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河川底質中ダイオキシン類の同族体分布について

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Academic year: 2022

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(1)7‑269. 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 河川底質中ダイオキシン類の同族体分布について 大阪産業大学新産業研究開発センター 大阪産業大学工学部. 正会員. 大阪産業大学大学院工学研究科. 正会員. 尾崎 博明. 林 新太郎. 学生会員. 下向 教文. 大阪産業大学大学院工学研究科 1.. ○谷口 省吾. 非会員. 奥田 直哉. 目的 河川や海底の底質におけるダイオキシン類ついては平成 14 年度のダイオキシン類対策基本法の改定によ. り基準が定められ、その後、水底土砂の廃棄についての基準等が設けられるなど底質におけるダイオキシン 類についての検討が盛んに行われている。本研究では、河川底質のダイオキシン類について 1〜3 塩素化体 を含むすべての PCDD/F ついて測定を行い、同族体分布より河川底質のダイオキシン類の挙動や発生源につ いて検討を行った。また、文献より一般的な河川のダイオキシン類の同族体分布との比較を行い、水と底質 中のダイオキシン類の挙動についても検討を行った。 2.. 研究方法 2-1 試料底質 研究に用いた試料は大阪府下の木津川および住吉川の下流にて採取した。底質の採取にはステンレス製 の器具を用いた。底質は風乾後に破砕し、篩分によって 2mm 以下に粒径を調整した。 2-2 ダイオキシン類の分析 ダイオキシン類の分析は「ダイオキシン類に係る底質調査マニュアル」1)に準拠し、測定については高 分解能 GC/MS(HP6890-JMS700D)により測定を行った。使用した GC カラムは 1〜3 塩素化および 4〜6 塩 素 化 の PCDD/F の 測 定 に つ い て は SP-2331(SUPELCO), 7,8 塩 素 化 の PCDD/F に つ い て は DB-17(J&W),コプラナーPCB は HT-8(SEG)の 3 種類であり、可能な限り異性体の分離に努めた。1〜3 塩 素化の PCDD/F で用いた標準品は CIL 製 EDF-4954,EDF-4955 である。標準品にない異性体の定性は文 献 2)に基づいて行った。. 3.. 結果 3-1 毒性を持つダイオキシン類について ダイオキシン類の濃度は木津川では 70pg-TEQ/g-dry, 住吉川では 54pg-TEQ/g-dry であった。図 3-1 に 木津川、図 3-2 に住吉川のダイオキシン類の同族体ごとの濃度 (pg-TEQ/g-dry) で示す。木津川、住吉川 ともに同様の傾向が見られた。TEQ 値に大きな影響を与えているのはコプラナーPCB でオルト位置に塩 素を持たないノンオルトの Co-PCB であった。ノンオルト PCB なかでは最も TEQ が高かったのは#126 の PCB であった。その他の同族体については 5,6 塩素化の PCDF が高い。PCDD については 5 塩素が最 も高く 6、7 塩素の順となった。 3-2 同族体分布 図 3-3 に木津川、図 3-4 に住吉川の PCDD/F 同族体分布を示す。濃度は実測濃度で示す。木津川、住吉 川ともに 8 塩素化の PCDD が最も高い。 PCDD/F 全体に占める割合は木津川で約 40%、住吉川では約 26% であった。他の PCDD については 7 塩素化、4 塩素化が高い。PCDF については 4〜8 が同程度の濃度で あった。1〜3 塩素化の PCDD/F については木津川ではほとんど検出されなかった。住吉川については PCDF が高く 1 塩素化以外は 4〜8 塩素化と同程度の濃度であった。 キーワード : 底質、ダイオキシン類、低塩素化、同族体 連絡先 : 〒574-8530. 大阪府大東市中垣内 3-1-1. TEL : 072-875-3001. ‑537‑. e-mail : taniguch@cnt-osaka.sandai.ac.jp.

(2) 土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月). 図 3-2 住吉川底質のダイオキシン類の濃度. 300. 350. 150. O8CDF. H7CDF. H6CDF. P5CDF. T4CDF. T3CDF. D2CDF. M1CDF. M1CDD. O8CDF. H7CDF. H6CDF. P5CDF. T4CDF. T3CDF. D2CDF. M1CDF. O8CDD. H7CDD. H6CDD. P5CDD. 0. T4CDD. 0 T3CDD. 50 H7CDD. 100. 50. O8CDD. 100. 200. H6CDD. 150. 250. P5CDD. 200. 300. T4CDD. 250. T3CDD. 同族体濃度 (pg/g-dry). 400. D2CDD. O8CDF. T4CDD. O8CDF. 0. 350. M1CDD. 同族体濃度 (pg/g-dry). 図 3-1 木津川底質のダイオキシン類の濃度. 図 3-4 住吉川底質の同族体分布. 図 3-3 木津川底質の同族体分布 4.. 2. non-ortho PCBs mono-ortho PCBs. H7CDF. H6CDF. P5CDF. T4CDF. O8CDD. H7CDD. H6CDD. P5CDD. T4CDD. 0. 4. non-ortho PCBs mono-ortho PCBs. 2. 6. H7CDF. 4. 8. H6CDF. 6. 10. P5CDF. 8. 12. T4CDF. 10. 14. O8CDD. 12. 16. H7CDD. 14. 18. H6CDD. 16. P5CDD. ダイオキシン類濃度(pg-TEQ/g-dry). ダイオキシン類濃度 (pg-TEQ/g-dry). 18. D2CDD. 7‑269. 考察 底質は同族体分布の結果を見ると 4,7,8 塩素化のダイオキシン類が多い。なかでも 8 塩素化の PCDD が多. い。河川水では 2, 4,8 塩素化の PCDD が多く 2 塩素化体については特異的に多く、なかでも 2,7 と 2,8 置換 体の 2 塩素化 PCDD が高く全体の濃度に対して約 54〜89%程度を占めていることが小林ら 3)によって報告 されている。底質については 4,8 塩素化体については河川水と同様の傾向を示したが 2 塩素化体については 高い濃度では検出されていない。河川水と底質のダイオキシンの由来は同じであることが推測されるが、同 族体分布には相違が見られる。このことから、ダイオキシン類は水−底質間で分配されることにより挙動し ていると予測される。2 塩素化体は PCDD/F の中では比較的、水へ分配されやすく底質ではあまり高い濃度 では検出されなかった。一方、8 塩素化体は、ダイオキシン類の中でも極めて水溶解度が小さく、また粒子/ 水分配係数が大きいため、底質に分配され水には分配されにくい事から、底質中で高濃度で検出される結果 となる。 5.. まとめ 本研究では、河川底質におけるダイオキシン類の低塩素化を含む同族体を測定し、底質と水との間の挙動. について知見を得た。毒性を持たない低塩素化ダイオキシンについては測定されることは少ないが、同族体 や異性体の分布を検討することによって汚染の由来や分解のメカニズムなどを知るうえでは重要な情報源と なる。 参 考 文 献 1) 環 境 省 水 質 保 全 局 水 質 管 理 課 : ダ イ オ キ シ ン に 係 る 底 質 調 査 測 定 マ ニ ュ ア ル , 2000 2)T.Nakano,R.Weber,Organohalogen Compounds, Vol46,558-561, 2000 3)小林ら : 河川水中ダイオキシン類の発生源と挙動の解析,水環境学会誌,Vol26 No.10, pp.655-662, 2003 ‑538‑.

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参照

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