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セスジユスリカを用いた都市域中小河川底質の生態毒性の検討

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Academic year: 2022

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セスジユスリカを用いた都市域中小河川底質の生態毒性の検討

立命館大学理工学部  正会員    市木  敦之 立命館大学大学院    学生員  ○三浦  陽介 (株)  ハマキャスト      田口  暁子

1.はじめに    都市域における面源汚濁には、自動車交通由来の微量有害物質など発ガン性が認められて いるものもあり、受水域への影響が懸念される。筆者らは、これまでこうした都市面源汚濁について、高 速道路など発生源近傍における大気・流出水や、発生源から最終受水域へ流下する過程における底質中 の現存特性について実態調査を行ってきた1),2)。本報告は、さらに都市面源汚濁が底生生物に及ぼす生 態毒性を明らかにすることを目的として、都市河川より採取してきた底質をセスジユスリカ(以下ユス リカ)に暴露させることにより、その成長影響について検討したものである。

2.調査・試験の概要    調査地点の概要を図図図図1に示す。滋賀県草津市の中心街を流れる都市域中小河川で ある伊佐々川を対象とし、汚濁ポテンシャルが高いと考えられる分流式雨水管からの雨水流入地点、および 幹線道路である国道1号線近傍の2地点において、底質の採取を2004年11月から12月にかけて計6回実施 した。底質表層土壌(深さ5cmまでの土壌)をステンレス製採泥器で採取し、計量混合した後、運搬用ポリ エチレン製容器に移して実験室に持ち帰り、直ちに乾燥して粒径を75μm以下、75〜250μm、250〜500μm、

500〜1000μm、1000〜2000μmの5区分にふるい分けし、それぞれ粒径区分別に含有成分の分析を行った。

分析項目は、PAHs(19物質)と重金属類(13元素)およびIL、TN、TCである。あわせて、乾燥後の底質試料を ユスリカに暴露させることにより毒性試験を行った

3.体内摂取底質量と成長率の関係    ユスリカ体内に摂取さ れた底質量を把握するために、図図図図 2 のフローで示すような毒性 試験を実施した。試験区と対照区の差より、体内摂取底質量(c:

有機物量+無機物量、d:無機物量、c‐d:有機物量)を求めた。

また、試験開始前の体長(a)と試験終了後の体長(b)により、成長 率(b/a)を算出した。体内摂取底質量と成長率の関係を図図図図3に示す。

キーワード:  PAHs、生態リスク、セスジユスリカ、微量有害物質、生態毒性試験 

〒525-8577  滋賀県草津市野路東1-1-1  立命館大学 理工学部  TEL 077-561-2804  FAX 077-561-2667 図図

図図1  調査地点の概要

図 図 図

2  毒性試験の概要 孵化後6日目の

ユスリカの体長 を測定(a) 

ユスリカを105℃24時間 乾燥し、重量を測定(c) 

さらにユスリカを600℃2時間 乾燥し、重量を測定(d)  試験区

底質  ガラスビーズ 

ユスリカの体長 を測定(b)

対照区

ユスリカ(20匹)を7日間暴露 

琵琶湖

国道1号線

:km

0 1

:km

0 1

東海道新幹線 JR東海道線

伊佐々川 底質採取地点

名神高速道路 分流式雨水管流出水

図 図図

2  毒性試験の概要

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-443- 7-222

(2)

体内摂取底質量と成長(阻害)の関係は明瞭ではない。体内に摂取され た底質の大部分は有機物であったため、餌として成長を促進する効果 と有害物質として成長を阻害するする効果が相互に作用していること が推察される。

4.成長に及ぼす影響要因の検討    試験区で暴露した底質におけ る物質含有率と成長率の関係について一部を図図図図4に示す。TN、TC については、含有率の増加にともなってユスリカが成長しているこ とがわかる。しかし、PAHs に関しては、BENZO(A)PYRENE のよ うに含有率と成長率が負の相関を示す物質があるものの、関係は必 ずしも明瞭ではない。次に、底質の特性を総合化

した新たな指標を作り、傾向を議論するために主 成分分析を行った。結果を図図図図5に示す。第1主成 分は含有成分の種類(正:PAHs、負:PAHs 以外) を示す成分、第2主成分は粒度分布(正:小粒径、

負:大粒径)を示す成分となった。第1主成分と第 2主成分の各主成分得点と成長率の関係を図図図図6に 示す。PAHs の含有率の高い底質がユスリカの成 長を阻害させていること、および粒径が細かいほ どユスリカの成長を促す傾向があることがわか る。

5.まとめ、課題、今後の展開    個別の底質含 有成分がユスリカの成長に及ぼす影響は明瞭で ないものの、それらを総合化した指標を作ること により、大まかな傾向を把握することができた。

今後は暴露期間を長くし、さらに試験データを蓄 積するとともに、より詳細な影響特性の検討を行 いたいと考えている。

<参考文献>1)市木他:第39回環境工学研究フォ ーラム,2002.11,  2)市木他:第59回年次学術講 演会, 2004.9

R2 = 0.0123

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

0.00 0.01 0.02 体内摂取底質量

(mg/mm/indiv)

成長率(%)

R2 = 0.0604

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

2 4 6

BENZO(A)PYRENE(ng/g)

成長率(%) R2 = 0.0005

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

3.0 14.0 25.0 FLUORANTHENE(ng/g)

成長率(%)

‑1

‑0.5 0 0.5 1

‑1 ‑0.5 0 0.5 1

第1主成分

第2

TN,TC 重金属類 PAHs 含水比 IL 粒度分布 250‑500μm

500‑1000μm

1000‑2000μm 0‑75μm

75‑250μm R2 = 0.4101

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

0.00 0.15 0.30 TN(mg/g)

成長率(%)

R2 = 0.3458

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

0.8 1.8 2.8

TC(mg/g)

成長率(%)

図図

図図    主成分分析の結果 図図

図図    主成分得点と成長率の関係

図 図図

    底質含有率と成長率の関係 図

図 図

3  体内摂取底質量と成長率の関係

R2 = 0.3026

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

‑5.0 0.0 5.0

主成分得点(第1主成分)

成長率(%)

R2 = 0.2929

2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

‑4.0 0.0 4.0

主成分得点(第2主成分)

成長率(%)

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-444- 7-222

参照

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