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電気抵抗率に及ぼす木炭の保有水分の影響

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

電気抵抗率に及ぼす木炭の保有水分の影響

著者 中山 友栄, 谷口 義昭, 今村 祐嗣

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

巻 51

号 2

ページ 55‑59

発行年 2002‑10‑31

その他のタイトル Effect of Moisture Content on Electric Resistivity of Wood Charcoal

URL http://hdl.handle.net/10105/1934

(2)

奈良教育大学紀要 第51巻 第2片 t自然)平成11年

Bull. Nara Univ. Educ., \'ol. 51, No.2 (Nat.上20012

電気抵抗率に及ぼす木炭の保有水分の影響

中山 友栄*・谷日 義昭・今村 祐嗣**

奈良教育大学技術教育講座 いltwIN⊥) (平成14年4月30目受埋)

Effect of Moisture Content on Electric Resistivity of Wood Charcoal

TOmoe NAKAYAMA*. Yoshiaki TANIGUCHI and Yuji IMAMURA*

(Department u月Yood Working, Nam Unh′‑2rsity of Education. Nara 630‑8b28, J叩an)

(Rec亡ived April 30, 2002)

Abstract

Sugi (Japanese Cedar, Cryptomerin japonic3. D. Don) wood block was carbonizedとit 500‑

1000'C to investigatc the relとitioliship I)elween treatment tempヒralures and the electric

rPsistivilv,乙111d its effect on the moisture content of wood chとircoal. The elビcine resistivity of

wood chこ:ircoai wとis measured in the room condition after conditioned under 50‑o and 90ndRHs at

25"C for 1 week. Tlle electric resistivity of wood charcoal rapidly dビCreこised in the rとmge of

tempビratuiでs from 600 to 800"C. Tlle coi・rビIation between electric resistivity and moistLire

content of woo〔I chとuToal was higher at lower cと11・bonization tcmperatures. Therefore, it can be

assumed that tlle wood Cllこircoal cこirbonizedとit lower temper・aturcs has a possibility to use as a

llLimidity sensor by ilteasLLlでment of the elビctncal resisli\'itV.

Key Words・wood charco止Cこirbonization

temperature, electr五

resistivitv, moisture content

1.はじめに

近年.床トの調湿材や水質浄化材等として木炭が江U を集めている.木炭はその生成時の温度(炭化温度)に よって,吸湿性や重金属の吸着性等が異なることが知ら れている11 〕.木炭の表面電気抵抗率も同様であり,炭 化温度が異なると変化する.また,木炭の材料である本 手山ま全乾状態においてきわめて高い電気絶縁体であり、

木材そのものの電気抵抗率が低下するのは,木材とくに 細胞壁の非結晶領域に含まれる水分の影響によって生じ るイオン伝導に基づくと考えられている  木材におい

* 現在 京都大学大学院在学 オオ 京都大学本質杵'?‑fi升究所

キ‑ワード:木炭 h/l化温度,電気 mil幸  水率

5n

ては低含水率の場合ではあるが.その含水率と電気抵抗 率との関係が比例関係になることがわかっているI[ こ の特性を利用した木材含水率計が利用されている11.

木材の場合と同様に木炭においても,含水率が異なる ことによって電気抵抗率が変化することが期待できる.

しかし,木炭の含水率と電気抵抗率との関係は明らかに きれていない.本研究の目的は.木炭の電気抵抗率とそ の含水率を測定することにより.両者に相関関係が存在 することを明らかにすることである.

さらに,木炭は調湿材料として利用されているが,そ れに加えて湿度センサとしての応用が提案できる.すな

(3)

'oiミ '1'Hl'i′圭・i'fl I五昭・ ′J斗‖lilB'i]

Fig.1 Experimental furnace.

わち,木炭の電気抵抗率を測定することで,その含水 辛.さらに含水率に影響を及ぼす湿度を明らかにするこ とが可能であると考えられる.従って,本研究ではさら に木揖二よる湿度センサとしての利用の可能性を明らか にすることをl川勺とした̲

2.実験方法 2. 1.試料

試料にはスギ(Cryptorneria Japonic;i D. Dorl)の辺材 を用いた.試験fHま気乾状態での寸法および重量を測定 した後,炭化を行った.試験片の寸法は50mm(繊維方向.

L) ×10mm 接線方向, T) xioiiml (放射方向. R)であ り,試料の調整時における含水率は約10.4%,平均密度 は0.31g'cmであった.

2. 2.炭化方法

炭化はFig.1に示す室内型炭化炉を用いて行った.炭 化条件は窒素ガス気流雰囲気下(流量:lOOn止min上 昇 温速度が4℃ 11nnにおいて,室温から到達温度(炭化温 痩)まで炉内の温度を上昇させ,その後.炭化温度にお ける保持時間を1時間として行った.炭化後,炉内の温 度が室温になるまで窒素ガス雰囲気下において放冷L m

炭化温度を500, 550, 600, 650, 700, 800, 1000Vに 変化させて試験片を炭化した.その後.生成した炭化温 度ごとの木炭片の寸法および重量の測定を行った.

500. 550℃を除いた炭化温度条件については,試験片 の含水率を(重,気乾状態(含水率:約l掴%)および, :針 全乾状態(105℃ の乾燥器で24時間乾燥)の2条件に調 整し,同様に炭化を行った.試験木Hi.)i‑は各炭化温度条 件について01‑ずつ用いた.得られた結果はこれら(月=11‑

の平均値で示す.

2. 3.電気抵抗率の測定

木炭の電気抵抗率の測定はロレスタHPMCP‑T410 (ダイヤインスツルメンツ製)を用い.試料に ‑走の電

流を流す定電流印加法によって,室温において測定を 行った.電気抵抗率の測定可能範囲は1けご107Q・cmで IsBna

2. 4.含水率の調整

射;mL(Jill.度酎rトで什製した本項ま.恒(IllL ''‑湿器 LL来京 理化機器株式会社 EYELA KCL‑1000)を用いて.育 水率の調整を行った.含水率の調整は,恒温恒湿器内の 雰囲気を温度25℃,相対湿度5(〕%および90%に設定して 行い,木炭片への吸湿が平衡に達するまで1週間保持L m

また,木炭片を全乾にするため,温度105C の乾燥器 で24時間乾燥を行った.各条件で含水率を調整した乱 室温において電気抵抗率を測定した.

50%および90%RHでの吸湿および乾燥後の木尉寺の 重量を測定した.以トの式から湿度条件ごとの含水率を それぞれ求めた.

育/lC率(%) 調整後重畳(gl‑仝乾重量(ど) 全乾重量(.u) ×100

3.結果および考察 3. 1.収率および寸法変化

炭化前後に試料片の重量を測定し,以下の式から各炭 化温度における収率を求めた.

収率(%) ‑ 炭化後の木炭重量(冒) 炭化前の木片重量(冒)

Fig. 2は木炭の収率と炭化温度との関係を示してい

0       0

'

( % ) P P I A

Fig.2 Relationship I)ビtween cとirbomzation

temperature aild yield of wood charcoal.

(4)

電気抵抗率に及ぼす木炭の保有/Jc分の影frtj!

る.収率は全ての炭化温度でほぼ25‑30%の範囲にあ り,炭化前試料の含水率(全乾および気乾)の違いによ る収率に明確な差は見られなかった Fig.2から.収率は 炭化温度が500‑650℃問で減少し,その後800℃までほ ぼ ‑定植を示し.再び1000℃ で減少する傾向が認めら れた.しかし,本研究における炭化温度域では収率の急 激な変化は観察きれなかった. 300C までに木材の主成 分であるヘミセルロースおよびセルロースの熱分解が起

Fig.3 Relations的) between carl〕011izatioll

temperとitureこmd the shrinkage ratio とIftビr to beIore carbonizとiturn.

ロロロロ {).} 蝪Untreated control

200  400  600  800 1000 Carbonization temperature ( ‑C ) Fig.4上之elationship between carbonization

tem[⊃erとItLIreこind density.

57

こり.さらにリグニンは500"C 付近まで績やかに熱分解 が進むIh‑と言われている.このことから,本研究で電気 抵抗率の測定を行った木炭の炭化温度域(60(ト1000℃) では.木材の主成分がほとんど熱分解された温度であっ たために.大きな収率の変化は確認できなかったと考え

られる.

次に, Fig.3は試料としたスギ木片の炭化による寸法収 縮率と炭化温度との関係を示している.全ての炭化温度

d ' i b U

ll

(

∈ O .

﹂ 3 ) A j T A T J S ] S 3 J O U P 3 [ 叫

600   700   800   900  1 000 Carbonization temperature( ‑C )

Fig.5 Relationship between carl)onizとilion

temperとiturcこlnd亡lectric resistivity ofこdr‑dried

silmple.

正   ︑什

イ ー 1               ー

(wo蝣5)音A遷S31リupaiH

600   700   800   900  1 000 Carbonization temperature ( ‑C )

Fig.6 Relationship betweeil carbonization

tヒmperとUureとmd electric resistivity of oven‑

dried sample.

(5)

58 中山友党 fin義昭・今村祐嗣

において.接線方向(T)に対する収縮が最も顕著であっ た.さらに.炭化温度500‑650℃までは収縮率が増加 し,その後は炭化温度を上昇させても.ほぼ一定,800‑

1000℃にかけてはまた増加が認められ.全体的には右上 がりに増加する傾向が確認できた.この傾向は,収率と 同様であった(Fig.2およびFig.3).しかし.繊維方向 (L)および放射方向(R)に関しては,炭化温度が高く なるとともに収縮率が増加する傾向が見られた.

さらに,炭化温度と木炭の平均密度との関係をFig.

4に示す.炭化前試料木片の平均密度はおよそ0.3g′′′ em であり.炭化後はおよそ).18‑0.2g cmlであった.

3. 2.電気抵抗率の測定

電気抵抗率の測定は,事前に恒温室(約28℃)内にお いて1週間試料を調整後に行った(この調整条件を以降 の測定では気乾状態と示す).測定の結果, vJと化温度500 および550℃の木炭の電気抵抗率が,本研究で使用した 抵抗率計の測定可能範囲外であったため,抵抗率の測定 は不可能であった.この結果,以降の実験については電 気抵抗率の測定が可能であった炭化温度600‑1000Cの 木炭を使閏した.

Fig.5およびFig.6に,気乾および全乾状態の試料片を 炭化した時の電気抵抗率と炭化温度との関係を示す.炭 化前のスギ試料片が全乾状態もしくは気乾状態いずれに おいても.炭化温度600‑800℃ の範囲で生成された木 炭の電気抵抗率が半導体域(ほぼ10 ‑10川Q・cm)から 導体域(ほぼ10 b‑10^Q・cill)pTLl‑と変化していること

o^fnor‑ioOoO^l(∈0‑0)甘AIJSIS3JO竃0913 .10 0 0 ーC

● ; 昌 呂 箆

▲ ▲

■. ■ ‑

‑ ■■

‑ l l

10      15

Moisture content (%)

Fig.7 Relationship between electnC resistivity and moisture content of wood charcoals.

Note: 600, 700 and lO00℃ show the carbonization temperature.

Table 1 Moisture contents of wood charcoals at

different carbonization temperとitnres.

Ambient condition Carbonization

temperature

Oven Air     25 C     25‑C

dry dry    50‑品RH    90‑昌RH

600‑C O    3.80    5.50      9.40

700‑C O    6.20    8.27    1 1.32

100CTC     0     8.25    1 1.37     14.77

が観察できた.なお.炭化温度1000℃において800Cと 電気抵抗率に大きな差は見られなかった また,炭化温 度600℃の木炭は電気抵抗率が10';オーダの電気絶縁体で あり,スギ村およびセルロースを炭化した既往の研究に おいても抵抗率が炭化温度600‑80U℃ の範囲で急激に 低下する同様の傾向が見られたIH.木炭において電気抵 抗率が低I、するのは.木材の構成成分のうち縮合してい る芳香環化合物の割合が増加し.それにより電気伝導を 担う電子が増えることによると考えられている̀り\

3. 3.木炭保有水分と電気抵抗率

Fig.5およびfjから本実験で使用した炭化i尉皇範囲の 中から炭化温度1000℃ と電気抵抗率に顕著な差のない 800℃を除いた, 600. 700, 1000℃の3条件を選択し,

それらの木炭を以降の実験に用いた.炭化温度 6(〕0, 700, 1000'Cの木炭において,含水率に伴う電気抵 抗率の変化をFig.7に示し,さらに各木炭の含水率と相 対湿度との関係をTable lに示す.程度に違いはある が.いずれの炭化温度においても含水率が小さい場合に 抵抗率の高くなる傾向が見られた.特に,炭化温度 6〔)Oleの木炭でその傾向が顕著であった.本研究の炭化 温度範囲においては, 1000℃から600Cへと炭化温度が 低くなる程.含水率の増加に伴い電気抵抗率も低下する

傾向が顕著に認められた.これは,炭化温度が高温にな ると木勘ま電気抵抗率が明らかに小さくなる構造となっ たことで.含水率の変化に伴う水分子の脱着がその抵抗 率に及ぼす影響が微小になっていると考察できる.本研 究から,もともと電気伝導性があることが知られてい る, 800℃以上の炭化温度域で生成した木炭と比較して.

電気を適しにくい,いわゆる電気抵抗率の大きな木炭に おいて,保存および測走時の湿度が異なるとその抵抗率 の差もより大きくなることが考えられる.従って,湿度 センサとしては炭化温度の低い木炭が有効であると推察 i&ma

今後の課題として.本研究で電気抵抗率の測定が不可 能であった,炭化温度600℃ 以下の抵抗率の大きな木炭 について,同様の実験を行うことが挙げられる.これ は,この温度域で炭化された木炭が電気を通す構造では

(6)

電気抵抗率に及ぼす木炭の保有水分の影響 ないので. *分子の脱着が電気抵抗率に与える影響がよ

り大きくなると考えられるからである.

4.結論

本研究において以下のことが明らかになった.

守)炭化温度範担舶00‑1000℃ において,炭化温度が高く なると木炭の電気抵抗率が急激に低下する傾向が確認 ina

受戒化前の水分状態によって.同じ炭化温度においても 電気抵抗率に差が生じた.

・木本炭の含水率とその電気抵抗率との関係において,読 化温度600℃の木炭で‑軸、相関関係が確認できた.

ヰ湿度センサとしては炭化温度が低い木炭において有効 であることが推察できた.

5.謝辞

本研究は平成13年度奈良教育大学リサーチアシスタン トの王接を受けて行った.

o *‑1

参考文献

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