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神戸大学周辺の地震観測と加速度オービット解析

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Academic year: 2022

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(1)

神戸大学周辺の地震観測と加速度オービット解析

神戸大学大学院工学研究科 学生会員 ○齊藤 栄 神戸大学大学院工学研究科 正会員 鍬田 泰子

1.はじめに

日本ではその国土事情を反映して山地形などの不整形地盤上での土木構造物,住宅地の建設が余儀なくされ ている.しかし,このような山地形では地震動の増幅特性が地形の影響を受けることが知られており,その地 域固有の地盤震動特性を評価する必要がある.著者らの研究室では4台の地震計を用いて六甲山中腹に位置す る神戸大学六甲キャンパス周辺の高密度地震観測を行っており,平成16年から現在までに25の地震の記録が 得られている.また,関西地震観測研究協議会(以下,関震協と呼ぶ)でも神戸大学都市安全研究センター(以 下,RCUSS と呼ぶ)で地震観測が行われている.本稿では本研究室と関震協が近年観測した中小地震と兵庫 県南部地震について,0~5Hz,5~10Hz,10~15Hz の3 種類のバンドパスフィルターかけて加速度オービッ ト解析を行い,観測点ごとの地震動の方向性について明らかにした.

2.神戸大学周辺の地形と観測体系

六甲山地は諏訪山,五助橋断層などの活断層の断層変位により隆起した基盤 山地であり,階段状に地形的な段差が生じており,中腹に位置する神戸大学周 辺にも傾斜の変化が見られる.本研究で用いる地震計は図-1に示すように断層 を横断する形で斜面に沿ってほぼ一直線に設置され,発達科学部,工学部,高 羽小学校の間にそれぞれ五助橋断層,渦ヶ森断層が存在している.また,神戸 大学周辺の斜面地形では宅地造成が行われており,工学部と発達科学部ではそ れぞれ切土,盛土により表層地盤が整備されている.

3. RCUSSでの地震動の方向性

(1)兵庫県南部地震の本震・余震の場合

末富・土岐1は兵庫県南部地震の際にRCUSS で観測された本震,余震の記

録から水平面内変位オービットを示し,RCUSS では深層地盤の谷構造の影響により変位軌跡が南北方向に卓 越する傾向があることを指摘している.関震協の地震計で観測された兵庫県南部地震の本震と主な余震(7地 震)について0~5Hz,5~10Hz,10~15Hzの3種類のバンドパスフィルターかけて水平成分の加速度オービ ット解析を行った.その結果の一例を図-2に示す.オービッ

トは主要動10秒間について解析を行ったものである.主要 な周波数域であると考えられる0~5Hzにおいていずれの地 震動についても南北方向に卓越が見られ,末富・土岐の結果 と一致している.RCUSS の深層地盤は谷構造であり,地盤 構造が地震動の方向性に影響を与えていると考えられる.5

~10Hzについては方向性の偏りが見られないが,10~15Hz の周波数域においては東西成分が卓越しており,高周波数に おいては谷筋に直角の方向で地震動の方向性が現れること が分かった.

(2)近年の中小地震の場合

兵庫県南部地震に比べて規模が小さく,震源位置の異なる キーワード 地盤震動,斜面,加速度オービット解析

連絡先 〒657-8501 神戸市灘区六甲台町 1 神戸大学大学院工学研究科 TEL078-803-6047

図-1 神戸大学周辺地図

-16 -8 0 8 16

-16 -8 0 8 16

EW成分

NS成分

-6 -3 0 3 6

-6 -3 0 3 6

EW成分

NS

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

EW成分

NS

本震

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

EW成分

NS成分

-6 -3 0 3 6

-6 -3 0 3 6

EW成分

NS

-1.2 -0.6 0.0 0.6 1.2

-1.2 -0.6 0.0 0.6 1.2 EW成分

NS

余震

0~5Hz 5~10Hz 10~15Hz

図-2 RCUSS水平面内加速度オービット

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑645‑

Ⅰ‑323

(2)

地震動についても同様な解析を行った.図-3 は2007 年4 月 15日の三重県中部を震源とするM5.4の地震を示す.兵庫県 南部地震の解析結果と同様に 0~5Hz,10~15Hz の周波数域 でそれぞれ南北方向,東西方向に地震動が卓越しており,

RCUSS では地震の規模や震源位置によらず周波数ごとに共

通の方向性が確認できた.

4.斜面高低差と近年の中小地震における地震動の方向性 著者らの研究室で観測している大学周辺の地震計で同時観 測された地震記録について,観測点の標高ごとにPGAの比較 を行った.分析に用いた地震は,平成16年から現在までに観 測された25の地震である.その一例を図-4に示す.発達科学 部,工学部,高羽小学校,学而荘の標高はそれぞれ202,120,

110,56,20mである.標高が高くなるにつれて工学部までは PGAが小さくなるが,発達科学部では工学部よりも大きな値 を示している.さらに鉛直動についても増幅が見られ,これ らの傾向は他の地震でも見られた.また,工学部ではいずれ の成分もほぼ同じ大きさのPGAであり,水平動が増幅してい ないことがわかる.つまり,工学部は露頭基盤に相当し,発 達科学部では斜面地形の影響によって地震動が増幅されてい ると考えられる.

RCUSS と同様に研究室の地震計についても加速度オービ

ット解析を行った.その一例を図-5 に示す.地震は RCUSS

(図-3)と同じ2007年4月15日の地震である.学而荘では 周波数によらず,地震動の伝播方向に卓越した方向性を示し た.学而荘は平坦な地形であり,表層地盤の増幅特性が顕著 に現れる.一方,斜面地に位置する工学部,発達科学部では 方向性が複雑に変化している.工学部ではいずれの周波数域 でも卓越した方向を確認するのが難しい.発達科学部では,

地震によっては南北方向に卓越するものがみられたが,

RCUSSほど地震によらず顕著な方向性をもっていない.山地

形では入射した波と反射した波の干渉により地震波が複雑な 様相を示すことが知られており,鉛直成分を含めた解析が必 要である.

5.まとめ

RCUSSでは地震動の規模,震源によらず主要な周波数域で加速度オービットが南北方向に卓越し,末富・

土岐の指摘と結果と一致した.10~15Hzの高周波数域においては,本震や中小の地震においても谷筋に直 行する東西方向にオービットが卓越していることがわかった.

平坦な地形である学而荘においては周波数によらず加速度オービットがほぼ同じ方向に卓越した.一方,

斜面地形に位置する工学部,発達科学部においてはオービットに顕著な方向性が見られなかった.

【謝辞】本研究では関西地震観測研究協議会の地震観測記録を利用した.ここに記して感謝の意を表する.

【参考文献】

1) 末富岩雄,土岐憲三:神戸大学観測点における表層地盤の影響に関する検討,第24回地震工学研究発表会講演論文集,第1 分冊,pp57-60,1997

-10 -5 0 5 10

-10 -5 0 5 10

EW成分

NS

-6 -3 0 3 6

-6 -3 0 3 6

EW成分

NS成分

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 EW成分

NS

(ⅰ)学而荘

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2 4

EW成分

NS

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

EW成分

NS

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 EW成分

NS

(ⅱ)工学部

-4 -2 0 2 4

-4 -2 0 2 4

EW成分

NS

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

EW成分

NS

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 EW成分

NS

(ⅲ)発達科学部

0~5Hz 5~10Hz 10~15Hz

図-5 NS-EW成分加速度オービット

-6 -3 0 3 6

-6 -3 0 3 6

EW成分

NS成分

-2 -1 0 1 2

-2 -1 0 1 2

EW成分

NS

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 EW成分

NS

0~5Hz 5~10Hz 10~15Hz 図-3 中小地震水平面内加速度オービット

0 50 100 150 200 250

0 5 10 15 20

PGA(PGA)

標高(m

NS EW UD

0 50 100 150 200 250

0 2 4 6

PGA(gal)

標高(m NS

EW UD

(ⅰ)兵庫県南東部 (ⅱ)大阪湾 (2005/2/14) (2008/4/18)

図-4 標高に対するPGAの分布 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑646‑

Ⅰ‑323

参照

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