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テアフラビンによる腸管吸収調節作用の解明に関す る研究

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

テアフラビンによる腸管吸収調節作用の解明に関す る研究

朴, 夏英

https://doi.org/10.15017/1470633

出版情報:Kyushu University, 2014, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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氏 名 朴 夏 英

論 文 名 Study on the regulation of intestinal absorption by theaflavins in Caco-2 cells

(テアフラビンによる腸管吸収調節作用の解明に関する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 松井 利郎 副 査 九州大学 教授 下田 満哉 副 査 九州大学 教授 宮本 敬久

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、紅茶などの発酵茶に存在するカテキン2量体であるテアフラビン類(TF)の腸管吸収 調節作用の解明を行ったものである。まず、腸管上皮モデル細胞であるCaco-2細胞の単層膜を用い て低分子ペプチドの膜透過性に対するTFの調節作用を検討している。なお、100 µM TFを用いた

Caco-2膜透過試験において側基底膜側溶液からTFは検出されなかったことから、TFは非透過性ポ

リフェノールであると結論付けている。次いで、TF処理(10 - 20 µM、3 - 6 h)したCaco-2膜を用 いて腸管ペプチドトランスポーターPEPT1合成基質であるGly-Sarの透過試験を行い、TF処理によ って見かけの透過係数(Papp)が有意に低下することを明らかにしている(未処理膜, 2.2 ± 0.2×10-5 cm/s; TF処理膜, 1.3 ± 0.2×10-5 cm/s)。また、TF処理したCaco-2膜でのPapp値の低下は他のジペプ チド(Val-Tyr、Ile-Phe)においても同様に認められた。これら Papp値の低下作用は TF 基本骨格で あるベンゾトロポロン7員環構造に起因することを示している。さらに、TF処理した Caco-2細胞 においてPEPT1発現量の低下とAMP-activated kinase(AMPK)阻害によるPapp値の回復が認められ たことから、TF のPapp値の低下はAMPKの活性化を介した PEPT1発現の抑制によるものである ことを明らかにしている。

次に、腸管バリア性を担うタイトジャンクション(TJ)を介した腸管吸収系に対する TF の調節 作用について検討を行っている。その結果、TF処理したCaco-2膜においてTJ透過指標物質である フルオレセインのPapp値の低下と経上皮電気抵抗値の有意な増大を認めている(未処理膜, 110 ± 2 Ω∙cm2; TF処理膜, 145 ± 16 Ω∙cm2)。さらに、TF処理したCaco-2細胞においてTJ構成タンパク質で あるoccludin、claudin-1およびZO-1の発現が有意に増加したことから、TFはTJ構成タンパク質の 発現を誘導し、TJを強化する作用があることを明らかにしている。なお、モノカテキン類では同様 の作用は認められず、ベンゾトロポロン骨格特異的な作用であることを示している。

以上要するに、本研究は重合ポリフェノールである TF が腸管上皮モデル細胞での低分子ペプチ ドの膜透過を抑制し、かつ膜バリア性を向上させる作用を持った機能性成分であることを明示した ものである。これらの成果は、腸管における重合ポリフェノールの生理作用について新たな知見を 与えるものであり、食品分析学および食品機能学の発展に寄与する価値ある業績と認める。

よって、本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める。

参照

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