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発光細菌を供試生物とした毒性評価に関する基礎的検討

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Academic year: 2022

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(1)VII‑019. 土木学会西部支部研究発表会 (2015.3). 発光細菌を供試生物とした毒性評価に関する基礎的検討 大分高専都市システム工学科 学生員 ○野仲壮真. 1.はじめに. 大分高専都市・環境工学科 正会員. 古川隼士. 大分高専一般科 非会員. 二宮純子. った.なお,予備実験において,各発光細菌が最大の発 光量を示す培養時間を検討した結果,V. fischeri および P.. 我国では,毎年数百~数千を超える化学物質が輸入ま. luminescens の培養時間は,それぞれ 16 時間および 18 時. たは新規製造によって新たに登録され,様々な分野で利. 間とした.. 用されている.多種多様な化学物質は,各種排水等を介 して環境中に排出される.現在では,河川等の水環境中. 2.2 重金属の試薬調整. に 1 万種を超える化学物質が蓄積しているといわれてい. 発光細菌の感受性試験には,水銀,銅,およびカドミ. る.これらの化学物質は,極低濃度であっても生物の内. ウムの標準溶液(すべて和光純薬製)を毒性物質として. 分泌作用に多大な影響を及ぼし,生殖異常や奇形生物の. 用いた.各標準溶液は所定濃度に希釈後,pH 7.0 に調整. 発生を引き起こす可能性がある.しかしながら,年々増. して感受性試験に用いた.. 加する化学物質に対して,従来の化学的分析手法を用い て個別に管理・制御するには,多大な時間・労力,およ. 2.3 感受性試験. び恒久的な費用が必要となる.また,十分に濃度や毒性. 本研究では,96 ウェルプレートを用いた実験系で発光. データの無い物質には対応できないという問題もある.. 細菌の感受性試験を実施した.96 ウェルプレートに各重. このような観点から,近年では化学物質の影響を総合的. 金属の標準溶液の濃度が 0.0 mg/L,0.01 mg/L,0,05 mg/L,. な視点から調べる手法としてバイオアッセイが期待され. 0.1 mg/L,0.5 mg/L,1.0 mg/L,5.0 mg/L,および 10.0 mg/L. ている.従来のバイオアッセイによる毒性試験法は,藻. となるように添加した.その後,前培養した各発光細菌. 類,甲殻類,および魚類を供試生物とした研究が盛んに. の培養液を添加し,各ウェルの全量を 100 μL とした.発. 行われている.その一方で,発光細菌を供試生物とした. 光量の測定は,プレートリーダー(TriStar2 LB942,. バイオアッセイの有効性について検討されている 1).発. Berthold 製)を用いて,測定間隔を 5 分として行った.. 光細菌は特殊な培養環境を必要とせず,飼育および試験. なお,重金属は単体で存在する場合と複合で存在する場. の管理が容易かつ低コストで実施できる.さらに,培養・. 合でそれぞれ検討した.. 飼育期間,および試験時間がはるかに短く,迅速に結果 を得ることができるという利点がある.. 3.結果と考察. そこで本研究では,海洋性発光細菌である Vibrio 3.1 重金属に対する V. fischeri の感受性. fischeri,および淡水性発光細菌である Photorhabdus luminescens を供試生物として,各種重金属に対する感受. 図1は,V. fischeri を用いて各重金属が単体で存在する. 性を検討することを目的とした.. 場合の発光阻害率を示す.V. fischeri に重金属の単体を含 んだ条件で発光細菌を暴露したとき,消光反応が見られ. 2.実験方法. たのは重金属の濃度が5.0 mg/L 以上に設定した水銀のみ であった.また,水銀の濃度が 5.0 mg/L 以上のとき,発. 2.1 発光細菌の前培養. 光阻害率が約 100%に上ることがわかった.. V. fischeri の前培養は,Photobacterium Broth(PB 培地,. 図2は,V. fischeri を用いて各重金属が二種混合して存. Sigma-Aldrich 製)を用いて 20℃で振とう培養を行った.. 在する場合の発光阻害率を示す.V. fischeri に重金属を二. P. luminescens の前培養は,Nutrient Broth(NB 培地,Difco. 種含んだ条件で暴露したとき,消光反応が見られたのは. 製)を用いて,30℃のウォーターバスで振とう培養を行. 重金属の濃度が5.0 mg/L 以上に設定した水銀を含んだ条. ‑739‑.

(2) VII‑019. 件すべてで見られた.したがって,銅とカドミウムを混. 土木学会西部支部研究発表会 (2015.3). 高い可能性が示唆された.. 合させた条件のように水銀を含まない条件では消光反応. 100. の濃度を 5.0 mg/L 以上に設定した条件のとき発光阻害. 80. 発光阻害率 [%]. は見られなかった.また,水銀を含んだ重金属の混合種 率が約 90% に上昇した.そして,V. fischeri に水銀と銅 とカドミウムの三種を混合させた場合でも前述と同様に 濃度が 5.0 mg/L 以上に設定した条件で発光阻害が起こ り,発光阻害率が約 90 %以上に上昇した.. 40. Hg Cu Cd. 20 0 -20. 3.2 重金属に対する P. luminescens の感受性. 0. 0.01 0.05 0.1 0.5. -40. 図3は,P. luminescens を用いて各重金属の単体で存在 する場合の発光阻害率を示す.P. luminescens に重金属の. 60. 1. 5. 10. 濃度 [mg/L]. 図1 暴露開始 30 分後における各重金属に対する V.. 単体を含んだ条件で暴露したとき,消光反応が見られた. fischeri の発光阻害率. のは重金属の濃度が5.0 mg/L 以上の条件に設定した水銀. 100. mg/L 以上に設定した条件で,発光阻害率が約 50~90%. 80. 発光阻害率 [%]. とカドミウムであった.水銀とカドミウムの濃度を 5.0 以上に達した. P. luminescens に二種類の重金属を混合させた条件,あ るいは水銀と銅とカドミウムの三種を混合させた条件で 暴露したとき,消光反応が見られたのは共に重金属の濃 度が5.0 mg/L 以上に設定した水銀とカドミウムを含んだ. 40. Hg+Cu Hg+Cd Cu+Cd. 20 0 -20. 条件すべてで確認できた. 3.3 各発光細菌の重金属に対する感受性の比較. 60. 0 0.01 0.05 0.1 0.5. -40. 1. 5. 10. 濃度 [mg/L]. 図2 暴露開始 30 分後における各重金属の混合種に対. V. fischeri は水銀に対して消光反応を起こし,P.. する V. fischeri の発光阻害率. luminescens は水銀とカドミウムに対して消光反応を起こ. 100. 秒を超えたあたりで発光量が低下し始める.それに対し. 80. 発光阻害率 [%]. すことが確認できた.V. fischeri では暴露開始から約 300 P. luminescens では,水銀とカドミウム共に対して,実験 開始直後から発光量が低下し始める.このことから,重 金属の毒性に対する消光反応は P. luminescens の方が早 く反応が出て,感受性が高いことが示唆された.. 40. Hg Cu Cd. 20 0 -20. 4.まとめ (1)V. fischeri を供試生物とした場合,濃度 5.0 mg/L 以. 60. 0. 0.01 0.05 0.1 0.5. -40. 1. 5. 10. 濃度 [mg/L]. 図3 暴露開始 30 分後における各重金属に対する P.. 上の単体・混合種の水銀に対して消光反応を示した.. luminescens の発光阻害率. (2)P. luminescens を供試生物とした場合, 濃度 5.0 mg/L. 参考文献. 以上の単体・混合種の水銀とカドミウムに対して消光反. 1). Girotti, S., Ferri, E. N., Fumo, M. G., and Maiolini, E.:. 応を示した.. Monitoring. (3)V. fischeri と比較して,P. luminescens の方が発光量. bioluminescent bacteria, Anal. Chim. Acta., 608, 2-29,. の低下し始める時間が早く,毒性物質に対する感受性が. 2008.. ‑740‑. of. environmental. pollutants. by.

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