ケ ー スを 図‑4,表‑2に. 示 す.計 算 は,堤 防 で海 と.

(3) 1273. 英虞 湾沿 岸未利 用地 にお ける海水 導入 に よ る環境 再生 効果 の検討 表‑3. 英虞 湾 内堤 防後背 地 の底質 と底生 生物 の特 徴. こ とが知 られ てい る(寺 島 ら(1999)).つ. ま り,潮 受 け堤. 防 後 背 地 の 底 質 に は,陸 上 植 物 由 来 の リター等 が 流 入 し, 堤 防 によ り後 背 地 に堆 積 して い る ことが推 測 され た. マ クロベ ン トス は,塩 分 も15‑22‰ と低 い ことか ら,イ ト ゴ カ イ(Capitella. sp.)や ユ ス リカ(Chironomidae)の. よ. うな 小 型 でか っ 汽 水 域 で生 息 す る生 物 が 優 占 して いた.ま た湿 重 量 は極 端 に小 さ く,多 様 性 の低 い生 物 相 で あ った. これ は,過 去 の干 拓 によ る潮 受 け堤 防 の建 設 が,原 因 と し て 考 え られ る.堤 防 に よ り分 断 され た後 背 地 は,海 水 の交 換 も悪 く,陸 域 か ら流 入 す る リター等 の有 機 物 を蓄 積 す る た め,底 質 の有 機 物 含 有 量 が高 く,そ れ に よ り夏 季 に は 況),. AVSが 高 い,過 栄 養 かつ 還 元 的 な底 質 環 境 とな り,生 物 の. 水 導 入 に干. 生 息 を妨 げて い る ことが 推 測 され た.そ れ に よ り,ベ ン ト. 仕 切 られ た堤 防 後 背 地 の状 況 を 再 現 した ケー ス1(現 海 水 導 入 を実 施 した ケ ース2(海. 水 導 入),海. 潟 の 浄 化 効 果 を付 加 した ケ ー ス3,ケ 干 潟)の4ケ. ー ス4(海. ース を実 施 した.底 質 上 の物 質 収 支 条 件 と し. て,現 地 観 測 か ら得 られ た 溶 出 速 度,酸 子 状 有 機 物PONの とPOPの. 素 消 費 速 度,粒. フ ラ ック スの値 を与 え た(表‑2).POC. フ ラ ックス の値 は,PONの. ドフ ィー ル ド比C:N:P=50:6:1を. ス の餌 とな る クロ ロ フィル‑aは 高 い値 に もか か わ らず,多 様 性 や 生 物 量 が低 く,比 較 的 富 栄 養 な環 境 に強 い多 毛 類 が優 占す る貧 弱 な生 物相 に な るこ とが 推 測 された. (2) 海 水 導 入 後 の底 質 とマ ク ロベ ン トスの変 化. 現地観 測値か らレッ. 用 いそ れ ぞれ 算 出 した.. 表‑1に 示 す 海 域 お よ びケ ー ス1,2の 始 直後,ケ. 水 導 入+. 値 は海 水 導 入 実 験 開. ー ス3の 値 は,実 験 開 始 か ら1年 半 後 の 観 測. a) 底 質 の 変 化 海 水 導 入 区,対 照 区 お よ び堤 防 前 面 海 域 の潮 間 帯(地 盤 高DL+0.5m)の. 測 点 にお け るTOCとAVSに. 事 前 調 査 よ り海 水 導 入 後1年. つ いて,. 半 の変 化 を図‑5に 示 した.. 結 果 を用 い た.ケ ー ス4の 値 は,英 虞 湾 に造 成 され た泥 質. 事 前 調 査 お よ び海 水 導 入 直 後 で は,TOC,AVS共. の 人 工 干 潟 にお け る造 成3年. 嫌 気 的 な状 態 で あ った.し か し,実 験 開始 後 約6ヶ 月 で 海. いた(国 分 ら,2006).表‑2よ. 後 の 物 質 収 支 観 測 結 果 を用 り,ケ ース3は,ケ. ー ス2. 水 導 入 区 でTOC,AVSが. 減 少 し,1年. に高 く. 半 後 に は対 照 区 と. に比 べ,溶 出 速 度,酸 素 消費 速 度,粒 子 状 有 機 物 の フラ ッ. 明 確 な差 がみ られ た.一 方,堤 防 前 面 の干 潟 底 質 につ いて. クス が大 きい ことが分 か る.こ れ は,海 水 導 入 実 験 の継 続. は,特 に変 化 は見 られ なか った.こ れ は,海 水 導 入 を行 う. に よ り得 られ た 堤 防 後 背 地 の干 潟 効 果 と言 え る.ケ ー ス4. こと によ り,堤 内 外 との海 水 交 換 が 促 進 され,徐 々 に海 水. にお け るPONの. 導 入 区 が 好 気 的 状 態 に変 化 して い る ことを示 す.そ の た め. 除 去 速 度 は,ケ ー ス2に 対 して 約10倍 で. あ る こ とが分 か る.計 算 は100日 間,す. なわ ち降 雨 が 連 続. して100日 続 き堤 防 後 背 地 に流 入 負 荷 が 流 入 し続 けた場 合 を計 算 した. 3.. 海 水 導 入 区,対 盤 高DL+0.5m)の. 事 前 調 査 を行 っ た図‑1に 示 す堤 防 後 背 地3地. 点 にお け. る底 質 お よ び出 現 したマ ク ロベ ン トスの分 析 結 果 につ いて, 1年 間 の平 均 値 ±標 準 誤 差 を表‑3に 示 した. 外 観 性 状 は泥 質 で,底. 測点 で 出現 した底 生 生 物 につ いて,事. 水産. 団 法 人 日本 水 産 資 源 保 護 協 会. はるか に超 え る高 い値 を示 した.ま た,底 質 の は12.2‑37.0mg/kgと 底 質 の有 機 物 含 有. 量 と同 様 に高 い値 を 示 した.底 質 のC/N比. 始 後,海. 半 の変 化 を図‑6に 示 した.実 験 開. 水 導 入 区 で は塩 分 が29‑32‰ に上 昇 した た め,マ. ク ロベ ン トス は前 述 の 汽 水 性 の ものか ら,ミ ズ ヒキ ゴカ イ (Cirriformia tentaculata)や. 質 の 有 機 物 含 有 量 は 高 く,杓. 浦,立 石 浦,石 淵 とも に富 栄 養 化 してお り,AVSも 用 水 基 準0.2mg/g‑dry(社. 照 区 およ び 堤 防 前 面 海 域 の 潮 間 帯(地. 前 調 査 よ り造 成 後1年. (1) 堤 防 後 背 地 の現 状. クロ ロ フ ィル‑a量. 示 され る還 元 物 質 の. 量 が減 少 して い る ことが考 え られ た. b) マク ロベ ン トスの 変 化. 結 果 と考 察. (2000))を. 底 質 中 の有 機 物 が 分 解 され,AVSで. を み る と,堤. 防 後 背 地 で11.4‑12.7と な り,湾 内 の 一 般 的 な 干 潟 底 質 の. senhousia)の. ホ ト トギ ス ガ イ(Musculus. よ うな海 水 性 かつ 富 栄 養 化 した場 所 に生 息 す. る生 物 相 に変 化 した.さ らに1年 半 後 で は,種 類 数 も29種 類 ま で増 加 し,ウ メ ノハ ナ ガ イ(Pillucina pisidium)や メ コ ブ シガニ(Philyra. pisum)に. マ. よ うな二 枚 貝 類 や 甲殻 類. も出 現 した.ま た湿 重 量 につ い て は堤 防 前面 海 域 の潮 間帯 と比 較 す る とまだ少 な いが,徐 々 に増 加 した.底 質 につ い て も,前 述 の とお り,徐 々 に好 気 的 に変 化 して い る ことか. 7.8‑8.9(国 分 ら2008)と 比 較 し,特 に高 い値 を示 した.こ. ら,堤 内 に堆 積 して い る高 濃 度 の 有機 物 の分 解 が 徐 々 に進. れ は,陸 か らの影 響 を示 す と考 え られ る.陸 上 の 高 等 植 物. 行 し,ベ ン トス の生 息 に適 した底 質 環 境 へ 変 化 して い る こ. ほど,セ ル ロー スの 割 合 が 大 き くな り,C/N比. とが 推 測 された.一 方,堤 防 前 面 海 域 に つい て も,徐 々 に. が上 昇 す る.

(4) 1274. 図‑5. 海. 海 水 導 入 実 験 後 の 底 質(上. 岸. 段:AVS,下. 工. 学. 論. 段:TOC)の. 文. 集. 第55巻(2008). 図‑6. 海 水導 入実 験後 の マ ク ロベ ン トス(上 段:種 類 数,下 段:湿 重量)の 変化. 変化. よ り外 海 水 との交 換 が 促 進 され外 海 水 濃 度 と同 等 の水 質 に で はあ るが,湿 重 量 が 増 加 傾 向 に あ った.こ れ につ いて は,. な った こ とを示 す.こ れ は現 地 実 験 にお け る降 雨 時 の対 照. 干 潟 底 質 等 に明 確 な変 化 はみ られ ない が,海 水 交 換 に よ り. 区 と海 水 導 入 区,海 域 にお け る平 均TOC濃. 堤 防 後 背 地 か ら有 機 物 等 の栄 養 が 豊 富 な水 が 供 給 され るた. 4.31,1.98,1.78mg/lと. め,堤 防 前 面 の マ クロ ベ ン トスが増 加 した可 能 性 が 考 え ら. また,ケ ー ス3に 付 加 した干 潟 の効 果 は,水 質TOCに. れ た.し か し,現 段 階 の デ ー タは不 十 分 で あ り,今 後 継 続. られな か った.. した調 査 が 必 要 で あ る.. 度 が それ ぞ れ,. な る こ とか ら も同様 の傾 向 を示 す. はみ. 以 上 よ り,堤 防 後 背 地 に海 水 導 入 を行 う と,堤 防 後 背. 以 上 よ り,今 後 継 続 して 調 査 す る必 要 が あ るが,海 水 導. 地 で は,今 まで封 じ込 まれ て いた高 い有 機 物 濃 度 の水 質 が. 入 によ り過 栄 養 か っ嫌 気 的 状 態 に な って い る潮 受 け堤 防 後. 外 海 と交 換 され る ことに よ り,海 域 と同程 度 の水 質 に改 善. 背 地 の底 質 環境 の改 善 と生 物 量 を向 上 で きる可 能性 が示 唆. で き る ことが 分 か った.ま た,著 者 らが事 前 に実 施 した 海. され た.. 水 導 入 に よ り与 え られ る海 域 へ の水 質 ・底 質 へ の影 響 の 事. (3) 海 水 導入 によ る環 境 再 生 効 果 の検 討. 前検 討 に よれ ば,堤 防 後 背 地 の高 い有 機物 濃 度 の水 質 を 海. a) 水 質 のTOCの. 域 に流 出す る こと によ り,海 域 の水 質 を 悪 化 させ る場 合 も. ケ ー ス1,2,3に. 変化 お け る海 水 導 入100日 後 の 水 質TOCに. つ い て,堤 防 後 背 地 と海 域 の中 央 点 で の比 較 を 図‑7に 示 す.水 質TOCは,植. 物 プ ラ ンク トン,デ. トリタス,溶 存. 態 有 機 物 の総 和 と し,図 中 に は水 質TOCの. 構 成 お よ び総. 和 の値 も示 した. 水 質TOCは,ケ. あ る こ とを 確 認 して い る(高 山 ら,2006).現. 海 水 導 入 実 験 の流 入 負 荷 で は,海 域 の 水 質 を悪 化 させ る こ とな く堤 防 後 背 地 の 水 質 を 改 善 す る こ とが で き る ことが分 か った. b) 底 質 のTOCの. ー ス1で は海 域 に比 べ て堤 防 後 背 地 で. 在実施 中の. 経 時変 化. 図‑8に ケ ー ス1〜 ケ ース4に お け る100日 後 の 堤 防 後 背 地. 増 加 した.そ れ以 外 の ケー スで は,堤 防後 背 地 と海 域 で 均 一 に な る傾 向 とな っ た .ケ ー ス2,3の 堤防後背地 および. の底 質TOCに. つ いて,堤 防 後 背 地 の 中央 点 で の比 較 を示 す .. 底 質TOCは,底. 質 中 のデ トリタス と した.堤 防 後 背 地 の底. 海 域 の値 は ケ ース1の 海 域 と同 レベル で あ った.各 ケ ー ス. 質TOCの. の水 質TOCの. 構 成 を 見 る と,ケ ー ス1の 堤 防 後 背 地 は,. 計 算 初 期 値 は50mgC/gで あ る.. 底 質TOCに. つ い て,初 期 値(50mgC/g)に. 対 す る増 減 を. 溶 存 態 有 機 物 が3.50gC/m3と 最 も多 く,植 物 プ ラ ンク トン. 比 較 す る.ケ ー ス1で は初 期 値 に対 して 大 幅 に増 加 し,そ. が7.68gC/m3,デ. れ 以 外 の ケ ー スで は初 期 値 に対 して 減 少 した.底 質TOCの. ト リタ スが0.44gC/m3で. あ った.こ れ は,. 堤 防 後背 地 で は,沈 降 性 の デ トリタス に対 し浮 遊 性 の 溶 存. 減 少 は,水 質TOCと. 態 有 機 物 と植 物 プ ラ ンク トンの 濃度 が著 し く増 加 す る こ と. 寄 与 す るデ トリタスが 海 域 に流 出 した こ とに加 え,流 入 負. を示 して い る.ケ ー ス1の 海 域,ケ. 堤防後背. 荷 に比 べ て底 泥 の分 解 速 度 が大 きい た めで あ った.こ の よ. 構 成 は,ほ ぼ全 てが 溶 存 態 有. うに ケ ース1と2を 比 較 す る こ とによ り,海 水 交 換 を行 うこ. 地 お よ び海 域 の水 質TOCの. ー ス2,3の. 機 物 であ った.こ れ は,堤 防 後 背地 の水 質 は,海 水 導 入 に. とで,堤. 同 様 に,海 水 導 入 に よ り底 質TOCに. 防 後 背 地 底 質 の 改 善(有. 機 物 の減 少)が. 可能で.

(5) 1275. 英 虞湾 沿岸 未利 用地 に おけ る海 水導 入 に よる環境再 生 効果 の検討. 産 性 の 向上 を 図 るた め,阻 害 され て い る海 水 流動 を 回復 さ せ る海 水 導 入 実 験 を実 施 し,海 水 導 入 前 後 の底 質 と底 生 生 物 の変 化 特 性 につ いて 整 理 し,数 値 シ ミュ レー シ ョンに よ り,海 水 導 入 によ る環 境 再 生 効 果 を検 討 した.本 研 究 の 主 要 な結 論 を以 下 に示 す. (1)潮受 け堤 防 に よ り干 拓 され た後 背 地 は,海 水 の交 換 も悪 く,陸 域 か ら流 入 す る有 機 物 を蓄 積 す るた め,底 質 の有 図‑7. 各 ケ ー ス に お け る 水 質TOCの. 比較. 機 物 含 有 量 が高 く,過 栄 養 か つ還 元 的 な底 質 環 境 と な り, 生 物 の生 息 を妨 げて い るこ とが わ か った. (2)海水 導 入 実 験 後1年. 半 で 底 質 の好 気 化 と堆 積 した 高 濃. 度 の有 機 物 の分 解 が 進 行 し,そ れ に伴 って マ ク ロベ ン ト ス も種 類 数 と湿 重 量 共 に増 加 す る こ とが分 か った. (3)数値 シ ミュ レー シ ョ ンの 結 果,海 水 導 入 す る こ とに よ り 海 域 へ の負 荷 を増 加 させ る こ とな く,堤 防後 背 地 の水 中 TOC濃. 度 を低 下 させ るこ とが で きる ことが 示 さ れた.ま. た,底 生 生 物 の 増 大 に と もな って干 潟 の浄 化 効 果 が 大 き 図‑8. 各 ケ ー ス に お け る底 質TOCの. 比較. くなれ ば,さ. らに底 質TOC濃. 度の低下が期待で きるこ. とが 分 か った. あ る こ とが示 唆 され,減 少量 は過 大 評 価 で あるが,前 述 し た現 地 実 験 結 果 と も同様 の傾 向 を示 した. 次 に,ケ ー ス2〜 ケー ス4を 比 較 す る こと によ り干 潟 の 効 果 を検 討 した.堤 防 後 背 地 の底 質TOCは,ケ 対 し,ケ ー ス3,ケ の 大 きさ は,表‑2に. 以 上 よ り,海 水 導 入 によ り過 栄 養 化 した潮 受 け堤 防後 背 地 の生 物 生 産 性 を向 上 で き る可 能 性 が 示 唆 され た.さ. ー ス2に. ー ス4の 順 で減 少 した.こ の 低 減 効 果. らに. 海 水 導 入 効 果 を発 揮 す るた め に は,予 め堤 防 後 背 地 の底 質 を適 度 な有 機 物 量 に改 善 す る ことが 有 効 で あ る ことが 示 さ れ た.. 示 した粒 子 状 有 機 物(以 下POM)の. 除 去 能 力 に依 存 した もの であ る.こ れ は,干 潟 のPOM除. 謝 辞:本 研 究 は三 重 県 地 域 結 集 型 共 同 研 究 事 業 の一 部 で. 去 能 力 は底 生 生 物 量 に依 存 す る こ とか ら(三 重 県2008),. 実施 された.ま た,現 地 実験 にあた り,英 虞 湾再 生 コ ンソー. 底 生 生 物 の増 大 に と もな って干 潟 のPOM除. シア ム,立 神 真 珠 研 究 会,志 摩 の 国 漁 協 立 神 支 所,芙. くな れ ば,さ. らに底 質TOC濃. 去 能 力 が大 き. 度 の低 下 が 期 待 で き る こ と. 蓉. 海 洋 開 発 か ら多 大 な協 力 を 得 た.こ こに謝 意 を表 す.. を示 す.し か し,現 状 の生 物 量 で は,ケ ース3に 示 すPOM 除去 能 力 しか 発 揮 で きな いた め に,ケ ー ス2と 大 差 はな い. その た め,ケ ース4のPOM除. 去 能 力 が 発揮 で きる生 物 量. に後 背 地 の 底 質 を改 善 す る必 要 が あ る.し か し海 水 導 入 の み に任 せ た干 潟 の 発 達 だ けで は,前 述 した現 地 実 験 で 示 さ れた よ うに,生 物 量 が豊 富 な底 質TOCに. 低下 す るまで に1. 年 半 以 上 を要 す る と考 え られ た. 以 上 よ り,海 水 導 入 は,堤 防 後 背 地 の水 質 浄 化 効 果 が 大 きい利 点 はあ る もの の,効 果 的 な 海 水 導 入 を実 施 す るた め に は,堤 防 後 背 地 の浄 化 能 力 を発 揮 させ る こ とを 目的 と した利 用 が望 ま しい ことが分 か った.そ の た め に は,予 め 堤 防 後 背 地 の 底 質 を底 生 生 物 に適 度 な有 機 物 量 に 改 善 す る ことが有 効 で あ り,そ の底 質 環 境 を維 持 す るた めの 干 潟 浄 化 能 力 の検 討 が 不 可 欠 で あ る. 4.. まとめ. 本 論 文 で は,過 栄 養 化 した 潮 受 け堤 防 後 背 地 の生 物 生. 参. 考. 国 分 秀 樹 ・奥 村 宏 征 ・松 田治. 文 (2008):. 献 英 虞 湾 に お け る干 潟 の歴. 史 的 変 遷 とそ の底 質, 底 生 生 物 へ の 影 響, 水 環 境 学 会 誌, Vol.31, No.6, pp.305‑311 国 分 秀樹 ・奥 村 宏 征 ・高 山百 合 子 ・湯 浅城 之 ・上 野 成三 (2006): 英 虞 湾 の 凌 渫 ヘ ドロを用 い た人 工 干 潟 にお け る潮 汐 に伴 う水 質 変 動 の連 続 観 測, 海 岸 工 学 論 文 集, 第53巻, pp.1231‑1235. 高 山 百 合 子 ・国 分 秀 樹 ・奥 村 宏 征 ・湯 浅 城 之 ・片 倉 徳 男 ・上 野 成 三 ・松 田治. (2006):. 沿 岸 未 利 用 地 へ の海 水 導 入 によ る環. 境 再 生 実 験 に関 す る水 質 シ ミュ レー シ ョン, 海 岸 工 学 論 文 集, 第53巻, pp.1246‑1250. 寺 島 美 南 子 ・古 宮 正 利 ・寺 島 滋 (1999): 北 海 道 西 方 海 域 か ら 得 られ た 海 底 堆 積 物 中 の 有 機 物 組 成 と初 期 続 成 分 解 の地 球 化 学 的 研 究, 地 質 調 査 所 月 報, 50,pp.307‑319. 風 呂 田利 夫 (2000): 干 潟 底 生 生 物 の 分 布 と摂 食 様 式, 洋, Vol.28, No.2, pp.166‑177.. 月刊 海. 社 団 法 人 日本 水 産 資 源 保 護 協 会 (2000)水 産 用 水 基 準. 三 重 県 (2008): 三 重 県 地 域 結 集 型 共 同 研 究 事 業 英 虞湾物 質 循 環 調 査 報 告 書, 第8章,. pp.353‑434.. Delft Hydraulics (2005a): Delft3D‑FLOW User Manual. Delft Hydraulics (2005b): Delft3D‑WAQ User Manual..

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参照

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