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異なる季節の高分解能衛星データを用いた都市内の植生域抽出手法

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Academic year: 2022

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異なる季節の高分解能衛星データを用いた都市内の植生域抽出手法

日本大学大学院理工学研究科土木工学専攻 学生会員 ○中川 大輔 日本大学理工学部土木工学科 正会員 羽柴 秀樹

1.まえがき

都市内の植生は都市環境を支える重要な役割を担っており、その分布状況を正確に把握しておくことは都市 生活環境をはじめ都市環境全般の水準を評価するための重要な判断材料の一つである。高分解能衛星画像を用 いると都市域の植生の様子などが細かく判読でき、植生域のみを詳細に抽出できる可能性がある1)等

これまでリモートセンシングによるNDVI(正規化植生指標)は植生の分布や活性度を表現するものとして知 られており、一般的に用いられてきた。そして、人工衛星の空間分解能が急速に高まる中、これらの衛星デー タによるNDVIの算出例も増えている。しかし、高分解能衛星データ解析へのNDVIの適用性についてはま だ十分な検討がされておらず、特にNDVIから都市内の植生域のみを抽出するための閾値(境目となる値)の決 定方法は検討不十分である。また、NDVI値は季節的に大きく変化し、この特性を高分解能衛星データによる 都市内の植生域の評価や抽出手法に加える工夫や効果についての検討はこれまでほとんどない。

今回は同一地域において異なる季節に観測された高分解能衛星 QuickBird データを利用することにより、

閾値をより客観的に決定するための手法を検討し、その適用性を検証した。

2.研究方法 2.1 観測地域

対象地域は、筆者らの所属する大学キャンパ スに近い東京都千代田区にある北の丸公園周 辺(図-1)である。

この地域はオフィス街や住宅街、比較的大き な植生が混在する都市であることから、本研究 で提案する手法の適用性を検証する上で適切 な地域として選定した。

2.2 使用データ

高分解能衛星QuickBirdの空間分解能2.4m

×2.4m マルチスペクトルセンサーによって東 京都中心付近で観測された2002年5月2日(初 夏)、2003年1月9日(冬)の2種類の画像デー タを用いた。さらにこれを空間分解能 0.6m×

0.6m パンクロマティック画像データによって パンシャープン化したデータも用いた。

2.3 解析手法

夏と冬の画像データから算出されるNDVI値をヒストグラム(縦を画素数、横を0-255の256階調としたグ ラフ)化し比較した。その統計的な特徴から、植生とその他の土地被覆を分離するための閾値の決定可能性を 検討した。なおこのときのNDVIは次式を用いた。 NDVI=(IR-R)/(IR+R)×K (ここでは、IR:近赤外バン ドのDN値、R:可視光赤バンドのDN値、K:画像表示のための係数。) 係数Kは100,200,300,400と場合分 けをした。

キーワード 高分解能衛星画像,植生,都市環境,NDVI

連絡先 〒101-8308 東京都千代田区神田駿河台1-8-14 日本大学理工学部土木工学科羽柴研究室 TEL03-3259-0669 図-1 観測地域ナチュラルカラー画像(5月)

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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Ⅶ‑116

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3.都市内の植生域抽出のための閾値決定

3.1 クロスポイント、クロスゾーンの定義とその特徴 夏と冬の NDVI ヒストグラムの大小が入れか

わる値をクロスポイントとした。この最初のクロ スポント(クロスポイント下端)から最後のクロス ポイント(クロスポイント上端)までをクロスゾー ンと定義する。夏と冬のNDVIヒストグラムを比 較すると、マルチスペクトルとパンシャープン共 に、どの係数Kにおいても階調1~255で図-2に 示されるようないくつかのクロスポイント(1 つ のクロスゾーン)が得られた。

3.2 対象地域での閾値決定とその効果

各クロスポイントを閾値として設定したNDVI 画像を比較すると、

クロスポイント上端のとき、画像上で東京駅のような人口構造物の 部分を非表示とすることができた。(図-3,4,5 参照) さらにこれは、

係数Kやマルチスペクトルとパンシャープンの違いによって変わる ことのないことも示された。

この結果から、クロスポイント上端が植生とその他の土地被覆を分 離するための閾値である可能性が高いことが言える。このことから本 手法により、より客観的に閾値を決定することができる可能性が示さ れた。

4.本手法の植生抽出精度について

上記によって得られた植生抽出図(閾値設定後の NDVI 画像)につ いて、北の丸公園内の120m×120mの領域(5月のデータ:植生被覆 率 76.1%)にて現地調査(4 月)及びパンシャープン後のナチュラルカ ラー画像(5月)の画像判読を元に、植生域の抽出精度を評価した。植 生被覆について98.6%の抽出率が示され、また他の被覆面上で誤って 植生被覆と抽出した誤抽出率は 11.7%であった。これは影や芝生(生 育状態やそのときのコンディション)、樹種(常緑樹と落葉樹の違いな ど)が影響していると考えられる。

5.あとがき

今回の検討では、異なる季節の高分解能衛星QuickBirdデータを 用いてNDVIから都市内の植生域のみを抽出する手法を開発し、ク ロスポイント上端が植生域とその他の土地被覆を分離するための閾 値として決定できる可能性が示された。今後は、この閾値(閾値決定 方法)の妥当性についてどの程度までの植生を判別できるか等の適用 範囲について、より広範囲なテストサイトの場合分けを行い、さらに 検討を進めていく予定である。

参考文献

・1)吉村峻、羽柴秀樹:高分解能衛星画像を用いた東京都中心域の植生分布特性評価、(社)土木学会第63回年次学術講演会 4部門講演番号22520089

図-2 NDVIヒストグラム マルチ K=300 階調40~110

図-2 補足説明:図-2中、

クロスポイント値 50,98,100,101、

クロスゾーン値域 50~101、であった。

図-3 東京駅周辺のナチュラルカラー画像

0 255101

NDVIの階調

図-4 東京駅周辺の閾値設定前NDVI画像

図-5 東京駅周辺の閾値設定後NDVI画像 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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