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底生動物を用いた河川環境の評価に関する研究 福岡大学工学部

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Academic year: 2022

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(1)VII-027. 土木学会西部支部研究発表会 (2011.3). 底生動物を用いた河川環境の評価に関する研究 福岡大学工学部 学生員 福岡大学工学部 正会員. ○藤紗也加 山崎惟義. 1.はじめに 底生動物を用いた河川環境の評価,特に水質評価を行 う試みは,20世紀初頭に欧州で,日本においては1960年 前後より開始され1),これまでに様々な方法が開発されて きた.しかしながら,底生動物の種レベルで同定を行う ことは,専門家がいない土木の分野や行政機関等では難 しい.そこで,山崎らは2),イギリスで開発されたBMW Pスコア法(Biological Monitoring Working Party Score System3),同定は科までのデータで可能,個体数データは 用いない)を日本の河川で使用するため,日本版平均ス コア法を開発した1).本方法は,生物を専門としない研究 者・技術者が生物学的に河川環境を行うのに適した方法 であり,比較的広い水質濃度の範囲で用いることができ ると期待されている1).地方自治体等の研究機関で日本版 平均スコア法が適用されるケースは比較的多いが,水質 データとの関係性や既往の生物学評価法との関係性を定 量的に検討した事例は尐ない. 2.目的 本研究では,研究者・技術者が生物学的に河川環境を 行うのに適した方法として期待される日本版平均スコア 法に着目し,水質項目や既往の汚濁指数等の方法による 結果を比較することにより,その特徴や利点を明らかに することを目的とする. 3.方法 3.1 対象河川 福岡市を流れ る室見川は,流 域面積 99km2,流 路延長 16.3kmの 二級河川である. 筆者らの研究室 では,室見川 15 地点において 1994 年以降毎年 5 月と 10 月に水 質調査及び底生 動物調査を継続 し行っており, 図 1 調査地点 データの蓄積が ある.そこで室見川を対象に検討することとした(図 1, 写真 1) .. 福岡大学工学部 正会員 福岡大学工学部 正会員 福岡大学工学部 正会員. 渡辺亮一 皆川朊子 伊豫岡宏樹. 3.2 方法 (1)底生動物 及び水質調査 底生動物及 び水質調査は, 図 1 に示した 地点 A~O ま での計 15 地点 で行った.底 生動物は,サ. 写真 1 調査地点の様子. ーバーネット (30cm×30cm)を用いて,地点毎に流心,右岸側,左岸 側の瀬,計 3 箇所で採集した.また,河岸植生等のその 他の生息場を対象にネットを用いて採集を行った.試料 は,地点毎にまとめてホルマリンで固定し研究室に持ち 帰り実体顕微鏡及び文献 4)を用いて種を同定した. また, 底生動物調査時に水温 ,電気伝導度 ,濁度を水質計 (HORIBA U21-XT)を用いて測定した,また,COD, BOD,SS,T-N,T-C については,河川で採水した河川水 を実験室に持ち帰り,分析した.今回分析対象としたデ ータは同定作業が終了している 1994 年 10 月から 2009 年 5 月までのデータとした. (2)ASPT 値の算出法 採取された種が属する科ごとの生育環境によって決め られた 1 から 10 までのスコア値を表 1)から決定し,総ス コアを求め,出現した科の種類数で割った値を ASPT 値 (average score per taxon)として算出した.10 に近いほ ど汚濁の程度が小さく,1 に近いほど汚濁の程度が大き い河川と評価される.ただし,表にスコアが示されてい ない科については,方法に従い 1),これを除いて求めた. (3) 分析 水質分析項目と ASPT 値の関係を検討するため,標準 化(対数変換)した各データを対象に,各水質項目と ASPT 値との関係を Pearson の相関係数の検定(危険率 5%)を 行いて分析した.また,既往の Pantle u. Buck 法による PI 値(Pollution Index)と比較することにより特徴を抽 出した. 4. 結果及び考察 室見川の 1994 年から 2009 年までの ASPT 値は,約 5 ~8 までの間であり,全地点の平均は 6.2 であった. Pearson の相関係数の検定の結果,ASPT 値と有意な相. -799-.

(2) VII-027. 土木学会西部支部研究発表会 (2011.3). 関関係が認められた水質項目は,電気伝導度,濁度,S Sであり,電気伝導度との相関係数はr=-0.55 であっ た(P<0.001) .濁度とSSの相関関係は有意さが検出さ. 8.0. れたものの相関係数は小さく,それぞれr=-0.15(P < 0.01),r=-0.16(P <0.05)であった.図 2 に電気伝 導度と ASPT 値の散布図を示す.電気伝導度が概ね 0.1. 5.0. 7.0. ASPT値. 6.0 4.0 3.0. (ms/cm)で ASPT 値が概ね 6 以上の値となっていた. また,図 3,4 に室見川における各地点の ASPT 値及び 電気伝導度を平均値と標準偏差を示す.上流から下流に. 2.0 1.0 0.0. 流下するに従い,ASPT 値は小さく,電気伝導度は大き くなっていく様子が示された.宮市・並木の関東地方の. 0. 大河川を対象とした報告 や BOD 濃度との 整合性が高いことが報告されている.関東地方の河川で は,COD,BOD 濃度がそれぞれ 10mg/l 程度の汚濁した. 図 2 電気伝導度と ASPT 値の関係. 0.1. 0.2. 0.3. 電気伝導度(mS/cm). 1)では,COD. 10. 地点も含まれていた.しかし室見川の BOD 及び COD 値 の平均値はそれぞれ 2mg/l 以下であり,レンジは狭く水 質は良好である.そのため,COD や BOD 濃度との関係. ASPT(5月) ASPT(10月). ASPT値. 8. が検出できなかったものと考えられた. 室見川では電気伝導度,濁度や SS と有意な関係が検 出された.このことは,室見川では濁水等の影響が底生. 6 4. 2 0. 動物群集に影響を与えた可能性を示唆している.また, ASPT 値を用いて評価し,これと水質項目との関係を分. A B C D E F G H I J K L MN O. 調査地点. 析することにより,底生動物群集へ影響を与えている因 子をある程度絞り込むことが可能であることがわかった. 次に,各地点の ASPT 値,PI 値,電気伝導度等その他. 図 3 各地点の ASPT 値(平均値及び標準偏 差) 0.3. の水質項目との関係を把握するため,経年変化を追った. ASPT 値については,時間の経過に伴いこれが上昇する 傾向がみられる地点や,下流側の地点のようにほぼ横ば. EC (ms/cm). 0.25. いの地点等がみられた.PI 値と比較したところ,ほぼ同 様の傾向がみられた.ASPT 値の算出においては,あら かじめ示されている表から出現種の科を特定し,スコア. 0.2. ASPT(5月) ASPT(10月). 0.15 0.1. 0.05. を決定するのみで値が算出でき,PI よりも算出方法が容 易であり,また,ASPT 値は 1~10 までの値で示される. 0. A B C D E F G H I J K L MN O 調査地点. 等,評価がわかりやすいことが利点としてあげられた.. 図 4 各地点の電気伝導度(平均値及び標準偏. 5. まとめと今後の課題 本研究では,研究者・技術者が生物学的に河川環境を 行うのに適した方法として期待される日本版平均スコア 法に着目し,室見川において取得した 1994 年から 2009 年までの水質データ及び底生動物データを用いて,水質 項目や既往の汚濁指数等の方法による結果を比較するこ とにより,その特徴を抽出した.室見川では,電気伝導 度が ASPT 値と有意に相関関係があること等が明らかに なった. 今回,既往の指標である PI との比較を行ったが, その他の指標との関係や特徴を整理し,河川環境の評価 に役立てるための知見を得ていきたいと考えている. 参考文献. 差). 2) 山崎正敏,野崎隆夫,藤澤明子,小川 剛:河川の生 物学的水域環境評価基準の設定に関する研究,全国公害 研究誌,21,pp114-145,1996. 3) Armitage, P.D., Moss,D., Wright, J. F. and Furse, M.T.:The performance of a new biological water quality score system based on macroinvertebrates over a wide range of unpolluted running-water sites. Water Resource, 17, pp.333-347, 1983. 4)川合禎次・谷田一三:日本産水生昆虫,東京大学出版 会,2005.. 1) 谷田一三編集:河川環境の指標生物学,北隆館, pp.114-119, 2010. -800-.

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