• 検索結果がありません。

発電用導水路に混入した土砂を効率よく排出するための分岐形状 

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "発電用導水路に混入した土砂を効率よく排出するための分岐形状 "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

[非拡幅分岐]

D=195

枝管D=100㎜,62

[10°漸拡分岐]

分岐対象区間2000

主管 10°

[20°漸拡分岐]

分岐対象区間2000

主管

20°

枝管D=62

枝管D=62 D=195

D=195

A1 A2

A2/A1=1.00

A1 A2

A2/A1=2.15

A1 A2

A2/A1=3.38

195

195

(A2断面)

195

371

(A2断面)

195

553

(A2断面)

図−1  実験を行った分岐形状

キーワード:ダム堆砂,土砂排出,既設導水路,流砂量比,分岐形状

連絡先:〒531-0074 ㈱ニュージェック 大阪市北区本庄東

2-3-20  TEL.06-6374-4023  FAX.06-6374-5605

表−1 検討条件 

流量

分岐後 土砂濃度

C(%)

分岐前

l/s) 本管

l/s)

分岐管

l/s)

分流量比 κ 0.05 33.0 31.40 1.60 0.048 0.05 33.0 30.00 3.00 0.091 0.05 33.0 28.90 4.10 0.124 0.05 33.0 26.40 6.60 0.200

0.05 33.0 22.00 11.00 0.333 0.05 33.0 31.35 1.65 0.050 0.05 33.0 29.70 3.30 0.100 0.05 33.0 26.40 6.60 0.200

0.05 33.0 23.40 9.60 0.300

※土砂(石炭粉)粒径0.4mm

発電用導水路に混入した土砂を効率よく排出するための分岐形状 

関西電力㈱   正会員 森 建二  関西電力㈱       上坂 薫  京都大学大学院 正会員 牛島 省

㈱ニュージェック   正会員○大本雄二 

1.はじめに:筆者らは,ダム堆砂の排出方法の

1

つとして,既設発電用導水路の一部を改造して排砂を実 施するシステムを提案している.これは導水路に混入した土砂を,発電用水車に流入する前に,土砂濃度の 大きい層から分離・排出することを意図したもので,

できるだけ少ない流量で多くの土砂を排出しようとす るものである.ここでは水理模型実験,数値計算の手 法を用いて,発電用導水路に混入した土砂を効率よく 分離・排出するための分岐形状について一定の成果が 得られたので報告する.

2.基本形状における分派特性:分岐形状については,

水理模型実験から管の一部に漸拡・漸縮部を設けるこ とにより分派効率が向上し,実験を実施したケースの 中ではその角度が

10°(これを基本形状と呼ぶ,図−

1)のものが適切であるとの結果を得た

1.一方,実験

で得られた分岐部の流速分布,土砂濃度分布をある程 度の精度で再現できる数値計算モデル(流れは標準k

−εモデル(2次元),土砂濃度は

passive scalar

モデル,

境界適合座標)を構築した 2.そこで基本形状を対象 に,数値計算により,流量比(κ)〜流砂量比(κg)

の関係を見い出し,実験におけるκ〜κg と比較した

(図−2).実験条件,計算条件は表−1 に整理した.

実験では,κが

0.2

程度までは概ねκの増加に対して κg も増加するが,その後はκの増加に対してκg の

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

流量比κ

流砂量比κg

実験値(漸拡10°:Q=33.0l/s:分岐位置中央) 計算値(漸拡10°:Q=33.0l/s:分岐位置中央) κg=4κ κg=2κ

κg=κ

図−2  流量比と流砂量比との関係    (実験値と計算値の比較) 

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-191- 2-096

(2)

増加は鈍感になる.計算では全体として実験よりも同じκに対してκgが大きく,κ=0.3でκg=0.9程度ま で増加する.これらの差異については実験現象が

3

次元であるのに対して,計算は

2

次元モデルであること の他に,実験では分岐部の局所的な流れの影響で,急激にκg が増加したあと,κの増加に対してκg があ まり変化しない領域となり,その後はκg=κの線に沿ってκ=1.0,κg=1.0 に漸近していく可能性が示唆 される現象であるが,計算ではそのような現象まで扱えていないこと等が考えられる.ただし,分岐管への 分派量があまり大きくないκ=0.1程度あれば,再現性は概ね確保されているといえる.

3.漸拡・漸縮部を諸元を変化させた場合の分派特性の変化:数値計算は必ずしも実験現象を正確に再現で きていない部分もあるが,実際の設計に用いる可能性が高いκ=0.1付近であれば,概ね再現性が確保されて いると判断し,水理実験では扱わない漸縮部の諸元を変化させた場合の分派特性の変化を調べることとした.

計算ケースは,漸拡・漸縮の角度と基本形状の

10°に対して 7°, 5°と小さくした場合と、それぞれの角度

に対して,分岐部の距離を基本形状の

5D(D:管径)に対して 1.5

倍(7.5D)したものとした.図−3,4に 計算結果を示す.分岐角度については,

10°→7°→5°の順に分派効率は低下するが,その程度は 10°に対

して

5°の場合でも 5〜6%の低減となっており,あまり分岐角度に依存していないことがわかる.角度を 10°

より大きくした場合は計算を実施していないが,実験の傾向から判断して分派効率は低下するものと推察さ れる.一方,分岐部規模を長くした場合には分派効率が向上し,その程度は

5D

に対して

1

割程度である.

4.適切な分岐形状:以上の検討結果より,効率的な分岐形状として,図−1に示す「10°漸拡分岐」(漸拡・

漸縮長さ

5D(D:管経))が挙げられる.更に効率の向上を求めるならば,分岐部を長くとることで実現可

能であるが,現地での施工上の制約等は厳しくなるものと考えられる.

5.おわりに:発電用導水路に混入した土砂を排出するために分岐部を設ける場合,土砂の分派効率はもち ろんのこと,現地の地形的制約,他施設の配置との関連,新たに発生する分岐部の損失の程度等の兼ね合い を総合的に判断して決定していくことになる.今後はそのような視点も念頭において,個別の具体地点を対 象にシステムの構築に向けた検討を進めていきたい.

参考文献:1)小久保鉄也,上坂薫,大本雄二;発電用導水路に混入した土砂の効率的分離・排出方法に関す る実験的研究,水工学論文集,第

48

巻,2004. 

2)円界正憲,牛島省,小久保鉄也,大本雄二,禰津家久;

漸縮・漸拡部と分岐を有するダクト内の沈降性物質輸送の数値計算,水工学論文集,第

49

巻,2005.

5° 7°

10°

5D 0.60 7.5D

0.65 0.70 0.75 0.80

κg

漸拡角度(°)

分岐規模(D:管径)

5D 7.5D

図−4  漸拡角度と分岐規模の変化によるκg の差異 

0.4

0.6 0.8 1.0

0.0 0.2 0.4 0.6

流量比κ

流砂量比κg

5D、10°

5D、7°

5D、5°

7.5D、10°

7.5D、7°

7.5D、5°

κg=4κ κg=2κ

図−3  流量比と流砂量比との関係(計算値) 

   (分岐部諸元の変化によるκg の差異) 

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-192- 2-096

参照

関連したドキュメント

による一般的な FISH 法による検出において、さほど大きなばらつきは見られなかった。そのため、抗原と抗体の反 応効率、もしくは

図-2 と図-3 に,それぞれ B/H =0( 未改良 ) と B/H =1.5 における 400Gal 加振時の水平土圧の時系列を示す.図-2 と図-3 より,加振前の静止 土圧は, B/H

 自動車・鉄道・バス利用の増減において実験群間での 有意な差を検出することはできなかったが,被験者を

ることで図‑2dの流速分布が得られる. 本研究においては水面に おける流速 uint は初期の段階においては未知であるため,同時計 て用い,繰り返し計算により uint

分後で 425 まで増加した。従って、連続実験においても、回分実 験と同様に 10 倍希釈が良く、曝気時間は 90 分が最適であると判った。 4.おわりに 本研究で以下のような結果が得られた。

近年、排水性舗装は施工量が増加しており、今後は打換えなどにより

%程度低くなっていることがわかる.これは,段差落下では試験 車が後軸で加振した後,橋梁外か中間支点上に逃げ付加重量を無 くすようにしたが,重錘降下では P2-P3 径間中央に約

の形状は図−2に示すとおりである。 5.主な実験計測 1)沈下量 不動点からパネル上昇量を変位計で測定