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動的遠心力模型実験装置を用いた土圧に関する研究

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Academic year: 2022

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動的遠心力模型実験装置を用いた土圧に関する研究

高知高専専攻科 学生会員 〇橋田賢治 高知高専 正会員 岡林宏二郎・西村和哲

1. はじめに

2011年3月に、東日本大震災が発生し地盤の液状化現象や地盤

沈下、建物の倒壊等の被害が発生した。これにより各種のインフ ラが寸断され被害が広範囲となった。東日本大震災は海洋型地震 で、揺れの継続時間が200秒以上であったため、今後の構造物に おいて継続時間の長い長周期の地震波に対する検討や粘り強い土 構造物の設計が必要であることが挙げられた。地震発生によって 生じる土圧は動的土圧で、本研究では平成25年度に改良された動 的遠心力模型実験装置を用いて静的な土圧と動的な土圧との違い について比較する。

2.実験方法

2.1 静的な土圧性能試験

写真1に動的遠心力模型実験装置を示す。使用する容器の 寸法は、幅450mm、高さ300mm、奥行150mmである。実験時の 土圧計・容器内の状態を図1に示す。標準砂の重量は17.9kg であった。動的遠心載荷装置に容器を設置し、50G場まで5G 場ずつ加速度をあげ、それぞれのG場でおよそ30秒間静的な 土圧を計測する。計測間隔を10000ミリ秒とした。

2.2 静的な土圧性能試験結果と考察 図2に40G場で得られた鉛直土圧を示す。土圧の理論値は、

γtH(G)より 129.9kPa である。計測した鉛直土圧は、理論値 より小さくばらついている。これは、土粒子のアーチアクショ ンや土圧の再配分によるものと考えられる。静的な土圧を計測 する場合は、計測間隔を10000ミリ秒(10秒)と設定することで 適切なデータ取得が可能となることが確認できた。

2.3 相似則

神戸波をかけて得られた変位データ図3を基にSIN波に置き かえ設計水平震度と同程度のGを実験容器に与えるため計算を 行った。最大変位点付近の神戸波の加速度はおよそ33galであ った。結果をもとに40G場と実物に生じると想定される最大変 位と加速度を表1に示す。

加速度が小さくなった原因としては、現在の動的遠心載荷装 置では片振幅幅を最大で 10mm までしかかけることができない ことが挙げられる。使用している神戸波も装置の振動制御プロ グラムのデータ容量の制約から256波を選定していることも原 因の一つに挙げられる。

2.4 SIN波を用いた動的土圧実験

写真1 動的遠心力模型実験装置

図3 神戸波変位 図2 鉛直土圧分布

図1 実験時の土圧計・容器内の状態

【Ⅲ-23】

-161-

(2)

SIN 波を用いて、実物にかかる設計水 平加速度を 150gal として相似則の計算 を行った。現在の装置の性能をふまえ計 算を行lった結果を表2に示す。計算条 件としてf=3Hz、変位<10mmであるため変 位を8mmと設定して計算を行った。変位 は装置の安全面を考慮して8mmとした。

表2より、20G 場で実物にかかる加速度 が 14gal であり、およそ(設計水平加速 度)150galの10分の1であるがこの設定 で実験を行うものとした。

加速度を20G場まで5G場ずつ上げてい

き、20G 場に達すると 30秒ほど静的土圧を計測した。最後に、

振動数3Hz、片振幅8mmのSIN波を与え動的土圧を計測した。

2.5 SIN波を用いた動的土圧実験結果と考察

図4はSIN波で揺らした際の変位である。最大変位7.94mm、

最小変位が-8.17mmであったことより設定したSIN波で振動し ているが、時間間隔が大きすぎたことがわかる。

図5はSIN波を設定して計測した鉛直土圧を示す。静的土圧 と動的土圧の土圧計の値を比較すると大きな変化は見られなか

った。土圧計 H15は理論値よりも大きくなった。20G 場での計測であったため、アーチ作用が十分に発生せ ずH15は理論値より大きな土圧を計測したと考える。

図6はSIN波を設定して計測した左壁面にかかる水平土圧を示す。静的土圧と動的土圧の土圧計の値を比 較すると大きな変化は見られないことがわかる。図7はSIN波を設定して計測した右壁面にかかる水平土圧 を示す。静的土圧と動的土圧の土圧計の値を比較すると土圧計E1で2.29kPaの差がみられた。

3.まとめ

(1) 動的遠心力模型実験装置は静的実験、動的実験とも計測を行えることが確認できた。

(2) 静的土圧と地震波を加えた動的土圧の値を比較した結果、土圧に大きな変化は見られなかった。

(3) 鉛直土圧と水平土圧とも測定値は理論値より小さな値となるが、遠心加速度が比較的小さい20G場 などでは、土粒子のアーチ機能が十分再現されないことがわかった。

(4) 装置の地震動加振能力をさらに向上させる必要がある。

表1 最大変位と加速度

40G 場(実験) 実物(想定)

最大変位(mm) 9.484 379.36

加速度(gal) 33 0.825

表2 設定galの計算

G 振動数(Hz) 加速度(gal) 実物にかかる加速度(gal)

10 3 284.23 28.42

20 3 284.23 14.21

30 3 284.23 9.47

40 3 284.23 7.11

図7 右壁面の水平土圧分布 図4 SIN波変位

図5 鉛直土圧分布 図6 左壁面の水平土圧分布

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参照

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