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我が国フードシステムが抱えるリスクに係る数量分 析に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

我が国フードシステムが抱えるリスクに係る数量分 析に関する研究

株田, 文博

https://doi.org/10.15017/1441306

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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氏 名 : 株田 文博

論文題目 : 我が国フードシステムが抱えるリスクに係る数量分析に関する研究 区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

本研究では,国内外で関心が高まる食料危機,食料安全保障問題を,食料の量的リスクという視 点で捉え直し,我が国のリスクの潜在的な危害要因を把握した上で,食料の輸入依存に起因するリ スクについては数量的な分析を行うとともに,可能な限り幅広い類型化を行い,いくつかの潜在的 リスクの要因の検証を試みることを課題とした.

まず,第2章で過去の食料危機と対応について歴史的な検証を行い,第3章で食料の量的リスク に対応して概念形成されてきた食料安全保障に係る議論の系譜を整理し,我が国では一貫して食料 の輸入依存度が高まり,国境を越えたガバナンスの観点からリスク管理に懸念を抱いてきたことを 明らかにした.

続く第4章,第5章では,食料の輸入依存に起因するリスクについて,産業連関分析により,数 量的アプローチを試みた.第4章では,近年国際食料価格や為替水準が変動し,これらが輸入食料 価格の変動,ひいては国民生活への影響が懸念されていることを踏まえて,産業連関分析の均衡価 格モデルにより為替及び輸入食料価格の変動リスクを分析した.第5章では,発生のメカニズムや 発生頻度を予め特定することは困難であるものの,一旦発生すると,影響度が,価格の変動リスク よりも大きいと考えられる,輸入途絶等の量的変動リスクについて,川下産業の生産に影響が波及 する前方連関効果を計測するGhosh型モデルに,ボトルネック型モデルの考え方を組み込んだモデ ルを開発して,産業連関分析により影響試算を行った.

しかしながら,リスク社会とも称され,問題の構造が複雑化する現代においては,食料のリスク も,マクロの食料供給量を,国内生産の維持増大と,輸入の安定化を図り,短期の調整は在庫で賄 えば良いという単純な課題に限定されなくなってきている.このため、第6章では,国際機関等に おける,第7章では,諸外国における食料安全保障を巡る議論,政策を検証し,特にイギリスが実 施した多様な指標による食料安全保障の評価を参考としつつ,国内のみならず国際的な議論との国 際比較の視点を踏まえて,消費者を起点とした食料リスクの潜在的な危害要因の分析を行う必要性 を明らかにした.

以上を踏まえて,第8章では,我が国における食料の量的リスクの潜在的な危害要因の類型化の 試案を提示するとともに,アクセス問題,大規模災害時のフードチェーンの弾力性,輸入食料アク セスに関する購買力,世界の食料供給力・資源持続性に関するリスクについて,数量的分析ではな く問題提起の域を出ていないが,検証を試みた.

9章では,第 8章までの議論展開と若干異質ではあるものの,アジア経済研究所の2000年ア ジア国際産業連関表を用いて,フードシステムに関する産業の国際分業率等による貿易・産業の連 関構造の現状分析と,中国を中心としたアジアの新興国における将来の食料需要増による 2019 を目標年次とするアジア太平洋地域の貿易・産業への影響,すなわち国境を越えた投入・産出を通 じた生産誘発効果等を分析し,現時点での国際産業連関を前提にすると,これらアジア諸国の食料 需要増が,アプリオリに日本経済,とりわけ日本のフードシステム産業にプラスに作用する構造に はないことを明らかにした.今後,アジアの成長をこの分野で内需に取り込むためには,海外の食

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品産業への投資のリターンが国内に環流するとともに,農産物・食品の輸出増に向けた国内生産増 が必要であり,このことが我が国の食料供給力を向上させ,食料リスクの軽減に貢献しうることを 浮き彫りにした.

10 章では,結論として,議論を要約し,的確なリスク管理に向けた本研究の政策的意義を論 じた.併せて,本研究で問題提起したものの,分析まで至らなかった論点等について,今後の課題 として提示した.

参照

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