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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

抵抗板を設置した空積みブロック構造における滑動 抵抗力の評価とその算定法に関する研究

末松, 吉生

九州大学大学院工学府海洋システム工学専攻

https://doi.org/10.15017/26633

出版情報:Kyushu University, 2012, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

- 1 -

第1章 序論

1.1 本研究の背景

近年,地球規模で異常気象をもたらしている地球温暖化 1.1)は環境問題にとどまらず深 刻な国際政治問題に発展しており ,世界的に温室効果ガスの削減活動が求められている.

日本政府も 2020 年までに 1990 年比 25%の温室効果ガスの排出量の削減を目標に掲げてお り,土木・コンクリート業界においても温室効果ガスが削減可能な技術が求められている.

こうした折,国土交通省は河川の豊かな生態系 と自然環境を保全するため,中小河川に 関する河道計画の技術基準の中で「今後は治水機能の確保に加えて河岸・水際部が本来有す る環境上の機能を確保する視点が重要になる」と 通達した 1.2).環境面の機能を付加するた めにはコンクリ-トを充填してブロックを一体化する練積み構造ではなく,砕石やクラッ シャーラン等の粒状材を用いた空積み構造が不可欠である.今日までも数多くの環境型護 岸ブロックが施工され,筆者らもこれまでに環境型護岸ブロックの開発を重ねてきた.1.3),

4), 5), 6).空積みブロックは練積みより滑動抵抗力が小さい,胴込材が流出するなどの理由

からあまり積極的には使用されていない.しかし,空積みブロックには地盤の変動に撓む 可等性,追従性を有 し,透水性,通気性に優れ,残留水圧を低減し 1.7),土圧を低減する など練積みにはない特性がある 1.8).粒状材による高い透水性と通水性は,背面土を乾燥 側にもたらして背面土の安定に役立つだけでなく,地下水などの水循環を促進する自然環 境の保全には不可欠なものである.もし,空積みブロックで練積みブロックと同程度の安 全性が確保できれば河川の生態系や自然環境の保全に確実に貢献できて,温室効果ガスも 確実に削減することが可能になる1.9)

2011 年,東日本は未曾有の大地震に見舞われた.早期復旧を迫られる護岸等の現場にお いて擁壁ブロックの果たした役割は大きかった.が,地震の頻繁化や 地球温暖化による異 常気象で災害の外力が増大しいる今日,擁壁分野においても更なる安全性の確保のための 新たな技術が強く求められている .

1.2 擁壁の課題

擁壁 の滑 動に 対す る安 定解 析は 究極 的に は壁 体 底面 と地 盤と の摩 擦に よっ て決 定され

ている.1.10) 従来の練積み擁壁では滑動に対する摩擦力が不足し,かつ,背後地の制約を

受けるときは,擁壁底面に突起を設けて滑動抵抗力を強化することがある.しかし,この 方法は岩盤以外ではあまり実施されていない.その理由は, 突起のスペースを確保する必 要から,本体部と突起部の 2 回に分けて掘削を行うため,地盤が乱され,また掘削面を充 分に転圧することがきない.その結果,突起と地盤との密着性が低下して想定したほどの 受働土圧が得られなくなる.粘性土地盤においては尚更のこと期待できない.また,突起 には配筋が必要なため施工性が低下し,施工コストが増加して費用対効果が低下する .こ

(3)

- 2 -

うした理由から壁体底部に突起を設ける工法は岩着以外では あまり用いられていない.も し粘性土地盤において,底部固定突起に受働土圧を発揮して滑動抵抗力を強化することが 可能になれば,もたれ式の練積み擁壁においては法勾配を立てることができるようになり,

土地の有効活用が計れる.また,ブロックの控長さが短くできるため製品のコストが廉価 になり,安全面,施工面,コスト面で大きな優位性が期待できる .

a)地盤の強度と受働土圧 地盤を乱す

突起と周辺地盤との密着性-不良

受働土圧-(小) A.二重掘削(床掘り)

B.粘性土地盤の場合

内部摩擦角(φ)<砂質土のφ

受働土圧-(小)

岩 着

― 実 施 現

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- 3 -

b)二重掘削と固定突起

図-1.1 固定型突起の課題

1.3 空積みブロックの課題

ブロック積み擁壁にはブロック内にコンクリートを充填してブロックを一体化する 「練 積み構造」と砕石等の粒状材を充填してブロックを一体化しない「空積み構造」とがある.砕 石類を充填する空積み構造は施工性に優れ,コストも安く,環境にも優しく,構造面にお いても地盤との可等性,追従性や背後地盤の排水性に優れるため残留水圧を軽減するなど 利点も多い.しかし,胴込材の摩擦でブロックの滑動に抵抗する空積み構造では,壁高や 勾配等の設計条件次第では滑動抵抗力が不足する場合がある .そのためブロックに突起を

設けたり1.11)(図-1.2),(写真 1.1),かみ合わせ構造にしたりしてブロックを一体化する

工法が指導されている 1.12).現在,これらと同じ目的でブロックの側面を金物やゴムで連 結して滑動抵抗を強化する工法も研究がなされているがこの難点を完全に解消するまでに は至っていない 1.13), 14), 15), 16).もし,簡単かつ低コストで練積みを超える滑動抵抗が空 積みブロックで実現できれば,安全面,施工面,コスト面,環境面で大きな優位性が期待 できる.

突起部

締まらない部分

ゆるい砂地盤-φ(小) 地 盤 GL 前側

基礎 締固め

(5)

- 4 -

図-1.2 従来型突起の課題

写真-1.1 従来型固定突起

増大 突 起

突起のせん断力-(小)

突起の滑動抵抗力-(小)

胴込め砕石の摩擦に依存

滑動抵抗力の不足

CO コスト

擁壁ブロック

突起破損の恐れ

前方向のみ抵抗 付設

不 安

直高制限

緩勾配・寺勾配 控え長さ→拡大 対

練積み

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- 5 -

1.4 本研究の目的と目標

本研究は,ブロックの滑動抵抗力を従来のものより 2 倍以上向上させ,環境に優しく,

経済性にも優れた空積みブロック構造の開発を目的としており,そのために以下の 3 つを 目標に掲げている.

1)抵抗板による壁体の滑動抵抗力を 検証し,その滑動抵抗力を適正に評価する.

2)抵抗板による滑動抵抗力発生のメカニズムを明らかにする.

3)抵抗板を設置した壁体における滑動抵抗力の算定式を示す.

1.5 本論文の内容と構成

本論文の前半は,抵抗板を設置した壁体の滑動抵抗力の検証とその評価について論じる.

後半は,滑動抵抗力発生のメカニズムおよび本構造の提案と滑動抵抗力の算定法 について 論じている.本論文は,全 7 章で構成されており,その研究の流れを図-1.3 のフローチャ ートに示すとともに,内容を以下に述べる.

第 1 章では,近年の気候異変および国が示した今後の河道計画の方向性 から,河川護岸,

陸上擁壁における空積みブロックの必要性 と本研究の目的・目標を述べ,本論文の構成を示 した.

第 2 章では,ブロックの底部に突起を固定した実物ブロックの引き抜きせん断実験によ り,固定突起付コンクリートの滑動抵抗力を検証した.また.これらの実験から得られた 単粒材のせん断抵抗角φや現場コンクリートと単粒材との 底部摩擦角φBを用いて,固定突 起付コンクリートの滑動抵抗力をブロック底面の摩擦抵抗力と突起に作用する受働土圧と に分けて,算定法する方法について検討した.

第 3 章では,ブロックに突起を固定する方法は最下段ブロック以外では不可能に近いこ とから,施工が簡単な 抵抗板をブロックに固定しない非固定式とブロックに固定する固定 式の抵抗板による滑動抵抗力を垂直応力載荷型実験により検証した.

第 4 章では,非接触型抵抗板の滑動抵抗力を実証するとともに,これらの滑動抵抗力を 無次元化し,その大きさを適正に評価した.

(7)

- 6 - 図-1.3 研究の流れ

・論文の背景と課題と目的

・論文の構成 第1章

本論文のまとめと今後の展望と課題 第7章

抵抗板を設置した空積みブロック構造の提案 滑動抵抗力の算定法

第6章 実 物 ブ ロ ッ ク に よ る 引き抜き実験

第2章

固定突起の施工は不可能に近い

模 型 ブ ロ ッ ク に よ る

垂直応力載荷型実験 非固定式突起の滑動抵抗力の検討 第3章

非接 触型 突起 の滑 動抵 抗力の 検証とその評価

3段積模型ブロックによる 垂直応力載荷実験

第4章

滑動抵抗力発生のメカニズム 抵 抗 板 と ブ ロ ッ ク 内 壁 に 作

用する水平力に関する実験 第5章

固定突起片の滑動抵抗力の検証 及び滑動抵抗力算定法の検討

(8)

- 7 -

第 5 章では,抵抗板の前面と背面およびブロックの後壁内面に作用する水平応力に関す る実験から,ブロックの内部に発生した応力の分布を把握することで抵抗板を設置した空 積みブロック構造の滑動抵抗力発生のメカニズムについての検討を重ねた.

第 6 章の前半では,施工性と経済性に優れ,また抵抗板によって発揮される滑動抵抗力 を活かした空積みブロック構造の概要と特徴を述べるとともに,その施工手順を示した.

後半では,抵抗板による滑動抵抗力の算定式をクーロンの土圧論を基に導き,この導か れた算定式から,第 4 章で実験した各試験体の滑動抵抗力の評価を行い, この算定式から 得られた評価値と実験から得られた評価値 の整合性について検証した.

第 7 章では,全体の研究成果を総括するとともに今後の展望と課題をまとめた.

【参考文献】

1.1)IPCC 第4次報告書:Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA.,2007.

1.2)国土交通省河川局:国河環第 30 号,国河域第 7 号,国河防第 174 号,2010.

1.3)小松利光,中村由行, 末松吉生,柴田敏彦,森昌樹:生態系保全・育成機能を有 す る護 岸 ブ ロッ ク の 開発 , 第3 回 河 道の 水 理 と河 川 環 境シ ン ポ ジウ ム 論 文集 , 1997.6.

1.4)小松利光,中村由行,末松吉生,柴田敏彦,森昌樹,藤田和夫: 大地と直結した二 層構造を持つ生態系育成型環境護岸ブロックの開発 ,水工学論文集,第 42 巻,1998.2 1.5)小松利光,島谷幸宏,末松吉生,福田尊弘,甲斐洋一,安達貴浩 :植生群落の育成

が可能な環境護岸ブロックの開発 ,河川技術に関する論文集 ,第 5 巻,1999.6.

1.6)小松利光,末松吉生,小橋乃子:植生群落の育成が可能な環境護岸ブロックの開発

(三層式環境護岸ブロック),「EE 東北 2000」新技術発表会論文集,2000.5.

1.7)田中義人,車周輔,藤岡成介,岩本龍範,辻山正甫 ,小松利光:環境保全型ブロ ックを用いた中小河川における生態系保全工法について,河川技術論文集,第 10 巻,pp.509,2004.6.

1.8)箱型擁壁協会:箱型擁壁のしくみ,pp.4-5.

1.9)山田聡糊宣・島谷幸宏・末松吉生:中小河川の改修手法の工夫による CO2 排出の 削減,河川技術論文集,第 16 巻,2010.

1.10)二木幹夫:擁壁の滑動抵抗に関する実験研究,日本建築学会構造系論文報告集,第 364 号,pp.91,1986.6.

1.11)東栄商興㈱:マザ-ズロックⅡ型(河川用),NETIS 新技術,QS-040012-V,2007.

1.12)社団法人日本道路協会:道路土工擁壁工指針,pp.82,1999.

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- 8 -

1.13)渕 靖文・長友 克寛・松山 哲也・松原三郎:ブロック積み擁壁模型の動的安定 性 に及ぼす背面土の影響,土木学会四国支部技術研究発表会講演概要集,12 巻,6 号,

pp.386-387,2006.

1.14)渕 靖文 ・ 長友 克寛 ・ 松山 哲也:ブロック積擁壁の連結法が動的挙動に与える 影響,コンクリ-ト工学年次論文集,Vol.29,No.3,pp.523-528,2007.

1.15)渕靖文,長友克寛,松山哲也,松原三郎:ブロック積擁壁模型の地震時挙動に及ぼ す背面土の影響,土木学会四国支部平成 18 年自然災害フォーラム論文集,pp.93-96,

2006

1.16)谷川幸平:高強度低弾性係数繊維シ-トを用いた可撓性プレキャストコンクリ -ト 製品の結合法の開発,建築工学,pp.173-178,

(10)

- 9 -

第2章 固定式突起の滑動抵抗力に関する検討

2.1 はじめに

滑動抵抗力が不足する場合には滑動抵抗力を強化するために,擁壁の底面に突起を固定 する手法が実際に採用されている.突起の大きさは底板面から下方に 高さ 30~50cm 程度突 き出したのものが多く,これらは突起の前面に発揮される受働土圧力を期待 してのもので ある.しかし,突起を埋設するために地盤を二重に掘削することにより,地盤が乱され,

掘削面が充分に転圧ができなくなる.その結果,地盤の強度が低下して想定したほどの受 働土圧が確保できない .粘性土地盤では尚更のことである. そのため基礎底面に突起を設 けても受働土圧が働く計算にはなっていない 2.1).そこで,本研究の第一歩として,粘性 土地盤においても底面固定突起に受働土圧 を発揮できる工法を考案した.それは,本体部 の大きい空間と突起部小さい空間 を 2 回に分けて掘削するではなく,突起部の小さい空間 を本体部と同じ大きさで一重に掘削し,この中にプレキャストコンクリート板を設置して 本体と一体化する工法である,本章ではこうした考え方をもとに,実物の底部固定突起付 コンクリートを作製し,これらの 引き抜きせん断実験により底部固定突起の滑動 抵抗力を 検証した.また,本実験で得られた突起付コンクリートの滑動抵抗力をブロック底面での 摩擦抵抗力と突起に作用する受働土圧とに分け ,実験から得られた単粒材の内部摩擦角φ や現場コンクリートと単粒材との底面摩擦角φB を用いて突起付コンクリートの 滑動抵抗 力 F の算定法を検証した.

2.2 実験概要

2.2.1 試験体

擁壁の基礎部は例外なく,擁壁の底面と地盤との間には栗石,砕石等の塊状物を充填・

転圧した塊状物からなる基礎部を 形成している.擁壁の基礎底面は現場コンクリートの場 合とプレキャストコンクリートの場合がある.プレキャストコンクリートにも底があるも のと,ないものがある.今回の試験体は以下の 4 ケ-スで行う (図-2.1).

Case1 は,基礎砕石の上に底なし基礎ブロックを載せてブロック内に砕石を充填したもの で「底なしブロック+砕石」と称す.

Case 2 は,基礎栗石の上に底無し基礎ブロックを載せてブロック内に栗石を充填したもの で「底なしブロック+栗石」と称す.

Case 3 は,基礎砕石の上に現場コンクリートを打設したもので「現場コンクリート+砕石」

と称す.

Case4 は,基礎ブロックの底部に現場コンクリートを打設して 突起片を固定したもので「突 起付現場コンクリート +砕石」と称す.

Case 1.2.3 においてはブロックの段数を 2 段,3 段,4 段の 3 通りで行った.

(11)

- 10 -

基礎材には砕石:φ10~20 ㎜,栗石:φ50~150 ㎜,現場コンクリートには設計基準強 度:

240kg/㎝ 2.の生コンクリートを用いた(表-2.1). これらの試験体の略図を(図-2.1)に 構成内容を(表-2.2)に示す.

a)Case2 底なし基礎ブロック+砕石(2 段)

b)Case2 底なし基礎ブロック+栗石(2 段)

図-2.1 試験体 Case1,2

800

100

400 800 300

1500

250250 500150

GL

底なし基礎ブロック

木枠

φ10~20 砕石

φ10~20 砕石

φ10~20 砕石 基礎材

100

GL

800

800

250250 500

400 300

1500

150

底なし基礎ブロック

木枠

栗 石

栗 石

(12)

- 11 -

C)Case3 現場コンクリート+砕石(2 段)

d)Case4 突起付現場コンクリート+砕石(2 段)

図-2.1 試験体 Case3,4

600

GL

400 800 300 1500

2 5 0 3 0 0

550

1 5 0

底なし基礎ブロック 木枠

100

現場コンクリ-ト

φ10~20 砕石 ブロック

基礎材

φ10~20 砕石

GL

600

196 496

300

400 800 300

1500

木枠

100

現場コンクリ-ト

φ10~20 砕石 ブロック

(13)

- 12 - 表-2.1 使用材料

砕石 栗石 現場

コンクリ-ト 粒径(mm) 10~20 50~150 10~20 D50 (mm) 14.5 84.5

基準強度 240 (kg/㎝2)

表-2.2 試験体の名称とその構成内容

試 験 体 構 成 Case 名 称 ブロック又は

コンクリ-ト

基礎

材 段数 1 底なしブロック+砕石 底無しブロック 砕石 2 段・3 段・4 段 2 底なしブロック+栗石 底無しブロック 栗石 2 段・3 段・4 段 3 現場コンクリート+砕石 現場コンクリート 砕石 2 段・3 段・4 段 4 突起付現場コンクリート

+砕石

底無しブロック

+現場コンクリート 砕石 2 段

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- 13 - 2.2.2 試験体の制作と実験装置

Case1 と Case2 は,地盤の上に木製枠(横 2.4m×縦 1.5m×高さ 0.15m)を配置し(写真-2.1),

同枠内に砕石(Case1)または栗石(Case2)を充填して基台(基礎ブロックより下の基礎部)を 形成し,同基台の上に実物の基礎ブロック(横 1.8m×縦 0.8 m×高さ 0.25m) を設置し,同 ブロック内に砕石,栗石を充填して作製された(写真-2.2),(写真-2.3).

Case3 は,Case1 と同様に砕石を充填した基台の上に横 1.83m×縦 0.8m×高さ 0.2mの 現場コンクリートを打設して作製 された (写真-2.4).

底部中央に突起を固定した Case4 は,地盤上の木製枠(横 2.4m×縦 1.5m×高さ 0.15m)を 配置し,木製枠内の所定の位置にコンクリ-ト製の板(長さ 1.5m×高さ 0.25m×厚さ 0.1 mを設置してこの板の 0.15mの高さまで(木枠の天端面) まで砕石を充填し,この基台の 上に基礎ブロックを載せて基礎ブロックの高さ 0.1mまで現場コンクリートを打設し,残 りの 0.15mは砕石を充填して作製した(写真-2.5a)b))

写真-2.1 基台用の木枠 写真-2.2 底なしブロック+砕石(2 段)

写真-2.3 底なしブロック+栗石(2 段) 写真-2.4 現場コンクリ-ト+砕石(2 段)

写真-2.5 a) 設置前の固定用突起片 写真-2.5 b) 底なしブロックに突起片を設置

(15)

- 14 -

測定項目は,水平荷重が 1 点,試験体の水平変位が右・左各 1 点,鉛直変位が前・後各 1 点,基台の 水平変位が右・左の各 1 点である.実験装置の概略図を(図-2.2)に示す.

載荷は,チェーンブロックにより手動で載荷制御プログラムの時間―荷重グラフを確認 しながら約 0.1kN/sec の割合で水平方向に連続載荷を行い,引っ張り荷重がピークに達 して,その後低下したことが確認できるようになる時刻まで載荷した2.2), 3)

図-2.2 実験装置の概略図

2.3 実験結果と考察

2.3.1 せん断応力と水平変位量

図-2.3 は,2 段積みブロックの Case1,2,3,4 におけるせん断応力と水平変位量の 実験結果である.いずれの試験体もせん断応力の増加に伴って水平変位が増加している が,水平変位量が 0.5~1.0mm 位までは急激に増加し,その後は緩やかな増加傾向になっ ている.図に示すせん断応力τは水平荷重 P を試験体の底面積 A で除した値である.し かし,使用材料が各試験体で異なるため試験体の重量が同一でないことから,このせん 断応力で滑動抵抗力を比較できない.よって,せん断応力を試験体の垂直応力で除した 値,即ち摩擦抵抗係数μ(tanφ)で比較したのが図-2.4 である.これらの結果を表-2.3 a)にまとめた.表-2.3 a)に示す最大せん断抵抗力 T は水平荷重の最大値,最大せん断応 力τfは最大せん断抵抗力を底面積で除した値である.但し,突起付コンクリート におい ては,突起に作用した水平力と底部に作用した摩擦力の和を滑動抵抗力とし,この滑動 抵抗力を底面積で除した値を最大せん断応力の欄に示している.

表-2.3 a)については最大水平荷重と水平変位量に関する実験結果から,最大荷重時にお ける最大せん 断応力: τf,最大せん断 抵抗係 数:tanφpeak,最大せん断抵 抗角:φpeak について検討を行っている.

変位計

荷 重 計

チェーンブロック 変位計

(16)

- 15 - 0

5 10 15 20 25

0 10 20

せん断応力τ(kN/m2

水平変位量(mm)

突起付コン+砕石 底なしブロ+栗石 現場コン+砕石 底なしブロ+砕石

図-2.3 せん断応力と水平変位量

0 1 2

0 10 20

せん断抵抗係数μ

水平変位量(mm)

突起付コン+砕石 底なしブロ+栗石 現場コン+砕石 底なしブロ+砕石

図-2.4 せん断抵抗係数と水平変位量

(17)

- 16 -

1)Case1「底なしブロック+砕石」の最大せん断抵抗係数 tanφpeakは次式より求められ る.2.4)

tanφpeak=τf/σ (2.1)

式(2.1)にτf,σの値を与えると,tanφpeak=9.2kN ㎡/9.53 kN/㎡=0.96 となる.

ここに表-2.3 より,

τf = 9.2kN ㎡ σ= 9.53 kN/㎡

よって,tanφpeak=0.96 より,最大せん断抵抗角φpeak=44°と推定される.

表 2-3 b)においては,図-2.4 の載荷初期における直線から曲線に移行 し始めるせん断抵抗 係数と水平変位量,また最大せん断抵抗係数と残留のせん断抵抗係数の関係から,塑性前 におけるせん断抵抗係数を最大時の 75%と推定した.

よって,塑性前のせん断抵抗係数 tanφは次式で与えられる.

tanφ=tanφpea×0.75

tanφpeak=0.96 を代入すると,tanφ=0.72 となり,

粘性力 C=0 と仮定したときのせん断抵抗角φは 36°になる(表-2.3b)).

2)Case2「底なしブロック+栗石」の最大せん断抵抗角φpeakと塑性前のせん断抵抗角φ を Case1 と同様にして求めると,最大せん断抵抗角φpeakは 52°,塑性前のせん断抵抗角 φは 43.9°となる(表-2.3 a),b).この Case2 での栗石のせん断抵抗角 43.9°(平均値) と Case 1 の砕石のせん断抵抗角 36°(平均値)は,通常用いられる,よく締め固められた 栗石・砕石のせん断抵抗角φと近似している2.5), 6)

3)Case3「現場コンクリート+砕石」の底面摩擦角φBを Case1,2 と同様にして求めると,

最大摩擦角φBmaxは 50°,塑性前の摩擦角φBは 41.8°となる(表-2.3a),b)).現場コンク リート底部の摩擦角φBに関しては,現場コンクリートが良質な材料で適切に施工されてい る場合には砕石自体の内部摩擦角φを現場コンクリ-トと砕石の摩擦角φB として用いて も良いとされているが2.7),Case 3 の現場コンクリート底部の摩擦角φBは 41.8°で,一方 Case 1 の砕石のせん断抵抗角φが 36°になっており(表-2.3a),b)),現場コンクリート底 部の摩擦角φBの方が逆に大きかった.これは,通称目潰し材として用いられるφ0~40mm のクラッシャーランではなく,φ10~20mmの単粒砕石を用い,かつ現場コンクリ-トに は設計基準強度;240kg/㎝2のコンクリートを打設し,3 週間養生していたことが影響し ていると推察される.

(18)

- 17 -

4)Case4「突起付コンクリート+砕石」(図-2.8 a))の最大水平荷重は 28.03kN,一方 Case3 の突起を有しない「現場コンクリート+砕石」(図-2.8 b))の最大水平荷重は 17.35kN であった.これらの最大水平荷重を試験体の底面積で除した最大せん断抵抗係数 tanφpeak で比較すると,Case4 と Case3 の最大せん断抵抗係数 tanφpeakは 1.85 と 1.29 である.つ ま り , 突 起 付 コ ン ク リ ー ト の 滑 動 抵 抗 力 は 突 起 が な い 現 場 コ ン ク リ ー ト の 1.4( = 1.85/1.29)倍であったことから.固定突起 による滑動抵抗力の増加が確認された.

写真-2.6 「突起付きコンクリート

+砕石」実験後の底面

写真-2.7 「現場コンクリート

+砕石」の実験後の境界部 実験後の境界部

写真-2.8「底なしブロック+砕石 」(4 段) 写真-2.9 「底なしブロック+砕石 」(3 段)

写真-2.10「底なしブロック+栗石 」(3 段)

(19)

- 18 - 表-2.3 実験結果と使用材料の強度特性 a) 最大荷重時

Case ブロック

A 底 面

(m2)

PV 垂 直 荷 重 kN

σV 垂 直 応 力 kN/m2

T 最 大せ ん 断抵 抗 力 kN

τf 最 大せ ん 断応 kN/m2

C= 0 と仮 定

τ

=tanφPeak

最 大せ ん 断 抵抗 角 φPeak (°)

平 均値 φPeak

(°)

1 底なし ブロック

砕 石

2 1.46 13.93 9.55 13.52 9.26 0.97 44.1

44.1 3 1.46 20.95 14.35 20.71 14.18 0.99 44.7

4 1.46 27.95 19.15 26.63 18.24 0.95 43.6

2 底なし

ブロック 栗 石

2 1.46 13.92 9.53 18.21 12.47 1.308 52.6

52.0 3 1.46 20.87 14.29 26.75 18.32 1.282 52.0

4 1.46 27.73 18.99 34.75 23.80 1.253 51.4

3 現場 コンクリ-ト

砕 石

2 1.48 13.38 9.04 17.35 11.72 1.297 52.4

50.0 3 1.48 19.07 13.31 22.33 15.09 1.133 48.6

4 1.48 26.23 17.58 29.84 20.16 1.147 48.9 4 突起付

コンクリ-ト 砕

石 2 1.46 15.13 10.37 28.03 19.20 1.852 61.6

b) 塑性時

Cas e

ブ ロッ ク

PV 垂 直 荷 重 kN

σV 垂 直 応 力 kN/m2

C= 0 と 仮定 C≠ 0

0.75τ

F

=tanφ

せ ん断 抵 抗角 φ(°)

平 均値 φ(°)

C 粘 着力 (kN/㎡ )

せ ん断 抵 抗係 数 tan φ

平 均値 φ(°)

1 底なし ブロック

砕 石

2 9.55 6.95 0.73 36.0

36.0

0.36 0.70

35.0 3 14.35 10.64 0.74 36.6 0.36 0.70

4 19.15 13.68 0.71 35.5 0.36 0.70

2 底なし

ブロック 栗 石

2 9.53 9.35 0.98 44.5

43.9

0.83 0.90

41.9 3 14.29 13.74 0.96 43.9 0.83 0.90

4 18.99 17.85 0.94 43.2 0.83 0.90

3 現場 コンクリ-ト

砕 石

2 9.04 8.79 0.97 44.2

41.8

1.88 0.74

36.5 3 13.31 11.32 0.85 40.4 1.88 0.74

4 17.58 15.12 0.86 40.7 1.88 0.74 4 突起付

コンクリ-ト 砕

石 2 10.37 14.40 1.39 54.3

(20)

- 19 -

図-2.5 a),b),c) は Case1,2,3 に対して異なる3つの垂直荷重を与えて,せん断応 力と垂直応力の関係を示した破壊強度線で ある.また図中には,塑性直前の条件について も併記してある.いずれの図においても,相関係数の二乗値:R2は 0.99 程度と高い値を保 持していることから,Case1,2,3 に用いられた単粒材のせん断抵抗角φは適正に評価さ れていることが分かる.また粘着力 C が図から読み取れる.

図-2.5 三種類の試験体の破壊強度線 a) 「底なしブロック+砕石 」の破壊強度線

b) 「底なしブロック+栗石」の破壊強度線

c) 「現場コンクリ-ト+砕石」の破壊強度 線

(21)

- 20 -

図-2.6 は図-2.4 の載荷初期を拡大したグラフである.載荷初期を詳しくみると,Case 4 の突起付コンクリートでは,水平変位量が 0.24 mm(線 A)に達するまでは, せん断抵抗係 数μは Case1,2,3 の方が大きいことから,水平変位量が 0.24mm に達するまでは,Case4 の突起付よりも突起がない Case 1,2,3 の方が滑動抵抗力が大きかったことになる.言い 換えれば,固定突起に水平力が作用するようになるためには一定の変位量が必要で,この 変位量に達するまでは水平抵抗力は発揮されていないことが分かる.

図-2.6 載荷初期のせん断抵抗係数と水平変位量

2.3.2 荷重と鉛直変位量

図-2.7 は鉛直変位量と水平変位量の関係である.ここに示す鉛直変位量は試験体の天端 面の前部と後部の変位量を足して 2 で割った値である.図より,鉛直変位量は,「突起付コ ンクリート+砕石」>「底なしブロック+栗石」>「現場コンクリート+砕石」 >「底な しブロック+砕石」の順に大きい.図-1 と併せみると,滑動抵抗力が大きい試験体ほど鉛 直変位量は大きく,滑動抵抗力が小さい試験体ほど鉛直変位量は小さいことが分かる.つ まり,水平方向の変位 が抑制されるほど鉛直方向の変位は増加している.これは,突起で 水平方向の変位を抑制したために 鉛直方向の変位が増加したと考えられる.また,載荷 法 がブロックの前面に取り付けた載荷用フックを水平方向に引っ張る方式のため試験体の背 面には土圧が作用しないことから ,鉛直方向の変位を抑制する摩擦力が全く働かないこと にも起因していると考察される.しかしながら,突起を有しない試験体に対しても同じ載

0.0 0.5 1.0

-0.01 0.09 0.19 0.29

せん断抵抗係数μ

水平変位量(mm)

突起付コン+砕石 底なしブロ+栗石 現場コン+砕石 底なしブロ+砕石

A

0.24

(22)

- 21 -

荷方式であることから,少なくとも固定突起には鉛直方向の変位を抑制する効果は期待で きないと考察される.

図-2.7 水平変位量と鉛直変位量(前部+後部の平均)

2.3.3 固定突起付コンクリートの滑動抵抗力の算定法

実験結果より,突起付コンクリートの滑動抵抗力(28.03kN)はコンクリート底面の摩擦 抵抗力と突起に作用する水平力(=受働土圧)の和になると仮定し2.8),滑動抵抗力 F を摩 擦抵抗力 T と受働土圧 Pp に分けて検討した (図-2.8a)).

まず,突起付コンクリ-トの底面に働く摩擦抵抗力Tを求める.突起付コンクリ -トは底 なしコンクリート製品の中に抵抗板を設置して現場コンクリートを打設するため,突起 付コンクリ-トの底面は現場コンクリートの部分が 60%,プレキャストコンクリートの部 分が 40%である(写真-2.4b)).従って,Case4 の突起付コンクリ-トの最大せん断抵抗係 数として Case3 の実験から得られた現場コンクリート底面と砕石との最大せん断 抵抗係 数 tanφpeakの値(=1.29)を用いると(図-2.8b)),摩擦抵抗力が過大に評価され,受働土 圧が過小に評価されることになる.しかし,ここでは固定突起がもたらす滑動抵抗力,

即ち受働土圧を土圧理論より確認すること が目的であることから,あえて底面の摩擦力 を過大に評価して受働土圧を過小評価することになる ,Case3 の最大せん断抵抗係数 tan φpeak(1.29)を Case4 の最大せん断抵抗係数として用いた.

(23)

- 22 -

a) Case4 突起付現場コンクリート+砕石

b) Case3 現場コンクリート+砕石

図-2.8 試験体の滑動抵抗力

突起付コンクリートの底面に作用する摩擦 抵抗力 T は,T=Ntanφpeakより,

T=15.01 kN×1.29=19.36kN となる.

ここに,

N はブロックすべり面の粒子間に働く垂直力で 15.1 kN(表-2.3a)) tanφpeakは Case3 の最大せん断抵抗係数(表-2.3a))

従って,F=T+Pp より,受働土圧 Pp は,Pp=F-T=28.03-19.36=8.67kN となる.

つまり,実験結果から,突起には少なく見積っても 8.67kN の受働土圧が作用したと推 定される.

P

P

T GL

基礎砕石(基台)

仮想すべり面 P

GL T

基礎砕石(基台)

P

(24)

- 23 -

次に,「現場コンクリート+砕石」Case3 の底面摩擦角(実験値)を用いて突起付コンクリ ートの底面の摩擦力を推定して得られた受働土圧,即ち 8.67kN が突起に作用したものと 仮定して,このときの受働土圧係数 Kp をクーロンの土圧論 2.9)より求める.

ク-ロンの土圧論より次式が与えられる.

受働土圧 Pp=(1/2γh2 +qh)Kp (2.2)

ここにおいて,実験結果から推定した Case4 での突起に作用した受働土圧 8.67kN は,幅 1.5m の 突 起 片 に 作 用 し た 力 で あ る こ と か ら 1m 当 た り に 換 算 す る と , 受 働 土 圧 Pp は 8.67kN/1.5 m=5.78kN となる.

式(2.2)に Pp,γ,h,q の値を代入すると,

5.78=(1/2×17.3×0.152+9.9×0.15)Kp となり,受働土圧係数 Kp は

Kp=5.78/1.69=3.4 となる.

ここに,

Pp は受働土圧 5.78kN

γは砕石の単位容積重量(17.3kN/㎥:実測値) h は固定突起片の高さ(0.15m)

q は突起片より前側の砕石の上面に作用する荷重を突起の前面から最下段ブロック前面ま での長さで除した値(9.9kN/㎡).

Kp は受働土圧係数

以上のことから,突起には少なくとも 3.4 の受働土圧係数 Kp が作用したことになる.

この受働土圧係数 Kp=3.4 は,クーロン土圧論においてはせん断抵抗角φ;35°の砕石に おいて発揮される値で ,Case1での砕石のせん断抵抗角φの実験値と同じ値であること,

また,突起付コンクリート底面に作用する摩擦抵抗力 T は,Case3 の実験値である現場コ ンクリートと砕石の摩擦抵抗係数 tanφBである 1.29 を用いたことなどから,固定突起に は実験結果から推定された受働土圧 Pp(滑動抵抗力 F-摩擦抵抗力 T=受働土圧 Pp)が作用し ていたと判断される.

以上のことより,突起付コンクリートの滑動抵抗力 F(実験値)は,ブロック底面の摩擦 抵抗力 T(Case3 の実験値から推定した値)とクーロンの土圧論から求めた突起に作用した 受働土圧(理論値)の和と一致したと判断される.

(25)

- 24 -

2.4 まとめ

今回の実物ブロックの引き抜きせん断 実験の結果より,以下の知見が得られた.

1)固定突起付コンクリート の最大荷重を底面積で除した値を最大せん断抵抗力として 求めた最大せん断抵抗係数 tanφpeakは突起を有しない現場コンクリートの 1.4 倍であった ことから,固定突起片は滑動抵抗力を強化する働きがあることが確認された.

2)固定突起に水平力が作用する ようになるためには一定の変位量が必要であり,この 変位量に達するまでは水平力は発揮されないことが分 かった.

3)固定突起付コンクリート は,突起がない試験体よりも 鉛直方向の変位が大きいこと から,固定突起には鉛直方向の変位を抑制する 効果は期待できないと考察された.

4)地盤を二重に掘削せずにコンクリート底 面と突起の周り全体を単粒砕石で置換する 工法は,突起に受働土圧を発揮させる上で 効果的であることが確認された.

5)試験体に異なる3つの垂直荷重を与えてせん断応力と垂直応力の関係を示した破壊 強度線と塑性直前の強度線は,いずれの図においても相関係数の自乗値;R2は 0.99 程度と 高い値を保持していたことから,試験体で用いた単粒材の強度特性は適正に評価されてい ることが確認された.

6)固定突起付コンクリート の滑動抵抗力を摩擦力と受働土圧に分けて検討 した結果,

少なくとも固定突起には受働土圧 係数 Kp=3.4 が作用していたことが確認された .この受 働土圧係数 Kp=3.4 は,クーロンの土圧論ではせん断抵抗角φ;35°の砕石において発揮 される値であって,Case1における砕石のせん断抵抗角φと同じ値であること.また,突 起付コンクリート底面に作用する摩擦抵抗力 T は,実験値である Case3 の現場コンクリー トと砕石の摩擦抵抗係数 tanφBである 1.29 を用いていたことから,突起付コンクリート の滑動抵抗力 F(実験値)はブロック底面での摩擦抵抗力 T とクーロンの土圧論から求めた 受働土圧(理論値)の和と一致した.

(26)

- 25 -

【参考文献】

2.1)社団法人日本道路協会:道路土工擁壁工指針, pp.74-75,1999.

2.2)松岡元:土質力学,森北出版,pp.177-178,1999.

2.3)二木幹夫:擁壁の滑動抵抗に関する実験研究,日本建築 学会構造系論文報告集,第 364 号,pp.91,1986.6.

2.4)松岡元:土質力学,森北出版,pp.129,1999.

2.5)二木幹夫:擁壁の滑動抵抗に関する実験研究,日本建築学会構造系論文報告集,第 364 号,pp.95,1986.6.

2.6)赤井浩一:土質力学 ,朝倉書店,pp.101,135,1985.

2.7)社団法人日本道路協会:道路土工擁壁工指針, pp.20-21,1999 2.8)社団法人日本道路協会:道路土工擁壁工指針, pp.73-74,1999 2.9)松岡元:土質力学,森北出版,pp.186,1999.

(27)

- 26 -

(28)

- 27 -

第 3 章 設置形態が異なる抵抗板の滑動抵抗力に関する検討

3.1 はじめに

第 2 章において,壁体直下の基礎地盤全体を単粒砕石に置き換え た基礎砕石の中に壁体 底部面に固定された突起を埋設すると,突起には置換された単粒砕石の強度特性に応じた 受働土圧が働き,滑動抵抗力が強化されることが確認された.しかし,壁体の底 面に突起 を固定する手法は最下段のブロックにおいては可能ではあるが,それ以外の段位で実施す ることは不可能に近い.つまり,空積みブロックにおいてはブロック底部に突起を固定す ることは実現不可能な工法である .そこで,固定突起の代替案として ,プレキャストコン クリート板(以後,抵抗板と呼ぶ)を底がないブロックの後壁に固定せずに,ブロックの 上・下境界面から上・下方向に半分 ずつ延伸させて垂直に設置するだけのシンプルな手法を 考案した.しかしながら,抵抗板をブロックに固定せずに,ブロックの滑動をどの程度抑 制できるのか,疑問がもたれる.非固定式にして効果が半減すると,いかに施工が簡単で も費用対効果の面で受け入れられない可能性もある.そこで本格的な実験に移る前に,非 固定式抵抗板の滑動抵抗力を確認 しておく必要がある. 第 3 章では,非固定式抵抗板の滑 動抵抗力を確認するため,一体型模型ブロックによる荷重と変位に関する基礎的な実験を 行った.ここで実施した抵抗板の設置形態は,ブロックの後壁に固定する固定式と固定し ない非固定式とがあり,非固定式では,ブロックの後壁に接触する接触型と接触しない非 接触型に分かれる(表-3.1).

表-3.1 抵抗板の設置形態

3.2 固定式・非固定式抵抗板を設置した壁体の変位に関する実験

3.2.1 実験概要

・実験方法は,第 2 章で実施した試験体の底部にせん断応力を 直接与えるせん断応力載荷 型実験ではなく,実際の擁壁と同じように壁体の背面に盛土を形成し,盛土面に垂直荷重 を載荷して壁体の背面に土圧を与える垂直応力載荷型実験とした 3.1), 2), 3).図-3.1 に実 験装置の略図を示す.

・実験に用いる壁体は,前壁と後壁,左右の側壁からなる奥行 220 ㎜,控長さ 200 ㎜,高 さ 300 ㎜の模型ブロックとし,これを厚さ 15 ㎜のアクリル板で作製した(写真-3.1).

式 固定式 非固定式

型 底部‐固定型 後壁内面-接触型 後壁内面-固定型 非接触型

(29)

- 28 -

・抵抗板は,長さ 180 ㎜,高さ 100 ㎜で,厚さ 2.6 ㎜の鉄板を用い,同鉄板を壁体の底部 境界面から上・下方向に 50 ㎜ずつ垂直に延伸させた状態で設置した(写真-3.1).写真-3.1 は抵抗板を中央に設置しているところである.

・試験体の種類は,抵抗板をブロックの後壁内面から 10 ㎜離して設置した抵抗板(後壁 側),後壁と前壁のほぼ中央に設置した抵抗板(中央),後壁内面に接触させた抵抗板(後 壁内面接触),後壁内面に固定した抵抗板(後壁固定),それに抵抗板を設置しない抵抗板 (なし)の 5 ケースである(表-3.2),(図-3.2).

・水平変位計は,前壁中央の下端から 50 ㎜,上端から 50 ㎜の高さに各 1 点.鉛直変位計 は前壁天端と後壁天端に各1点セットした(写真-3.2).

・充填材には.基礎材,中詰材,背面盛土材とも同一の気乾状態に近い福岡市西戸崎産の 海砂(表-3.3)を用いた.

・載荷方法は,背面盛土の上面にゴム板を置き,この上に水タンクを垂直に上載し,一定 の速度(14ℓ/分)でタンク内に注水した.最終の最大荷重は 3.5kN である(写真-3.3).

300

抵抗板 変位計

200 200

荷重q 荷重q

220

Unit : mm

抵抗板180

190

75

230

400

背 面 土

ゴム板

GL

中詰材

基礎材 20

2020

土槽 土槽

ブロック模型

図-3.1 一体型の試験体の実験装置図(上:平面図,下: 側面図)

(30)

- 29 -

Ca se4(後壁内面接触)

Ca se2(背面側)

Ca se3(中央)

Ca se1(なし)

Ca se5(後壁固定)

後壁

抵抗板 CL

前壁

GL

背 面 土

後壁

CL

前壁

GL

背 面 土

後壁

抵抗板

CL

前壁

GL

背 面 土

背 面 土

後壁

抵抗板

CL

前壁

GL

後壁

抵抗板 CL

前壁

GL

背 面 土

図-3.2 抵抗板の設置方法と壁体の変位に関する実験

(31)

- 30 -

表-3.2 実験ケ-ス 表-3.3 粒状材の諸元

写真-3.1 一体型試験体の中央に抵抗板を 写真-3.2 変位計セット 設置

写真-3.3 背面土上のゴム板上に水槽を設置

Case 抵抗板の設置位置

Case1 なし

Case2 ブロックの後壁側

Case3 ブロックの中央

Case4 ブロック後壁内面に接触

Case5 ブロック後壁内面に固定

D50 0.412mm

Uc 1.90

水平変位計

ブロック前面 鉛直変位計

背 面

水槽

(32)

- 31 - 3.2.2 実験結果および考察

1)荷重と変位

図-3.3 は実験開始から最終載荷5分後までの 載荷重と水平変位量(前壁の下側)の結果 である.図-3.4 は載荷重と後壁天端の鉛直変位量の結果である.図-3.5 は前壁下側の水平 変位量と後壁天端の鉛直変位量の関係を示している.これら の結果を 表-3.4 に整理した . 表より,Case1(なし)の水平変位量を 100%とすると,Case2(後壁側)は 40%< Case4(後壁 内面接触)は 45%< Case3(中央)は 55%< Case5(固定式)は 65%であった.また,後壁天 端 の 鉛 直 変 位 量 に お い て も , Case1(な し )を 100% と す る と , Case2(後 壁 側 )は 42% < Case3(中央)は 58%<Case4(後壁内面接触)は 60%<Case5(固定式)は 86%であった.これ らの結果より,抵抗板は固定式より非固定式が,非固定式の中でも後壁に接触しない非接 触型で,中央よりも後壁側に設置した Case2(後壁側)の滑動抵抗力が最も大きく,水平方 向だけでなく鉛直方向にも壁体の変位を抑制する働き があることが分った.

図-3.3 載荷重と一体型ブロック下側の水平変位量 0

1 2 3 4

0 1 2 3 4

載荷重(kN)

水平変位量(mm)

Case1(なし) Case2(後壁側)

Case3(中央)

Case4(後壁内面接触) Case5(後壁内面固定)

(33)

- 32 -

図-3.4 載荷重と一体型ブロック後壁天端の鉛直変位量

図-3.5 一体型ブロック下側の水平変位量と後壁天端の鉛直変位量 0

1 2 3 4

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

載載荷重(kN)

鉛直変位量(mm)

Case1(なし) Case2(後壁側)

Case3(中央)

Case4(後壁内面接触) Case5(後壁内面固定)

0 0.5 1 1.5 2

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

鉛直変位量(mm)

水平変位量(mm)

Case1(なし)

Case2(後壁側)

Case3(中央)

Case4(後壁内面接触)

Case5(後壁内面固定)

(34)

- 33 - 表-3.4 最大水平変位量と鉛直変位量

次に,図-3.5 は水平変位量と鉛直変位量の関係である.図より,水平変位量が小さい試 験体ほど鉛直変位量も小さく,水平変位量が大きい試験体ほど鉛直変位量も大きくなって いる.つまり,滑動抵抗力が大きい試験体ほど鉛直方向の変位も抑制 されている.これは,

第 2 章での鉛直方向の変位量が最も大きかった Case4 のコンクリート底面に突起を固定し た試験体とは逆の結果であった(図-2.7).この理由については実験方法の違いが挙げられ る.それは,試験体の前面を前に引っ張るせん断応力載荷型実験では試験体の背面には土 圧は全く作用しないが,垂直応力載荷型実験では試験体の背面に土圧が作用するため,試 験体の背面が鉛直方向(上向き)に変位すると,ブロックの背面とブロック後壁の内面には ブロックと土塊との間に下向きの摩擦が生じ 3.4), 5),鉛直方向の変位を抑制する 力が働く ためと考察される.これに関して,図-3.6 は最終載荷(3.5kN)から排水してタンク OFF までの鉛直変位を示している.図では,最終載荷時点から載荷 OFF までの間に鉛直変位量 が逆に増加している.これは,ブロックの背面および後壁内面に下向きの摩擦力が働いた ことを示している.そして,この下向きの摩擦力が最も大きかったのが,水平変位量 と鉛 直変位量が最も小さかった Case2(後壁側)の非接触型で,抵抗板を設置した中で下向き の摩擦力が最も小さかったのが,水平変位量と鉛直変位量が最も大きかった Case5 の固定 型の抵抗板ということになる.固定型抵抗板で鉛直方向の変位を抑制する力が小さい理由 は,壁体が鉛直方向に変位すると固定された抵抗板は壁体の変位につれて一緒に変位する ためである.これとは反対に,非接触型の抵抗板では壁体の鉛直方向への変位により抵抗 板と後壁との間に介在する土塊との間に後壁内面に下向きの摩擦力が生じたためと考察さ れる.

2)載荷初期の変位

図-3.7 は図-3.3 の載荷初期の部分を拡大したものである.図より,載荷初期の水平変 位量は 非接触型 (後壁側)<非接触型(中央)<接触型(後壁内面接触)<固定型(後壁 内面)<抵抗板(なし)の順である.特に,非接触型(後壁側)においては,載荷のスタ ート時点から他のケースよりも壁体の変位を抑制していることが分る .これも,載荷スタ ート時点および載荷初期において ,底面固定突起はブロックの鉛直変位を抑制する効果は ないと考察した第 2 章とは異なる結果であった.

一体型 模型ブロック

水平変位量 鉛直変位量

下部 上部 前壁天端 後壁天端

mm mm mm mm

Case1 (なし) 2.0 100 4.4 100 -0.77 100 1.33 100 Case2 (ブロックの後壁側) 0.8 40 1.9 43 -0.38 49 0.56 42 Case3 (ブロックの中央) 1.1 55 2.5 57 -0.61 79 0.77 58 Case4 (後壁内面接触) 0.9 45 2.4 55 -0.38 49 0.8 60 Case5 (後壁内面固定) 1.3 65 2.8 64 -0.17 22 1.14 86

(35)

- 34 -

図-3.6 除荷時までの載荷重と一体型ブロック後壁天端の鉛直変位量

図-3.7 載荷重と一体型ブロック下側の水平変位量 0

1 2 3 4

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

載荷重(kN)

鉛直変位量(mm)

Case1(なし) Case2(後壁側)

Case3(中央)

Case4(後壁内面接触) Case5(後壁内面固定)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

載荷重(kN)

水平変位量(mm)

Case1(なし) Case2(後壁側)

Case3(中央)

Case4(後壁内面接触) Case5(後壁内面固定)

(36)

- 35 - 3.3 まとめ

設置形式が異なる抵抗板を設置した壁体についての垂直荷重載荷型実験から,以下の知 見が得られた.

1)壁体の変位量は,非接触型(後壁側)>接触型(後壁内面接触)≒非接触型(中央)

>固定型(後壁内面)>抵抗板(なし)の順であったことから,固定式よりも後壁に接触 しない非接触型(後壁側)の滑動抵抗力が最も大きいことが分かった.

2)抵抗板を後壁に接触しない 非接触型(後壁側)は載荷前のスタート時点から,壁体 の変位を抑制することが分かった.

3)抵抗板は水平方向だけでなく鉛直方向の変位も抑制することが分 かった.

【参考文献】

3.1)西村友良,佐藤研一,杉井俊夫,小林康昭,規矩大義,須網功二:基礎から学ぶ 土 質工学,朝倉書店,pp.75,2007

3.2)土質工学会編,地盤工学における模型実験入門

3.3)石井優紘,国府田誠,佐藤秀人,田村昌仁,和田昇三,刑部 徹,堀田三成,熊田哲規:デ ジタルカメラによる画像計測法と擁壁模型実験への適用 2.鉛直剛体擁壁の強制変位 による崩壊挙動観測,日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道),pp.629-630,2004.

3.4)酒井俊典,勝山邦久,Md.Zakaria Hossain,Laura J.Pyrak-Nolte:Soil Mechanics

(2)-Mechanical Properties-,コロナ社,pp.54-58,2010.

3.5)松岡元:土質力学,森北出版,pp.137,177-178,1999.

(37)

- 36 -

(38)

- 37 -

第 4 章 非接触型抵抗板の滑動抵抗力の検証とその評価

4.1 はじめに

第 3 章での荷重と壁体の変位より,抵抗板を後壁に固定する固定型よりも後壁に接触 しない非接触型の滑動抵抗力が最も大きいことが分かった.第 4 章では非接触型に絞り,

抵抗板を後壁側に設置した壁体,中央に設置した壁体,抵抗板を設置しない壁体の 3 ケ ースの背面土圧と壁体の変位量から 4.1), 2),非接触型抵抗板の滑動抵抗力を検証し.そ の滑動抵抗力を適正に評価する.

4.2 非接触型の抵抗板を設置した壁体の背面土圧と変位に関する実験

4.2.1 実験概要

(1)実験方法について

第 3 章の実験結果から,壁体に作用する土圧と壁体の変位に関する実験は,せん断応力 載荷型実験ではなく,擁壁の実態に則した 垂直応力載荷型実験でなくてはならないことが 確認された.従って,本実験でも壁体の背面に盛土を形成し,盛土の上面に垂直荷重を載 荷して壁体に土圧を与える,第 3 章と同じ垂直応力載荷型実験とした4.3),

(2)試験体(壁体)と実験装置について

本実験で用いた壁体と実験装置の 概略を図-4.1 に示す.

図-4.1 実験装置図(上:平面図,下:側面図)

(39)

- 38 - 本実験で用いるブロックは,一辺の長さ が現物の約 1/10 の模型ブロックである.こ れを厚さ 15mm のアクリル板を用いて奥行 き 220mm,控長さ 200mm,高さ 100mm のブ ロック体として作製し,これらを3段に重 ねて壁高 300mm の壁体とした(写真-4.1).

ブロックの控長を 200mm としたのは,壁高 300mm の試験体の破壊モードが転倒となら ないように,背面土圧合力がブロック底面 のミドルサードに収まるように配慮したた めである.壁体の内・外に充填する粒状材に ついては,壁体内に適切に充填でき,かつ 直径 5mm の土圧計で適切に測定ができる大 きさであれば壁体との相似性は問わない.

実際の空積み擁壁においても,大きいもの は 50mm~150mm の栗石から,0.01mm~40mm のクラッシャーラン等の粒状材が適材適所 に用いられている.本実験では,第 3 章で の実験と同じ気乾状態に近い福岡市西戸崎 産の海砂を使用した.抵抗板は,第 3 章と 同じ縦 100mm,横 180mm,厚さ 2.6mm の鉄板 を使用した.但し,抵抗板に作用する土圧 を測定する場合には,この鉄板に替えて , 縦 100mm,横 180mm,厚さ 7mm の板(3mm の アクリル板 2 枚(裏面・中面)と 1mm のアル ミ製の板 1 枚(表面)を貼り合わせたもの)

の表面に超小型土圧計(容量-200kPa)を 22mm 間隔で 5 個取り付けた測定板(写真 -4.2)を作製し,この測定板を抵抗板とし て用いた.

アクリル板を 2 枚重ねとしたのはアクリ ル板に溝を掘って土圧計のコードを板内 に収めるためである.表面をアルミ板に したのは粗面に加工し易いからである.

ブロックの背面および 内面の土圧を測定 する場合には,同測定板を測定場所にセ ットして鉛直方向に合計 15 箇所で測定 した.変位計は,水平変位計を各ブロッ クの前壁の中央に 1 点,鉛直変位計を上 段ブロックの前壁と後壁の天端面にそれ ぞれ 1 点ずつセットした(写真-4.3).

水平変位計

ブロック前面 鉛直変位計

写真-4.1 三段積模型ブロック

写真-4.2 土圧センサーを取り付けた 測定板

写真-4.3 実験の様子

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(3)試験体の作製手順について

基礎地盤と壁体と背面盛土からなる試験体の作製手順について説明する.

ブロックを 3 段にを重ねて土槽内に搬入し,土槽の側壁孔から下段ブロックの両側面の孔

(片面 2 箇所)に固定ピンを挿入して,試験体をほぼ所定の位置に設置し,ブロックの前 面壁の両端部に高さ 300mm,厚さ 15mm の板(固定片と呼ぶ)の小口面を当接させ,固定片 を土槽に万力で固定し て作製過程における試験体の前方へ移動を防止した.一番下の抵抗 板は,既に設置した下段ブロック の後壁を基準に,ブロックと抵抗板の間隔を確保するた めの治具(間隔保持棒・保持体と称す)を用いて所定の位置に設置した(写真-4.4).こう した作業と並行して下段ブロックの底面まで,即ち抵抗板の半分の高さまで土槽の底部に 海砂を充填する.充填された海砂の転圧は,ブロックの前壁 から前側の領域では,前部と 後部の 2 箇所に海砂の上から一箇所当たり 3 秒間振動を与えた.ブロック直下の基礎地盤 は,抵抗板の上端の高さまで海砂を充填し,海砂の上から 7 秒間振動を与えた.作製した 基礎地盤の高さは下段ブロックの下端面までとした.その高さは 75mm,土槽の前壁までの 長さはブロックの前面から 400mm である.

中詰材は,二枚目の抵抗板を一枚目の抵抗板の上に載せた状態で同様に設置し,二枚目の 抵抗板の天端面まで海砂を充填し ,海砂の上から 7 秒間振動を与えた.三枚目の抵抗板も これらと同様である. 背面土は,ブロック一段毎にブロック背面の高さま で海砂をで充填 し,前部と後部の 2 箇所に 3 秒間ずつ振動を与えた.このような手順を繰り返して 試験体 を作製した.また,ブロックに海砂を充填して 7 秒間の振動を与えたときの単位体積重量 を測った.このときの単位体積重量は 17.5kN/m3であった.

(4)載荷方法について

載荷は,前節と同様,背面土の上に試験体から 50mm 離して置いた横 220mm,縦 200mm,

厚さ 50mm のゴム板の上に水タンク(重量 60kg)を略垂直に上載して(写真-4.5),一定の 速度(14ℓ/分)でタンクに注水した.満タン後の最終時における荷重(最大荷重)は 3.6kN である.

写真-4.4 抵抗板を後壁側に設置 写真-4.5 水タンクをゴム板上に設置 水タンク

荷重 間 隔 保 持

抵抗板

ブ ロ ッ ク 後 壁 内

中詰材(砂)

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(5)実験の実施について

実験は,抵抗板をブロックの後壁側に設置した Case2(後壁側),後壁と前壁の中央に設 置した Case3(中央),それに抵抗板を設置しない Case1(なし)の 3 ケースで行った(図 -4.2),(表-4.1).そのうち,Case1(なし)と Case2(後壁側)は 2 回ずつ実施した.実 験の開始は,試験体を固定化した固定片と固定ピンを解除(ストッパー解除と呼ぶ)した 時である.このストッパー解除の直前に土圧を測定し,水平変位計と鉛直変位計 は「ゼロ」

に調整した.最終の載荷時は土圧の伝達時間を考慮して,最終載荷した 5 分後とした.

Case1(なし) Case2(後壁側)

表-4.1 実験ケース

Case3(中央)

図-4.2 背面土圧と水平変位に関する実験

Case 抵抗板の設置位置

Case1 なし

Case2 ブロックの後壁側

Case3 ブロックの中央

図 6.3  壁体部の施工手順

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