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微細濁質粒子の性状とアルミニウム塩との相互反応に関する研究

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Academic year: 2022

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微細濁質粒子の性状とアルミニウム塩との相互反応に関する研究

岐阜大学 工学研究科 北川和樹 川口倫由 岐阜大学 工学部 正会員 李富生・吉村千尋

1. 研究の背景と目的

河川や湖沼などの自然水域中には,様々な濁質粒 子や溶存態物質が含まれており,濁質粒子の中には,

1μm以下の微細濁質粒子も存在している。微細濁質 粒子は,自然水域中で微量な有機汚染物質や重金属 類との相互反応により,それらの挙動に影響を与え ると共に,浄水処理過程では大きな粒子に比べると 凝集剤による凝集性が悪く処理水に残存してくる。

そこで本研究では,このような微細濁質粒子の性 状を荷電密度やゼータ電位等から詳しく調べると共 に,ポリ塩化アルミニウムによる相互反応を凝集実 験より評価した。

2. 研究内容 2.1 供試微粒子

カンボジアの首都プノンペンにあるトラペアンチ ャック村のため池(図-1)から濁度が 2000NTU以 上の微細粒子を多く含む原水を採取し,実験用原液 とした。この原液は,通常の河川水とは異なり,濁 質がほとんど自然沈降しない特徴を有している。

図‐1 トラペアンチャック村のため池 2.2 微細濁質粒子の性状評価

性状評価項目として濁度,微粒子数,荷電密度,

ゼータ電位を用いた。合わせて原水中の pH,DOC,

吸光度についての検討も行った。

荷電密度については,微粒子群集を5μm,3μm,1μ m,0.8μm,0.65μm,0.45μm,0.3μm,0.2μm,0.1μ mの9種類のメンブランフィルターにより分画し,粒 径ごとに評価した。また,比較検討のため,長良川 の河川水についても同様の実験を行った。さらに,

微粒子の性状を調べるため,走査型電子顕微鏡にて 微粒子を観察を行なった。

2.3 ポリ塩化アルニウムによる凝集反応

原液を500NTU程度に希釈したものを供試水とし

て用い,ポリ塩化アルミニウムの添加量や pH を変 化させた条件下でジャーテスターにより凝集実験を 行った。測定項目は,濁度,TOC,吸光度,ゼータ 電位とした。

3. 結果及び考察

3.1 微細濁質粒子の性状評価

図-2は原水を40NTU程度に希釈したカンボジア

試料水を,図-3 は,長良川下流から採取した試料水

を 0.1μm~5μmのメンブランフィルターで粒径毎に

分画した濁度及び荷電量の測定結果を示している。

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

原水 5 3 1 0.8 0.65 0.45 0.3 0.2 0.1

フィルターの孔径(μm)

濁度(NTU)

0 50 100 150 200 250 300 350 400

荷電量(10-4 meq/L

濁度 負荷電量

 

図-2 試料水(40NTU)を 0.1μm~5μmのフィルターに 順次ろ過した時のろ過水中の濁度及び荷電量

0 5 10 15 20 25

原水 5 3 1 0.8 0.65 0.45 0.3 0.2 0.1 フィルターの孔径(μm)

濁度(NTU)

0 50 100 150 200 250 300 350

負荷電量10-4 meq/L

濁度 負荷電量

 

図-3 長良川下流水を 0.1μm~5μmのフィルターに 順次ろ過した時のろ過水中の濁度及び荷電量

長良川下流の試料水では,5μm以上の粒子が原水 中に多く存在しているのに対し,カンボジア試料水

土木学会中部支部研究発表会 (2008.3) VII-025

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では,0.65μm 以下の微細粒子が大半を占めている ことが明らかである。このことは,0.1μm のフィル ター上に捕捉された微粒子のSEM写真(図-4)から も容易に判断される。

図-4 0.1μm の膜に捕捉された微粒子の SEM 写真

さらに,0.1μmの膜ろ過水の荷電量を測定した結果,

40NTUに 希 釈 し た に も 拘 ら ず , 荷 電 量 が-39.7× 10-4meq/Lあることから,難凝集性原水であることがい える。次に,図2の濁度と荷電量とから算出した粒 径ごとの荷電密度を表-1 に示す。カンボジア原水は,

0.1~0.45μmの微細微粒子が 0.45μm以上の微粒子 に比べ荷電密度が大きいことがわかる。

表-1 各粒径ごとの荷電密度

粒径 荷電量 濁度 荷電密度

(mm) (10-4meq/L) (NTU) (10-4meq/L/NTU)

5~ -2.13 0.40 -5.32

3~5 -3.05 0.90 -3.39

1~3 -0.73 1.00 -0.73

0.8~0.65 -1.28 0.70 -1.82

0.65~0.8 -5.08 2.60 -1.95

0.45~0.65 -56.95 11.60 -4.91

0.3~0.45 -39.11 7.40 -5.29

0.2~0.3 -56.30 7.61 -7.40

0.1~0.2 -158.92 8.88 -17.89

0.45~5 -69.21 17.20 -4.02

0.1~0.45 -254.34 23.89 -10.65

3.2 アルミニウム塩との相互反応

500NTU程度に希釈した試料水に対してpH変化

させた凝集実験の結果を図-5及び図-6に示す。凝集 実験条件は,ポリ塩化アルミニウム15mg/L,急速攪 拌(142rpm)5分,緩速攪拌(32rpm)15分,静置 20 分とした。pH 調整は,塩酸または水酸化ナトリ ウムによって行った。測定項目は濁度,吸光度,DOC,

ゼータ電位とした。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

2 4 6 8 10

pH

残存率 濁度

UV260 DOC     原水の各値

濁度   497 (NTU)

UV260  0.0626 (cm-1 DOC   30.58 (mg/L)

図-5 沈澱処理水中の濁度,UV260,DOC に与える pH の影響

-40 -30 -20 -10 0 10

2 4 6 8 10

pH

電位(mV)

ゼータ電位

図-6 沈澱処理水中のゼータ電位に与える pH の影響 図-5 より,pH2.5~5.5 の酸性領域においても高い 凝集効果が得られている。pHを 5.5 以上にさせると,

調査した 3 水質項目とも残存質が上昇した。濁質につ いては,通常の河川水に対する最適凝集 pH 領域が中 性付近であるとの報告とは大きく異なっている。こ れは,通常の河川水より,微細な濁質成分が多く含 まれていること,溶存有機物が多いことが原因であ ると考えられる。

ゼータ電位については,図-6 のように,pH が低 くなるにつれて0に近づいている。凝集効果が高か

ったpH5.5以下の領域ではゼータ電位の絶対値が0

に近い値となっている。

4. まとめ

カンボジアの原水は,微細な粒子を多く含くみ,

かつ溶存態の物質が多く存在する。そのため,荷電 量が低く,凝集されにくい。このような原水を処理 する場合には,通常採用されているような pH 領域

(7付近)を用いるのではなく,pH2.5から 5.5の 酸性領域で処理する必要がある。

土木学会中部支部研究発表会 (2008.3) VII-025

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