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トラクタの横転安定性の数値解析と向上に関する研究

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

トラクタの横転安定性の数値解析と向上に関する研 究

李, 臻

https://doi.org/10.15017/1785444

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

氏 名 李 臻

論 文 名 Analysis and improvement of tractor lateral stability against rollover

(トラクタの横転安定性の数値解析と向上に関する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教 授 井上英二 副 査 九州大学 教 授 内野敏剛 副 査 九州大学 准教授 岡安崇史 副 査 九州大学 准教授 平井康丸

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は,農作業死亡事故要因として最も高い頻度で発生するトラクタの横転を防止するため, トラクタの3次元力学モデルによる傾斜路面走行シミュレーションとスケールモデルトラクタを用 いた走行実験により,横転防止に資する走行条件の予測と安定性要件について検討を行ったもので ある。

トラクタは一般車両とは異なり,前輪がロール方向に回転することを可能とするピボット軸によ り,路面起伏に起因する機体振動を緩和する構造的特徴を有している。このため,前輪ピボット軸を 考慮したトラクタの3次元力学モデルを新たに構築し,これによる走行シミュレーションを行って いる。その結果,起伏を有する傾斜路面走行時の横転発生前後のトラクタの傾斜角,並進加速度, 回転角加速度および各車輪反力の予測を可能にしている。

次いで,上記シミュレーション結果に基づき,横転に対する機体の安定性を数値化し,安定指数と して定義している。安定指数は,横転発生の瞬間である車輪が路面と非接触となる条件,つまり,車 輪反力がゼロとなる条件,および車輪反力の機体左右方向成分が最大静止摩擦力を超えて横滑りが 発生する条件から導出している。安定指数に基づきトラクタの限界走行速度を検討した結果,傾斜 角が15度から20度の間で,同速度が急激に低下することを見出している。

さらに,スケールモデルトラクタを作製し,ここでは実機試験が困難で危険な起伏傾斜路面での走 行実験を行っている。実験システムはスケールモデルトラクタ,作業機,起伏傾斜路面,および機体傾 斜角・走行速度・加速度・車輪反力計測部から構成されている。スケールモデルトラクタ,作業機お よび起伏傾斜路面は3Dプリンタで作製している。起伏傾斜路面の粗さはISO8606に基づく路面粗 さスペクトルの逆フーリエ変換より求めている。これにより,安全性工学的手法に基づき横転防止に 寄与するトラクタの安定性要件について検討を行った結果,前輪では,タイヤ種類,前方バラスト 重が,後輪ではトレッド幅が最も安定性に寄与することを見出している。

以上要するに,本論文は,トラクタの傾斜路面走行シミュレーションとスケールモデルトラクタ による走行実験により機体の安定指数に基づく限界走行速度の予測と横転防止に資する機体の安定 性要件の解明を行ったものであり,農業生産システム設計学に寄与する価値ある業績と認める。

よって,本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める。

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